説明

パターン付き感圧転写テープ

【課題】本発明が解決しようとする課題は、単純な構成で様々なバリエーションへの展開可能な判読不能なパターンを有する感圧転写テープを提供するものである。
【解決手段】本発明は、基材上に転写塗膜を形成した感圧転写テープにおいて、転写塗膜は少なくとも、パターンからなる印刷層を有しており、そのパターンは、正方形を含む長方形からなる単位画像とその反転画像とから構成され、周期的に繰り返していることを特徴とするパターン付き感圧転写テープである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜転写具に装填して被転写体の文字上に転写塗膜を感圧転写することができる感圧転写テープに関するものであり、特に、転写塗膜にある印刷層のパターンにより文字からなる言葉を判読不能にする感圧転写テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、誤字を修正するために転写塗膜に白色の隠蔽層を有する感圧転写テープが開発されており、その感圧転写テープを搭載した塗膜転写具が、例えば修正テープという商品名で販売されている。これは、隠蔽層で誤字である文字を隠蔽して見えなくするものである。
【0003】
その機能を利用して、個人情報流出の懸念から、文字からなる名前や住所などの個人情報をこれを用いて隠蔽してから捨てる方法が取られることがある。しかし開発当初から、隠蔽した文字のある被転写体の表面から光に照らして反対の裏面から見ると、隠蔽した文字が見えてしまうということがあった。
【0004】
特開平6−092085号公報では、修正面の反対側からみても元の文字などが判読不能な隠蔽修正用転写テープを提供することを目的として、転写塗膜の粘着層を着色するものが開発されている。この方法であると、反対の裏面から見ても隠蔽できるほどの着色剤を粘着層に添加すると、粘着力が弱くなり、被転写体への感圧転写がうまくいかなかった。部分的に転写ができないことや転写した塗膜が浮くことのような転写の不具合である転写不良が生じることがあった。
【0005】
特開平10−309893号公報では、裏側に対する隠蔽性がより高く、修正前の文字が紙の裏から透けて見えることのない修正用転写テープが開発されている。これは、修正テープの隠蔽層に相当する表面向き隠蔽層と、それに加えて裏面向き隠蔽層を形成するものである。裏面向き隠蔽層は黒色等の濃色であり、転写した塗膜の側面や切断箇所で裏面向き隠蔽層が露出して、隠蔽した部分が目立つことになった。また、裏面向き隠蔽層の濃色によっては、白色の隠蔽層による修正部分が灰色に見えることもあった。
【0006】
特開平11−343467号公報では、修正部分が灰色に見えたり、切断箇所で黒色が目立ったりしないものが開発されている。これは、裏面向き隠蔽層の厚さを場所によって不均一にしたり、裏面向き隠蔽層が縞状、網目状、又は散点状に設けたりしたものである。
【0007】
これらを踏まえ、パターンからなる印刷層を形成して、そのパターンによって判読不能にするものが開発されている。特開2010−012671号公報は、言葉を判読不能にする隠蔽用のパターン形状が、複数のアルファベットが転写テープの長手方向に対して斜めに配列されていることを特徴とするものである。特開2010−012734号公報は、印刷層のパターンが、パターンの面積率が40%以上であり、判読不能にする文字の高さがテープ幅方向のパターン幅の20%以上100%以下であることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−092085号公報
【特許文献2】特開平10−309893号公報
【特許文献3】特開平11−343467号公報
【特許文献4】特開2010−012671号公報
【特許文献5】特開2010−012734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これまでの判読不能なパターンは、そのパターンを見つけるのに、様々な試行錯誤を繰り返さなければならなかった。どちらかといえば、発見に近いものであり、一般に利用できるような規則性を見出せなかった。本発明が解決しようとする課題は、単純な構成で様々なバリエーションへの展開可能な判読不能なパターンを有する感圧転写テープを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基材上に転写塗膜を形成した感圧転写テープにおいて、転写塗膜は少なくとも、パターンからなる印刷層を有しており、そのパターンは、正方形を含む長方形からなる単位画像とその反転画像とから構成され、周期的に繰り返していることを特徴とするパターン付き感圧転写テープである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、このような単純な構成で様々なバリエーションへの展開可能なパターンによって判読不能することができることを見出したものである。これにより、様々なバリエーションのパターンを作成することが容易になり、それらのパターンからなる商品を数多く世の中に出すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】修正テープに用いた本発明の断面図。
