説明

バブルリング発生装置

【課題】観賞用水槽内において横方向に浮遊するバブルリングを発生させ、観賞用の視覚効果ならびに癒し効果を高めると共に商業用水槽ディスプレイとして高い宣伝視覚効果が得られる気泡発生装置の提供を図る。
【解決手段】観賞用水槽内に設けられる圧力発生装置と、気泡発生装置から構成されるバブルリング発生装置であって、圧力発生装置は、ピストンの往復動による圧力発生機構と、流動圧発生室と、該流動圧発生室の壁面の一部に設けられる放出穴から成り、気泡発生装置は、気泡がカーテン状に放出される直線状の構造を有して成り、圧力発生装置から断続的に放出される流動水域が気泡発生装置のカーテン状に浮遊する直線状の気泡ゾーンを通過することによって横方向に移動するバブルリングを形成する手段を採った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽内においてバブルリング(リング状の泡)を横方向に放出させる気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気泡発生装置は、一般的には熱帯魚飼育用の酸素補給装置としてや水草鑑賞用アクアリウムの装飾アイテムとして利用され、商業的にはショーウインドウやインテリア家具などにおいて、気泡の大きさやタイミングを組み合わせたアートデザインを構成して使用されている。
【0003】
例えば、「観賞用水槽」(特許文献1参照)、「流水の鑑賞効果と空気清浄作用とを併せ持つディスプレイ」(特許文献2参照)、「水槽装飾システム」(特許文献3参照)、「観賞用水槽及び観賞用ディスプレイ装置」(特許文献4参照)、「ディスプレイ装置」(特許文献5参照)、及び「立泡ディスプレー」(特許文献6参照) などが提案され、その一部は実用化されている。
【0004】
また、気泡リングを発生させる提案としては、「リング気泡発生装置」(特許文献7参照)、「発泡装飾水槽」(特許文献8参照)、及び「液体中で気体の渦輪を発生させる装置」(特許文献9参照) などが提案され、公知技術となっている。
【0005】
しかしながら、上記の提案のいずれも発生する気泡または気泡リングが、浮力によって水槽を上昇する自然現象を利用したもので、水中で気泡が上昇することは誰でもが予想できるものであり、取り立て期待以上の印象を抱かせる視覚効果の高いディスプレイではなかった。
【0006】
一方、島根県浜田市の水族館「しまね海洋館アクアス」では、飼育員が吐き出す酸素ボンベの泡をシロイルカが口に含んでリング状に吐き出すイルカショー「幸せのバブルリング」や、米村でんじろう氏のダンボール箱の中に煙を閉じ込めて吐き出す「空気砲」のサイエンスショーが人気を集め、注目を浴びている。
【0007】
それらの人気を集めるシロイルカの愛らしい姿から吐き出されるリング状の泡の癒しを感じる水中パフォーマンスや、客席に煙のリングが視覚効果と音楽効果によって幻想的に漂う演出に本発明者は着目し、「幸せのバブルリンク」や「空気砲」の現象を観賞用の水槽や商業用の広告ディスプレイとして再現できないかとの発想から、水槽内で水圧発生装置と気泡発生装置を使って水槽内に流れを作り、流体内に生ずる速度差から生じる負圧を上手く気泡に作用させて横方向に放出されるバブルリングを人工的に発生させることに成功し、視覚的効果等が得られる理想的なバブルリングを発生させるための諸条件を実験から見出して本発明に至ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−33461号公報
【特許文献2】特開平9−197995号公報
【特許文献3】特開2002−291371号公報
【特許文献4】特開2004−563号公報
【特許文献5】登録実用新案登録第3018555号公報
【特許文献6】登録実用新案登録第3070887号公報
【特許文献7】特開平6−141733号公報
【特許文献8】特開2003−39896号公報
【特許文献9】特開2005−103456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、観賞用水槽内において横方向に放出されるバブルリングを発生させ、観賞時の視覚効果ならびに癒し効果を高めると共に商業用水槽ディスプレイとして高い宣伝視覚効果が得られる気泡発生装置の提供を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するためになされるもので、観賞用水槽内に設けられる圧力発生装置と、気泡発生装置から構成されるバブルリング発生装置であって、圧力発生装置は、ピストンの往復動による圧力発生機構と、流動圧発生室と、該流動圧発生室の壁面の一部に設けられる放出穴から成り、気泡発生装置は、気泡がカーテン状に放出される直線状の構造を有して成り、圧力発生装置から断続的に放出される流動水域が気泡発生装置のカーテン状に浮遊する直線状の気泡ゾーンを通過することによって横方向に移動するバブルリングを形成する手段を採るものである。
【0011】
