説明

バッテリー保護回路

【目的】 複数の二次電池を直列に接続したバッテリーを保護するバッテリー保護回路に、各二次電池の充電、放電によるバッテリーの性能劣化を防止する回路群を組み込んでバッテリーの寿命を延ばすことを目的とする。
【構成】 バッテリー保護回路内に、電池が過放電状態になった場合には、最小限の回路にのみ電流が流れるようにして、残存容量の電源が0Vになる時間を出来る限り長くするパワーダウン手段を設けると共に、瞬間的な過電流等の障害を検出してもパワーダウンモードにならないように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二次電池の過充電及び過放電を防止するための、所謂バッテリー保護回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から電池が過放電状態になると電池性能は著しく劣化する。そのため、保護回路を設けて電池の劣化を未然に防止するようにしている。例えば、複数本の電池を直列に接続したバッテリーパックにおいては、直列に接続されたトータルの電圧を基準に過充電や過放電を検出した充電器や、負荷側をオン/オフすることによって電池の過充電及び過放電を防止するようにしている。
【0003】又、電池の保護機能は電池側ではなく、充電器や負荷側に設けられており、該充電器や負荷側が異常な過充電や過大電流が生じたときは、電池又はバッテリーパック内に備えてあるサーモスタット等の温度による検出によって電源供給をオン/オフする回路も付加されている。
【0004】しかし、上記方法では、特に複数の電池から構成されたバッテリーにおいては、夫々の電池の特性が揃っていない場合は、特定の電池のみ過充電や過放電状態となる恐れがあり、特に過放電及び過充電での性能の劣化が大きい電池であっては使用可能容量が減ったり、実質的に使用できない状態となってしまう。
【0005】そこで、同一出願人による先願発明(特願平3−213019号明細書)が提案された。この先願発明においては、直列接続された二次電池が充電及び放電を繰り返す過程において、個々の構成する電池の個体差により、電池の容量バランスが崩れてきても、そのバランスを復活する機能を有する電池容量バランス回路を充放電回路に設けて過充電及び過放電を防止する方法である。
【0006】即ち、電池容量バランス回路は、基本的に電池を保護する回路から構成されており、それは過充電の検出、充電電流のオフ、オーバーフローの検出、過放電の検出、放電電流のオフ、ヒステリシス、過電流の検出等の回路群から構成してバッテリーの保護をする方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記先願発明においては、例え電池の過放電、過充電を検出しても、過放電検出後における回路群には電流が流れており、常時消費電流が生じている。そのため、バッテリー残存容量維持期間が短くなってしまう。例えば、残存容量が30mAhとして、回路電流が20μAとすると1500時間(約2ケ月)でバッテリー残存容量を使いきってしまうという問題点があった。
【0008】従って、バッテリーの過放電、過充電を検出する回路群と共に、過放電を検出後に回路に流れる電流を出来る限り少なくして放電をできるかぎり抑制して電池を保護することに解決しなければならない課題を有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する具体的手段として本発明は、二次電池と、該電池の電圧を検出すると共に、該検出電圧と基準電圧とを比較して上記二次電池の過放電状態又は過充電状態を検知する状態検知手段と、放電電流又は充電電流を遮断するための第一及び第二のスイッチ手段と、上記状態検知手段の検知結果に基づいて上記第一及び第二のスイッチ手段の導通及び非導通を制御する制御手段と、上記状態検知手段に供給する電源及び基準電圧源を遮断するためのパワーダウンスイッチ手段と、上記状態検知手段により過放電状態が検知された場合に上記パワーダウンスイッチ手段を非導通状態にするパワーダウン手段と、過放電状態から再び充電が開始された場合に上記パワーダウンスイッチ手段を非導通状態から導通状態に復帰させるパワーダウン解除手段とを備えたバッテリー保護回路において、上記過放電状態から、再び充電開始の状態を上記二次電池の端子間に充電電圧が発生したことにより検出し、検出された充電状態を保持する状態保持手段を備えたことを特徴とするバッテリー保護回路を提供するものである。
【0010】そして、上記状態保持手段は、上記二次電池の電圧が過放電領域を脱出するまで、上記充電状態を保持すること;上記二次電池が複数直列につながれたバッテリー保護回路にあっては、上記パワーダウン手段は上記状態検知手段により少なくとも1つの上記二次電池の過放電状態が検知された場合に上記パワーダウンスイッチ手段を非導通状態にすること;上記パワーダウン解除手段は、上記状態検知手段における基準電圧用パワーダウンスイッチ手段を先に導通状態にし、基準電圧の発生を検知してから他のパワーダウンスイッチ手段を導通状態にすること;上記パワーダウンスイッチ手段が、非導通時であって、上記二次電池の電圧が略0Vの場合は、強制的に上記二次電池充電可能状態にする強制手段を備えたこと;いずれかの上記二次電池が過充電状態の場合は、上記パワーダウンスイッチ手段が非導通状態にならないようにするパワーダウン禁止手段を備えたこと;瞬間的に大電流が流れた場合には、該大電流を検出する過電流検出手段を設け、該過電流検出手段の検出信号に基づいて上記パワーダウンスイッチ手段が非導通状態にならないように、パワーダウン禁止手段を備えたこと;複数の上記二次電池の過充放電用の電池バランスを取る手段を備えたことを特徴とするバッテリー保護回路を提供するものである。
【0011】
【作用】本発明に係るバッテリー保護回路は、バッテリーパックを構成する各電池毎からの端子電圧を監視して過充電、過放電を検出し、バッテリーパック側のスイッチ、負荷、充電器をオン/オフするので充電器や負荷の異常による影響を最小限に抑制すると共に、過充電、過放電の状態に応じ、バッテリーパックを構成する電池間のバランスを取ること、並びに電圧検出や制御に用いている回路群の消費電流を過放電領域ではパワーダウンモードにして消費電流を小さくするものである。
【0012】
【実施例】本発明に係るバッテリー保護回路について、図を参照にして詳細に説明する。図1は本発明に係る第1実施例のバッテリー保護回路の概略を示すブロック図であり、該ブロック図において、1はバッテリー保護回路であり、該バッテリー保護回路1は、検出部2と、制御部3と、復帰部4と、パワーダウンSW部5と、充放電スイッチ部6と、から構成され、複数のバッテリーであるところの電池Abat、Bbatの充放電制御を行うものである。
