説明

バイオ分子標的検出器、バイオ分子標的検出システム、及びバイオ分子標的検出方法

【課題】微量のバイオ分子標的の検出を実現するためのバイオ分子標的検出器およびその検出方法を提供する。
【解決手段】バイオ分子標的と結合した磁気ビーズの漏洩磁界の検出することによって、前記バイオ分子標的を検知するバイオ分子標的検出器であって、前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる主流路と、前記主流路と接続し、かつ前記主流路と異なる方向に、前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる副流路と、電源と前記電源と接続された電極配線とを有し、前記電極配線に電流を印加することで、前記主流路に対して、前記副流路の検体液が流れる方向の誘導磁界を発生させ、かつ、副流路に交流磁界を発生させる回路と、前記副流路に設けた前記バイオ分子標的と結合可能なリガンドと、前記副流路の磁界を検出する磁気センサーとを備えたバイオ分子標的検出器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ分子標的と結合した磁気ビーズの漏洩磁界を高感度に検出してバイオ分子標的を検出する技術に関し、バイオ分子標的検出器、バイオ分子標的検出システム、およびその検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、ウィルス、DNA(Deoxyribonucleic Acid)、又はRNA(Ribonucleic Acid)を含む数十nm以下の大きさを有する微小の物質を、バイオ分子標的(bimolecular target)という。バイオ分子標的は、
微少量、あるいは低濃度のバイオ分子標的でも環境に対して悪い影響を与える可能性がある。よって、バイオ分子標的を高感度に検出することにより、バイオ分子標的の影響の拡大を早期かつ未然に防ぐ必要性が増してきている。早期検出のためには、検出システムは、高感度で、かつ、高速に検出でき、さらに、持ち運び可能であり、かつ、安価であることが要求される。
【0003】
特許文献1では、磁気センサーとして磁気ビーズの漏洩磁界を磁気抵抗変化で検出する磁気抵抗素子を用いた例が示されている。特許文献2では、磁気センサーとして磁気ビーズの漏洩磁界をホール電圧変化で検出するホール素子を用いた例が示されている。特許文献3では、磁気センサーとしてバイオ分子標的分子の透磁率μの変化を検出する磁気抵抗素子を用いた例が示されている。特許文献4では、磁気ビーズ固定部位に磁気ビーズを引き寄せる磁界を発生させる例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−514932号公報
【特許文献2】特許第4240303号公報
【特許文献3】特開2004−205495号公報
【特許文献4】特開2003−279570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微量のバイオ分子標的の検出を実現するためには、検知可能な領域にバイオ分子標的を誘導し、バイオ分子標的を高感度に検出することが必要である。例えば、流路容積μL(幅100μm×高100μm×長100mm)内に600分子程度(1fMレベル)の場合に、10μm×10μmのセンサー領域での分子の存在確率は6×10-3程度であり、検知領域にバイオ分子標的の誘導無しには高感度検出は期待できない。特許文献1から4では、高感度なトンネル型磁気抵抗素子(MTJ)や半導体ホール素子をセンサーとして用いることを開示しているが、具体的に、微量なバイオ分子標的を誘導し、かつ検出する手法についての記載はない。
【0006】
また、特許文献1−4にて代表される先行技術では、標的だけでなく、夾雑物などを含む非標的も同様に主流路を流れる。よって、リガンドを配したセンサー領域にて、互いの凝集や不必要な吸着を引き起こしてしまい、バイオ分子標的を高感度に検出することは困難である。標的を選択的にセンサー領域に誘導して、かつ高感度検出を可能とする構成が必要である。本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高感度なバイオ分子標的の検出を実現する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のバイオ分子標的検出器は、バイオ分子標的と結合した磁気ビーズの漏洩磁界の検出することによって、前記バイオ分子標的を検知するバイオ分子標的検出器であって、前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる主流路と、前記主流路と接続し、かつ前記主流路と異なる方向に、前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる副流路と、電源と前記電源と接続された電極配線とを有し、前記電極配線に電流を印加することで、前記主流路に対して、前記副流路の検体液が流れる方向の誘導磁界を発生させ、かつ、副流路に交流磁界を発生させる回路と、前記副流路に設けた前記バイオ分子標的と結合可能なリガンドと、前記副流路の磁界を検出する磁気センサーとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高感度のバイオ分子標的の検出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のバイオ分子標的検出器の一例の構成概略斜視図。
【図2】本発明のバイオ分子標的検出器の一例の構成概略断面図。
【図3】本発明のバイオ分子標的検出の原理模式図。
【図4】従来技術のバイオ分子標的検出の関係模式図。
【図5】本発明のバイオ分子標的検出器の別の一例の構成概略断面図。
【図6A】本発明のバイオ分子標的検出器に用いる磁気抵抗素子の構成概略図。
【図6B】本発明のバイオ分子標的検出器に用いる磁気抵抗素子の構成概略図。
【図7】本発明のバイオ分子標的検出器の別の一例の構成概略斜視図。
【図8】本発明のバイオ分子標的検出器の別の一例の構成概略断面図。
【図9A】本発明のバイオ分子標的検出器の磁界印可用電極配線の構成概略図。
【図9B】本発明のバイオ分子標的検出器の磁界印可用電極配線の構成概略図。
【図10A】本発明のバイオ分子標的検出器に用いる磁気センサーの回路概略図。
【図10B】本発明のバイオ分子標的検出器に用いる磁気センサーの回路概略図。
【図11A】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11B】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11C】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11D】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11E】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11F】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11G】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11H】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11I】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図11J】本発明のバイオ分子標的検出器の一例を示す概略断面図。