また本発明は、前記圧力発生機構が、前記ピストンの駆動に電気的動力手段を用いて、これを電気的、機械的、又は電気的及び機械的に制御する手段を採ることもできる。
【0012】
また本発明は、前記放出穴の開口面に、角度調整機構を備える手段を採ることもできる。
【0013】
また本発明は、前記放出穴の口径を、任意に差し替えすることができる差し替え機構を具備する手段を採ることもできる。
【0014】
また本発明は、前記放出穴の数量を複数にする手段を採ることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバブルリング発生装置によれば、自然現象にない横方向にバブルリングを発生するので、癒し効果の観賞用の熱帯魚や水草観賞用アクアリウムの装飾アイテムとして、或いは商業的装飾ディスプレイとして利用できる優れた効果を奏する。
【0016】
また本発明のバブルリング発生装置によれば、バブルリングの放出方向、大きさ、数量、タイミングなどを多彩に組み合わせることによって従来にない視覚的鑑賞効果が得られる優れた効果を奏することも可能となる。
【0017】
また本発明のバブルリング発生装置によれば、構造が極めて簡単であることから製造コストが低廉であり、設置スペースも小さいという優れた効果を奏する。
【0018】
また本発明のバブルリング発生装置によれば、放出穴部の形状を魚や岩礁穴、船舶模型などから発生するようなレイアウトを施すことによって、ファンタジックな視覚癒し効果が得られる優れた効果を奏する。
【0019】
また本発明のバブルリング発生装置によれば、水槽内に流れをつくるため、藻の発生を抑制する効果があり、さらに、水槽内全体の水の酸素濃度を一定にする効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るバブルリング発生装置の全体を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明に係るバブルリング発生装置の構造を示す断面説明図である。
【図3】本発明に係るバブルリングの発生状態説明図である。
【図4】本発明に係るバブルリングの発生状態説明図である。
【図5】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略正面方向)である。
【図6】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略正面方向)である。
【図7】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略正面方向)である。
【図8】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略正面方向)である。
【図9】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略正面方向)である。
【図10】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略正面方向)である。
【図11】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略正面方向)である。
【図12】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略横方向)である。
【図13】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略横方向)である。
【図14】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略横方向)である。
【図15】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略横方向)である。
【図16】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略横方向)である。
【図17】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略横方向)である。
【図18】本発明に係るバブルリング発生状況図(写真:略横方向)である。
【図19】本発明に係るバブルリング発生装置の第三の実施形態を示す説明図である。
【図20】本発明に係るバブルリング発生装置の第四の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るバブルリング発生装置10は、圧力発生装置20から断続的に放出される流動水域Eが、気泡発生装置30のカーテン状に浮遊する直線状の気泡ゾーンTを通過することによって、横方向に移動するバブルリングBを形成する手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、図面を基に説明する。
【0022】
尚、以下に示す実施例は、あくまでも例示であり、本発明に係るバブルリング発生装置10の寸法、形状、材質、動力性能、設置状況などは、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で変更することができるものとする。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明に係るバブルリング発生装置10の全体を示す模式的斜視図であり、図2は、本発明に係るバブルリング発生装置10の構造を示す断面説明図である。本発明に係るバブルリング発生装置10は、観賞用水槽40内に設けられる圧力発生装置20と、気泡発生装置30から構成されるバブルリング発生装置10であって、圧力発生装置20は、ピストンの往復動による圧力発生機構21と、流動圧発生室22と、該流動圧発生室22の壁面23の一部に設けられる放出穴24から成り、気泡発生装置30は、放出される気泡Kがカーテン状に放出される直線状の構造を有して成り、圧力発生装置20から断続的に発生する流動水域Eが気泡発生装置30のカーテン状に浮遊する気泡ゾーンTを通過することによって横方向に移動するバブルリングBを形成するものである。
【0024】
圧力発生装置20は、ピストンの往復動による圧力発生機構21と、該圧力発生機構21を密閉状態で摺動可能に内設する流動圧発生室22と、該流動圧発生室22の壁面23の一部に設けられる放出穴24から構成される。素材は特に限定されるものではないが、水槽40内の観賞性の妨げとならないような色彩のもの又は透明なものが望ましい。透明とする場合はアクリル樹脂が加工し易い。特に、ポリメタクリル酸エステル樹脂は高い透明性と耐衝撃性があり、熱可塑形成や着色が容易であり、本発明に係る圧力発生装置20の素材に望ましい。
【0025】
圧力発生機構21は、流動圧発生室22内の貯留水Rを押し込んで圧力を発生させる所謂ピストンであり、圧力発生機構21は、流動圧発生室22に内設され、流動圧発生室22を構成する壁面23と密閉状態で往復摺動する。該ピストンの駆動は手動でも可能であるが、請求項2に係るバブルリング発生装置10では、前記圧力発生機構21の動力手段として、電磁ソレノイドバルブやアクチェーター(Actuator)等を用いて、これを電気的、機械的、又は電気的及び機械的に制御し、一定間隔に放出させたり、ランダムに放出させる構成を採用している。
【0026】
流動圧発生室22は、前記ピストンの往復動によって圧縮される筒状の空間であって、周囲を壁面23で覆い、流動水域Eを放出する方向の壁面23に放出穴24が設けられる構造を有する。
【0027】
放出穴24は、流動圧発生室22の放出される方向の壁面23に円形に穿設される。
【0028】
気泡発生装置30は、一般的な、熱帯魚用の酸素補給装置等と同様の構造であって、棒状の気泡排出管に微細な複数の空気排出孔が設けられ、外部のエアーコンプレッサー装置等から供給された空気を、該空気排出孔からカーテン状に気泡Kを放出する。
【0029】
観賞用水槽40は、周壁が透明のガラスまたは樹脂製等の板材で形成され、熱帯魚や水草が飼育される等のアクアリウムである。
【0030】
図3は、本発明に係るバブルリング発生状態説明図である。
(1)圧力発生機構21によって形成された流動水域Eが、放出穴24から放出される(水槽内位置L0)。
(2)放出された流動水域Eは、放出流動速度V1の勢いで横方向に移動する(水槽内位置L1)。放出流動速度V1は、流量Q1/開口断面積A1で求められ、流量Q2は、圧力発生機構21のピストン断面積A2×ストロークで算出される。
(3)そして、流動水域Eが横方向に移動して気泡発生装置30のカーテン状の気泡帯Tを通過する(水槽内位置L2)。
(4)圧力発生機構21によって形成された流動水域Eが放出穴24から一定の流動速度V1を伴って放出されると、水槽40の静水域Dと、移動する流動水域Eとの境界に速度差が生じ、該速度差から生じる負圧によって(ベルヌーイの定理)、該負圧水域に気泡Kが引き寄せられて合体し、バブルリングBとなるものである。
(5)バブルリングBは、流動速度V1が次第に弱ることによって比重差によりやや上昇しながら形状を徐々に崩し(水槽内位置L3〜L6)、水槽40壁面にぶつかり気泡Kは拡散してバブルリングBは消滅する。
【0031】
つぎに、実験を行った本発明に係るバブルリング発生装置10の寸法並びに設定条件を、以下例示する。
圧力発生装置20の圧力発生機構21に用いたピストンの断面積A2は2850mm(95mm×30mm)、ピストンのストロークは5mm・10mm・15mmの3段階、放出穴口径φは直径20mm・26mm・35mmの3種類とし(開口穴断面積A1は円周率×放出穴24の直径の二乗/4)、放出穴24から気泡発生装置30までの距離L(L0〜L2の距離)は60mm・110mm・160mm・210mm・260mmと変化させた。放出穴24付近の流動速度V1は低速・中速・高速の3段階について行った。実験平均値でいうと、それぞれ269mm/秒(低速)・537mm/秒(中速)・806mm/秒(高速)である。また、流動速度V1の低速・中速・高速に対応するピストンスピードV2は、それぞれ46.5mm/秒・93.1mm/秒・139.66mm/である(表1から表2参照)。
【0032】
また、圧力発生装置20から排出される流量Q2は、流動水域Eを形成する流量Q1と等しいので、Q1=A1×V1、Q2=A2×V2、Q1=Q2である。なお、表の中の◎・○・△・▼・×の記号は、視認確認により視覚的に評価したものであり、バブルリングBの形状について、◎は理想的、○は概ね良好といえる範囲のもの、△は途中で崩れ十分とはいえないもの、▼は形状は理想的であるが速すぎて視認し難いもの、×は形にならなかったものである。
【0033】
【表1】

【0034】
表1は、流量QとピストンスピードV2とをそれぞれ変化させた場合のバブルリングBの形成状態結果である。一回に吐き出される流量Qが同一流量であれば、ピストンスピードV2を速くし、これに応じて流動速度V1を速くするのが好ましいことがわかる。また、流動速度V1を同一速度で流量Qを変化させた場合、即ち、一回に吐き出される流動水域Eの体積流量を変化させた場合は、ピストンのストロークを15mmまで増加させると、10mm以下と比べてバブルリングBの形成状態が悪くなる。
【0035】
【表2】

【0036】
表2は、流量Qと放出穴口径φを変化させた場合のバブルリングBの形成状態結果である。一回に吐き出される流量Qが同一流量であれば、放出穴24の口径φを小さくし、これに応じて流動速度V1を速くするのが好ましいことがわかる。
【0037】
【表3】

【0038】
表3は、流量Qと放出穴24から気泡発生装置30までの距離L(L0〜L2の距離)とをそれぞれ変化させた場合のバブルリングBの形成状態結果である。距離Lについては110mm以上を確保すれば、バブルリングBの形成状態に与える影響は少ないことがわかる。
【0039】
【表4】

【0040】
表4は、流動速度V1と放出穴口径φとをそれぞれ変化させた場合のバブルリングBの形成状態結果である。ここでも流動速度V1が速い方がバブルリングBの形成に良いことがわかる。
【0041】
【表5】

【0042】
表5は、流動速度V1と放出穴24から気泡発生装置30までの距離L(L0〜L2の距離)とをそれぞれ変化させた場合のバブルリングBの形成状態結果である。中速以上であれば良好なバブルリングBを形成するが、流動速度V1があまり早すぎると視認し難く、特に横方向からはバブルリングBの放出状態が確認し難くなる。
【0043】
【表6】

【0044】
表6は、放出穴口径φと放出穴24から気泡発生装置30までの距離L(L0〜L2の距離)とをそれぞれ変化させた場合のバブルリングBの形成状態結果である。放出穴口径φ35mmまで増加させると、26mm以下と比べてバブルリングBの形成状態が悪くなる。
【0045】
上記実験より、実施例1における良好なバブルリングBの形成条件としては、放出穴口径φが20mmから26mmにおいて、流動速度V1が537mm/秒から806mm/秒となるようにピストンスピードV2を与え、放出穴24から気泡発生装置30までの距離L(L0〜L2の距離)が110mm以上であって、少なくとも260mmの範囲内となるようにすればよい。
【0046】
図5から図11は、本発明に係るバブルリング発生状況を略正面方向から撮影した写真であり、図12から図18は、本発明に係るバブルリング発生状況を略横方向から撮影した写真である。係る写真は、バブルリングBの形成状態を参考資料として示したものであり、放出穴口径φが26mm、流動速度V1が537mm/秒、放出穴24から気泡発生装置30までの距離Lが110mmで、ピストンのストロークを10mmとしたものである。図5及び図12は、流動水域Eが水槽40内に発生していない状態。図6及び図13は、流動水域Eの先端付近が気泡ゾーンTに差し掛かった辺り(L2付近)。図7から図9及び図14から図18は、バルブリングBの移動状態を示している。そして、図10及び図11は、バルブリングBが水槽40の壁面にぶつかり消滅する所を示している。
【実施例2】
【0047】
つぎに、本発明に係る第二の実施形態を説明する。
請求項2に係るバブルリング発生装置10では、前記圧力発生機構21の動力手段として、電磁ソレノイドバルブやアクチェーター等を用いて、これを電気的、機械的、又は電気的及び機械的に制御し、一定間隔に放出させたり、ランダムに放出させる構成を採用している。
【0048】
具体的には、例えば、圧力発生機構21の動力手段に、ステッピングモータにより任意速度制御やストローク制御を可能としている伝導アクチュエータを用いて、ピストンスピード及びピストンストロークを自動制御したり、直流モータのPWM制御(Pulse Width Modulation)や、電磁ソレノイドを歯車機構等による減速機を用いてピストンスピードを制御したりするなどして、理想的なバブルリングBを形成できる流動速度V1を得る。また、同時に、放出間隔等をプログラミング制御して水槽40内の装飾効果を高める構成とするのが望ましい。
