説明

バスパネルおよびその組み立て方法

【課題】水漏れの心配のない既存もしくは新設の浴槽を簡易に木製の浴槽に構成することができ、しかも解体しても浴槽全体およびパネルの清掃が可能なバスパネルを提供する。
【解決手段】略浴槽の深さ程度の寸法の長さを有し、所望の幅の板材2の裏側の幅方向に複数の溝4を形成し、溝4に桟材3を嵌めて所望枚数の板材2を連続させてパネル1に形成し、桟材3を成形したパネル1の横幅一杯の長さとせずに桟材3の両端をパネル1両側のそれぞれの板材2幅の半分以下の長さに納まるようにし、つぎに、浴槽の幅方向の長さで、下面にパネル1の上端が嵌る溝を形成し、両側に接続部を形成した長尺縁材と、浴槽の上端開口の奥行き方向の長さで、下面にパネルの上端が嵌る溝を形成し、両端先端に上記長尺縁材の接続部に嵌合して接続する接続部を形成した短尺縁材とよりなるバスパネル1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存もしくは新規の浴槽の内面に設置して木材による浴槽とするバスパネルおよびその組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の小型の浴槽から各種施設の大型の浴槽において、浴槽の清掃や維持管理の容易さや耐久性からプラスチックやタイル等の浴槽が木製の浴槽に代わって主流となっている。
【0003】
しかし、ヒノキや杉等の材料による木製の浴槽に対する愛着は存在し、浴槽の交換時や新設時に木製の浴槽にしたいという願望は依然として根強い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
木製の浴槽は、プラスチック、ホウロウもしくはコンクリート等の浴槽に対して耐久性に欠けるという問題があり、しかも、耐久性等を考慮して総合的に判断すると高価となるという点が問題となっている。
【0005】
本発明は、このような問題を解決した木製の浴槽を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、プラスチック、ホウロウもしくはコンクリート等の既存もしくは新設の浴槽の内側に、略浴槽の深さ程度となる高さ有し、所望の幅のヒノキや杉等の板材の裏側の上下および中間に複数の溝を形成し、その溝と桟材によってそれぞれの板材を連続させてパネルに形成し、桟材はパネルの横幅一杯の長さとせずに桟材の両端をパネル両側のそれぞれの板材幅の半分以下の長さとし、つぎに、浴槽の幅方向の長さであり、下面に上記パネルの上端が嵌る溝を形成し、両側にあり継ぎ等の接続部を形成した長尺縁材と、浴槽の上端開口の奥行き方向の長さであり、下面に上記パネルの上端が嵌る溝を形成し、両端先端に上記長尺縁材の接続部に嵌合して接続するあり継ぎ等の接続部を形成した短尺縁材とを組み付けることにより、木製の浴槽を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、水漏れの心配のない既存もしくは新設の浴槽の内側に木製のパネルを解体・組み立て可能にしたパネルを組み付けたことにより、既存もしくは新設の浴槽に簡易に木製の浴槽を構成することができ、しかも解体して浴槽全体およびパネルの清掃が可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例を示すパネルの背面斜視図
【図2】板材を1枚外した状態のパネルの背面斜視図
【図3】長尺縁材の説明図
【図4】短尺縁材の説明図
【図5】浴槽の底面にパネルを敷き詰めた状態の説明図
【図6】浴槽の内壁面にパネルを設置する状態の説明図
【図7】縁材を取り付けた状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例を示す説明図である。
【0011】
図において、1はパネルである。このパネル1は底パネルおよび内壁パネルとして使用することができるパネルである。
【0012】
このパネル1は、一応の目安として浴槽の深さとなる高さ有し、所望の幅の板材2を組み付けたパネルである。本実施例では、厚さ1〜1.5cm、幅10cm、縦70cmのヒノキ等の板材を幅約50cmになるように組み付けた。つまり、70cmの長さの板材を横に5枚並べて50cmのパネルとした(以下、板材の長さ方向をパネルの縦方向、板材を並べた方向を横方向という。)。これによって、縦70cm、横50cmで作業性および取扱性を考慮した重さである約10kg程度のパネルとした。実施例では上記のような寸法であるが、板材の幅を狭くすると、後述する設置時における寸法合わせの作業がやり易いという利点があり、縦寸法と共に上記寸法は任意に定めればよい。
【0013】
板材2によるパネル1の組み付け構造は、各板材2の裏側の上下および中間の1個所もしくは2個所程度にあり溝等による溝4を形成し、桟材3に設けた上記溝4に対応する柄状等の突条5によってそれぞれの板材2を連続させて1枚のパネルに形成する。桟材3に対して板材2は溝によって移動可能であり、着脱が可能で組み合わせが自在である。
【0014】
