説明

バイオ燃料電池

【課題】燃料溶液中の燃料濃度を高めることで高い出力を継続的に得ることが可能なバイオ燃料電池の提供。
【解決手段】酸化還元酵素を触媒とした燃料の酸化還元反応の反応場となる負極3と、内部に保持する燃料を負極3に対して接触可能に供給する燃料保持部32と、負極3に接触した後の燃料を回収して貯留する廃液貯留部33と、燃料保持部32および/または廃液貯留部33の内部を加温する加熱部5と、を有するバイオ燃料電池Aを提供する。バイオ燃料電池Aでは、加熱部5によって燃料保持部32の内部を加温し、燃料溶液溶媒の蒸発を促進することにより、燃料溶液を濃縮し、燃料濃度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、バイオ燃料電池に関する。より詳しくは、燃料溶液の溶媒を加熱し、蒸発させる機構を備えたバイオ燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アノード又はカソードの少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素を固定したバイオ燃料電池が開発されてきている。バイオ燃料電池では、グルコースやエタノールなどの通常の工業触媒では反応が困難な燃料から効率良く電子を取り出して高い容量を得ることができる。このため、バイオ燃料電池では、燃料溶液としてグルコースやエタノール等を含む飲料などの液体を用いることも可能となる。例えば、特許文献1には、飲料を燃料とする燃料電池部を備えた電力供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−048858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グルコースやエタノールなどを燃料とする従来のバイオ燃料電池では、発電し続けると燃料溶液中の燃料濃度が低くなり、次第に出力が低下する場合がある。この場合には、新たに燃料溶液を電池に追加供給する必要があった。また、燃料溶液としてグルコースやエタノール等を含む飲料などの液体を用いる場合には、燃料溶液中の燃料濃度が低く、十分な出力を得られないという問題があった。
【0005】
そこで、本技術は、燃料溶液中の燃料濃度を高めることで高い出力を継続的に得ることが可能なバイオ燃料電池を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題解決のため、本技術は、酸化還元酵素を触媒とした燃料の酸化還元反応の反応場となる電極と、内部に保持する燃料を電極に対して接触可能に供給する燃料保持部と、電極に接触した後の燃料を回収して貯留する廃液貯留部と、燃料保持部および/または廃液貯留部の内部を加温する加熱部と、を有するバイオ燃料電池を提供する。
このバイオ燃料電池は、より具体的には、酸化還元酵素を触媒とした酸素の還元反応の反応場となる正極と、酸化還元酵素を触媒とした燃料の酸化反応の反応場となる負極と、内部に保持する燃料溶液を負極に対して接触可能に供給する燃料保持部と、負極に接触した後の燃料溶液を回収して貯留する廃液貯留部と、燃料保持部および/または廃液貯留部の内部を加温する加熱部と、を有し、電池筐体に、正極への空気の導入口、燃料保持部への燃料溶液の供給口および廃液貯留部からの燃料溶液の排出口が設けられたものとされる。
このバイオ燃料電池では、前記加熱部によって前記燃料保持部の内部を加温し、燃料溶液溶媒の蒸発を促進することにより、燃料溶液を濃縮し、燃料濃度を高めることができる。また、前記廃液貯留部に回収された燃料溶液についても、前記加熱部によって前記廃液貯留部の内部を加温することで、溶媒の蒸発を促進し、濃縮することができる。
このバイオ燃料電池は、前記導入口、前記供給口および前記排出口のいずれか一以上を選択的に外部に開放し、あるいは遮断する開閉部を有するものとできる。また、このバイオ燃料電池は、熱を発生させて前記加熱部に伝導する熱源を内部または外部に有するものとできる。
【発明の効果】
【0007】
本技術により、燃料溶液中の燃料濃度を高めることで高い出力を継続的に得ることが可能なバイオ燃料電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本技術の第一実施形態に係るバイオ燃料電池の構成を説明するための模式図である。