【実施例3】
【0049】
図19は、本発明に係る第三の実施形態を示す説明図である。
請求項3に係るバブルリング発生装置10では、放出穴24の開口面24aが、任意の放出方向に調整できる角度調整機能41を有していることによって、バブルリングBの放出方向を変化させることができる構造となっている。
【0050】
角度調整機構41には、例えば、放出穴24が穿設されたリング状またはノズル状部材の外筒側壁を球面にして、その曲率を、流動圧発生室22の壁面23の一部に設けられる該リング状またはノズル状部材を嵌装させるための内壁と一致させて任意の角度に調整でき、調整後の角度を保持できる程度の嵌め合い関係となるように備える。または、該ノズル状部材の壁面23付近に、曲げた状態を保持できる蛇腹を設けるなどの構造も考え得る。
【実施例4】
【0051】
請求項4に係るバブルリング発生装置10では、放出穴24の開口面24aの口径を差し替え式のプレートで形成することで、任意の口径の放出穴24によって自在に交換可能となる構造を採用する。
【0052】
また、差し替え式でなく、回転プレートに大きさの異なる放出穴24を複数設け、該回転プレートを回転させて任意の口径の放出穴24を選択できるようにするのも有効である。この場合、例えば、該回転プレートをサーボモータやステッピングモーター等で回転制御し、さらに、前記アクチュエータ等と同時に制御すれば、放出穴口径φに応じて流量Qやピストンスピードを調整できるので、異なる大きさでも其々理想的な形状のバブルリングBを創出可能となる。
【実施例5】
【0053】
図20は、本発明に係る第五の実施形態を示す説明図である。
請求項5に係るバブルリング発生装置10では、放出穴24の数量が、複数である構成を採用している。図面上では、縦方向の上下二か所に放出穴口径φの異なる放出穴24を設けた例を示しているが、これは例示であって、例えば、並行するように複数並べたりしてもよい。
【0054】
ただし、放出穴24同士の距離が近いと、相互の負圧の影響を受けて乱れてしまうので理想的な形状のバブルリングBを創出し難くなる。したがって、係る構成を採用する場合は、放出穴24間距離を十分にとるか、あるいは、前記制御等により、交互に放出する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係るバブルリング発生装置は、観賞用の水槽装飾装置として従来にない視覚効果が得られるもので商業目的の宣伝効果ならびに視覚的ディスプレイ効果を有する鑑賞装置としても広くその利用可能性が期待できるもので、本発明に係るバブルリング発生装置の産業上の利用可能性は極めて高いものと解する。
【符号の説明】
【0056】
10 バブルリング発生装置
20 圧力発生装置
21 圧力発生機構
22 流動発生室
23 壁面
24 放出穴
24a 開口面
30 気泡発生装置
40 水槽
41 角度調整機構
A1 開口穴断面積
A2 ピストン断面積
φ 放出穴口径
B バブルリング
K 気泡
T 気泡ゾーン
D 静水域
E 流動水域
R 貯留水
V1 流動速度
V2 ピストン速度
Q 流量
L 放出穴・気泡発生装置間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観賞用水槽内に設けられる圧力発生装置と、気泡発生装置から構成されるバブルリング発生装置であって、
前記圧力発生装置は、ピストンの往復動による圧力発生機構と、流動圧発生室と、該流動圧発生室の壁面の一部に設けられる放出穴から成り、
前記気泡発生装置は、気泡がカーテン状に放出される直線状の構造を有して成り、
前記圧力発生装置から断続的に放出される流動水域が前記気泡発生装置のカーテン状に浮遊する直線状の気泡ゾーンを通過することによって横方向に移動するバブルリングを形成することを特徴とするバブルリング発生装置。
【請求項2】
前記圧力発生機構が、前記ピストンの駆動に電気的動力手段を用い、該電気的動力手段を電気的、機械的、又は電気的及び機械的に制御することを特徴とする請求項1記載のバブルリング発生装置。
【請求項3】
前記放出穴の開口面に、角度調整機構を備えたことを特徴とする請求項1記載または請求項2記載のバブルリング発生装置。
【請求項4】
前記放出穴の口径が、差し替え機構により任意の径に差し替えできることを特徴とする請求項1記載から請求項3の何れかに記載のバブルリング発生装置。
【請求項5】
前記放出穴の数量が、複数であることを特徴とする請求項1記載から請求項4の何れかに記載のバブルリング発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図19】
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【図20】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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