説明

バッグ用ハンガー

【課題】陳列用のハンガー等に奥から順々に引っ掛けられた(吊り下げられた)バッグを容易に取り出して見ることができるバッグ用ハンガーを提供すること。
【解決手段】長手方向および幅方向の全体にわたっておおよそ一定の板厚を有する薄板状に形成されたバッグ用ハンガー1であって、長手方向における上端部に吊下げ用フック2を備え、長手方向における中央部にハンガー本体3を備えるとともに、長手方向における下端部にベルト5を備えており、前記ハンガー本体3の一面32に、バッグの取っ手を引っ掛ける引掛け用フック4が、外方に突出するようにして立設され、前記引掛け用フック4よりも上方に位置する前記ハンガー本体3の上端部に、前記ベルト5が挿通される横長の開口34と、前記ベルト5に設けられた長さ調整用の穴51と係合する第1の凸部35とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグ用ハンガー、特に、再利用可能な材料を用いて形成され、使用後に新たな形成品の材料としてリサイクルされるものに用いて好適なバッグ用ハンガーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図1および図2に示すようなバッグBは、従来、特許文献1の図1に開示されている突軸42や、特許文献2の図1に開示されている突起部5a〜5j等に、奥から順々にバッグBの取っ手が引っ掛けられる(吊り下げられる)ことにより量販店等の売り場に陳列されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272278号公報
【特許文献2】登録実用新案第3034164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような陳列の仕方では、一番手前に引っ掛けられているバックBを取り出して見ることは容易であるが、その奥に引っ掛けられているバックBを取り出して見るためには、そのバッグBの手前に引っ掛けられているすべてのバッグBを一旦取り出し、自分が見たいと思うバッグBを取り出さなければならなかった。
【0005】
そこで、この対策として、S字フック等を介して特許文献1の図1に開示されている突軸42や、特許文献2の図1に開示されている突起部5a〜5j等に、バッグBの取っ手を引っ掛けるようにした例も見受けられる。
しかしながら、このような陳列の仕方では、自分が見たいと思うバッグBを取り出す際に、取り出そうとするバッグBがそのバッグGの手前、あるいはそのバッグGの奥に陳列されているバッグBに引っ掛かり、そのバッグGの手前、あるいはそのバッグGの奥に陳列されているバッグBの取っ手がS字フック等から外れて取っ手の片方だけがS字フック等に引っ掛かった状態となったり、床に落ちてしまったり、あるいは見た目もよくないといった問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、陳列用のハンガー等に奥から順々に引っ掛けられた(吊り下げられた)バッグを容易に取り出して見ることができるバッグ用ハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るバッグ用ハンガーは、長手方向および幅方向の全体にわたっておおよそ一定の板厚を有する薄板状に形成されたバッグ用ハンガーであって、長手方向における上端部に吊下げ用フックを備え、長手方向における中央部にハンガー本体を備えるとともに、長手方向における下端部にベルトを備えており、前記ハンガー本体の一面に、バッグの取っ手を引っ掛ける引掛け用フックが、外方に突出するようにして立設され、前記引掛け用フックよりも上方に位置する前記ハンガー本体の上端部に、前記ベルトが挿通される横長の開口と、前記ベルトに設けられた長さ調整用の穴と係合する第1の凸部とが設けられている。
【0008】
本発明に係るバッグ用ハンガーによれば、例えば、図2に示すように、バッグBの一方の取っ手が引掛け用フック4に引っ掛けられ(吊り下げられ)、バッグBの他方の取っ手がベルト5に引っ掛けられて、吊下げ用フック2が陳列用のハンガー等に引っ掛けられることになる。
これにより、吊下げ用フック2を把持して横方向(陳列用のハンガー等が延びている方向と直交する方向)にスライドさせるだけで、陳列用のハンガー等に奥から順々に引っ掛けられたいずれのバッグBをも容易に取り出して見ることができる。
【0009】
また、本発明に係るバッグ用ハンガーによれば、一方の取っ手を少し持ち上げて外方に移動させるだけで、一方の取っ手が引掛け用フック4から容易に取り外されることになる。
これにより、バッグBの中を容易に見ることができる。
【0010】
さらに、本発明に係るバッグ用ハンガーによれば、他方の取っ手が引っ掛けられるベルト5は、長さ調整用の穴51(図3から図6参照)と第1の凸部35と(図3から図6参照)が係合することにより、当該バッグ用ハンガーが取り付けられたバッグGから当該バッグ用ハンガーを取り外し(取れ)難くしている。
これにより、盗難抑止効果を得ることができる。
【0011】
上記バッグ用ハンガーにおいて、前記開口の、前記第1の凸部と対向する上端面の両側方に、下方に向かって突出する二つの第2の凸部が設けられているとさらに好適である。
【0012】
このようなバッグ用ハンガーによれば、第2の凸部36(図3から図6参照)と対向するベルト5の一面(裏面)52(図4および図5参照)が第2の凸部36の下端面によって押さえられ、長さ調整用の穴51と第1の凸部35との係合が解け難いようになっている。
これにより、盗難抑止効果をさらに高めることができる。
