説明

バックライトユニット用シート

【課題】放熱機能と反射機能を積層一体構造のシートとして具備させて、省スペース化・薄膜化を図り、薄型テレビの大画面化に対応させる。
【解決手段】反射機能及び拡散反射機能を備えた積層構造のバックライトユニット用シートに於て、中間層として一体に放熱用金属基材層3を、付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型テレビやパソコン等のバックライトユニットに用いられる積層構造のシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型テレビやパソコン等のバックライトユニットでは、反射シートと放熱部材とは別々に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−352427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで最近は上記薄型テレビ等の大画面化及び薄肉化が要望され、それに伴って、バックライトユニット部の一層の薄肉化(薄膜化)───省スペース化───が求められ、同時に反射機能と十分な放熱機能が求められている。
【0004】
そこで、本発明は、このような要望に応えて、バックライトユニット部の省スペース化を図りながら、同時に、反射機能と拡散反射機能の他に十分な放熱機能を発揮できるバックライト用反射放熱シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層を中間層として一体に介設したものである。
また、反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層を中間層として一体に介設し、さらに、該金属基材層よりも裏面側には粘着剤層と離型層を積層し、かつ、該金属基材層よりも表て面側には上記反射機能及び拡散反射機能を発揮するための反射白色フィルム層を備えている。そして、上記反射白色フィルム層には金属蒸着層が付着しているのが望ましい。
【0006】
また、反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層を中間層として一体に介設し、さらに、該金属基材層よりも裏面側には粘着剤層と離型層を積層し、かつ、該金属基材層よりも表て面側には、順次、反射フィルム層とマットフィルム層を備え、上記反射機能及び拡散反射機能を発揮するよう構成したものである。そして、上記反射フィルム層には金属蒸着層が付着しているのが望ましい。
また、反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層を中間層として一体に介設し、さらに、該金属基材層よりも裏面側には粘着剤層と離型層を積層し、かつ、該金属基材層よりも表て面側には、順次、反射フィルム層と反射白色フィルム層を備え、上記反射機能及び拡散反射機能を発揮するよう構成したものである。そして、上記反射フィルム層には金属蒸着層が付着しているのが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
放熱用の金属基材層を中間層として一体に有することによって、従来別々であった放熱機能と反射機能等が一枚の積層構造に集約できて、省スペース化・薄肉化(薄膜化)を図り得る。
本発明は、最近の薄型テレビ等の大画面化と薄肉化及び構造の簡素化に貢献する反射放熱シートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1,図2,図3は、順次、第1・第2・第3の実施の形態を示す。いずれの実施の形態にあっても、反射機能及び拡散反射機能を(従来と同様に)発揮する積層構造のバックライト用シートであり、しかも、放熱用金属基材層3を中間層として一体に介設して構成される。
【0009】
まず、図1に示す第1の実施の形態から具体的にその構成等を説明すれば、金属基材層3よりも裏面側Bには粘着剤層4と離型層(セパレート層)5を順次積層している。かつ、金属基材層3よりも表て面側Fには、接着剤層(粘着材層)2と反射白色フィルム層1を順次積層している。この反射白色フィルム層1は、反射機能及び拡散反射機能を発揮する層である。
【0010】
この反射白色フィルム層1につき詳しく述べると、厚さ寸法は、12μm〜 250μmが好ましく、特に、38μm〜 188μmが望ましい。厚さ寸法が上限値を越すと、放熱性が急に低下するためであり、また、厚さ寸法が下限値未満となると、急に反射率が低下するためである。そして、この反射白色フィルム層1の基材(材質)は、高反射率及び高拡散反射率のものが望ましく、例えば、発泡PET、又は、(硫酸バリウムや酸化チタン等の)白色顔料を練込んだPETが好ましい。(反射率と拡散反射率が低いと、高輝度で均一な表示ができなくなる。)具体的な反射率としては、60%以上とし、特に90%以上が望ましい。そして、拡散反射率としては、50%以上とし、特に80%以上が望ましい( 550nm時) 。ここで、反射率を高めるために、AlやAg等の金属蒸着層11を反射白色フィルム層1の裏面側Bに付着させるのが良い。
【0011】
