説明

パチンコ台の調整方法と装置

【課題】
パチンコ台の新台入れ替え作業に伴うパチンコ台の釘調整を可及的に少ない調整員により、かつ、個人技に偏ることなく調整するための調整方法、および装置を得んとするものである。
【解決手段】
複数の被調整台を幅方向へ並べて支持可能な台枠を設け、その台枠に支持されたパチンコ台の前面に長手方向に沿って複数の調整員を配し、各調整員の前面に移動させたパチンコ台に対し、前記各調整員に特定の調整域の調整を担当させて行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ台の調整方法と、その調整のために使用する装置に関するもので、特に、パチンコ台の新台入れ替え作業を効率的に行うためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店は営業時間が長いため、新台の入れ替えや、据付時の釘の調整を行う作業を深夜から早朝にかけての短時間の間に終了する必要があった。しかも、この作業は、新旧台の入替作業に大きな時間を割かれるため、残された僅かの時間内に据付時の釘の調整を完了することが求められていた。
【0003】
しかしながら、短時間のうちに釘の調整を行うには熟練した調整員、いわゆる釘師を一時的に大勢投入する必要があり、人件費を増大させる一因となっていた。
【0004】
このような調整を最少にするには、工場でパチンコ台を生産する際に、調整精度を上げれば足りるとの見方もあるが、工場で多量生産される台は全て均質に生産されるので、店ごとの営業方針に従った出玉率に味付けするための精密調整は、台ごとに個別に行わざるを得ない背景がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、上記のように熟練した調整員の多数を投入して短時間で釘の調整を行う従来の方法が、熟練した調整員の多数を集めることに困難がある他、労働単価の高い深夜あるいは早朝の時間帯に多くの調整を行うため入替作業に要する人件費割合が著増する点にある。また、大勢の調整員で調整するために、多数の台の出玉率を整合させたり、調整員個人の恣意的な調節を避けることが難しくなる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は調整方法として、複数の被調整台を幅方向へ並べて支持可能な台枠を設け、その台枠に支持された被調整台の前面に長手方向に沿って複数の調整員を配し、各調整員の前面に移動させた被調整台に対し、前記各調整員に特定の調整域の調整を担当させるよう構成することを、また、調整装置として、横長の台枠の上に長手方向に沿って配したローラコンベアを設け、前記台枠の上部後方に前記ローラコンベアと平行に配置された受け枠を設けるとともに、その受け枠に被調整台のクランプ手段を設けることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るパチンコ台の調整方法と装置によれば、調整員の一人一人が遊戯面の全てを調整をする必要がなく、調整すべき部分の一部のみを担当すれば足りるから、全体を調整できる能力を備えた高度に熟練した調整員が少なくて済む。また、各調整員の受持ち範囲が小さくなるから、恣意的な調整を回避することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
雇用の容易な錬度の低い調整員によるパチンコ台の調整を、入替の効率や、店固有の味付けなど、営業上の特徴を損うことなく実現した。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明を図示の実施例によって説明する。図1、図2中、10は被調整台たるパチンコ台15の調整装置である。調整装置10は台枠11と、その台枠11に床から離して支持された同じく市販の板枠12とを有する。台枠11は市販の合成樹脂管からなる長短の縦管11a、11bを横管11cによって連結して構成されている。
【0010】
14は前記台枠11の前面に並べられた調整員のための椅子である。椅子14も市販品であり、この例では4個が置かれているが、この数は発明の構成上必須の要件ではなく、前記板枠12を立ち作業できる位置まで高くして省略することもある。このように、調整装置10の骨格をなす台枠11と板枠12、および椅子14などは材料の入手が容易である市販品を寄せ集めて構成してある。
【0011】
前記台枠11には前記パチンコ台15を支持し、それを水平方向へ移動させるためのローラコンベア16と、その上方に位置してパチンコ台15の上部後面を支承し、略鉛直方向に立てて支持するため、水平方向の合成樹脂管からなる摺動ガイド18とが設けられている。
【0012】
ローラコンベア16は前記板枠12上に固定されており、6台のパチンコ台15が載せられる長さに設定されている。ローラコンベア16の断面形状は図5で示すように、鋼板を折り曲げて断面をL形にした2枚の外側取付板17、17と、それらの間に介在させた角形鋼管19との間に、鋼板を屈曲して作った支持枠16aによって支持された合成樹脂製のローラ16bの2個を軸方向に並べ、2列のローラ列が作ってある。
【0013】
前記支持枠16aは昇降可能に支持された溝形鋼16cの上に固定されており、その溝形鋼16cは板枠12との間に介装したばね20によって上方へ弾発されている。かくて、ローラコンベア16は、その上に載せられたパチンコ台15が後述するクランプ22によって下方へ押圧されるとき、ばね20の弾力に抗して若干沈み、以後、その弾力によってパチンコ台15をクランプ22の押圧面へ押し付けて不動に固定するようになっている。