【図2】印刷層の印刷部分を拡大した模式図。
【図3】塗膜転写具の説明図。
【図4】単位画像とその反転画像の説明図。
【図5】実施例1から4までのパターンの説明図。
【図6】境界線を有した場合の説明図。
【図7】実施例5から8までのパターンの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
感圧転写テープは、基材上に転写塗膜を形成したものである。転写塗膜には、いくつかの種類がある。代表的なものとして、修正塗膜、粘着塗膜、パターン(柄)塗膜がある。商品としてはそれぞれ、修正テープ、テープのり、テープマーカーという名で販売されている。ここでは、修正テープ用の修正塗膜を例にして説明する。
【0014】
図1は、修正テープに用いた本発明のパターン付き感圧転写テープ1の断面図である。基材2上に転写塗膜である修正塗膜3を形成している。修正塗膜3は、基材2から順に、隠蔽層4、印刷層5、粘着層6からなる。この転写塗膜の部分が、粘着塗膜やパターン(柄)塗膜では異なる。
【0015】
印刷層5は、印刷によって形成された印刷部分7と、印刷のない部分8からなる。これらによって、隠蔽層4上の印刷層5を粘着層6の面から見ればパターンとなる。印刷のない部分8には、その後に形成される粘着層6の液状の粘着層インキが入り込むので、粘着層6が直接隠蔽層4に接することになる。
【0016】
図1では縦方向を拡大して表している。実際のサイズとしては、例えば次のような寸法で形成する。縦方向の厚さとして、基材2が12μm、隠蔽層4が20μm、印刷層5の印刷部分7が約1μm、粘着層6が印刷層5の印刷部分7を含めて約3μmである。隠蔽層4、印刷層5、粘着層6が形成されている修正塗膜3は23μmとなる。横方向として、この断面図では一定のテープ幅に裁断した両端があるものを表しており、5mm(テープ幅が5mm)である。なお、実施例でもこの寸法で形成している。
【0017】
基材2は、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレンナフタート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムや、グラシン紙や、人造樹脂フィルム、洋紙和紙等のフィルム状物、あるいはこれらの複合フィルム状物等を用いることができる。
【0018】
基材2の厚さは、3〜100μm程度が良い。基材2の厚さが大きいと、転写する時の転写圧が低下して転写不良が生じることがあり、逆に基材2の厚さが小さいと、テープの強度が弱くなり、テープの断裂などのトラブルを生じることがある。
【0019】
基材2の両面において、剥離処理されていることが好ましい。剥離処理は、シリコン樹脂、フッ素樹脂、その他剥離性を有する樹脂やオイルなどを主成分として、必要に応じて、剥離性を有しない合成樹脂や微粒子、添加剤などを混合したものでグラビアコーティングやダイコーティングなどの方法により施される。図1では、剥離処理した層は省略している。
【0020】
隠蔽層4は、液状の隠蔽層インキを作製し、一般的なコーターなどを用いて基材2上に塗布乾燥させて形成する。液状の隠蔽層インキは、顔料とビヒクルと、必要に応じて分散剤や添加剤を、有機溶剤中にて分散機や攪拌機等を用いて均一に混合して作製される。
【0021】
形成された隠蔽層4中の顔料比率が75重量%より少ないと、水性インキなどの筆記具で隠蔽層4上に筆記した時に、筆記具インキが染み込み定着するまでに時間がかかってしまい、にじみやハジキが生じてしまう。また、隠蔽したはずの文字が透けて見えたり、感圧転写後の修正塗膜の表面に光沢が出てしまったりすることもある。逆に顔料比率が90重量%より多いと、感圧転写した時にひび割れが発生する原因となったり、感圧転写後の修正塗膜を手で触ると白く汚れるチョーキング現象が発生する原因となったりする。ゆえに、隠蔽層4中の顔料比率は、75重量%以上90重量%以下が好ましい。
【0022】
