説明

バックライト

【課題】低本数の光源を用いたバックライトにおいて輝度ムラを抑制する。
【解決手段】複数本の熱陰極蛍光ランプ10と、複数本の熱陰極蛍光ランプ10を収納する筐体20とを備えた、画像表示装置用バックライト100である。熱陰極蛍光ランプ10は、蛍光体が形成されたバルブ12と、バルブ12内に設けられたフィラメント14とから構成され、筐体20の底面20bは反射板21となっており、反射板21の上のうち、熱陰極蛍光ランプ10の直下を含む領域Rに鏡面反射層25が形成されている。ここで、熱陰極蛍光ランプ10のピッチをpとし、バルブの径のうち筐体20の底面20bに平行な径をDhとしたときに、2≦(p/Dh)≦10・・・(式1)の関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に用いられるバックライト、特に、直下型液晶ディスプレイ用バックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶ディスプレイのバックライトの光源としては、冷陰極蛍光ランプが主に採用されている。冷陰極蛍光ランプは、細径化に適しているので、薄型化が要求されるバックライトの光源として用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−116704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、液晶ディスプレイの大画面化が進んでおり、これに伴ってバックライトも大型化してきている。このバックライトの大型化により、光源として冷陰極蛍光ランプを用いると、点灯回路が複雑になるとともに、使用するランプ本数の増加により、消費電力が高くなることが危惧されている。
さらに説明すると、冷陰極蛍光ランプは、他のランプと比べて駆動に必要な電圧(駆動電圧)が大きく、高圧な電源を用いることが必要である。特に、画面サイズが32インチ以上のような大画面の液晶ディスプレイが最近登場しているため、ランプ長はより長くなり、その分、駆動電圧はさらに高圧化する傾向が強くなっている。
【0004】
また、冷陰極蛍光ランプは、1本当たりに投入する電力が小さいため、画面輝度を確保するためには本数を多くする必要があり、それゆえに、部品コストが増大するとともに、組み立て工数がかかるという問題が顕在化する可能性が高い。
そのような中、冷陰極蛍光ランプよりも高効率・高出力である熱陰極蛍光ランプをバックライトの光源として採用することが検討され始めている。熱陰極蛍光ランプを採用することで、上述した特長により、消費電力を抑えるとともに、ランプ本数を削減することで、点灯回路の簡素化・部品コストダウン・組み立て工数削減が期待できる。しかしながら、バックライトとしては冷陰極蛍光ランプの開発・研究が今日に至るまで盛んに行われた結果、熱陰極蛍光ランプの欠点が克服されていないのが実情である。
【0005】
本願発明者は、液晶ディスプレイの大画面化に伴って益々顕在化してくるバックライトの問題を、現在主流の冷陰極蛍光ランプの改良により解決するのではなく、熱陰極蛍光ランプを用いることによって解決することを試みている。
本願発明者の検討によると、熱陰極蛍光ランプを用いたバックライトは、確かに、冷陰極蛍光ランプと比較してランプ本数を減らすことができるが、それでも、ランプ本数を減らすと、デメリットが顕在化してくることがわかった。つまり、バックライト内のランプ本数が極端に少ないと(例えば、冷陰極蛍光ランプの半分程度)、画面の輝度ムラが酷くなり、液晶ディスプレイ用のバックライトとしての使用が不可となってしまう。特に、画面中央付近の輝度ムラは、直ちに画像の品質劣化に繋がるため、即、不適となることがわかった。したがって、画面サイズが32インチまたはそれ以上の液晶ディスプレイにおいては、低本数の蛍光ランプで画面の輝度ムラの悪化を抑制するのは至難であった。
【0006】
