説明

バリア層を有する層状構造、このような層状構造を有する衣料品、及びこのような層状構造の製造

特に衣料(50,70)、例えば手袋又は頭の被り物を製造するための層状構造(1)が、第1層(10)と、少なくともバリア層(20)を含む第2層(20,22)と、バリア層(20)と第1層(10)との間に結合を生み出すための、バリア層と第1層との間に部分的に配置された結合体(30)とを少なくとも含んでいる。結合体(30)は、第1層及び第2層(10,20)のうちの少なくとも一方に力作用領域(A1)内で作用する、第1層と第2層(10,20)との間の力(F)が、力作用領域(A1)よりも大きい領域(A2)上に塑性流動によって分配されるように、少なくとも1つの低粘度構成要素(32)を含んでいる。より具体的には、結合体(30)は、25℃で、ダルキスト基準による3×105Pa以下の剪断弾性率を有するように構成された少なくとも1つの構成要素(32)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に衣料を製造するための層状構造であって、第1層と、少なくともバリア層を含む第2層とを少なくとも備え、バリア層と第1層との間に結合を生み出すために、バリア層と第1層との間に配置された結合体を備える、特に衣料を製造するための層状構造に関する。本発明はさらに、このような層状構造を含む衣料品、具体的には手袋に関する。本発明はまた、このような層状構造を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防水衣料品、具体的には防水手袋の製造は従来技術において既に種々様々に記載されている。これが達成される1つの方法は、例えば防水ライニング、又は防水インナ手袋、又は手袋のアウタ材料内に挿入された内側部分を用いることである。一般には、防水ではあるものの水蒸気透過性である、すなわち呼吸可能なインナ材料を使用することにより、付加的な着心地を保証する。このような防水インナ材料は一般に、バリア層、機能層、又は機能材料とも呼ばれる。これは例えばバリア層単独から、又はバリア層と少なくとも1つの布地層とを含む多層ラミネートから製作することができる。皮膚上の着心地を高めるために、手袋の内部は一般に、ライニングで覆われており、或いは、ラミネートの内側布地層がこのようなライニング材料から成っている。
【0003】
典型的には、容易且つ経済的に製造するために、このような内側部分は、バリア材料又はラミネートから成る2つの同一の平らな接合片から形成されている。これらの接合片は、周縁部に沿って防水状態で1つに結合されている。こうして得られた内側部分は手の二次元形状を有しており、手の寸法に所定の大きさが加えられている。
【0004】
このような防水性及び水蒸気透過性の機能層を備えた手袋の製造は、例えば米国特許第5442818号明細書に記載されている。これを参照すると、触知性の手袋を得るために、バリア層は手袋の外側材料に一様に、しかし半透過性に接着される。しかし、バリア層が外側材料に一様に接着されている事実は、手袋部分のある種の剛性の原因となる。
【0005】
米国特許出願公開第2006/0156451号明細書に記載された手袋の製造の場合、スリップ防止テープと呼ばれる滑り止め物質が、外側材料層と内側部分の層との間に部分的に挟まれており、この場合これらの層は互いに接着されていない。にもかかわらず、手袋の使用時に層に法線力(例えば着用している時に発生する圧力)が加わり、そしてこれが滑り止め物質に作用すると、層間スリップが阻止される。手袋を着用したときの層間の粘着摩擦が結果として増大することにより、層間スリップが防止される。この場合の利点は、手袋の柔軟性が増大すること、又は手袋の剛性が著しく低減されることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、良好な触知性及び層間固定に加えて比較的高い柔軟性が著しい、特に衣料及び衣料品のための上述のタイプの層状構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1及び2の特徴による層状構造を提供する。本発明はさらに、請求項19及び20の特徴による手袋を提供する。本発明は加えて、請求項28の特徴による衣料品を提供する。本発明はさらに、請求項32の特徴による層状構造の製造方法を提供する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、特に衣料を製造するための層状構造であって、第1層と、少なくともバリア層を含む第2層とを少なくとも備え、そして、バリア層と第1層との間に結合を生み出すために、バリア層と第1層との間に部分的に配置された結合体を備える、特に衣料を製造するための層状構造を提供する。結合体は、第1層及び第2層のうちの少なくとも一方に力作用領域内で作用する、第1層と第2層との間の力、具体的には剪断力が、力作用領域よりも大きい領域上に塑性流動によって分配されるように、少なくとも1つの低粘度構成要素を含んでいる。
【0009】
本発明の更なる態様によれば、本発明は、特に衣料を製造するための層状構造であって、第1層と、少なくともバリア層を含む第2層とを少なくとも備え、そして、バリア層と第1層との間に結合を生み出すために、バリア層と第1層との間に部分的に配置された結合体を備える、特に衣料を製造するための層状構造を提供する。結合体は、25℃で、ダルキスト(Dahlquist)基準による基本的には3×105Pa以下の剪断弾性率を有するように構成された少なくとも1つの構成要素を含んでいる。
【0010】
1つの実施態様の場合、この少なくとも1つの構成要素は、105Pa以下の剪断弾性率を有している。
【0011】
比較的低い剪断弾性率を有する結合体のこのような低粘度構成要素は、第1層と第2層とを長期間持続可能に結合することを可能にする。それというのも、層状構造の第1層とバリア層との間に使用中に生じる力が、接着端縁から離れて、より大きい領域に分配されるからである。具体的には、これらの層を良好に固定するのに十分な層間の凝集保持を形成することが、結合体の低粘度構成要素の1つの性質である。同時に、低粘度構成要素は使用中に生じる歪みを塑性流動によって吸収し、ひいては接着端縁におけるバリア層に対する損傷(これにより、例えば接着端縁からバリア層が裂断する結果、バリア層機能をもはや保証することはできない)を防止するという性質を有する。結合体を部分的に設けることも、一様な接着と比較して層状構造の剛性を低減する。より具体的には、結合体の粘弾性は、変形のために必要とされる力が、付着したバリア層の破壊力を下回るように選ばれる。
【0012】
ここでの「部分的」という用語は、結合体が第1層及び/又は第2層の表面領域全体を覆うのでないことを意味するものと理解されるべきである。結合体は、第1層及び/又は第2層の表面上の所定の場所だけに配置されている。
【0013】
本発明の一実施態様の場合、結合体は、少なくとも1つの構成要素に加えて、更なる構成要素を含んでおり、この更なる構成要素は、少なくとも1つの構成要素とは異なる接着特性を有している。このことは、より具体的に下で説明するように、衣料品の製造を単純にすることを可能にする。より具体的には、少なくとも製造工程中には接着効果があるとしても僅かしか有していない更なる構成要素は、例えば、アウタ手袋の層をバリア層上で滑らせるときにアウタ手袋を裏返す必要がないように、製造工程中に低粘度構成要素をその接着特性に関して最初は非活性化するために使用することができる。衣料品の製造中に低粘度構成要素を非活性化することは、アウタ手袋がバリア層上で滑らされるときにアウタ手袋がバリア層に接着する又はくっつくことがないことを保証する。
【0014】
それぞれの構成要素の接着特性は、初期粘着力において特に明らかである。粘着力は、極めて短い時間の接触後、接着剤塗布済材料が支持体から取り外されるのに必要な力である。より低い剪断弾性率を有する、より軟質の感圧型接着剤は、支持体をより速く湿らせ、そしてより高い粘着力を有する。逆に、剪断弾性率がより高い感圧型接着剤の粘着力は低い。本発明の一実施態様によれば、更なる構成要素の粘着力は、低粘度構成要素よりも低い。又は換言すれば、本発明の一実施態様による更なる構成要素の剪断弾性率は、低粘度構成要素よりも高い(具体的には、ダルキスト(Dahlquist)基準による3×105Paを上回る剪断弾性率を有している)。
【0015】