【図12A】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図12B】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13A】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13B】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13C】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13D】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13E】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13F】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13G】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13H】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13I】本発明のバイオ分子標的検出器の製造方法を示す概略断面図。
【図13J】本発明のバイオ分子標的検出器の一例を示す概略断面図。
【図14】本発明のバイオ分子標的検出器の一例を示す概略断面図。
【図15】本発明のバイオ分子標的検出器の検出方法を示す工程図。
【図16】本発明のバイオ分子標的検出器の検出方法を示すデータの一例を示す図。
【図17】本発明のバイオ分子標的検出器の検出方法を示すデータの一例を示す図。
【図18】本発明のバイオ分子標的検出器の検出方法を示す工程図。
【図19】本発明のバイオ分子標的検出の原理模式図。
【図20】本発明のバイオ分子標的検出のデータの一例を示す図。
【図21】実施例1で用いたバイオ分子標的1のDNAおよびリガントとなる相補鎖DNAの塩基配列の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態および実施例の説明に限定されない。以下の説明では、特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。
【0011】
図1に、本実施の形態のバイオ分子標的検出器10の斜視図を示す。図2に、図1に示すバイオ分子標的検出器10の切断面図を示す。
【0012】
バイオ分子標的検出器10は、バイオ分子標的1および磁気ビーズ2を含む検体液が流れる主流路11と、主流路11と接続して、かつ主流路11と並走する溝状構造を有する副流路12と、主流路11から副流路12に磁気ビーズ2を誘導するための誘起磁界4を発生するための電極配線5および電極配線6と、副流路12に設けたバイオ分子標的1と結合可能なリガンド7と、副流路12の側面周辺に設けた漏洩磁界を検出可能な磁気抵抗素子からなる磁気センサー8とを備える。
【0013】
図1に、X軸、Y軸、Z軸を示す。X軸は、主流路11を検体液が流れる方向である。Y軸は、主流路11の検体液が流れる面において、X軸と直交する方向である。Z軸は、主流路11を検体液が流れる面と垂直な方向である。
【0014】
<バイオ分子標的1及び磁気ビーズ2>
バイオ分子標的1とは、ウィルス、DNA(Deoxyribonucleic Acid)、又はRNA(Ribonucleic Acid)を含む数十nm以下の大きさを有する微小の物質をいう。バイオ分子標的検出器10は、バイオ分子標的1を検出する。図2に示すように、磁気ビーズ2は、バイオ分子標的1と相補的に結合するリガンド9が付与されている。磁気ビーズ2は、リガンド9を介して、バイオ分子標的1と結合する。
【0015】
<主流路11及び副流路12>
主流路11及び副流路12は、絶縁体13で形成されている。
【0016】
例えば、主経路11は、1対の側壁と、1対の側壁の間を接続する下面とを有する。1対の側壁と下面とにより、凹状の溝部を形成する。バイオ分子標的1及び磁気ビーズ2を含む検体液は、溝部を流れる。
【0017】
副流路12は、主流路11における検体液が流れる方向と、異なる方向に検体液が流れる流路である。副流路12は、好ましくは、主流路11における検体液が流れる方向と垂直なZ軸方向に伸びた溝を有する。
【0018】
例えば、主経路11の下面に、溝の形状を有する副流路12が形成されている。副流路12である溝は、主経路11を検体液が流れる方向と異なる方向に伸びる。これにより、検体液中の磁気ビーズ2と結合したバイオ分子標的1を選択的に、副流路12に誘導できる。具体的な誘導方法は、後述する。
【0019】
<電極配線5及び6>
電極配線5及び電極配線6は、図示しない電源と接続されている。例えば、電極配線5の両端部と電極配線6の両端部とをそれぞれ電気的に接続することで、回路を形成する。この回路中に、電源を挿入する。例えば、電極配線5及び電極配線6は、図1に示すように、主流路11及び副流路12を形成する絶縁体13の内部に形成されている。
【0020】
電極配線5および電極配線6に、互いに逆方向の電流を印加することで、縦方向(Z軸方向)の磁界を発生させる。ここで、「縦方向」は、主経路11を検体液が流れる方向と異なり、かつ、副流路12の溝が伸びる方向である。
【0021】
図1におけるX軸方向に互いに逆方向の電流を印加することで、縦方向の磁界が発生する。図2に示すように、電極配線5は、紙面の表面から裏面に向けて電流が流れる。電極配線6は、紙面の裏面から表面に向けて電流が流れる。その結果、矢印の方向に、誘起磁界が発生する。誘起磁界4により、主流路11から副流路12に磁気ビーズ2を誘導することができる。
【0022】
縦方向の磁界は誘起磁界4の一例である。誘起磁界4は、主流路11を流れる検体液に対して、副流路12を検体液が流れる方向への磁界であれば良い。
【0023】
磁気ビーズ2と結合していないバイオ分子標的1、又は非標的分子3である夾雑物などは、磁性を有さないため、縦方向の磁界により、副流路12には誘導されない。以下、磁気ビーズ2と結合していないバイオ分子標的1、及び非標的分子3である夾雑物を、「非標的物質」と称する。単に「バイオ分子標的1」と称する時は、磁気ビーズ2と結合しているバイオ分子標的1と、磁気ビーズ2と結合していないバイオ分子標的1とを含む場合がある。
【0024】
磁気ビーズ2と結合しているバイオ分子標的1を、選択的に副流路12に誘導できる。その結果、副流路12の検体液中に含まれるバイオ分子標的1の密度が向上し、かつ、非標的物質の密度を低減させることができる。よって、バイオ分子標的1の検出確率の向上を図ることができる。
【0025】
<磁気センサー8>
副流路12に誘導されたバイオ分子標的1は、熱揺らぎなどの影響によって動かされることによって、あるいは副流路側壁表面への吸着力によって、副流路12の副流路側面15に近づく。そして、バイオ分子標的1は、副流路12の副流路側面15に配したリガンド7と結合する。以下、副流路12の副流路側面15を「検出領域」とも標記する。
