説明

バス車両のトランク防水構造

【課題】本発明は、簡単な一般的な構造だけで、渡り部材が貫通するトランクの貫通部分に高いシール性をもたらせるバス車両のトランク防水構造を提供する。
【解決手段】本発明のトランク防水構造は、トランク4の側壁6aに貫通させて水密的に固定した、当該側壁を境に外部とトランクの内部とにそれぞれ開口する一対の開口部18a、18bを有し、内部に渡り部材10,11が挿通される筒形の挿通部品16と、挿通部品の開口部にそれぞれ設けられ、当該開口部における渡り部材の周りの隙間を覆い、外部からトランクへの水の侵入を抑える侵入抑制プレート25,26とを有して構成した。これにより、たとえ外部からの水が一重目のシールを通過しても、一重目のシールと二重目のシールとの間は隔てられているから、二重目のシールへは行き届き難くなる。たとえ行き届いたとしても、二重目のシールによりトランク内部への水の侵入が抑えられるから、特殊な部品、特殊な部品、特殊な構造を用いずに、貫通部分に高いシール性が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渡り部材が貫通するトランクの側壁の貫通部分における水の侵入を防ぐバス車両のトランク防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
路線バスや観光バスなどバス車両は、前・後輪間の床下に荷物を収めるトランクが設けられている。
こうしたバス車両は、車体に多くの機器が点在、例えば車体のフロント側にデフロスタモジュールが搭載されたり、リヤ側にエンジンが搭載されたり、トランクと隣接した床下に空調ユニットが搭載されたりするため、特許文献1にも開示されているようにバス車両の床下には、各機器などとにつながるハーネスや配管など車両前後方向を通る渡り部材が数多く設けられる。
このため、床下を占めるトランクには、数多くの渡り部材が、車両前後方向の壁部を貫通しながら天井面を沿うように組み付けられる。
【0003】
ところで、トランクのうち、最前部や最後部の地点に配置された壁部(車両前後方向を仕切る壁部)は、車両外部に臨む部分となる。このため、バス車両の雨天走行などでは、水が外部から、渡り部材の貫通する壁部分(貫通部分)の隙間を通じて、トランクの内部へ侵入するおそれがある。
【0004】
そこで、トランクの渡り部材が貫通する貫通部分には、こうした外部からトランク内への水の侵入を防ぐ侵入防止構造を設けることが行われている。一般には、一重のシール部材を用いて貫通部分を個別にシールする。しかし、渡り部材の多くは、断面形状が異なったり、断面の大きさが異なったり、並びがまちまちであったりするなどのため、高いシール性が得られにくく、多くは特殊な部品や部材、特殊な構造を多用して、高いシール性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−131884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、こうした特殊な部品、特殊な部材、特殊な構造を用いると、高いシール性は確保されるものの、反面、シール構造が複雑になったり、コスト的な負担が強いられたりする問題がある。バス車両も、他の車両と同様、複雑な構造により作業工数が増加したり、特殊な部品や部材の使用によりコストが増加したりするのを避けることが求められ(できる限り工数やコストを抑えるため)、この点の改善が要望されている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、簡単な一般的な構造だけで、渡り部材の貫通するトランクの貫通部分に高いシール性がもたらせられるバス車両のトランク防水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、トランクの渡り部材が貫通する貫通部分における水の侵入防止構造は、トランクの側壁に貫通させて水密的に固定した、当該側壁を境に外部とトランクの内部とにそれぞれ開口する一対の開口部を有し、内部に渡り部材が挿通される筒形の挿通部品と、挿通部品の開口部にそれぞれ設けられ、当該開口部における渡り部材の周りの隙間を覆い、外部からトランクへの水の侵入を抑える侵入抑制プレートとを有して構成した。
【0009】
同構成によると、渡り部材を挿通させる筒形の挿通部品と、同挿通部品の開口部における隙間を覆う侵入抑制プレートという、簡単な部品の組み合わせがもたらす二重シール構造により、外部の水が一重目のシールを通過しても、一重目のシールと二重目のシールとの間は隔てられているから、二重目のシールへは行き届き難くなる。たとえ行き届いたとしても、二重目のシールによりトランク内部への水の侵入は抑えられる。これにより、特殊な部品、特殊な部材、特殊な構造を用いずに、高いシール性は確保される。