本発明の1つの発展形では、少なくとも1つの構成要素及び更なる構成要素の接着特性は、異なる活性化エネルギーを加えることによって活性化可能である。例えば、更なる構成要素は、圧力及び/又は熱によって活性化できるのに対して、低粘度構成要素は圧力で活性化可能である。この文脈における「活性化可能」とは、低粘度構成要素の接着効果が活性化されることを意味するものと理解されるべきである一方、更なる構成要素に関しては2つの意味が可能である。第1の点では、更なる構成要素は、その稠度を変え、例えば第1層内及び/又は結合体の低粘度構成要素内に浸透するように活性化される。この意味では、低粘度構成要素はその凝集効果に関して、他方の側の方向でも第1層にあからさまに作用する。第2の点では、更なる構成要素の活性化は、第1層に対するこの構成要素の接着効果を活性化する。結果として、低粘度構成要素はバリア層の側に対する接着作用を有するのに対して、更なる構成要素は第1層の側に対する接着作用を有する。
【0016】
結合体の低粘度構成要素は、例えば感圧型接着剤である。感圧型接着剤構成要素は例えばアクリレート接着剤を含んでよい。
【0017】
更なる実施態様の場合、更なる構成要素は熱活性可能であり、具体的には熱活性化可能なホットメルト接着剤構成要素を含んでおり、結合体の、バリア層から離隔した側に塗着されている。更なる構成要素は、最も広い意味で、活性化エネルギーで活性化可能な液体、粉末、膜、構造物を含む物質を構成していてよい。例えば更なる構成要素は、ホットメルト接着剤又はワックスを含むか、或いはホットメルト接着剤又はワックスであり、粉末状、膜状、及び/又は液状のような種々の形態で塗着されていてよい。
【0018】
一実施態様の場合、バリア層は、第1層に面する、第2層の外層を形成している。特にこの場合、低粘度構成要素はバリア層に直接に塗着されている。
【0019】
バリア層とは、少なくともこの層における空気通過に対して、理想的には更なるガス、例えば化学有毒ガスに対してもバリアを形成する膜又は塗膜を意味するものと理解されるべきである。バリア層は水蒸気透過性ではあるが、しかし空気不透過性及び/又は気体不透過性である。バリア層は、その空気透過度が25L/m2未満であるとき、特定の実施態様では空気透過度が5L/m2未満であるときに空気不透過性と呼ばれる(EN ISO 237,1995)。
【0020】
更なる実施態様の場合、バリア層は加えて、水の通過に対して、理想的には更なる液体に対しても少なくとも1つのバリア機能を含んでいる。バリア層は、少なくとも0.13barの圧力の水の通過を防止するときに液体不透過性と呼ばれる(ISO 811)。
【0021】
バリア層は一実施態様において、水蒸気透過性であり且つ空気不透過性である少なくとも1つの膜を含んでいる。更なる実施態様の場合、膜はまた液体不透過性でもあり、少なくとも水不透過性である。
【0022】
本発明に適した水不透過性且つ水蒸気透過性の柔軟性膜が、米国特許第3,953,566号明細書に記載されている。前記明細書には多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料が記述されている。延伸多孔質PTFE材料は、相互接続された節及び線維から成る特徴的なマイクロ構造を有している。膜の水不透過性は、延伸PTFE材料に疎水性且つ/又は疎油性の塗膜材料が塗布されていると改善することができる。
【0023】
水不透過性且つ水蒸気透過性の膜は、微孔質材料、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、微孔質ポリウレタン又はポリエステル、又は親水性モノリシックポリマー、例えばポリウレタンから構築されることも可能である。
【0024】
防水性及び水蒸気透過性のバリア層に適した材料は特に、米国特許第4,725,481号明細書及び同第4,493,870号明細書に記載されているようなポリウレタン、ポリプロピレン、及びポリエステル(ポリエーテルエステル及びそのラミネートを含む)である。しかしながら、例えば米国特許第3,953,566号明細書及び同第4,187,390号明細書に記載されているような延伸微孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、及び親水性含浸剤及び/又は親水性層を備えた延伸ポリテトラフルオロエチレンが特に好ましい。例えば米国特許第4,194,041号明細書を参照されたい。微孔質バリア層の平均孔径は約0.2μm〜約0.3μmである。
【0025】
孔径は、フロリダ州ハイアリース(Hialeath)在、クールター・エレクトロニクス(株)(Coulter Electronics, Inc.)のクールター・ポロメータ(Coulter Porometer (商標))を使用して測定することができる。
【0026】
バリア層は、水蒸気透過度数Retが150m2×Pa×W-1未満であるときに水蒸気透過性であると考えられる。水蒸気透過度は、ホーエンシュタイン(Hohenstein)スキンモデルに従って試験する。この試験方法は、DIN EN 31092(02/94)又はISO 1092(1993)に記載されている。
【0027】
本発明の層状構造は、手袋の製造に特に有用である。層状構造の有利な特性はこの事例において特に有用である。なぜならば、例えばアウタ手袋とインナ手袋との間の、部分的な層固定に起因して剛性がそれでもなお低い、バリア層の膜材料に対する良好な層固定が、高い触知性を有する防水手袋を提供するために特に有利であるからである。
【0028】
例えば、第1層は手袋の外層を形成し、そして第2層は手袋のインナ・ライニングを形成している。他方において、第1層が手袋のインナ・ライニング層を形成し、そして第2層が手袋の外層を形成することも可能である。さらに別の実施態様では、第1層及び第2層がそれぞれ、手袋のインナ・ライニング部分であることも可能である。
【0029】
一実施態様の場合、第1層は、具体的には皮革から成る外層を形成しており、そして第2層は手袋のインナ・ライニングを形成している。更なる実施態様の場合、第2層、並びにバリア層はインナ・ライニング層を含み、そしてバリア層はインナ・ライニング層に、一般にはその表面領域全体を介して、水蒸気透過性(不連続)の状態で、外層から離隔した側で結合されている。
【0030】
本発明の手袋の更なる発展形において、手袋は、指領域及び親指領域を含んでおり、そして結合体が、少なくとも指領域及び/又は親指領域内に、具体的には1つ又は2つ以上の指先の領域及び/又は親指の先の領域内に配置されている。
【0031】
更なる態様によれば、図面を参照しながらさらに詳細に説明するように、手袋の少なくとも1つの更なる領域内で、第1層と第2層との間に、滑り止め物質が配置されることができる。結合体は、さらに手部位領域、具体的には指関節領域内に配置され、具体的にはストリップの形態で形成されることができる。
【0032】
例えば、結合体は、少なくとも指領域及び親指領域内で、手袋上の曲げ線に対して横方向に帯状に配置される。結合体は、手袋全体にわたって不連続に分配されることができ、具体的には、手袋内側領域又は手袋外側領域の半分未満の面積を占めることができる。
【0033】
手袋に関連して上述した実施態様はまた、いかなる衣料品、例えば頭の被り物、靴、パンツ、又は上着にも概ね適用可能である。
【0034】
より具体的には、第2層は、バリア層に加えて、更なる層、例えばインナ・ライニングを含んでよく、この場合バリア層は更なる層に、基本的には一様に、しかし水蒸気透過性の状態で接着されている。この場合、第1層は例えば衣料品の外層であり、更なる層は衣料品の内層の層部分である。
【0035】
衣料品が頭の被り物として形成されている実施態様の場合、結合体は、頭の被り物の頂上領域内にドット状に配置されている。しかしながら、固定度を改善するために、頭の被り物の周囲に沿って2つ又は3つ以上の帯状片の形状で、具体的には頭の被り物の平面図で見て周囲に沿って星形に、結合体が分配されることも可能である。他の更なる固定形態も同様に可能である。
【0036】
