説明

バックライト装置及びこのバックライト装置を備えた表示装置

【課題】光源などを外気と遮断して冷却する冷却手段を備えたバックライト装置及びこの
バックライト装置を備えた表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明のバックライト装置15は、光源と、この光源の光を所定方向へ反射
させる反射部材と、光源及び反射部材を収容する収容ケースと、を備えたバックライト装
置であって、収容ケースは、一側面に光透過窓及び内部に所定容積の空間を設けた密閉容
器16で形成して、この密閉容器内に光源17〜17、反射部材18及び冷却配管1
9を収納して、この冷却配管19の給送及び排出部を密閉容器外へ露出させて、密閉容器
内を外気と遮断したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に温度上昇を抑える冷却手段を設けたバックライト装置及びこのバック
ライト装置を備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の電子・電気機器の表示装置には、フラットタイプの表示パネルが多く使用されて
おり、この表示パネルとしては大半が液晶パネルとなっている。この液晶パネルは、液晶
が非発光物質であるために暗所で表示画像が見え難くなることから、表示画面を照射する
バックライト装置が設けられている。
【0003】
液晶パネルは、近年、より明るい画面表示が要求されているため、バックライト装置に
はより高い輝度のものが要求されている。バックライト装置の光源としては、通常、蛍光
ランプ、冷陰極管或いは発光ダイオード(LED)などが使用されている。これらの光源
を用いて輝度を上げようとすると、光源の数を多くする必要がある。しかしながら、これ
らの光源の数を多くすると、光源からの発熱量が増大するため、光源を収容している収容
ケース内の温度が上昇する。
【0004】
この傾向は、特に蛍光ランプ、冷陰極管等の表面が高温になる光源を使用する場合に著
しく現れる。この収容ケース内の温度上昇は、液晶パネル及びこのパネルを制御する半導
体素子並びにその他の電子部品の動作特性に悪影響を与え、正規の動作特性が得られなく
なったり、或いはそれらの劣化を速めて故障の原因になることがある。
【0005】
そこで、このような高輝度のバックライト装置を備えた液晶表示装置には、バックライ
ト装置に冷却手段が設けられている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。
【0006】
例えば、下記特許文献1に記載された液晶表示装置は、光源を収容したケースの上部に
排気用開口、下部に吸気用開口が形成されたバックライトユニットを備えたものである。
このバックライトユニットは、光源の発熱によりケース内部の空気が加熱されると、加熱
された空気が上昇して、上方の排気用開口から排出される。一方、下方の吸気用開口から
は冷気が吸い込まれて空気の自然対流によって、ケース内部の温度上昇が抑えられるよう
になっている。
【0007】
また、図6は、下記特許文献2に記載された液晶ディスプレイ装置の要部断面図である

【0008】
この液晶ディスプレイ装置30は、液晶パネル31と、この液晶パネルを照射する複数
本の蛍光ランプを収容したバックライト筐体32と、液晶パネルを駆動する液晶駆動回路
基板33と、バックライト筐体32の上面部及び下面部に設けた通気用部材34、34と
、で構成されている。そして各通気用部材34、34には、バックライト筐体32に連通
する通気孔34a、34aが形成されている。
【0009】
この液晶ディスプレイ装置30は、下側の通気用部材34から外気が吸引されて、吸引
された冷気はバックライト筐体32内を通過し、上側の通気用部材34から外へ排気され
る。このとき、バックライト筐体32内で発生する熱は外部へ放出されるようになってい
る。なお、この文献2には、上下通気用部材に強制空冷用ファンを配置し、強制冷却する
技術も開示されている。
【特許文献1】特開2002−189207号公報(図1、段落〔0019〕〜〔0021〕)
【特許文献2】特開平10−96898号公報(図1、段落〔0019〕、〔0020〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に開示されているバックライトユニットはケースの上に設けた排気用開
口からケース内部で加熱された空気を排気するようになっている。しかしながら、このバ