【0013】検出部2は、電池電圧検出部7と過電流検出部8とから構成され、電池電圧検出部7は電池Abat、Bbatの各電圧より過充電(A、B)及び過放電(A、B)状態を検出すると共に、過電流検出部8では過電流状態の検出を行う。
【0014】制御部3は、放電系制御ロジック部9及び放電SW制御部10と、GNDレベルシフト部11と、充電系制御ロジック部12及び充電SW制御部13とから構成されている。
【0015】制御部3の放電系制御ロジック部9及び放電SW制御部10は、検出部2の電池電圧検出部7で検出した電池Abat、Bbatの充放電状態や過電流検出部8からの過電流信号の状態から、電池電圧検出部7へオーバーフロー電流信号、後述する充放電スイッチ部6へは放電スイッチ信号、復帰部4へはパワーダウン信号を出力する。
【0016】又、放電系制御ロジック部9及び放電SW制御部10からのグランド信号はGNDレベルシフト部11を介して充電系制御ロジック部12及び充電SW制御部13に入力される。
【0017】制御部3のGNDレベルシフト部11は、放電系制御ロジック部9及び放電SW制御部10の放電スイッチと、充電系制御ロジック部12及び充電SW制御部13の充電スイッチのグランド(GND)が異なるため、夫々のグランド電位を一定の基準に定めるものである。
【0018】制御部3の充電系制御ロジック部12及び充電SW制御部13は、電池状態、充電検出(起動回路)等から充放電スイッチ部6の制御、復帰部4に対してパワーダウン解除信号の出力等を行う。
【0019】復帰部4は、パワーダウン制御部14と起動回路充電検出部15とから構成されている。パワーダウン制御部14は、放電系制御ロジック部9からのパワーダウン信号を後述するパワーダウンSW部5に送り、又、充電系制御ロジック部12からのパワーダウン解除信号をパワーダウンSW部5に送る。更に、起動回路充電検出部15は、自動により充電を開始させるものである。
【0020】パワーダウンSW部5は、パワーダウン制御部14からのパワーダウン信号を検出部2及び制御部3に送り、電源をオフにしてパワーダウンモードにする。
【0021】充放電スイッチ部6は、制御部3の放電SW制御部10及び充電SW制御部13からの制御に基づいて電池Abat、Bbatの充電及び放電の制御を行うものである。
【0022】次に、図1のブロック図に基づいて放電時と、充電時における概ねの動作を説明する。
[1] 放電時複数の電池Abat、Bbatとから構成されたバッテリーにおいて、検出部2の電池電圧検出部7は常時電池Abat及び電池Bbatとの放電状態を監視していて、該電池Abat又は電池Bbatのいずれかが過放電状態になると過放電(A)信号または過放電(B)信号を制御部3の放電系制御ロジック部9に送出し、放電系制御ロジック部9の制御により放電SW制御部10によって充放電スイッチ部6の放電スイッチをオフする。
【0023】そして、充放電スイッチ部6の放電スイッチをオフすると共にパワーダウンモードとなる。このパワーダウンモードになるのは、電池Abat、Bbatのいずれかが過放電状態になった場合、即ち、電池Abat、Bbatとから構成されたバッテリーであれば、電池Abat、又は電池Bbatのいずれかが過放電となった場合にパワーダウンモードに入る。
【0024】又、放電時において、所定値からなる過大電流が所定時間流れたことを検出部2の過電流検出部8によって検出した場合には、制御部3の放電SW制御部10によって充放電スイッチ部6の放電スイッチをオフする。尚、瞬間的な大電流による過電流の状態が所定時間以内であれば放電スイッチはオフとならず、又その大電流によって過放電状態となっても所定時間内であればパワーダウンモードにならない様に構成してある。
【0025】[2] 充電時電池Abat、又は電池Bbatから構成されたバッテリーにおいて、電池Abat、又は電池Bbatが過充電状態になったことを検出部2の電池電圧検出部7が検出すると、過充電(A)信号または過充電(B)信号を制御部3の充電系制御ロジック部12に送出し、充放電スイッチ部6の充電スイッチをオフする。同時に図示していないが、オーバーフロー回路により過充電状態となった電池を放電させる。
【0026】ここで、パワーダウンモード時からの充電の場合は、復帰部4の起動回路充電検出部15からの充電検出信号に基づいて、制御部3の充電SW制御部13の制御により強制的に充電動作を行い、且つパワーダウンからの解除準備を行う。トータル電池電圧が上昇し、所定電圧値以上(基準電圧発生)になり、検出部2が強制的にパワーダウン解除となって電池電圧を検出し、電池Abat、Bbat共に過放電を脱するとパワーダウン解除信号を復帰部4のパワーダウン制御部14に送出してパワーダウンモードから抜け出す。即ち、過放電状態を脱出して、正常充電状態となる。尚、電池Abat、又は電池Bbatの片方が過放電状態であっても、他方が過充電状態であればパワーダウンモードには入らず、過充電状態が最優先される。
【0027】次に、電池Abat、Bbatから構成されているバッテリーの放電特性とパワーダウンモードについて説明する。即ち、バッテリーの放電特性は、図2に示したように、放電時間の経過と共に電池電圧が放電カーブ16を描きながら下がり続け、予め所定電圧値に設定されている過放電電圧値17以下になった状態が過放電状態である。
【0028】この過放電状態を図1に示した検出部2が検出すれば、充放電スイッチ部6の放電スイッチをオフすることによって負荷に対する放電は無くなり、バッテリーの電圧は過放電領域18で保持され、その残存容量(mAh)19は予め算出することができる。
【0029】しかし、負荷に対する放電は無くなったとしても、前記図1で示したバッテリー保護回路1にはその後も若干の電流が流れ続ける。従って、放電は進行し続けるので、残存容量19の放電カーブは放電方向20となる。
【0030】そのため考え出されたのがパワーダウンモードであって、過放電状態になったバッテリー保護回路の内、必要とする最小限の回路を除いた回路への電流を遮断する方法である。
【0031】この、パワーダウンモードを設けることによって、放電カーブは放電方向21となり、過放電状態になったときの残存容量19による電圧維持の期間に、パワーダウンモードを設けなかった場合と比較するときわめて大きな差が出る。例えば過放電状態となったときの残存容量19が30mAh、過放電領域18において動作をするための回路消費電流が20μA、パワーダウンモードを設けた場合の過放電領域18において動作するための回路消費電流を1μAとすれば、以下の表1に示すように電池電圧が過放電領域18から0Vになるまでの時間を大幅に改善することができる。
