説明

バックパネル基板拡張装置

【課題】バックパネル基板の拡張性を向上させることができるバックパネル基板拡張装置を提供する。
【解決手段】主バックパネル基板1と拡張バックパネル基板9を備え、主バックパネル基板は、制御信号を発生する制御信号回路6と、主データ伝送用バス配線2の一端と接地の間に設けられた第1終端抵抗3と、バス配線2の他端に接続されたコネクタ7と、バス配線2の他端の近傍に設けられ、一方の端子がバス配線2に接続され、制御信号回路から拡張バックパネル基板を経由した制御信号で開閉制御されるスイッチ回路5の他方の端子と接地の間に設けられた第2終端抵抗4を備え、拡張バックパネル基板は、拡張データ伝送用バス配線10と、この一端に接続され、コネクタ7に嵌合してバス配線2とバス配線10を接続し且つ制御信号が経由する経路の一部を形成するコネクタ13と、バス配線10の他端と接地間に設けられた第3終端抵抗11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デイジーチェイン接続による周辺装置の増設、あるいは、SCSI(Small Computer System Interface)バス規格またはSSTL(Stub Series Termination Logic)バス規格に代表されるバスラインの増設を行うバックパネル基板拡張装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホストシステムまたはこれとデイジーチェイン接続された周辺増設装置にデイジーチェイン接続される入力側コネクタと、他の周辺増設装置などがデイジーチェイン接続される出力側コネクタと、この出力側コネクタに他の周辺増設装置が接続されたことを検出するLED(Light Emitting Diode)およびCdS(硫化カドミウム)セルからなる接続検出回路と、この接続検出回路からの検出信号により、デイジーチェイン接続の終端を短絡する終端短絡手段を備えた周辺増設装置としてのバックパネル基板拡張装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−19919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のバックパネル基板拡張装置は、制御信号をLEDで光として出力し、CdSセルで光を検知する方式のため、コネクタの形状や構造によっては適用範囲が限られるという問題がある。また、CdSセルの経年劣化により、長期間の使用ができないという問題がある。
【0005】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、バックパネル基板の拡張を容易にしてシステムの拡張性を向上させることができるバックパネル基板拡張装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るバックパネル基板拡張装置は、上記課題を解決するために、主バックパネル基板と拡張バックパネル基板を備えたバックパネル基板拡張装置であって、主バックパネル基板は、データを伝送する主データ伝送用バス配線と、制御信号を発生する制御信号回路と、主データ伝送用バス配線の一端と接地との間に設けられた第1終端抵抗と、主データ伝送用バス配線の他端に接続され、拡張バックパネル基板を接続するための拡張バックパネル基板用コネクタと、主データ伝送用バス配線の他端の近傍に設けられて、一方の端子が主データ伝送用バス配線に接続され、制御信号回路から拡張バックパネル基板を経由して送られてきた制御信号によって開閉が制御されるスイッチ回路と、スイッチ回路の他方の端子と接地との間に設けられた第2終端抵抗を備え、拡張バックパネル基板は、データを伝送する拡張データ伝送用バス配線と、拡張データ伝送用バス配線の一端に接続され、主バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタに嵌合して主データ伝送用バス配線と拡張データ伝送用バス配線とを接続するとともに、制御信号が経由する経路の一部を形成する主バックパネル基板用コネクタと、拡張データ伝送用バス配線の他端と接地との間に設けられた第3終端抵抗を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るバックパネル基板拡張装置によれば、バックパネル基板を容易に拡張してシステムの拡張性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の動作を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るバックパネル基板拡張装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置は、バックパネル基板を拡張可能に構成し、1つの伝送線(バス)に接続された、CPUまたはメモリなどといった素子の間(例えば、CMOSなどにより構成されたディジタル回路間またはその機能ブロック間を含む)でバス伝送方式により信号を高速に伝送するものである。