【0026】
磁気センサー8は、バイオ分子標的1に結合した磁気ビーズ2から発生する漏洩磁界を検知する。具体的には、磁気センサー8は、副流路12中の磁界を検出する。磁気センサー8は、漏洩磁界が閾値以上の場合に、バイオ分子標的1がリガンド7と結合していると判別する。磁気センサー8は、漏洩磁界が閾値より小さい場合に、バイオ分子標的1がリガンド7と結合していないと判別する。磁気センサー8は、好適には、磁気抵抗素子で構成される。具体的な構成は後述する。
【0027】
例えば、磁気センサー8は、図1に示すように、主流路11及び副流路12を形成する絶縁体13の内部に形成されている。磁気センサー8は、副流路12中の磁界が検出できる位置に配置されればよい。
【0028】
<バイオ分子標的1の検出>
図3に、磁気的な方法を用いて、バイオ分子標的1を検出する様子を示す。バイオ分子標的1は、磁気ビーズ2に配したリガンド9と相補的に結合する。バイオ分子標的1は、副流路12の副流路側面15に配したリガンド7とも相補的に結合する。このバイオ分子標的1の状態をダブルハイブリダイズ状態30と呼ぶ。
【0029】
磁気センサー8は、磁気ビーズ2からの漏洩磁界31を検出する。磁気センサー8が、所定の閾値以上の漏洩磁界31を検出した場合、バイオ分子標的1が有ると判別する。磁気センサー8が、所定の閾値より小さい漏洩磁界31を検出した場合、バイオ分子標的1は無いとを判別する。
【0030】
図2で示すリガンド7及びリガンド9は、バイオ分子標的1がDNA又はRNAであると想定している。しかし、図19に示すように、バイオ分子標的135が抗原、リガンド136が第1抗体分子、リガンド137が第2抗体分子の場合にも、同様に磁気センサー8で判別できる。
【0031】
磁気ビーズ2のリガンド9とバイオ分子標的1との結合の工程は、主流路11内で行っても良い。また、磁気ビーズ2のリガンド9と結合したバイオ分子標的1を含む検体液を主経路11に導入しても良い。
【0032】
<従来技術との比較>
図4は、従来技術におけるバイオ分子標的の検出する様子を示す。微量のバイオ分子標的41が検出領域に誘導されている場合を示す。誘導されたバイオ分子標的41は、熱揺らぎや吸着力によって磁気センサー8のある検出領域に近づき、リガンド47と結合する。
【0033】
しかしながら、非標的43も、同様に熱揺らぎや吸着力によって検知領域に近づいて吸着してしまう。そのため検出領域は、非標的分子3である夾雑物などを含む非標的43の吸着し、バイオ分子標的41の密度が低くなる。そのため、バイオ分子標的41の検出感度が低下する。従来技術の電極配線45への電流印加によって誘起する誘起磁界46では、検出領域に対する法線方向に駆動力成分が存在するため、検出領域への吸着を促進する働きは期待できるものの、非標的吸着の抑制は期待できない。
【0034】
一方、図2に示すバイオ分子標的検出器10は、副流路12へ磁気ビーズ2を介してバイオ分子標的1を選択的に誘導する。その結果、標的検出の確率向上および非標的吸着の抑制が期待できる。
【0035】
<電極配線の変形例>
図5に、バイオ分子標的検出器50の一例を示す。バイオ分子標的検出器50は、電極配線51、52、53、54を有する。電極配線51及び電極配線52と、電極配線53及び電極配線54とをそれぞれ1組とする。電極配線51及び電極配線52に、逆方向の電流印加することにより、誘導磁界55を発生する。電極配線53及び電極配線54に、逆方向の電流印加することにより、誘導磁界55を発生する。
【0036】
電極配線51及び電極配線52による誘導磁界55と、電極配線53及び電極配線54による誘導磁界55とが打ち消すことにより、検出領域である副流路12の側面15の法線方向に対して駆動力を低減できる。その結果、誘導磁界55と磁気ビーズ2からの漏洩磁界との検出信号の分離が容易になるため好ましい。
【0037】
<磁気抵抗素子>
図6A及び図6Bに、磁気センサー8の好ましい一例である磁気抵抗素子を示す。磁気抵抗素子は、磁性層(61、65)/非磁性層(62、66)/磁性層(63、67)で構成される。
【0038】
図6Aに示す磁気抵抗素子は、GMR(Giant Magnetoresistance)を利用した素子である。図6Aに示す磁気抵抗素子は、金属非磁性層62の材料がCuなどの金属であり、各層に平行に電流64を印加して磁気抵抗を検出する。
【0039】
図6Bに示す磁気抵抗素子は、TMR(Tunnel Magnetoresistance)を利用した素子である。図6Bに示す磁気抵抗素子は、絶縁非磁性層66が絶縁体のトンネルバリアで、各層に垂直に電流68を印加して磁気抵抗を検出する。
【0040】
また、磁性体の異方性磁気抵抗を検出するAMR(Anisotropic Magnetoresistance)を利用した磁気抵抗素子、強相関電子系材料を用いたCMR(Colossal Magnetoresistance)を利用した磁気抵抗素子を用いることができる。
【0041】
本実施形態において、磁気センサー8は、TMRを利用した磁気抵抗素子が好ましい。非磁性層66にMgO(酸化マグネシウム)又はMgAl24(アルミニウム酸マグネシウム)を用いることにより、数百%のMR比(磁気抵抗変化率)が実現できる。
【0042】
磁気抵抗素子の検出磁界感度は、MR比の大きさに反比例する。よって、磁気抵抗素子が高いMR比を有することによって、バイオ分子標的を高感度に検出することが期待できる。微量のバイオ分子標的を検出するため、検出領域にバイオ分子標的を誘導し、かつ、高感度にバイオ分子標的を検出できる磁気抵抗素子を用いるのが好ましい。
【0043】
なお、磁気ビーズ2からの漏洩磁界を検出するために、磁気抵抗素子を構成する2つの磁性層(磁性層61および磁性層65と、磁性層63および磁性層67)の磁化方向が互いに直交するように配置することが好ましい。
【0044】
例えば、磁性層を磁場中で成膜する、又は磁性層を成膜後に磁界中でポストアニールをする。これにより、磁化方向が互いに直交する2つの磁性層(磁性層61および磁性層65と、磁性層63および磁性層67)を有する磁気抵抗素子を製造できる。
【0045】
<バイオ分子標的検出器の変形例>
図7に、バイオ分子標的検出器70の斜視図を示す。図8に、図7に示すb−b線におけるバイオ分子標的検出器70の断面図を示す。図7に示すバイオ分子標的検出器70は、図1に示すバイオ分子標的検出器10と、副流路72の構造が異なること以外は、同様の構成を有する。
【0046】
バイオ分子標的検出器70は、バイオ分子標的1および磁気ビーズ2を含む検体液が流れる主流路71と、主流路71と接続してかつ主流路71と並列に接続されるビア状構造を有する副流路72と、主流路71から副流路72に磁気ビーズ2を誘導するための誘起磁界74を発生する、副流路72の開口部に配した電極配線75と電極配線76と、副流路72に設けたバイオ分子標的1と結合可能なリガンド7と、副流路72の側面周辺に設けた漏洩磁界を検出可能な磁気抵抗素子からなる磁気センサー78とを備える。
【0047】
電極配線75と電極配線76に互いに逆方向の電流を印加することで、縦方向の誘起磁界74を発生させる。この誘起磁界74により、副流路72に磁気ビーズ2を誘導する。バイオ分子標的1は、熱揺らぎ又は吸着力によって、副流路72の副流路側面73に近づく。副流路72に近づいたバイオ分子標的1は、副流路側面73に配したリガンド7と結合する。バイオ分子標的1の結合有無は、同じく結合した磁気ビーズ2の漏洩磁界を、副流路側面73周辺に配した磁気センサー78で検知することより行う。