ックライトユニットは、ケース内部への吸気及び排気が空気の自然対流によって行われる
ので、このときの流量及び流速などは空気の自然対流に依存しており、それらの調節がで
きず、自ずとその冷却能力には限界がある。このため、より大きな冷却能力を必要とする
表示装置などへの適用が困難である。また、吸気及び排気用の開口が常時開いているので
、この開口から埃、塵、或いはタバコの煙などが入り込み、これらがバックライト光源な
どに付着してその明るさを低下させ、また、水などが浸入し故障の原因となることがある

【0011】
また、上記特許文献2に開示されている液晶ディスプレイ装置は、バックライト筐体内
への吸排気が空気の自然対流によって行われるので、上記のバックライトユニットと同じ
課題が潜在している。なお、この特許文献2には、上下通気用部材に強制空冷用ファンを
配置し、強制冷却する技術も開示されているが、通気用部材からバックライト筐体内に外
気が強制的に導入される際に埃、塵、タバコの煙及び水などが一緒に持ち込まれてしまう
ため、上記の特許文献1に開示されているバックライトユニットと同じ課題が潜在してい
る。
【0012】
一方、液晶パネルの特性として、光透過率が極めて低く、1枚の液晶パネルの光透過率
は通常10%以下となっている。光透過率が低いと、複数枚の液晶パネルが積層される表
示装置、例えばマルチレイヤディスプレイ装置や立体表示用ディスプレイ装置では、その
光透過率は積層される液晶パネルの枚数に反比例して低下する。そのため、1枚の液晶パ
ネル上に更に液晶パネルが1枚積層されたディスプレイ装置では、その光透過率はさらに
低下し、例えば0.1%以下になる。また、マルチレイヤディスプレイ装置は、通常少な
くとも2枚のカラー液晶パネルが積層されて使用されていると共に、各液晶パネル間にモ
アレ対策用のシートが挿入されているので、上記のような光透過率の低下はさらに著しく
現れる。
【0013】
このため、マルチレイヤディスプレイ装置や立体表示用ディスプレイ装置用のバックラ
イト装置には、より高い輝度の光源が必要となる。例えば、中型液晶パネルであっても、
さらに同じ型の液晶パネルが1枚積層される構造をとると、単独の液晶パネル用の約10
倍(例えば2〜3万cd/m)の輝度の光源が必要となり、しかもこの光源に蛍光ラン
プや冷陰極管を使用すると、それを収納する収容ケース内の温度は100℃前後に上昇す
る。しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されているバックライト装置の冷却手段
は、空気の対流に依存しているので、自ずとその冷却能力には限界があるとともに外部か
らの汚染物質の浸入を抑制することができないため、上述のような高輝度の光源が必要な
表示装置に適用することが極めて難しい。
【0014】
本発明はこのような従来技術が抱える課題を解決するためになされたものであり、本発
明の目的は光源などを外気と遮断して冷却する冷却手段を備えたバックライト装置及びこ
のバックライト装置を備えた表示装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、冷却能力の高い冷却手段を備えたバックライト装置及びこ
のバックライト装置を備えた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のバックライト装置は、冷陰極管又は蛍光ランプから
なる光源と、前記光源からの光を所定方向へ反射させる反射部材と、前記光源及び反射部
材を収容する収容ケースと、を備えたバックライト装置において、前記収容ケースは一側
面に光透過窓及び内部に所定容積の空間を設けた密閉容器で形成され、前記密閉容器内に
、冷却配管、前記光源及び反射部材を収納するとともに、前記冷却配管の少なくとも一方
端を前記密閉容器外へ導出して冷却手段に接続し、前記密閉容器内を外気と遮断したこと
を特徴とする。
【0017】
係る態様のバックライト装置によれば、密閉容器内に光源、反射部材及び冷却配管を収
納して容器内を外気と遮断するとともに、冷却配管の少なくとも一方端を前記密閉容器外
へ導出して冷却手段に接続したので、通気孔などを通して外気を送風することなく、密閉
容器内で発生した熱を外部へ放熱して内部の温度上昇を抑制できる。また、密閉容器内は
、外気と遮断されているので、密閉容器外から塵、埃或はタバコの煙などが入り込むこと
がなくなるので、光源などの部材が汚染されることによる機能低下を防止できる。
【0018】