【0032】
【表1】


【0033】この表から理解できるように、電池電圧が0Vになるまでの時間が1500時間→3万時間と大幅に改善することができ、実際には電池電圧が下がると消費電流もある程度少なくなるので、更に長期間維持でき、バッテリーが過放電状態となることによって生じる性能劣化を未然に防止することができる。
【0034】次に本発明に係る第1実施例のバッテリー保護回路について図を参照して説明する。図3は、バッテリー保護回路1の構成を示したものであり、主に5個のコンパレータと複数のスイッチング素子と、複数のゲートとで構成され、これらの接続状態は以下のようになっている。
【0035】即ち、バッテリー保護回路1が組み込まれたバッテリー構成体は、充電器又は負荷のプラス側と接続するプラス側接続端子(Eb+)に接続されたヒューズ23を介して電池Abatのプラス側に接続され、該電池Abatのマイナス側は電池Bbatのプラス側に接続された、所謂直列接続になっている。
【0036】そして、電池Bbatのマイナス側は放電用パワーNMOSトランジスターQDと、充電用パワーNMOSトランジスターQCを介して、充電器又は負荷のマイナス側の接続端子であるマイナス側端子(Eb−)に接続されている。
【0037】前記、バッテリー保護回路1は、プラス側端子(Eb+)と保護抵抗R10を介して端子VDDに接続され、端子CPUは抵抗R11を介してNMOSトランジスターQ14のドレン端子に接続されている。
【0038】電池Abatのマイナス側と電池Bbatのプラス側との接続点は、端子VCに接続され、電池Bbatのマイナス側の端子CPDは抵抗R12を介してNMOSトランジスターQ15のドレン端子に接続され、保護抵抗R13を介して端子VSSに接続されている。
【0039】パワーNチャネルMOSトランジスターQD(以下、パワーNMOSトランジスターQDと云う)は、ソース、ゲート及びドレン端子と寄生ダイオードD1を備えたトランジスターであって、ソース端子は電池Bbatのマイナス側に接続され、ゲート端子は端子DOに接続され、ドレン端子はパワーNMOSトランジスターQCのドレン端子に接続されている。
【0040】パワーNチャネルMOSトランジスターQC(以下、パワーNMOSトランジスターQCと云う)は、ソース、ゲート及びドレン端子と寄生ダイオードD2を備えたトランジスターであって、ソース端子はマイナス側端子(Eb−)に接続され、ゲート端子は端子OVに接続され、ドレン端子はパワーNMOSトランジスターQDのドレン端子に接続されている。そして、マイナス側端子(Eb−)には保護抵抗R22を介して端子VMに接続されている。
【0041】パワーダウンスイッチ(PDSW1〜4)は、パワーダウン信号(PDA、PDB)により開閉するスイッチであって、パワーダウンスイッチ(PDSW1、2)の一方の端子を端子VDDに接続し、他方の端子であるパワーダウンスイッチPDSW1の接続点a及びパワーダウンスイッチPDSW2の接続点bは、夫々コンパレーターCOMP1、2、3、4、5の電源入力端子及び基準電圧源29の電源入力端子に接続されている。
【0042】更に、パワーダウンスイッチPDSW3は、その一方の端子を抵抗16の他端に接続され、他方の端子は、端子VCに接続されている。
【0043】もう一つのパワーダウンスイッチPDSW4は、その一方の端子を抵抗R19の他端に接続され、他方の端子は、端子VSSに接続されている。
【0044】コンパレーターCOMP1は、2個の入力端子と1個の出力端子とから構成され、一方の反転入力端子(以下マイナス側入力端子と云う)は、抵抗R14の他端と抵抗R15の一端との接続点に接続され、他方の非反転入力端子(以下プラス側入力端子と云う)は、基準電圧E1(+1.5V)のプラス側に接続され、出力端子はノアゲートG2の入力端子に接続されている。尚、抵抗R14の一端は端子VDDに、抵抗R15の他端は抵抗R11の一端とコンパレーターCOMP2のプラス側入力端子との接続点に接続され、基準電圧E1のマイナス側は端子VCに接続されている。
【0045】コンパレーターCOMP2は、2個の入力端子と1個の出力端子とから構成され、一方のマイナス側入力端子は、基準電圧E1(+1.5V)のプラス側に接続され、他方のプラス側入力端子は、抵抗R15の他端と抵抗R11の一端との接続点に接続され、出力端子はノアゲートG8の入力端子及びNMOSトランジスターQ14のゲート端子に接続されている。尚、コンパレーターCOMP2のヒステリシススイッチ入力端子は、アンドゲートG1の出力端子に接続されている。
【0046】コンパレーターCOMP3は、2個の入力端子と1個の出力端子とから構成され、一方のマイナス側入力端子は、抵抗R17の他端と抵抗R18の一端との接続点に接続され、他方のプラス側入力端子は、基準電圧E2(+1.5V)のプラス側に接続され、出力端子はノアゲートG2の入力端子に接続されている。尚、抵抗R17の一端は端子VCに接続され、抵抗R18の他端は抵抗R19の一端とコンパレーターCOMP4のプラス側入力端子とに接続されている。
【0047】コンパレーターCOMP4は、2個の入力端子と1個の出力端子とから構成され、一方のマイナス側入力端子は、基準電圧E2(+1.5V)のプラス側に接続され、他方のプラス側入力端子は、抵抗R18の他端と抵抗R19の一端との接続点に接続され、出力端子はノアゲートG8の入力端子及びNMOSトランジスターQ15のゲート端子に接続されている。尚、コンパレーターCOMP4のヒステリシススイッチ入力端子は、アンドゲートG1の出力端子に接続されている。
【0048】コンパレーターCOMP5は、2個の入力端子と1個の出力端子とから構成され、一方のマイナス側入力端子は、基準電圧E3(+0.4V)のプラス側に接続され、他方のプラス側入力端子は、端子VMに接続され、出力端子は遅延用CRを構成する抵抗R4の他端及びアンドゲートG1の入力端子に接続されている。尚、抵抗R4の一端はノアゲートG9の入力端子及びキャパシターC2の一端に接続され、キャパシターC2の他端は端子VDDに接続されている。
【0049】アンドゲートG1は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、一方の入力端子はコンパレーターCOMP5の出力端子に接続され、他方の入力端子はノアゲートG2の出力端子に接続され、出力端子はコンパレーターCOMP2、4のヒステリシススイッチ入力端子に接続されている。