隠蔽層4の顔料は、白色顔料か着色顔料もしくはそれらを組み合わせたものと、充填剤からなる。白色顔料としては、酸化チタンが一般的に用いられる。着色顔料としては、有機顔料や無機顔料がある。有機顔料では、アゾレーキレッド、キナクドリンレッド、ファストエロー、スレンエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレットなどがあり、無機顔料では、弁柄、クロムバーミリオン、黄鉛、オキサイドエロー、酸化クロムグリーン、紺青、群青などがある。これらを単体、もしくは混合して用いることができる。充填剤としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、カオリン、珪藻土などの体質顔料が用いられている。また、顔料と混合するビヒクルとしては、ウレタン系、アクリル系、ビニル系、オレフィン系、ゴム系などの樹脂を単体、もしくは数種を混合して用いることができる。
【0023】
印刷層5は、隠蔽層4上に点を印刷する方法を用いて形成される。図1における印刷層5の印刷部分7は、その印刷された点の集まりである。印刷層5は、これら印刷部分7と印刷のない部分8(粘着層6)からなる。点を印刷する方法は、点を形成することができれば、どのような印刷方法でもよい。具体的には、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
【0024】
図2は、透明PETのような透明被転写体に感圧転写した修正塗膜3を、透明被転写体を通して見た場合の印刷層5の印刷部分7を拡大して模式的に表わしたものである。印刷部分7は、印刷された点9と点印刷のない空隙10から形成されている。空隙10には、液状の粘着層インキが入り込んで粘着層6となっている。
【0025】
図2では、点9を円形で表わしており、円の直径0.3mmを想定しているが、印刷方法や条件などにより、円形以外の形状(菱形やその他の多角形)にもなる。図2では、円形の点9が整然と並んだ場合を表わしているが、印刷方法や条件などにより、整然と並んでいない場合や、隣り合う点同士が重なっている場合もある。この点9の大きさや数によって、色の濃さを変えることもできる。
【0026】
点9において、円形であれば直径、菱形であれば対角線の長さ、その他の多角形であれば2頂点を結んだ最大線分を、点の最大長と表現すると、点9の最大長は0.01mm以上1.0mm以下であることが好ましい。現状の印刷方法では、0.01mmより小さくすることは難しく、1.0mmより大きいと言葉の判読を不能にするパターンとならない場合があるからである。
【0027】
粘着層6は、隠蔽層4上に印刷層5を形成した後に液状の粘着層インキによって形成される。液状の粘着層インキを用いて、一般的なコーターなどで塗布乾燥させて、粘着層6は形成される。液状の粘着層インキは、一般に粘着剤として扱われているアクリル系、ロジン系、ゴム系、ビニルエーテル系、ポリイソブチレン系などの樹脂を用いることができる。必要であれば、充填剤、接着性調整剤、老化防止剤等を配合してもよい。
【0028】
粘着層6の厚さは、充分な粘着特性を出すために1μm以上20μm以下が好ましい。厚さが小さいと、充分な粘着特性が出せない。厚さが大きいと、転写したときに厚くなってしまい、見た目が悪くなってしまう。
【0029】
印刷層5の印刷部分7は、点を印刷する方法を用いており、図2のように印刷された点9と、点印刷のない空隙10から形成されている。その後、液状の粘着層インキによって粘着層6の厚さが印刷層5の印刷部分7の厚さよりも大きく形成する。すると、空隙10にも液状の粘着層インキが入り込んで、空隙10は粘着層6となる。
【0030】
粘着層6の厚さが印刷層5の印刷部分7の厚さよりも小さい場合、空隙10に液状の粘着層インキが入り込むことはできても、印刷層5の印刷部分7より小さい厚さの粘着層6しか形成することができず、粘着層6よりも印刷部分7が出ていることになり、うまく感圧転写することができなくなる。
【0031】
このようにして、基材2から順に、隠蔽層4、印刷層5、粘着層6が形成されている修正塗膜3を有しているものを、一定のテープ幅に裁断して、コアなどへ巻きつけて小巻にして、塗膜転写具に装填する。一定のテープ幅としては、3mm〜12mmの間であるのが一般的であるが、これ以外の幅である場合もある。
【0032】
この感圧転写テープ1を塗膜転写具に装填して、転写塗膜を被転写体の文字上に感圧転写する。修正テープであるので、転写塗膜を通して、文字のある表面から転写した文字を見ることはできない。その被転写体の表面から光に照らして反対の裏面から見ても、転写塗膜に形成した印刷層5のパターンによって、文字からなる言葉を判読することはできない。
【0033】
ここで判読不能とは、言葉を判読することができないことである。1文字からなる言葉でも判読することができないことが望ましいが、2文字以上からなる言葉が判読することができなければ良い。つまり、1文字だけは読めても、言葉として何であるのか判らなければ良い。
