説明

パイプフレーム衝立

【課題】 パイプフレームを必須とする衝立であってシート部材の着脱が可能なパイプフレーム衝立を提供する。
【解決手段】 パイプフレーム衝立(1)を構成するパイプフレーム(3)に取付可能なクランパー(21)を用いてシート部材(11)を着脱可能に構成する。当該クランパーは、クランパー自身を横パイプ(5)に取り付けるための取付構造(25)と、当該取付構造と一体成型したクランプ部(23)と、を含めて構成してある。当該クランプ部は、一対の可撓クランプ片(33,33)と、当該可撓クランプ片各々の開放端から他方の可撓クランプ片方向に突き出す一対の保持突起(35,35)と、を含めて構成してある。両可撓クランプ片と両保持突起との相互作用により、シート部材を着脱可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材を着脱可能に構成したパイプフレーム衝立に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衝立は、パーテーションとも呼ばれ、主に室内床面に自立させて空間を隔てるための道具である。和室、洋室を問わず、また、一般家庭はもちろん、たとえば、病院や診療所のような不特定多数の人が出入りする場所で広く使われている。特に、先に例示した病院や診療所では、布製のシート部材をパイプフレームの上下に張った形式の衝立が広く用いられている。固定してあるシート部材は、使用に伴い、どうしても汚れてくる。パイプフレームに固定されたシート部材は、これを取り外すことができないわけではないが、そもそも取り外すことを想定して作られていない。このため、取り外しはたいへん面倒である。まして、取り外した後に、再取り付けすることは、ほとんどできないようになっている。したがって、汚れたシート部材を取り外して洗濯した後に再び取り付けることや、新しいシート部材と取り替えることは、これまで行われていなかった。他方、異なる柄のシート部材を季節後に取り替えることを目的として、シート部材を着脱可能に構成した衝立(以下、適宜「従来の衝立」という)が、特許文献1に紹介されている。従来の衝立に使用されるシート部材は、フレームを構成する両縦枠間に突っ張り支持させた上下一対の支持棒を用いて当該フレームに着脱するように構成されている。すなわち、シート部材は、その上下端に袋状の筒部が形成されていて、この筒部各々に支持棒が差し込まれ、各支持棒一端には、スプリング受けが差し込まれている。両縦枠各々内側には凹部が形成され、そのうち一方凹部内にはスプリングが配されている。上記構成における支持棒の一端は一方の凹部に直接、同じく他端は他方の凹部にスプリング受けとスプリングを介して差し込まれるようになっている。差し込まれたスプリングは圧縮され、この圧縮されたスプリングの復帰力が、長さ方向の突っ張り力を与え支持棒を両縦枠間に弾性保持するように構成されている。
【特許文献1】実開平6−13636号公報(段落番号0008及び0010、図1及び2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の衝立によれば、シート部材の着脱は可能であるものの、その着脱構造は、パイプフレームを必須とするパイプフレーム衝立に応用することはできない。なぜなら、従来の衝立によれば両縦枠に支持棒差し込みのための凹部を設ける必要があるが、そのような凹部をパイプフレームに形成することはフレーム強度の低下を招くためほぼ不可能だからである。この点が、従来の衝立の問題点である。本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解消することにあり、具体的には、パイプフレームを必須とする衝立であってシート部材の着脱が可能なパイプフレーム衝立を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明は、シート部材を保持するためにクランパーを採用し、特に、このクランパーの取付構造をパイプフレームに適するように構成されている。その詳しい内容については、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う解釈や用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