本発明の更なる態様の場合、層状構造の製造方法、具体的には衣料品の製造方法であって、第1層と、少なくともバリア層を含む第2層とを用意し、そして、−25℃で、ダルキスト(Dahlquist)基準による3×105Pa以下の剪断弾性率を有するように構成された第1構成要素を結合体の第1の側に、そして結合体の第1の側とは反対側の第2の側に第2構成要素を少なくとも含む結合体を用意する段階を含む。更なる段階において、結合体をその第1の側で第2層に部分的に塗着し、そして第1構成要素が結合体の第1の側で第2層との結合を形成するように、少なくとも1つの第1活性化エネルギーを加える。更なる段階において、結合体が第1層と第2層との間に配置された状態で、第1層と第2層とをこれらのそれぞれの端部位置で1つにまとめる。更なる段階において、第1構成要素が結合体の第2の側で第1層との結合を形成するように、第2構成要素が第1層内及び/又は結合体内に浸透するために、結合体の第2の側に少なくとも1つの第2活性化エネルギーを加える。或いは、第2構成要素が第1層との結合を形成するように、結合体の第2の側に少なくとも第2の活性化エネルギーを加えることもできる。
【0037】
第1層と第2層とがより容易に1つにまとめられるように、第2活性化エネルギーを加える前に、第2構成要素は、結合体の第2の側における第1構成要素の凝集効果を排除又は少なくとも低減することが具体的に考えられる。
【0038】
例えば、第1構成要素は感圧型接着剤構成要素であり、そして第1活性化エネルギーを加える段階は、感圧型接着剤構成要素が結合体の第1の側で第2の層との結合を結合するように、結合体に圧力を加えることを伴う。
【0039】
更なる実施態様の場合、第2構成要素は感熱性構成要素、具体的には熱活性化可能なホットメルト接着剤構成要素であり、そして少なくとも1つの第2活性化エネルギーを加えることは、感熱性構成要素に熱(例えば圧力と組み合わせる)を加えることを伴う。
【0040】
例えばホットメルト接着剤の形態の第2構成要素は、第2活性化エネルギーを加える前には、少なくとも部分的に粉末状、膜状、及び/又は液状の形態を成して、結合体の第2の側に配置されている。第2構成要素が活性化されると、ホットメルト接着剤は低粘度構成要素内及び/又はホットメルト接着剤内に浸透するか、又はその稠度が低下するので、これらの層が1つにまとめられると、低粘度構成要素はまた第1層との結合を形成する。従って、第1層を含むアウタ手袋を裏返すという厄介な作業は、もはや必要ではない。
【0041】
本発明の更なる発展形及び改良形は従属請求項に示されている。
【0042】
図面と併せて実施態様を参照しながら、以下に本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の実施態様による層状構造を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1の層状構造を、層間の力の影響下にある状態で示す概略断面図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示した層間に配設された結合体の実施態様を示す概略断面図である。
【図4】図4は、図3の結合体を部分的に含むインナ手袋の実施態様を示す概略平面図である。
【図5】図5は、バリア層を含む本発明の層状構造の層の実施態様を示す概略断面図である。
【図6】図6は、バリア層を含む本発明の層状構造の層の更なる実施態様を示す概略断面図である。
【図7】図7は、本発明による層状構造の2つの層間に配設された結合体の作用の機能及び様式を示すそれぞれの概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施態様による製造工程における種々の製造段階を示すいくつかの概略図である。
【図9】図9は、本発明の一実施態様による手袋の製造時の複数の製造段階に関する概略図である。
【図10】図10は、本発明によるインナ手袋の更なる実施態様を示す概略平面図である。
【図11】図11は、本発明によるインナ手袋の更なる実施態様を示す複数の概略平面図である。
【図12】図12は、本発明の層状構造を含む頭の被り物の実施態様を示す概略的な平面図及び側面図である。
【図13】図13は、結合体中に付加構成要素を使用しない製造工程(図13のA)、及び付加的な結合体を使用する製造工程(図13のB)を示す図である。
【図14】図14は、異なる大きさの柔軟性を有する例示的層配列の実施態様を示す図である。
【図15】図15は、手袋における戦略的に好ましい位置に接着剤を塗着することによって「フレックス・ゾーン」を形成することができることを示す図である。
【図16】図16は、バリア層から外層を引き剥がそうという試みが為される層配列の一例を示す図である。
【図17】図17は、結合体の例示的実施態様のクリープ能力を試験するための試験装置を示す図である。
【図18】図18は、図17を参照しながら説明した原理に従った試験方法の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、例えば手袋の形態を成す衣料品を製造する上で有用な、本発明の実施態様による層状構造を示す概略断面図である。この実施態様における層状構造1は、第1層10と第2層とを含んでおり、第2層は、少なくともバリア層20を含むか、又はバリア層20によって形成されている。この場合、第2層は、膜の形態(例えばePTFE膜)又は膜を備えた多層ラミネートの形態を成すバリア層20としてだけ示されている。バリア層は、性能要件及び意図された用途に応じて、少なくとも1つの更なる層、例えば布地層に、一様又は部分的に結合することができる。従って、第2層はバリア層20だけを含むか、又は2つ又は3つ以上の層から成る層状複合体を含んでよく、これらの2つ又は3つ以上の層のうちの1つがバリア層20を形成し、これらの層のうちの別の1つは例えば、バリア層の裏側に位置する布地層である。第1層10は、例えば皮革片の形態又は布地層の形態を成す外層を含んでいてよい。第1層10は、単一の層を備えた層として形成することができ、或いは多層状の層として形成することもできる。第1層はワンピース型又はマルチピース型であることが可能である。例えば外層10は、手袋の外層又はアウタ材料を形成するのに対して、例えばインナ布地層を任意選択的に備えたバリア層20は、手袋のインナ材料又はライニングを形成する。
【0045】
バリア層20は、特に空気不透過性及び水蒸気透過性の膜を含むか、又はこのような空気不透過性及び水蒸気透過性の膜を形成する。更なる実施態様の場合、空気不透過性及び水蒸気透過性の膜は同様に防水である。
【0046】
バリア層20を提供することは、層状構造1のためのより幅広い保護機能を達成することを可能にし、その結果層状構造は、その水蒸気透過性によって、それでもなお良好な着心地を有する例えば防水衣料を得るために使用され得る。
【0047】
第1層10とバリア層との間には、ただしバリア層20と第1層10との間に部分的にのみ、すなわち第1層10及びバリア層20上に一様でない状態で、結合体30が配置されている。
【0048】
この文脈における「一様に配置」とは、具体的には、結合体が表面領域全体又はほぼ表面領域全体にわたって配置されていることを意味すると理解されるべきである。このことは例えば、結合体(水蒸気透過性であってよい)が、表面領域全体又はほぼ表面領域全体にわたって連続的又は層状に配置されていることを意味することができる。別の実施態様によれば、このことは、結合体が表面領域全体又はほぼ表面領域全体にわたって、(例えば比較的小さなドットで)不連続的(水蒸気透過性)に、しかし基本的には均等に且つ目の詰んだメッシュ状に分配されていることを意味する。このような不連続的な接着は、その接着力に関しては、その平らで目の詰んだメッシュ状の構造に基づいて、連続的な層状の接着と基本的には同等であるが、在来型の接着剤を使用した場合でも或る程度の水蒸気透過性を保証する接着剤のない隙間を有している。
【0049】
しかしながら、「部分的に」とは、この文脈では、結合体が表面上の集中した離散点にだけ配置されていることを意味するものとして理解されるべきである。このことは逆に、具体的には比較的広い他の表面の凝集領域が、結合体によって覆われていないことを意味する。結合体は、例えば方形として、ドット(比較的大きいドット)として、又は何らかの他の形状を成して塗着されるので、結合体は第1層及び/又は第2層の表面領域を一様に覆うことはない。結合体は、第1層及び/又は第2層の表面領域上の或る特定の、特に戦略的な場所にだけ配置される。例えば、結合体は、表面領域全体の半分未満を被覆することがある。
【0050】