また、本発明のバックライト装置は、上記バックライト装置において、前記密閉容器内
には、前記光透過窓の下方に前記光源及び前記反射部材をこの順序で配設し、前記反射部
材の下方に前記冷却配管を配設したことを特徴とする。
【0019】
係る態様のバックライト装置によれば、反射部材の下方に冷却配管を配設することによ
り、光源からの光を反射させて有効利用すると共に、反射部材の上方に配設された光源か
ら発する熱を冷却配管によって吸熱し、外部に放熱させることができる。
【0020】
また、本発明のバックライト装置は、上記バックライト装置において、前記反射部材は
頂部及び底部が所定の間隔をあけて交互に出現する波型に形成され、前記波型の隣接する
頂部間に形成される窪み内に前記光源を、前記頂部の反対側の空間内に前記冷却配管を、
それぞれ配設したことを特徴とする。
【0021】
係る態様のバックライト装置によれば、冷陰極管又は蛍光ランプからの光は窪みを形成
する側壁面から効率よく反射され、しかも、隣接する冷陰極管又は蛍光ランプの間に波型
の頂部が位置しており、この頂部付近からも反射した光が照射されるので、この頂部付近
が他の部分より暗くなることがない。すなわち、冷陰極管又は蛍光ランプが存在する箇所
と反射部材の頂部付近とは略同じ輝度になり、頂部付近が暗くなるランプイメージ現象が
発生することがなくなる。また、冷却配管は、冷陰極管又は蛍光ランプに近接しているの
で、この冷陰極管又は蛍光ランプからの熱を効率よく吸収して、放熱することができる。
【0022】
また、本発明のバックライト装置は、上記バックライト装置において、前記冷却配管は
ヒートパイプであることを特徴とする。
【0023】
係る態様のバックライト装置によれば、ヒートパイプは非常に熱伝導率が良好であるこ
とが知られている管状部材であるから、特にポンプ等の可動部材を設けたり密閉容器内へ
通風孔などを通して外気を送風したりしなくても、良好に光源からの熱を吸熱して外部に
放熱することができる。
【0024】
また、本発明のバックライト装置は、上記バックライト装置において、前記冷却配管は
内部に冷却媒体が流通される中空配管からなり、前記中空配管の両端を前記密閉容器外で
ポンプ及び前記冷却手段を介して互いに接続したことを特徴とする。
【0025】
係る態様のバックライト装置によれば、密閉容器内へ通風孔などを通して外気を送風し
なくても、密閉容器外から冷媒配管に冷却媒体を送給することにより、密閉室内を冷却し
て温度上昇を抑制することができる。
【0026】
また、本発明のバックライト装置は、上記バックライト装置において、前記冷却媒体は
、水、空気又は有機溶媒のいずれか1つの媒体であることを特徴とする。
【0027】
係る態様のバックライト装置によれば、冷却媒体に、水、空気又は有機溶媒などを使用
することにより、それぞれの媒体の特性に対応した密閉室内の冷却を実行することができ
る。
【0028】
また、本発明のバックライト装置は、前記冷却手段はヒートシンク又はヒートシンクに
強制冷却手段を組合せたものからなることを特徴とする。
【0029】
係る態様のバックライト装置によれば、冷却手段による冷却効果を飛躍的に上昇させる
ことができる。
【0030】
また、本発明のバックライト装置は、上記バックライト装置において、前記冷却配管は
、前記光源と平行に配置されていることを特徴とする。
【0031】
係る態様のバックライト装置によれば、冷却配管の配置方向を冷陰極管又は蛍光ランプ
等の光源と平行になるように配置したので、光源の周囲の空気の対流を乱さないようにす
ることができるため、冷却効果が向上する。この際、バックライト装置内に空気の循環用
ファンを配置すれば冷却効率がより向上する。
【0032】
また、本発明の表示装置は、いずれかに記載のバックライト装置の光透過窓に表示パネ
ルが装着されていることを特徴とする。
【0033】
係る態様の表示装置によれば、その表示装置に使用したバックライト装置は上記の作用
効果を奏するので、種々の表示装置、特に高輝度の照射が必要なマルチレイヤディスプレ
イ装置に適用しても高輝度の画面表示ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形
態は、本発明の技術思想を具体化するためのバックライト装置及びこのバックライト装置
を備えた表示装置として、3次元映像表示装置あるいは2画面映像表示装置とこれに使用
するバックライト装置を例示するものであって、本発明をこれらのものに特定することを
意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応