【0005】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係るパイプフレーム衝立(以下、適宜「請求項1の衝立」という)は、上下に対向する一対の横パイプを含む略矩形のパイプフレームと、当該パイプフレームを床面上に自立させるための脚部と、当該横パイプに支持される略矩形のシート部材と、を含めて構成してある。パイプフレームは、一般に金属により構成するが、強度的に可能であれば、その一部又は全部を合成樹脂により構成してもよい。パイプフレームの断面形状は円形が一般的であるが、円形以外の形状、たとえば、四角形に形成することを妨げない。脚部は、パイプで構成してもよいが、パイプフレームを自立させることのできるものであればパイプ以外の部材により構成してもよい。シート部材を構成する素材には、たとえば、紙、布、不織布、樹脂シート、又は、これらの素材を適宜、組み合わせたものがあり、これらの素材を任意に選択することができる。装飾効果を持たせるために、シート部材表面に文字、図柄等を描いてもよい。描くことにより、バリエーションに富んだパイプフレーム衝立を提供することができるからである。上記構成に加え、当該シート部材の上端及び下端各々には、当該シート部材の幅方向略全域に渡って折り返し筒部を形成してあり、当該折り返し筒部各々には、当該シート部材の幅寸法と略同じ長さの支持バーを差し込んである。折り返し筒部は、シート部材の上下端のそれぞれ一部を折り返し、その折り返した先端をシート本体に縫い付けや接着等によって固定することにより形成する。これによって、中空の折り返し筒部が完成する。さらなる構成として、当該横パイプ各々には、当該シート部材を着脱するための合成樹脂性クランパーを、長さ方向所望間隔毎に取り付けてある。クランパーの構造は、次のとおりである。すなわち、当該クランパー各々が、クランパー自身を横パイプに取り付けるための取付構造と、当該取付構造と一体成型したクランプ部と、を含めて構成してあり、当該クランプ部が、両端を有する基部と、当該基部の両端から対向起立する一対の可撓クランプ片と、当該可撓クランプ片各々の開放端から他方の可撓クランプ片方向に突き出す一対の保持突起と、を含めて構成してあり、当該保持突起間の最小距離dが、当該支持バーの差込により膨らませた折り返し筒部の外径Dよりも小さく、かつ、当該可撓クランプ片間の距離d´が、外径Dの折り返し筒部を保持可能な間隔に設定してある。さらに、当該可撓クランプ片各々が、当該折り返し筒部の当該保持突起間への当該折り返し筒部の圧入及び引抜によって弾性変形するとともに、当該折り返し筒部の当該保持突起間通過によって弾性復帰可能に構成してある。
【0006】
請求項1の衝立によれば、クランパーの働きによってパイプフレーム(上下一対の横パイプ)にシート部材が固定される。脚部は、パイプフレームを床面上に自立させる。シート部材の上下折り返し筒部は支持バーを受け入れ、支持バーはシート部材の撓み(波うちや垂れ下がり等)を抑制するとともに折り返し筒部を膨らませるためのものである。折り返し筒部を膨らませるのは、クランパーによるクランプをしっかりと行わせるためである。この点は、後述する。クランパーを合成樹樹脂製としたのは、それが軽量で安価であること、複雑な構造を実現させやすいこと、必要に応じてクランパーの一部に可撓性(復帰可能に撓ませること)を持たせることができること、に主として理由がある。クランパーの取り付け間隔は、パイプフレーム(支持バー、シート部材)の幅寸法やシート部材自体の重さの多少等に合わせて適宜設定するとよい。必ずしも、等間隔である必要はない。クランパーを横パイプに取り付けるための取付構造に、特に限定はない。たとえば、横パイプにあけた貫通孔に差し込む形式、横パイプ外周に嵌め込んだり接着したりする形式のものが取付構造として使用し得る。基部から起立する一対の可撓クランプ片は、所定方向の外力を受けたときにその可撓性によって弾性的に変形し、外力が取り去られたときに弾性的に元の形状に復帰する。対向する可撓性クランプ片の開放端間の最小距離は、保持突起によってdにまで狭めてあり、支持バーの差込により膨らませた折り返し筒部の外径Dをこの最小距離dよりも小さく設定してあるから、保持突起と保持突起との間(距離d)に折り返し筒部(外径D)を通過させるためには、上記距離dを広げる必要がある。他方、広げることによって通過させた折り返し筒部は、可撓クランプ片間の距離d´が外径Dの折り返し筒部を保持可能な間隔に設定してあるから弾性復帰した両可撓クランプ片間に保持される。さらに保持された折り返し筒部は、弾性復帰によって保持突起間の距離が距離d(若しくは距離dよりも僅かに大きい場合もある)まで狭められているから、折り返し筒部の抜けが有効に防止される。また、可撓クランプ片の可撓性は、保持している折り返し筒部が抜き取られるときの保持突起間の距離拡大を可能とする。以上によって、パイプフレームに対するシート部材の容易な着脱が実現する。シート部材の着脱が容易となることにより、汚れたシート部材の交換が極めて簡単な作業となることから、シート部材を常に清潔に保つことができる。また、たとえば、季節感のあるシート部材を各種用意しておき交換使用することによって、装飾的にバリエーションのあるパイプフレーム衝立を提供することができる。