加えて、液晶ディスプレイの薄型化の傾向に伴って、今日、直下型バックライトの薄型化(例えば、40mm以下)が求められており、バックライトを構成する筐体の厚さを小さくすることが更に輝度ムラの悪化を増進させるに至っている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、低本数の光源を用いたバックライトにおいて、輝度ムラを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバックライトは、画像表示装置に用いられるバックライトであり、複数本の熱陰極蛍光ランプと、前記複数本の熱陰極蛍光ランプを収納する筐体とを備え、前記熱陰極蛍光ランプは、内面に蛍光体が形成されたバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するフィラメントとから構成されており、前記筐体の底面は、反射板となっており、かつ、前記反射板の上のうち、前記熱陰極蛍光ランプの直下を含む領域に、鏡面反射率が70%以上の鏡面反射層が形成されており、前記筐体内に収納された前記複数本の熱陰極蛍光ランプのピッチをpとし、前記バルブの径のうち前記筐体の底面に平行な径をDhとしたときに、2≦(p/Dh)≦10・・・(式1)の関係を満たすことを特徴とする。
【0008】
ある好適な実施形態において、前記領域は、前記直下を中心として、0.1≦(W/Dh)≦1.5・・・(式2)の範囲であり、ここで、Wは、前記バルブの長手方向に直交する方向における前記鏡面反射層の幅である。
ある好適な実施形態において、前記バルブは、長手方向に直交する断面が略楕円形の形状を有している。
【0009】
ある好適な実施形態において、前記筐体の深さは40mm以下である。
ある好適な実施形態において、前記反射板のうち、前記熱陰極蛍光ランプの間には補助反射板が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反射板の上のうち熱陰極蛍光ランプの直下を含む領域に鏡面反射層が形成されているので、鏡面反射層による反射光を、ランプ間の輝度の谷となる領域に導くことができ、その結果、低本数の光源を用いたバックライトであっても、均斉度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願発明者は、大画面化が益々加速する液晶ディスプレイ用のバックライトに好適なものは、現在主流の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を用いたものでなく、冷陰極蛍光ランプと比べて1本あたりに大出力の電力を投入できる熱陰極蛍光ランプ(HCFL)を用いたものに移行すると考え、研究開発を行っていた。そのように移行すると考えた理由は、熱陰極蛍光ランプの「大出力」という特徴を生かすことで、液晶テレビにおけるコントラスト比を大きくすることができ、動画を含めた高画質化が可能となるとともに、冷陰極蛍光ランプに比べ、バックライトとして使用するランプの本数が大幅に削減でき、コストダウンが可能であるからである。このような開発の中、本願発明者は、種々の検討を加えて、熱陰極蛍光ランプが低本数でも液晶ディスプレイ用のバックライトとして輝度ムラを許容できる構成を見出し、本発明に至った。
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1から図4を参照しながら、本発明の実施形態に係るバックライト100について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態のバックライト100を含む画像表示装置(液晶表示装置)1000の構成を模式的に示す分解斜視図であり、図2は、本実施形態のバックライト100を構成する熱陰極蛍光ランプ10の断面構成を模式的に示している。図3および図4は、それぞれ、本実施形態のバックライト100および画像表示装置1000の構成を示す断面図および上面図である。
【0014】
本実施形態のバックライト100は、複数本の熱陰極蛍光ランプ10と、複数本の熱陰極蛍光ランプ10を収納する筐体20とから構成されている。熱陰極蛍光ランプ10は、内面に蛍光体(不図示)が形成されたバルブ12から構成されており、バルブ12内には、熱電子を放出するフィラメント14が設けられている。
本実施形態の筐体20の底面20bは、反射板21となっている。そして、反射板21の上のうち、熱陰極蛍光ランプ10の直下を含む領域には、鏡面反射率が70%以上の鏡面反射層(不図示)が形成されている。ここで、本実施形態のバックライト100は、筐体20内に収納された複数本の熱陰極蛍光ランプ10のピッチをpとし、バルブ12の径のうち筐体の底面に平行な径をDhとしたときに、下式(1)
2≦(p/Dh)≦10 ・・・(式1)
の関係を満たす。
【0015】
さらに、熱陰極蛍光ランプ10の直下を含む領域は、当該直下を中心として、