【0048】
電極配線75と電極配線76は図9Aのように接続して配することで単一のターンコイルを形成できる。また図9Bのようにターンコイルを多数配しても所望の動作を実現できる。さらにコイルをソレノイドコイルとして配しても所望の動作を実現できる。
【0049】
<磁気センサー8の構成例>
高感度にバイオ分子標的1の有無を判別するためには、磁気センサー8は、差動検出を用いるのが好ましい。図10Aに、磁気センサー8の構成例を示す。
【0050】
磁気抵抗素子101及び参照抵抗102を用いて、負帰還回路を用いた負帰還増幅器103及び前値負帰還増幅器104を介して、変位電圧Vsig105および参照電圧Vref106を検出する。増幅器107は、変位電圧Vsig105および参照電圧Vref106を差動増幅して、検知電圧Vout108を得る。
【0051】
図10Bに示すブリッジ回路を用いて、検知電圧Vout108を得ることもできる。図10Bに示すブリッジ回路は、参照抵抗111と、参照抵抗112と、参照抵抗113とを含む。ブリッジ回路により、検知出力電圧Vout114を、磁気抵抗素子110の抵抗変化として得ることが出来る。参照抵抗102、参照抵抗111、参照抵抗112、及び参照抵抗113は、磁気抵抗素子101および磁気抵抗素子110と同等の抵抗を有する磁気抵抗素子であることが好ましい。
【0052】
<製造方法>
図11Aから図11Jに、本実施の形態のバイオ分子標的検出器の製造方法の一例を示す。図11Aから図11Jは、バイオ分子標的検出器の断面図を示している。
【0053】
<ステップS1>
図11Aに示すように、絶縁体層120、磁性体層121、トンネル絶縁層122、及び導電体層123を層状に堆積して、膜を形成する。以下、絶縁体層120、磁性体層121、トンネル絶縁層122、及び導電体層123を含む膜を「多層膜1200」と表記する。
【0054】
以下、具体的に説明する。絶縁体層120上に、複数の磁性体層121及びトンネル絶縁層122を形成する。トンネル絶縁層122は、磁性体層121で挟まれている。複数の磁性体層121及びトンネル絶縁層122の上に、絶縁体層120を形成する。絶縁体層120の上に、導電体層123を形成する。導電体層123の上に、絶縁体層120を形成する。なお、絶縁体層120と接する面が磁性体層121であれば、複数のトンネル絶縁層122を形成しても良い。
【0055】
絶縁体層120の材料は、絶縁体であれば良い。例えば、絶縁体層120の材料は、TEOS(Tetra ethyl ortho silicate)を原料とするSiO2膜、熱酸化Si(SiO2)、SiOC、SiN(Si34)、低誘電率を有する有機系材料などである。
【0056】
磁性体層121の好適な材料は、Fe、Co、及びNiである。また、磁性体層121の好適な材料は、Fe、Co、及びNiのいずれかを含む合金、B(ボロン)を含むアモルファス磁性合金である。また、磁性体層121は、FePtなどの垂直磁化を有する磁性層でも良い。
【0057】
トンネル絶縁層122の好適な材料は、Al23、TiO2、MgO、又はMgAl24である。これらの材料は、高MR比を有するため、好適に用いられる。
【0058】
導電体層123の材料は、抵抗率が100mΩcm以下の導電性を有していればよい。例えば、導電体層123の材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、窒化タンタル(Ta−N)、窒化チタン(Ti−N)、又は窒化アルミチタン(Ti−Al−N)などである。
【0059】
本実施の形態のバイオ分子標的検出器を形成する基体(図示していない)には、たとえばシリコン基板などを用いることができる。
【0060】
図11Aに示す多層膜1200を、半導体回路が実装された基板上に形成しても良い。トランジスタ又はコンタクトプラグなどが予め形成された基板上に、図11Aに示す多層膜1200を形成した場合には、信号計測を行う上で好ましい。
【0061】
<ステップS2>
図11Bに示すように、エッチング技術(etching technique)を用いて、図11Aに示す多層膜1200の両端を除去する。エッチング技術を用いて除去された空間を、除去空間124(removal space)と称する。エッチング技術は、乾式エッチング、または湿式エッチングを用いることができる。
【0062】
エッチング後の多層膜1200を急峻な形状にするためには、RIE(Reactive Ion Etching)が適している。急峻な形状とは、図11Bに示すように、多層膜1200の断面形状における角度(θ)が鋭角であることを意味する。
【0063】
多層膜1200の材料に含まれる磁性金属を加工するためには、アルゴンイオンミリングが適している。
【0064】
<ステップS3>
図11Cに示すように、多層膜1200を覆うように、絶縁体層125を堆積する。除去空間124及び多層膜1200の上部に、絶縁体層125を形成する。CMP(Chemical Mechanical Polishing)などを用いて、絶縁体層125の上面部を平坦化しておくのが好ましい。絶縁体層125の材料は、絶縁体層120と同様の材料を用いる。
【0065】
<ステップS4>
図11Dに示すように、エッチング技術を用いて、多層膜の上部に形成されている絶縁体層125の一部を除去する。除去した部分126が、主流路11となる。
【0066】
<ステップS5>
図11Eに示すように、除去部分126及び絶縁体層125の上に、パターンマスク材140を塗布する。パターンマスク材は、レジスト材又は感光性ポリマーである。パターンマスク材140は、副流路となる部分127を形成するための感光パターンとなる。
【0067】
<ステップS6>
図11Fに示すように、エッチング技術を用いて、多層膜1200の一部を除去する。除去された部分127が副流路に相当する。除去された部分127の形状は、図1に示す副流路12の溝状形状、又は図7に示す副流路72のビア状形状とする。図11Fに示すように、除去部分127は、多層膜1200を貫通する空間となる。
【0068】
<ステップS7>
図11Gに示すように、除去部分127の形成により、外部空間に露出されている多層膜を覆うように、保護層128を形成する。また、保護層128は、パターンマスク材140も覆うように形成される。
【0069】
保護層128の材料は、絶縁体であり、かつ、水溶液に対する耐性のある材料である。保護層128の好適な材料は、SiO2又はSiNである。
【0070】
<ステップS8>
図11Hに示すように、除去部分(副流路)127に接する保護層128に、表面処理を行う。カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、アミノ基(-NH2)などを付与する表面処理を施した副流路127の側面にリガンド129を配する。
【0071】
<ステップS9>
図11Iに示すように、パターンマスク材140及びパターンマスク材140の上に形成されている保護膜128を除去することで、本実施の形態のバイオ分子検出器を形成する。
【0072】