例えば部分接着の場合、結合体は、不連続的に接着剤が塗着されている上記一様な接着と比較して、表面領域全体にわたって不均一に分配される。部分的に塗着される結合体は、戦略的な場所に局所的、連続的、又は例えば小さなドット状又は網状のように離散的に分配され得る。後者の場合、結合体は、戦略的な場所に離散分布を成して配置されて、それぞれの局所的な塊を形成することができる。例えば、2つ又は3つ以上のドットが一緒になった状態で、ドット状の塊又は他の種類の塊の形態を成して戦略的な接着場所を形成することが可能である。
【0051】
部分的な接着の場合、結合体は、表面領域全体にわたってほぼ均等に分配されていてもよい。接着場所又は接着塊は、不連続的に接着剤が塗着されている一様な接着結合と比較して、互いに基本的にはより遠い距離にあり、結合体で覆われていない比較的広い凝集領域を形成し、そして一般には、比較的大きい寸法、例えば円形又はドット状の配置の場合には接着場所又は接着塊1つ当たりの直径が2ミリメートル以上、又は縞状又は方形状の配置の場合には、接着場所又は接着塊1つ当たりの長さ及び/又は幅が2ミリメートル以上を有する。
【0052】
結合体30は、具体的にはバリア層20と第1層10とを互いに部分的に接着するために、層状構造の部分的な場所で、バリア層20と第1層10との間に結合を生み出すのに役立つ。結合体30は低粘度構成要素を含んでおり、この低粘度構成要素は、図3に示す第一実施態様の場合には、低粘度接着剤構成要素32として具体化されており、そしてバリア層20に面している。この低粘度接着剤32は、長時間持続可能な結合を達成するのを可能にする。それというのも、層状構造1の第1層10とバリア層20との間に使用中に生じる力が、接着端縁から離れて、より大きい領域にわたって分配されるからである。具体的には、固定された層の相互結合を維持するのに十分な凝集保持を形成することが、低粘度接着剤構成要素32の1つの性質である。同時に、接着剤32は使用中に生じる歪みを、塑性流動によって吸収する性質、及び従って接着端縁における破壊を防止するという性質を有する。
【0053】
図2は一例として、例えば手袋を着用している途中に、どのように力F(剪断力F)がバリア層20と層10とに作用するかを示している。例えば、手袋の中に差し入れられた手の指が個々の場所でバリア層を捕らえる、ということが生じるかもしれず、この場合には、力Fがバリア層20に作用し、そしてバリア層20を層10から離反させる。
【0054】
図7は、バリア層20から層10を引き剥がそうという試みが為される同等の事例を示す図である。図7のAによれば、層10とバリア層20とが、結合体30を介して互いに結合、具体的には接着されている。図7のBによって示されているように、層10に作用する力Fは、層10がバリア層20から部分的に引き剥がされた状態にする。しかし、結合体30は、力Fが層10上に生み出す歪みを塑性流動によって吸収する性質、及び従って接着端縁における損傷を防止するという性質を有する。この場合、例えば手袋の中に差し入れられた手によって加えられた歪みの結果として生じ得るように、力Fは、比較的小さな力作用領域A1上で層10に作用する。しかしながら、低粘度接着剤32は、力作用領域A1を介して層10に作用する層10とバリア層20との間の力Fが、接着剤32の塑性流動によって、力作用領域Aよりも大きい領域A2に分配されるという性質を有している。このように、例えばバリア層20の破断又は接着剤の剥離のような損傷が回避される。加えて、塑性変形はエネルギーを吸収し、バリア層上の歪みを低減する。
【0055】
図16において、バリア層20から層10を引き剥がそうという試みが為される層配列の別の例が示される。図16は、この過程をより写実的に示しており、結合体が、剥離力が層10上に形成する歪みを塑性流動(クリープ)によって吸収する性質、及び従って接着端縁における損傷を防止するという性質を有することが判る。[クリープは、弾性限界未満の応力を長時間加えた結果として生じる永久変形として定義される(ASTM D2990)。クリープは、負荷の規模、負荷が加えられる時間、及び温度によって影響を及ぼされる。]しかしながら、低粘度接着剤32は、層10とバリア層20との間の剥離力が、接着剤32の塑性流動によって、剥離力の力作用領域よりも大きい領域にわたって分配されるという性質を有している。
【0056】
対照的に、高粘度接着剤を使用した場合には、層間に生じる力は接着端縁に直接的な力の導入をもたらし、その結果、バリア層20の損傷、又はより正確に言えばバリア層20の破断、又は特に層10をバリア層20に部分的にのみ付着させた場合には、接着剤の剥離を招く。これとは対照的に、一様な接着の場合には、これらの力はより大きい領域にわたって分配され、ひいては最小化される。しかしながら、バリア層20に対する層10の一様な接着は、層状構造の剛性をかなり増大させ、手袋の付け心地を低下させてしまう。
【0057】
本発明によれば、従って部分的なだけの接着が、層状構造の剛性を顕著に低減する。しかしながら他方において、部分的なだけの層接着で結合された層間に低粘度接着剤を使用すると、長時間持続可能な結合が形成され、また例えば使用中のバリア層の破断のような損傷が防止される。これにより、特に柔軟性及び高い触知性を有する手袋を製造することが可能になる。
【0058】
上記性質を得るために、結合部材の低粘度構成要素は、25℃で、ダルキスト(Dahlquist)基準による3×105Pa以下の剪断弾性率を有している。一実施態様の場合、低粘度構成要素の剪断弾性率は105Pa以下である。このような剪断弾性率に反映された物質の1つの性質は、固定された層の相互結合を維持するのに十分な凝集強度である。同時に、前記物質は使用中の歪みに起因して生じた力のスパイクを、塑性流動を介して及び変形による空洞形成を介して吸収するという性質をも有している。一実施態様では、低粘度構成要素は接着剤として具体化することができ、そして特定の使用時、及び特に層間に生じる剪断力に応答して付随する歪みの時に、目標温度範囲内で衣料品の層を長時間にわたって互いに結合するのに十分な凝集強度を保証する。同時に、使用される接着剤は、特定の用途に相応する発生力に応答して発生温度範囲内で、主として剪断力の結果として層間に生じる歪みを吸収することができる。これを目的として、接着剤は低剪断弾性率の効力として、塑性流動の特性を有しており、これにより一方又は両方の層上の、歪みによって誘発された力が吸収され、そしてこれらの力はより大きい領域に移される。その結果、バリア層に対する損傷及び層の剥離を長時間にわたって回避することができる。ダルキスト(Dahlquist)基準によれば、具体的には、3×105Pa以下の剪断弾性率を有する材料が、上記特定の性質を有している。
【0059】
剪断弾性率を決定する試験方法は、下記構成要素及び周囲の影響を含む:
機器:TAインスツルメントARES LS−2、モデル#4X517212(TA Instruments, New Castle, Delaware, www.tainstruments.com)
方法:接着剤層から8mmの円板を打ち抜く。ゲルバンド(Gerband)接着剤に対しては、帯状片又はテープから接着剤を取り出すことにより、補強要素からの汚染を防止した。
平行板
直径=8.00mm
動的温度ランプ
頻度=10.0 rad/s
初期温度=25℃
最終温度=−100.0℃
ランプ速度=5.0℃/min
歪み=0.1%
自動張力調節=オン
モード=一定静的力の印加
自動張力方向=圧縮
初期静的力=1.0g
自動張力感度=10.0g
サンプル弾性率<=1.00e+06Paの場合
自動歪み=オン
最大印加張力=20.0%
最大許容モーメント=1000.0g・cm
最小許容モーメント=1.0g・cm
歪み調節=現在の歪みの20.0%
【0060】
特に、低剪断弾性率の下記接着剤は、結合体の低粘度構成要素として有用である(表1):
【表1】

【0061】
従って、本発明の一実施態様は、感圧型接着剤構成要素(図3の結合体30内の構成要素32)を利用することができる。この構成要素はバリア層20と層10との間に結合を生み出すのに寄与する。例えばこのためには感圧型接着剤材料が有用である。より具体的には、感圧型接着剤構成要素はアクリレート接着剤を含む。
【0062】
図4は、インナ手袋51の実施態様を示す概略平面図である。インナ手袋51はバリア層20を含んでおり、図9を参照しながらより詳細に説明する手袋の部分を形成している。手袋(図4には示されていない)を製造するために、例えば皮革から成る外層又はアウタ手袋が、図示のインナ手袋に被せられる。
【0063】