0.1≦(W/Dh)≦1.5 ・・・(式2)
の範囲とすることが好ましい。ここで、Wは、バルブ12の長手方向92に直交する方向における鏡面反射層の幅である。これらの関係(式1、式2)の詳細は後述する。
図2は、本実施形態のバックライト100に用いる熱陰極蛍光ランプ10の断面構成を模式的に示している。本実施形態の熱陰極蛍光ランプ10は、バックライト用として用いられるので、長寿命のものが使用される。好ましくは、熱陰極蛍光ランプ10は、公称寿命1.2万時間以上のランプであり、さらに好ましくは、公称寿命2万時間以上、または、3万時間以上のランプである。なお、ディスプレイとして従来から広く普及しているCRT(陰極線管)の寿命は、約20000時間であるので、それ以上の寿命があるランプであることが望まれる。
【0016】
図示した熱陰極蛍光ランプ10は、直管状のガラスバルブ12と、ガラスバルブ12の両端に配設された一対の電極11とから構成されている。
ガラスバルブ12は、ソーダ石灰ガラス製、または、バリウム・ストロンチウムシリケート(軟化点675℃の軟質ガラス)製である。バルブ12の寸法を例示すると、32インチ用としては、バルブ12の外径12mm、肉厚1.0mm、長さ820mmである。45インチ用としては、バルブ12の外径12mm、肉厚1.0mm、長さ1010mmである。65インチ用としては、バルブ12の外径25.5mm、肉厚1.0mm、長さ1550mmである。なお、105インチ用としては、バルブ12の外径38mm、肉厚0.9mm、長さ2500mmである。なお、バルブの肉厚は、1.2mmにすることもできる。
【0017】
ガラスバルブ12の内面には蛍光体(不図示)が塗布されている。より具体的には、ガラスバルブ12の内面12aには、アルミナからなる保護膜が形成されており、その保護膜の上に蛍光体層が積層されている。蛍光体層を構成する蛍光体は、例えば、赤(Y:Eu)、緑(LaPO:Ce,Tb)および青(BaMgAl1627:Eu,Mn)の各色を発光する希土類蛍光体を混合したものを用いることができる。なお、蛍光体は、他の希土類蛍光体を用いることができる。例えば、赤として、(Y,La):Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、緑として、CeMgAl1119:Tb、GdMgB10:Ce,Tb、青として、(Sr,Ca)10(POl2:Euを挙げることができる。
【0018】
ガラスバルブ12内には、水銀と、希ガスが封入されている。本実施形態では、ガラスバルブ12内に、約5mgの水銀(不図示)と、緩衝用希ガスとして常温における圧力500Paのアルゴン(Ar)が封入されている。なお、バルブ12内に封入する水銀は、水銀単体の他に、例えば、亜鉛水銀、スズ水銀、ビスマス、インジウム水銀などのアマルガムの形態で封入することもできる。
【0019】
また、希ガスとしては、アルゴン(Ar)の混合比率が100%のものの他、アルゴン(Ar)にクリプトン(Kr)を混合したものを用いることもできる。クリプトン(Kr)の混合比(分圧比)は、例えば、20%〜60%であり、一例として、アルゴン:クリプトン=50%:50%の混合ガス(ガス圧600Pa)を挙げることができる。
熱陰極蛍光ランプ10は、低圧水銀蒸気放電を応用したランプである。発光の原理は、電子放出物質が塗布されている電極からは、放電(および電極を加熱する別の手段)によって熱電子が放出されるだけの温度を維持することで、電子が供給されアーク放電を維持することができる(これは、冷陰極と大きく異なる点である)。この放電により得られた水銀原子の転移スペクトルのうち、主に254nmの紫外線を蛍光体の励起線として利用することで可視光に転換して利用している。
【0020】
なお、熱陰極蛍光ランプ10は、バルブ12の断面が円形のものに限らず、略楕円形(楕円形、長円、扁平形状などの形状)のものであってもよい。略楕円のバルブ12の一例は、長径/短径の値(外径基準)が1.6であるが、典型的には、1.2≦(L1/L2)≦1.8の範囲のものを用いることができる。略楕円のバルブ12を作製するには、次のようにすればよい。まず、断面円形のバルブ(ガラスバルブ)を用意し、そのバルブを加熱して、略楕円中空の型(金型)の間に配置し、その型によってバルブを挟み込んで変形させれば、略楕円状のバルブ12を得ることができる。なお、バルブ12の内面に塗布されるアルミナや蛍光体は、適宜好適な段階で形成すればよい。あるいは、円形のランプを作製してから、それに熱を加えて、ランプのガラスを軟化させプレス加工して、略楕円バルブ12を製造することもできる。