【0010】
請求項2の発明は、上記目的に加え、挿通部品の内部の水がトランク内へ向うのを抑えるために、挿通部品の底部を、挿通部品内へ侵入した水をトランクとは反対側となる外部側の侵入抑制プレートへ導くよう、トランクから離れるにしたがい下る傾斜面を有して形成し、外部側の侵入抑制プレートは、傾斜面で導かれた水を外部へ排出する排出部を有するものとした。
請求項3の発明は、上記目的に加え、特に簡単な構造ですむよう、筒形の挿通部品を、ハーネスや配管の部材群を挿通させる箱形の部材から構成し、侵入抑制プレートを、ハーネスや配管の通る部分を開口させたラバー製のプレートから構成した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、筒形の挿通部品、侵入抑制プレートといった簡単な部品の組み合わせがもたらす二重のシール構造により、たとえ外部の水が一重目のシールを通過しても、一重目のシールと二重目のシールとの間は隔てられているので、二重目のシールへは行き届き難くなる。しかも、たとえ行き届いたとしても、二重目のシールによりトランク内部への水の侵入は抑えられる。
したがって、特殊な部品、特殊な部材、特殊な構造を用いず、筒形の挿通部品に侵入抑制プレートを設けるという簡単な一般的の構造だけで、渡り部材の貫通するトランクの貫通部分に高いシール性を確保することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、挿通部品内へ侵入した水は、同部品の底部の傾斜面で誘導されて、外部側の侵入抑制プレートの排出部から外部へ排出されるから、内部に侵入した水はトランク内へ向わずにすむ。これにより、トランク側の侵入抑制プレートの負担は抑えられ、一層、水の侵入から効果的にトランクを守ることができる。しかも、一般的な簡単な構造ですむ。
請求項3の発明によれば、より簡単、かつコスト的な安価な一般部品の組み合わせで、トランク内への水の侵入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るバス車両のトランクを、バス車両の全体や同バス車両の前後方向に沿って配設された渡り部材と共に示す斜視図。
【図2】渡り部材が通るトランクの車両前後方向前側の貫通部分におけるシール構造を示す斜視図。
【図3】図2中の断面A−A線に沿う渡り部材の貫通部分のシール構造を示す断面図。
【図4】図2中の矢視Bから見た挿通部品の端側を示す斜視図。
【図5】貫通部分のシール構造を分解して示す分解斜視図。
【図6】同シール構造の組み立てを説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図1ないし図6に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、バス車両、例えば観光バスの全体を、その車幅方向中央に車両前後方向を沿って通る渡り部材と共に示し、図2は同渡り部材の貫通するトランクの側壁の防水構造を示し、図3〜図6は同防水構造の各部をそれぞれ示している。
【0015】
図1に示す観光バス(以下、単にバスという)を説明すると、図中1は車両前後方向に延びた箱形の車体を示す。この車体1の床1aの下、例えばバスの前輪2aと後輪2b間の床下部分には、図1および図2に示されるようにシャシフレーム3(車体1を下側から支えるフレーム)を構成しているセンタフレーム3aの複数の縦壁形のクロスメンバ部材3b(車幅方向に延びる部材)間のスペースを活用して、トランク4(荷物を収める室)が形成されている。
【0016】
具体的には図2に示されるようにトランク4は、床1aを天井とし、クロスメンバ部材3bの下端部間をつなぐように設けたプレート部材5aを底部とし、前・後輪2a、2b間で所定の間隔で配置されたクロスメンバ部材3bを側壁6a〜6cとしている。さらに最前・後に位置するクロスメンバ部材3bの開口は、同部材3bの側面に設けたプレート部材5bで覆われていて、外部と隔絶した箱形の空間、すなわちトランク4を形成している。ちなみに中央の側壁6bは、トランク4内部を仕切る壁をなす。なお、例えばトランク4の車幅方向両側部は開口していて、図示しないリッドで開閉される。
【0017】
車体1の各部には、図1に示されるように多くの機器が設けられている。図示はしないが例えば車体1のフロント側には、デフロスタモジュールなどが搭載されたり、トランク4と前輪2aとの間には空調ユニット7が搭載されたり、車体1のリヤ側にはエンジン8や同エンジン8で駆動される空調ユニット駆動用のコンプレッサ9などが搭載されたりしている。