し得るものである。
【0035】
なお、図1は実施例1のバックライト装置を備えた3次元映像表示装置の模式的断面図
である。図2はバックライト装置の平面図である。図3は図2のX−X線の断面図である
。図4は冷却配管の冷媒の循環路を示した配管図である。また、図5は実施例2のバック
ライト装置を備えた2画面映像表示装置の模式的断面図である。
【実施例1】
【0036】
まず、図1を参照して、実施例1に係るバックライト装置を備えた3次元映像表示装置
の概要を説明する。
【0037】
この3次元映像表示装置1は、偏光板8と、パララックス・バリアを電子的に発生させ
る透過型液晶素子などからなるバリアセル2と、スペーサーガラス7と、液晶画像表示セ
ル9と、偏光板14と、液晶画像表示セル9等を照射するバックライト装置15と、を有
している。
【0038】
バリアセル2は、上側ガラス基板2A、共通電極3、スペーサー4と液晶層5、画素電
極6、下側ガラス板2Bを順次重ねて構成されている。このバリアセル2で3次元表示す
る場合は、上記両電極3、6間に選択的に電圧を印加することにより液晶層5の液晶分子
の配向を変え、任意の形状のバリアを発生させる。電圧印加制御はマイクロコンピュータ
等の電子回路で得られる。また、2次元映像表示をする場合は、バリアの発生を停止し、
その映像表示領域の全域にわたり無色透明になるように制御される。
【0039】
そして、バリアセル2と液晶画像表示セル9との間には、スペーサーガラス7が配置さ
れるか、あるいは、バリアセル2と液晶画像表示セル9との間に空気の層が設けられてい
てもよい。このスペーサーガラス7は液晶画像表示セル9とバリアセル2との距離を調整
するために用いるものであり、3次元映像表示装置1の大きさによっては用いないことも
ある。液晶画像表示セル9は、上側ガラス基板9A、共通電極10、スペーサー11、液
晶12、画素電極13を有する下側ガラス基板9Bの順に配列構成されて、バリアセル2
の後方にスペーサーガラス7を介して所定距離を離して配置される。この液晶画像表示セ
ル9には、3次元映像表示の際にバリアセル2の発生するバリアに対応して右眼用の画像
と左眼用の画像とが交互に表示される。偏光板14の背後にはバックライト装置15が設
けられ、このバックライト装置からの照明光が液晶画像表示セル9を透過して映像光が観
察者の左右の眼に導かれ立体像が提供される。
【0040】
次に、図2〜図4を参照して、バックライト装置の構成を説明する。
【0041】
バックライト装置15は、複数本、例えば6本の冷陰極管17〜17からなる光源
17と、これらの冷陰極管17〜17からの光を上方へ反射する反射部材18と、こ
の反射部材の下方に配設して冷陰極管17〜17から発する熱を冷却する冷却配管1
9とを有している。そして、これらの冷陰極管17〜17、反射部材18及び冷却配
管19が密閉容器16内に収納され、外気と遮断された構成を有している。冷陰極管17
〜17からなる光源17は、それぞれ長尺の細管状のものであり、公知のものが使用
されている。
【0042】
反射部材18は、表面を反射面とした板状体を蛇腹状に折畳んだ折畳み体で形成されて
いる。すなわち、この折畳み体は、冷陰極管17〜17の長さと略同じ或は若干長い
幅長と、所定の長さの板状体を長手方向の一端部から所定の単位幅長Lで蛇腹状に折畳ん
で形成されている。この折畳み体は、折畳みにより頂部18及び底部18を有し、全
体形状が波型に形成されている。単位幅長Lは、冷陰極管17〜17及び冷却配管1
9の直径より長くして、各幅長Lで折畳んで形成された略V字状溝内に冷陰極管17
17が位置するようになっている。このV字状溝内に冷陰極管17〜17を位置さ
せることにより、冷陰極管17〜17から発せられた光は、反射部材の反射面から効
率よく反射されて外部へ照射される。
【0043】
隣接する冷陰極管17〜17の間に波型の頂部18が位置し、この頂部付近から
反射光が照射されるので、この頂部付近が他の部分より暗くなることがない。すなわち、
冷陰極管17〜17が存在する箇所と反射部材の頂部付近とは略同じ輝度になり、頂
部付近が暗くなるランプイメージ現象が生じることがない。また、波型の頂部18の下
部には冷却配管19が位置している。すなわち、各冷陰極管17〜17と冷却配管1
9とは実質的に平行に配置された形になる。これにより、反射部材18の波型の頂部18
の内壁面と冷却管との接触乃至対向する面積が大きくなり、反射部材18を効率よく冷