【0011】
図1は、この発明の実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の構成を概略的に示す図である。このバックパネル基板拡張装置は、主バックパネル基板1、拡張バックパネル基板9ならびに複数のドータカード基板15a,15b,15cおよび15dを備えている。
【0012】
主バックパネル基板1は、主データ伝送用バス配線2、第1終端抵抗3、第2終端抵抗4、スイッチ回路5、制御信号回路6、多ピンの拡張バックパネル基板用コネクタ7、ドータカード用コネクタ8aおよびドータカード用コネクタ8bを備えている。この主バックパネル基板1の詳細は後に詳細に説明する。
【0013】
拡張バックパネル基板9は、拡張データ伝送用バス配線10、第3終端抵抗11、ピン短絡部12、多ピンの主バックパネル基板用コネクタ13、ドータカード用コネクタ14aおよびドータカード用コネクタ14bを備えている。この拡張バックパネル基板9の詳細は後に詳細に説明する。
【0014】
ドータカード基板15aは、送受信回路16aおよび主バックパネル基板用コネクタ17aを備えている。ドータカード基板15bは、送受信回路16bおよび主バックパネル基板用コネクタ17bを備えている。ドータカード基板15cは、送受信回路16cおよび拡張バックパネル基板用コネクタ17cを備えている。ドータカード基板15dは、送受信回路16dおよび拡張バックパネル基板用コネクタ17dを備えている。これらドータカード基板15a〜15dの詳細は後に詳細に説明する。
【0015】
まず、主バックパネル基板1、拡張バックパネル基板9、ドータカード基板15a、ドータカード基板15b、ドータカード基板15cおよびドータカード基板15dの物理的な接続関係を説明する。
【0016】
主バックパネル基板1と拡張バックパネル基板9との接続は、主バックパネル基板1に備えられた拡張バックパネル基板用コネクタ7と拡張バックパネル基板9に備えられた主バックパネル基板用コネクタ13とを嵌合させることにより行われる。
【0017】
主バックパネル基板1とドータカード基板15aとの接続は、主バックパネル基板1に備えられたドータカード用コネクタ8aとドータカード基板15aに備えられた主バックパネル基板用コネクタ17aとを嵌合させることにより行われる。
【0018】
主バックパネル基板1とドータカード基板15bとの接続は、主バックパネル基板1に備えられたドータカード用コネクタ8bとドータカード基板15bに備えられた主バックパネル基板用コネクタ17bとを嵌合させることにより行われる。
【0019】
拡張バックパネル基板9とドータカード基板15cとの接続は、拡張バックパネル基板9に備えられたドータカード用コネクタ14aとドータカード基板15cに備えられた拡張バックパネル基板用コネクタ17cとを嵌合させることにより行われる。
【0020】
拡張バックパネル基板9とドータカード基板15dとの接続は、拡張バックパネル基板9に備えられたドータカード用コネクタ14bとドータカード基板15dに備えられた拡張バックパネル基板用コネクタ17dとを嵌合させることにより行われる。
【0021】
次に、主バックパネル基板1の詳細について説明する。データを伝送するための主データ伝送用バス配線2の一端は、第1終端抵抗3を介して接地されており、他端は多ピンの拡張バックパネル基板用コネクタ7に接続されている。
【0022】
スイッチ回路5は、制御信号によって開閉が制御される開閉スイッチから構成されており、その制御端子に制御信号が入力されていない場合にオン状態になり、制御信号が入力されている場合にオフ状態になる。このスイッチ回路5は、主データ伝送用バス配線2と拡張バックパネル基板用コネクタ7との接続点(主データ伝送用バス配線2の他端)の近傍に設けられている。このスイッチ回路5の一端は主データ伝送用バス配線2に接続され、他端は第2終端抵抗4を介して接地されている。
【0023】
制御信号回路6は、スイッチ回路5の開閉を制御する制御信号を生成する。制御信号としては、図示しない電源回路で発生された電源電圧を用いることができる。この制御信号回路6で生成された制御信号は、拡張バックパネル基板9を経由してスイッチ回路5の制御端子に送られる。具体的には、制御信号回路6で生成された制御信号は、拡張バックパネル基板用コネクタ7、拡張バックパネル基板9の主バックパネル基板用コネクタ13、拡張バックパネル基板9のピン短絡部12、拡張バックパネル基板9の主バックパネル基板用コネクタ13および拡張バックパネル基板用コネクタ7を順次に経由してスイッチ回路5の制御端子に送られる。
【0024】
また、主データ伝送用バス配線2の中途には、ドータカード基板15aを挿抜するためのドータカード用コネクタ8aおよびドータカード基板15bを挿抜するためのドータカード用コネクタ8bが接続されている。
【0025】
次に、拡張バックパネル基板9の詳細について説明する。データを伝送するための拡張データ伝送用バス配線10の一端は、多ピンの主バックパネル基板用コネクタ13に接続されており、他端は、第3終端抵抗11を介して接地されている。この主バックパネル基板用コネクタ13は、主バックパネル基板1の拡張バックパネル基板用コネクタ7に嵌合して主データ伝送用バス配線2と拡張データ伝送用バス配線10とを電気的に接続するとともに、主バックパネル基板1からの制御信号が経由する経路の一部を形成する。
【0026】
また、拡張データ伝送用バス配線10の中途には、ドータカード基板15cを挿抜するためのドータカード用コネクタ14aおよびドータカード基板15dを挿抜するためのドータカード用コネクタ14bが接続されている。
【0027】
ピン短絡部12は、主バックパネル基板1の制御信号回路6から拡張バックパネル基板用コネクタ7および主バックパネル基板用コネクタ13を介して送られてきた制御信号を、再度、主バックパネル基板用コネクタ13および拡張バックパネル基板用コネクタ7を介して主バックパネル基板1に戻すように、主バックパネル基板用コネクタ13のピンを短絡する。
【0028】
次に、ドータカード基板15a〜15dの詳細について説明する。ドータカード基板15aは、送受信回路16aおよび送受信回路16aに接続された主バックパネル基板用コネクタ17aを備えている。同様に、ドータカード基板15bは、送受信回路16bおよび送受信回路16bに接続された主バックパネル基板用コネクタ17bを備えている。
【0029】
また、ドータカード基板15cは、送受信回路16cおよび送受信回路16cに接続された拡張バックパネル基板用コネクタ17cを備えている。同様に、ドータカード基板15dは、送受信回路16dおよび送受信回路16dに接続された拡張バックパネル基板用コネクタ17dを備えている。
【0030】
次に、上記のように構成される実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の動作を説明する。図2は、実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の動作を説明するための図である。
【0031】
図2(a)は、主バックパネル基板1に拡張バックパネル基板9が接続されていない状態を示す図であり、図2(b)は、主バックパネル基板1に拡張バックパネル基板9が接続された状態を示す図である。
【0032】
バス伝送方式においては、インピーダンス不整合に起因する波形歪みを抑制するために、バス本線(実施の形態1では「主データ伝送用バス配線2」が対応する)の両端部にインピーダンス整合のため終端抵抗が必要となる。図2(a)に示すように、主バックパネル基板1に拡張バックパネル基板9が接続されていない状態のとき、スイッチ回路5はオン状態になり、主バックパネル基板1の主データ伝送用バス配線2の両端は第1終端抵抗3と第2終端抵抗4とによって終端される。
【0033】
図2(a)に示すように、両端が第1終端抵抗3と第2終端抵抗4で終端された主データ伝送用バス配線2に、一端が第3終端抵抗11で終端された拡張データ伝送用バス配線10を電気的に接続する場合、バス本線(主データ伝送用バス配線2および拡張データ伝送用バス配線10)の両端に第1終端抵抗3と第3終端抵抗11とが接続されるとともに、バス本線の途中に第2終端抵抗4が接続された状態となる。この場合、バス本線のインピーダンス整合が崩れ、多重反射のためバス本線内を伝送する信号に波形歪みが発生する可能性がある。
【0034】
そこで、図2(b)に示すように、主バックパネル基板1に拡張バックパネル基板9が接続されると、制御信号回路6から送り出された制御信号(オフ信号)は、拡張バックパネル基板用コネクタ7および拡張バックパネル基板9の主バックパネル基板用コネクタ13を経由し、拡張バックパネル基板9のピン短絡部12で折り返され、拡張バックパネル基板9の主バックパネル基板用コネクタ13および拡張バックパネル基板用コネクタ7を経由してスイッチ回路5の制御端子に送られる。スイッチ回路5は、制御信号が入力されるとオフ状態となり、主データ伝送用バス配線2から第2終端抵抗4が電気的に切り離される。この結果、主データ伝送用バス配線2と拡張データ伝送用バス配線10からなるバス本線は、両端が第1終端抵抗3と第3終端抵抗11とで終端された状態となり、バス本線上のインピーダンス不整合点がなくなるので、信号の多重反射の発生を抑制できる。
【0035】
以上説明したように、実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置によれば、主バックパネル基板1に拡張バックパネル基板9を接続して拡張することにより、バックパネル基板に接続可能なドータカード基板の数を容易に増やすことができ、システムを自由に拡張できる。
【0036】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るバックパネル基板拡張装置は、実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置よりも拡張性を持たせたものである。以下においては、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
図3は、この発明の実施の形態2に係るバックパネル基板拡張装置の構成を示す図である。このバックパネル基板拡張装置は、実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の主バックパネル基板1が主バックパネル基板1aに変更されるとともに、拡張バックパネル基板9が拡張バックパネル基板9aに変更されて構成されている。
【0038】
主バックパネル基板1aは、実施の形態1に係る主バックパネル基板1の制御信号回路6の代わりに電源回路(DC/DC)20を設け、スイッチ回路18、多ピンの拡張バックパネル基板用コネクタ21および主電源線23が追加されて構成されている。拡張バックパネル基板用コネクタ21は、本発明の「他の拡張バックパネル基板用コネクタ」に対応する。この拡張バックパネル基板用コネクタ21には、拡張バックパネル基板9aと同様の拡張バックパネル基板(以下、「前段拡張バックパネル基板」という)が接続される。
【0039】
また、拡張バックパネル基板9aは、実施の形態1に係る拡張バックパネル基板9に、スイッチ回路19、多ピンの拡張バックパネル基板用コネクタ22および拡張電源線24が追加されて構成されている。拡張バックパネル基板用コネクタ22は、本発明の「他の拡張バックパネル基板用コネクタ」に対応する。拡張バックパネル基板用コネクタ22には、拡張バックパネル基板9aと同様の拡張バックパネル基板(以下、「後段拡張バックパネル基板」という)が接続される。
【0040】
主バックパネル基板1a、拡張バックパネル基板9a、ドータカード基板15a、ドータカード基板15b、ドータカード基板15cおよびドータカード基板15dの物理的な接続関係は、実施の形態1と同様である。
【0041】
次に、主バックパネル基板1aの詳細について説明する。主データ伝送用バス配線2の一端は、多ピンの拡張バックパネル基板用コネクタ21に接続されており、他端は多ピンの拡張バックパネル基板用コネクタ7に接続されている。
【0042】
スイッチ回路18は、この発明の「他のスイッチ回路」に対応する。このスイッチ回路18は、制御信号によって開閉が制御される開閉スイッチから構成されている。スイッチ回路18は、その制御端子に制御信号が入力されていない場合にオン状態になり、制御信号が入力されている場合にオフ状態になる。このスイッチ回路18は、主データ伝送用バス配線2と拡張バックパネル基板用コネクタ21の接続点(主データ伝送用バス配線2の一端)の近傍に設けられている。このスイッチ回路18の一方の端子は主データ伝送用バス配線2に接続され、他方の端子は第1終端抵抗3を介して接地されている。
【0043】
電源回路20は、実施の形態1と同様の制御信号回路として機能し、電源電圧を発生して制御信号として主電源線23に出力する。この主電源線23に出力された制御信号は、スイッチ回路5およびスイッチ回路18の開閉を制御するために使用される。
【0044】
