説明

バインダーとして多糖を含むインクジェット印刷媒体用印刷受容トップコート

多糖バインダーおよびシリカからなる増量材を含む多数の構成成分のインクジェット媒体インク受容トップコート組成物で、コーティング組成物から得られるトップコートは、顔料または染料組成物ジェット印刷インクにより印刷可能である。また、本発明は、ベース支持層および媒体コーティング組成物またはインク受容トップコートを含むインクジェット媒体に関し、このインク受容トップコートは、多糖およびシリカ増量材を含み、液体インクジェットインクにより印刷可能である。本発明は、バインダーとしてポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを含むコーティングを使用する同様な媒体と比較した場合、改善された印刷品質、著しく改善された印刷発色(彩度)、およびより安価なコーティングをもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷媒体用インク受容トップコートに関する。より詳しくは、本発明は、バインダーとして多糖を利用するインクジェット印刷媒体用インク受容トップコートに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは比較的安価で使用が便利であることにより、このようなプリンターが、処理された画像を記録するための一般に好ましい装置となった。インクジェット印刷技術は、通常2種の範疇に分けられる:連続フローおよびドロップオンデマンド印刷(熱的および圧電系を含む)。典型的なインクジェット印刷または記録系において、インク液滴は、制御された方法で高速においてノズルから噴出され、記録媒体と接触して、媒体表面に印刷画像を生じる。このインク液滴、または記録液体は、一般に染料または顔料などの記録剤、および大量の担体液体成分から構成される。担体液体は、一般に水および一価アルコール、多価アルコールまたはこれらの混合物などの有機溶媒である。
【0003】
一般に、インクジェット記録媒体は、少なくとも片面にインク受容または画像受容コーティング有するベース支持層から構成される。インクジェット媒体タイプは、反射で見ることを意図した媒体を含み、これは、紙または顔料着色されたフィルムなどの不透明な支持層を有し、および透過光によって見ることも意図するものであり、このときは透明フィルム支持層を有する。
【0004】
インクジェット媒体は、一般に縦長(Narrow Format)および横長(Wide Format)インクジェット画像装置またはプリンターの両方において使用される。インクジェット媒体は、一般に広範囲の印刷物を製造するために使用される。縦長、または自宅事務所(Home/Office)印刷用途には、限定はされないが、ニューズレター、報告書、パンフレット、カタログシート、郵便ラベル、在庫管理記録、タッグ、招待状、グリーティグカードなどが含まれる。横長または業務上の(B2B)印刷用途には、限定はされないが、地図、掲示板、車両グラフィックス、バナー、ポスターおよびサインが含まれる。
【0005】
インクジェットプリンターにより生成された記録画像の許容性は、多くの場合、記録媒体に高度に依存する。印刷媒体がどれだけ良いかは、適用されるトップコートの品質に殆んど完全に依存している。インクジェット記録媒体の関心の要点は、インクジェット印刷プロセス後に迅速に乾燥するためのインク/媒体の必要条件、ならびに印刷発色および画像品質の許容レベルを提供するための吸着、およびインクの拡がりの両方を制御する能力である。
【0006】
インクジェット媒体トップコートの1つの主な目的は、液体溶剤またはインクジェットインクの担体成分を効果的に吸収することであり、一方、インクジェットインクの固体顔料または染料成分がコートされた表面近傍に濃縮して留まり、許容品質の印刷画像を効果的に生成させるに十分な「保持」(hold out)特性をもたらすことである。トップコートは、インクが付着することができるベースを提供する。このコーティングがなければ、インクは、流れ、剥がれ、または乾燥しない。
【0007】
インクジェット媒体トップコートは、インクの化学的性質と相互作用することによってインクの乾燥時間を制御する。また、トップコートは、液滴の拡がりを規制する。すなわち、インク液滴は、そのベースにおいてある種の環境を維持する必要がある。トップコートは、インク液滴が、広がることおよび平らになることを防止する。また、トップコートは、インク液滴が媒中にどのくらい深く飽和するかを制御し、一定のところにまでのみ飽和することを確実にする。コーティングなしでは、紙などの多くの媒体は、滲み出しを経験する筈である。トップコートは、インクがこれらの製品を飽和することおよび反対側に浸透することを防止する。重要なことは、トップコートが、画像鮮明度を改善することある。飽和、滲み出し、拡がりおよび液滴の高さを制御する平滑なコーティングは、良好な画像鮮明度および画像清澄度をもたらす。
【0008】
トップコートの選択肢としては、膨潤性トップコート、多孔性トップコート、およびハイブリッドトップコートが含まれる。多孔性トップコートは、迅速に乾燥させることができるが、ただし、液体インクを効果的に含んで制御するためには、十分な厚さおよび十分な細孔体積を持つ必要がある。多孔性記録媒体コーティングは、微粒子(増量材)、バインダーおよび溶剤、または担体を含んで製造される。
【0009】
微粒子含有トップコートは、媒体支持層にアプライされ、引き続いて、乾燥され媒体ベースに付着される。粒子は、しばしばシリカであるが、炭酸カルシウムおよびカオリンを含む他の材料を使用することができる。溶剤または担体は、水またはアルコールであってよい。
【0010】
典型的な溶剤または担体には、脱イオン水、アルコール(一価または多価)またはこれらの組合せが含まれる。担体、溶剤タイプおよび組成物の選択は、ベース媒体シートにアプライする間における、トップコートの吸収特性および乾燥特性に影響することがある。
【0011】
前述の成分に適合するポリマーバインダーが、紙に粒子を付着するために使用される。バインダーは、インクの担体液体の吸収を助ける。バインダー材料は、ベース(受け手)シートに、光学濃度および基体へのコーティングの付着、アプライしたトップコートのチョーキングの減少、およびコートされたベースシートの良好な紙様の手触りの改善を付与する。さらに、改善されたインクの耐水堅牢度、改善されたべた刷り色の均一性、混合された主な色の二方向の色縞の減少、および隣接する印刷された色の混じり合いの減少をもたらす。また、バインダーは、インクジェットプリンターの非常に微細なオリフィスノズルの詰まりをもたらすインクのダスティングまたはチョーキングを減少させまたは除去するように、顔料を保持する機能を果たす。
【0012】
バインダーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリオキサゾリン、ポリビニルアセトアミド、部分加水分解ポリ酢酸ビニル/ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、スルホン化またはリン酸化ポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、その他などの親水性ポリマーであってよい。
【0013】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,478,910号は、水溶性ポリマーバインダーおよび微細なシリカ粒子を含むコーティング層を開示している。ポリビニルアルコールまたはこの誘導体は、特に好ましい水溶性ポリマーバインダーである。
【0014】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,758,461号は、トップコートを記載しており、これは、ケイ素含有タイプ顔料および水性バインダーを含む。30℃における水性コーティング液体の液体粘度は、60〜200cpsの範囲である。水性バインダーは、ポリビニルアルコール、澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、およびSBRラテックス、MBRラテックス、酢酸ビニルエマルジョンなどの水分散ポリマーなどの1種または複数の水溶性ポリマーである。ポリビニルアルコールが、好ましいバインダーである。インクジェット記録媒体は、幾つかのサイジング剤を使用する。しかし、サイジング剤は、時間が経過すると記録媒体中で移行する傾向があり、これにより、媒体のインク吸収性に変化を起こさせ、記録された媒体の全体の印刷品質を低下させる。