却することができる。また、バックライト装置15内に空気の循環用ファン(図示せず)
を配置すれば冷却効率がより向上する
【0044】
反射部材18は、合成樹脂板、金属板或はこれらの複合板からなり、冷陰極管17
17が配設される面に反射面が形成されている。反射面は、例えば、白色塗料の塗布、
白色ポリエステルフィルムの貼付、或はアルミ蒸着などで形成される。この反射部材18
に熱伝導性の良好な金属、例えばアルミニウム或はアルミニウム合金を使用すると、冷陰
極管17〜17からの熱が良熱伝導性の反射部材18を介して冷却配管19へ効率よ
く伝導させることができる。
【0045】
冷却配管19は、内部が中空の長尺パイプからなり、熱伝導性のよい材料、例えば銅管
ないしアルミニウム管で形成されている。この冷却配管19は、折曲されて反射部材18
の間に配設されて、端部が密閉容器16外へ露出されている。この露出された端部は、冷
却媒体の給送部20A及び排出部20Bとなっている。すなわち、この冷却配管19は、
図4に示すように、反射部材18の波型の頂部18の下部に配設されるように折曲され
て、給送部20AにポンプP、排出部20Bに冷却手段21が配管L、Lで接続され
ている。このループは循環路を構成している。冷却媒体には、水、空気、その他有機溶媒
等の任意の冷却媒体が使用される。
【0046】
この冷却手段21としては、単なるヒートシンクのみでも、その放熱面積を大きくすれ
ば十分な放熱能力を備えさせることができる。このヒートシンクに外気を強制的に吹き付
けるようにすればより冷却効率は向上する。更には、他の強制冷却手段、例えばペルチェ
素子等のサーモモジュールを組み合わせてより放熱効率を向上させることもできる。
【0047】
密閉容器16は、上方に開口部16を有する本体ケース16Aと、この本体ケースの
開口部を塞ぐ光透過性材料からなる蓋体16Bとで構成されている。本体ケース16Aは
、金属材、合成樹脂或はこれらの複合材の成型体で形成されている。また、蓋体16Bは
ガラス材で形成されている。本体ケース16Aの開口部16は、ガラス材からなる蓋体
で覆われ、光透過窓となっている。本体ケース16Aは、6本の冷陰極管17〜17
、反射部材18及び冷却配管19を収容できる大きさを有している。この本体ケース16
Aは、所定の幅長及び長さを有する長方形の底板部16と、この底板部の外周囲から同
じ方向へ所定高さ立設した側板部16〜16と、を有し、上方が開放して開口部16
とした浅底の箱状体で形成されている。
【0048】
この本体ケース16Aは、その内部に冷陰極管17〜17、反射部材18及び冷却
配管19を支持する支持手段(図示省略)が設けられている。また、この本体ケース16
Aは、冷却配管19への給送部20A及び排出部20Bが突出されている。この密閉容器
16は、本体ケース16Aに冷陰極管17〜17、反射部材及び冷媒管などを収納し
た後に、本体ケースの開口部16を蓋体16Bのガラス板で覆い、内部を外気と遮断す
る。
【0049】
なお、この密閉容器としては、その内部に外気が入らないようにすれば良く、必ずしも
外気と完全に遮断して気密にする必要はない。
【0050】
次に、このバックライト装置15の組み立て工程の一例及び密閉容器16内の冷却方法
を説明する。最初に、本体ケース16A内に所定の形状に折曲された冷却配管19を配設
して、この冷却配管19の上に反射部材18を配設する。このとき、反射部材18の各底
部18を各冷却配管19〜19の間に位置させる。冷却配管19及び反射部材18
は、本体ケース16Aに不図示の固定手段で固定する。その後、反射部材18の底部、す
なわち、折畳まれた波型のそれぞれの底部に冷陰極管17〜17を配設して、各冷陰
極管17〜17を不図示の固定手段で本体ケース16Aに固定する。
【0051】
最後に、本体ケース16Aの開口部16をガラス板からなる蓋体16Bで覆って密閉
し、容器内部を外気と遮断する。なお、この密閉容器16からは、各冷陰極管17〜1
に接続されたリード線及び冷却配管19の給送部20A及び排出部20Bが導出され
るが、これらの導出部も公知のシール手段を用いて気密に密閉する。このような構成とな
すことにより、薄型のバックライト装置15が得られる。組立てたバックライト装置15
は、密閉容器16の光透過窓を形成する蓋体16Bの上に液晶画像表示セル9を載置・固
定して3次元映像表示装置1(図1参照)として使用する。
【0052】
このバックライト装置15は、冷陰極管17〜17からなる光源17、反射部材1