図5は、バリア層20を備えた一例としてのインナ・ライニングを概略的に断面図で示している。バリア層20は、2つの布地層22及び24の間に埋め込まれ、そしてこれらの布地層に結合されることにより、多層ラミネートを形成している。一方の布地層22はインナ・ライナー層を形成しており、そして他方の布地層24は、特にバリア層が膜である場合に、バリア層のための保護層を形成する。
【0064】
図6は、バリア層20を備えた一例としてのインナ・ライニングの更なる実施態様を概略的に断面図で示している。ここでは、バリア層20はラミネートの一部であり、水蒸気透過性の状態で布地層22に結合、例えば接着されている。布地層22は、手袋のインナ・ライナー層を形成しており、そして任意選択的に付加的な断熱材を備えているか、又はこれに結合されている。
【0065】
しかし別の実施態様の場合、第1層10がインナ・ライニング層を形成し、そして第2層がバリア層20と合体することにより、手袋のための外層を形成する。この場合、バリア層20は内側で層10に結合される。第2層は、図5又は図6に示す構造を有していてよい。バリア層20に例えば一様に接着された布地層又は皮革層22が、手袋のアウタ材料を形成することができる。
【0066】
別の実施態様によれば、第1層と、バリア層20及び任意選択的に少なくとも1つの布地層22と合体した第2層とは、手袋のインナ・ライニングのそれぞれの部分である。
【0067】
図4に概略的に示されているように、インナ手袋51は指領域52及び親指領域54を含んでいる。結合体30は、少なくとも指領域52及び/又は親指領域54内に、具体的には1つ以上の指先の領域及び/又は親指の先の領域内に配置されている。このことは、インナ・ライニングが外層10内にバリア層20と共に十分に固定され、それと同時に手袋の触知性が良好であり、その剛性が実質的に低減されるような手袋を製造するのを可能にする。特定の計画された用途にとって決定的な更なる場所も、外層10がインナ・ライニングのバリア層20に結合されるように、使用シナリオに応じて本発明による結合体30を同様に備えることもできる。
【0068】
図4に示された別の実施態様において、手袋の指先だけが結合体30を有するように仕上げられており、但し他の領域は、外層10とバリア層20を備えたインナ・ライニングとの間に配置された滑り止め物質40を有している。滑り止め物質は、例えば層のうちの一方に接着又は他の形で結合されている。このような滑り止め物質は例えば、米国特許出願公開第2006/0156451号明細書に記載されている組成物及び性質を有している。滑り止め物質は、2つの互いに隣接する層を互いに接着するのではなく、層が互いに押し合わされたとき(例えば手袋が着用されているときに層のうちの一方に法線力が加えられる過程中)に、基本的には2つの層間の粘着摩擦力だけを高める。滑り止め物質が外層10とバリア層20との間に配置されていると、手袋の着用中のこれらの層間の相対運動をこれにより制御することができる。このことは手袋の触知性を高める。より具体的には、米国特許出願公開第2006/0156451号明細書の表1〜表5に記載されている材料を、この目的に使用することができる。つまるところ、図4に従って例えば手表面領域56内に滑り止め物質から成る帯状片40を備えたインナ手袋51を有する手袋は、著しく低減された剛性と相俟って良好な触知性を有することができる。
【0069】
図8を参照しながら、層状構造1の製造工程を以下に説明する。特に手袋50を製造するためにこの工程をどのように用いることができるかは、図9との関連において説明される。
【0070】
結合体が設けられた層状構造の処理において、結合体の低粘度構成要素32が、それに塗着された更なる構成要素34であって、図3の断面図及び図8のAの斜視図に概略的に示されているような更なる構成要素34を有することが有利である。図8のAによれば、低粘度構成要素32は感圧型接着剤(PSA)として具体化されており、そして結合体30の第1の側301に配置されているのに対して、更なる構成要素34はホットメルト接着剤(HMA)として、結合体30の、第1の側301とは反対側の第2の側302に塗着されている。
【0071】
低粘度構成要素32は、図1〜6に関連して上述したような稠度及び特性を有している。図8のBに示されているように、結合体30はその第1の側301で、バリア層20上に部分的に塗着される。バリア層は、例えばePTFE膜又はePTFE膜を備えた多層ラミネートを含んでいてよい。バリア層の更に可能な実施態様については以下により詳細に説明する。この例では、結合体30の低粘度接着剤32が膜20に直接に塗着される。これを目的として、接着剤32が結合体30の第1の側301で膜20との結合を形成するように、少なくとも1つの第1活性化エネルギーが加えられる。感圧型接着剤32が使用される場合、前記接着剤32が膜20に接着されるように、具体的には圧力91が接着剤32に加えられる。
【0072】
ホットメルト接着剤34の形態を成す、結合体の第2構成要素は、それが結合体30の第2の側302における低粘度接着剤32の接着効果を最初は排除するか又は少なくとも低減する(接着効果が妨げられる)ように、具体化されている。このことは、層10と、結合体30が既に塗着されているバリア層20とを比較的容易に1つにまとめることを可能にする。換言すれば、低粘度接着剤に塗着された第2構成要素は、単純化された処理を可能にするとともに、例えばアウタ手袋の形態を成す層10がバリア層20に被されるときに、低粘度接着剤32が層10に不適切な位置で付着するのを阻止する。
【0073】
この第2の構成要素は種々の方法で(例えば層状形態で)塗着されることが可能であり、そして種々の材料、例えばホットメルト接着剤又はワックスを含むことができる。さらに、構成要素34は種々の形態を有することができる。例えば第2構成要素34は、少なくとも部分的に粉末状、膜状、及び/又は液状の形態を成して、結合体の第2の側302に配置されている。微細な顆粒状粉末を使用して、これを低粘度接着剤32の粘着面に薄く塗着することが好ましい。このことは、結合体30の第2の側302における低粘度接着剤32の接着効果を最初は排除するか又は少なくとも著しく低減させる。従って第2の側302を通り過ぎる層が、結合体にとらわれることもなく、又は結合体に接着されたままになることもない。
【0074】
このように、第2構成要素34は犠牲的構成要素又は加工助剤と見なすことができる。それというのも、これは上記手袋を製造する上での補助となるが、上記層間の最終的な結合に実質的には関与しないからである。
【0075】
図8のCに示した後続の製造段階において、間に挟まれた結合体30がバリア層20に接着された状態で、層10とバリア層20とが互いに対するそれぞれの最終位置にもたらされる。次いで、結合体30の第2の側302に、少なくとも1つの第2活性化エネルギーが加えられる。第2構成要素34として熱活性化可能なホットメルト接着剤が使用される場合には、結合体30上に熱及び圧力92が加えられる。熱92は、ホットメルト接着剤34を活性化する上で効果的である。結果として、ホットメルト接着剤34は第1層10内及び/又は結合体30内、すなわち低粘度接着剤32内に浸透するので、低粘度接着剤32は、結合体30の第2の側302上で層10との結合も形成する。換言すれば、第2構成要素34は、この場合、層10が、バリア層20と1つにまとめられ、そして第2構成要素34の活性化(熱及び圧力を加える)後に低粘度接着剤32に接着されるための加工助剤である。
【0076】
より具体的には、層10がバリア層20に結合されるように、適切な活性化が加工助剤の稠度を(ホットメルト接着剤が液化する点で)変化させる。このために使用される粉末は好ましくは、溶融温度の低いホットメルト接着剤である。加熱は粉末の粘度を低下させ、次いで粉末が層10内に浸透し、及び/又は低粘度接着剤32によって部分的に取り込まれる。接着剤接合において圧力を採用することは、低粘度接着剤32を層10内に浸透させるのに役立つ。活性化後には、低粘度接着剤32だけが接着結合にまだ作用的に関与する。
【0077】
低粘度接着剤32のような接着剤を一時的に非粘着性にするための可能な加工助剤は表2の通りである:
【表2】

【0078】
別の実施態様では、層10内に浸透する代わりに、層10との結合を形成する構成要素34を活用することができる。従って、適切なホットメルト接着膜が使用される場合には、ホットメルト接着膜のこの実施態様が層10との結合を形成するように、結合体30の第2の側302に圧力及び熱92が加えられる。この場合には、低粘度接着剤32は側301だけでバリア層20と結合する。
