説明

バクテリアセルロース含有調合物及び有効なバクテリアセルロース含有調合物の製造方法

【課題】バクテリアセルロースの新しい調合物、及び特に低エネルギィで粘度変化を生じさせるように適用された改良した粘度改質特性を示すバクテリアセルロースの調合物を製造する新しい方法を提供する。
【解決手段】過剰なアルコールの存在下での沈殿を可能にし、高いエネルギィ混合を導入する必要なくい増粘剤又は懸濁助剤として用いられることができる不溶性線維を形成する水溶性架橋助剤(co−agent)を用いた新規の共沈を具えた、バクテリアセルロース含有調合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、一般的に、特に、粘性変化を生じさせるように適用された、特にエネルギィの低い改善した粘性改質特性を示すバクテリアセルロースの調合物を産生する新しい方法に関する。このような方法は、過剰なアルコールの存在下で沈殿を可能にし、高エネルギィでの混合を導入する必要性なく増粘剤又は懸濁助剤として用いることができる不溶性繊維を形成する水溶性架橋助剤(co−agent)を用いた新規な共沈を含む。このようなバクテリアセルロースの特性は、過去にも入手可能であったが、高い労働集約的プロセス及びエネルギィ集約的プロセスによってのみ入手可能であった。従って、現在提案されているこのような発明の方法は、従来のバクテリアセルロースの特性と同様に有効な特性だけでなく、いくつかの方法では、このような従来のタイプのバクテリアセルロースを改良した特性を示すバクテリアセルロース含有調合物を提供する。また、これらの新規なバクテリアセルロース含有調合物を含むある種の最終用途組成物及びアプリケーションも、本発明に包含される。
【0002】
本発明の背景
このような化合物は基本的に植物材料由来のセルロースと同じ化学構造であるが、バクテリアセルロースは、高度に所望の特性を示す多糖類の広義のカテゴリィである。しかし、この名称が示すように、これらの多糖類の源は、醗酵、精製、及びこれらの再生の結果として、(一般的にアセトバクタァ属の微生物によって生成される)天然のバクテリアである。このようなバクテリアセルロース化合物は、束状構造(平均0.1乃至0.2ミクロンの直径を有する)を持つ非常に特徴的な寸法とアスペクト比(それぞれ直径約40乃至100nm及び長さ0.1乃至15ミクロン)を有する非常にきめの細かいセルロース線維でできている。このようなもつれた束状構造は、水溶液中で膨張を促進し、これによって優れた3次元構造を提供する網状ネットワーク構造を形成する。この3次元構造は、優れた体積粘性率と共に対象の液体中に降伏応力システムを構築することによって、懸濁能力と、適切で所望の粘性改質を生じる。従って、このような結果により、時間が経つと溶液、特に水溶液から沈殿する傾向を有する材料(一例としては、食材等)の極めて有効な懸濁が可能である。加えて、このようなバクテリアセルロース調合物は、初期の段階で、即席液体食品(即ち、スープ、チョコレートドリンク、ヨーグルト、ジュース、乳製品、ココア等)の所望の懸濁レベルに到達するために、混合や加熱を通して比較的大きなエネルギィを消費する必要性があったとしても、沈殿や分離の防止を助ける。
【0003】
得られた線維(従って、束)は、水に不溶であり、上記の能力をもって、ポリオール粘性特性及び水粘性特性を示す。一の特定のタイプのバクテリアセルロース、即ち、ミクロフィブリル化セルロースは、通常荷電されていない状態で提供され、あらゆる他の影響と関連しない能力を示す。しかし、増粘又はその他のタイプの粘性改質を生じさせるこのような追加の添加剤を加えなければ、得られた系が、特に、典型的な食品の保管期間の必要条件に関する期間に渡って高い不安定度を示すことがわかっている。この結果、セルロースガムとしても知られているカルボキシメチルセルロース(CMC)のような特定の架橋助剤(co−agent)が、この線維への吸着によってバクテリアセルロース生成物に導入され、次いで、安定性と分散性を提供するために、ほとんどの場合、バクテリアセルロース線維自身に伝達されたCMC上の負電荷の存在によって(あらゆる共沈ステップを実行することなく)スプレィ乾燥する。従って、このような電荷が反発能力を提供して、線維束が形成したネットワークを緩めることを防止する。このような可能性があっても、適切なCMCの選択は、特定のCMC生成物の塩及び酸感応性があるゆえに、対象バクテリアセルロースの得られたレオロジィ特性に多大に影響することが知られている。このように、過去にバクテリアセルロースの利用の改善が、このようなCMC含有と共に提供されているが、pHの適正なレベルを確実にして、塩濃度を全ての調合物に好適にするには、多大な手間がかかる。この理由のために、無数の用途においてバクテリアセルロースを用いる信頼性より高めるための更なる改良点が、対象となる業界には非常に興味深い。
【0004】
更に、このようなバクテリアセルロースは、液体ベースの食品中の有効なレオロジィ改質を提供する点で非常に興味深く重要であるが、上記の理由のために、このようなセルロース材料を生産することのコストが非常に高く、特にこれらから生じる必要な労働と廃棄物問題に関するコストが非常に高いことが分かった。最初は、このような材料の醗酵によって、非常に低量を得る。一般的に、このようなバクテリアセルロース材料を精製して回収する生産方法は、開始醗酵の効率に関して、十分な量のバクテリアセルロース生成物のあるウェットケーキを生成するために、醗酵を完了後、厄介な一連のステップが必要である。また、更なるスプレィ乾燥は、粉末生成中のバクテリアセルロースの最終回収量に影響することがある。
【0005】
このような必要以上のステップは、労働集約的でエネルギィ集約的であるだけでなく、結果として、処理及び取扱が必要である多量の排水及びゴミ材料を生じる。このように、バクテリアセルロース(特に、ミクロフィブリル化セルロース)の生産コストは、その他のゴムと比較して過度に高く、従って、ある種の所望の最終用途でのこのような生成物の利用を制限することが証明された。これまで、これらの問題を解決するために開発された有効な方法はなく、上記の伝統的な生産方法によって生産された材料と比較して、目的の用途で、ある種の改善された特性を示すバクテリアセルロース材料を最終的に提供する方法については言及されていなかった。