【0034】
図3は、塗膜転写具11の説明図である。塗膜転写具11としては、ユニオンケミカー株式会社製「修正テープ消シマウスHG」を例にしている。図は、塗膜転写具11のケース12内部における主要部材を表しており、ケース12を透明として、その内部構成を表している。ただし、ケース12の厚みが見える部分は、斜線断面で表している。
【0035】
この図は、転写ヘッド13にて被転写面14に転写塗膜15を転写している様子である。この塗膜転写具11は、貫通部16と調整窓17を有するものである。
【0036】
塗膜転写具の種類によっては、外観意匠の違いはもとより、内部構成において、リールの回転方向や配置、連動機構などに違いが見られるが、基本的にはこれと同じような主要部材からなる構成である。
【0037】
転写ヘッド13は側壁18を有するものである。側壁18は、基材テープ19表面に転写塗膜15を形成している転写テープ20が転写ヘッド13の先端にて転写塗膜15を感圧転写できるように導くものである。
【0038】
この転写テープ20が、繰出しリール21から転写ヘッド13を介して巻取りリール22に巻回されて、繰出しリール21と巻取りリール22の連動機構と共に、ケース12に配置されている内部構成である。
【0039】
ここでの連動機構はギアであり、図3では見えていない図3の裏面にて、繰出しリール21の繰出しギア29が巻取りリール22の巻取りギアと噛合している。この連動機構によって、自動巻取り式となる。
【0040】
ケース12の外枠以外でケース12に関係する主要な部分として、次の5箇所を表している。繰出しリール21の支軸となる円筒形断面の繰出しリール中心軸23、巻取りリール22の支軸となる円筒形断面の巻取りリール中心軸24、繰出しリール21から繰り出された転写テープ20を転写ヘッド13に導いている円柱形断面の繰出しテープガイド25、転写ヘッド13から転写塗膜15を転写した基材テープ19を巻取りリール22に導いている円柱形断面の巻取りテープガイド26、転写ヘッド13を支持している円筒形断面の転写ヘッド支持部27である。
【0041】
繰出しリール21は、円筒形断面の繰出しリール中心軸23に直接接してはおらず、その間にある中間部材28の4箇所と図3のように接している。中間部材28は、繰出しリール21の繰出しギア29に接続されている。そのため図では、繰出しリール21の繰出しギア29と中間部材28を、同じ網模様で表している。
【0042】
中間部材28の4箇所で接することにより、連動機構と逆回転防止機構との間でタイミングが合わなくなるなど、何かしらの強い力で転写テープ20が引っ張られることがあると、繰出しリール21が接している中間部材28の4箇所ですべるようになっている。これで、余計な引出しによるたるみやテープの破断などの不具合を防ぐことができる。
【0043】
巻取りリール22は、円筒形断面の巻取りリール中心軸24に直接接して、回動自在になっているが、図3の背面にて、繰出しリール21の繰出しギア29が巻取りリール22の巻取りギアと噛合しているので、巻取りリール22は、繰出しリール21の回転に連動することになる。
【0044】
また図3において、巻取りリール22の側面には波形溝30がある。波形溝30は、図の垂直方向手前に立ち上がる垂直面とそこから斜めに下がる斜面からなる三角波形状であり、円形扇のように形成している。図では、その波形溝30の垂直面を外円周へ向かう直線で表している。この波形溝30は、調整窓17からテープがたるんだりしたときに直すために利用する溝である。
【0045】
リールおよびリール中心軸周辺の構造の特徴として、リール中心軸に接しているリール円筒部(繰出しリール21では図3のギアの中心にある円筒部)から4本の短いスポークを有する構造にしている。
【0046】
繰出しリール21と巻取りリール22の連動機構における逆回転防止機構は、いわゆるラチェットのような構造のものである。これらは図3の背面およびその部分のケース12にあり、図では省略している。
【0047】
転写ヘッド13は、ケース12外に突設されており、ケース12内に向かって、太い支軸と細い支軸からなり、細い支軸の端に図面垂直方向に対して円柱形状のものを有している。その円柱が、円筒形断面の転写ヘッド支持部27によって、支持されている。なお、図における転写ヘッド13は、点を施して表している。
【0048】
転写塗膜15を被転写面14に転写させる塗膜転写具11の使用方法は、ケース12外に突設された転写ヘッド13にて転写テープ20を押圧して、被転写面14において転写塗膜15を転写させたい部分に接触させながら、塗膜転写具11を被転写面14に対して斜めに傾けて移動させる方法である。