【0021】
本実施形態における電極11は、フィラメント14と、フィラメント14を保持する一対のリード線13と、この一対のリード線13を保持するビーズガラス15とから構成されている。ビーズガラス15は、ビーズマウントとも称される。図示した電極11は、いわゆるガラスビーズマウント方式のものである。
フィラメント14は、タングステン製であり、本実施形態の構成の一例では、長寿命ランプにするためにエミッタ塗布量を大きくするように複雑なコイル形状としている。すなわち、太いタングステン線の周囲にゆるく覆うように細いタングステン線を巻き付けて長い籠状の構造体を形成し、この構造体を螺旋状に巻いたものが二重コイルと称される。フィラメント14は前記二重コイルをいまいちど螺旋状に巻いて三重コイルとしたもの、または前記三重コイルをさらに螺旋状に巻いて四重コイルとしたものである。フィラメント14が三重コイルの場合、三重目のコイルが5〜7ターンの電極コイルである。またフィラメント14が四重コイルの場合、2〜4ターンの電極コイルである。
【0022】
フィラメント14に塗布されるエミッタは、例えば、ストロンチウム、カルシウム、バリウムの酸化物である。本実施形態では、長寿命ランプを実現するために、フィラメント14に塗布するエミッタ量を多くするようにしており、本実施形態では、熱陰極蛍光ランプ10の一本あたり、一対の電極のうちの一つのフィラメント14に5.0mg以上のエミッタを塗布している。なお、希ガスの構成をアルゴン100%でなく、アルゴンよりも原子量の大きいクリプトンを所定混合比で混入させると、エミッタがフィラメント14から飛散し難くなり、その技術的意味でランプ寿命を長くすることができる。
【0023】
図示した電極11は、ガラスバルブ12の封止部16にてピンチシールされている。また、ガラスバルブ12の少なくとも一方の端部には、排気管17が封着されている。この排気管17は、バルブ12内を排気したり、希ガスを封入したりする時に使用され、その排気・封入の後に封着されたものである。なお、排気管17をバルブ12の一端でなく、両端に設けると、ガス排気・封入を効率良く行うことができるメリットがある。また、それにより、バルブ12内部の不純物の割合を低下させることもできる。
【0024】
ガラスバルブ12の端部には、封止部16や排気管17を覆うように口金50が設けられている。なお、封止部16から外へ延びたリード線(13)の延長部18と口金50との結線手法は、ランプ10の仕様に合わせて適宜決定すればよい。具体的には、口金50に形成された外部端子(例えば、ピン)と、リード線13の延長部18とが電気的に接続される。
【0025】
図1、図3及び図4に示すように、熱陰極蛍光ランプ10を含むバックライト100は、液晶表示装置1000内に組み込まれており、本実施形態におけるバックライト100は、直下型の画像表示装置用のバックライトである。加えて、バックライト100は、例えば、26インチ以上(好ましくは、32インチ以上。例えば、32インチ、40インチ、42インチ、46インチ、65インチなど)の液晶ディスプレイ用の面状光源として使用される。なお、図1では液晶パネル60を示していないが、図3では液晶パネルを示している。
【0026】
図示した例では、熱陰極蛍光ランプ10が6本配置された例を示している。しかし、熱陰極蛍光ランプ10の本数は、この数に限定されるものではない。なお、本実施形態の好適な一例では、32インチから46インチの画面サイズの液晶ディスプレイのパネルに対して、熱陰極蛍光ランプ10を4本から6本配置して、点灯・動作させることが可能である。
【0027】
本実施形態のバックライト100を収納する筐体の一部となる反射板21は、金属板(例えば、メッキを施した鉄製、または、アルミニウム製)から構成されており、その厚さは1.5mmである。図示した例では、反射板21の上面(筐体の主面20b)には、反射シート23が形成されている。反射シート23は、白色の酸化チタン(又は炭酸カルシウム)が分散されてなるポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂層から構成されており、その厚さは2.0mmである。また、反射板21の上面の一部には、光学シート30の下面を支持するための支柱24が形成されている。支柱24は、白色樹脂製である。なお、図3に示したバックライト100の高さH(反射板21の上面から光学シート30が位置する面までの高さ)は、典型的には40mm以下である。高さHが50mm以上の場合、輝度ムラの問題は生じにくいが、高さHが40mm以下になると、何も対策をしなければ輝度ムラの問題が顕在化してくる。そして、高さHが30mm以下になると、何も対策をしなければ輝度ムラが問題となることが多くなる。この例では、高さHは例えば27mmである。