【0018】
また図1に示されるように車体1の床下、例えば車幅方向中央には、車両の前後方向を渡る渡り部材として、例えば制御に用いるハーネスの束10、空調に用いる温水配管やその他の機器に用いる配管など配管群11が挿通されている。つまり、ハーネスの束10や配管群11は、トランク4の側壁6a〜6cの天井側を貫通しながら、車両前後方向を挿通している。これら車体1の床下のハーネスの束10や配管群11は、図2に示されるように車幅方向沿いに所定に並び、これら各ハーネス、配管が車体1に点在した各機器、すなわちフロント側に配置された各機器、リヤ側に配置された各機器などとつながり、車両搭載機器の制御や運転が行えるようにしている。
【0019】
ここで、トランク4の側壁6a〜6cのうち、最も車両前後方向外側に配置された側壁6a,6cは、外部と臨むので、渡り部材の貫通する貫通部分には、外部からの水の侵入を防ぐことが求められる。このため、同渡り部材の貫通部分には、それぞれ防水構造が施される。防水構造には、外部からトランク4内への水の侵入を防ぐ侵入防止構造15a,15bが用いられる。このうち、空調ユニット7と隣接した側壁6aで用いられる侵入防止構造15aには、一般的な構造で水の侵入を防ぐ構造が採用されている。この侵入防止構造15aの採用は、バスの雨天走行時などの際、前輪2aの巻き上げる水の影響が、空調ユニット7が途中に配置されることにより少なく、一般的な構造で対応しやすいということもある。ちなみに、後輪2bと隣接して配置される側壁6cに施される侵入防止構造15bは、水の影響が大きいため、ここでは図示はしないが、特殊グロメットなどを組み合わせた特殊構造が用いてある。
【0020】
一般的な構造で構成される侵入防止構造15aは、図2〜図6に示されるようにハーネスの束10、各種配管のなす配管群11(いずれも渡り部材)を挿通させる筒形の挿通部品16と、同部品16端においてハーネスの束10、配管群11の周りの隙間を覆うラバー製のプレート25,26(以下、ラバープレート25,26という:本願の侵入抑制プレートに相当)とを組み合わせた二重シール構造が用いられる。ちなみにラバープレート25,26はラバー部材よりなるプレートをいう。
【0021】
具体的には挿通部品16は、図2、図3、図5および図6に示されるように車幅方向に並んだハーネスの束10、配管群11が一度に挿通可能な箱形の部材、例えば角筒形部材から構成されている。すなわち角筒形部材は、例えば板金を角筒形に折り曲げた扁平な所定長さの本体部17をもつ。また本体部17の両端は一対の開口部18a,18bを有し、さらに一方の端部は固定するための取付部19となっている。ここで、側壁6aをなすクロスメンバ部材3bの上段には、図5に示されるようにシャシフレーム3のサイドフレーム3cや各種メンバ部材3dを組み合わせてなる枠形の設置部20が形成されている。そして、この設置部20を用いて本体部17を側壁6aに組み付けている。
【0022】
すなわち挿通部品16は、図5および図6に示されるように角形の取付部19(一端部)をトランク4外から設置部20内へ嵌挿し(差し込み)、水漏れのないよう固定、例えば溶接やシール材(図示しない)を用いて、取付部19と設置部20間の各部を水密に固定することによって、渡り部材が貫通する側壁6aの地点(上段)に水密的に組み付けられている。つまり、挿通部品16は、全体が側壁6aの車両前後方向を貫通し、一対の開口部18a,18bが、側壁6aを境にそれぞれ外部(トランク4外)とトランク4の内部に開口するように組み付く。
【0023】
また図5および図6に示されるように取付部19を除く本体部17の上部壁分には、作業用の開口部21が形成されている。ハーネスの束10や配管群11は、この開口部21からの作業によって、側壁6aに本体部17を組み付けたまま本体部17に挿通させ、側壁6aを貫通させている。作業用の開口部21は蓋部22で塞がれる。22bは同蓋部22を本体部17に固定するねじ止め具(固定具)の一部のナット部材を示している。なお、外部(トランク4外)に開口する開口部18aは、挿通する渡り部材の斜めの向きに合わせて斜めに開口させてある。
【0024】
図2,図3,図5および図6に示されるようにラバープレート25,26のうち、外部(トランク4外)に開口する開口部18aに配置されるラバープレート25の外形は、開口部18aの開口形状に応じた形状で形成してある(角形)。また同プレート25のうちハーネスの束10や配管群11の通る部分は開口させてある。具体的には、ハーネスの束10や配管群11の通る板面部分には、ハーネスの束10や配管群11の外形形状に合わせた各種外形のシール用開口27が形成されている(図5)。さらに板面部分には、同開口27にハーネスの束10や配管群11の配管類を通すためのスリット27aも形成されている(図5)。