図11Jに示すように、導電体層123が、電極配線5および電極配線6に相当する。複数の磁性体層121及びトンネル層122が、磁気センサー8に相当する。電極配線5および電極配線6に電流を印加し、誘起磁界4を発生させる。誘起磁界4により、副流路127に磁気ビーズ2は誘導される。磁気ビーズ2と結合するバイオ分子標的1を磁気センサー8で検出する。
【0073】
図11A〜図11Jに示す製造工程では、図11E〜図11Hにおいて、感光性のパターンマスク材140を示している。本実施形態においては、主経路126及び副流路127の加工には、同様の感光性パターン材を用いたフォトリソグラフィーを施している。
【0074】
副流路127が多層膜を貫通している場合、図12Bに示すように、副流路127の下部に、下部主経路131を形成する。副流路127を流れた検体液は、次に下部経路131を流れる。
【0075】
図12Aに示すように、下部主経路131を設ける場合、多層膜の下に予め犠牲層130を配しておく。ステップS6において、副流路127を形成する際に、犠牲層130を除去することにより、下部主流路131を形成することができる。検体液は、上部の主流路126から副流路127を経由して。下部主流路131に流れる。その結果、副流路126に、非標的物質を残留させることが無く好ましい。
【0076】
犠牲層130は、MEMS加工で用いられるガラス又はSiN、若しくはレジストに代表されるような有機材料を用いる。
【0077】
図5、図9A、又は図9Bに示すように電極配線の組が複数ある場合、図11AのステップS1において、複数の導電体層123を形成する。例えば、複数の磁性体層121及びトンネル絶縁層122の下に、絶縁層120を挟んで、導電体層123を形成する。
【0078】
本実施形態のバイオ分子標的検出器を複数のアレイ状に配置するバイオ分子標的システムを形成することもできる。バイオ分子標的システムは、アレイ状に配置したバイオ分子標的検出器に、多種リガンドを配置することにより、リガンドに応じた多種のバイオ分子標的の検出できる。
【0079】
<他の製造方法>
図13Aから図13Jに、バイオ分子標的検出器の別の製造方法の一例を示す。図13A〜図13Jは、バイオ分子標的検出器の断面図を示している。以下に説明する製造方法は、図13Gの工程が上述の製造方法の図11Gの工程と異なること以外は、概ね同様である。
【0080】
<ステップS11>
図13Aに示すように、絶縁体層120、磁性体層121、及び導電体層123を堆積して、多層膜を形成する。絶縁体層120、磁性体層121、及び導電体層123を含む膜を、「多層膜1300」と標記する。
【0081】
具体的には、絶縁体層120の上に、磁性体層121を形成する。磁性体層121の上に、絶縁体層120を形成する。その絶縁体層120の上に、導電体層123を形成する。磁性体層121と導電体層123との間には、絶縁体層120がある。
【0082】
<ステップS12>
図13Bに示すように、エッチング技術(etching technique)を用いて、図13Aに示す多層膜1300の両端を除去する。エッチング技術を用いて除去された空間を、除去空間124(removal space)と称する。
【0083】
<ステップS13>
図13Cに示すように、多層膜1300を覆うように、絶縁体層125を堆積する。この際、上面部はCMP(Chemical Mechanical Polishing)などの手法を用いて、平坦化しておくのが好ましい。
【0084】
<ステップS14>
図13Dに示すように、エッチング技術を用いて、多層膜の上部に形成されている絶縁体層125の一部を除去する。除去した部分126が、主流路11となる。
【0085】
<ステップS15>
図13Eに示すように、除去部分126及び絶縁体層125の上に、パターンマスク材140を塗布する。パターンマスク材は、レジスト材又は感光性ポリマーである。パターンマスク材140は、副流路となる部分127を形成するための感光パターンとなる。
【0086】
<ステップS16>
図13Fに示すように、エッチング技術を用いて、多層膜1300の一部を除去する。除去された部分127の一部が副流路に相当する。
【0087】
<ステップS17>
図13Gに示すように、多層膜1300の除去した部分に、トンネル絶縁層132、磁性体層133、保護層128を堆積する。トンネル絶縁層132の材料は、Al23又はTiO2を好適に用いる。多層膜1300の側面への形成が簡便なためである。
【0088】
特に、Al又はTiを予め堆積した後に、酸素雰囲気にて自然酸化させる手法が好ましい。また、堆積及び酸化の多段階工程で形成することにより、極薄の高品質トンネル絶縁層を形成できる。
【0089】
磁性体層121の好適な材料は、Fe、Co、及びNiである。また、磁性体層121の好適な材料は、Fe、Co、及びNiのいずれかを含む合金、B(ボロン)を含むアモルファス磁性合金である。また、磁性体層121は、FePtなどの垂直磁化を有する磁性層でも良い。保護層128の材料は、水溶液に対する耐性を有する物質である。保護層128の好適な材料は、SiO2又はSiNである。
【0090】
<ステップS18>
図13Hに示すように、除去部分(副流路)127に接する保護層128に、表面処理を行う。カルボキシル基(-COOH)やチオール基(-SH)、アミノ基(-NH2)などを付与する表面処理を施した副流路127の側面にリガンド134を配する。
【0091】
<ステップS19>
図13Iにて示すようにパターンマスク材140及びパターンマスク材140の上に形成されている保護膜128を除去することで、本実施の形態のバイオ分子検出器を形成する。
【0092】
図13Jに示すバイオ分子標的検出器は、電極配線5および電極配線6への電流印加により磁気ビーズ2を誘導する。誘導した磁気ビーズ2の、磁気抵抗素子からなる磁気センサー8で検出を行う、図2で示したのと同じ構造を実現できる。ここで示した磁気抵抗素子は、図14にて示すように縦型にアレイ化して形成できる上、トンネル絶縁層132を一回のプロセスで形成できるため、素子特性のバラつきを抑える効果が期待できる。
【0093】
図11A〜図11J、図12A〜図12B、図13A〜図13Jに示す各工程は、公知の技術、たとえば、半導体素子の製造プロセスや、薄膜形成プロセスや、微細加工プロセスで用いられている技術を適用できる。
【0094】
各層の形成には、たとえば、原子層堆積法(ALD)、パルスレーザデポジション(PLD)、イオンビームデポジション(IBD)、クラスターイオンビーム、およびRF、DC、電子サイクロトン共鳴(ECR)、ヘリコン、誘導結合プラズマ(ICP)、対向ターゲットなどの各種スパッタリング法、分子線エピタキシャル法(MBE)、イオンプレーティング法などを適用できる。これらPVD(Physical Vapor Deposition)法の他に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MOCVD(Metalorganic Chemical Vapor Deposition)法、メッキ法、MOD(Metalorganic Decomposition)法、あるいは、ゾルゲル法などを用いてもよい。
【0095】