【0028】
また、バックライト100の反射板21の下方には、図3に示すように、点灯回路(バラスト回路または安定器)70を配設することができる。この例では、各ランプ10に、一つの点灯回路70が設けられており、したがって、6本のランプ10に6個の点灯回路70が使用されている。ただし、点灯回路70とランプ10の数は異なるものにすることが可能である。
【0029】
点灯回路70は、口金50を介してランプ10に電気的に接続されており、また、調光機能も備えている。点灯回路70を収納するように反射板21の下には、下カバー72が設けられている。下カバー72は、厚さ1.5mmの金属板から構成されている。下カバー72と反射板21との間の空間には、例えば、配線が配設されている。なお、バックライト100に下カバー72は設けなくてもよく、その場合、点灯回路70は液晶ディスプレイ(例えば、液晶テレビ)の筐体内に配置しておくことも可能である。
【0030】
また、反射板21の端部には、図4に示すように、ランプ10を保持するためのランプホルダ75が設けられている。ランプホルダ75は、例えば、高明度のシリコンゴム製のものである。加えて、バックライト100の筐体の開口部20aには、光学シート30が配置されている。この例では、光学シート30は、上から順に、偏光シート31(住友3M社製のDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)、厚さ0.440mm)、レンズシート32(厚さ0.155mm)、拡散シート33(厚さ0.113mm)、拡散板34(厚さ2.0mm)を含んでいる。拡散板34の下面に、さらにレンズシートを設けることも可能である。
【0031】
さらに、光学シート30の上には、液晶パネル(例えば、厚さ約2mm)60が配設され、そして、その液晶パネル60及び光学シート30を覆うように上カバー62が配設されている。上カバー62は、例えば、厚さ1.5mmの金属板からなる。なお、この例における画像表示領域65(図4参照)は、46インチサイズでは1018mm×573mmであるが、勿論その寸法に限らず、他の寸法であってもよい。また、ランプ10の封止部16周辺は、ランプ10の非点灯部位を隠すために額縁領域として覆われて、その非点灯の部位は外部には見えないことになる。なお、バックライト100から見て、液晶パネル60が位置する方向をスクリーン方向90とする。
【0032】
次に、図5から図10を参照しながら、本実施形態における鏡面反射層の構成について説明する。
図5は、本実施形態のバックライト100の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態の構成では、上述したように、反射板21の上のうち、熱陰極蛍光ランプ10の直下を含む領域(R)に鏡面反射層25が形成されている。鏡面反射層25の鏡面反射率は70%以上(好ましくは、90%以上)である。鏡面反射層25は、例えば、反射率の高い金属(アルミニウムなど)、又は、反射率の高い金属を蒸着させた樹脂板などから構成することができ、本実施形態では、光輝アルミニウムからなる鏡面反射層25を用いている。なお、光輝アルミニウム(ドイツ国アラノッド社製)は、高純度アルミ蒸着の高反射アルミシートで、可視光反射率95%である。
【0033】
熱陰極蛍光ランプ10の上方には、光学シート(例えば、拡散シートなど)30が位置している。図5に示した熱陰極蛍光ランプ10は、断面が略楕円形(楕円形、長円などの扁平形状)のバルブ12を有している。勿論、熱陰極蛍光ランプ10として、断面が円形のバルブ12を使用することもできる。なお、図5に示したような略楕円形のバルブ12を有する熱陰極蛍光ランプ10の場合、(円形バルブと比べて)幅広のバルブ底面と、