電源回路20で発生された制御信号は、拡張バックパネル基板9aが接続されている場合は、拡張バックパネル基板用コネクタ7、拡張バックパネル基板9aの主バックパネル基板用コネクタ13、拡張バックパネル基板9aのピン短絡部12、拡張バックパネル基板9aの主バックパネル基板用コネクタ13および拡張バックパネル基板用コネクタ7を順次に経由してスイッチ回路5の制御端子に送られる。
【0045】
また、電源回路20で発生された制御信号は、拡張バックパネル基板用コネクタ21に前段拡張バックパネル基板(図示しない)が接続されている場合は、拡張バックパネル基板用コネクタ21、前段拡張バックパネル基板の主バックパネル基板用コネクタ(図示しない)、前段拡張バックパネル基板のピン短絡部(図示しない)、前段拡張バックパネル基板の主バックパネル基板用コネクタ(図示しない)および拡張バックパネル基板用コネクタ21を順次に経由してスイッチ回路18の制御端子に送られる。
【0046】
次に、拡張バックパネル基板9aの詳細について説明する。拡張データ伝送用バス配線10の一端は、多ピンの主バックパネル基板用コネクタ13に接続されており、他端は、多ピンの拡張バックパネル基板用コネクタ22に接続されている。主バックパネル基板用コネクタ13は、主バックパネル基板1aの拡張バックパネル基板用コネクタ7に嵌合して主データ伝送用バス配線2と拡張データ伝送用バス配線10とを電気的に接続するとともに、主バックパネル基板1aからの制御信号が経由する経路の一部を形成する。
【0047】
拡張バックパネル基板用コネクタ22は、後段拡張バックパネル基板(図示しない)の拡張バックパネル基板用コネクタに嵌合して拡張データ伝送用バス配線10と後段拡張バックパネル基板の拡張データ伝送用バス配線とを電気的に接続するとともに、拡張バックパネル基板9aから拡張電源線24を介して送られてくる制御信号が経由する経路の一部を形成する。
【0048】
すなわち、拡張バックパネル基板9aからの制御信号は、拡張バックパネル基板用コネクタ22に後段拡張バックパネル基板が接続されている場合は、拡張バックパネル基板用コネクタ22、後段拡張バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタ(図示しない)、後段拡張バックパネル基板のピン短絡部(図示しない)、後段拡張バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタ(図示しない)および拡張バックパネル基板用コネクタ22を順次に経由してスイッチ回路19の制御端子に送られる。
【0049】
スイッチ回路19は、この発明の「更に他のスイッチ回路」に対応する。このスイッチ回路19は、制御信号によって開閉が制御される開閉スイッチから構成されており、その制御端子に制御信号が入力されていない場合にオン状態になり、制御信号が入力されている場合にオフ状態になる。このスイッチ回路19は、拡張データ伝送用バス配線10と拡張バックパネル基板用コネクタ22の接続点(拡張データ伝送用バス配線10の他端)の近傍に設けられている。このスイッチ回路19の一方の端子は拡張データ伝送用バス配線10に接続され、他方の端子は第3終端抵抗11を介して接地されている。
【0050】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係るバックパネル基板拡張装置の動作を説明する。
【0051】
主バックパネル基板1aの拡張バックパネル基板用コネクタ7に拡張バックパネル基板9aが接続されると、電源回路20から出力された制御信号は、拡張バックパネル基板用コネクタ7および拡張バックパネル基板9aの主バックパネル基板用コネクタ13を経由し、拡張バックパネル基板9aのピン短絡部12で折り返され、拡張バックパネル基板9aの主バックパネル基板用コネクタ13および拡張バックパネル基板用コネクタ7を通ってスイッチ回路5の制御端子に送られる。スイッチ回路5は、制御信号が入力されるとオフ状態となり、主データ伝送用バス配線2から第2終端抵抗4が電気的に切り離される。
【0052】
この状態で、拡張バックパネル基板用コネクタ21に前段拡張バックパネル基板が接続されておらず、拡張バックパネル基板用コネクタ22に後段拡張バックパネル基板が接続されていなければ、スイッチ回路18がオン状態されるとともに、スイッチ回路19がオン状態にされる。この結果、主データ伝送用バス配線2と拡張データ伝送用バス配線10からなるバス本線は、両端が第1終端抵抗3と第3終端抵抗11とで終端された状態となり、バス本線上のインピーダンス不整合点がなくなるので、信号の多重反射の発生を抑制できる。
【0053】