【0014】
前記摺動ガイド18は台枠11の上部に、ローラコンベア16の上部後方に位置して設けられており、ローラコンベア16の上に載せられたパチンコ台15が僅かに後方へ倒れた姿勢で保持される構成となっている。
【0015】
22は前記上部台枠11に取り付けられたクランプである。クランプ22はパチンコ台15をローラコンベア16上へ押し付けて移動しないように固定するものであり、ローラコンベア16の上に載せ得るパチンコ台15のうち、中央の4台が載るべき位置に設けられている。この位置は調整員による調整位置であり、クランプ22はカム機構、トグル機構など大きな押圧力の得られる機構を用いた市販の押圧手段がそのまま利用されている。
【0016】
24は照明灯である。照明灯24は背面をカバーで覆われた棒形の蛍光灯からなり、前記パチンコ台15の遊戯面を照明し、釘調整を容易にするべく設けられている。
【0017】
この実施例によれば、パチンコ台15をローラコンベア16の一端に載せ、その上部背面を摺動ガイド18で支えると、パチンコ台15は僅かに後方へ傾いた概ね垂直な状態に保持される。製造会社から送られたパチンコ台15は、まず、ローラコンベア16の一端に載せられるが、この位置にはクランプ22がないため、一側から他側へ自由に移動できる状態で保持される。また、他端にもクランプ22がないため、この位置へ移動されたパチンコ台15は自由に降ろして、店内の所定位置へ移動させることができる。
【0018】
次に、調整装置10の使用法を説明する。工場から運ばれてくるパチンコ台15はローラコンベア16の一端に載せられ、図3、図4中を、手で押して右から左へと送られる。ローラコンベア16には6個のステーション(I〜VI)が設定されており、最初の1個(I)と最後の1個(VI)は載せたり降ろしたりする作業の便宜のためのもの、また、それらの間の4個(II〜V)のステーションが調整用として準備されている。
【0019】
まず、最初のステーション(I)に載せられたパチンコ台15は、前面のガラス蓋(図示してない)を開き、多数の釘が打たれた遊戯面を前面に出して調整作業の準備をする。そして、手で押して次のステーション(II)へ移動させる。
【0020】
パチンコ台15がステーション(II)へ移動したところで、クランプ22によって、その位置に不動に位置決めされる。パチンコ台15は、この位置で遊戯面のおよそ1/4に相当する(A)の部分が、調整員により粗調整され、調整が済んだところでクランプ22による固定を外し、手で押して次のステーション(III)へ移動させる。
【0021】
このようにして、ステーション(III)、(IV)および、(V)において遊戯面のおよそ1/4づつの位置(B)、(C)、(D)の調整が済むと、パチンコ台15は取り出し用のステーション(VI)から、店内の所定の位置へ移され、遊戯面の全面と店内の他のパチンコ台15間との精密調整を行って営業に供される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明はパチンコ台に限らず、同様の大きさの筐体を持つ遊戯機械の調整にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】パチンコ台の調整装置を示す外観図である。
【図2】側面図である。
【図3】正面図である。
【図4】調整行程を示す正面図である。
【図5】図3中のV−V断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 パチンコ台の調整装置
11 台枠
11a 長い縦管
11b 短い縦管
11c 横管
12 板枠
14 椅子
15 被調整台(パチンコ台)
16 ローラコンベア
16a 支持枠
16b ローラ
16c 溝形鋼
17 外側取付板
18 摺動ガイド
19 角形鋼管
20 ばね
22 クランプ
24 照明灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被調整台を幅方向へ並べて支持可能な台枠を設け、その台枠に支持された被調整台の前面に長手方向に沿って複数の調整員を配し、各調整員の前面に移動させた被調整台に対し、前記各調整員に特定の調整域の調整を担当させるパチンコ台の調整方法。
【請求項2】
横長の台枠の上に長手方向に沿って配したローラコンベアを設け、前記台枠の上部後方に前記ローラコンベアと平行に配置された受け枠を設けるとともに、その受け枠に被調整台のクランプ手段を設けてなるパチンコ台の調整装置。
【請求項3】
請求項2において、前記ローラコンベアをなすローラの一部はばねによって上方へ弾発され、前記被調整台を弾性的に支持可能に構成してなるパチンコ台の調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−102028(P2006−102028A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291111(P2004−291111)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(593069325)株式会社天龍産業 (5)
【出願人】(303034517)株式会社ハマキョウレックス (3)
【Fターム(参考)】