【0079】
図9は、手袋50の製造工程の一例を示している。バリア層20は、使用時に手に面するインナ・ライニング層22と合体することにより、手袋のためのインナ・ライニング(例えば図4のインナ手袋の形態を成すインナ手袋51)を形成するのに対して、層10は手袋のための外層(アウタ手袋)を形成する。インナ手袋は最初、手型200(或いは人間の手をインナ手袋内に差し入れることもできる)に被せられる。結合体30はバリア層20に部分的な場所で塗着されている。この工程段階は、例えば、粉末状のホットメルト接着剤34を結合体30の低粘度接着剤32に塗着して、低粘度接着剤32の粘着性を断つ(封じ込める)ために用いることができる。ホットメルト接着剤34がまだ活性化されていないので、アウタ手袋は、インナ手袋上を容易に滑ることができ、この場合アウタ手袋は不所望の場所でインナ手袋に接着するようになることはない。不便で多くの時間を費やす、アウタ手袋を裏返すという作業は必要とならない。アウタ手袋とインナ手袋とが互いに対するそれぞれの最終的な位置に配置されたら、ホットメルト接着剤34を活性化するために、加熱装置(例えばホットプレス)210を使用することができ、結合体30が配置されている場所でアウタ手袋にインナ手袋を接着することができる。次いで、このように製造された手袋50を手型200から取り外すことができる。
【0080】
図10及び11は、種々の用途のためのインナ手袋の考えられ得る種々の実施態様を示している。各事例における目的は、具体的に意図された用途において考えられ得る最良の性質を有する手袋を提供することである。このことを目的として、使用中の層の相互の滑りが最小限に抑えられるように、結合体30は戦術的に好ましい場所に塗着される。接着結合は、剛性を加えないように最小限に抑えられることが模索される。
【0081】
例えば、人差し指領域、中指領域、及び指関節領域のそれぞれには、帯状の結合体30を配置することができるのに対して、他の指及び親指の指先領域はドット状にのみ接着される。別の実施態様では、人差し指領域内には、横方向に配置された帯状の結合体30が設けられているのに対して、他の指及び親指の指先領域はドット状にのみ接着される。指又は親指の曲げ線に対して平行な、指及び/又は親指領域における横方向の配列は、曲げ剛性に対して好ましい効果を有する。さらに別の実施態様では、横方向及び/又は長手方向に延びる帯状の結合体30が親指及び/又は掌領域内に設けられているのに対して、他の指及び親指の指先領域はドット状にのみ接着される。
【0082】
別の実施態様の場合、結合体30は、指領域及び親指領域内で、手袋の曲げ線62に対して横方向に帯状に配置されている。具体的には、図示された例示的曲げ線62で、対応する指が曲げられる。固定要素のこのような配列は、柔軟性を高めることができる。
【0083】
別の手袋では、結合体30は、結合体30が占める面積が手袋インナ領域又は手袋アウタ領域の半分未満であるように、比較的大きいドットの形態を成して、不連続的に手袋全体にわたって分配されている。このような配列は、大きい分離間隔及び小さな接着面積と相俟って、良好な触知性を伴う、挿入されたパッドの究極の感触を得るのを可能にする。
【0084】
図10のインナ手袋51は、所定の性質を達成するために、及びバリア層を備えたインナ手袋のアウタ手袋に対する滑りを防止するために、結合体30の種々の幾何学的な実施態様がどのように組み合わされ得るかを例示している。
【0085】
本発明は、膜の指先に補強要素を取り付け、この補強要素と一緒に指先をアウタ手袋に縫いつけることにより固定する、という手間を省くことを可能にする。その代わりに、図11のA及び11のBに示すように、膜の指先は、比較的大きいドットの形態で塗着された結合体によって、アウタ手袋に結合することができ、この場合、アウタ手袋を裏返し位置にした状態で、膜の補強要素をアウタ手袋に縫いつける必要はない。このような補強要素は、膜の側にホットメルト接着剤を備えた布テープとしてしばしば具体化されるが、しかしこれらの布テープは、両面接着テープとして使用されるのではなく、アウタ手袋に対する縫合取付けのために、ひいてはアウタ手袋に縫いつけることにより膜を固定するために役立つにすぎない。
【0086】
本発明は、他の衣料品並びに手袋の製造に有用である。本発明に従って用意することができる衣料品の一例としては、頭の被り物、例えば縁なし及び縁つきの帽子、及びパンツ、ジャケット、ベスト、コート及び履物が挙げられる。
【0087】
頭の被り物を処理する通常の方法は、バリア層を備えたインナ・ライニングを外層に縫い付けること、そして他方ではインナ・ライナーに縫い付けることにある。やはりこの場合にも、このために補強要素を使用しなければならない。ここで本発明は、バリア層とインナ・ライナーとを備えたラミネートから成るインナ・ライニングを、本発明の結合体によって外層に結合する実施態様を提供する。
【0088】
図12は、本発明の層状構造を含む頭の被り物の実施態様を示す概略的な平面図及び側面図である。縁なし帽の形態を成す頭の被り物70は外層71を含んでいる。インナ・バリア層(見えない)が、外層71に対して最小限の固定が達成されるように頭の被り物70の頂上領域82内で結合体30によってドット状に固定されている。
【0089】
更なる実施態様の場合、結合体30は、頭の被り物の周囲に沿う複数の帯状片の形で分配されており、具体的には頭の被り物の平面図で見て周囲に沿う星形のパターンの形で分配されている。
【0090】
別の実施態様の場合、更なる層又は更なる材料、例えば発泡材料又は断熱材が、低粘度構成要素と結合体の更なる構成要素との間に一体的に組み込まれている。このことは、更なる材料がスペーサとして働くため、把持したときの暖かさ又は断熱の感触を高める。把持時には、更なる材料は圧縮されるので手袋の触知性を損なわない。
【0091】
図13に示された下記試験は、手袋の製造における粉末加工助剤の価値を実証するために行われた。図13において、上記の加工助剤(付加構成要素34)を使用しない製造工程(図13のA)、及び加工助剤(付加構成要素34)を使用する製造工程(図13のB)が示されている。
【0092】
図13のAによれば、外層10(例えば掌のための皮革、手の甲のための布地を含む)と、インナ手袋51(図5,6及び9を参照)を形成するバリア層20及びインナ布地ライナー22とを含む手袋を製造するとき、第1段階において、ライナー22は接着剤を使用してバリア層20に結合される。外層10(アウタ手袋)の内部空間内にインナ手袋51を固定するために、例えば接着テープの形態で適用される上記のような接着剤30が、インナ手袋51の外側に置かれる。例えば、次にインナ手袋51は作業者の手に被せられ、次いで外層10がインナ手袋51に被せられる。このことを、上記接着剤30を使用して試行すると、接着剤30の粘着性の問題として、インナ手袋51が外層10の内部空間内に挿入可能である前に、インナ手袋51は接着剤30で外層10にくっついてしまう。従って、作業は極めて難しく、この発明に由来する接着剤の粘着性に起因して不成功に終わる場合がある。
【0093】
他方において、図13のBは、上述のような付加構成要素34を使用する別の製造工程を示している。具体的には、非活性化された接着剤を形成するために、感圧型接着剤30は、付加構成要素34、この例ではホットメルト粉末で被覆される。インナ手袋51が作業者の手に被せられる。今や、外層10に面した側に位置する接着剤30の粘着性が低減されているので、インナ手袋51は外層10の内側に容易に配置され得る。インナ手袋51上の非活性化された接着剤はもはや外層10にはくっつかない。従って、インナ手袋51は、外層10にくっつくことなしに、外層10内に挿入可能である。外層10の内部空間内にインナ手袋51を挿入した後、ホットメルト粉末34を「非活性化する」ために、熱及び圧力が用いられてよい。内側及び/又は外側から熱及び圧力を用いることにより、ホットメルト粉末34は溶融し、そして外層10内に浸透するか、或いは、感圧型接着剤30の粘度が増大することにより、感圧型接着剤30は粉末34に浸透する。これは両方の現象の複合メカニズムであり得る。結果として、接着剤30はいまや外層10の内側に結合する。
【0094】