上述した状態で、主バックパネル基板1aの拡張バックパネル基板用コネクタ21に前段拡張バックパネル基板(図示しない)が接続されると、電源回路20から出力された制御信号は、拡張バックパネル基板用コネクタ21および前段拡張バックパネル基板の主バックパネル基板用コネクタを経由し、前段拡張バックパネル基板のピン短絡部で折り返され、前段拡張バックパネル基板の主バックパネル基板用コネクタおよび拡張バックパネル基板用コネクタ21を経由してスイッチ回路18の制御端子に送られる。スイッチ回路18は、制御信号が入力されるとオフ状態となり、主データ伝送用バス配線2から第1終端抵抗3が電気的に切り離される。
【0054】
この場合、前段拡張バックパネル基板のスイッチ回路はオン状態になる。この結果、前段拡張バックパネル基板の拡張データ伝送用バス配線、主データ伝送用バス配線2および拡張データ伝送用バス配線10からなるバス本線は、両端が前段拡張バックパネル基板の終端抵抗(図示しない)と第3終端抵抗11とで終端された状態となり、バス本線上のインピーダンス不整合点がなくなるので、信号の多重反射の発生を抑制できる。
【0055】
また、上述した状態で、拡張バックパネル基板9aの拡張バックパネル基板用コネクタ22に後段拡張バックパネル基板(図示しない)が接続されると、拡張バックパネル基板9aの拡張電源線24に流れている制御信号は、拡張バックパネル基板用コネクタ22および後段拡張バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタを経由し、後段拡張バックパネル基板のピン短絡部で折り返され、後段拡張バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタおよび拡張バックパネル基板用コネクタ22を経由してスイッチ回路19の制御端子に送られる。スイッチ回路19は、制御信号が入力されるとオフ状態となり、拡張データ伝送用バス配線10から第3終端抵抗11が電気的に切り離される。
【0056】
この場合、後段拡張バックパネル基板のスイッチ回路がオン状態になる。この結果、主データ伝送用バス配線2、拡張データ伝送用バス配線10および後段拡張バックパネル基板の拡張データ伝送用バス配線からなるバス本線は、両端が主バックパネル基板1aの第1終端抵抗3と後段拡張バックパネル基板の終端抵抗(図示しない)とで終端された状態となり、バス本線上のインピーダンス不整合点がなくなるので、信号の多重反射の発生を抑制できる。
【0057】
以上説明したように、実施の形態2に係るバックパネル基板拡張装置によれば、主バックパネル基板1aに接続される拡張バックパネル基板9aと、その後段または前段に拡張バックパネル基板を接続して拡張することにより、バックパネル基板に接続可能なドータカード基板の数を容易に増やすことができ、システムを自由に拡張できる。
【0058】
なお、上述した実施の形態2に係るバックパネル基板拡張装置では、実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の主バックパネル基板1を主バックパネル基板1aに変更するとともに、拡張バックパネル基板9を拡張バックパネル基板9aに変更したが、実施の形態1に係るバックパネル基板拡張装置の主バックパネル基板1のみ主バックパネル基板1aに変更し、または、拡張バックパネル基板9のみを拡張バックパネル基板9aに変更するように構成することもできる。
【0059】
また、上述した実施の形態1および実施の形態2では、主バックパネル基板および拡張バックパネル基板上に実装されたドータカード用コネクタの数を2つとしたが、これに限定されず、ドータカード用コネクタの数は任意とすることができる。この構成によっても、上述した実施の形態1および実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,1a 主バックパネル基板、2 主データ伝送用バス配線、3 第1終端抵抗、4 第2終端抵抗、5 スイッチ回路、6 制御信号回路、7,17c,17d,21,22 拡張バックパネル基板用コネクタ、8a,8b,14a,14b ドータカード用コネクタ、9,9a 拡張バックパネル基板、10 拡張データ伝送用バス配線、11 第3終端抵抗、12 ピン短絡部、13,17a,17b 主バックパネル基板用コネクタ、15a,15b,15c,15d ドータカード基板、16a,16b,16c,16d 送受信回路、18 他のスイッチ回路、19 更に他のスイッチ回路、20 電源回路、23 主電源線、24 拡張電源線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主バックパネル基板と拡張バックパネル基板を備えたバックパネル基板拡張装置であって、