【0050】ノアゲートG2は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、一方の入力端子は、コンパレーターCOMP1の出力端子に、他方の入力端子はコンパレーターCOMP3の出力端子に接続され、出力端子はアンドゲートG1の入力端子、ノアゲートG3の入力端子、ノアゲートG11の入力端子、及びNMOSトランジスターQ13のゲート端子に接続されている。
【0051】ノアゲートG3は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、一方の入力端子はノアゲートG2の出力端子に接続され、他方の入力端子はコンパレーターCOMP5の出力端子に接続され、出力端子はナンドゲートG4の入力端子及びノアゲートG9の入力端子に接続されている。
【0052】ナンドゲートG4は、2個の入力端子と1個の出力端子を備えているゲートであり、一方の入力端子はノアゲートG3の出力端子に接続され、他方の入力端子はノアゲートG8の出力端子に接続され、出力端子はパワーダウンラッチ回路のナンドゲートG6の入力端子に接続されている。
【0053】ナンドゲートG5は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、ナンドゲートG6と共にパワーダウンラッチ回路を形成するものであり、一方の入力端子は抵抗R1の他端に接続され、他方の入力端子はナンドゲートG6の出力端子に接続され、出力端子はNMOSトランジスターQ15のソース端子にに接続され、この出力端子からはパワーダウン信号PDBを発生させる。
【0054】ナンドゲートG6は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、ナンドゲートG5と共にパワーダウンラッチ回路を形成するものであり、一方の入力端子はナンドゲートG5の出力端子に接続され、他方の入力端子はナンドゲートG4の出力端子に接続され、出力端子はナンドゲートG5の入力端子、充電ロジックのGNDレベルシフト部LSH1の入力部、及びノアゲートG11の入力端子に接続されている。
【0055】オアゲートG7は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、充電ロジックの一要素であり、一方の入力端子は抵抗R1を介して端子VDDに接続され、他方の入力端子はGNDレベルシフト部LSH1の出力部に接続され、出力端子はナンドゲートG10の入力端子に接続されている。
【0056】ノアゲートG8は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、一方の入力端子はコンパレーターCOMP2の出力端子に接続され、他方の入力端子はコンパレーターCOMP4の出力端子に接続され、出力端子はナンドゲートG4の入力端子及び充電ロジックを構成するGNDレベルシフト部LSH2の入力部に接続されている。
【0057】ノアゲートG9は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、一方の入力端子はノアゲートG3の出力端子に接続され、他方の入力端子は抵抗R4の一端及びキャパシターC2の一端に接続され、出力端子は端子DOを介してパワーNMOSトランジスターQDのゲート端子に接続されている。
【0058】ナンドゲートG10は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、一方の入力端子はオアゲートG7の出力端子に接続され、他方の入力端子はGNDレベルシフト部LSH2の出力部に接続され、出力端子はPMOSトランジスターQ9、Q10のゲート端子に接続されている。
【0059】ノアゲートG11は、2個の入力端子と1個の出力端子からなるゲートであって、一方の入力端子はノアゲートG2の出力端子に接続され、他方の入力端子はNMOSトランジスターQ12の出力端子に接続され、出力端子はNMOSトランジスターQ12のゲート端子に接続されている。
【0060】PチャネルMOSトランジスターQ9(以下、PMOSトランジスターQ9と云う)は、ソース、ゲート、ドレン端子からなるトランジスターであって、ソース端子は端子VDDに接続され、ゲート端子はナンドゲートG10の出力端子に接続され、ドレン端子はNMOSトランジスターQ10のドレン端子及び端子OVを介してパワーNMOSトランジスターQCのゲート端子に接続されている。
【0061】NチャネルMOSトランジスターQ10(以下、NMOSトランジスターQ10と云う)は、ソース、ゲート、ドレン端子からなるトランジスターであって、ソース端子は端子VM及び充電ロジックのGNDに接続され、ゲート端子はナンドゲートG10の出力端子に接続され、ドレン端子はPMOSトランジスターQ9のドレン端子及び端子OVを介してパワーNMOSトランジスターQCのゲート端子に接続されている。
【0062】PチャネルMOSトランジスターQ11(以下、PMOSトランジスターQ11と云う)は、ソース、ゲート、ドレン端子からなるトランジスターであって、ソース端子はナンドゲートG5の出力端子に接続され、ゲート端子は基準電圧源の基準電圧発生信号を発生させる端子に接続され、ドレン端子は抵抗R0の一端に接続され、この端子からはパワーダウン信号(PDA)が出力される。尚、抵抗R0の他端は接地されている。
【0063】NチャネルMOSトランジスターQ12(以下、NMOSトランジスターQ12と云う)は、ソース、ゲート、ドレン端子からなるトランジスターであって、ソース端子は端子VMに接続され、ゲート端子はノアゲートG11の出力端子に接続され、ドレン端子はナンドゲートG5、G7の入力端子及び抵抗R1の他端に接続されている。
【0064】NチャネルMOSトランジスターQ13(以下、NMOSトランジスターQ13と云う)は、ソース、ゲート、ドレン端子からなるトランジスターであって、ソース端子は端子VSSに接続され、ゲート端子はノアゲートG2の出力端子に接続され、ドレン端子は抵抗R5の一端に接続されている。尚、抵抗R5の他端は端子VMに接続されている。
【0065】NチャネルMOSトランジスターQ14(以下、NMOSトランジスターQ14と云う)は、ソース、ゲート、ドレン端子からなるトランジスターであって、ソース端子は端子VCに接続され、ゲート端子はコンパレーターCOMP2の出力端子に接続され、ドレン端子は抵抗R11を介して端子CPUに接続されている。
【0066】NチャネルMOSトランジスターQ15(以下、NMOSトランジスターQ15と云う)は、ソース、ゲート、ドレン端子からなるトランジスターであって、ソース端子は端子VCに接続され、ゲート端子はコンパレーターCOMP4の出力端子に接続され、ドレン端子は抵抗R12を介して端子CPDに接続されている。