反射板21(筐体20の底面20b)との間における光の多重反射に起因して、バックライト100の輝度が低下する場合がある。そのような場合において、多重反射に起因して利用できなかった光を有効に活用できる可能性の点においては、円形のバルブ12と比較して、略楕円形のバルブ12のランプ10を用いたときにおける技術的意義が大きくなる。
【0034】
図5に示した例では、略楕円形のバルブ12の長径が筐体20の底面20bに対して平行となるように、熱陰極蛍光ランプ10は配列されている。ここでは、筐体20の底面20bに平行な径Dhは、略楕円形のバルブ12の長径となる。なお、バルブ12の断面(バルブ12の長手方向92に垂直な断面)が円形の場合、直径がそのまま筐体20の底面20bに平行な径Dhになる。
【0035】
本実施形態の構成によれば、熱陰極蛍光ランプ10の直下を含む領域(R)に鏡面反射層25が形成されているので、図6に示すように、ランプ10から発せられて鏡面反射層25によって反射された光(反射光)45Aを、ランプ10間の輝度の谷となる領域(より詳細には、拡散板上におけるランプ間に対応する輝度の谷となる領域)に導くことができる。その結果、低本数の光源を用いたバックライトであっても、均斉度の低下を抑制することができる。
【0036】
さらに説明すると、鏡面反射層25が領域(R)に形成されているので、光学的には、鏡面反射層25に起因してランプ10の虚像(または鏡像)40が発生し、そこからの光45Aを利用することが可能となる。
本願発明者は、鏡面反射層25による均斉度の向上の効果について実験を行った。図7(a)及び(b)は、それぞれ、均斉度の測定について説明するための上面図及び断面図である。
【0037】
図7に示した構成では、熱陰極蛍光ランプ10のバルブ12はピッチpで等間隔に配列されている。ピッチpは108mmである。バルブ12は略楕円形の形状を有しており、長径が23mmで、短径が16mmである。また、図7中で光学シート30が位置している有効表示領域は、L1×L2の正方形であり、ここでは、L1=L2=500mmである。バルブ12と反射板21との間の隙間Tは2mmであり、反射板21と光学フィルムとの間の高さHは40である。そして、図7(a)における中央に位置する輝度分布測定部位Sに沿って輝度(相対輝度)を測定し、それを均斉度の指標にした。
【0038】
ランプ直下の反射板21の上に40mm幅の鏡面反射層25を設けた構成を実施例とし、一方、反射板21の上に鏡面反射層25がない構成を比較例とした結果を図8に示す。
図8に示されるように、比較例の均斉度が42%であるのに対し、鏡面反射層25を設けた実施例の均斉度は51%に大きく向上した。均斉度は、最も高い輝度を100%として、それに対する最も低い輝度で表すので、単にランプの出力を上げて輝度を向上させればよいという単純なものではないので、この42%から51%の上昇は技術的に非常に意義が大きいものである。実際には、目視でわずかにみえる輝度ムラを解消するために数%の均斉度の向上を目指して、各種パラメータや材料を選定しているのが実情である。それを考えると、本実施形態の構成による均斉度の向上の技術的意義が理解できると思われる。
【0039】
さらに本願発明者が検討したところ、熱陰極蛍光ランプ10のピッチをpとし、バルブ12の径(筐体の底面に平行な径)をDhとしたときに、
2≦(p/Dh)≦10 ・・・(式1)
の関係を満たすものに、本実施形態の構成を適用することが好ましいことが導き出された。
【0040】
ここで(p/Dh)が10を超えると、すなわち、バルブ径Dhに対してピッチpが広すぎると、反射板21の上に鏡面反射層25を形成したとしても、もはや、バックライトとして使用できる程度の均斉度は得ることは困難であり、また、その困難を克服するにはコスト的な欠点が大きくなりすぎる。
一方、(p/Dh)が2を下回る場合、ランプ10が密に配置されているので、隣接するランプ10との間で輝度の山谷が生じにくく、反射板21の上に鏡面反射層25を形成して、均斉度を向上させる技術的意義が少ない。なお、ランプ10が密に配置されているということは、バックライトにおけるランプ部材のコストが高くなっているという欠点がある。
【0041】