8及び冷却配管19を密閉容器16内に収納して外気と遮断したので、密閉容器16外か
ら冷却配管19に冷却媒体を送給することにより、密閉容器16内で発生した熱を冷却し
温度上昇を防止できる。また、密閉容器16内は、外気と遮断されているので、密閉容器
16外から塵、埃或はタバコの煙などが入り込むことがなく、冷陰極管17〜17
らなる光源17などの部材が汚染されず、汚染による機能低下を抑制することができる。
また、反射部材18の下方に冷却配管19が配設されているので、反射部材18の上方に
配設された光源から発する熱を効率よく冷却することができる。
【0053】
さらに、反射部材18を頂部18及び底部18が所定の間隔をあけて交互に出現す
る波型に形成し、この波型の隣接する頂部18間に形成される窪み内に冷陰極管17
〜17を配設したので、冷陰極管17〜17からの光は窪みを形成する側壁面から
効率よく反射される。しかも、隣接する冷陰極管17〜17の間に波型の頂部18
が位置しているため、この頂部18付近からも反射部材に反射した反射光が照射される
ので、この頂部付近が他の部分より暗くなることがない。すなわち、冷陰極管17〜1
が存在する箇所と反射部材18の頂部18付近とは略同じ輝度になり、頂部18
付近が暗くなるランプイメージ現象が発生することがなくなる。
【0054】
また、冷却配管19は、反射部材18の頂部18の反対側に形成される空間内に配設
されているため、冷陰極管17〜17に近接しており、この冷陰極管17〜17
からの熱を効率よく吸収して、放熱することができる。
【実施例2】
【0055】
次に、図5を参照して、本発明の実施例2に係るバックライト装置を備えた2画面映像
表示装置1Aの概要を説明する。なお、図5においては、バックライト装置15の構成は
実施例1の3次元映像表示装置1におけるバックライト装置15と構成は同一であるので
その詳細な説明は省略する。
【0056】
この2画面映像表示装置1Aは、偏光板8と、第1の透過型液晶表示素子9aと、第2
の透過型液晶表示素子9bと、偏光板14と、バックライト装置15と、を備えている。
そして、第1の透過型液晶表示素子9aと第2の透過型液晶表示素子9bとの間にはモア
レ対策用シート25が配置されている。
【0057】
この第1の透過型液晶表示素子9aと第2の透過型液晶表示素子9bとは、実質的に同
じ構成を備えており、両者でそれぞれ異なる映像を表示させることができるようになって
いる。そして、この第1の透過型液晶表示素子9aと第2の透過型液晶表示素子9bは、
共に実施例1の透過型液晶表示素子9と実質的に同一の構成を備えている。そのため、図
5においては、実施例1の透過型液晶表示素子9と同一の構成部分には同一の参照符号を
付与すると共に、第1の透過型液晶表示素子9aの部分には添え字「a」を、第2の透過
型液晶表示素子9bの部分には添え字「b」を付与し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
この2画面映像表示装置1Aは、第1の透過型液晶表示素子9aによって手前の画像を
表示させ、第2の透過型液晶表示素子9bによって後方の画像を表示させ、擬似的に立体
表示させるものである。そのため、実施例1の3次元映像表示装置1と比すると立体感は
劣るが、実施例1の3次元映像表示装置1のように観察者と表示画面との間の距離によっ
て立体感が変化するということがなくなる。この2画面映像表示装置1Aは、例えば弾球
遊技機等に使用されている。
【0059】
このような2画面映像表示装置1Aは、第1の透過型液晶表示素子9aと第2の透過型
液晶表示素子9bともにカラー表示用の液晶表示素子が使用されている。そのため、第1
の透過型液晶表示素子9aの透過率は、単なる白黒のバリアを発生させるための実施例1
の3次元映像表示装置1で使用されているバリアセル2と比すると大幅に低くなる。その
ため、2画面映像表示装置1Aにおいては、モアレ対策用シート25が使用されているこ
ともあり、実施例1の3次元映像表示装置で使用されているバックライトよりもより高輝
度のものが必要とされる。
【0060】
したがって、実施例2の画面表示装置1Aによれば、バックライト装置15が高輝度の
ものであっても高温になることが少ないので、第1の透過型液晶表示素子9a及び第2の
透過型液晶表示素子9bに悪影響を与えずに高輝度画面の表示ができるようになる。
【0061】
本発明は、この実施例に示したバックライト装置及び表示装置に限定されるものでなく
、適宜変更し得るものである。例えば、光源は冷陰極管に特定されず、他の光源、例えば