前記主バックパネル基板は、
データを伝送する主データ伝送用バス配線と、
制御信号を発生する制御信号回路と、
前記主データ伝送用バス配線の一端と接地との間に設けられた第1終端抵抗と、
前記主データ伝送用バス配線の他端に接続され、前記拡張バックパネル基板を接続するための拡張バックパネル基板用コネクタと、
前記主データ伝送用バス配線の他端の近傍に設けられて、一方の端子が前記主データ伝送用バス配線に接続され、前記制御信号回路から前記拡張バックパネル基板を経由して送られてきた制御信号によって開閉が制御されるスイッチ回路と、
前記スイッチ回路の他方の端子と接地との間に設けられた第2終端抵抗
とを備え、
前記拡張バックパネル基板は、
データを伝送する拡張データ伝送用バス配線と、
前記拡張データ伝送用バス配線の一端に接続され、前記主バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタに嵌合して前記主データ伝送用バス配線と前記拡張データ伝送用バス配線とを接続するとともに、前記制御信号が経由する経路の一部を形成する主バックパネル基板用コネクタと、
前記拡張データ伝送用バス配線の他端と接地との間に設けられた第3終端抵抗
とを備えたバックパネル基板拡張装置。
【請求項2】
スイッチ回路は、主バックパネル基板に拡張バックパネル基板が接続されていない場合はオン状態にされ、前記主バックパネル基板に前記拡張バックパネル基板が接続されている場合は、制御信号回路から前記拡張バックパネル基板を経由して送られてきた制御信号によってオフ状態にされる
ことを特徴とする請求項1記載のバックパネル基板拡張装置。
【請求項3】
制御信号回路で発生される制御信号は、電源回路で発生される電源電圧である
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のバックパネル基板拡張装置。
【請求項4】
主バックパネル基板は、
データを伝送する主データ伝送用バス配線と、
制御信号を発生する制御信号回路と、
前記主データ伝送用バス配線の他端に接続され、拡張バックパネル基板を接続するための拡張バックパネル基板用コネクタと、
前記主データ伝送用バス配線の他端の近傍に設けられて、一方の端子が前記主データ伝送用バス配線に接続され、前記制御信号回路から前記拡張バックパネル基板を経由して送られてきた制御信号によって開閉が制御されるスイッチ回路と、
前記スイッチ回路の他方の端子と接地との間に設けられた第2終端抵抗と、
前記主データ伝送用バス配線の一端に接続され、他の拡張バックパネル基板を接続するための他の拡張バックパネル基板用コネクタと、
前記主データ伝送用バス配線の一端の近傍に設けられて、一方の端子が前記主データ伝送用バス配線に接続され、前記制御信号回路から前記他の拡張バックパネル基板を経由して送られてきた制御信号によって開閉が制御される他のスイッチ回路と、
前記他のスイッチ回路の他方の端子と接地との間に設けられた第1終端抵抗
とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のバックパネル基板拡張装置。
【請求項5】
拡張バックパネル基板は、
データを伝送する拡張データ伝送用バス配線と、
前記拡張データ伝送用バス配線の一端に接続され、主バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタに嵌合する主バックパネル基板用コネクタと、
前記拡張データ伝送用バス配線の他端に接続され、他の拡張バックパネル基板の拡張バックパネル基板用コネクタに嵌合する拡張バックパネル基板用コネクタと、
前記拡張データ伝送用バス配線の他端の近傍に設けられて、一方の端子が前記拡張データ伝送用バス配線に接続され、前記制御信号回路から前記他の拡張バックパネル基板を経由して送られてきた制御信号によって開閉が制御される更に他のスイッチ回路と、
前記更に他のスイッチ回路の他方の端子と接地との間に設けられた第3終端抵抗
とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のバックパネル基板拡張装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−174026(P2012−174026A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35851(P2011−35851)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)