この各板材2の連続部は互いの板同士の接続を相決や実はぎとしておくとよい。また、上下の溝の位置は板材の上下端ではなく、端部より内側に入った個所であり、設置時の寸法調整の際に板材を切断できる切断代を残しておく。
【0015】
さらに、桟材3は木製や合成樹脂製であるが、そのうちの1本もしくは2本を木材より比重の大きい鉄等の金属材による桟材3Aとしておくとよく、これによってパネルの浮力に対抗できるようになる。
【0016】
また、この金属製の桟材3Aはパネルの横幅一杯の長さでなく、両端は両側のそれぞれの板材の幅の半分以下の幅がかかる長さにしておくとよい。これは浴槽を組み立てる際に、最終寸法に合わせるために木材部分の切断だけで調整を可能にすることができる。実施例においては、パネルの幅が50cmの場合、金属製の桟材3Aの長さは34cm〜40cmである。
【0017】
さらに、金属製の桟材だけでなく、金属製の桟材以外の桟材の長さもこのような寸法にしておくことも無論よく、調整時の作業性が向上する。
【0018】
6は長尺縁材であり、断面形状は、図3に示す如く、正方形、長方形、台形等任意の形状でよく、浴槽の上端開口の幅方向の長さの長尺材であり、下面に上記パネル1の上端が嵌る溝7が形成してある。さらに、長手方向一側の両端付近にあり継ぎ等の接続部8が形成してある。
【0019】
なお、上記長尺縁材6は、浴槽の手前側と奥側とで断面形状を変えた材料を用いてもよい。例えば、浴槽の奥側は断面形状が正方形で、手前側は前側を台形状の斜面にして後側を垂直面とした形状の材料を用いてもよい。
【0020】
9は短尺縁材であり、断面形状は、図4に示す如く、正方形、長方形、台形等任意の形状でよく、浴槽の上端開口の奥行き方向の長さの尺材であり、下面に上記パネル1の上端が嵌る溝10が形成してある。さらに、両端先端には上記長尺縁材6の接続部8に嵌合して接続するあり継ぎ等の接続部11が形成してある。
【0021】
また、上記長尺縁材6および短尺縁材9の両側の各接続部8、11の一方もしくは両方は、各浴槽の大きさに長尺縁材6および短尺縁材9を決定した後に形成する。
【0022】
なお、上記説明における長尺縁材6および短尺縁材9の接続部8、11は、互いに相対的なものであり、形成個所およびその形状は上記の説明における長尺縁材6と短尺縁材8が入れ替わっても構成上は同一である。つまり、長尺縁材6の両端先端に接続部11を形成し、短尺縁材9の一側の両端付近に接続部8を形成してもよい。
【0023】
以上のパネルおよび縁材によると、既存もしくは新設の合成樹脂製、コンクリート製等の任意の材質および大きさの浴槽12において、その内側全面に上記パネルを張って木製の浴槽とすることができる。
【0024】
以下にその組み立て工程を説明する。
【0025】
まず、浴槽12の底面にパネル1を設置したときに各パネル1がガタつかないように少なくともパネルの桟材が当たる個所の高さを同一平面に揃える。これは、セメント等の硬化材によって長期安定的に利用できるものがよいが、板材等をその都度適宜に配置して調整してもよい。
【0026】
また、周囲の内壁面においても、上記底面と同様であり、パネル1を設置したときに各パネル1がガタつかないように少なくともパネルの桟材が当たる個所の壁面を同一平面に揃える。この場合必要に応じて板材による当て板の場合には接着させて落下しないようにしておく必要がある。
【0027】
そこで、まず、パネル1の方向を揃えて浴槽の底面に並べる。実施例では、浴槽の長手方向にパネルの板の接材の接合目地が並ぶように配置したが、浴槽の奥行き方向に板の接合目地が並ぶようにしてもまったく問題はなくどちらを選択してもよい。
【0028】
ここで、パネル1は一定の大きさであるためにそのままでは底面の長手方向にきれいには納まらない。そこで、長手方向を納めるには、設置するパネル1の全部もしくはそのうちの何枚かのパネル1を、その組み合わせてある板材2を1枚桟材3から溝を利用して引き抜くことにより長手方向の寸法に合わせることができる。
【0029】
金属製の桟材3Aは予め短くしてあるために連続させる各パネルの板材2を順次に詰めることにより納めることができる。また、木製の桟材3も桟材3Aと同様に予め短くしておくことにより、切断することなく同様に納めることができる。
【0030】
さらに、長さの微調整が必要な場合にはパネルを構成している板材を鋸で切ってそろえるか、予め幅の異なる数種の板材を用意しておき、そのうちから選択した板材を溝を利用して桟材に嵌めることにより調整することができる。
【0031】
これによって、木製の桟材3がパネルの横幅一杯の場合には連続している板材より長くなって余りが生じた場合は鋸で切断する。また、桟材も異なる長さのものを数種予め用意しておくことにより、所望幅にしたパネルの幅に合わせて桟材を選択するようにして連続させることもできる。
【0032】
つぎに、奥行き方向は、パネル1を縦方向にして並べ、敷き切れなくて余っている部分は、パネルをその寸法に鋸で切断して納める。なお、鋸で切断した箇所は鉋仕上げとしておく。
【0033】
なお、必要に応じて、排水穴に該当する箇所に排水穴を設けておくとよい。
【0034】