【図2】本技術の第二実施形態に係るバイオ燃料電池の構成を説明するための模式図である。
【図3】開閉部の構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序で行う。

1.第一実施形態に係るバイオ燃料電池
(1)電池構造
(2)電極材料
(3)熱伝導材料
(4)燃料
(5)酵素
(6)集電体・プロトン伝導体・セパレータ
2.第二実施形態に係るバイオ燃料電池
(1)電池構造
3.開閉部

【0010】
1.第一実施形態に係るバイオ燃料電池
(1)電池構造
本技術の第一実施形態に係るバイオ燃料電池の構成を図1に示す。
【0011】
図中、符号Aで示すバイオ燃料電池は、電池筐体1内に配設された、一対の電極(正極2、負極3)、燃料保持部32、廃液貯留部33、燃料保持部32及び廃液貯留部33の内部を加熱する加熱部5を含んでなる。電池筐体1には燃料保持部32内へ燃料溶液を供給するための供給口31が設けられ、燃料保持部32内に供給された燃料溶液は、負極3に接触した後、廃液貯留部33内へ回収される。燃料保持部32と廃液貯留部33の間には可動弁35が設けられており、可動弁35を開放することにより燃料保持部32内の燃料溶液が廃液貯留部33内へ回収される。可動弁35は、スイッチによって開閉作動するようにされ、このスイッチは後述する開閉スイッチ7と連動するものとすることができる。図中、符号34は、廃液貯留部33内に回収された燃料溶液を電池外部に排出するために電池筐体1に設けられた排出口を示す。
【0012】
負極3では、燃料溶液中の燃料の酸化反応により電子の取り出しが行われる。また、正極2では、電池筐体1に設けられた空気の導入口21から供給される酸素の還元反応が行われる。負極3及び正極2はそれぞれ負極集電体311及び正極集電体211に電気的に接続され、各集電体には負極3で取り出された電子を正極2に送り込む外部回路が負極端子312及び正極端子212を介して接続され得る。図中、符号4は、ショート防止のため、負極3と正極2との間に配置されるセパレータを示す。セパレータ4により隔壁された電池筐体1内部の負極3側には、プロトン伝導体(電解液)が充填される。負極3と正極2はセパレータ4を挟んで密接されていてもよい。
【0013】
燃料溶液は電解液との混合液として燃料保持部32に供給された後、廃液貯留部33内へ回収されるようにしてもよい。この場合、正極2側に気液分離膜を設け、負極3、セパレータ4及び正極2の全てが混合液で満たされるように構成することもできる。
【0014】
加熱部5は、電池外部の熱源6に接続され、熱源6から供給される温熱により燃料保持部32及び廃液貯留部33の内部を加熱する。熱源6は、バイオ燃料電池Aを電源とする電子デバイス内部あるいは外部の抵抗体であってよい。加熱部5によって燃料保持部32の内部を加温することで、燃料溶液の溶媒の蒸発を促進し、燃料溶液を濃縮して燃料濃度を高めることができる。蒸発する燃料溶液の溶媒は、供給口31あるいは排出口34から外部に排出すればよい。
【0015】
従って、バイオ燃料電池Aでは、発電に伴って燃料溶液中の燃料が減少した場合にも、燃料溶液を濃縮して燃料濃度を高めることで、負極3における燃料の酸化反応を効率的に進行させ、高い出力を維持することが可能である。また、燃料溶液として飲料を用いる場合にも、飲料を濃縮して燃料となる物質の濃度を高め、十分な出力を得ることが可能となる。
【0016】
なお、加熱部5によって燃料保持部32の内部を加温する際に、燃料溶液の溶媒の蒸発を促進しない程度の温度で加熱を行うことで、燃料保持部32内の燃料溶液の粘度を低下させたり、燃料溶液の温度を負極3での酵素反応に適した温度としたりすることもできる。燃料溶液の粘度を低下させることで、負極3での物質交換を促進し、燃料の酸化反応効率を高められる。また、燃料溶液の温度を負極3での酵素反応に適した温度とすることで、酵素の至適温度において酸化反応を高効率で進行させることが可能となる。
【0017】