次に、接着剤層2について述べる。厚さ寸法は50μm以下とする。接着強度が、金属基材層3と上述の反射白色フィルム層1同士をしっかりと接合して剥がれない強度である公知の材質のものであって、できるだけ薄肉(小さな厚さ寸法)が好ましい。さらに、この接着剤層2の性能として、熱伝導率の良いものが望ましく、そのために、金属粉を混入することも好ましい。
そして、金属基材層3について述べる。この金属基材層3の材質は熱伝導率の良い金属が望ましく、CuやAlが挙げられ、さらには、二成分以上の金属を混ぜ合わせたもの(合金等)も好ましいといえる。その熱伝導率は、10W・m−1・K−1以上とする。例えば、Alの熱伝導率は、 236W・m−1・K−1であって、望ましいといえる。この放熱用金属基材層3の厚さ寸法は、3μm〜 500μm、特に、30μm〜80μmが望ましい。下限値未満となると熱伝導性能が低減するからであり、逆に、上限値を越すと作業性の低下が懸念される。
【0012】
次に、粘着剤層4について述べると、金属基材層4に対して密着性の良いもので、金属を腐食させない材質のものを選ぶ。密着が悪いと粘着剤の転着が起こり、リワーク性が無くなる。その強度は、1N/25mm以上(JIS Z 0237 vs SUS)とし、被着体に対してリワーク性があっても良く、また、熱伝導率の良いものが望ましく、金属粉を混入するも望ましい。その厚さ寸法は、 100μm以下とする。これを越すと熱伝導率性が低下する。
【0013】
また、離型層5について述べると、厚さ寸法は、3μm〜 500μmのPET等の樹脂フィルムに離型処理を施したもの、あるいは、各種の紙、若しくは、各種の紙とコーティング層の積層体に、離型処理を施したもの等が、用いられる。特に、エンボス加工により表面に微細な多数の凹溝や、凹凸部を形成して、リワーク性と作業性を改善したものが好ましい。
【0014】
次に、第2の実施の形態(図2)について説明する。
放熱用金属基材層3を中間層として一体積層構造として有する点、及び、裏面側Bには粘着剤層4と離型層5を積層している点は、第1の実施の形態(図1)と同様であり、かつ、金属基材層3,粘着剤層4,離型層5についての厚さ寸法、材質、その他の特性は、第1の実施の形態(図1)と同一である。
【0015】
しかしながら、金属基材層3の表て面側Fの積層構造が相違している。即ち、金属基材層3よりも表て面側Fには、順次、反射フィルム層8とマットフィルム層6を備え、反射機能及び拡散機能を発揮するよう構成されている。
さらに具体的には、金属基材層3の表て面側Fに、接着剤層2を介して反射フィルム層8が積層され、かつ、別の接着剤層2を介してマットフィルム層6が最外表面に積層(配設)されている。反射フィルム層8には金属蒸着層12が付着しているのが、望ましい。
接着剤層2,2に関しては、第1の実施の形態(図1と)同一であるので説明を省略する。
【0016】
反射フィルム層8は、透明の樹脂フィルム、又は、白色PET等の白色の樹脂フィルムから成り、厚さ寸法は12μm〜 250μmに設定するが、可能な限り薄い方が、放熱性を高く維持する上で望ましい。この反射フィルム層8の表て面側F(図2参照)にAg又はAl等の金属蒸着層12を付着し、又は、図示省略するが、反射フィルム層8の裏面側Rに金属蒸着層12を付着するのが、望ましい。この金属蒸着層12は、最表面基材のマットフィルム層6を透過した光の反射を行う作用をなす。
【0017】
そして、マットフィルム層6について述べると、樹脂フィルムにエンボス加工や練込み等の加工によって、光拡散性を有し、例えば、Hazeが20%以上で、光を吸収せず、反射率を低下させないものが良い。さらに、厚さ寸法は、3μm〜 500μmとする。上限値を越すと放熱性が急に低下するという問題があり、逆に、下限値未満であると拡散性が急激に低下する。
その他、図2に於て図1と同一符号は同様の構成であって、重複説明を省略する。また、図2の蒸着層12は図1の蒸着層11と同様の構成とする。
【0018】
次に、第3の実施の形態(図3)について説明する。
放熱用金属基材層3を中間層として一体積層構造として有する点、及び、裏面側Bには粘着剤層4と離型層5を積層している点は、第1の実施の形態(図1)と同様であり、かつ、金属基材層3,粘着剤層4,離型層5についての厚さ寸法、材質、その他の特性は、第1の実施の形態(図1)と同一である。
【0019】
しかしながら、金属基材層3の表て面側Fの積層構造が相違している。即ち、金属基材層3よりも表て面側Fには、順次、反射フィルム層8と反射白色フィルム層7を備え、反射機能及び拡散反射機能を発揮する。
さらに、具体的には、金属基材層3の表て面側Fに、接着剤層2を介して反射フィルム層8が積層され、かつ、別の接着剤層2を介して反射白色フィルム層7が最外表面に積層(配設)されている。反射フィルム層8には金属蒸着層12が付着しているのが、望ましい。
接着剤層2,2に関しては、第1の実施の形態(図1)と同一であるので説明を省略する。
【0020】
反射フィルム層8は、透明の樹脂フィルム、又は、白色PET等の白色の樹脂フィルムから成り、厚さ寸法は12μm〜 250μmに設定するが、可能な限り薄い方が、放熱性を高く維持する上で望ましい。この反射フィルム層8の表て面側F(図3参照)にAg又はAl等の金属蒸着層12を付着し、又は、図示省略するが、反射フィルム層8の裏面側Bに金属蒸着層12を付着するのが、望ましい。この金属蒸着層12は、最表面基材の反射白色フィルム層7を透過した光の反射を行う作用をなす。