【0006】
本発明の簡単な説明
従って、本発明は、a)醗酵を通して、バクテリアセルロース生成物を提供するステップと;b)得られたバクテリアセルロース生成物からバクテリア細胞を選択的に溶解するステップと;c)ステップ「a」又はステップ「b」の前記得られたバクテリアセルロースを少なくとも一の荷電セルロースエーテル、少なくとも一の沈殿剤、及びこれらのあらゆる組み合わせからなる群より選択されたポリマ増粘剤と混合するステップと;d)ステップ「c」の混合物を水混和性非水性液体(非限定的な例として、アルコール等)と共沈させるステップと;を具えるバクテリアセルロース含有調合物の生産方法を包含する。ステップ「c」の利用可能な荷電セルロースエーテルは、網状ネットワーク中に最終用途組成物を分散して安定化するのに用いられる化合物であり、バクテリアセルロース含有調合物に加える。この荷電した化合物は、上記で触れたように、個々の線維の反発力によって必要な線維のネットワークを形成する能力を強化する。ステップ「c」の利用可能な沈殿剤は、乾燥及びミリング中に網状バクテリアセルロース繊維の機能を保存するために用いる化合物である。このような荷電セルロースエーテルの例としては、全体として正又は負を示すセルロースベースの化合物が挙げられ、限定するものではないが、なんらかのカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。沈殿(乾燥)剤は、限定するものではないが、キサンタン生成物、ペクチン、アルギン酸、ジェランガム、ウェランガム、ジウタンガム(diutan gum)、ラムザンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、その他を含む天然及び/又は合成生成物から成る群より選択される。必須ではないが、スプレィ乾燥後及びレオロジィ改質される対象の液体に組み込む前に、バクテリアセルロースを再活性する能力に関する理由のために、沈殿(乾燥)剤を含むことが好ましい。従って、本発明に包含されるもう1つの特徴的な方法は、a)醗酵を通して、バクテリアセルロース生成物を提供するステップと;b)バクテリアセルロース生成物からバクテリア細胞を選択的に溶解させるステップと;c)ステップa)又はステップb)の前記結果として得られるバクテリアセルロース生成物をバイオガム(醗酵培養液から溶解したバクテリア細胞を有する醗酵培養液として組み込まれている場合)と混合するステップと;d)ステップc)の前記混合物を水混和性非水性液体と共沈させるステップと;を具える。代替として、このような特定の方法は、a)醗酵を通して、バクテリアセルロース生成物を提供するステップと;b)前記バクテリアセルロース生成物をバイオガムと選択的に混合するステップと;c)ステップ「b」の混合物を共溶解して、この混合物からバクテリア細胞を取り除くステップと;d)ステップc)の前記混合物を水混和性非水性液体と共沈させるステップと;を具える。得られた共沈生成物は、その後乾燥させることができるプレスケーキの形状であり、これによって得られた粒子を次いでミリングして、所望の粒径にする。更に、ある種の用途に、粒子を、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のもう一つの親水コロイドと混合して、ある特性を提供する。加えて、本開発の発明品は、少なくとも一のバクテリアセルロース材料と、少なくとも一のポリマ増粘剤と、少なくとも一の荷電セルロースエーテルと、キサンタン生成物、ペクチン、アルギン酸、ジェランガム、ウェランガム、ジウタンガム(diutan gum)、ラムザンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム等、及びこれらのあらゆる組み合わせからなる群より選択された少なくとも一の沈殿剤と、から成る群より選択された少なくとも一のポリマ増粘剤とを具えるバクテリアセルロース含有調合物として規定され、この調合物は、500mL試料の水の最大0.36重量%の量を導入して、拡張ホモジナイザで1500psiで最大2工程適用した後に、少なくとも300cpsの粘性能力と、1.0ダイン/cmの降伏応力値を示す。
【0007】
一の潜在的に好ましい実施例として、バクテリアセルロースの調整及びこれによって産生したキサンタンは、労働集約的活性化及びエネルギィ集約的活性化を何ら必要とすることなく、活性を促進するという明確な利点を有する。この方法全体の別の明確な利点は、荷電セルロースエーテル又はそこに存在する沈殿(乾燥)剤を用いて、イソプロピルアルコールを用いた沈殿によって得られるバクテリアセルロース含有調合物を収集する能力である。従って、バクテリアセルロースは、上記の方法で共沈されるので、アルコール不溶性ポリマ増粘剤(キサンタン又はCMCナトリウム等)が、特定の科学的理論に何ら拘束されることを意図せずに発現して、これらの結果として形成された線維の少なくとも一部分をコーティングすることによってバクテリアセルロースに保護を提供する。このような方法で、ポリマ増粘剤は、実際に非水性溶液(好ましくは、低アルキルアルコール等)を添加したときセルロース線維が結合して脱水するのを助け、従って、このような共沈段階中に実質的な量の低収量多糖類を回収すると思われる。従って、精製及び回収ステップ中に実質的な量の水を回避することによって、最終的に多量のバクテリアセルロースを回収することができる。この新規なプロセスで、多量の醗酵したバクテリアセルロースを回収することができ、従って上記のように、排水の回避及びこのような結果生成物を得るのに一般的に必要な脱水及び再スラリ化を行う複数の経路と共に、所望の高い生産効率を提供する。更に、上記のように、バクテリアセルロース繊維束の少なくとも一部のコーティングとしても、乾燥剤、特に一の非限定的例として、キサンタン生成物の存在が、対象最終用途組成物内に導入されるときに、活性化の必要性の改善を提供するように思われる。驚くべきことに、同様のタイプの上記の生成物と比較して、本発明のバクテリアセルロース含有調合物によれば、所望のレオロジー改質の利点を達成するのに必要なエネルギィが顕著に減少する。同様に、バクテリアセルロース(即ち、ミクロフィブリル化セルロース、以下、「MFC」と呼ぶ)は、可溶性ポリマ増粘剤単独の場合と比較して、特徴的な機能及びレオロジィを提供するので、本発明の方法によって製造した結果生成物は、再活性化の必要条件の改善、高温での食品加工中の耐粘度変化、及び長期保存中の改善された懸濁特性を有する典型的なプロセスに代わって、低コストの代替プロセスを可能にする。