【0015】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,270,103号は、顔料およびバインダーのコーティングを記載しており、これは、ポリビニルアルコール、および1種または複数の追加のバインダー材料を含む。顔料は、コロイダルヒドロゲルタイプ無定形シリカなどのシリカである。追加のバインダーは、スチレンブタジエンラテックス、カチオン性ポリアミン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリエチレンイミン、スチレンビニルピロリドンコポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、またはビニルピロリドン酢酸ビニルコポリマーであってよい。
【0016】
澱粉およびゴムなどの炭水化物ポリマーもバインダーとして使用することができる。例には、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,610,136号、同6,551,695号、同6,495,243号により示されているようなセルロース誘導体、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、寒天、クズウコン、グアー、カラゲナン、トラガカント、キサンタンが含まれる。コーンスターチは、安価な炭水化物ポリマーであり、使用可能な最低の付着強度および最低の付着効率を有するコーティングバインダーの1つである。バインダーとしての炭水化物ポリマーが持つ幾つかの不利な点は、コーティング組成物が低いコーティング固形物を含むこと、レオロジーが劣ること、および製造に費用が掛かることである。
【0017】
インクジェット印刷媒体用の従来のトップコート組成物は、幾つかの欠点および不利な点を有する。以前のインクジェット媒体トップコートに関して、印刷適性および色発色に影響する問題が存在する。
【0018】
以前のインクジェット媒体トップコートは、液体溶剤または担体成分を効果的に吸収せず、固体顔料または染料がコートされた表面近傍に濃縮して留まるのに十分な「保持特性」を持たない。インクは、しばしば媒体表面上の繊維に沿って吸収され、フェザリングと呼ばれる現象をもたらす。満足な吸収を持つトップコート組成物は、しばしば密度の損失を生じ、したがって、プリンター画像において色再現性が不正確である。この特性の正しいバランスを、特により高い印刷解像度、およびより小さいドット径において実現することは、非常に難しい。結果は、従来文献の幾つかの教示において、密度、鮮明度、およびそれぞれのドットの真円度が、インクジェット紙に対して高品質、高コントラスト、全色記録画像を得るには未だ十分ではない可能性があるということである。
【0019】
他の問題は、シリカ粒子を使用するトップコートは、所望の最低のコート重量を実現するための固体処理に、バインダーの過剰量をしばしば必要とすることである。この懸濁液は、ポンピングおよびブレードコーターなどの通常のコーターを使用して均一な塗布を可能にするためには粘度が高すぎる。より低いバインダーレベルを使用する試みは、最終製品中に過剰の「ダスティング」もたらした。
【0020】
以前のトップコートに関する他の問題は、パルプ繊維がインクにより膨潤する「コックリング」として知られており、インクが裏面または紙に達する波状の不均一性または「裏移り」(back-through)をもたらす。コックリングは、画像品質を損なうだけでなく、また記録紙とプリンターヘッド間の掻き取りを生じる。
【特許文献1】米国特許第4,478,910号
【特許文献2】米国特許第4,758,461号
【特許文献3】米国特許第5,270,103号
【特許文献4】米国特許第6,610,136号
【特許文献5】米国特許第6,551,695号
【特許文献6】米国特許第6,495,243号
【特許文献7】米国特許第2,436,967号
【特許文献8】米国特許第2,719,179号
【特許文献9】米国特許第4,965,354号
【特許文献10】米国特許第3,766,165号
【特許文献11】米国特許第5,051,500号
【特許文献12】米国特許第5,424,418号
【特許文献13】米国特許第5,378,491号
【特許文献14】米国特許第5,645,647号
【特許文献15】米国特許第5,773,604号
【特許文献16】米国特許第6,475,552号
【特許文献17】米国特許第3,766,165号
【特許文献18】米国特許第5,667,593号
【特許文献19】米国特許第5,645,647号
【特許文献20】米国特許第5,601,863号
【特許文献21】米国特許第5,620,871号
【特許文献22】米国特許第5,424,418号
【特許文献23】米国特許第4,948,596号
【特許文献24】米国特許第5,620,871号
【特許文献25】特開2001/086946
【特許文献26】特開昭62-091501
【特許文献27】米国特許出願公開第2004/0053866号
【特許文献28】米国特許第4,622,233号
【特許文献29】米国特許第4,956,458号
【特許文献30】米国特許第5,091,015号
【特許文献31】WO92/12179
【特許文献32】米国特許第5,573,794号
【特許文献33】欧州特許第289461号
【特許文献34】WO95/06564
【特許文献35】米国特許第4,775,594号
【特許文献36】WO02/43965
【特許文献37】米国特許第4,554,181号
【特許文献38】米国特許第5,474,843号
【特許文献39】米国特許第5,747,148号
【特許文献40】米国特許第5,795,425号
【特許文献41】米国特許第5,908,723号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、業界の満たされていない要望に取り組みつつ、全てではないにしろ、前述の問題の大部分を回避する、インクジェット印刷媒体トップコートのバインダーに対する要望がある。安価であり、さらに改善された印刷発色(彩度)、改善された印刷品質を生じ、改善されたインク吸収/保持特性を有するトップコートが必要である。
【0022】
本発明は、インクジェット印刷受容トップコート用のバインダー成分として多糖と、およびシリカからなる増量材との使用を対象にし、この組成物は、改善されたインクジェット印刷の印刷適性および改善された発色を示す。
【0023】
本発明の目的は、許容し得るドット密度、鮮明さおよびラウンドネス(roundness)と共に、ウイッキングおよび滲みが低く、良好なインク乾燥、インク吸収、および/または耐水性を有する、高品質、高コントラスト、全発色の記録に適するインクジェット印刷受容トップコート組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前述の目的は、本発明により、シリカからなる増量材と組み合わせて、インクジェット媒体トップコートのバインダー成分として多糖を使用することによって実現される。
【0025】
また、本発明は、シリカからなる増量材、多糖からなるバインダー、および担体を含む、媒体トップコートの組成物およびそれを使用する方法を提供し、ここで、このコーティング組成物から得られたトップコートは、高固形分、低粘度を示し、乾燥した場合に、液体インクジェット印刷インクにより印刷可能である。
【0026】
本発明の他の実施形態は、またベース支持層およびインク受容トップコート組成物を有するインクジェット印刷媒体を作製する方法を提供し、このトップコートは、液体インクジェットインクにより印刷可能であり、通常のコーティング装置によりベースシートに容易に塗布することができる。
【0027】
本発明によるインクジェット印刷媒体を作製する方法は、
シリカからなる増量材、溶剤または担体、および多糖からなるバインダーを含む媒体トップコートを調製する工程、
トップコートを基体の少なくとも片側にアプライする工程、および
基体上のトップコートを乾燥して、インクジェット印刷媒体を製造する工程を含む。
【0028】
また、インク受容トップコート媒体を使用する印刷方法およびシステムが、考慮される。
【0029】
よりさらに、本発明の実施形態は、インク受容トップコート媒体を使用して、種々の基体の印刷製品を提供する。
【0030】
バインダーとしてポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを含むコーティングを使用する同様な媒体と比較した場合に、増量材としてのシリカと共に、インクジェット印刷媒体用のトップコートにおいてバインダー中に多糖を使用することが、著しく改善された印刷発色(彩度)、改善されたインク吸収/保持特性による改善された印刷品質、および低コーティング価格をもたらすことが、驚くべきことに見出された。
【0031】
バインダーとしてポリデキストロースは、とりわけ好ましい。バインダー要素としてポリデキストロースを使用する効力は、1)効果的な水性ベース染料可溶化剤としてのポリデキシトロースの機能、2)より純粋な彩度値をもたらす、染料色ずれを最小にするように作用するポリデキストロースのpH中性特性に基づく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明のインクジェット印刷媒体用の印刷受容トップコートは、シリカからなる増量材、多糖からなるバインダーおよび担体を含む。