【0067】GNDレベルシフト部LSH1は、その入力部はパワーダウンラッチ回路のナンドゲートG6の出力端子に接続され、その出力部はオアゲートG7の入力端子に接続されている。
【0068】そして、GNDレベルシフト部LSH2は、その入力部はノアゲートG8の出力端子に接続され、その出力部はナンドゲートG10の入力端子に接続されている。
【0069】基準電圧源29は、基準電圧値E1、E2、E3を発生させ、基準電圧値E1はコンパレーターCOMP1のプラス側入力端子及びコンパレーターCOMP2のマイナス側入力端子に接続し、基準電圧値E2はコンパレーターCOMP3のプラス側入力端子及びコンパレーターCOMP4のマイナス側入力端子に接続し、基準電圧値E3はコンパレーターCOMP5のマイナス側入力端子に接続されている。
【0070】上記接続状態にあるバッテリー保護回路1における各々の電池Abat、Bbatの端子電圧は、コンパレーターCOMP1〜4により、基準電圧値E1、E2(+1.5V)とラダー抵抗群(R14、R15、R11、R17、R18、R19)を介した,所謂検出電圧値とを比較して、過充電や過放電を検出する。即ち、コンパレーターCOMP1、COMP3は正の基準電圧E1、E2(+1.5V)をプラス側入力端子に入力して基準とし、コンパレーターCOMP2、COMP4は正の基準電圧E1、E2(+1.5V)をマイナス側入力端子に入力して基準とし、電池Abat、Bbatの端子電圧を分圧した検出電圧値と比較している。尚、基準電圧E1(+1.5V)は、レベルシフトをして端子VCの電位を0VとしてコンパレーターCOMP1、COMP2の比較基準としている。
【0071】ここで、直列接続された抵抗R14、R15、R11、R17、R18、R19からなるラダー抵抗群は、過充電、過放電電圧時に各々が基準電圧E1、E2(+1.5V)と比較できるよう分圧する抵抗群である。更に、コンパレーターCOMP5は、基準電圧値E3(+0.4V)とマイナス側端子(Eb−)の電圧値とを比較して過電流の検出に使用するものである。
【0072】次に、このような基準電圧値を基準にした動作を項目毎に説明する。
(1)充電及び過充電の場合。
充電の場合には、外部の充電器との接続端子又は放電負荷端子となるプラス側端子(Eb+)から二次電池Abat、Bbat、パワーNMOSトランジスターQD、QCを経て、マイナス側端子(Eb−)へ充電電流が流れる。
【0073】充電が進み過充電状態になると過充電検出回路(コンパレーターCOMP2、COMP4)からのHレベル信号がノアゲートG8を介してLレベル信号が充電ロジックのGNDレベルシフト部LSH2に入力されグランドレベルシフト(後述する)され、ナンドゲートG10の入力条件が満足しなくなり、パワーNMOSトランジスターQCはオフされる。
【0074】この時、コンパレーターCOMP2、4にヒステリシス幅電圧(例えば0.2V)の余裕を持たせアンドゲートG1からのヒステリシス信号がHレベルの時はヒステリシスを解除(後述する(5)ヒステリシス解除信号の項参照)して、直ちに再度充電の開始する動作を回避する。
【0075】同時に、コンパレーターCOMP2の出力端子からのHレベルの信号は、NMOSトランジスターQ14をオンさせることによって、過充電オーバーフロー電流を放電させバッテリーである電池Abatを保護する。即ち、NMOSトランジスターQ14がオンすると、電池Abatのプラス側に接続されている端子CPUを介して抵抗R11に電流が流れ、ヒステリシス幅分低い電圧(例えば4.2V)まで放電する。尚、電池Bbatで使用されるコンパレーターCOMP4及びPMOSトランジスターQ15等についても同様の機能をするのでその説明を省略する。
【0076】即ち、充電電流を遮断後、直ちに充電をしないようにヒステリシスを持たせる回路を作動させると共に、過充電オーバーフロー電流を放電させることによって、バッテリー(電池Abat、Bbat)を保護することができる。
【0077】(2)過放電の場合。
プラス側端子(Eb+)とマイナス側端子(Eb−)とに負荷をつなぐことによって、バッテリー(電池Abatと電池Bbat)は放電状態となる。この放電状態は、コンパレーターCOMP1及びコンパレーターCOMP3を中心とする過放電検出回路によって常時監視されている。以下、電池Abatの過放電状態を検出するコンパレーターCOMP1を中心に説明する。即ち、放電状態が続き、例えば電池Abatの電圧が過放電電圧(例えば2.4V)になると、基準電圧値E1(+1.5V)と比較され、コンパレーターCOMP1の出力端子からはHレベルの信号が出力する。
【0078】コンパレーターCOMP1の出力端子からのHレベル信号は、ノアゲートG2を介してノアゲートG3に入力され、Hレベル信号を出力する。このノアゲートG3からのHレベル信号はノアゲートG9に入力され、その出力信号はLレベルになって、パワーNMOSトランジスターQDをオフして放電電流を遮断する。
【0079】一方、ノアゲートG3からのHレベル信号はナンドゲートG4に入力され、パワーダウンラッチ回路のナンドゲートG6にLレベル信号を入力し、ナンドゲートG5、G6でラッチ状態にして、この状態をホールドすることによってパワーダウン信号(PDB)がLレベルになる。
【0080】同時に、PMOSトランジスターQ11を介してパワーダウン信号(PDA)もLレベルになる。
【0081】この、Lレベルになったパワーダウン信号(PDB)は、パワーダウンスイッチPDSW2を開状態にして基準電圧源29を遮断することによって基準電圧値E1、E2、E3をオフする。
【0082】更に、Lレベルとなったパワーダウン信号(PDA)は、パワーダウンスイッチPDSW2,3,4を開状態にしてコンパレーターCOMP1〜5に供給されている電源、及びラダー抵抗群(抵抗R14、R15、R11、R17、R18、R19)に供給している電源を遮断する。
【0083】このパワーダウン時は、コンパレーターCOMP2、COMP4の出力はLレベル信号、コンパレーターCOMP1、COMP3の出力はHレベルの信号、コンパレーターCOMP5の出力はLレベルの信号、遅延用CRの出力はHレベルの信号になるように回路構成を切り換える。
【0084】(3)過電流検出の場合。
過電流の検出はコンパレーターCOMP5を中心とした回路によって構成され、基準電圧値E3(+0.4V)と比較して検出する。即ち、パワーNMOSトランジスターQD及びパワーNMOSトランジスターQCのオン抵抗(例えば合計して100mΩ)による電圧降下で生ずる電位差が基準電圧値E3(+0.4V)を越えると、コンパレーターCOMP5の出力端子の信号がHレベルとなる。