【0008】
本発明の詳細な説明
本発明の目的のために、「バクテリアセルロース含有調合物」という用語は、本発明の方法によって製造されたようなバクテリアセルロース生成物を包含することを意図しており、従って、得られたバクテリアセルロース繊維束の少なくとも一部を被覆するキサンタン生成物を含む。従って「調合物」という用語は、これらから製造した生成物が、バクテリアセルロースとこのような方法で製造したキサンタンの組み合わせであり、このような結果としての構造及び構成を示す。「バクテリアセルロース」という用語は、アセトバクタァ属の微生物の発酵を介して製造したあらゆるタイプのセルロースを包含することが意図されており、ミクロフィブリル化セルロース、網状バクテリアセルロース等と一般的に呼ばれる材料を含む。
【0009】
上記のように、バクテリアセルロースは、様々な組成物において有効なレオロジィ改質剤として用いることができる。このような材料は、流体中に分散した場合、高い降伏応力を有する高粘度のチキソトロピィ混合物を生成する。降伏応力は、ゲル状系で流動を開始するのに必要な力の値である。降伏応力は、流体の懸濁能力を示し、同様に垂直面に対して適用した後にインサイチュウで残る流体の能力を示す。
【0010】
典型的に、このようなレオロジィ改質挙動は、水、ポリオール(例えば、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、又はこれらの混合物といった親水性溶媒中のバクテリアセルロースの混合物の処理の度合を介して提供される。この処理は、「活性化」と呼ばれ、一般的に高圧均質化及び/又は高剪断混合を具える。しかしながら、本発明のバクテリアセルロース含有調合物は、低いエネルギィ混合で活性化することが分かった。活性化は、セルロースが、活性が起きる塩基溶媒又は溶媒混合物に対して、又は活性化セルロースを加える組成物に対して機能性を付与するように3次元構造のセルロースが改質されるプロセスである。機能性には、増粘性、降伏応力、熱安定性、懸濁特性、凍結融解安定性、流量制御、泡の安定化、コーティング及びフィルム形成等といった特性を提供することが含まれる。活性化プロセス中に次いで行う処理は、単に塩基溶媒中でセルロースを分散すること以上のことを実質的に行う。このような処理は、セルロース線維を「解きほぐして」セルロース線維を拡張させる。バクテリアセルロース含有調合物は、湿ったスラリーの形状(分散)で、又は目的の流体組成物に対して所望のレオロジィの利点を与えるスプレィ乾燥又は凍結乾燥といったよく知られている乾燥技術を用いて分散物を乾燥させることによって製造した乾燥生成物として用いることができる。バクテリアセルロース(MFC又は網状バクテリアセルロース等)の活性化は、セルロース部分を拡張し、非常に表面積が大きい十分に絡み合った線維でできた網状ネットワークを形成する。活性化した網状バクテリアセルロースは、従来の微結晶性セルロース(即ち、植物源によって提供されるセルロース)よりも少なくとも200倍大きいと考えられる非常に高い表面積を有する。
【0011】
本明細書で用いるバクテリアセルロースは、アセトバクタァ属微生物の発酵生成物と関連したあらゆるタイプのものであってよく、一例として、商標CELLULON(登録商標)の下CPKelco U.S.社から以前は入手可能であった。このような好気性培養生成物は、水に不溶である線維の高い網状分枝相互連結ネットワークによって特徴付けられる。
【0012】
このようなバクテリアセルロース生成物の調製はよく知られている。例えば、ここで参照されている米国特許第5,079,162号及び米国特許第5,144,021号は、アセトバクタァ・アセチ・キシリナムの菌株を用いて、撹拌した培地条件下で好気的に網状バクテリアセルロースを生成するための方法及び培地を開示している。撹拌した培地条件の使用によって、1時間当たり少なくとも0.1g/リットルの所望のセルロースの平均70時間を超える持続性のある産生となる。ほぼ80乃至85%の水を含有する網状セルロースのウェットケーキは、上記の特許で開示された方法及び条件を用いて製造することができる。乾燥網状バクテリアセルロースは、よく知られているスプレィ乾燥又は凍結乾燥といった乾燥技術を用いて製造することができる。
【0013】
特徴的には、アセトバクタァは、0.6乃至0.8ミクロン×1.0乃至4ミクロンのグラム陰性桿菌である。アセトバクタァは、絶対好気性有機体であり;即ち、代謝は呼吸であり、醗酵ではない。更に、この微生物は、化学的にセルロースと同じである多重ポリβ−1,4−グルカン鎖を産生する能力によって区別される。網状バクテリアセルロースのマイクロセルロース鎖、又は微小繊維は、細胞膜外部においてバクテリア表面で合成される。これらの微小繊維は、一般的に約1.6nm×5.8nmの断面寸法を有する。対照的に、静置培養(static culture)又は静置培養(standing culture)条件下では、細菌表面の微小繊維は結合して、約3.2nm×133nmの断面寸法を一般的に有する小繊維を形成する。これらのアセトバクター生産小繊維の小さな断面サイズは、セルロースの付随する大きな表面及び固有の親水性と共に、水溶液を吸収するための非常に高い能力を有するセルロース生成物を提供する。添加剤は、安定した粘性分散の形成を助けるために、多くの場合、網状バクテリアセルロースと組み合わせて用いられる。
【0014】
このようなバクテリアセルロースを精製し及び回収するのに伴う特有の上記の問題は、本明細書で用いられている方法が、所望の程度の素晴らしい結果を提供することを決定する。プロセス全体の第1のステップは、醗酵した形態でいくらかの量の目的のバクテリアセルロースを提供することである。このステップのための生産方法は、上に記載されている。このような生成物の収量は、一貫して高レベルで生成することが非常に困難であることが証明されており、従って、回収した生成物を低コストで最終的に提供するためには目的生成物を保持することが不可欠である。
【0015】
このような材料についての精製はよく知られている。バクテリアセルロース生成物からのバクテリア細胞の溶解は、水酸化ナトリウム、又はセルロース系生成物から可能な限り多くの好気性バクテリア細胞を適切に除去する量の高pH(好ましくは、pH約12.5より上)の添加剤等の腐食剤の導入によって達成される。これは、所望ならば、一ステップ以上で続けられる。次いで、酸で中和するステップが続く。戦うための(従って、効果的に中和するか、生成物のpHレベルを可能な限り7.0近づくように低減する)pHとモル濃度が十分に低いあらゆる好適な酸を用いることができる。硫酸、塩化水素、及び硝酸は全て、このようなステップのための好適な例である。当業者は、このような目的のためにこのような反応剤の適切な選択及び量を容易に決定するであろう。代替として、細胞を溶解し、酵素法(適切なpHでリゾチーム及びプロテアーゼを用いる処理)によって消化することができる。
【0016】
次いで、溶解した生成物を、ポリマ増粘剤と混合して、バクテリアセルロースの目的線維及び束を効果的に被覆する。ポリマ増粘剤は、アルコール(特に、イソプロピルアルコール)に不溶でなくてはならない。このような増粘剤は、目的の流体組成物中へのバクテリアセルロースの分散助剤か、バクテリアセルロースを乾燥させて、バクテリアセルロースからより容易に水を除去する助剤であると共に、目的流体組成物内で繊維を分散又は懸濁する潜在的な助剤である。適切な分散助剤(分散剤)には、限定はされないが、CMC(様々なタイプの)、カチオン性HECその他が含まれ、天然のポリマであるあらゆる化合物であり、目的の液体溶液に導入されたときに、バクテリアセルロース線維に必要な分散能力を示す。好ましくは、このような分散助剤は、CP Kelco社から入手可能なCEKOL(登録商標)等のCMCである。上述した通り、適切な沈殿助剤(沈殿剤)には、キサンタン生成物(CP Kelco社から入手可能なKELTROL(登録商標)、KELTROL T(登録商標)等)、ジェランガム、ウェランガム、ジウタンガム(diutan gum)、ラムザンガム、グアーガム、ローカストビーンガム等を含むあらゆるバイオガム、及び非限定的な例としてペクチン等のその他のタイプの天然ポリマ増粘剤が挙げられる。好ましくは、ポリマ増粘剤はキサンタン生成物であり、導入されて培養液の形態のバクテリアセルロースと混合される。基本的に、培養液、粉末形状、又は再水和粉末形状中の2つの生成物の混合によって、バクテリアセルロースの繊維及び/又は束の少なくとも一部を被覆するキサンタンの所望の生成が可能である。一の実施例では、バクテリアセルロースとキサンタンの培養液を混合して、次いで、双方を精製して(溶解して)残留バクテリア細胞を除去する。別の実施例では、最初に溶解させることなく培養液を共に混合するが、混合中に共溶解してこのような精製が生じる。
【0017】
この方法での各成分の量は非常に様々である。例えば、バクテリアセルロースは、通常添加したポリマ増粘剤が約0.1重量%乃至約5重量%、好ましくは約0.5重量%乃至3.0重量%の量で存在するが、一方で、ポリマ増粘剤は、バクテリアセルロースの10乃至約900重量%の量で存在してもよい。
【0018】
ポリマ増粘剤によるバクテリアセルロースの混合及びコーティングの後に、得られた生成物を水混和性非水性液体の共沈によって回収する。好ましくは、毒性、適用性、及びコストの理由によって、このような液体は、アルコールであり、最も好ましくはイソプロピルアルコールである。アセトン、酢酸エチル、及びこれらのあらゆる組み合わせといったその他の水混和性非水性液体は言うまでもなく、エタノール、メタノール、ブタノール等といったその他のタイプのアルコールを同様に用いることができる。このような非水性液体の混合物は、共沈ステップにも用いることができる。一般的に、共沈生成物は、固体−液体分離装置によって処理され、アルコール−可溶性成分が除去され、所望のバクテリアセルロース含有調合物が残る。
【0019】
これから、ウェットケーキ形状生成物を回収し、次いで、乾燥装置に移して、適切な粒径生成のためにミリングする。更に、架橋助剤(co−agent)をウェットケーキ又は乾燥材に添加し、更なる特性及び/又は利点を提供する。このような架橋助剤(co−agent)としては、ショ糖、ブドウ糖、マルトデキストリン等といった低分子量糖類に加えて、植物、藻類、及びバクテリア多糖類及びこれらの誘導体が挙げられる。バクテリアセルロース含有調合物に存在することがあるその他の添加剤としては、限定するものではないが、親水コロイド、ポリアクリルアミド(及び同族体)、ポリアクリル酸(及び同族体)、ポリエチレングリコール、ポリ(酸化エチレン)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉(糖ベース分子)、改質澱粉、動物誘導ゼラチン、及び非荷電セルロースエーテル(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)が挙げられる。
【0020】
本発明のバクテリアセルロース含有調合物は、飲料、凍結製品、培養乳製品等を含む過剰の可能な食品組成物;家庭用洗剤、柔軟剤、ヘアコンディショナ、ヘアスタイリング剤、又は安定化剤又はアスファルト乳剤、殺虫剤、金属加工用、ラテックス製造用、紙及び不織布用、生物医学的応用の腐食防止剤、医薬品賦形剤、及び石油掘削用流体等の配合剤等の非食品成分;に導入される。上述したように調製した本発明の調合物を含有する流体組成物は、流体組成物の全重量の約0.01重量%乃至約1重量%、好ましくは約0.03重量%乃至約0.5重量%の量で、このようなバクテリアセルロース含有調合物を含んでいてもよい。最終的に生成したバクテリアセルロース含有調合物は、(最大で0.36重量%の量で加えられる場合)、少なくとも300cpsの500mLの水試料粘性改質を与えるべきであり、少なくとも1.0ダイン/cmの同じ試験試料での降伏応力値についても同様である。
【0021】
本発明の好ましい実施例
次の非限定的例は、本発明で包含されている種々の方法の教示を提供する。
【0022】
例1
1.49重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で、MFCを生産した。培養液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。この処理したMFC培養液の一部を、所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=2/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をイソプロピルアルコール(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。次に、このプレスケーキの一部を2時間70℃でオーブンの中で乾燥させて、Brinkmann Mill中で60メッシュにミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量の標準水道水(STW、2.782gのCaCl・HOと18.927gのNaClを5ガロンの脱イオン水中に溶解する)溶液(500ml)に導入し、同時に20重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え(結果として、0.288%のMFC/キサンタンと0.072%のCMCの量となる)、次いで、この組成物を、8000rpmで10分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度(Brookfield粘度計を介して測定した、5rpmで1分間、61スピンドル)と降伏応力は、それぞれ1176cPと4.91ダイン/cmであった。
【0023】
次いで、210mLの得られた活性化MFC溶液(0.36%)を、1つのビーカに対して、15.5グラムの級化砂(60メッシュではなく80メッシュを通して)と混合し、1分間混合した。個々のビーカに対して、別の210mL試料の得られた活性化MFC溶液を15.5グラムの精製CaCOと混合し、1分間混合した。各ビーカの内容物を、個々の100mLメスシリンダに分注し、各シリンダ中で100mLのマークに希釈した。各場合で、この溶液は、素晴らしい懸濁特性を示し、固体(砂か炭酸カルシウムのどちらか)は目的溶液からの沈殿を示さなかった。次いで、沈殿がこの時間中に起こるかどうかを決定するために、24時間室温(22乃至25℃)で、メスシリンダをそれぞれ保存した。各試料で、24時間後に完了し、上部か底部のどちらかから試料の層分離は、(目測で)10%未満であり、従って、長期の素晴らしい懸濁特性を示していた。
【0024】
例2
MFCを1.49重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。高剪断下で、処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=3/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、同時に20重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、8000rpmで10分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ709cP及び1.96ダイン/cmであった。
【0025】
例3
MFCを1.49重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。高剪断下で、処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=4/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、同時に20重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、8000rpmで10分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ635cP及び1.54ダイン/cmであった。
【0026】
例4
MFCを1.49重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=3/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、同時に10重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、8000rpmで10分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ1242cP及び4.5ダイン/cmであった。
【0027】
例5
MFCを1.49重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=3/1、無水ベース)で混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、同時に20重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、8000rpmで10分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ1242cP及び4.5ダイン/cmであった。