蛍光ランプや発光ダイオードでもよく、また、冷却配管19としてはヒートパイプを使用
してもよい。特に冷却配管19としてヒートパイプを使用すると、ヒートパイプは非常に
熱伝導率が良好であることが知られている管状部材であるから、特に冷却手段21として
はヒートシンクを用いるのみでも良好な冷却効果を奏することができる。更に、表示パネ
ルとしては液晶パネルに代えて他の表示パネルも使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1のバックライト装置を備えた3次元映像表示装置の模式的断面図である。
【図2】バックライト装置の平面図である。
【図3】図2のX−X線の断面図である。
【図4】冷却配管の冷媒の循環路を示した配管図である。
【図5】実施例2のバックライト装置を備えた2画面映像表示装置の模式的断面図である。
【図6】従来技術の液晶ディスプレイ装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1:3次元映像表示装置 1A:2画面映像表示装置 2:バリアセル 5:液晶層 7
:スペーサーガラス 8:偏光板 9、9a、9b:液晶画像表示セル 14:偏光板
15:バックライト装置 16:密閉容器 16A:本体ケース 16B:蓋体 17
〜17:冷陰極管(光源) 18:反射部材 18:頂部 18:底部 19:冷
却配管 20A:給送部 20B:排出部 21:冷却手段 25:モアレ対策用シート
P:ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷陰極管又は蛍光ランプからなる光源と、前記光源からの光を所定方向へ反射させる反
射部材と、前記光源及び反射部材を収容する収容ケースと、を備えたバックライト装置に
おいて、
前記収容ケースは一側面に光透過窓及び内部に所定容積の空間を設けた密閉容器で形成
され、前記密閉容器内に、冷却配管、前記光源及び反射部材を収納するとともに、前記冷
却配管の少なくとも一方端を前記密閉容器外へ導出して冷却手段に接続し、前記密閉容器
内を外気と遮断したことを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記密閉容器内には、前記光透過窓の下方に前記光源及び前記反射部材をこの順序で配
設し、前記反射部材の下方に前記冷却配管を配設したことを特徴とする請求項1に記載の
バックライト装置。
【請求項3】
前記反射部材は頂部及び底部が所定の間隔をあけて交互に出現する波型に形成され、前
記波型の隣接する頂部間に形成される窪み内に前記光源を、前記頂部の反対側の空間内に
前記冷却配管を、それぞれ配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のバックライ
ト装置。
【請求項4】
前記冷却配管はヒートパイプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
バックライト装置。
【請求項5】
前記冷却配管は内部に冷却媒体が流通される中空配管からなり、前記中空配管の両端を
前記密閉容器外でポンプ及び前記冷却手段を介して互いに接続したことを特徴とする請求
項1〜3のいずれかに記載のバックライト装置。
【請求項6】
前記冷却媒体は、水、空気又は有機溶媒であることを特徴とする請求項5に記載のバッ
クライト装置。
【請求項7】
前記冷却手段はヒートシンク又はヒートシンクに強制冷却手段を組合せたものからなる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のバックライト装置。
【請求項8】
前記冷却配管は、前記光源と平行に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のい
ずれかに記載のバックライト装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のバックライト装置の光透過窓に表示パネルが装着され
ていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−293818(P2008−293818A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138686(P2007−138686)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】