【0007】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係るパイプフレーム衝立(以下、適宜「請求項2の衝立」という)には、請求項1の衝立の基本構成を備えさせた上で、前記折り返し筒部圧入方向における前記保持突起各々の断面形状が、前記可撓クランプ片を底辺としたときに、圧入される前記折り返し筒部との当接面を斜辺とする略直角三角形に形成してある。
【0008】
請求項2の衝立によれば、請求項1の衝立の作用効果に加え、保持突起が次の作用効果を奏する。すなわち、圧入する際の折り返し筒部は、略直角三角形の斜辺に該当する部分に当接する。このため、その圧入力は斜辺で分割され、分割によって生じた分力によって保持突起(可撓クランプ片)を他方の保持突起(可撓クランプ片)から離れる方向に移動させる。この移動が、保持突起間の間隔を広げ、折り返し筒部の通過を容易にする。他方、上記直角三角形の斜辺と底辺とに挟まれた辺は、折り返し筒部を可撓クランプ片間に保持するときに抜けづらくする。
【0009】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係るパイプフレーム衝立(以下、適宜「請求項3の衝立」という)には、請求項1又は2の衝立の基本構成を備えさせた上で、前記取付構造が、前記クランプ部の基部から前記一対の可撓クランプ片とは逆方向に延びる連結片と、当該連結片を軸とする矢印形状が形成されるように当該連結片開放端に設けたV字可撓片と、当該V字可撓片と当該基部との間に設けた外面当接片と、当該V字可撓片を構成する各構成片外側に形成した係止隆起部と、を含めて構成してあり、前記横パイプに形成した取付貫通孔に当該V字可撓片頂部を差し込み圧入することによって当該V字可撓片が弾性的に萎み当該取付貫通孔を通過後に当該横パイプ中空部内で弾性復帰可能に構成してあり、当該V字可撓片が弾性復帰したときに、当該V字可撓片の両終端外面が当該取付貫通孔周壁に当接可能、当該係止隆起部が当該横パイプ内壁に当接して抜け防止可能、及び、当該外面当接片が当該横パイプ外面に当接可能に構成してある。
【0010】
請求項3の衝立によれば、請求項1又は2の衝立の作用効果に加え、取付構造が次の作用効果を奏する。連結片は基部(両可撓クランプ片)とV字可撓片とを連結する。このとき、連結片とV字可撓片とにより、矢印形状が形成される。すなわち、V字可撓片は連結片の先にある基部に対して逆さV字を形成する。V字可撓片は、その可撓性により外力を受けてより萎み加減がより鋭利となるように変化する。外力が取り去られれば元の形状に復帰する。この可撓性を利用して、横パイプに形成した取付貫通孔にV字可撓片を差し込み圧入することができる。つまり、圧入によって、取付貫通孔周壁から反作用によって受ける力はV字可撓片を弾性的に萎ませ、萎んだV字可撓片は取付貫通孔の通過が部分的に許容される。通過後のV字可撓片は弾性復帰する。完全通過が許容されず部分通過に留まるのは、外面当接片が横パイプ外面に当接して、それ以上V字可撓片が取付貫通孔内部へ圧入されるのを阻止するからである。V字可撓片が弾性復帰すると、V字可撓片の両終端外面が当該取付貫通孔周壁に当接する。これにより、横パイプに対するクランパーの横ずれが抑止される。さらに、係止隆起部が横パイプ内壁に当接して、V字可撓片(クランパー)が横パイプから抜け出すことを防止する。併せて外面当接片は横パイプ外面に当接するが、この点は、既に説明した。
【0011】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係るパイプフレーム衝立(以下、適宜「請求項4の衝立」という)には、請求項1乃至3いずれかの衝立の基本構成を備えさせた上で、前記シート部材が、不織布により構成してある。不織布は、その表面に、たとえば、汚れを防止するためのコーティングを施したり、文字や図柄等を描いたりすることができる。さらに、たとえば、セラピー用香料や抗菌剤等を含ませたり、衝立としての機能を損なわない範囲で通気孔を形成したりすることも妨げない。
【0012】