【0049】
このように移動させることで、テープが走行して、転写テープ20が繰り出されて繰出しリール21が回り、繰出しリール21の繰出しギア29も回り、噛合している巻取りリール22のギアによって、巻取りリール22が回る。これらギア比とリール径比を調整して、基材テープ19が巻き取られるようになっている。こうして自動巻取りされることになる。なお、この調整のためにも、巻取りリール22のスポーク構造が有効である。
【0050】
このような内部構成からなる塗膜転写具11なので、通常の使用ではテープがたるむことなどは起こらないが、何かしらのタイミングのずれによってたるんだ時には、巻取りリール22の波形溝30によって調整窓17から巻き締めることができる。
【実施例】
【0051】
基材2として両面剥離処理された厚さ12μmのPETフィルム上に、隠蔽層インキを、次の配合比率でトルエン溶液中にて分散機を用いて均一に混合して作製して、このインキを用いてリバースロールコーターで塗布乾燥後の厚さが20μmになるように、隠蔽層4を形成した。
【0052】
隠蔽層インキの配合比率は、白色顔料として酸化チタン(タイピュアR931「デュポン株式会社製」)と充填剤としてシリカ(ガジルシリカ200DF「INEOS Silicas社製」)を合わせて固形分で80重量%、ビヒクルとしてスチレン・ブタジエンブロックコポリマー(アサフレックス805「旭化成ケミカルズ株式会社製」)とスチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー(クレイトン1101JS「クレイトンポリマー社製」)を合わせて固形分で18重量%、分散剤として特殊高分子界面活性剤(ホモゲノールL−18「花王株式会社製」)を固形分で2重量%である。これより顔料比率は80%である。
【0053】
この隠蔽層4上に印刷層5を、グラビア印刷方法を用いて形成した。グラビア印刷用インキ(大阪印刷インキ製造(株)製VS−SANS黒色100%)を用いて、印刷層5の印刷部分7を厚さ1μmになるように印刷し、形成した。
【0054】
その後に、液状の粘着層インキとしてアクリル系粘着剤(ニカゾールTS−1523「日本カーバイド工業株式会社製」)を用いて、リバースロールコーターで塗布乾燥後の厚さが3μmになるように、粘着層6を形成した。
【0055】
これを、幅5mm、長さ10mのテープ状の裁断し、コアに小巻にして、塗膜転写具(ユニオンケミカー株式会社製「修正テープ消シマウスHG」)に装填した。
【0056】
印刷層5はパターンからなり、そのパターンは正方形を含む長方形からなる単位画像とその反転画像とから構成されている。
【0057】
図4は、その単位画像とその反転画像の説明図である。図4(a)が実施例1、図4(b)が実施例2、図4(c)が実施例3、図4(d)が実施例4である。図の左側が単位画像で、右側がその反転画像である。単位画像は長方形である。長方形には正方形を含む。なお、図4において境界を破線で示しており、画像は破線を含まない破線の内部である。
【0058】
図4(a)の実施例1の単位画像は、「?」という記号1文字を画像にしたものである。図4(b)の実施例2の単位画像は、「ん」というひらがな1文字を画像にしたものである。図4(c)の実施例3の単位画像は、「読」という漢字1文字を画像にしたものである。図4(d)の実施例4の単位画像は、直角三角形の4個を風車状に配置したものをさらに4個配置して画像にしたものである。
【0059】
これらのように、単位画像は、記号を含む文字の1字からなるもの、または模様からなるもの、もしくは、これらの組合せからなるものである。
【0060】
図5は、実施例1から4までのパターンの説明図である。図4のそれぞれの単位画像とその反転画像とから構成され、周期的に繰り返しているパターンであり、テープ幅に切断したものである。図5(a)が実施例1、図5(b)が実施例2、図5(c)が実施例3、図5(d)が実施例4である。
【0061】
図においては便宜上、テープ幅方向の境界およびテープ長尺方向の境界ともに線(境界線)で表しているが、実際のものにはこのような線があるわけではなく、切断による境界があるだけである。また、図が幅5mm、長さ10mのテープ状を縮小したものではなく、長さ10mのテープ長尺方向では、その一部を表しているに過ぎない。
【0062】
図5では、単位画像の上下左右にその反転画像を配置して、同様に、反転画像の上下左右にその元の単位画像を配置して、これらのようにひとつおきに単位画像とその反転画像を配置した左右方向をテープ長尺方向に一致させ、そこから右回り(時計の回転方向)に20度傾けて、周期的に繰り返しているものとしたパターンである。