【0085】コンパレーターCOMP5の出力端子からのHレベルの信号は、抵抗R4とキャパシタC2によって構成された遅延用CRから発生する時間帯(例えば約1.8msec)の経過後にノアゲートG9を介してパワーNMOSトランジスターQDをオフして放電電流を遮断する。この状態の時、即ち、パワーNMOSトランジスターQDがオフされると、プラス側端子(Eb+)とマイナス側端子(Eb−)に接続されている負荷を介して、端子(Eb+)の高い電圧が端子VMの電圧値となる。従って、端子VMに生じた高い電圧値は、ほぼプラス側端子(Eb+)に生じている電圧値に近い値となり、コンパレータCOMP5の出力側の過電流検出信号をHレベルにホールドすることができる。
【0086】ここで、プラス側端子(Eb+)とマイナス側端子(Eb−)との間に接続されている負荷を外すと、NMOSトランジスターQ13及び抵抗R5を介して端子VMの電圧を約0Vまで引き下げることによってコンパレーターCOMP5の出力端子の過電流検出信号はLレベルになり過電流状態から復帰することができる。
【0087】又、抵抗R4とキャパシターC2とからなる遅延用CRは所定時間(例えば約1.8msec)以上の時間を持たせてある。これはコンデンサー負荷等などで瞬間的な大電流が流れた時に、パワーNMOSトランジスターQDをオフさせないために設けたものである。
【0088】(4)パワーダウン禁止ロジック。
パワーダウン禁止ロジックは、ノアゲートG3とナンドゲートG4とから構成され、前記した瞬間的な大電流等で過放電が働き、パワーダウンモードとなることを防止する回路である。即ち、過電流検出が働くような大電流では、バッテリーの内部抵抗で端子電圧が過放電検出状態まで下がることがある。そして、コンデンサー負荷や間違ってショートした場合にパワーダウンモードになってしまっては実用上きわめて不都合である。そこで、コンパレーターCOMP5が作動して出力端子からHレベルの信号が出力されると、即座にノアゲートG3に入力してパワーダウンモードに入るのを禁止する。
【0089】又、電池AbatとBbatからなるバッテリーのバランスが極端に相違して片方の電池は過充電状態(例えば、充電後、オーバーフロー放電中)の時も、他方の電池が過放電状態になってもナンドゲートG4によりパワーダウンモードに入るのを禁止する。従って、もしオーバーフロー放電の時にオフされることによって、過充電状態のままで放置されることを未然に防止してバッテリーを保護できる。
【0090】(5)ヒステリシス解除信号(アンドゲートG1の出力信号)。
過充電状態(例えば、充電直後)で放電すると、パワーNMOSトランジスターQCがオフしているため、放電電流が寄生ダイオードD2に流れ、寄生ダイオードD2の順方向電圧(例えば約0.7V)によって、端子VMの電圧が高くなり、過電流検出回路が働いて放電ができなくなる。
【0091】そのため、過電流検出回路のコンパレーターCOMP5の出力端子の信号がHレベルになった場合には、コンパレーターCOMP2、COMP4のヒステリシス解除回路にHレベル信号を入力して強制的にヒステリシスを解除する。ヒステリシスが解除されると、過充電検出が正常状態に戻るのでパワーNMOSトランジスターQDがオンとなり放電が可能となる。
【0092】尚、電池Abat又は電池Bbatとのどちらかが過放電状態の時は、アンドゲートG1によりヒステリシスの解除が禁止される。過放電状態では、放電電流を流すことが出来ないのにヒステリシスを解除するとパワーダウンモードとなってしまい、過充電状態の電池Abat又は電池Bbatはオーバーフロー電流がオフとなり、過充電状態のままとなってしまうことを回避してバッテリーを保護するためである。尚、片側が過充電、もう一方が過放電という状態は非常に希なケースである。
【0093】(6)パワーダウンモード時からの充電。
プラス側端子(Eb+)とマイナス側端子(Eb−)間に充電器をつなぐと両端子間に充電電圧が掛かり、バッテリー電圧(電池Abat、Bbat間電圧)よりも充電電圧が高いのでマイナス側端子(Eb−)の電圧が電池Bbatのマイナス側電圧(GND)より低くなる。パワーダウンモード時は、前記したようにパワーNMOSトランジスターQDとパワーNMOSトランジスターQCとが共にオフの状態となっている。
【0094】この状態において、マイナス側端子(Eb−)の電位、即ち端子VMの電位がGNDより下がるのでNMOSトランジスターQ12のゲート端子とソース端子間に正の電圧が掛かる。従って、NMOSトランジスターQ12がオンできる状態になる。NMOSトランジスターQ12がオンすると、ナンドゲートG5の入力がLレベル信号になるので、もう一方の入力の状態に拘らず出力がHレベル信号となり、パワーダウン解除の準備が出来る(後述する(7)パワーダウンモードからの復帰の項参照)。
【0095】NMOSトランジスターQ12がオンするとオアゲートG7、ナンドゲートG10を介してPMOSトランジスターQ9がオン、NMOSトランジスターQ10がオフの状態になり端子OVの電位が端子VDDを介してプラス側端子(Eb+)の電位となり、パワーNMOSトランジスターQCをオンにして充電が開始し充電電流を流すことができる。
【0096】同時に、ノアゲートG11の入力がLレベル信号となるので(もう一方の入力は過放電状態なのでLレベル信号)、ノアゲートG11の出力はHレベルの信号となりNMOSトランジスターQ12のゲート端子の信号をHレベルにする。従って、NMOSトランジスターQ12とノアゲートG11とで起動状態がホールドされることになる。
【0097】ここで、パワーNMOSトランジスターQCがオンするとマイナス側端子(Eb−)の電圧は上昇しGNDよりも少し低い電圧となる。この電圧は電池Abat、Bbatの保持電圧により状況が変化する。即ち、電池Abat、Bbatの保持電圧が0Vでは、パワーNMOSトランジスターQCのドレーン端子とソース端子間の電圧はパワーNMOSトランジスターQCのゲート端子とソース端子間のカットオフ電圧Vgsoff(例えば2V)以下にならない。
【0098】このことにより、パワーNMOSトランジスターQCは、ゲート電圧が0V、ソース電圧、即ち端子VMの電圧がマイナスでオンとなり充電電流を流す。この時はパワーNMOSトランジスターQDはオフなので充電電流は、パワーNMOSトランジスターQDの寄生ダイオードD1を通り流れることになる。
【0099】又、充電ロジックのGNDレベルは端子VMの電位となっているので、パワんMOSトランジスターQD、QCで生じる充電による電圧降下分の電圧が充電ロジックの動作用の電圧源となる。