【0028】
例6
MFCを1.49重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=3/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、同時に20重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、2工程間用に1500psiで拡張ホモジナイザを用いて活性化した。この生成物の粘度及び降伏値は、それぞれ1010cP及び1.76ダイン/cmであった。
【0029】
例7
MFCを1.93重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=3/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、同時に20重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、8000rpmで5分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ690cP及び2.19ダイン/cmであった。
【0030】
例8
MFCを1.93重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液及びCMC溶液(MFC/XG/CMC=3/1/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、次いで、この組成物を、8000rpmで5分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ1057cP及び3.65ダイン/cmであった。
【0031】
例9
MFCを1.93重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のペクチン溶液(MFC/ペクチン=6/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、同時に20重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、8000rpmで5分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ377cP及び1.06ダイン/cmであった。
【0032】
例10
MFCを1.93重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のCMC溶液(MFC/CMC=3/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、次いで、この組成物を、8000rpmで5分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ432cP及び1.39ダイン/cmであった。
【0033】
例11
MFCを1.93重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のペクチン溶液及びCMC溶液(MFC/ペクチン/CMC=6/1/2、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、プレスケーキを形成した。このプレスケーキを例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.36重量%の量のSTW試料に導入し、次いで、この組成物を、8000rpmで5分間、Silversonミキサで混合した。この生成物の粘度及び降伏応力は、それぞれ552cP及び1.74ダイン/cmであった。
【0034】
例12
MFCを1.51重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと194ppmのプロテアーゼで処理し、更に別の350ppmの次亜塩素酸で処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=2/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.2重量%の量のSTW溶液に導入し、同時に10重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、2工程間用に1500psiで拡張ホモジナイザを用いて活性化した。この生成物の6rpmでの粘度は、377cPであった。
【0035】
例13
MFCを1.6重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと350ppmのプロテアーゼで処理し、更に別の350ppmの次亜塩素酸で処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=2/1、無水ベース)と混合し、次いで、得られた混合物をIPA(85%)で沈殿させて、例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.2重量%の量の、脱イオン水溶液、STW溶液、及び0.25%CaCl溶液に導入し、同時に10重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を、2工程間用に1500psiで拡張ホモジナイザを用いて活性化した。この生成物粘度は、脱イオン水、STW及び0.25%CaCl溶液中でそれぞれ512cP、372cP及び358cPであった。
【0036】
例1で実施された試験と同様に、この試料と共に約203.2mmの直径を有するナイロンビーズ(それぞれ約1.14g/mLの密度を示す)を各溶液(脱イオン水、STW、又は0.25%CaCl溶液)中に滴下し、これらの溶液を室温で24時間放置した。24時間経過後も、ビーカの底にはビーズは沈下しておらず、従って、長期の素晴らしい懸濁特性を示した。
【0037】
例14