【0063】
これらのように画像を配置した左右方向をテープ長尺方向に一致させると、単位画像とその反転画像とが繰り返されることで、隠蔽する文字よりも、これらが画像の方に読む意識が流れやすくなり、判読を難しくしているものと考えている。
【0064】
より判読不能にするために、右回り(時計の回転方向)に20度傾けている。この傾きは10度から30度が好ましい。これは、パターンが10度から30度の角度で傾いていることで、隠蔽する文字からなる言葉との傾きのずれを生じさせて、パターンの角度方向へ読む意識がより流れやすくなり、判読を難しくすることができるからである。この間の角度である場合が、その効果が大きい。
【0065】
なお図5において、テープ長尺方向(図の左右方向)のある範囲に区切って見た場合に、周期的な繰り返しは、図5の範囲においては表れてこない。図の左右方向にもっと長い範囲において表れてくるものである。このこともまた、10度から30度の角度で傾けた効果であり、周期的な繰り返しがわかりにくいことが、判読を難しくすることにもつながっていると考えている。
【0066】
図4の(d)のような模様ではなく、図4の(a)〜(c)にあるような記号を含む文字の1字からなる単位画像である方がさらに好ましい。このような画像である方が、単位画像とその反転画像とにおいて強弱が付いて、読む意識がこのパターンの方へ流れやすくなるからである。
【0067】
図5の実施例1から4においては、単位画像とその反転画像の境界において境界線を有していないものである。実施例5から8はそれぞれ、実施例1から4までの単位画像とその反転画像の境界において境界線を有しているものである。
【0068】
図6は、境界線を有した場合の説明図である。境界線を有して単位画像とその反転画像とから構成された4つの画像からなる部分を抽出したものである。図7は、実施例5から8までのパターンの説明図である。図5と同様に、周期的に繰り返しているものとしたパターンである。図7(e)が実施例5、図7(f)が実施例6、図7(g)が実施例7、図7(h)が実施例8である。
【0069】
これらの実施例のように、単位画像とその反転画像の境界において境界線を有していないものでも、もしくは、境界線を有しているものであってもよい。
【0070】
被転写体となる用紙にレーザプリンタで出力した11ポイントの文字の文章に、各実施例の転写塗膜を感圧転写して観察を行なった。
【0071】
すべての実施例において、出力した文字を完全に隠蔽することができており、その修正塗膜の上に水性インクでも滲まずに筆記することができた。修正塗膜の表面から隠蔽層を通して印刷層が透けて見えることはなかった。転写直後、及び1週間経過後でも、転写不良は起こっていなかった。そして、被転写体の表面から光に照らして反対の裏面から見ても、転写塗膜に形成した印刷層のパターンによって、文字からなる言葉を判読することはできなかった。
【0072】
印刷層のパターンによって判読不能にできる文字サイズは、コンピュータで通常のプリンタから出力される9から16ポイントであればよく、特に10から12ポイントが好ましい文字サイズである。印刷層のパターンは、これに適したものとなっている。
【符号の説明】
【0073】
1 感圧転写テープ
2 基材
3 修正塗膜
4 隠蔽層
5 印刷層
6 粘着層
7 印刷部分
8 印刷のない部分
9 点
10 空隙
11 塗膜転写具
12 ケース
13 転写ヘッド
14 被転写面
15 転写塗膜
16 貫通部
17 調整窓
18 側壁
19 基材テープ
20 転写テープ
21 繰出しリール
22 巻取りリール
23 繰出しリール中心軸
24 巻取りリール中心軸
25 繰出しテープガイド
26 巻取りテープガイド
27 転写ヘッド支持部
28 中間部材
29 繰出しギア
30 波形溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に転写塗膜を形成した感圧転写テープにおいて、転写塗膜は少なくとも、パターンからなる印刷層を有しており、そのパターンは、正方形を含む長方形からなる単位画像とその反転画像とから構成され、周期的に繰り返していることを特徴とするパターン付き感圧転写テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−135995(P2012−135995A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291411(P2010−291411)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000115119)ユニオンケミカー株式会社 (67)