【0033】
本発明の印刷受容トップコートは、以前の媒体よりもインクの液体成分をよく吸収し、より迅速なインク乾燥時間をもたらし、一方基体媒体中へのインクの滲みまたは拡散を防止する。さらに、トップコートは、均一なサイズの形状を有する明確なドットの形態において、媒体上にインク顔料を固定させる。さらに、本発明のトップコートは、優れた色の深みを特徴とする。
【0034】
本出願人等は、驚くべきことに、バインダーとして多糖を使用したインク受容コーティング配合物を、高固形分レベルにおいて製造することができ、比較的低い粘度をもたらし、広範囲のコーティング技法を、インクジェット媒体基体への実際のトップコートの付着において使用できるようにすることを発見した。
【0035】
低い粘度は、ポンピングを容易にし、アプリケーターノズルの詰まりを防止する。低い粘度は、ブレードコーターなどの通常のコーターを使用して均一な塗布を容易にする。
【0036】
用語「インクジェット印刷媒体」は、「基体」と交換可能に使用され、インクおよびトップコート配合がアプライされる材料のことをいう。任意の適切な基体または媒体を使用することができる。適切なインクジェット印刷媒体には、紙、カードストック、金属、木材、プラスチック、テープ、フィルム、またはこれらの組合せが含まれる。
【0037】
シリカと組み合わせて、ポリデキストロースおよび/または不消化性多糖、またはデキストリン化オリゴ糖などの多糖により製造されたトップコート配合は、PVPを含むものに勝る良好な発色を生じる。インクジェットトップコート配合物において、ポリデキストロースおよび/または不消化性多糖またはデキストリン化オリゴ糖またはこれらの組合せを使用する明確な利点は、PVPをベースとする配合物に勝る改善された発色を有する高固形分/低粘度配合を製造する能力である。この利点は、広範囲のコーティング塗布プロセスおよび技術を利用して、トップコートの塗布を可能にする。
【0038】
多糖は、10個を超える残基を有する糖ポリマーとして定義される。オリゴ糖は、2〜10個の残基を有する糖ポリマーとして定義される。用語多糖が使用される場合は、この用語はオリゴ糖もまた包含すると理解される。したがって、用語「多糖」は、オリゴ糖もまた含む。理論的には、本発明の多糖に対する残基の数の制限はないが、実際的限界は、溶液特性、例えば溶解度および粘度に基づく。本発明のオリゴおよび多糖の残基の下限は、溶解度および紙と付着する能力、容易に洗い去られることなくまたはブロッキングを生じない能力に基づく。
【0039】
本明細書において定義されたオリゴ糖および多糖は、ホモまたはヘテロ糖であってよい。ホモ糖は、本質的に単一糖、例えばグルコオリゴ糖またはフラクトオリゴ糖をベースとし、マルトオリゴ糖(α-1,4-結合)などの単結合タイプ、または結合の混合物、例えばイソマルトオリゴ糖(α-1,4-およびα-1,6-結合)を含んでよい。ヘテロ糖は、1つより多い糖残基、例えばアラビノガラクタン(アラビノースおよびガラクトース)を含む。本明細書に定義したように、ポリマーは、直鎖または分枝であってよい。
【0040】
適切なオリゴ糖および/または多糖には、限定はされないが、マルトオリゴ糖(マルトデキストリン)、イソマルトオリゴ糖、シクロデキストリン、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、キチン/キトサンオリゴ糖、アラビノガラクタンおよびプルランが含まれる。
【0041】
用語「ポリデキストロース」は、グルコース、マルトース、グルコースのオリゴマーまたは澱粉の加水分解物から調製されるグルコースのポリマー生成物を含み、これらは、酸、例えばルイス酸、無機酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸およびポリカルボン酸を含む有機酸の存在におけるポリ縮合反応において熱処理によって重合され、限定はしないが、その全てが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,436,967号、同2,719,179号、同4,965,354号、同3,766,165号、同5,051,500号、同5,424,418号、同5,378,491号、同5,645,647号、同5,773,604号、または同6,475,552号に記載されているプロセスによって調製される生成物などが該当する。
【0042】
また、用語「ポリデキストロース」は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,766,165号に記載されている反応におけるものなどの、糖アルコール、例えばポリオールの存在において、上の本明細書に記載されている、グルコース、マルトース、グルコースのオリゴマーまたは澱粉加水分解物のポリ縮合によって調製されるグルコースのポリマー生成物を含む。さらに、用語ポリデキストロースは、グルコースポリマーを含み、ポリデキストロースは、当分野において記載されている技法によって精製され、限定はしないが以下のいずれかおよび全てを含む。
(a)塩基の添加による、あるいはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,667,593号および同5,645,647号に記載されている、ポリデキストロースの濃厚水性溶液を、吸着剤樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂、タイプII強塩基性イオン交換樹脂、塩基性イオン交換樹脂を含む混合床樹脂、またはカチオン交換樹脂を通過させることにより、随伴する任意の酸を中和すること;あるいは
(b)ポリデキストロースを、活性炭もしくは木炭と接触させることにより、固体吸着剤ベッドを介して溶液をスラリー化するもしくは通過させることにより、または亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素などで漂白することにより、脱色すること;
(c)限外濾過、RO(逆浸透)、サイズ除去などの分子ふるい法;
(d)酵素的に処理されたポリデキストロース、あるいは
(e)当分野において知られている任意の他の認められている技法。
【0043】
さらに、用語ポリデキストロースは、水素化ポリデキストロースを含み、これは、本明細書では、通常の当業者に知られている技法によって調製される水素化または還元されたポリグルコース生成物を含む。調製のための幾つかの技法は、米国特許第5,601,863号、同5,620,871号および同5,424,418号に記載されており、これらを参照により本明細書に組み込む。また、用語ポリデキストロースは、通常の知られた材料であり、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,424,418号、同4,948,596号に記載されているプロセスによって製造することができる分別されたポリデキストロースを包含する。
【0044】
ポリデキストロースは、Danisco Sweeteners、A, E、Staley and Shin Dong Bang (Korea)を含む種々の会社から市販されている。ポリデキストロースの精製された形態は、名称LITESSE(登録商標)またはLITESSE IIの下にDanisco Sweetenersによって、および名称STALITE III(登録商標)の下にA. E. Staleyによって市場に出されている。ポリデキストロースの還元された形態は、LITESSE ULTRA(登録商標)と呼ばれる。
【0045】
他の実施形態において、本発明の多糖バインダーは、不消化性多糖である。不消化性多糖の好ましい例は、不消化性デキストリンである。不消化性デキストリンは、澱粉の高温転化によって得られる高度に分枝した多糖である。澱粉は、α-(1,6)結合によりある種の分枝を伴う、α-(1,4)結合の付いたグルコース分子から作製される。分枝の程度は、澱粉の供給源に依存する。
【0046】
不消化性デキストリンは、高温転化として知られる熱処理プロセスにおいて澱粉から製造される。ピロデキストリンは、単独または微量レベルの酸触媒と共に、澱粉を使用して乾燥焙焼プロセスにおいて得られる澱粉加水分解生成物である。この反応において形成される第1の生成物は、可溶性澱粉であり、これは、またさらに加水分解してデキストリンを形成する。最終生成物の分子量は、加熱の温度および継続時間に依存する。グルコシド交換反応は、デキストリン化プロセスにおいて生じることが可能であり、グルコシド交換反応においてα-(1,4)グルコシド結合の破断は、直ちに続いて、生じた分裂片が近接するヒドロキル基と結合して、新規な結合および分枝構造を生成する。したがって、グルコシド結合の部分は、混合される。市販の高温転化澱粉は、FIBERSOL-2(登録商標)と呼ばれ、Matsutani America、Inc.から入手可能である。
【0047】
他の好ましい多糖は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,620,871号に記載されている不消化多糖を含む。
【0048】
米国特許第5,620,871号は、少なくとも1種の糖化酵素およびアミロペクチンの1-6結合を加水分解する少なくとも1種の酵素を使用して、デキストリンまたは多糖の酵素的加水分解を実施することによって不消化多糖を調製する方法を開示している。
【0049】
本出願におけるバインダーとして使用される多糖の他の好ましい例が、特開2001/086946に記載されており、この内容は、参照により組み込まれる。この特許は、β-アミラーゼで澱粉を加水分解することにより、次いでこのように処理されたデキストリンの水素化によって得られる、不消化多糖を含む水素化澱粉加水分解物を記載している。
【0050】
不消化性多糖のさらに好ましい例は、特開昭62-091501に記載されており、この内容は、参照により組み込まれる。これは、澱粉の酸糖化または酵素糖化から得られる澱粉加水分解物を水素化し、還元された澱粉加水分解物を生成し(例えば、還元された分枝デキストリンの場合は、酸触媒、例えば0.3〜0.5重量%無機酸(例えば、リン酸)または5〜20重量%有機酸(例えば、クエン酸)の存在下で酸糖化を行う)、その後で真空中において130℃に加熱することによって調製した不消化多糖を開示している。この乾燥された生成物を、次いで、1〜3時間150℃〜250℃加熱して、主として1-6結合における、非還元糖のグルコース残基の再配列によって形成される、種々の重合度を有する非還元ポリマーの凝集体を含む粉末不消化性多糖を得る。
【0051】
本明細書では、多糖の他の好ましい例は、デキストリン化されたオリゴ糖であり、これは、本明細書では糖-誘導体化されたオリゴ糖であり、これは、米国特許出願公開第2004/0053866号に記載されており、この内容は参照により組み込まれる。それは、1〜4の範囲の平均重合度を有する糖生成物と、マルト-オリゴ糖混合物との押出し反応生成物を含む糖-誘導体化された混合物である。本明細書では、マルト-オリゴ糖は、1-4結合により主として結合された2個以上の糖単位を含む種である。使用されるマルトオリゴ糖は、マルトデキストリンであることが好ましい。
【0052】
さらに好ましいバインダーは、不消化デキストリンポリデキストロース、米国特許第5,620,871号、特開昭62-091501および特開2001/086946に記載されている不消化多糖、デキストリン化オリゴ糖、マルトオリゴ糖(マルトデキストリン)、イソマルトオリゴ糖、シクロデキストリン、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、キチン/キチサンオリゴ糖、アルビノガラクタンおよびプルランである。好ましい多糖の例には、限定はしないが、ポリデキストロース、不消化デキストリン、およびこれらの誘導体、およびこれらの組合せが含まれる。最も好ましい多糖は、ポリデキストロースである。最も好ましいバインダーは、不消化デキストリンおよびとりわけポリデキストロースである。
【0053】
バインダーは、本明細書に定義されたように、1種の多糖または2種以上の多糖の組合せからなってもよいことが留意されるべきである。
【0054】
本発明の実施形態において、どのような形態において利用される多糖も実質的に純粋である。多糖は、実質的に不純物を含まないことが好ましい。多糖は、好ましくは少なくとも約80%の純度およびさらに好ましくは少なくとも約85%の純度および最も好ましくは少なくとも約90%の純度である。
【0055】
バインダーは、当分野において知られている技法を使用して精製することができる。例えば、当分野において使用されている精製プロセスの中で、以下のものが、ポリデキストロースを精製ための好ましいプロセスである:1)例えば過酸化水素(米国特許第4,622,233号に記載されている)を使用する漂白;2)膜技術(米国特許第4,956,458号に記載されている);3)イオン交換、例えばクエン酸の除去(米国特許第5,645,647号に記載されている)または色/苦味の除去(米国特許第5,091,015号に記載されている);4)強カチオン交換体と共に、クロマトグラフィー分離(WO92/12179);5)イオン交換と組み合わせて、水素化(米国特許第5,601,863号および同5,573,794に記載されている)または6)イオン交換およびクロマトグラフィー分離(米国特許第5,424,418号に記載されている);または7)溶剤抽出(米国特許第4,948,596号および欧州特許第289461号)、これらの特許のそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
図1および図2は、FIBERSOL-2(登録商標)およびポリデキストロースにおける結合および分枝の要約を示す。FIBERSOL-2(登録商標)は、ポリデキストロースに比較して、より高い量の非分枝および単分枝残基、より低い含量のフラノース、およびより多量の4-および4,x-結合残基を有する。6-結合が優位を占めるポリデキストロースは、FIBERSOL-2(登録商標)よりも高度に分枝しており、FIBERSOL-2(登録商標)は、その澱粉起源に合わせて、より多くの4-結合を含む。これらの差異に拘わらず、ポリデキストロースおよびFIBERSOL-2(登録商標)は、構造において非常に密接に関連しており、本発明のトップコート組成物のバインダー中で、単独または組み合わせて使用することができる。
【0057】
多糖、例えば、ポリデキストロースまたはこの誘導体、例えばLITESSE(登録商標)またはLITESSE II(登録商標)は、バインダーとして作用する。LITESSE II(登録商標)は、低コストのために好ましい。同様に、不消化デキストリンまたはこの誘導体、例えばFIBERSOL-2(登録商標)は、バインダーとして作用する。例えば、「バインダー」中のポリデキストロースまたは不消化多糖、またはデキストリン化オリゴ糖は、コーティングのフィルム形成能力を改善する。束縛されることは望まないが、その親水性の性質が、このコーティングによって、インクジェット印刷プロセスを通じてインクジェットインクの吸収を容易にすると考えられる。
【0058】
多糖、例えばポリデキストロース、不消化多糖、デキストリン化オリゴ糖またはこれらの組合せからなる本発明のバインダーは、インクジェット印刷性を向上させおよび発色を改善するために有効な量において存在する。バインダー、すなわちポリデキストロースまたは不消化多糖またはデキストリン化オリゴ糖は、固体重量部に基づいて約5%〜約93%の範囲において存在することが好ましい。ポリデキストロースおよび/または不消化多糖バインダーの好ましい濃度は、固体重量部に基づいて約50%〜約70%である。
【0059】
場合によって、他のバインダーを上で議論したバインダーと組み合わせることができる。適切なバインダーには、限定はしないが、ゴム、セルロース誘導体、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、寒天、クズウコン、グアー、カラゲナン、トラガカント、キサンタン、ゼラチン、ポリビニルピロリドンおよびこのコポリマー、および/または親水性ポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリオキサゾリン、ポリビニルアセトアミド、部分加水分解ポリ酢酸ビニル/ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、スルホン化またはリン酸化ポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミンなどが含まれる。添加することができる本発明に適するバインダーの例は、Celvol 08-125ポリ(ビニルアルコール)バインダーである。
【0060】
本発明の実施形態において、シリカ増量材の混合物からなるトップコートが提供され、およびバインダーは、多糖、例えばポリデキストロースまたは不消化デキストリンからなる。成分は、脱イオン水、適切なアルコールまたはこの2つの組合せからなる溶剤溶液または担体中に溶解させるか、または分散させることができる。他の成分を、インクジェット媒体ベース支持層にアプライする間のコーティングのコーティングウエットアウト(すなわち拡がり)を改善するために、アプライ時のコーティングの可使時間または作業時間を改善するために、コーティングに他の特性を付与するために、またはコーティングの粘度または固形分を改変するために、および/または殺生物剤として作用するために添加することができる。
【0061】
トップコート上の印刷インクの乾燥および表面保持は、顔料または増量材の添加によって容易となる。顔料または増量材はインクの表面保持を助けるだけでなく、またトップコートに細孔またはチャネルを導入して、乾燥を助ける。本発明の増量材(すなわちシリカ)含量は、コーティングのインク吸収性をもたらし、コートされた媒体ベースへのインクの付着の恒久的性質を部分的に担っている。本発明のバインダー、例えばポリデキストロースは、紙基体へのシリカの付着を助ける。好ましい増量材は、シリカである。ヒュームドシリカ、沈降シリカ、およびシリカゲルなどの種々のシリカのタイプが、よく知られており、入手可能であり、使用に適する。シリカのタイプは、異なる細孔サイズを示し、程度の異なるインク吸収能力をもたらす。本発明に特に適するヒュームドシリカゲル分散液は、CAB-O-SPERSE PG001(Cabot Corporationによって製造されている)であり、これは、高細孔体積および溶剤溶液中への容易な分散を有する。
【0062】
シリカ増量材成分の濃度は、重量部に基づいて約0%〜約90%の範囲で可能であり、本発明の下に包含される。シリカゲル増量材の好ましい濃度は、約25%〜50%である。
【0063】
限定はしないが、炭酸カルシウム、カオリン、およびこれらの混合物を含む他の増量材を、シリカに加えて一緒に使用することができることが理解される。
【0064】
他の成分または添加剤を、混合およびアプライの間に生じる、基体表面の不適当な湿潤、高混合速度にさらした場合の組成物の発泡、基体への乾燥組成物の付着、および生物学的侵食(例えば、菌類)からの組成分の保護などの問題を回避するために添加することができる。例えば、非イオン界面活性剤、脱泡剤または防腐剤を添加することができる。本発明に適する脱泡剤の例は、FOAMASTER 111シリコーンベース脱泡剤である。本発明に対する適切な防腐剤の例は、PROXEL GXLである。
【0065】
さらに、本発明のインクジェット印刷媒体トップコートは、殺生物剤、カール防止剤または粘着防止剤などの添加剤を含むことができる。また、トップコートは、印刷画像を改善するために、限定はしないが例えば、UV吸収剤、蛍光増白剤、光安定剤、抗酸化剤、ヒュームファクタント(humefactants)、スペーシング剤、可塑剤、染料媒染剤、固定剤、分散剤、レオロジー改質剤、レベリング剤その他などの当業者に知られている他の添加剤も含むことができる。
【0066】
好ましい実施形態において、インクジェットトップコートは、また顔料を荷電するために界面活性剤を含む。好ましい界面活性剤は、非イオン性である。しかし、カチオン的またはアニオン的に荷電された界面活性剤も使用することができる。適切な界面活性剤の例には、限定はしないが、ポリエチレングリコール(TRITON X-100(登録商標))(DOW-UCAR)が含まれる。界面活性剤は、重量部に基づいて約0.1%〜約5%、およびさらに好ましくは重量部に基づいて約0.5%〜約2%の濃度において使用される。
【0067】
さらに他の実施形態において、本発明のトップコートは、殺生物剤を含む。適切な殺生物剤の例は、PROXEL GXL(登録商標)(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、Avecia Biocidesによって製造されている)であり、その濃度は、重量部に基づいて約0%〜約1%の範囲である。
【0068】
トップコート溶剤または担体液体は、脱イオン水、一価アルコール、多価アルコール、またはこれらの組合せであってよい。好ましくは脱イオン水である。溶剤または担体液体の典型的濃度は、重量部に基づいて約50%〜約85%の範囲であり得る。脱イオン水は、好ましくはCa+2イオンおよびMg+2イオンの含量が約5ppm以下に減少されたイオン交換水である。
【0069】
トップコートコーティングは、好ましくは約0.1〜約0.5ミル、または約2〜約13グラム/平方メートルの乾燥厚さを有する。しかし、約1〜約25グラム/平方メートル以上の範囲のトップコート厚さが有効であり得る。この範囲内の実際のトップコートの厚さは、コートされる特定のインクジェット媒体ベースに基づいて変化させることができる。本発明は、述べた通り、全ての範囲の乾燥コーティング厚さを包含する。
【0070】
(調製方法)
本発明のトップコートは、均一になるまで緩やかなレベルの撹拌の下に混合しながら、脱イオン水にシリカ増量材成分を添加することによって配合される。次いで、バインダーを脱イオン水に添加し、均一になるまで緩やかなレベルの撹拌の下に混合する。混合は、開放容器中で多数のブレードを有するスピンドルにより実施される。混合の速度は、泡を引き起こすことなしに均一な混合物をもたらす速度である。前述のように、界面活性剤、殺生物剤、およびその他を含む他の成分の添加は、必要に応じて引き続く工程において、コート適性を向上し、またはコーティングの可使時間/安定性を延長するために添加される。
【0071】
添加剤を添加する順序は、成分機能に基づく。例えば、脱泡剤は、添加によって生じる発泡を防止するために、多糖、場合によって追加のバインダーの添加の前に、脱イオン水に添加される。Ageflex(商標)などのカチオン性媒染剤を、シリカ増量材に引き続いて、シリカ粒子の凝集を防ぐために添加する。
【0072】
配合されたインクジェットトップコート組成物の総固形分は、重量部に基づいて約10%〜約50%の範囲であり得る。配合されたトップコートの粘度は、約10〜20cps(センチポアズ)の範囲であり得る。配合されたトップコートの固形分および粘度の両方は、コートされるインクジェット媒体ベース層にトップコート組成物を適用する方法によって要求される、実際のコーティング必要条件に基づいて、変化させることまたは調整することができる。
【0073】
本発明は、種々の通常知られているコーティング技法を使用してインクジェット媒体ベース支持層上にアプライまたはコートすることができる。インクジェット媒体、またはベース支持層は、未コート紙、コート紙(片面または両面にコート)、ポリマーフィルム、紙およびフィルムのラミネート、または他のインクジェット印刷において有用な適切な材料であり得る。紙および紙タイプ媒体が、好ましい。
【0074】
当業者に知られている任意の適用方法が、インクジェット媒体ベースにインクジェットトップコートをアプライするために使用することができる。使用することができるトップコートアプライ技法には、限定はしないが、線巻ロッド、計量バー、ナイフオーバーロール、直接グラビア、リバースグラビア、リバースロールおよび多重ロール法、およびエアナイフが含まれる。これらのコーティング方法は、媒体ベースを製造した後に、インクジェット媒体ベース上にトップコート組成物をアプライまたはコートするために第2のプロセスとして使用することができる。
【0075】
本発明のインクジェットトップコートは、また原紙の媒体製造プロセスの間のサイズプレスにおいて、紙インクジェット媒体ベースにアプライすることができる。その上、本発明のインクジェットトップコートは、第2の印刷または変換操作の間に(これらの間にインクジェット媒体は、ラベルの場合におけるように、トップコートの適用後に実際の印刷および打抜き操作を受けることができる)インクジェット媒体ベースにアプライすることができる。次いで、インクジェットトップコートは、印刷および打抜き操作の前にアプライされることになる。
【0076】
本発明のトップコートは、媒体基体の片面または両面にアプライできることが理解される。さらに、アンチカールコートなどの他のコートをアプライすることができる。
【0077】
インクジェット媒体ベース層にインクジェットトップコートをアプライし、吸収された後に、インクジェットトップコートを乾燥して、トップコート組成物から溶剤担体液体を除去する。乾燥プロセスは、当業者に知られている任意の乾燥方法の使用により実施することができる。蒸発乾燥プロセスが、好ましい。本発明において使用することができる乾燥プロセスには、限定はしないが、空気乾燥、対流、高周波、または赤外法が含まれる。
【0078】
現在まで注目するところ、インクジェット媒体トップコートと媒体自体の間に生じる分子相互作用を説明する統一的理論はないが、本発明は、操作の特別の理論に限定されるべきではない。一般に、高彩度の画像を得るためには、束縛されることは望まないが、インクジェット印刷インク(染料または顔料ベース)着色材料は、凝集なしに単分子状態において、記録媒体の表面に保持されるべきであると考えられている。記録媒体の表面上のインクジェット印刷インク材料の凝集が生じた場合、彩度は低下する可能性がある。本発明の組成物の優れた発色は、バインダー、すなわち多糖、例えば、直鎖および分枝オリゴマーの特定の範囲、および着色材料の凝集を抑制する高度に無定形の性質と結びついてポリデキストロースまたはFIBERSOL-2(登録商標)の低分子量から高分子量範囲(DP分布)の存在から得られる。
【0079】
最も好ましいバインダーは、ポリデキストロースである。本発明により調製されたトップコート組成物中のバインダーとして、ポリデキストロースを使用した場合、配合評価は、ポリデキストロースが、紙インクジェット媒体コーティング用の効果的バインダーとして機能することを示した。束縛されることは望まないが、ポリデキストロースは、紙に対するその固有の親和性および水性ベースの染料を可溶化する際のその効力のために好ましいと考えられる。好ましいインク受容コーティングは、ポリデキストロースを含んで配合される。
【0080】
他の実施形態において、印刷された表面上の黒色顔料保持は、カチオン性媒染剤を用いたコーティング配合の改質、および、共バインダーとしてポリビニルアルコール(PVOH)の使用を介して最適化された。
【0081】
シリカからなる増量材と組み合わせた、本発明において利用されているバインダー、すなわち多糖、例えば、ポリデキストロースまたは不消化性多糖またはデキストリン化オリゴ糖またはこれらの組合せを含む最適の配合によりコートされた紙試料は、例えば、市販のトップコートされたインクジェット印刷紙と比較した場合、改善された物理的特性を示した。物理的特性には、限定はしないが、カール(ASTMD4825)、粘着(ASTMD918)、および平滑性(TAPPI T-538)が含まれる。インク受容層は、空気中の水を吸収し、高相対湿度の環境において膨潤することがあり、カーリングを生じる。シェフィールド(Sheffield)平滑性は、規定された条件下での表面上の加圧空気流の測定である。
【0082】
バインダーとして多糖またはこの組合せ、およびシリカからなる増量材を含む本発明の組成物によりコートされた紙試料は、多数の側面において改善された印刷品質を示した。印刷品質評価には、カール、フェザリング、斑、湿潤または乾燥皺、画像ブリード、バンディング、かぶり、スキューまたはアーチファクトが含まれる。フェザリングは、印刷された原本において主として明らかなものであり、紙の繊維に沿ったインクの流れによって生じる現象である。フェザリングの視覚的形跡は、印刷画像の末端周りの小さい突起である。斑は、べたに埋められた領域の不均一印刷密度をもたらす印刷欠陥として定義される。凝集は、紙表面上の領域におけるインクの溜りによって生じる印刷欠陥として定義される。湿潤皺は、紙表面に湿潤インクを適用する間の波模様によって明らかである。乾燥皺は、湿潤皺から起こる不均一印刷密度の結果である。画像ブリードは、1種のインク色の他の隣接するインク色との混合によって視覚的に明らかになり得る。ブリードは、通常、ひどいフェザリングの結果である。バンディングは、べたに埋められた領域の異なる印刷密度の帯の領域によって明らかである。かぶりは、べたに埋められた黒色印刷領域に対するブロンズ光輝の外観である。スキューは、紙の縁への印刷画像の位置に関する。アーチファクトは、紙の非印刷領域に位置する任意の液滴またはインクスプレーを含む。斑/凝集および湿潤/乾燥皺に関する問題は、使用されるコーティング技法によるものと思われる。
【0083】
本発明の組成物の使用は、シリカおよび多糖のバインダーが存在しない組成物に比べて、向上した印刷品質、減少した量のおよびより好ましくは最小の量の、カール、フェザリング、斑、皺、ブリード、バンディング、かぶり、およびアーチファクトの存在を提供する。
【0084】
多糖、例えばポリデキストロース配合によりコートされた紙の全体的な印刷品質は、商業的なインクジェット印刷可能な紙の全体的な印刷品質と比較して、以下の利点を示した。(1)改善された印刷適性、(2)染料ベースのインクに対する改善された印刷色純度(彩度)、および(3)市販のインクジェット印刷可能な紙に対し同等ないし改善された物理的特性。
【0085】
市販のインクジェット製品は、本発明の印刷受容トップコートを適用することができる適切なインクジェット印刷媒体の例を提供する。媒体は、紙、カード、製紙原料、金属、木材、プラスチック、またはフィルムであり得ることが理解される。
【0086】
本明細書では、別段の指示がない限り、複数は単数をも意味し、逆の場合も同じである。
【0087】
液体担体成分を含む組成物中の百分率は、本明細書では、重量に基づくパーセントを意味する。
【0088】
以下の実施例は、本発明のさらなる評価を提供するのに役立つが、本発明の有効な範囲をいかなる点でも制約することを意味しない。
【0089】
操作の特別の理論に制限されることは望まないが、材料の実験的コーティングの目的で、コーティングをアプライおよび計量するために、線巻ロッドを使用する通常の実験室のドローダウンコーティング装置を使用した。
【実施例】
【0090】
(実施例1)
紙用のインクジェット受容トップコートを表1に述べるように配合した。ポリデキストロースを非イオン界面活性剤ポリエチレングリコール(TRITON(登録商標))(Dow)、ヒュームドシリカ(CAB-O-SIL(登録商標))(Cabot Corporation)、および殺生物剤(PROXEL GXL(登録商標))(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、Avecia Biocides)により配合した。
【0091】
【表1】

【0092】
配合成分の混合を、中間から低せん断撹拌において操作するCaframo RZR1電気ミキサーで行った。混合を、泡を形成することなしに視覚的均一性が得られるまで続けた。次いで、この配合を60ポンド/連オフセット不透明紙上に流し塗りした。不透明紙の例には、HuSky Offset(Weyerhaeuser製)およびPristine Opaque(Eastern Paper製)が含まれる。ChemInstruments EZ-2002 laboratory coaterを使用するマイヤーロッド(線巻ロッド)を使用して、コーティングを基体にアプライし、1平方メートル当たり約2グラム〜6グラムの目標のコーティング重量を実現した。
【0093】
最初のインクジェット印刷を、染料ベースの色インク(HP C6578DN)および顔料ベースの黒色インク(HP 51645A)によりHP DeskJet6122プリンター使用して実施した。選択されたパターンは、以下の色:シアン、マゼンタ、黄、黒、赤、オレンジ、青、緑のブロックを含んでいた。印刷された試料は、同様に印刷された未コート基紙より優れた良好な視覚的発色を示した。
【0094】
(実施例2)
ポリデキストロースおよびシリカならびに最終コーティング固形分の比を最適化する変更形態を企てた。シリカ分散液(CAB-O-SPERCE PG001(登録商標))(Cabot Corporation)を、配合を容易にするためにCAB-O-SIL(登録商標)ヒュームドシリカの代わりに使用した。表2に以下述べられている8種の配合(BからI)を、他の成分を一定に維持しながらポリデキストロースとシリカの異なる比により調製した。
【0095】
【表2】

【0096】
配合中の全固体材料の百分率を一定に保った。より多くのポリデキストロースの添加による粘度の変化は、僅かないし全くなかった。
【0097】
印刷された染料ベースの色インクおよび顔料ベースの黒色インクの視覚的検査を行った。主観的ランク付けを印刷された試料外観に基づいて評価した。印刷された試料は、外観において最良(1)から最悪(8)のランク付けをした。ランキングを表3に表示する。
【0098】
【表3】

【0099】
追加のポリデキストロースの添加が、染料ベース色インク外観を視覚的に改善しない、見掛けの「最高状態」が、観察された。しかし、ポリデキストロースの追加の量を混合すると、印刷された顔料ベース黒色インクの全体的外観は改善された。配合Fは、染料ベース色インクおよび顔料ベース黒色インクの外観に対して最高の全体のコーティングをもたらした。
【0100】
(実施例3)
配合Fの固体レベルの変化および粘度に関するその効果は、表4に見出される。
【0101】
【表4】

【0102】
粘度は、紙へのコーティング方法の決定に潜在的に大きな効果を有する。ポリデキストロースによる配合中の固形分を増加させることは、粘度を僅かに増加させるに過ぎない。これは、広範囲のコーティング塗布技術および方法が、潜在的にインクジェット媒体ベースへのポリデキストロースベースのバインダートップコートの付着に適することを示す。
【0103】
(実施例4)
インク受容コーティング成分としてのポリデキストロースの性能を、印刷された染料ベース色インクおよび顔料ベース黒色インクによる粘度および視覚的外観に対して、ポリ(ビニルアルコール)(PVOH)および/またはポリ(ビニルピロリドン)(PVP)を使用する特許されたインクジェット受容トップコート用配合と比較した。比較に使用した特許配合、すなわち、WO95/06564、米国特許第4,775,594号およびWO02/43965は、各々以下表5〜7に見出される。表8は、印刷された試料の視覚的検査からのランキングを表示する。表9は、粘度の比較を提供する。
【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
コーティングを、60ポンド/連オフセット不透明ベース紙に同様なコーティング重量において実施した。印刷されたインクの外観の視覚的比較ランキングを、表8に記載した特許配合および配合Fについて付けた。
【0108】
【表8】

【0109】
配合Fコーティングは、全体に、特許配合と比較した場合に、改善された(最良)染料ベース色インク外観ならびに劣った顔料-黒色インク外観を示した。印刷された試料の視覚的外観は、PVP単独をベースとする配合よりも僅かに良好であったが、視覚的外観は、トップコーティングにおけるPVOHおよびPVP共バインダーによる印刷された試料と同等ではなかった。
【0110】
【表9】

【0111】
配合F(3つの特許配合よりも僅かに高い固体)は、最低の粘度を示した。PVOHまたはPVPを含む配合は、固体レベルを上げることにより粘度上昇を示すことでよく知られている。ポリデキストロースを含む配合は、この傾向を示さない。
【0112】
(実施例5)
追加の改質を、配合Fを最適化するために行って、顔料ベース黒色インク外観を向上させた。印刷された顔料黒色領域の視覚的検査は、コートされた紙の表面上で、決して望ましくない顔料の保持のレベルを示した。黒色顔料インク保持を改善するために、以下の改質:(1)ポリデキストロースの架橋、(2)カチオン性染料媒線染剤の添加、および(3)共バインダーの使用を行った。
【0113】
ポリデキストロースは、高濃度の、ポリマー鎖を架橋させる際に潜在的に使用することができる遊離ヒドロキシル基を含む。チタネート(例はTYZOR(登録商標)製品ラインである(Du Pont))およびイソシアネート(例はDESMODUR(登録商標)(Bayer)である)は広く知られており、ヒドロキシル化学反応の架橋に使用される。種々の架橋剤を当業者に知られている濃度において配合Fにより評価した。熱的に架橋されたコーティングの評価は、表面上の顔料ベース黒色インク保持の視覚的改善を示さない。
【0114】
カチオン性媒染剤は、アニオン性染料ベースインク(米国特許第4,554,181号、同5,474,843号、同5,747,148号、同5,795,425号および同5,908,723号)を定着させる手段に使用するためにインクジェット受容コーティング工業においてよく知られている。カチオン性媒染剤の例は、AGEFLEX(登録商標)製品(Ciba Specialty Chemicals)である。例えば、Ageflex FA 1q75MCは、第四級塩化メチルN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートである。また、これらの薬品は、紙加工工業において使用した場合に、凝集特性を有することが知られている。カチオン性媒染剤の使用は、表面保持を助けるための黒色インク中に存在する顔料の潜在的凝集と共に、紙ベースへのアニオン性染料ベースインクの定着手段に相互に有益であり得る。種々の媒染剤により製造された配合は、表面上の顔料保持において改善をもたらす。
【0115】
紙の表面への顔料定着手段に関する問題は、媒染剤を含む配合により見られる。少ない百分率のPVOHを共バインダーとして添加して、紙基体へのインクの定着手段全体を助ける。表10に述べた、得られた最適化された配合Jは、染料ベースインクの視覚的完全性を減少させることなしに改善された顔料黒色インク保持を示した。
【0116】
【表10】

【0117】
物理的および光学的特性は、2種の市販のインクジェット印刷可能な紙(Great White 86000インクジェットおよびHewlett-Packard HPK115R Color Ink Jet紙)と共に配合Jによりコートされた紙上で評価した。カール(ASTM D4825)、粘着(ASTM D918)、および平滑性(TAPPI T-538)を3種の紙上で評価した。結果を表11に表示する。
【0118】
【表11】

【0119】
インク受容層は、高相対湿度の環境において空気中の水を吸収し、膨潤し、カーリングを生じることがある。本発明では、カールは、全ての場合に紙の機械方向に見られた。検討した3種の紙は、140°Fにおいて、75%対湿度で21時間、平方インチ当たり0.5ポンド下で試験した場合、シート間接着(すなわち、粘着)を示さなかった。Sheffield平滑性は、規定された条件下で表面上の加圧空気流の測定である。全体的結果は、改善されたインクジェット印刷画像を生じると期待することができる配合Jでコートされた試料の平滑性を除いて、3種の紙の間で同等である。配合Jでコートされた紙試料は、市販のトップコートされたインクジェット印刷紙と比較した場合、同等ないし改善された物理的特性を示す。
【0120】
3種紙の印刷品質評価をASTM F1944に基づいて行った。フェザリング、斑/凝集、湿潤/乾燥皺、画像ブリードを比較評価した。結果を表12に示した。
【0121】
ランキングを、重大度の程度に基づいてそれぞれの特性に対して割り当てた。1のランキングは、明白に示されない効果または低重大度と相関し、一方3のランキングは、効果の重大な可視的証拠に相関する。さらに詳細なランキングの効果毎の評価は、ASTM F 1944手順に見出すことができる。
【0122】
【表12】

【0123】
実験用に製造された材料からなされた評価は、Great WhiteおよびHP紙などの精密製造されたインクジェットコートされた紙とよく相関させることはできない。本来、実験用に塗布したコーティングは、商業的にコートされた紙よりも低いレベルのコーティング堅牢性を示す。先の結果に述べた斑/凝集および湿潤/乾燥皺などの、重大と思われる問題は、基紙への配合Jのさらに精密なおよび制御されたコーティングによって改善される筈である。
【0124】
配合Jでコートされた紙の印刷品質評価試験は、コーティング技法によると思われる、斑/凝集および湿潤/乾燥皺に関する問題を示した。
【0125】
配合Jの商業的、生産規模の適用は、これらの問題を排除するであろう。
【0126】
印刷された配合Jをコートした紙の光学的試験は、染料ベースインクの2種の異なるタイプを含む評価された全ての色に対して改善された彩度値を示す。インク発色についてのポリデキストロースの効果を測定するために、彩度評価を、3種の紙上に印刷された種々の色について実施した。彩度は、一般に色純度と呼ばれる。より高い彩度値は、色のより高い純度、より深みのあるまたはより濃い色を与えることに相関する。3種の紙を前述のHP DeskJet6122プリンターにより印刷し、彩度を評価した。結果を表13に示す。
【0127】
【表13】

【0128】
彩度測定は、全ての色に対して、配合Jコートされた紙で最も高かった。これは、配合中に存在するポリデキストロースに直接関係する。これらの結果を証明するために、Epson Color Stylus C44UXプリンターを使用して、同一の試験パターンを印刷した。C44UXプリンターにおいて使用された全てのインクは、純粋に染料ベースである。結果を表14に示す。
【0129】
【表14】

【0130】
得られた値は、バインダーとしてポリデキストロースを組み込んだトップコートによるより高い彩度の傾向を確認した。試験印刷に対する彩度値は、2種の標準的な市販のインクジェット紙に見られる彩度値に対して、同等ないし著しく改善された範囲にあった。
【0131】
本発明のある種の好ましいおよび別の実施形態を、本発明を開示する目的で述べてきたが、開示された実施形態に対する改変は、当業者には行い得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神の範囲から逸脱しない、全ての本発明の実施形態およびこれらの改変を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】ポリデキストロースに対するFIBERSOL-2(登録商標)の結合分布を描く図である。
【図2】ポリデキストロースと比較したFIBERSOL-2(登録商標)の結合および分枝の要約を描く図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカからなる増量材、担体液体および多糖を、前記多糖を含まないインク受容媒体トップコートと比較してインクジェット印刷性または発色を向上するのに有効な量において含む、インクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項2】
前記トップコートが、固体重量部に基づいて約5%から約93%の間の多糖を含む、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項3】
前記トップコートが、固体重量部に基づいて約50%から約70%の間の多糖を含む、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項4】
前記多糖が、オリゴ糖、マルトオリゴ糖(マルトデキストリン)、イソマルトオリゴ糖、シクロデキストリン、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、キチン/キトサンオリゴ糖、アルビノガラクタン、プルラン、ポリデキストロース、不消化性デキストリン、不消化性多糖、デキストリン化オリゴ糖およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項5】
前記多糖が、ポリデキストロースである、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項6】
前記多糖が、不消化性デキストリンである、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項7】
前記増量材が、シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項8】
炭酸カルシウムまたはカオリンが、増量材中にさらに存在する、請求項7に記載のインク受容媒体トップコート。
【請求項9】
前記シリカが、重量部に基づいて約25%から約50%の濃度においてトップコート中に存在する、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項10】
前記担体液体が、脱イオン水、アルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項11】
前記担体液体が、脱イオン水である、請求項10に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項12】
前記脱イオン水が、重量部に基づいて約50%から約85%の量において存在する、請求項11に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項13】
前記トップコートが、添加剤をさらに含む、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項14】
前記添加剤が、媒染剤、固定剤、分散剤、蛍光増白剤、レオロジー改質剤、均染剤、脱泡剤、界面活性剤、防腐剤、殺生物剤、バインダー、UV吸収剤、蛍光増白剤、光安定剤、抗酸化剤、湿潤剤、スペーシング剤、可塑剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項15】
前記トップコートが、殺生物剤をさらに含む、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項16】
前記トップコートが、界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項17】
前記界面活性剤が、ポリエチレングリコールである、請求項16に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項18】
セルロース誘導体、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、寒天、クズウコン、グアー、カラゲナン、トラガカント、キサンタン、ゼラチン、ポリビニルピロリドンポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリオキサゾリン、ポリビニルアセトアミド、部分加水分解ポリ酢酸ビニル/ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、スルホン化またはリン酸化ポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、これらのコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択されるバインダーをさらに含む、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項19】
前記トップコートが、固体重量部に基づいて約10%から約50%の間の総固体を含む、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項20】
前記トップコートが、約10から約20cpsの粘度を有する、請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用インク受容媒体トップコート。
【請求項21】
多糖が、水素化されているポリデキストロースである、請求項1に記載のインク受容媒体トップコート。
【請求項22】
多糖を、担体液体中で視覚的に均一になるまで増量材と混合する工程を含む、インクジェット印刷媒体用の請求項1に記載のインク受容トップコート組成物を作製する方法。
【請求項23】
前記多糖が、ポリデキストロース、不消化性デキストリン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記増量材がシリカであり、前記多糖がポリデキストロースである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
添加剤が前記組成物に添加され、前記添加剤が以下の成分の少なくとも1種:媒染剤、固定剤、分散剤、蛍光増白剤、レオロジー改質剤、均染剤、脱泡剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、光安定剤、抗酸化剤、湿潤剤、スペーシング剤、可塑剤、防腐剤、殺生物剤、界面活性剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
請求項22に記載のトップコート組成物を調製する工程;
基体の少なくとも片側にトップコートをアプライする工程;および
基体上の前記トップコートを乾燥して、インクジェット印刷媒体を生成する工程
を含む、インクジェット印刷媒体を作製する方法。
【請求項27】
トップコートをアプライする工程が、トップコートを基体の両側にアプライすることを含む、請求項26に記載のインクジェット印刷媒体を作製する方法。
【請求項28】
多糖、増量材および担体液体を含むトップコート組成物をインクジェット媒体ベース支持層にアプライすることを含む、請求項27に記載のインクジェット印刷媒体を作製する方法。
【請求項29】
前記多糖が、ポリデキストロース、不消化性デキストリンまたはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項27に記載のインクジェット印刷媒体を作製する方法。
【請求項30】
前記多糖が、ポリデキストロースである、請求項29に記載のインクジェット印刷媒体を作製する方法。
【請求項31】
前記多糖が、不消化性デキストリンである、請求項29に記載のインクジェット印刷媒体を作製する方法。
【請求項32】
前記トップコートが、約2〜約13グラム/平方メートルの厚さにアプライされる、請求項27に記載のインクジェット印刷媒体を作製する方法。
【請求項33】
基体および前記基体に層状化された請求項1に記載のインクジェット印刷媒体用のインク受容トップコートを含み、トップコートの量が、約1〜約25グラム/m2の範囲である、印刷された製品。
【請求項34】
前記製品が、紙、カードストック、金属、木材、プラスチック、テープ、フィルムまたはこれらの組合せである、請求項33に記載の印刷された製品。
【請求項35】
請求項1または4に記載のインク受容トップコート組成物により表面をコートされた基体。
【請求項36】
改善された印刷媒体であって、媒体がコーティング層を有し、改善が請求項1または4に記載のインク受容トップコート組成物から構成される前記印刷媒体の前記コーティングを含む、改善された印刷媒体。
【請求項37】
前記媒体が、紙、カードストック、金属、木材、プラスチック、テープ、フィルムまたはこれらの組合せである、請求項36に記載の改善された印刷媒体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−522876(P2008−522876A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545605(P2007−545605)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/044344
【国際公開番号】WO2006/063096
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507191120)
【Fターム(参考)】