【0025】
このラバープレート25の各種シール用開口27に、ハーネスの束10や配管群11が挿通される。このラバープレート25の縁部、例えば上下縁部(辺部)が、固定手段、例えば押え具28aや止め具28bより、開口部18aの上下開口縁に形成されるフランジ18cに固定され(図3)、ラバープレート25を開口部18aに組み付けている。これにより、ハーネスの束10や配管群11の外周面は、ラバープレート25に形成された各種シール用開口27の開口縁と密接し、ラバープレート25の縁部は開口縁と密接し、ハーネスの束10、配管群11の周りの隙間はラバープレート25にて覆われる(図3)。つまり、ラバープレート25にて、貫通部分の外側はシールされる(一重目のシール)。
【0026】
残るトランク4内に開口する開口部18bに配置されるラバープレート26は、図3〜図6に示されるように同開口部18bの開口形状に応じた外形をもつ。ラバープレート26のうちハーネスの束10や配管群11が通る部分には、ハーネスの束10の外形形状に合わせた溝形のシール用開口30、配管群11の外形形状に合わせた通孔形のシール用開口31aや同配設に合わせた溝形のシール用開口31bなどが形成されている(図5)。
【0027】
このラバープレート26の例えば上縁部の両側だけが、固定手段、例えば押え具33aや止め具33bにより、開口部18bの直上に有するメンバ部材3dの側面に固定される。そして、ラバープレート26の下端部を本体部17の底面に密接させている。このラバープレート26の各種シール用開口30,31a,31bに、ハーネスの束10や配管群11が挿通され、ラバープレート26にて、ハーネスの束10、配管群11の周りの隙間を覆っている。つまり、ラバープレート26にて、貫通部分の内側はシールされる(二重目のシール)。
【0028】
図2、図3、図5、図6に示されるように本体部17の底部、具体的には取付部19を除く底壁の全体は、トランク4とは反対側の方向、ここでは車両前方へ下るように傾斜している。つまり、本体部17の底部は、トランク4から離れるにしたがい下る傾斜面35で形成してある。この傾斜面35にて、一重目のシールを通して本体部17の内部へ侵入した水が、トランク4とは反対側となるラバープレート25(開口部18a側)へ導ける構造にしている。また押え具28aで押えられるラバープレート25の下部には、傾斜面35で導かれる水を外部へ排出するための排出部37が形成されている(図3)。同排出部37は、ラバープレート25に形成されているスリット27a(ラバープレート25にハーネスの束10や配管類を通すためのスリット)の隙間で形成され、同スリット27aの隙間から水が外部に排出される構造となっている。もちろん、排出部37は他の構造でも形成しても構わない。
【0029】
また図3および図4に示されるように開口部18bの下縁部からは、ラバープレート26の下部外側の板面と重なり合うよう、フランジ18dが突き出ている。このフランジ18dがラバープレート26の下端部の動きを規制し、本体部17内に侵入した水が、ラバープレート26から流出するのを抑える。と共にフランジ18bは土手の役割も果たしている。
【0030】
こうした水の侵入を防ぐ構造は、図6に示されるように側壁6aに本体部17を組み付けた後、作業用の開口部21を用いて、本体部17内にハーネスの束10、配管群11を貫通させる。そして、ハーネスの束10や各種配管を所定に整列させて固定(いずれも図示しない整列固定具による)してから、蓋部22で開口部21を塞ぎ、開口部18a,18bにラバープレート25,26を固定して、ハーネスの束10、配管群11の周りの隙間をラバープレート25,26で覆うと、トランク4の貫通部分に設置される。これにより、渡り部材であるハーネスの束10や配管群11は、トランク4を貫通するように取り付けられる。と同時にハーネスの束10や配管群11の貫通する部分は、挿通部品16、ラバープレート25,26による二重シール構造によってシールされる。
【0031】
すなわち、開口部18aに配置されたラバープレート25は、雨天走行時、前輪2aから巻き上がる水などが、ハーネスの束10や配管群11とシール用開口27の開口縁間から侵入するのを防ぐ。このとき、この一重目のシールをなすラバープレート25を通過して外部の水が本体部17内に侵入しても、二重目のシールをなすラバープレート26との間は、かなりの距離で隔てられているから、開口部18bへは行き届きにくい。たとえ本体部17内に侵入した水が行き届いたとしても、開口部18bには二重目のシールをなすラバープレート26が設けられているから、外部からの水がトランク内部へ侵入するのを防げる。