MFCを1.51重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと350ppmのプロテアーゼで処理し、更に別の350ppmの次亜塩素酸で処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液(MFC/XG=2/1、無水ベース)と混合し、次いで、IPA(85%)で沈殿させて、例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.2重量%の量の脱イオン水試料に導入し、同時に10重量%のCMCを加え、次いで、この組成物を2500rpmで10分間、プロペラミキサで撹拌した。生成物粘度は、185cPであった。
【0038】
例15
MFCを1.4重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと350ppmのプロテアーゼで処理し、更に別の350ppmの次亜塩素酸で処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液及び水和済み(pre−hydrated)CMC溶液(MFC/XG/CMC=6/3/1、無水ベース)と混合し、次いで、IPA(85%)で沈殿させて、例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.2重量%の量のSTW溶液及び0.25%CaCl2溶液にそれぞれ導入し、この組成物を、2工程間用に1500psiで拡張ホモジナイザを用いて活性化した。この生成物の6rpmでの粘度は、STW及び0.25%CaCl溶液中で、それぞれ343cP及び334cPであった。直径約203.2mmのナイロンビーズ(1.14g/ml)を各溶液(STW又は0.25%CaCl2溶液)内に落とし、これらの溶液を室温で24時間放置した。24時間後、ビーズはビーカの底に沈んでいなかった。
【0039】
例16
MFCを1.6重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと350ppmのプロテアーゼで処理し、更に別の350ppmの次亜塩素酸で処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液及び水和済み(pre−hydrated)CMC溶液(MFC/XG/CMC=6/3/1、無水ベース)と混合し、次いで、IPA(85%)で沈殿させて、例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.2重量%の量のSTW溶液及び0.25%CaCl2溶液にそれぞれ導入し、この組成物を、2工程間用に1500psiで拡張ホモジナイザを用いて活性化した。この生成物の6rpmでの粘度は、STW及び0.25%CaCl溶液中で、それぞれ306cP及び293cPであった。直径約203.2mmのナイロンビーズ(1.14g/ml)を各溶液(STW又は0.25%CaCl2溶液)内に落とし、これらの溶液を室温で24時間放置した。24時間後、ビーズはビーカの底に沈んでいなかった。
【0040】
例17
MFCを1.6重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと350ppmのプロテアーゼで処理し、更に別の350ppmの次亜塩素酸で処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のキサンタンガム培養液及び水和済み(pre−hydrated)CMC溶液(MFC/CMC=3/1、無水ベース)と混合し、次いで、IPA(85%)で沈殿させて、例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.2重量%の量のSTW溶液及び0.25%CaCl2溶液にそれぞれ導入し、この組成物を、2工程間用に1500psiで拡張ホモジナイザを用いて活性化した。この生成物の6rpmでの粘度は、STW及び0.25%CaCl溶液中で、それぞれ206cP及び202cPであった。直径約203.2mmのナイロンビーズ(1.14g/ml)を各溶液(STW又は0.25%CaCl2溶液)内に落とし、これらの溶液を室温で24時間放置した。24時間後、ビーズはビーカの底に沈んでいなかった。
【0041】
例18
MFCを1.54重量%の最終収率を有する1200ガロンの醗酵器で生成した。醗酵液を350ppmの次亜塩素酸で処理し、次いで、70ppmのリゾチームと350ppmのプロテアーゼで処理し、更に別の350ppmの次亜塩素酸で処理した。処理したMFC醗酵液の一部を所定量のジウタン培養液(MFC/Diutan=2/1、無水ベース)と混合し、次いで、IPA(85%)で沈殿させて、例1のように乾燥させてミリングした。粉末にした調合物を、約0.2重量%の量の脱イオン水溶液に導入し、同時に10%CMCを加えて、2工程間用に1500psiで拡張ホモジナイザを用いて活性化した。6rpmでの生成物粘度は、214cPであった。
【0042】
各試料は、素晴らしく、所望の高い粘度改質及び降伏応力の結果を示した。バクテリアセルロース生成物に関して、このような結果は、バクテリアセルロース材料単独で、及び/又は余り複雑でない方法では従来は達成できなかった。
【0043】
本発明は、好ましい実施例及び実践と共に記載され、開示されているが、これらの特定の実施例に、本発明を限定することを意図しておらず、むしろ、均等の構造、及び添付の特許請求の範囲及びこれらの均等物によって規定されるような全ての代替の実施例及び修正例を包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バクテリアセルロース含有調合物の製造方法において、
a)バクテリアセルロース生成物を提供するステップと;
b)前記バクテリアセルロース生成物からバクテリア細胞を選択的に溶解させるステップと;