【0013】
上記バッグ用ハンガーにおいて、前記ハンガー本体に、前記引掛け用フックの両側方および下方を取り囲むようにして、板厚方向に貫通する切欠きが設けられているとさらに好適である。
【0014】
このようなバッグ用ハンガーによれば、バッグBの他方の取っ手をベルト5に引っ掛ける際、切欠き33(図3から図6参照)の外側に位置するハンガー本体3が、ベルト5とともに湾曲することになる。
これにより、バッグBの他方の取っ手をベルト5に容易に引っ掛けることができ、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバッグ用ハンガーによれば、陳列用のハンガー等に奥から順々に引っ掛けられた(吊り下げられた)バッグを容易に取り出して見ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るバック用ハンガーにバッグが掛けられた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバック用ハンガーにバッグが掛けられた状態を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るバック用ハンガーの正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るバック用ハンガーの背面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るバック用ハンガーを背面側から見た斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るバック用ハンガーを正面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るバック用ハンガーについて、図1から図6を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るバック用ハンガーにバッグが掛けられた状態を示す斜視図、図2は本実施形態に係るバック用ハンガーにバッグが掛けられた状態を示す側面図、図3は本実施形態に係るバック用ハンガーの正面図、図4は本実施形態に係るバック用ハンガーの背面図、図5は本実施形態に係るバック用ハンガーを背面側から見た斜視図、図6は本実施形態に係るバック用ハンガーを正面側から見た斜視図である。
【0018】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るバック用ハンガー(以下、「ハンガー」という。)1は、バッグ(被支持体)Bが掛けられるものであって、全体が再利用可能な材料である樹脂を用いて一体に形成されたものである。一体に形成する方法としては、射出成型等の公知の方法を用いることができ、特に限定するものではない。
図1および図2には、バッグBの一例として二本手のブリーフケースが掛けられた状態が示されているが、掛けられるバッグとしては二本手のブリーフケースに限られるものではなく、ボストンバッグ等の種々のバッグであってもよく、特に限定するものではない。
【0019】
図3から図6のいずれかに示すように、ハンガー1は、長手方向(図3および図4において上下方向)および幅方向(図3および図4において左右方向)の全体にわたっておおよそ一定の板厚を有する薄板状に形成された部材であり、吊下げ用フック(第1のフック部)2と、ハンガー本体(本体部)3と、引掛け用フック(第2のフック部)4と、ベルト(舌片部)5とを備えている。
吊下げ用フック2は、基端(根元)がハンガー本体3の一端部(上端部)一側の角部に連続するとともに、先端(先っぽ)とハンガー本体3の一端部他側の角部との間に所定の隙間Gが形成されるようにして、ハンガー1の一端部(上端部)に接続された(設けられた)正面視鉤状を呈する部材であって、バッグB(図1および図2参照)が掛けられたハンガー1、あるいはハンガー1そのものを図示しない陳列用のハンガー等に掛ける際に用いられるものである。また、吊下げ用フック2の長手方向(図3および図4において左右方向)における中央部には、正面視円弧状(半円状)の窪み(凹所)21が設けられており、吊下げ用フック2の内周縁部およびハンガー本体3の一端(上端)周縁部には、正面視(略)ワ字状を呈する肉厚部(補強リブ)22が、吊下げ用フック2の先端からハンガー本体3の一端部他側の角部近傍まで連続するようにして設けられている。
【0020】
ハンガー本体3は、正面視矩形状を呈する縦長の部材であり、肉厚部22よりも下方に位置する一端部には、板厚方向に貫通する貫通穴31が設けられており、一面(正面:表面)32の中央部には、引掛け用フック4が一面32から外方に突出するようにして設けられている。また、ハンガー本体3の長手方向(図3および図4において上下方向)における中央部、およびハンガー本体3の他端部(下端部)には、正面視コ字状を呈するとともに、板厚方向に貫通する切欠き(切込み)33が、引掛け用フック4の両側方および下方を取り囲むようにして設けられている。
【0021】
貫通穴31は、ベルト5が挿通される開口34と、ベルト5に設けられた長さ調整用の穴51と係合(嵌合)する(第1の)凸部35とを備えるとともに、ハンガー本体3の幅方向(図3および図4において左右方向)に沿うようにして形成された横長の穴である。
開口34は、正面視コ字状を呈する穴であり、ベルト5の幅と同じか、あるいはベルト5の幅よりも若干大きい幅を有している。また、開口34の、凸部35と対向する上端面の両側方には、下方に向かって突出する二つの(第2の)凸部36が設けられている。凸部36は、開口34にベルト5が挿通されて、穴51内に凸部35が嵌合した状態で、下端面が当該穴51の両側方に位置するベルト5の一面(正面:表面)52と接する(当接する)ようにして形成された(接する(当接する)高さを有する)、正面視矩形状、断面視矩形状を呈する突起である。