図14及び15は、それぞれの層配列が(接着剤の配列に応じて)異なる量の柔軟性を有する、本発明の様相による層配列の例示的実施態様を示す図である。図14のAに示された層配列の場合、バリア層20は、この例では皮革の形態を成す外層10に、バリア層20と皮革層10との間の連続する領域全体にわたって塗着された接着剤30によって結合されている。他方において、図14のBに示された層配列の場合、バリア層20は、バリア層20と皮革層10との間の連続領域全体にわたっては塗着されていない接着剤30によって外層10に結合されている。それどころか、手袋の屈曲帯域64内、例えば指又は親指がそこで曲げられる任意の曲げ線であり得る指又は親指の曲げ線63の領域内、例えば指先又は掌と指との間の領域内では、手袋の柔軟性を高めるために接着剤は塗着されない。
【0095】
図15に示されているように、図14のBの層配列の剛性は、図14のAの層配列の剛性と比較して、著しく低減されている(図15の右側に示されている)。図15の結果を得るために、試験方法及び装置を下記のように用いた:
装置:
100グラムのビーム、400グラムの較正おもり、40グラムの較正おもり、1000グラムのビームを有するASTM D6828に基づくスイングアルバートハンドル−O−メーター(Thwing Albert Handle-O-Meter)。
試験片:
1. 試験片サイズ:切断指示書に指定された通り10.16cm×10.16cm(4”×4”)
2. 1サンプル当たりの試験片:3つの縦糸及び3つの横糸をカット
状態調節:試験片を試験前に21.1±1.1°C(70±2°F)、65±2%RHで状態調節。
【0096】
図17は、接着剤30が例示的サンプル手袋のバリア層20と外層10との間に塗着されたときに、接着剤構成要素32の「T」剥離試験を用いて、本特許明細書に記載された望ましいクリープ能力を試験するための試験装置を示している。クリープ試験装置は、20℃/65%湿度の実験室条件下で使用された。衣料品からカットされた試験片を使用した。この場合試験片は、図17の右側の図に示されているように、試験片のほぼ半分で1つに結合された2つの層を含んでいる。具体的には、結合された領域、すなわち接着剤30で塗着されたサンプルの領域の長さ及び幅はそれぞれ10mmである。試験のために使用される試験片又はサンプルは、手袋又は衣料品、例えば図9に示す手袋50からカットすることができる。
【0097】
図17のAに示されているように、一方の層(この例ではバリア層20)が、クランプで静置フレーム上に固定される。他方の層(この例では外層10)には、おもり(この例では300g)が固定される。おもりは、ピーク力を回避するためにゆっくりと取り付けられた。結果として、おもりは定義された力を層配列の結合領域に加える。その結果、層のうちの一方がそれぞれ他方の層から剥離される。図17のAには、接着剤構成要素32の塑性流動(クリープ)によって、おもりの剥離力が層配列上に形成する歪みが、層表面のより大きい領域にわたって分配されていることが概略的に示されている。時間の経過に伴って、また層配列内に使用される接着剤のタイプにも依存するが、図17のBに示されているように、試験開始から、図示のように層が互いに分離して互いに離反する方向に動くにつれて塑性流動(クリープ)の糸が裂断又は破断しながら層が完全に分離するまで、層が互いに分離するのに伴って塑性流動(クリープ)の場所が移動する。
【0098】
図17を参照しながら説明した原理による試験方法の結果が、上記表1においても挙げられたような種々異なるタイプの接着剤に関して、図18の表に示されている。
【0099】
これに加えて、図18は、ポリオレフィンを基剤とするホットメルトの接着剤ペカ(Peka)23877の挙動が、表に挙げた他のタイプのような挙動を含まないことを示している。それどころか、この接着剤は、表に挙げた他の接着剤のような塑性流動能力を有さないため、1つの支持体から急速に剥離するか、又は支持体を損傷する。
【0100】
図18によれば、破壊までの時間(秒)が、それぞれ使用される接着剤タイプ及びその剪断弾性率に関して記される。
【0101】
本発明による結合体の一実施態様の場合、破壊までの時間は5秒〜24時間である。
【0102】
本発明による結合体の別の実施態様の場合、破壊までの時間は10秒〜10時間である。
【0103】
本発明による結合体の別の実施態様の場合、破壊までの時間は20秒〜5時間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に衣料(50,70)を製造するための層状構造(1)であって、
第1層(10)と、少なくともバリア層(20)を含む第2層(20,22)とを少なくとも備え、
前記バリア層(20)と前記第1層(10)との間に結合を生み出すために、前記バリア層と前記第1層との間に部分的に配置された結合体(30)を備え、
前記結合体(30)は、前記第1層及び第2層(10,20)のうちの少なくとも一方に力作用領域(A1)内で作用する、前記第1層と第2層(10,20)との間の力(F)が、前記力作用領域(A1)よりも大きい領域(A2)上に塑性流動によって分配されるように、少なくとも1つの低粘度構成要素(32)を含んでいる、層状構造(1)。
【請求項2】
特に衣料(50,70)を製造するための層状構造(1)であって、
第1層(10)と、少なくともバリア層(20)を含む第2層(20,22)とを少なくとも備え、
前記バリア層(20)と前記第1層(10)との間に結合を生み出すために、前記バリア層と前記第1層との間に部分的に配置された結合体(30)を備え、
前記結合体(30)は、25℃で、ダルキスト基準による3×105Pa以下の剪断弾性率を有するように構成された少なくとも1つの構成要素(32)を含んでいる、層状構造(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構成要素(32)は、25℃で、105Pa以下の剪断弾性率を有するように構成されている、請求項2に記載の層状構造(1)。
【請求項4】
前記結合体(30)は、前記少なくとも1つの構成要素(32)に加えて、更なる構成要素(34)を含んでおり、前記更なる構成要素(34)は、前記少なくとも1つの構成要素(32)とは異なる接着特性を有している、請求項1から3までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項5】
前記結合体(30)は、前記少なくとも1つの構成要素(32)に加えて、更なる構成要素(34)を含んでおり、前記少なくとも1つの構成要素(32)の接着特性及び前記更なる構成要素(34)の接着特性は、異なる活性化エネルギーを加えることによって活性化可能である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項6】
前記結合体(30)の前記少なくとも1つの構成要素(32)が、感圧型接着剤構成要素である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項7】
前記感圧型接着剤構成要素(32)がアクリレート接着剤を含む、請求項6に記載の層状構造。
【請求項8】
前記結合体(30)が、熱活性化可能な更なる構成要素(34)、具体的には結合体(30)の、前記バリア層(20)から離隔した側に塗着された熱活性化可能なホットメルト接着剤構成要素を含んでいる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項9】
前記結合体(30)の前記少なくとも1つの構成要素(32)が、感圧型接着剤構成要素であり、前記結合体(30)は、熱活性化可能なホットメルト接着剤構成要素である更なる構成要素(34)を含んでいる、請求項1から8までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構成要素(32)が前記バリア層(20)との結合を形成しており、前記結合体(30)は、前記少なくとも1つの構成要素(32)に加えて更なる構成要素(34)を含んでおり、前記更なる構成要素(34)は前記第1層(10)との結合を形成している、請求項1から9までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項11】