請求項4の衝立によれば、請求項1乃至3いずれかの衝立の作用効果に加え、不織布を使用することにより、使用に充分な強度を保ちながら安価なシート部材を提供することができる。さらに、使い捨てとし易い。使い捨てとし易くしたため、特に、病院や診療所等において汚れたシート部材は、これを速やかに取り外して廃棄するようにすれば、感染による医療事故等を未然に防ぐことができるので、たいへん使い勝手がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、各図を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。図1は、本実施形態に係るパイプフレーム衝立の正面図である。図2は、図1に示すパイプフレーム衝立の側面図である。図3は、クランパーの斜視図である。図4は、クランパーの側面図である。図5は、クランパーの平面図(a)、クランパーの正面図(b)及び(a)に示すクランパーのA−A断面図である。図6は、クランパーに折り返し筒部を取り付ける前後を示す側面図である。図7は、折り返し筒部を取り付ける際の可撓クランプ片の動作を示す図である。図8は、折り返し筒部を取り外す際の可撓クランプ片の動作を示す図である。
【0014】
(パイプフレーム衝立の概略構造)
図1及び3を参照しながら、パイプフレーム衝立(以下、適宜「衝立」という)の概略構造を説明する。衝立1は、パイプフレーム3と、パイプフレーム3を床面上に自立させるための脚部9と、パイプフレーム3に支持されたシート部材11と、から概ね構成してある。パイプフレーム3は、上下にある横パイプ5,5と、横パイプ5,5を繋ぐ左右の縦パイプ7,7とにより略矩形に構成してある。パイプフレーム3全体は金属(たとえば、スチール)製であり、横パイプ5,5と、縦パイプ7,7との間、すなわち、角部には丸みを持たせてある。脚部9も金属パイプにより構成してあり、図2に示すように、横広がりの逆さU字状に形成してある(図1の右端に示す脚部9はI(アイ)字状)。パイプフレーム3と脚部との連結は、ねじ連結や溶接等により行うのが簡便である。上段の横パイプ5には、図3に示すような取付貫通孔6を複数個パイプ長さ方向に所定間隔ごとに下向きに形成してある。クランパー21を取り付けるための孔である。図1下段に示すように、下段の横パイプ5にも、同じく複数個の取付貫通孔6を上向きに形成してあり、各々クランパー21を取り付けられるようにしてある。取付貫通孔6は、ドリルで形成したため丸孔になっているが、クランパー21の機能を損なわないように取付可能な孔であれば矩形や他の形状であっても構わない。なお、図1に示すように示すように、複数の衝立1,1を横に並ばせて両者を連結具4によって連結すれば、単独の衝立1のみを使用する場合に比べ仕切面積を大きくすることができる。
【0015】
(シート部材の構造)
図1及び6を参照する。本実施形態におけるシート部材11は、全体を略矩形の不織布により構成してあり、その上下端それぞれには折り返し筒部13,13を形成してある。折り返し筒部13は、シート部材11の上端(下端)の一部を一重又は二重に折り返し、折り返し部分の下端(上端)をシート部材本体に縫い付けて形成してある。これによって、シート部材11の上端(下端)には、幅方向全域に渡って筒状のものを形成することができる。この筒状のものが折り返し筒部13である。シート部材の素材そのもので折り返し筒部13を構成したのは、同じ素材で構成することにより異なる素材を組み合わせて構成する場合に比べて分別が不要な分、簡単に廃棄できるからである。上下各々の折り返し筒部13には、たとえば、数ミリメートル程度の外径を持った支持バー15を差し込んでおく。支持バー15は、シート部材11の幅寸法と略同じ幅寸法の長さを持たせてあり、その主目的は、シート部材11の撓みを防止することと折り返し筒部13を膨らませることにある。
【0016】
(クランパーの構造)
図3乃至8を参照しながら、クランパーについて説明する。クランパー21は、大きく分けてクランプ部23と取付構造25とからなり(図3、4参照)、全体を合成樹脂により構成してある。以下、それぞれについて説明する。図3に示すように、クランプ部23は、板状の基部31と、基部31の両端から左右対称に対向起立する一対の可撓クランプ片33,33と、可撓クランプ片33,33各々の開放端から他方の可撓クランプ片33方向に突き出す一対の保持突起35,35と、を含めて構成してある。各可撓クランプ片33は、基部31と略同じ厚み、かつ、幅の寸法を持った板状の部材であり、可撓性を持たせてある。このため可撓クランプ片は、外力を与えて厚み方向に復帰可能に撓ませることができる(図7、8参照)。保持突起35,35は、可撓クランプ片33,33の長さ方向(折り返し筒部13の圧入方向、図6参照)における、その断面形状が、可撓クランプ片33,33を底辺としたときに、圧入される折り返し筒部13との当接面を斜辺(斜辺面37)と、可撓クランプ片33,33から略直角に起立する辺(起立面39)と、により側面方向から見たときに略直角三角形に形成してある(図4参照)。