加熱部5と熱源6との間には、熱源6から加熱部5へ供給される熱量を制御して、燃料保持部32の内部を予め設定された温度あるいは使用者によって随時設定される温度に調節するための温度調節部が設けられることが好ましい。
【0018】
加熱部5は、廃液貯留部33に回収された燃料溶液についても、廃液貯留部33の内部を加温して燃料溶液の溶媒を排出口34から外部に蒸発させることによって濃縮する。加熱部5によって廃液貯留部33の内の燃料溶液を加温、蒸発させる場合、可動弁35を開いて燃料保持部32内の燃料溶液を廃液貯留部33内へ移動させる。濃縮によって、廃液貯留部33に回収された燃料溶液の体積及び重量を減少させることができ、繰り返し燃料溶液を電池に供給した場合に、廃液貯留部33内に回収された燃料溶液を電池外部に排出する作業の頻度を減らすことが可能となる。さらに、廃液貯留部33内において回収された燃料溶液の溶媒を完全に蒸発させて燃料溶液を乾固させることで、燃料溶液を固形状態として廃棄することもできる。
【0019】
可動弁35の開放と、加熱部5による廃液貯留部33内の加温開始とは、連動するように構成し、燃料溶液が廃液貯留部33へ廃液されると同時に濃縮が開始されるようにすることが好ましい。可動弁35と加熱部5との連動は、加熱部5と熱源6との間に設けた温度調節部を可動弁35のスイッチに連動させて、可動弁35が開放されると熱源6から加熱部5への熱供給が開始されるように制御することで達成できる。
【0020】
なお、本実施形態において、加熱部5は、燃料保持部32及び廃液貯留部33の両方の内部を加熱し得る構成として説明したが、他の実施形態として、加熱部5は、燃料保持部32及び廃液貯留部33のどちらか一方のみの内部を加熱する構成であってもよい。
【0021】
(2)電極材料
正極2及び負極3の材料は、多孔質カーボン、カーボンペレット、カーボンペーパー、カーボンフェルト、炭素繊維又は炭素微粒子の積層体などのカーボン系材料とされる。このうち、特に多孔質のカーボン系材料が好ましい。
【0022】
(3)熱伝導材料
加熱部5の材料には、熱伝導性を有する材料、好ましくは熱伝導性に加えて絶縁性も有する材料によって形成される。絶縁性熱伝導性材料としては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びアルミナなどの焼結セラミックをフィラーとして含む高分子化合物が用いられる。高分子化合物には、ポリフェニレンスルフィド、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂及びシリコーンなどが挙げられる。また、加熱部5の材料には、窒化珪素及び炭化珪素などの各種セラミック類を用いることもできる。なお、加熱部5と熱源6との接続も同様の材料によって行えばよい。
【0023】
(4)燃料
燃料溶液は、バイオ燃料電池の燃料として使用可能な物質であって、負極上の酸化酵素の基質となり得る物質を一以上含む液体であることが好ましい。燃料として使用可能な物質は、例えば、糖、アルコール、アルデヒド、脂質及びタンパク質などが挙げられる。具体的には、グルコース、フルクトース、ソルボース等の糖類、エタノール、グリセリン等のアルコール類、酢酸、ピルビン酸等の有機酸などが挙げられる。この他にも、脂肪類やタンパク質、これらの糖代謝の中間生成物である有機酸などが挙げられる。なお、燃料溶液には、市販の飲料を用いることができる。
【0024】
(5)酵素
負極上あるいは負極内には、燃料の酸化還元反応を触媒し、電子を取り出すための酵素が存在する。このような酵素として、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドレダクターゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシパルベートレダクターゼなどが挙げられる。負極には、酸化型補酵素、補酵素酸化酵素及び電子伝達メディエーターを固定してもよい。
【0025】
正極上あるいは正極内には、外部から供給される酸素の還元反応を触媒する酵素が存在する。このような酵素として、酸素を反応基質とするオキシダーゼ活性を有する酵素であって、例えばラッカーゼやビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどが挙げられる。正極には、電子伝達メディエーターを固定してもよい。