前記少なくとも1つの構成要素(32)が前記バリア層(20)及び前記第1層(10)との結合を形成しており、前記結合体(30)は、前記少なくとも1つの構成要素(32)に加えて更なる構成要素(34)を含んでおり、前記更なる構成要素(34)は、前記少なくとも1つの構成要素(32)及び/又は第1層(10)内に浸透している、請求項1から9までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項12】
前記更なる構成要素(34)がホットメルト接着剤又はワックスを含む、請求項10又は11に記載の層状構造。
【請求項13】
前記バリア層(20)が、前記第1層(10)に面する、前記第2層の外層を形成している、請求項1から12までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項14】
前記少なくとも1つのバリア層(20)が水蒸気透過性である、請求項1から13までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項15】
前記バリア層(20)が気体不透過性である、請求項14に記載の層状構造。
【請求項16】
前記バリア層(20)が空気不透過性である、請求項14に記載の層状構造。
【請求項17】
前記バリア層(20)が液体不透過性である、請求項14に記載の層状構造。
【請求項18】
前記バリア層(20)が、液体不透過性及び空気不透過性及び水蒸気透過性の膜を含む、請求項1から17までのいずれか1項に記載の層状構造。
【請求項19】
第1層(10)と、少なくともバリア層(20)を含む第2層(20,22)とを少なくとも備え、
前記バリア層(20)と前記第1層(10)との間に結合を生み出すために、前記バリア層と前記第1層との間に部分的に配置された結合体(30)を備える、手袋(50)であって、
前記結合体(30)は、前記第1層及び第2層(10,20)のうちの少なくとも一方に力作用領域(A1)内で作用する、前記第1層と前記第2層(10,20)との間の力が、前記力作用領域(A1)よりも大きい領域(A2)上に塑性流動によって分配されるように、少なくとも1つの低粘度構成要素(32)を含んでいる、手袋(50)。
【請求項20】
第1層(10)と、少なくともバリア層(20)を含む第2層(20,22)とを少なくとも備え、
前記バリア層(20)と前記第1層(10)との間に結合を生み出すために、前記バリア層と前記第1層との間に部分的に配置された結合体(30)を備える、手袋(50)であって、
前記結合体(30)は、25℃で、ダルキスト基準による3×105Pa以下の剪断弾性率を有するように構成された少なくとも1つの構成要素(32)を含んでいる、手袋(50)。
【請求項21】
前記第1層(10)は前記手袋の外層を形成し、第2層(20,22)は前記手袋のインナ・ライニングを形成している、請求項19又は20に記載の手袋。
【請求項22】
前記第1層(10)は前記手袋のインナ・ライニング層を形成し、第2層(20,22)は前記手袋の外層を形成している、請求項19又は20に記載の手袋。
【請求項23】
前記第1層(10)及び前記第2層(22,22)がそれぞれ、前記手袋のインナ・ライニングの部分である、請求項19又は20に記載の手袋。
【請求項24】
前記手袋(50)が、指領域(52)及び親指領域(54)を含んでおり、前記結合体(30)が、少なくとも指領域(52)及び/又は親指領域(54)内に、具体的には1つ又は2つ以上の指先の領域及び/又は親指の先の領域内に配置されている、請求項19から23までのいずれか1項に記載の手袋。
【請求項25】
前記手袋の少なくとも1つの更なる領域(56)内で、前記第1層(10)と前記第2層(22,22)との間に、滑り止め物質(40)が配置されている、請求項24に記載の手袋。
【請求項26】
前記結合体(30)がさらに手部位領域(56)、具体的には指関節領域(56)内に配置されており、そして具体的にはストリップの形態で形成されている、請求項24又は25に記載の手袋。
【請求項27】
前記結合体(30)が手袋(50)全体にわたって不連続に分配されており、具体的には、手袋内側領域又は手袋外側領域の半分未満の面積を占めている、請求項19から26までのいずれか1項に記載の手袋。
【請求項28】
請求項1から18までのいずれか1項に記載の層状構造(1)を備える衣料品(50,70)。
【請求項29】
前記第1層(10)が該衣料品の外層であり、前記第2層(20,22)が該衣料品の内層の部分である、請求項28に記載の衣料品。
【請求項30】
手袋(50)として、靴として、ジャケットとして、パンツとして、又は頭の被り物(70)として形成されている、請求項28又は29に記載の衣料品。
【請求項31】
前記結合体(30)が、前記頭の被り物(70)の頂上領域(82)内にドット状に配置されている、請求項30に記載の衣料品。
【請求項32】
層状構造(1)の製造方法、具体的には衣料(50,70)の製造方法であって、
第1層(10)と、少なくともバリア層(20)を含む第2層(20,22)とを用意する段階と、
25℃で、ダルキスト基準による3×105Pa以下の剪断弾性率を有するように構成された第1構成要素(32)を結合体(30)の第1の側(301)に、及び第2構成要素(34)を結合体(30)の前記第1の側(301)とは反対側の第2の側(302)に少なくとも備える結合体(30)を用意する段階と、
前記結合体(30)をその第1の側(301)で前記第2層(20)に部分的に塗着し、そして前記第1構成要素(32)が前記結合体(30)の第1の側(301)で第2層(20)との結合を形成するように、少なくとも1つの第1活性化エネルギー(91)を加える段階と、
前記結合体(30)が前記第1層と前記第2層(10,20)との間に配置された状態で、前記第1層(10)と前記第2層(20)とをこれらのそれぞれの端部位置で1つにまとめる段階と、
前記第1構成要素(32)が前記結合体(30)の前記第2の側(302)で前記第1層(10)との結合を形成するように、前記第2構成要素(34)が前記第1層(10)内及び/又は前記結合体(30,32)内に浸透するために、前記結合体(30)の前記第2の側(302)に少なくとも1つの第2活性化エネルギー(92)を加えるか、或いは前記第2構成要素(34)が前記第1層(10)との結合を形成するように、結合体(30)の第2の側(302)に少なくとも第2活性化エネルギー(92)を加える段階と、を含む層状構造(1)の製造方法、具体的には衣料(50,70)の製造方法。
【請求項33】
前記第1層(10)と前記第2層(20)とが1つにまとめられるように、前記第2活性化エネルギー(92)を加える前に、前記第2構成要素(34)は、前記結合体(30)の前記第2の側(302)における前記第1構成要素(32)の接着効果を排除又は少なくとも低減する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1構成要素(32)が感圧型接着剤構成要素であり、前記第1活性化エネルギーを加える段階は、前記感圧型接着剤構成要素(32)が結合体(30)の第1の側(301)で前記第2の層との結合を結合するように、前記結合体(30)に圧力(91)を加えることを含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2構成要素(34)が感熱性構成要素、具体的には熱活性化可能なホットメルト接着剤構成要素であり、前記第2活性化エネルギーを加える段階は、前記感熱性構成要素(34)に熱(92)を加えることを含む、請求項32から34までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2活性化エネルギー(92)を加える段階の前には、前記第2構成要素(34)は、少なくとも部分的に粉末状、膜状、及び/又は液状の形態を成して、前記結合体(30)の前記第2の側(302)に配置されている、請求項32から35までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公表番号】特表2012−500907(P2012−500907A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524258(P2011−524258)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006254
【国際公開番号】WO2010/022968
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】