c)前記ステップ「a」又はステップ「b」のバクテリアセルロース生成物と少なくとも一の荷電セルロースエーテルと、少なくとも一の沈殿剤と、これらのいずれかの組み合わせからなる群より選択されたポリマ増粘剤とを混合するステップと;
d)前記ステップ「c」の混合物と水混和性非水性液体を共沈させるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記ステップ「c」のポリマ増粘剤が、荷電セルロースエーテルであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記荷電セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらのいずれかの混合物から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記ステップ「c」のポリマ増粘剤が沈殿剤であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記沈殿剤が、キサンタン生成物、ペクチン、アルギン酸、ジェランガム、ウェランガム、ジウタンガム(diutan gum)、ラムザンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、及びこれらのいずれかの混合物から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記バクテリアセルロース生成物がミクロフィブリル化セルロースであることを特徴とする方法。
【請求項7】
バクテリアセルロース含有調合物の製造方法において、
a)バクテリアセルロース生成物を提供するステップと;
b)前記バクテリアセルロース生成物から前記バクテリア細胞を選択的に溶解させるステップと;
c)前記ステップa)又はステップb)の結果として得たバクテリアセルロース生成物を、キサンタン生成物、ペクチン、アルギン酸、ジェランガム、ウェランガム、ジウタンガム(diutan gum)、ラムザンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、及びこれらのいずれかの混合物から成る群より選択された少なくとも一の沈殿剤と混合するステップと;
d)前記ステップc)の混合物を水混和性非水性液体と共沈させるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記沈殿剤が、キサンタン、ペクチン、ジウタンガム(diutan gum)、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
バクテリアセルロース含有調合物の製造方法において、
a)バクテリアセルロース生成物を生成するステップと;
b)前記バクテリアセルロース生成物をキサンタン生成物、ペクチン、アルギン酸、ジェランガム、ウェランガム、ジウタンガム(diutan gum)、ラムザンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、及びこれらのあらゆる組み合わせからなる群より選択された少なくとも一の沈殿剤と混合するステップと;
c)前記ステップ「b」の混合物を共溶解して、これらからバクテリア細胞を除去するステップと;
d)前記ステップ「c」の混合物を水混和性非水性液体と共沈させるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記沈殿剤が、キサンタン、ペクチン、ジウタンガム(diutan gum)、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項11】
バクテリアセルロース含有調合物において、当該調合物が、少なくとも一のバクテリアセルロース材料と、少なくとも一の荷電セルロースエーテル、少なくとも一の沈殿剤、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択された少なくとも一のポリマ増粘剤とを具え、前記調合物が、多くても0.36重量%の量の500mLの水試料に導入して、拡張ホモジナイザで1500psiで多くても2工程適用した後に、少なくとも300cpsの粘性能力と、1.0ダイン/cmの降伏応力値を示すことを特徴とする調合物。
【請求項12】
請求項11に記載の調合物において、前記ポリマ増粘剤が、少なくとも一の荷電セルロースエーテルであることを特徴とする調合物。
【請求項13】
請求項12に記載の調合物において、前記荷電セルロースエーテルが、少なくとも一のカルボキシメチルセルロースナトリウム、少なくとも一のカチオン化ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする調合物。
【請求項14】
請求項11に記載の調合物において、前記ポリマ増粘剤が沈殿剤であることを特徴とする調合物。
【請求項15】
請求項14に記載の調合物において、前記沈殿剤が、キサンタン生成物、ペクチン、アルギン酸、ジェランガム、ウェランガム、ラムザンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、及びこれらのいずれかの混合物から成る群より選択されることを特徴とする調合物。
【請求項16】
請求項11に記載の調合物において、前記バクテリアセルロース生成物がミクロフィブリル化セルロースであることを特徴とする調合物。

【公開番号】特開2013−78326(P2013−78326A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257382(P2012−257382)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2008−513669(P2008−513669)の分割
【原出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(512304065)シーピーケルコ ユー.エス.,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】