【0026】
電極に酵素が存在する態様は、酵素が固定化膜によって電極表面に固定化されている態様に限定されず、例えば、酸化還元反応を触媒し反応触媒として作用する微生物を電極表面に付着させる態様でもよい。酵素、補酵素及び電子伝達メディエーターの固定化膜による固定化は、従来公知の手法により行うことができる。固定化は、特にポリペプチドなどの生体由来ポリマーを用いて固定化膜を形成することにより行うことが好ましい。なお、ここで「電極の表面」とは、電極の外表面と、電極が多孔質材料により形成される場合には電極内部の空隙の表面と、の両者を含むものとする。
【0027】
(6)集電体・プロトン伝導体・セパレータ
集電体は、電池性能の観点から好ましくは金属部材とされる。プロトン伝導体には、電子伝導性がなく、Hの輸送が可能な電解質が用いられる。プロトン伝導体には、例えば、緩衝物質を含む電解液が用いられる。電解液には、特にpH7付近の中性緩衝液が好適に用いられる。セパレータは、電解液あるいはその組成成分を透過可能な材料により形成され、例えばセルロース系不織布やセロファンなどによって形成される。
【0028】
なお、本実施形態の構成は、負極及び正極の両方に燃料溶液が接触する「浸水系」の場合、及び負極のみが燃料溶液に接触する「大気曝露系」の場合の両方に適用可能である。また、本実施形態の構成は、電池本体に電池部が1つ設けられた「単セル」構造のものだけでなく、複数の電池部が直列又は並列に接続されている構造のものにも適用することが可能である。
【0029】
2.第二実施形態に係るバイオ燃料電池
(1)電池構造
本技術の第二実施形態に係るバイオ燃料電池の構成を図2に示す。
【0030】
図中、符号Bで示すバイオ燃料電池は、電池筐体1内に配設された、一対の電極(正極2、負極3)、燃料保持部32、廃液貯留部33、燃料保持部32及び廃液貯留部33の内部を加熱する加熱部5を含んでなる。バイオ燃料電池Bは、加熱部5に温熱を供給する熱源を電池内部に有している点で上記のバイオ燃料電池Aと異なっている。
【0031】
バイオ燃料電池Bにおいて、加熱部5は、内部回路51によって正極2及び負極3に電気的に接続された抵抗体(不図示)を備え、抵抗体から発生する温熱により燃料保持部32及び廃液貯留部33の内部を加熱する。加熱部5によって燃料保持部32の内部を加温することで、燃料溶液の溶媒の蒸発を促進し、燃料溶液を濃縮して燃料濃度を高めることができ、燃料溶液の粘度を低下させたり、燃料溶液の温度を負極3での酵素反応に適した温度としたりすることもできる。さらに、加熱部5によって廃液貯留部33の内部を加温することで、燃料溶液の溶媒の蒸発を促進し、燃料溶液を濃縮して、廃液貯留部33に回収された燃料溶液の体積及び重量を減少させることができる。
【0032】
なお、本実施形態において、加熱部5は、燃料保持部32及び廃液貯留部33のどちらか一方のみの内部を加熱する構成であってもよい点は、上記の第一実施形態と同様である。
【0033】
3.開閉部
本技術に係るバイオ燃料電池が備える開閉部の構成を図3に示す。(A)は、電池の保存時、(B)は燃料溶液の供給時、(C)は発電時の開閉部の状態を示す。
【0034】
図中、符号7で示す開閉部(以下「開閉スイッチ」と称する)7は、二つの開孔71,72が穿設された円板として構成され、円板の中心を軸として回転が可能な状態で電池筐体1に取り付けられている。開孔71,72は、開閉スイッチ7を回転させることにより、電池筐体1に設けられた導入口21、供給口31及び排出口34のいずれかと位置を一致させられるようにされている。
【0035】
図3(A)に示す電池の不使用時には、開孔71,72は導入口21、供給口31及び排出口34のいずれとも一致する位置になく、導入口21、供給口31及び排出口34は全て開閉スイッチ7によって閉じられている。
【0036】
電池に燃料溶液を供給する際には、図3(B)に示すように、開閉スイッチ7を回転させて、開孔71と供給口31の位置を一致させる。これにより、供給口31は開孔71と連通し、燃料保持部32(図1参照)内へ燃料溶液を供給することが可能となる。なお、このとき、導入口21及び排出口34は閉じられている。
【0037】