【0100】少し充電が進み、バッテリーの保持電圧が上昇すると共にパワーNMOSトランジスターQCのゲート電圧も上昇し、端子VMの電位のマイナス分が減少する。更に充電が進みパワーダウンモードを脱するとパワーNMOSトランジスターQDがオンして端子VMの電位は略0Vとなる。
【0101】電池Abat、Bbatの電圧が両方とも過放電電圧以上になるとコンパレーターCOMP1、COMP2の出力端子の信号が両方ともLレベル信号となり、ノアゲートG2の出力端子の信号がHレベル信号になり、ナンドゲートG6の入力端子の信号がHレベル信号となる。一方、ナンドゲートG5の入力端子の信号はLレベル信号なのでナンドゲートG5の出力はHレベル信号となって、ナンドゲートG6の2つの入力がHレベル信号になるので、パワーダウン回路のラッチは反転してパワーダウンモードから脱する。
【0102】同時にノアゲートG2の出力がHレベル信号になることでアンドゲートG11の入力がHレベル信号となり、ナンドゲートG11のもう一方の入力レベルにかかわらずナンドゲートG11の出力がLレベル信号となり、NMOSトランジスターQ12とナンドゲートG11とによる起動状態のホールドが解除される。又、ノアゲートG3の出力端子のLレベル信号により、ノアゲートG9を介してパワーNMOSトランジスターQDをオンにして正常状態の充電となる。
【0103】(7)パワーダウンモードからの復帰。
パワーダウンモードからの復帰は、パワーダウン信号PDA、PDBがLレベルからHレベルになることによって復帰することができる。このパワーダウン信号PDAがHレベルになるためには、バッテリー(電池Abat、Bbat)の電圧と深く関係している。即ち、パワーダウン信号PDAは、ラダー抵抗群とコンパレーターのオン/オフを制御し、パワーダウン信号PDBは基準電圧源29のオン/オフを制御している。このパワーダウン信号PDBは充電が開始(NMOSトランジスターQ12がオン、PMOSトランジスターQ11はオフの状態)すると直ちにHレベルに復帰し、パワーダウンスイッチPDSW2を閉状態にして基準電圧源29をオンし、基準電圧値E1、E2(+1.5V)、E3(0.4V)が発生すると所定の基準電圧発生信号により、PMOSトランジスターQ11がオンして、パワーダウン信号PDAがLレベルになり、パワーダウンスイッチPDSW1、3、4を閉状態にする。
【0104】(8)充電ロジック。
充電の開始は前記した起動回路(ノアゲートG11及びNMOSトランジスターQ12で構成)からのLレベルの信号がオアゲートG7に入力され、その出力信号はHレベルとなり、ナンドゲートG10の一方の入力条件を満足する。他方のナンドゲートG10の入力条件はGNDレベルシフト部LSH2からの信号であり、過充電でない場合にはHレベル信号であるので、ナンドゲートG10の入力条件はすべて満足され、その出力はLレベル信号となり、PMOSトランジスターQ9をオンし、NMOSトランジスターQ10をオフすることにより、端子OVの信号がHレベルになり、パワーNMOSトランジスターQCをオンさせ、充電電流が流れる。
【0105】上記充電電流が継続した状態に於て、もし、過充電状態となると過充電検出回路からの信号はLレベルとなってグランドレベルシフト(後述する)をしてナンドゲートG10に入力され入力条件が満足しなくなり、その出力端子はHレベルの信号となり、端子COの信号がLレベルの信号になって、パワーNMOSトランジスターQCがオフし、充電電流は遮断される。
【0106】グランドレベルシフトについては図4及び図5によって説明する。このグランドレベルシフトとは、放電側グランド(電池のグランド端子VSSの電位)であるパワーNMOSトランジスターQDのソース電位と、充電側グランド(端子VMの電位)であるハイパワーNMOSトランジスターQCのソース端子の電位とをシフトして同一電位にするものである。そして、図5R>5は、前記説明した図3に示した全体回路図の内、パワーNMOSトランジスターQDとパワーNMOSトランジスターQCとを中心にした充放電回路であって、充電するパワーNMOSトランジスターQCと、放電するパワーNMOSトランジスターQDは夫々、端子VMの電位、端子VSSの電位に対して0Vにしないと完全にオフする事ができない。
【0107】この不都合を解決すべく充電ロジックに抵抗を設けて、所謂グランドレベルシフト機能を付加する。このグランドレベルシフトについて、図5を参照にして詳細に説明すると、図5は、前記説明した図3の充電ロジックのMOSトランジスターをQPとQNとし、抵抗Rで表したものである。
【0108】即ち、x点である端子VSSの電位がLレベルの信号の時に端子VMの電位が、端子VSSの電位と同電位であれば、MOSトランジスターQPがオンし、MOSトランジスターQNがオフすることによってOUT信号がHレベルとなり、何ら問題はない。しかし、もし抵抗Rを介在させない状態で端子VMの電位が低くなると(充電中は必ずこの状態となる)、MOSトランジスターQNもオンしてしまい、MOSトランジスターQPとMOSトランジスターQNが、共にオンとなってしまう、即ちショート状態となるので、OUT信号のHレベル状態が不確定状態のレベルとなり、更に、ショート電流がMOSトランジスターQPとMOSトランジスターQN間に流れるという不都合が生じる。
【0109】そこで、図5に示すように、MOSトランジスターQPとMOSトランジスターQNの間に抵抗Rを介在させることによって、MOSトランジスターQNがオンしても、y点がLレベルとなるだけであって、OUT信号のHレベル状態は確保される。この抵抗Rにはショート電流が流れることになるので、抵抗値は数Kオーム〜数Mオームにする必要がある。尚、このショート電流は充電時だけ流れる。又、x点がHレベルの時は、端子VMの電位が低くなっても、高くなってもOUT信号はLレベル(即ち端子VMの電位)となる。
【0110】(9)パワーダウンモード時における回路。
パワーダウンモードに入ると各コンパレーターの出力は切り放され、夫々必要な信号状態になっている。即ち、過充電検出出力の信号はLレベル、過放電検出出力の信号はHレベル、過電流検出出力の信号はLレベル、に維持され、適宜MOSトランジスター等を組み込んでパワーダウン信号により制御するようにできる。又、定電流回路のNMOSトランジスターQ13は、無負荷時における端子VMの電圧を0Vにする回路であり、パワーダウンモードの時は当然にオフされている。