各層の微細加工には、たとえば、半導体素子の製造プロセスや、磁性デバイス(GMRやTMRなどの磁気抵抗素子など)の製造プロセスに用いられる方法を適用できる。たとえば、イオンミリング、RIE(Reactive Ion Etching)、FIB(Focused Ion Beam)などの物理的あるいは化学的エッチング法を用いてもよい。また、微細パターン形成のためのステッパー、EB(Electron Beam)法などを用いたリソグラフィー技術を組み合わせて用いてもよい。
【0096】
層間絶縁層や、コンタクトホールに堆積させた導電体の表面の平坦化は、たとえば、CMPやクラスターイオンビームエッチングなどで行うことができる。
【0097】
また、トンネル絶縁層の製造時における酸化処理や還元処理は、たとえば、酸素の、原子、分子、イオンまたはラジカルなどを含む適当な雰囲気中で行われる。酸化処理は、雰囲気、温度、時間、反応性を変化させてもよい。なお、プラズマやラジカルを発生させる手段としては、たとえば、ECR放電、グロ−放電、RF放電、ヘリコンあるいはICP等の公知の手段を適用できる。窒素を用いた窒化についても、同様の手法によって実施できる。
【0098】
<バイオ分子標的の検出方法>
本実施形態のバイオ分子標的検出器がバイオ分子標的1を検出する方法について述べる。図15に、バイオ分子標的1の検出工程を示す。一例として、図8に示すバイオ分子標的検出器70がバイオ分子標的1を検出する場合を説明する。
【0099】
<ステップS151>
電極配線75と電極配線76に電流を印加することで、主流路71に対して縦方向の磁界を誘起する。例えば、電極配線75と電極配線76は、図9Aに示すターンコイルにより形成されている。主流路71に流れるバイオ分子標的1と結合した磁気ビーズ2を副流路72に誘導する静磁界74を発生させる。
【0100】
静磁界は、一定電流で誘起する直流磁界を表している。ただし、静磁界は、磁気ビーズの動きよりも十分長い振動周期となる低周波磁界でも構わない。例えば、0.01Hz以上100Hz以下の低周波数を有する磁界でも構わない。
【0101】
<ステップS152>
電極配線75と電極配線76に交流電流を印加することにより、副流路72に対して交流磁界74を発生させる。これにより、バイオ分子標的1と結合した磁気ビーズ2を副流路72内で振動させて、リガンド7との結合を促進させる。例えば、ステップS151により縦方向の磁界を発生させた所定時間後に、交流磁界を発生させる。
【0102】
数十nm以下の大きさを有する微小の物質であるバイオ分子標的1は、副流路72の幅に対して、非常に小さい。よって、副流路72に配置されたリガンド7と結合せずに、副流路72を流れてしまう可能性がある。交流磁界74により、バイオ分子標的1と結合した磁気ビーズ2を副流路72内で振動させることにより、リガンド7と結合する確率を向上させることができる。
【0103】
副流路72を検体液が流れる方向が重力方向である場合、交流磁界74は好ましい。交流磁界74は、副流路の長さによって適する振動周期が異なる。例えば、1Hz以上10kHz以下の範囲の周波数が好ましい。
【0104】
<ステップS153>
磁気センサー78が、副流路72中の磁界を検出する(ステップS153)。具体的には、磁気センサー78は、リガンド7と結合した磁気ビーズ2からの漏洩磁界を検出する。
【0105】
<ステップS154>
磁気センサー8は、所定の閾値上の漏洩磁界31を検出した場合、バイオ分子標的1が有ると判別する。磁気センサー8は、所定の閾値より小さい漏洩磁界31を検出した場合、バイオ分子標的1は無いとを判別する。磁気センサー8が漏洩磁界を検出し、図示しない判別部に漏洩磁界のデータを送信し、判別部がバイオ分子標的1の有無を判別しても良い。また、磁気センサー8がバイオ分子標的1の有無を判別している。バイオ分子標的1が有ると判別した場合には、バイオ分子標的1の数又は種類等を判別してもよい。
【0106】
<ステップS155>
バイオ分子標的1が有ると判別とした場合、検出した漏洩磁界31のデータを収集して検知を完了する。例えば、バイオ分子標的検出器78が有する記録部に記録する。
【0107】
予め漏洩磁界の大きさと、バイオ分子標的1の数又は種類と対応付けた関係を保持しておいても良い。磁気センサー8又は判別部が、この関係を用いて、検出した漏洩磁界の大きさを参照して、副流路72に存在するバイオ分子標的1の数又は種類を特定しても良い。
【0108】
例えば、検体液に存在する磁気ビーズ2が同等の磁力を有する場合、検出した漏洩磁界の大きさが大きいほど、バイオ分子標的1の数が多いことになる。よって、漏洩磁界の大きさと、バイオ分子標的1の数とが比例している関係を有していれば良い。
【0109】
また、磁気ビーズ2の磁力の大きさ毎に、結合しているリガンド9の種類を変更しても良い。例えば、バイオ分子標的1の種類に応じて、結合するリガンド9が異なる場合には、その磁力の大きさ(整数倍の値を含む)とバイオ分子標的1の種類とを対応付けた関係を有していれば良い。
【0110】
図18に、バイオ分子標的1の検出工程の変形例を示す。図18に示す検出工程は、図15に示すステップS152とステップS153との間に、静磁界印可による余分な磁気ビーズ2の除去工程(ステップS181)を有する。図18に示すそのほかの検出工程は、図15に示す検出工程と同様である。
さらに、ステップS152とステップ181とを所定の回数繰り返すことが、より好ましい。
【0111】
ここで、余分な磁気ビーズ2とは、バイオ分子標的1が結合していない磁気ビーズ2を意味する。余分な磁気ビーズ2を排除することにより、より正確にバイオ分子標的1に対応する出力信号を得やすくなる。
【0112】
図16に、ステップS151からステップS153における磁気センサー8が検知した出力電圧の一例を示す。
【0113】
ステップS151及びステップS152で発生する磁界による信号が、出力電圧にも表れている。またステップS152の途中で出力電圧に変調が現れているが、結合した磁気ビーズの漏洩磁界による出力が重畳して検出されている。ステップS153では磁界を印加無しの下で、出力電圧の有無を判定して、検出を行う。
【0114】
図17に、磁気センサー8が検知した出力電圧の異なる例を示す。ステップS151は図16に示す例と場合と同じである。図17に示すステップS152での入力変調に一定の周波数を用いることにより、出力電圧からその周波数成分を除去できる。よって、ステップS152の途中でも、バイオ分子標的1の検出できるため好ましい。
【0115】
本実施形態のバイオ分子検出器によれば、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)を含む増幅工程などを必要としないため望ましい。従来のバイオ分子標的検出の手法が提案され、一部利用されている。しかしながら、水晶振動子を用いる手法や電界効果を用いる手法、蛍光マーカーを用いた光学検知手法では、多くの分子を必要とするため、検出感度が低く、通常PCRを用いての増幅工程が含まれる。また、蛍光マーカーを用いる場合、未結合のマーカーやバイオ分子標的を洗浄除去する工程をも含まれるため、望ましくない。
【0116】
本実施形態のバイオ分子検出器によれば、磁気ビーズ2に結合したバイオ分子標的1を、その漏洩磁界により検知できる。よって、磁気ビーズ自体を磁場で駆動出来るため、未結合のマーカーを磁界で取り除くことができる。磁気ビーズと未結合のバイオ分子標的は検出されないという特徴から、原理的に余分な洗浄工程を行わずに、バイオ分子標的1を検知できる。バイオ分子標的1は非磁性あるいは小透磁率の分子であるため、他の手法に比べてノイズ成分が小さいという利点がある。つまり、磁気ビーズの漏洩磁界を高感度に検出することができれば、高いS/Nでの検知が期待できる。