圧入する際の折り返し筒部13を、略直角三角形の斜辺面37に当接させてその圧入力を分割させ、分割によって生じた分力によって保持突起35(可撓クランプ片33)を他方の保持突起35(可撓クランプ片33)から離れる方向に移動させる。この移動が、保持突起35,35間の間隔を広げ、折り返し筒部13の通過を容易にする。他方、上記直角三角形の斜辺面37と可撓クランプ片33とに挟まれた辺、すなわち、起立面39は、折り返し筒部13を可撓クランプ片33,33間に保持するときに、その抜けを有効に阻止する機能を担っている。なお、保持突起35,35間の最小距離d(すなわち、両者頂点間の距離、図6(a)参照)が、前述した支持バー15の差込により膨らませた折り返し筒部13の外径D(図6(a)参照)よりも小さく、かつ、当該可撓クランプ片間の距離d´が、外径Dの折り返し筒部13を保持可能な間隔に設定してある(図6(b)参照)。保持した折り返し筒部13が簡単に抜けないようにするためである。特に、上段の横パイプ5に設けたクランパー21,・・には、シート部材11の荷重が加わるので、上記保持機能はたいへん重要である。なお、保持突起35,35は、上述するように膨らませた折り返し筒部13を有効に保持する機能を有しているが、他方で、圧入のための力よりも大きな引抜力を加えれば、図8に示すように可撓クランプ片33,33が弾性変形するので上記折り返し筒部13をクランプ部23の保持力から解放させることができる。圧入にしろ、引き抜きにしろ、外力を受けて弾性変形した可撓クランプ片33,33は、その外力が取り去られたときに弾性復帰して元の状態に戻る(図7、図8)。これにより、クランパー21(パイプフレーム3)に対するシート部材11の着脱を繰り返して行うことが可能になる。
【0017】
(取付構造の具体的構造)
図3乃至6を参照しながら、取付構造25の具体的構造について説明する。取付構造25は、クランプ部23の基部31から一対の可撓クランプ片33,33とは逆方向(図4の上方向)に延びる連結片51と、連結片51を軸とする矢印形状が形成されるように連結片51の開放端(図における上端)に設けたV字可撓片53と、V字可撓片53と基部31との間に設けた外面当接片55と、V字可撓片53を構成する各構成片53aの外側の終端から略3分の1ほどの位置に形成した係止隆起部57,57と、を含めて構成してある。図3乃至5から明らかなように、連結片51の基部31側の部位には基部31と略同じ幅寸法を持たせてあるが、外面当接片55を境にしてV字可撓片53に至るまでの幅寸法は、上記部位に比べて幅狭に設定してある。取付貫通孔6に圧入し易くするためである。圧入し易くするために連結片51には、図3において符号51aで示す先細りテーパ面を形成してある。図3では裏側になって見えないが、同裏側に位置する連結片51にも、同様な先細りテーパ面を形成してある。V字可撓片53は、一対の構成片53a,53aを逆さV字状に組み合わせて圧入方向に先細り形状に形成してある。V字可撓片53は、その可撓性により外力を受けてより萎み加減がより鋭利となるように変化する一方、外力が取り去られれば元の形状に復帰するようになっている。この可撓性を利用して、横パイプ5に形成した取付貫通孔6にV字可撓片53を差し込み圧入することが可能になる。つまり、圧入によって、取付貫通孔6の周壁5aから反作用によって受ける力はV字可撓片53を弾性的に萎ませ(図4参照)、萎んだV字可撓片53は取付貫通孔6の通過が部分的に許容される。通過後のV字可撓片53は弾性復帰する(図6参照)。外面当接片55は、図3及び4に示すように、円弧状の当接面55a,55aを有する湾曲板によって構成してある。特に、上記当接面55a,55aの曲率は、取付時に横パイプ5の外周面と密着可能とするために、横パイプ5の曲率と略同じに設定してある。
【0018】
図4に示すように横パイプ5に形成した取付貫通孔6にV字可撓片53の頂部を差し込み圧入することによってV字可撓片53は、上記したように弾性的に萎み取付貫通孔6を通過後に横パイプ5の中空部5d内で弾性復帰する。弾性復帰したV字可撓片53は、V字可撓片53の両構成片53a,53aの終端外面が取付貫通孔6近傍の周壁5a,5aに当接可能、係止隆起部57,57が横パイプ5の内壁5b,5bに当接して抜け防止可能、及び、外面当接片55の当接面55aが横パイプ5外面5c,5cの取付貫通孔6近傍に当接可能に構成してある。外面当接片55が横パイプ55の外周面に当接すると、V字可撓片53が、それ以上の通過を阻止する。以上、述べた各部材の総合作用により、クランプ部23が取付構造25を介して横パイプ5に、しっかりと取り付けられ、また、クランプ部23の作用によりシート部材11が、しっかりとクランプされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るパイプフレーム衝立の正面図である。