このようにして図5に示す如く、底面の全面にパネルを装着した後、周囲の内壁面にパネルを配置することになる。
【0035】
内壁面は、上記した底面の長手方向に納めたと同様にして配置することができる。
つまり、パネル1を縦方向にして用い、パネルの下端面を浴槽の底面に敷き詰めたパネル1の周囲に載置して配置する。
【0036】
パネル1の全部もしくはそのうちの何枚かのパネル1を、その組み合わせてある板材2を所望枚数桟材3から溝を利用して引き抜くことにより各壁面幅の大体の長さを合わせる。これによって、木製の桟材3は連続している板材より長くなり、余りが生じるが、それは鋸で切り落とすか、予め用意してある長さの異なる桟材に交換する。金属製の桟材3Aは予め短くしてあるために連続させる各パネルの板材2を順次に詰めることにより大抵の場合は納まる。
【0037】
また、長さの微調整が必要な場合にはパネルを構成している板材を鋸で切ってそろえるか、予め用意してある幅の異なる数種の板材のうちから選択し、その板材の溝を利用して桟材に嵌めることにより調整することができる。
【0038】
これによって、木製の桟材3がパネルの横幅一杯の場合には連続している板材より長くなって余りが生じた場合は鋸で切断する。また、桟材も異なる長さのものを数種予め用意しておき、所望幅にしたパネルの幅に合わせて桟材を選択するようにしてもよい。
なお、必要に応じて、給水(湯)穴や給水(湯)栓に該当する箇所に対応する給水孔を設けておくとよい。
【0039】
このようにして内周壁の各面にパネルを配置した後、並んでいるパネルの上端に長尺縁材6と短尺縁材9のそれぞれの溝7、10を嵌め、同時に、長尺縁材6の接続部8と短尺縁材9の接続部11とを嵌合することにより全一体に構成することができる。
【0040】
なお、本パネルを張ることによって囲まれた内側の水密性はない。浴槽全体の水密性はパネルを張り付けた外側の浴槽自体によって保たれる。使用者は木製パネルによる木質の感触および木質風呂の雰囲気を得ることができる。
【0041】
このようにパネルを張り付けて構成した浴槽によると、パネルは板材に設けた溝に桟材を嵌めることによって着脱可能な構造であり、そのパネルを既存もしくは新設の浴槽内に配置するのも組み付け作業だけで行うことができるために、容易に組み立てられると共に容易に解体することが可能である。これによって、パネルを外してパネルおよび浴槽全体を清掃することが可能であると共に各パネル自体を板材と桟材に分解して清掃することも容易である。
【0042】
また、板材が例えばヒノキの場合、浴槽から外したパネルをそのままもしくは桟材と板材に分解することによって圧入容器(袋)内に入れてヒノキ精を圧入することができ、定期的にヒノキ精を板材に圧入することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 パネル
2 板材
3 桟材
4 溝
5 突条
6 長尺縁材
7 溝
8 接続部
9 短尺縁材
10 溝
11 接続部
12 浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略浴槽の深さ程度の寸法の長さを有し、所望の幅の板材の裏側の幅方向に複数の溝を形成し、その溝に桟材を嵌めて所望枚数の板材を連続させてパネルに形成し、前記桟材を成形したパネルの横幅一杯の長さとせずに桟材の両端をパネル両側のそれぞれの板材幅の半分以下の長さに納まるようにし、つぎに、浴槽の幅方向の長さで、下面に上記パネルの上端が嵌る溝を形成し、両側に接続部を形成した長尺縁材と、浴槽の上端開口の奥行き方向の長さで、下面に上記パネルの上端が嵌る溝を形成し、両端先端に上記長尺縁材の接続部に嵌合して接続する接続部を形成した短尺縁材とよりなることを特徴とするバスパネル。
【請求項2】
底面および内周壁の少なくともパネルの桟材が当たる個所を同一平面に揃え、
設置するパネルの何枚かのパネルを、その組み合わせてある板材を1枚桟材から溝を利用して引き抜くことにより浴槽の底面の長手方向の寸法に合わせて並べ、
つぎに、奥行き方向はパネルを縦方向にして並べ、敷き切れなくて余る部分を切断して納めて底面に敷き詰め、
内壁面の各壁面は、パネルを縦方向にして下端を上記底面に配置したパネルの周囲に載置して上記底面の長手方向に納めたと同様にして各壁面に並べ
並んでいるパネルの上端に長尺縁材と短尺縁材のそれぞれの溝を嵌め、同時に、長尺縁材の接続部と短尺縁材の接続部とを嵌合することにより全一体に構成することを特徴とするバスパネルの組み立て方法。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−22087(P2013−22087A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157155(P2011−157155)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(502183832)株式会社アキト (2)
【出願人】(511173789)グリーンアイランド合同会社 (1)
【Fターム(参考)】