【0117】
以下、具体的な実施例によって本発明をより詳細に説明する。
【0118】
(実施例1)
実施例1では、図11A〜図11Jに示すバイオ分子標的検出器の製造方法を用いて図7のバイオ分子標的検出器70を作製した。作製したバイオ分子標的検出器70(サンプル1−1)の検出特性を評価した。
【0119】
図11Aに示す多層膜を準備した。多層膜に対して、表面に熱酸化膜(SiO2膜)500nmが形成されたSi基板の上に、磁性層121としてCo40Fe40B20を、非磁性層122としてMgO(2nm)を堆積した。但し磁性層(下部)/非磁性層/磁性層(上部)の構造は詳細には、下から順にTa(5)/Cu(200)/Ta(5)/Pt47Mn53(30)/Co50Fe50(3)/Ru(0.7)/CoFeB(3)を下部磁性層として、下から順にCoFeB(5)/Ta(5)/Cu(200)/Ta(5)/Pt(20)を上部磁性層として形成した。括弧内数字は膜厚(nm)を示している。
【0120】
上部下部Cuを磁気抵抗素子の出力電圧を得るための配線電極に対応する。下部PtMn/CoFe/Ru/CoFeBを固定磁性層に対応する。上部CoFeBを自由磁性層に対応する上部Ptはパシベーションイ対応する。
【0121】
各層の成膜はマグネトロンスパッタ手法で行った。成膜は室温にて磁気抵抗素子を形成する標準的な条件で行った。具体的な条件としてCoFeBは圧力0.8mTorr、RF出力50Wで形成した。またMgOは室温下で圧力4mTorr、RF出力50Wで形成した。その後に絶縁体層120としてTEOS膜800nm、導電体層123となる窒化チタン(TiN)膜200nm、またその上に絶縁体層120としてTEOS膜800nmを堆積した。TiN層は、Tiターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング法によって堆積させた。
【0122】
スパッタリングは、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガス(窒素ガス:アルゴンガスの体積比が約4:1)の雰囲気下(圧力:0.1Pa)において、基板温度を0〜350℃の範囲(主に280℃)とし、印加電力をDC4kWとして作製を行った。この後に磁化方向の直交化を施すため、磁界5KOe中で280℃の真空熱処理を行った。
【0123】
次に図11Bとして標準的なリソグラフィーおよびエッチング手法を用いて加工した。ここでのリソグラフィーはコンタクト露光および電子ビーム露光を、エッチングにはいずれもアルゴンイオンミリング手法を用いて行った。加工によって形成した配線幅は100μmとした。その後図11Cにて示すようなTEOS膜1μmを堆積した。続いて図11Dに準じた主流路126となる凹部を形成した。凹部の幅は50μm、高さは1〜1.2μmとした。次にポジレジスト140を用いて図11Fに準じた副流路127となるビアを形成した。ビア径は約10μmφにて約100μm間隔で一列に5個形成した。次に図11Gにて示すようにSiO2100nmを成膜して保護膜とした。成膜はRFスパッタにて行ったため、副流路側壁部の膜厚は形成膜厚の1/2以下となっており、典型的には30nm程度であった。
【0124】
次に副流路表面に処理を行い、カルボキシル基(−COOH)の修飾を行った。修飾処理には末端基がメチルエステルであるカルボメトキシエチルトリクロロシラン(CMETS)を用いて、0.5mmol/lのトルエン溶液とし、副流路全体が浸かるようにして1時間保持した後、アセトン、メタノール、純水の順にそれぞれ5分間の超音波洗浄をして、表面へのCMETS付与を行った。その後、CMETSの末端基であるメチルエステルを加水分解処理することで、表面の−COOH化を行った。加水分解処理にはHCl溶液に副流路全体が浸かるようにして2時間保持して行った。表面を−COOH化した後に、N−ヒドロキシサクシイミド基で活性化を行い、その後にストレプトアビジンを付けて固定化する。本実施例ではバイオ分子標的1として図21に示す(1)のALDH2遺伝子の一部を用いた、野生型の(2)の配列を有するDNAを用いるため、3’末端側にビオチン修飾した(3)の配列を有する相補型(complimentary ;c-)DNAを用いて、ストレプトアビジン−ビオチンの結合体を設けてリガンド7(および129)を構成した。各試薬の主流路・副流路への導入には、溶液を脱気してとけ込んでいる空気を少なくすることで導入し易くし、また流路全体を僅かに減圧状態にして導入を促進した。また磁気ビーズとしては、ストレプトアビジンが表面に付着した鉄酸化物(Fe34)からなる球体磁気ビーズ(直径2μm:micromod社製Micromer−M)を基に、5’末端側にビオチン修飾した(4)の配列を有する相補型(complimentary ;c-)DNAを用いて、ストレプトアビジン−ビオチンの結合体を設けてリガンド9を付与した磁気ビーズ2を構成した。トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)とエチレンジアミン四酢酸(EDTA)とでなるTE緩衝液に分散した1nMバイオ分子標的1を磁気ビーズ2と共に主流路に導入して、作成したバイオ分子標的検出器の評価を実施した。評価は25℃、空気中にてバイオ分子標的検出器を設置して行った。
【0125】
なお図21で示した配列は以下の通りである。
(1)ALDH2遺伝子の一部
ttgggcgagt acgggctgca ggcatacact g aagtgaaaac tgtgagtgtg ggacctgctg ggggctcagg
gcctgttggg gcttgagggt ctgctggtgg ctcggagcct gctgggggat tggggtctgt tgggggctcg gggcctgcca
gaggttcagg acctgccggg gactcagggc gactcagggc ctgctggaag ttcaggacct gctggggatc agggcctgcc
(2)バイオ分子標的となる遺伝子配列
5'-ttgggcgagt acgggctgca ggcatacact g aagtgaaaac tgtgagtgtg ggacctgctg ggggctcagg-3'
(3)相補型DNAの遺伝子配列
3'-aacccgctca tgcccgacgt ccgtatgt-5'
(4)相補型DNAの遺伝子配列
3'-ctcacac cctggacgac ccccgagtcc-5'
図18の検出工程に従って、電極配線に定電流10mA印加して静磁界を発生させて磁気ビーズ2の副流路127への誘導を促した後に、周波数1Hzにて10mAを印加して交流磁界を発生させた。図17に準じた検出方法により磁気抵抗変化による電圧を計測した。図20は磁気ビーズ駆動用の磁界影響を除去した後の検出波形の一例を示す。図中のτ、Vsはそれぞれ交流磁界印可時間、検出した出力電圧を示している。τ時間後の出力電圧の低下は直流磁界を印加して、未結合の余分な磁気ビーズを排除した際の信号であり、検出出力としては、排除後の電圧Vsを検出出力電圧とした。交流磁界印可時間を変化させた際の検出出力電圧の変化は表1に示す通りで、交流磁界の印加によって検出確率が向上することが示された。さらに本実施例のバイオ分子標的検出器における用いた磁気ビーズのカタログ磁化量(3emu/g)から算出した磁気ビーズ当たり検出感度はおよそ10μV/個であることから、バイオ分子標的の数個レベルでの検出が、1nMと低濃度においても可能であることが示された。