発電を開始する場合には、図3(C)に示すように、開閉スイッチ7をさらに回転させて、開孔71を排出口34の位置に一致させ、開孔72を導入口21の位置に一致させる。これにより、導入口21は開孔72と連通し、外部から正極2に空気が供給され、酸素の還元反応が開始される。また、加熱部5によって燃料保持部32および/または廃液貯留部33の内部が加温されることで蒸発してくる燃料溶液の溶媒が、開孔71と連通した排出口34から外部に排出されるようになる。なお、このとき、排出口34から燃料溶液が漏れ出すのを防止するため、排出口34には気液分離膜を設け、水蒸気のみが外部に排出されるようにすることが好ましい。
【0038】
本技術に係るバイオ燃料電池は以下のような構成をとることもできる。
(1)酸化還元酵素を触媒とした燃料の酸化還元反応の反応場となる電極と、内部に保持する燃料溶液を電極に対して接触可能に供給する燃料保持部と、電極に接触した後の燃料溶液を回収して貯留する廃液貯留部と、燃料保持部および/または廃液貯留部の内部を加温する加熱部と、を有するバイオ燃料電池。
(2)酸化還元酵素を触媒とした酸素の還元反応の反応場となる正極と、酸化還元酵素を触媒とした燃料の酸化反応の反応場となる負極と、内部に保持する燃料溶液を負極に対して接触可能に供給する燃料保持部と、負極に接触した後の燃料溶液を回収して貯留する廃液貯留部と、燃料保持部および/または廃液貯留部の内部を加温する加熱部と、を有し、電池筐体に、正極への空気の導入口、燃料保持部への燃料溶液の供給口および廃液貯留部からの燃料溶液の排出口が設けられている上記(1)のバイオ燃料電池。
(3)前記導入口、前記供給口および前記排出口のいずれか一以上を選択的に外部に開放し、あるいは遮断する開閉部を有する上記(1)又は(2)のバイオ燃料電池。
(4)熱を発生させて前記加熱部に伝導する熱源を内部または外部に有する上記(1)〜(3)のいずれかのバイオ燃料電池。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本技術に係るバイオ燃料電池は、燃料溶液中の燃料濃度を高めることで高い出力を継続的に得ることが可能である。そのため、本発明に係るバイオ燃料電池は、飲料などの低い燃料濃度の燃料溶液を使用可能なバイオ燃料電池として好適に実施され得る。
【符号の説明】
【0040】
A,B:バイオ燃料電池、1:電池筐体、2:正極、21:導入口、211:正極集電体、212:正極端子、3:負極、31:供給口、311:負極集電体、312:負極端子、32:燃料保持部、33:廃液貯留部、34:排出口、35:可動弁、4:セパレータ、5:加熱部、51:内部回路、6:熱源、7:開閉スイッチ(開閉部)、71,72:開孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元酵素を触媒とした燃料の酸化還元反応の反応場となる電極と、
内部に保持する燃料溶液を電極に対して接触可能に供給する燃料保持部と、
電極に接触した後の燃料溶液を回収して貯留する廃液貯留部と、
燃料保持部および/または廃液貯留部の内部を加温する加熱部と、を有するバイオ燃料電池。
【請求項2】
酸化還元酵素を触媒とした酸素の還元反応の反応場となる正極と、酸化還元酵素を触媒とした燃料の酸化反応の反応場となる負極と、
内部に保持する燃料溶液を負極に対して接触可能に供給する燃料保持部と、
負極に接触した後の燃料溶液を回収して貯留する廃液貯留部と、
燃料保持部および/または廃液貯留部の内部を加温する加熱部と、を有し、
電池筐体に、正極への空気の導入口、燃料保持部への燃料溶液の供給口および廃液貯留部からの燃料溶液の排出口が設けられている請求項1記載のバイオ燃料電池。
【請求項3】
前記導入口、前記供給口および前記排出口のいずれか一以上を選択的に外部に開放し、あるいは遮断する開閉部を有する請求項2記載のバイオ燃料電池。
【請求項4】
熱を発生させて前記加熱部に伝導する熱源を内部または外部に有する請求項1記載のバイオ燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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