【0111】そのほか、端子VDD、CPU、CPD、VSS、VMについている抵抗R10、R11、R12、R13、R22は保護用のものであり、基本的には抵抗による電位差は生じない。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように本発明のバッテリー保護回路は、以下のような効果を奏する。
(1)過放電状態から、再び充電開始の状態を二次電池の端子間に充電電圧が発生したことを検出して充電状態を保持する状態保持手段を備えたことによって、いわゆるパワーダウンモードから充電状態への復帰を容易に行うことができる。
【0113】(2)状態保持手段は、二次電池の電圧が過放電領域を脱出するまで、充電状態を保持することによって、確実にパワーダウンモードから復帰することができる。
【0114】(3)パワーダウンモードからの解除は、基準電圧を発生させた後、パワーダウンスイッチ手段を導通状態にすることによって、パワーダウンモードからの復帰を確実に行うことができる。
【0115】(4)パワーダウンスイッチ手段が非導通時であった場合に二次電池の電圧が略0Vの場合は、強制的に二次電池充電可能状態にする強制手段を備えたことによって、スイッチ手段を制御する電圧がなくてもパワーダウンモードから復帰することができる。
【0116】(5)いずれかの二次電池が過充電状態の場合は、パワーダウンスイッチ手段が非導通状態にならないようにするパワーダウン禁止手段を備えたことによって、過充電状態にある二次電池のいわゆるオーバーフロー電流を流すことができ、電池の寿命を長くすることができる。
【0117】(6)瞬間的に大電流が流れた場合には、パワーダウンモードにならないような防止手段を備えたことによって、コンデンサー負荷等の瞬間的に生じる大電流の発生や、瞬間的なショート状態が発生してもパワーダウンモードにならないので、一時的な外部変動に対しても安定してバッテリーの電圧を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバッテリー保護回路の全体ブロックダイヤグラム図である。
【図2】同、バッテリー放電特性をグラフで表した説明図である。
【図3】同、全体の回路図である。
【図4】同、パワーMOSトランジスターのグランド(GND)の様子を示した説明図である。
【図5】図8で示したグランド(GND)をシフトして同電位にする、所謂グランドレベルシフトの例をブロック図で示した説明図である。
【符号の説明】
1 バッテリー保護回路
2 検出部
3 制御部
4 復帰部
5 パワーダウンSW部
6 充放電スイッチ部
7 電池電圧検出部
8 過電流検出部
9 放電系制御ロジック部
10 放電SW制御部
11 GNDレベルシフト部
12 充電系制御ロジック部
13 充電SW制御部
14 パワーダウン制御部
15 起動回路充電検出部
16 放電カーブ
17 過放電電圧値
18 過放電領域
19 残存容量
20、21 放電方向
23 ヒューズ
28 起動部
Abat、Bbat 電池
COMP1〜COMP5 コンパレーター
C2 キャパシター
C3 平滑用キャパシター
D1、D2 寄生ダイオード
Eb+ プラス側端子
Eb− マイナス側端子
G2、G3,G8、G9、G11 ノアゲート
G1 アンドゲート
G4、G5、G6、G10 ナンドゲート
G7 オアゲート
PDSW1〜4 パワーダウンスイッチ
Q1〜Q15 MOSトランジスター
QC、QD パワーMOSトランジスター
CPU,VDD、VC、CPD、VSS、DO、OV、VM 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 二次電池と、該電池の電圧を検出すると共に、該検出電圧と基準電圧とを比較して上記二次電池の過放電状態又は過充電状態を検知する状態検知手段と、放電電流又は充電電流を遮断するための第一及び第二のスイッチ手段と、上記状態検知手段の検知結果に基づいて上記第一及び第二のスイッチ手段の導通及び非導通を制御する制御手段と、上記状態検知手段に供給する電源及び基準電圧源を遮断するためのパワーダウンスイッチ手段と、上記状態検知手段により過放電状態が検知された場合に上記パワーダウンスイッチ手段を非導通状態にするパワーダウン手段と、過放電状態から再び充電が開始された場合に上記パワーダウンスイッチ手段を非導通状態から導通状態に復帰させるパワーダウン解除手段とを備えたバッテリー保護回路において、上記過放電状態から、再び充電開始の状態を上記二次電池の端子間に充電電圧が発生したことにより検出し、検出された充電状態を保持する状態保持手段を備えたことを特徴とするバッテリー保護回路。
【請求項2】 上記状態保持手段は、上記二次電池の電圧が過放電領域を脱出するまで、上記充電状態を保持することを特徴とする請求項1記載のバッテリー保護回路。
【請求項3】 上記二次電池が複数直列につながれたバッテリー保護回路にあっては、上記パワーダウン手段は上記状態検知手段により少なくとも1つの上記二次電池の過放電状態が検知された場合に上記パワーダウンスイッチ手段を非導通状態にすることを特徴とする請求項2に記載のバッテリー保護回路。
【請求項4】 上記パワーダウン解除手段は、上記状態検知手段における基準電圧用パワーダウンスイッチ手段を先に導通状態にし、基準電圧の発生を検知してから他のパワーダウンスイッチ手段を導通状態にすることを特徴とする請求項2に記載のバッテリー保護回路。
【請求項5】 上記パワーダウンスイッチ手段が、非導通時であって、上記二次電池の電圧が略0Vの場合は、強制的に上記二次電池充電可能状態にする強制手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のバッテリー保護回路。
【請求項6】 いずれかの上記二次電池が過充電状態の場合は、上記パワーダウンスイッチ手段が非導通状態にならないようにするパワーダウン禁止手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のバッテリー保護回路。
【請求項7】 瞬間的に大電流が流れた場合には、該大電流を検出する過電流検出手段を設け、該過電流検出手段の検出信号に基づいて上記パワーダウンスイッチ手段が非導通状態にならないように、パワーダウン禁止手段を備えたことを特徴とする請求項1、3又は6に記載のバッテリー保護回路。
【請求項8】 複数の上記二次電池の電池バランスを取る手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のバッテリー保護回路。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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