【0126】
【表1】

【0127】
本実施例ではALDH2遺伝子の一部からなるDNAのバイオ分子標的を用いたが、基本的にはどのようなDNAを用いても同程度の高感度検出が可能である。
【0128】
(実施例2)
実施例2では、実施例1で用いた標的DNAおよび相補鎖DNAのかわりに、標的抗原および抗体を用いて形成したサンプル2−1を作製し、その抗原-抗体反応によって結合する磁気ビーズの漏洩磁界の検出特性について評価した。
【0129】
用いたバイオ分子標的検出器は実施例1と全く同様で図7に準じる構成を図11A〜図11Jに示す製造方法で形成した。
【0130】
副流路表面に処理を行い、カルボキシル基(−COOH)の修飾を行った。方法は実施例1と同様で処理した。表面を−COOH化した後に、N−ヒドロキシサクシイミド基で活性化を行った。本実施例ではバイオ分子標的1としてBSA(ウシ血清アルブミン)抗原を用いるため、活性化表面に抗BSA抗体(ポリクローナル抗体)を付けて固定化し、リガンド7(および129)とした。各試薬の主流路・副流路への導入には、溶液を脱気してとけ込んでいる空気を少なくすることで導入し易くし、また流路全体を僅かに減圧状態にして導入を促進した。また磁気ビーズとしては、予めBSA抗体が表面に付着した鉄酸化物(Fe34)からなる球体磁気ビーズ(直径250nm:micromod社製nanomag−D)を用いて、リガンド9を付与した磁気ビーズ2を構成した。リン酸緩衝液に分散した1nMバイオ分子標的1を磁気ビーズ2と共に主流路に導入して、作成したバイオ分子標的検出器の評価を実施した。評価は25℃、空気中にてバイオ分子標的検出器を設置して行った。
【0131】
図18の検出工程に従って、電極配線に定電流10mA印加して静磁界を発生させて磁気ビーズ2の副流路127への誘導を促した後に、周波数10Hzにて10mAを印加して交流磁界を発生させた。図17に準じた検出方法により磁気抵抗変化による電圧を計測した。交流磁界印可時間の増加に伴い、検出出力電圧が増加することから、交流磁界の印加によって検出確率が向上することが示された。
【0132】
本実施例ではBSA抗原からなるバイオ分子標的を用いたが、基本的にはどのような抗原を用いても同様の手法で高感度検出が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、バイオ分子標的検出器およびそれを含む電子機器等に適用できる。また、本発明のバイオ分子標的の検出方法では、検出確率の向上および検出時間の短縮ができるため、本発明は、例えば、ウィルスや食品検査などのその場診断技術等として適用可能なものである。
【符号の説明】
【0134】
1、135 バイオ分子標的
2 磁気ビーズ
3 非標的分子
4、46、55 誘起磁界
5、6、45、51、52、53、54、75、76 電極配線
7、9、47、129、134、136、137 リガンド
8、78 磁気センサー
10、50、70 バイオ分子標的検出器
11、71 主流路
12、72 副流路
13 絶縁体
15、73 副流路側面
30 ダブルハイブリダイズ状態
31 漏洩磁界
41 バイオ分子標的
43 非標的
61、63、65 磁性層
62 金属非磁性層
66 絶縁非磁性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ分子標的と結合した磁気ビーズの漏洩磁界の検出することによって、前記バイオ分子標的を検知するバイオ分子標的検出器であって、
前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる主流路と、
前記主流路と接続し、かつ前記主流路と異なる方向に、前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる副流路と、
電源と前記電源と接続された電極配線とを有し、前記電極配線に電流を印加することで、前記主流路に対して前記副流路の検体液が流れる方向の誘導磁界を発生させ、かつ、前記副流路に対して交流磁界を発生させる回路と、
前記副流路に設けた前記バイオ分子標的と結合可能なリガンドと、
前記副流路の磁界を検出する磁気センサーと、
を備えたバイオ分子標的検出器。
【請求項2】
前記副流路は、複数のビア状構造である、
請求項1記載のバイオ分子標的検出器。
【請求項3】
前記リガンドが、DNAあるいはRNAまたは抗体分子である、
請求項1記載のバイオ分子標的検出器。
【請求項4】
前記磁気センサーが、少なくとも2つ以上の磁気抵抗素子である、
請求項1記載のバイオ分子標的検出器。
【請求項5】
前記磁気センサーが、少なくとも2つ以上の磁気抵抗素子であり、かつ、前記磁気抵抗素子の少なくとも一つを参照素子とした差動回路を含んで構成されている、
請求項4記載のバイオ分子標的検出器。
【請求項6】
前記磁気センサーが、少なくとも2つ以上の前記磁気抵抗素子を用いたブリッジ回路を含んで構成されており、かつ、前記磁気抵抗素子の少なくとも一つは参照素子とすることを特徴とする請求項4記載のバイオ分子標的検出器。
【請求項7】
請求項1記載のバイオ分子標的検出器がマトリクス状に複数配置されている、
するバイオ分子標的検出システム。
【請求項8】
バイオ分子標的検出器を用いて、バイオ分子標的と結合した磁気ビーズの漏洩磁界の検出することによって、前記バイオ分子標的を検知するバイオ分子標的検出方法であって、
前記バイオ分子標的検出器は、
前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる主流路と、
前記主流路と接続し、かつ前記主流路と異なる方向に、前記バイオ分子標的および前記磁気ビーズを含む検体液が流れる副流路と、
電源と前記電源と接続された電極配線とを有し、前記電極配線に電流を印加することで、前記主流路に対して前記副流路の検体液が流れる方向の誘導磁界を発生させ、かつ、前記副流路に対して交流磁界を発生させる回路と、
前記副流路に設けた前記バイオ分子標的と結合可能なリガンドと、
前記副流路の磁界を検出する磁気センサーとを備え、
前記回路により、主流路に誘導磁界を発生させるステップと、
前記回路により、副流路に交流磁界を発生させるステップと、
前記磁気センサーにより、副流路の磁界を検出し、検出した磁界が所定の閾値以上の場合には、前記バイオ分子標的があると判別し、検出した磁界が所定の閾値より小さい場合には、前記バイオ分子標的がないと判別するステップとを有する、
バイオ分子標的検出方法。
【請求項9】
前記交流磁界を発生させるステップの後に、前記バイオ分子標的と結合していない磁気ビーズを排除するステップを有する、
請求項8記載のバイオ分子標的検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図13I】
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【図13J】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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