凸部35は、穴51の幅と同じか、あるいは穴51の幅よりも若干小さい幅、および開口34にベルト5が挿通されて、穴51内に嵌合した状態で、上端面がベルト5の一面52と同一平面上を形成する高さを有する、正面視矩形状、断面視矩形状を呈する突起である。
【0022】
引掛け用フック4は、基端がハンガー本体3の一面32に接続され、先端部が上方に向かって延びるように形成された、断面視L字状を呈する部材であり、吊下げ用フック2の延在方向(吊下げ用フック2が延びている方向)と直交する方向に延びている。また、引掛け用フック4の下端面および外側面には、二本の補強リブ41が、引掛け用フック4の基端から引掛け用フック4の先端部近傍まで連続するようにして設けられている。引掛け用フック4は、バッグBの少なくとも一本の取っ手を受け入れて(収容して)支持することができる長さを有している。
【0023】
ベルト5は、基端がハンガー本体3の一端(上端)中央部に連続するようにして接続されて下方に延びる帯状の部材であり、幅方向(図3および図4において左右方向)における中央部には、板厚方向に貫通する長さ調整用の穴51が、ベルト5の長手方向(図3および図4において上下方向)に沿って複数個(本実施形態では8個)設けられている。穴51は、ベルト5の幅方向に沿うようにして形成された、正面視矩形状を呈する横長の穴である。また、ベルト5の先端部は、正面視形状が半円状を呈するように形成されており、ベルト5の一面52における先端部の末端部には、先端(先っぽ)に向かって漸次板厚が薄くなるように形成された傾斜面53が設けられている。
【0024】
本実施形態に係るハンガー1によれば、例えば、図2に示すように、バッグBの一方の取っ手が引掛け用フック4に引っ掛けられ(吊り下げられ)、バッグBの他方の取っ手がベルト5に引っ掛けられて、吊下げ用フック2が陳列用のハンガー等に引っ掛けられることになる。
これにより、吊下げ用フック2を把持して横方向(陳列用のハンガー等が延びている方向と直交する方向)にスライドさせるだけで、陳列用のハンガー等に奥から順々に引っ掛けられたいずれのバッグBをも容易に取り出して見ることができる。
【0025】
また、本実施形態に係るバッグ用ハンガー1によれば、一方の取っ手を少し持ち上げて外方に移動させるだけで、一方の取っ手が引掛け用フック4から容易に取り外されることになる。
これにより、バッグBの中を容易に見ることができる。
【0026】
さらに、本実施形態に係るバッグ用ハンガー1によれば、他方の取っ手が引っ掛けられるベルト5は、長さ調整用の穴51と第1の凸部35とが係合することにより、当該バッグ用ハンガー1が取り付けられたバッグGから当該バッグ用ハンガー1を取り外し(取れ)難くしている。
これにより、盗難抑止効果を得ることができる。
【0027】
さらにまた、本実施形態に係るバッグ用ハンガー1によれば、第2の凸部36と対向するベルト5の一面(裏面)52が第2の凸部36の下端面によって押さえられ、長さ調整用の穴51と第1の凸部35との係合が解け難いようになっている。
これにより、盗難抑止効果をさらに高めることができる。
【0028】
さらにまた、本実施形態に係るバッグ用ハンガー1によれば、バッグBの他方の取っ手をベルト5に引っ掛ける際、切欠き33の外側に位置するハンガー本体3が、ベルト5とともに湾曲することになる。
これにより、バッグBの他方の取っ手をベルト5に容易に引っ掛けることができ、作業性を向上させることができる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 バッグ用ハンガー
2 吊下げ用フック
3 ハンガー本体
4 引掛け用フック
5 ベルト
32 一面
33 切欠き
34 開口
35 (第1の)凸部
36 (第2の)凸部
51 長さ調整用の穴
B バッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向および幅方向の全体にわたっておおよそ一定の板厚を有する薄板状に形成されたバッグ用ハンガーであって、
長手方向における上端部に吊下げ用フックを備え、長手方向における中央部にハンガー本体を備えるとともに、長手方向における下端部にベルトを備えており、
前記ハンガー本体の一面に、バッグの取っ手を引っ掛ける引掛け用フックが、外方に突出するようにして立設され、
前記引掛け用フックよりも上方に位置する前記ハンガー本体の上端部に、前記ベルトが挿通される横長の開口と、前記ベルトに設けられた長さ調整用の穴と係合する第1の凸部とが設けられていることを特徴とするバッグ用ハンガー。
【請求項2】
前記開口の、前記第1の凸部と対向する上端面の両側方に、下方に向かって突出する二つの第2の凸部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッグ用ハンガー。
【請求項3】
前記ハンガー本体に、前記引掛け用フックの両側方および下方を取り囲むようにして、板厚方向に貫通する切欠きが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグ用ハンガー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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