式1に規定される関係を満たす構造を、例示的に挙げると、52インチ用バックライトで10本を均等配置したもの(ピッチ65mm)で、バルブ径Dhが21mmのもの(65/21=3.1)、ピッチ108mmでバルブ径Dhが21mmのもの(108/21=5.1)、52インチ用バックライトで3本を均等配置したもの(ピッチ200mm)で、バルブ径Dhが21mmのもの(200/21=9.5)などがある。もちろん、使用するバックライトにあわせて、バルブ径Dh、ピッチpは適宜好適なものを選択することが可能である。上述したように、バルブ12は、断面が円形のものを使用することができる。
【0042】
次に、本願発明者は、鏡面反射層25の幅について検討した。すなわち、反射板21の上のうち蛍光ランプ10の直下を含む領域(R)の範囲について検討した。これは、鏡面反射層25の幅によっては、鏡面反射層25による反射光が、ランプ10間の輝度の谷となる領域を埋める寄与よりも、その横にある輝度の山の盛り上げの寄与が大きくなってしまう可能性があるからである。すなわち、図6に示した例で説明すると、反射光45Bが、輝度の山の高さを大きくしてしまってかえって均斉度を低下させてしまうこともあり得る。言い換えると、鏡面反射層25の幅をあまりにも大きくすると(あるいは、反射板21の全面を鏡面反射層25にしてしまうと)、図6に示した反射光45Bが、均斉度の向上に寄与するか否かわからなくなってしまう可能性が出てくる。
【0043】
図9(a)は、鏡面反射層25の幅W(すなわち、領域Rに対応する範囲)を説明するための図である。図9(a)に示しランプ10は、略楕円形状のバルブ12を有しており、長径(Dh)は21mmで、短径は14mmである。鏡面反射層25の導入前における均斉度をできるだけ向上させて、そこから鏡面反射層25の効果を調べるために、バルブ12の真上部位に遮光材(レンズシート)35を配置している。また、反射板21と光学シート30との間の高さHは24mmであり、バルブ12と反射板21との隙間Tは2mmである。
【0044】
なお、均斉度の観点から述べると、出射光が混じり合って均斉化するという点で、反射板21と光学シート30との間の高さHは大きい方がよく、隙間Tも大きい方がよい。それゆえ、高さHが30mm以下の条件で均斉度を高くするのは通常難しく、隙間Tもある程度(例えば、3mm程度)は光学設計上欲しいところである。そのような中、高さHが24mmで隙間Tが2mmというのは、均斉度を高くするのは極めて困難な条件である。
【0045】
図9(b)は、図9(a)に示した構成に対して、鏡面反射層25の幅Wを変更したものを示しており、上から順に、鏡面反射層25A(W=60mm)、鏡面反射層25B(W=40mm)、鏡面反射層25C(W=20mm)を表している。
図10は、鏡面反射層25の幅Wを変化させて、W/Dhで均斉度を評価した結果を示している。図10に示した均斉度の結果から、僅かな幅Wの鏡面反射層25を設けても、均斉度が向上することがわかる。一方、鏡面反射層25の幅Wは大きければよいというものではなく、適度な範囲にとどめることが好ましいこともわかる。均斉度は、バックライト用としては、少なくとも0.75(75%)は欲しいところであるので、0.75以上を好適な範囲とする。それらを踏まえると、鏡面反射層25の幅W(または、領域R)は、
0.1≦(W/Dh)≦1.5 ・・・(式2)
の範囲にすることが好ましい。上述したように、Wは、バルブ12の長手方向92に直交する方向における鏡面反射層の幅である。なお、(W/Dh)が0.1を下回ると均斉度向上の効果を得がたくなり、一方、(W/Dh)が1.5を超えると均斉度が0.75を下回ってしまう。付言すると、図10に示しているのはあくまで均斉度であるので、それ以外の特徴、例えば、幅広(例えば、W=60mm)の鏡面反射層25を設けることによって、バックライトの光利用率が向上する特徴が出てくることはあり得る。
【0046】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、本実施形態の構成に加えて、均斉度を向上させる他の特徴(部材、手段)を導入することも可能である。上述した図9(a)で示した遮光材(例えば、レンズシート)と組み合わせることも出来るし、あるいは、反射板21に補助反射板を導入することもできる。
【0047】