【0021】
次に、反射白色フィルム層7について説明すれば、図1で説明した反射白色フィルム層7と同様の構成であり、図1の金属蒸着層11は存在しない(付着させない)。
つまり、この反射白色フィルム層7は、厚さ寸法は、12μm〜 250μmが好ましく、特に、38μm〜 188μmが望ましい。厚さ寸法が上限値を越すと、放熱性が急に低下するためであり、また、厚さ寸法が下限値未満となると、急に反射率が低下するためである。そして、この反射白色フィルム層7の基材(材質)は、高反射率及び高拡散反射率のものが望ましく、例えば、発泡PET、又は、(硫酸バリウムや酸化チタン等の)白色顔料を練込んだ。PETが好ましい。(反射率と拡散反射率が低いと、高輝度で均一な表示ができなくなる。)具体的な反射率としては、60%以上とし、特に90%以上が望ましい。そして、拡散反射率としては、50%以上とし、特に80%以上が望ましい( 550nm時) 。
その他、図3に於て、図1,図2と同一符号は同様の構成であって、重複説明を省略する。
【0022】
ところで、薄型テレビ等に使用される際には、離型層5が剥離除去され、露出した粘着剤層4を相手面に押圧して粘着する。このように、本発明は、CCFL等のバックライトユニットに使用される片面粘着タイプの積層構造の粘着シートであって、高反射率及び高拡散反射率を有している。しかも、金属基材層3をベースに用いており、CCFL等からの熱を系外に有効に排出できる。転合させることで単一の(積層一体構造の)シートに於て、反射層と放熱層の両方を具備するため、薄膜化(薄肉化)を図り、省スペースで反射放熱の効果を奏する。
【0023】
なお、離型層5に多数の凹凸模様をエンボス加工しておけば、離型層5を剥離すると粘着剤層4の裏面側Bには、エアを排出する微細な多数の溝が形成されて、大型(大画面)のバックライトユニット等にもエアの噛み込みを生ずることがなく、均一に貼着できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す拡大要部断面である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す拡大要部断面である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す拡大要部断面である。
【符号の説明】
【0025】
1 反射白色フィルム層
2 接着剤層(粘着剤層)
3 金属基材層
4 粘着剤層
5 離型層
6 マットフィルム層
7 反射白色フィルム層
8 反射フィルム層
11, 12 金属蒸着(層)
B 裏面側
F 表て面側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層(3)を中間層として一体に介設したことを特徴とするバックライトユニット用シート。
【請求項2】
反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層(3)を中間層として一体に介設し、さらに、該金属基材層(3)よりも裏面側(B)には粘着剤層(4)と離型層(5)を積層し、かつ、該金属基材層(3)よりも表て面側(F)には上記反射機能及び拡散反射機能を発揮するための反射白色フィルム層(1)を備えていることを特徴とするバックライトユニット用シート。
【請求項3】
上記反射白色フィルム層(1)には金属蒸着層(11)が付着している請求項2記載のバックライトユニット用シート。
【請求項4】
反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層(3)を中間層として一体に介設し、さらに、該金属基材層(3)よりも裏面側(B)には粘着剤層(4)と離型層(5)を積層し、かつ、該金属基材層(3)よりも表て面側(F)には、順次、反射フィルム層(8)とマットフィルム層(6)を備え、上記反射機能及び拡散反射機能を発揮するよう構成したことを特徴とするバックライトユニット用シート。
【請求項5】
上記反射フィルム層(8)には金属蒸着層(12)が付着している請求項4記載のバックライトユニット用シート。
【請求項6】
反射機能及び拡散反射機能を具備する積層構造のバックライトユニット用シートに於て、放熱用金属基材層(3)を中間層として一体に介設し、さらに、該金属基材層(3)よりも裏面側(B)には粘着剤層(4)と離型層(5)を積層し、かつ、該金属基材層(3)よりも表て面側(F)には、順次、反射フィルム層(8)と反射白色フィルム層(7)を備え、上記反射機能及び拡散反射機能を発揮するよう構成したことを特徴とするバックライトユニット用シート。
【請求項7】
上記反射フィルム層(8)には金属蒸着層(12)が付着している請求項6記載のバックライトユニット用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−170326(P2009−170326A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8732(P2008−8732)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000226091)日栄化工株式会社 (17)