【図2】図1に示すパイプフレーム衝立の側面図である。
【図3】クランパーの斜視図である。
【図4】クランパーの側面図である。
【図5】クランパーの平面図(a)、クランパーの正面図(b)及び(a)に示すクランパーのA−A断面図である。
【図6】クランパーに折り返し筒部を取り付ける前後を示す側面図である。
【図7】折り返し筒部を取り付ける際の可撓クランプ片の動作を示す図である。
【図8】折り返し筒部を取り外す際の可撓クランプ片の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 パイプフレーム衝立
3 パイプフレーム
4 連結具
5 横パイプ
5a 周壁
5b 内壁
5c 外面
5d 中空部
6 取付貫通孔
7 縦パイプ
9 脚部
11 シート部材
13 折り返し筒部
15 支持バー
21 クランパー
23 クランプ部
25 取付構造
31 基部
33 可撓クランプ片
35 保持突起
37 斜辺面
39 起立面
51 連結片
53 V字可撓片
55 外面当接片
57 係止隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対向する一対の横パイプを含む略矩形のパイプフレームと、
当該パイプフレームを床面上に自立させるための脚部と、
当該横パイプに支持される略矩形のシート部材と、を含む衝立において、
当該シート部材の上端及び下端各々には、当該シート部材の幅方向略全域に渡って折り返し筒部を形成してあり、
当該折り返し筒部各々には、当該シート部材の幅寸法と略同じ長さの支持バーを差し込んであり、
当該横パイプ各々には、当該シート部材を着脱するための合成樹脂性クランパーを、長さ方向所望間隔毎に取り付けてあり、
当該クランパー各々が、クランパー自身を横パイプに取り付けるための取付構造と、当該取付構造と一体成型したクランプ部と、を含めて構成してあり、
当該クランプ部が、両端を有する基部と、当該基部の両端から対向起立する一対の可撓クランプ片と、当該可撓クランプ片各々の開放端から他方の可撓クランプ片方向に突き出す一対の保持突起と、を含めて構成してあり、
当該保持突起間の最小距離dが、当該支持バーの差込により膨らませた折り返し筒部の外径Dよりも小さく、かつ、当該可撓クランプ片間の距離d´が、外径Dの折り返し筒部を保持可能な間隔に設定してあり、
当該可撓クランプ片各々が、当該折り返し筒部の当該保持突起間への当該折り返し筒部の圧入及び引抜によって弾性変形するとともに、当該折り返し筒部の当該保持突起間通過によって弾性復帰可能に構成してある
ことを特徴とするパイプフレーム衝立。
【請求項2】
前記折り返し筒部圧入方向における前記保持突起各々の断面形状が、前記可撓クランプ片を底辺としたときに、圧入される前記折り返し筒部との当接面を斜辺とする略直角三角形に形成してある
ことを特徴とする請求項1記載のパイプフレーム衝立。
【請求項3】
前記取付構造が、前記クランプ部の基部から前記一対の可撓クランプ片とは逆方向に延びる連結片と、当該連結片を軸とする矢印形状が形成されるように当該連結片開放端に設けたV字可撓片と、当該V字可撓片と当該基部との間に設けた外面当接片と、当該V字可撓片を構成する各構成片外側に形成した係止隆起部と、を含めて構成してあり、
前記横パイプに形成した取付貫通孔に当該V字可撓片頂部を差し込み圧入することによって当該V字可撓片が弾性的に萎み当該取付貫通孔を通過後に当該横パイプ中空部内で弾性復帰可能に構成してあり、
当該V字可撓片が弾性復帰したときに、当該V字可撓片の両終端外面が当該取付貫通孔周壁に当接可能、当該係止隆起部が当該横パイプ内壁に当接して抜け防止可能、及び、当該外面当接片が当該横パイプ外面に当接可能に構成してある
ことを特徴とする請求項1又は2記載のパイプフレーム衝立。
【請求項4】
前記シート部材が、不織布により構成してある
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のパイプフレーム衝立。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−296139(P2007−296139A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126919(P2006−126919)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000220169)東京ブラインド工業株式会社 (7)