図11は、反射板21の一部に補助反射板22を設けたバックライト1000の構成例を示している。図11に示した例では、反射板21の一部は、凸状(三角状)に屈曲されて、補助反射板22を構成している。補助反射板22を含む反射板21の上面(筐体の主面20b)には、反射シートが形成されている。補助反射板22の頂点(または稜線)の一部には、光学シート30の下面を支持するための支柱24が形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、輝度ムラが抑制されたバックライトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係るバックライト100を含む画像表示装置1000の分解斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る熱陰極蛍光ランプ10を模式的に示す断面図
【図3】本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を示す断面図
【図4】本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を示す平面図
【図5】本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を模式的に示す断面図
【図6】本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を模式的に示す断面図
【図7】(a)及び(b)は、それぞれ、均斉度の測定について説明するための上面図及び断面図
【図8】実施例と比較例との均斉度の結果を示すグラフ
【図9】(a)は、鏡面反射層25の幅Wを説明するための断面図。(b)は、鏡面反射層25の幅Wを変化された断面図
【図10】W/Dhで均斉度を評価したグラフ
【図11】バックライト100の改変例を含む画像表示装置1000の分解斜視図
【符号の説明】
【0050】
10 熱陰極蛍光ランプ
11 電極
12 バルブ
13 リード線
14 フィラメント
15 ビーズガラス
16 封止部
17 排気管
18 延長部
20 筐体
20a 開口部
20b 筐体の主面(底面)
21 反射板
22 補助反射板
23 反射シート
24 支柱
25 鏡面反射層
30 光学シート
31 偏光シート
32 レンズシート
33 拡散シート
34 拡散板
50 口金
60 液晶パネル
62 上カバー
65 画像表示領域
70 点灯回路
72 下カバー
75 ランプホルダ
90 スクリーン方向
100 画像表示装置用バックライト
1000 画像表示装置(液晶表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置に用いられるバックライトであって、
複数本の熱陰極蛍光ランプと、
前記複数本の熱陰極蛍光ランプを収納する筐体と
を備え、
前記熱陰極蛍光ランプは、内面に蛍光体が形成されたバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するフィラメントとから構成されており、
前記筐体の底面は、反射板となっており、かつ、
前記反射板の上のうち、前記熱陰極蛍光ランプの直下を含む領域に、鏡面反射率が70%以上の鏡面反射層が形成されており、
前記筐体内に収納された前記複数本の熱陰極蛍光ランプのピッチをpとし、前記バルブの径のうち前記筐体の底面に平行な径をDhとしたときに、下式(1)
2≦(p/Dh)≦10 ・・・(式1)
の関係を満たすことを特徴とする、バックライト。
【請求項2】
前記領域は、前記直下を中心として、下式(2)
0.1≦(W/Dh)≦1.5 ・・・(式2)
の範囲であり、ここで、Wは、前記バルブの長手方向に直交する方向における前記鏡面反射層の幅である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項3】
前記バルブは、長手方向に直交する断面が略楕円形の形状を有している、請求項1又は2に記載のバックライト。
【請求項4】
前記筐体の深さは、40mm以下である、請求項1から3の何れか一つに記載のバックライト。
【請求項5】
前記反射板のうち、前記熱陰極蛍光ランプの間には補助反射板が設けられている、請求項1から4の何れか一つに記載のバックライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−129583(P2009−129583A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300837(P2007−300837)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】