したがって、特殊な部品、特殊な部品、特殊な構造を用いず、筒形の挿通部品16、ラバープレート25,26(侵入抑制プレート)を組み合わせた簡単な一般的な構造がもたらす二重シール構造だけで、渡り部材の貫通するトランク4の貫通部分に高いシール性を確保することができる。
【0032】
しかも、図3にも示されるように挿通部品16の底部に、トランク4とは反対側へ向って下る傾斜面35を形成し、ラバープレート25に排出部37を形成して、本体部17内に侵入した水を傾斜面35で排出部37へ導き外部に排出させると、本体部17内に侵入した水は、ラバープレート26側、すなわちトランク4内へは向わないから、一層、効果的に水の侵入からトランク4を守ることができる。そのうえ、ラバープレート26の負担が抑えられるので、図4および図5に示されるようにラバープレート26は、下部から水が流出しないですむ、下端側だけを開口部18bの縁部に密接させるだけのシール構造でよく、一層、簡単な構造ですむ。
【0033】
特に挿通部品16は、ハーネスの束10や配管群11を一度に挿通させる箱形の本体部17から構成し、開口部18a,18bのシールには、ハーネスの束10や配管群11の挿通する部分を開口させたラバープレート25,26を用いると、より簡単な一般部品を組み合わせた構造、さらには一層、安価にして、トランク4内への水の侵入を防ぐことができる。
【0034】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、本発明を、トランクの前輪側に配置されている側壁の貫通部分の防水に適用したが、これに限らず、トランクの後輪側に配置されている側壁の貫通部分の防水に適用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 車体
4 トランク
6a 側壁
10,11 ハーネスの束、配管群(複数の渡り部材)
15a 侵入防止構造
16 筒形の挿通部品
17 本体部
18a,18b 開口部
25,26 ラバープレート(ラバー製のプレート:侵入抑制プレート)
35 傾斜面
37 排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス車両に設けられ車両前後方向が側壁によって外部と仕切られたトランクと、同トランクの車両前後方向を仕切る側壁を車両前後方向から貫通して組み付けられた複数の渡り部材とを有し、
前記渡り部材が貫通する前記側壁の貫通部分に、外部からの水の侵入を防ぐ侵入防止構造を設けて構成されるバス車両のトランク防水構造において、
前記侵入防止構造は、
前記側壁に貫通させて水密的に固定され、前記側壁を境に外部と前記トランクの内部とにそれぞれ開口する一対の開口部を有し、前記渡り部材が前記一対の開口部を通って内部に挿通される筒形の挿通部品と、
前記挿通部品の開口部にそれぞれ設けられ、当該開口部における前記渡り部材の周りの隙間を覆い、外部からトランクへの水の侵入を抑える侵入抑制プレートと
を有して構成されることを特徴とするバス車両のトランク防水構造。
【請求項2】
前記挿通部品の底部は、前記挿通部品の内部へ侵入した水を前記トランクとは反対側となる外部側の侵入抑制プレートへ導くよう、前記トランクから離れるにしたがい下る傾斜面を有して形成され、
外部側の前記侵入抑制プレートは、前記傾斜面で導かれた水を外部へ排出する排出部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のバス車両のトランク防水構造。
【請求項3】
前記複数の渡り部材は、前記トランクの側壁の上段に配置され車幅方向に沿って所定に並んだハーネスや配管の部材群であり、
前記筒形の挿通部品は、前記ハーネスや配管の部材群を挿通させる箱形の部材から構成され、
前記侵入抑制プレートは、前記ハーネスや配管の通る部分を開口させたラバー製のプレートから構成される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバス車両のトランク防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−131322(P2012−131322A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284376(P2010−284376)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland