説明

パチンコ機の遊技球発射装置

【課題】より簡易な構成をもって、遊技球の打出位置精度をより安定して確保することの出来る、新規な構造の遊技球発射装置を提供すること。
【解決手段】パチンコ機の遊技球発射装置10の発射レール46を金属板で形成して、該金属板の幅方向一方の端縁部65に形成した取付片62を介して取付ベース44に取り付けると共に、該発射レール46の案内面56において取付ベース44と反対側の幅方向端縁部65と、該案内面56の傾斜角度を調節出来るようにされた屈曲部60に設けられた該取付片62とを覆うカバー部材42を該取付ベース44に取り外し可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を発射するためにパチンコ機に設けられる遊技球の発射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、パチンコ機は、上皿などに貯留された遊技球を発射装置に案内して、ハンドルで発射装置を操作することによって、かかる遊技球を遊技領域内に打ち出して遊技を行なう。
【0003】
このような遊技球発射装置は、一般的には、パチンコ機本体に取り付けられる板状の取付ベースに、遊技球を案内するための案内面を有する案内レールが設けられて構成されていたり、例えば特許文献1に示されているように、案内レールに加えて、遊技球を打ち出すための打球槌および打球槌を駆動するためのステッピングモータやロータリーソレノイド等の駆動手段が取付ベースに設けられて構成されている。
【0004】
ところで、パチンコ機においては、遊技球の打出位置精度が高度に要求される。例えば、遊技者がハンドルを一定の位置で動かさずに保持しているにも関わらず、遊技球が打ち出される位置にばらつきがあると、始動入賞口などの目的とする位置に狙いを定めて遊技球を打ち出すことが困難となって、遊技の興趣が損なわれる。
【0005】
遊技球の打出位置は、打ち出しの方向と強さによって決定される。打ち出しの方向や強さは、打球槌を駆動せしめる駆動手段の作動安定性などに拠るところもあるが、案内レールの形状や組み付け角度に拠るところも大きい。即ち、遊技球の打出し方向が案内面の傾斜角度によって殆ど決定されることは言うまでもないが、案内レールの剛性が低く打ち出しの衝撃で案内面が容易に変形したり、打球槌との相対位置が容易に変化するようでは、遊技球の打ち出し強さを精度良く確保することも困難となる。
【0006】
従って、案内レールとしては、剛性を大きく確保して容易に変形しないようにすることが好ましい。案内レールの剛性を確保するためには、案内レールを剛性の大きなブロック構造をもって形成したり、取付ベースに案内レールを一体プレス成形すること等が考えられる。しかし、案内レールをブロック構造とすると製造コストの増大や重量の増加を招く。また、案内レールを取付ベースに一体プレス成形してしまうと、案内面の傾斜角度を調節することが困難となって、僅かな位置ズレにも対応することが困難となる。更に、案内レールを取付ベースに一体プレス成形するためには、取付ベースが案内レールとして好適な摩擦係数を有する材料であることが必要とされる。ところが、取付ベースとしての機能を充分に発揮せしめるためには、パチンコ機の本体にガタツキ無く安定して取り付けたり、打球槌を駆動せしめるソレノイド等をネジ止め等で安定して固定するために、ある程度の摩擦係数を有する材料であることが好ましい。これに対して、案内レールとしての機能を充分に発揮せしめるためには、遊技球を円滑に案内するために、摩擦係数の低い材料であることが好ましい。これら相反する特性を両立することは困難である。
【0007】
そこで、従来では、例えば特許文献1にも示されているように、パチンコ機の本体に確実に取り付けることが出来て、十分な強度を有する取付ベースを構成すると共に、取付ベースとは別体の金属板のプレス成形品として案内レールを形成する構造が採用されている。
【0008】
そして、案内レールとしての剛性を確保するために、特許文献1においては、全長に亘って端縁部を折り曲げて補強リブ構造とし、補強リブの部分が取付ベースに対してネジ止め固定された構造が採用されている。更に、特に形状安定性が要求される案内面の先端部分には、案内面と反対側の面にブロック形状の補強ベースを組み付けることによって、剛性の確保と調節容易性の確保が図られている。
【0009】
しかし乍、特許文献1に記載の如き従来構造では、案内レールを構成するために金属板に加えて補強ベースなどの部材が必要となって、部品点数の増加に起因する構造の複雑化等の問題があった。しかも、かかる従来構造では、補強ベースや補強リブによる補強がなされてはいるものの、案内レールが金属板によるプレス成形品であることから、変形のおそれを充分に防止出来るものとは言い難い。特に、補強リブが案内面の全長に亘って大型に形成されており、作業者に向かって対向するように鉛直下方に広がって形成されていることから、作業者の手やドライバ等の工具が補強リブに正面から打ち当たり易い。そして、補強リブが案内面と一体形成されていることから、補強リブへの打ち当たりの衝撃が案内面に伝播して案内面を変形せしめてしまうおそれがあった。
【0010】
【特許文献1】特開2005−152477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、より簡易な構成をもって、遊技球の打出位置精度をより安定して確保することの出来る、新規な構造の遊技球発射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0013】
すなわち、本発明の第一の態様は、遊技球を斜め上方に向かって案内する案内面を形成する案内レールパチンコ機本体に固定される板状の取付ベースに取り付けられてなるパチンコ機の遊技球発射装置において、該案内レールが所定の長さ寸法を有する金属板で形成されていると共に、該金属板の長さ方向に直交する幅方向の一方の端縁部から該案内面と反対の裏面側に向かって突出する取付片が一体形成されており、該取付ベースに突設された取付部に該取付片が重ね合わされて固着されることによって該金属板が該取付ベースに固定される一方、該案内面の長さ方向で該発射位置と反対側に位置する先端部分において下方に延びる屈曲部が一体形成されていると共に、該屈曲部の形成部分にも該取付片が形成されており、該取付片の該取付部に対する固着部分において該案内面の先端部分における長さ方向の傾斜角度を設定することが出来るようにされており、更に、該取付ベースに重ね合わされて、該案内面を外部に露出せしめた状態で、該金属板における該取付ベースと反対側の端縁部と該取付片とを覆うカバー部材が、該取付ベースに対して取り外し可能に組み付けられていることを、特徴とする。
【0014】
本態様に従う構造とされたパチンコ機の遊技球発射装置においては、案内レールが単一の金属板によって形成されていることから、部品点数を抑えることが出来る。これにより、構造を簡易にすることが出来て、軽量化や製造コストの軽減を図ることが出来る。更に、屈曲部に形成された取付片の取付部に対する固着部分において、案内面の先端部分における傾斜角度が設定可能とされていることによって、例えば遊技板と遊技球発射装置をパチンコ機の本体に組み付けた際に、これらの間に僅かな位置ズレが生じていた場合でも、組み付け後に案内面の傾斜角度を調節することによって、かかる位置ズレを修正することが出来る。また、遊技球の繰り返しの打ち出し等に起因して、案内面の傾斜角度が変化した場合でも容易に修正することが出来る。そして、特に本態様によれば、案内面の先端部分から連続する屈曲部の傾斜角度を調節することによって、遊技球の発射角度に大きく影響する案内面の先端部分の傾斜角度を調節することが可能とされており、遊技球の発射角度を効果的に調節することが出来る。
【0015】
なお、本態様においては、案内レールが金属板によって形成されており、幅方向一方の端縁部に形成された取付片を介して、略片持ち支持の状態で取付ベースに取り付けられている。それ故、案内レールそれ自体の剛性は必ずしも高くはない。そこにおいて、本態様によれば、案内面における取付ベースと反対側の端縁部をカバー部材で覆うことによって、かかる端縁部へのパチンコ機正面からの作業者の手や工具等の衝突を防止することが出来る。これにより、案内レール、特に案内面の変形を抑えることが出来て、簡易な構成をもって遊技球の打出位置精度をより安定して確保することが出来る。更に、本態様においては、案内面に加え、屈曲部に形成された取付片もカバー部材で保護することによって、不用意に取付片に手や工具が接触して案内面の傾斜角度が変化せしめられるおそれもより有効に軽減することが出来て、遊技球の打出位置精度を更に安定して確保することが可能とされる。なお、本態様において、屈曲部に形成された取付片に加えて、それ以外の取付片をカバー部材で覆うことも可能である。このようにすれば、案内レールの形状安定性をより有利に確保することが出来る。
【0016】
そこにおいて、特に本態様においては、案内面を外部に露出せしめた状態でカバー部材が組み付けられるようになっている。これにより、案内面の清掃などを容易に行うことが出来て、メンテナンス性を損なうことなく、案内面を保護することが可能とされている。また、案内面がカバー部材で覆われていないことから、球詰まりのおそれも回避され得る。
【0017】
なお、本態様におけるパチンコ機の遊技球発射装置としては、取付ベースに発射レールのみが設けられて、遊技球を打ち出す打球槌と該打球槌を駆動せしめる駆動手段が該取付ベースとは別に設けられていても良いが、本発明の第二の態様として、前記第一の態様に係るパチンコ機の遊技球発射装置において、打球槌が前記取付ベースと平行な方向で往復動可能に取り付けられていると共に、打球槌に駆動力を及ぼす駆動手段が該取付ベースに取り付けられており、これら打球槌と駆動手段を含んで遊技球を打ち出す打球手段が構成されている一方、該打球槌の往復動領域を全体に亘って覆うように前記カバー部材が該取付ベースに取り付けられている態様も、好適に採用され得る。
【0018】
このようにすれば、取付ベースに発射レール、打球槌、駆動手段を設けることが出来て、これらを一体的に取り扱うことが出来る。そして、打球槌の往復動領域の全体をカバー部材で覆うことによって、打球槌の往復動領域内にゴミ等が入り込んで打球槌の駆動を阻害するようなおそれも軽減することが出来る。その結果、打球槌を安定して駆動せしめることが出来て、遊技球の打出位置精度をより安定して確保することが出来る。なお、本態様において、駆動手段は、カバー部材に覆われていても、いなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向および左右方向とは、原則として、遊技者から見た上下方向および左右方向をいうものとし、表面、裏面および前面、後面についても、原則として、遊技者から見た表面、裏面、および前面、後面をいうものとする。
【0020】
図1に、本発明の一実施形態としての遊技球発射装置に係る発射ユニット10を備えるパチンコ機11を示す。パチンコ機11は、縦長な方形状に枠組み形成された外枠12を備えている。外枠12には、その一側において開閉自在に軸支された状態で、パチンコ機の主要構成部の略全てが集約して設けられる本体としての中枠14(図2参照)が組み付けられている。また、中枠14の表側には、中枠14に対して裏側から取り付けられた遊技盤16を透視保護するためのガラス板を備えたガラス枠18と、上皿20を備えた上皿板22、上皿20の下方に配設される下皿24および下皿24の右方に突設された発射ハンドル26を備えた下皿板27がそれぞれ中枠14の一側に開閉自在に軸支された状態で組み付けられている。そして、遊技者が発射ハンドル26に対して回動可能に装着された発射レバー28を回動操作することにより、上皿20に貯留された遊技球が球送り機構(図示せず)を介して発射ユニット10に送られた後、遊技盤16に形成された遊技領域30に向けて発射されるようになっている。なお、図1および後述する図2においては、遊技領域30に設けられる例えば液晶表示装置やセンター役物、多数の釘などを省略して示す。
【0021】
図2に、中枠14からガラス枠18、上下皿板22,27を取り外したパチンコ機11を示す。遊技盤16は略矩形板形状を有する遊技板32を備えており、図2に示すように、遊技板32の表面側には、ガイドレール34が固定されている。ガイドレール34は、例えば薄肉の金属板等の板状の部材が略円弧形状に丸められた構造とされており、その幅方向を遊技板32の面の広がり方向に対して直立するようにして遊技板32に固定されている。これにより、ガイドレール34によって、遊技板32の表面側には、正面視において略円形の遊技領域30が区画形成されている。更に、ガイドレール34の下側の先端部分には、ガイドレール34がやや下方に屈曲せしめられることによって、傾斜面36が形成されている。また、傾斜面36の基端部からガイドレール34の延出方向において所定の寸法に亘って、ガイドレール34の幅方向表面側の端部から立ち上がって遊技球の落下を防止する壁部材38が遊技板32に取り付けられるなどして設けられている。
【0022】
そして、中枠14の表面側の右下部分に、発射ユニット10が取り付けられている。図3及び図4に、発射ユニット10を示す。発射ユニット10は、遊技球を打ち出す打出装置40の表面側の略全体がカバー部材42で覆われた構造とされている。なお、カバー部材42は透明の部材とされており、後述する発射レール46を取り付けるためのネジ66,68や打球槌48等のカバー部材42内に収容状態で配設される各部材がカバー部材42を通じて外部から視認可能とされているが、図3、4においては、理解を容易とするために、これらの図示を省略する。
【0023】
図5乃至図7に、打出装置40を示す。打出装置40は、例えばアルミニウム等の金属や適当な樹脂材料等から形成された板状の取付ベース44の一方の板面を構成する前面45に対して、遊技球を案内する案内レールとしての発射レール46や、遊技球を打ち出す打球槌48、打球槌48を駆動するための駆動手段としてのロータリーソレノイド50等が設けられた構造とされている。
【0024】
取付ベース44は、側方から斜め上方に突出する突出部52を備えた板形状とされており、適当な箇所に、複数の本体用ネジ孔54aと複数のカバー用ネジ孔54bが厚さ方向に貫設されている。
【0025】
そして、このような構造とされた取付ベース44に、発射レール46が取り付けられている。発射レール46は、例えばアルミニウム等から形成された所定の長手方向寸法と略一定の幅寸法を有する薄板状の金属板が屈曲せしめられて形成されており、所定寸法に亘って略一直線に延びる遊技球の走行領域としての案内面56を有すると共に、案内面56の基端部57には、案内面56から垂直に立ち上がるように屈曲せしめれた係止壁部58が形成されている一方、案内面56の延出方向において基端部57と反対側の先端部59には、先端部59から連続して、案内面56の延出方向に対して俯角を形成する下方に屈曲せしめられた屈曲部としてのストッパ部60が形成されている。そして、遊技球は、案内面56の基端部57から先端部59に向けて案内面56上を走行せしめられることとなる。このように、本実施形態においては、基端部57が遊技球の発射位置とされている。
【0026】
さらに、案内面56には、幅方向中央部分が窪んだV字状に屈曲形成された案内凹部61が形成されている。案内凹部61は、案内面56の基端部57から延び出して、案内面56の延出寸法よりもやや小さな延出寸法をもって形成されており、案内面56の基端部57側において案内面56の略全幅に亘る幅寸法を有すると共に、案内面56の先端部59に行くに連れてその幅寸法が次第に小さくされた略三角の上面視形状を有している。かかる案内凹部61によって、遊技球が案内面56上を幅方向でブレることなく走行せしめられるようになっている。また、係止壁部58には、所定の幅寸法をもって案内面56との接続部分から立ち上がる打球用窓63が形成されている。かかる打球用窓63の幅寸法および高さ寸法の少なくとも一方は、正規の遊技球の径寸法よりも僅かに小さく、且つ、正規の遊技球の通過を防止し得る範囲で可及的に大きな寸法とされる。本実施形態においては、打球用窓63の幅寸法が、正規の遊技球の径寸法よりも僅かに小さくされている。これにより、正規の遊技球よりも小さな径寸法を有する不正な遊技球が案内面56上に案内された場合には、打球用窓63を通じて案内面56上から排出されて、遊技領域30に打ち出されることの無いようにされている。
【0027】
また、発射レール46には、幅方向(図5における紙面に対する垂直方向)の一方の端縁部65から、案内面56と反対の裏面側に向けて、案内面56の広がり方向に対して略垂直に立ち上がる複数の取付片62が一体形成されている。これら取付片62は、発射レール46の幅方向端縁部65に一体形成されて幅方向外方に突出する突出片が案内面56が外側となるように屈曲せしめられて形成されたものであり、それぞれの取付片62には、厚さ方向に貫通するネジ挿通孔が1つ形成されている。特に本実施形態においては、取付片62は、ストッパ部60の先端部分および係止壁部58の先端部分にそれぞれ1つと、案内面56の適当な箇所に案内面56の延出方向で適当な間隔を隔てて一対の合計4つが形成されている。このように、リブ構造の取付片62が複数形成されることによって、発射レール46の剛性が高められている。
【0028】
一方、取り付けベース44には、内周面にネジ孔が形成された円筒状の部材が取り付けられることによって、前面45の広がり方向に対して略直交して突出せしめられた複数(本実施形態においては、4つ)の取付部としてのボス部64が形成されている。そして、図7に示すように、発射レール46の取付片62が、ボス部64の突出先端面に重ね合わされて、ネジ66乃至は調節ネジ68で固定されることによって、発射レール46が取付ベース44に固定されるようになっている。これにより、発射レール46が、取付ベース44に対して、その幅方向を取付ベース44の前面45の広がり方向に対して略直交せしめて前面45から立ち上がると共に、案内面56の延出方向を取付ベース44の前面45と平行に延びるようにして、突出部52の上端面を延びるように取り付けられている。このことから明らかなように、本実施形態における発射レール46は、幅方向の一方の端縁部65に形成された取付片62が取付ベース44に固定されることによって取付ベース44に組み付けられており、かかる取付片62による略片持ち支持の状態で取付ベース44に取り付けられている。そこにおいて、本実施形態においては、取付片62が発射レール46の全長に亘ることなく、部分的に形成されていることから、取付ベース44への取付に際して、取付ベース44のボス部64に形成されたビス孔を容易に視認することが可能とされており、組み付け作業も容易に行うことが出来る。なお、図6に示すように、取付ベース44には、略L字状の切欠70が厚さ方向に貫通して形成されており、発射レール46の案内面56において取付片62が形成された側と反対側の幅方向端縁部の一部と係止壁部58の幅方向の端縁部が、切欠70に差し込まれるようになっている。これにより、発射レール46の弾性変形量を制限して発射レール46の塑性変形が防止されている。
【0029】
かかる組み付け状態において、発射レール46のストッパ部60は、案内面56の先端縁部から連続して下方に延び出すと共に、取付ベース44の突出部52の突出先端縁部72から僅かに突出して位置せしめられている。ここにおいて、ストッパ部60に設けられた取付片62は、突出部52の突出先端部分に形成されたボス部64に重ね合わされて、例えばフランジ付きネジ等の調節ネジ68によって固定されている。これにより、調節ネジ68を締結方向乃至はその反対方向に回すことによって、取付片62が回動せしめられて、ストッパ部60延いてはこれと連続する案内面56、特に案内面56の先端部59の水平方向に対する傾斜角度が調節可能とされている。例えば、本実施形態においては、図5における調節ネジ68を締め込む(図5中、時計回りに捻じ込む)と、取付片62が時計回りに回転せしめられて、ストッパ部60延いては案内面56の先端部59が上方に変位せしめられる。一方、調節ネジ68を緩める(図5中、反時計回りに緩める)と、取付片62が反時計回りに回転せしめられて、ストッパ部60延いては案内面56の先端部59が下方に変位せしめられる。このように、本実施形態においては、調節ネジ68を含んで調節部が構成されている。これにより、取付ベース44を中枠14に組み付けた後でも、案内面56の傾斜角度を調節することが可能とされている。そして、遊技球の発射方向に大きな影響を及ぼす先端部59の傾斜角度を、先端部59に直結するストッパ部60の傾斜角度を調節することによって、有利に調節することが出来る。
【0030】
さらに、案内面56の基端部57の上方には、位置決め部材74が配設されている。位置決め部材74は、好適には、金属性粉末が混合された樹脂材料等の比較的硬質の部材から形成されており、一つの面が傾斜面76とされたブロック形状とされている。位置決め部材74には、幅方向(図5中、紙面に対する垂直方向)に貫通するビス孔78が形成されており、かかるビス孔78が取付ベース44の厚さ方向に貫設されたビス孔と重ね合わされて、図示しないビスで取付ベース44に取り付けられるようになっている。かかる取付状態において、位置決め部材74は、傾斜面76の突出端縁部80と一辺を共通する底面82を係止壁部58と重ね合わせるようにして、突出端縁部80が案内面56の基端部57に対して、係止壁部58の延出方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられるようになっている。なお、突出端縁部80と案内面56の基端部57との係止壁部58の延出方向での離隔距離は、遊技球の径寸法よりも僅かに大きくされており、案内面56上に案内された遊技球は、突出端縁部80と案内面56の間に位置せしめられて、係止壁部58で係止されるようになっている。
【0031】
さらに、取付ベース44には、駆動手段としてのロータリーソレノイド50が取り付けられている。ロータリーソレノイド50の回転軸(図示せず)側の端面には、取付板84が接着等で取り付けられており、かかる取付板84が、取付ベース44に突出形成されたボス部86にフランジ付きネジ88で固定されることによって、ロータリーソレノイド50が、取付ベース44に対して回転軸を垂直に向けた状態で取り付けられている。なお、ロータリーソレノイド50は、図示しない発射制御基板を介して発射レバー28と電気的に接続されており、発射レバー28が回動せしめられることによって励磁電流が供給されるようになっている。
【0032】
一方、打球槌48は、例えば鉄などの比較的硬質の材料から形成された略L字状の部材とされており、一方の先端部には、槌先バネ90が僅かに突出して外装状態で取り付けられると共に、他方の端部が、ロータリーソレノイド50の回転軸に直接的に取り付けられている。これにより、打球槌48は、ロータリーソレノイド50を介して取付ベース44の前面45に取り付けられており、ロータリーソレノイド50の回転軸を揺動軸として取付ベース44の前面45に対して平行な方向で往復揺動可能とされている。
【0033】
そして、発射レバー28が回動せしめられて、ロータリーソレノイド50に励磁電流が供給されると、打球槌48は、図5に実線で示す復帰位置から発射レール46に向けて(本実施形態においては、図5中、反時計回りに)回動せしめられて、取付ベース44に一体的に設けられた発射位置ストッパ92で停止せしめられることによって、図5に一点鎖線で示す発射位置にまで回動せしめられる。そして、打球槌48の槌先バネ90が打球用窓63から案内面56の基端部57上に突出せしめられて、基端部57に案内された遊技球に槌先バネ90が打ち当てられることによって、遊技球が先端部59に向けて打ち出されるようになっている。なお、打球槌48は、発射位置において、槌先バネ90が案内面56に対して接近する所定の傾斜角度をもって、遊技球の中心よりもやや上部を叩くようにされている。また、打球槌48の回動速度、即ち、打ち出し強さは、例えば、発射レバー28からロータリーソレノイド50に至る電気的接続経路上に設けられた図示しない可変抵抗器などにより、発射レバー28の回動量に応じてロータリーソレノイド50への励磁電流が変化せしめられることによって調節されるようになっている。そして、遊技球を発射した後は、ロータリーソレノイド50のトルクが消失し、打球槌48は、発射位置ストッパ92への衝突による反動と自重によって逆方向に(本実施形態においては、図5中、時計回り方向に)回動せしめられて、取付ベース44に一体的に設けられた復帰位置ストッパ94によって、復帰位置で停止せしめられる。このように、打球槌48は、復帰位置と発射位置の間を往復揺動せしめられるようにされており、復帰位置から発射位置までの領域が、打球槌48の往復動領域としての可動領域96とされている。また、打球槌48とロータリーソレノイド50を含んで、遊技球を打ち出す打球手段が構成されており、本実施形態においては、発射レール46と共に、打球手段が取付ベース44に取り付けられている。
【0034】
このような構造とされた打出装置40に対して、カバー部材42が取り付けられる。図8乃至図11に、カバー部材42を示す。カバー部材42は、例えばポリカーボネイト(PC)等の透明な硬質の樹脂材料から形成されており、正面の投影視において、打出装置40における発射レール46と取付ベース44で囲まれた領域と略等しい形状を有する天板98と、天板98の外周縁部において天板98から立ち上がる周壁100が一体形成された、全体として一方に開口する略箱体形状とされている。これにより、カバー部材42には、正面視において外方に突出して、取付ベース44の突出部52と略等しい正面視形状を有する突出部102が形成されている。また、天板98には、取付ベース44への取付状態においてネジ66,68、88と重なり合う位置に、これらのネジ66,68,88との干渉を避けるために周壁100の突出方向と反対方向に僅かに突出するネジ避け突部103が形成されている。さらに、天板98には、ロータリーソレノイド50の軸方向視における径寸法より僅かに大きな径寸法を有する円形の挿通孔104が厚さ方向に貫設されている。
【0035】
一方、周壁100は、天板98の外周縁部において一定の突出寸法をもって形成されている。そして、周壁100において発射レール46と重なり合う部位には切欠106が形成されている。換言すれば、天板98の外周縁部において発射レール46と重なり合う部位には周壁100が形成されていない。また、切欠106が形成された部位には、天板98の外周縁部からやや内方の位置に、周壁100よりも小さな突出寸法を有する補強リブ108が突出形成されている。
【0036】
さらに、周壁100においてカバー部材42の底面を構成する部位の適当な箇所には、切欠状の排出孔110が厚さ方向に貫設されている。ここにおいて、排出孔110の大きさは特に限定されるものではないが、好適には、遊技球が通過し得る大きさ以上に形成される。
【0037】
また、カバー部材42には、天板98の面の広がり方向に対して略垂直に突出する取付用ボス112および挿通用ボス114が一体形成されている。取付用ボス112は、突出方向の先端側が天板98側よりも小径とされた段付円筒形状とされており、その軸寸法が、周壁100の天板98からの突出寸法と略等しくされている。そして、取付用ボス112において小径とされた部分の内周面にはネジ溝が形成されている。かかる取付用ボス112は、カバー部材42の取付ベース44への取付状態において、取付ベース44のカバー用ネジ孔54bと重なり合う位置に形成されている。一方、挿通用ボス114は、一定の内径寸法を有する円筒形状とされており、その軸寸法が、周壁100の天板98からの突出寸法と略等しくされている。挿通用ボス114は、カバー部材42の取付ベース44への取付状態において、取付ベース44の本体用ネジ孔54aと重なり合う位置に形成されている。
【0038】
このような構造とされたカバー部材42が、図12に示すように、取付用ボス112の突出方向を取付ベース44に向けて、取付ベース44の前面45側から重ね合わされる。これにより、取付ベース44に形成されたカバー用ネジ孔54bと、カバー部材42に形成された取付用ボス112が重ね合わされる。そして、カバー固定ネジ116が取付用ボス112に螺合せしめられると共に、取付用ボス112から突出せしめられてカバー用ネジ孔54bに螺合されることによって、これら取付用ボス112とカバー用ネジ孔54bがカバー固定ネジ116で互いに固定される。これにより、カバー部材42が取付ベース44に固定されて、発射ユニット10が構成される。
【0039】
そして、発射ユニット10は、取付ベース44において発射レール46や打球槌48が設けられている前面45と反対側の面が、パチンコ機11の中枠14に重ね合わせられる。詳細な図示は省略するが、中枠14にはネジ孔118が形成されており、取付ベース44の本体用ネジ孔54aがかかるネジ孔118に重ね合わされることによって、取付ベース44が中枠14に対して位置決めされる。そして、本体固定ネジ120が挿通用ボス114に挿通されて、取付ベース44の本体用ネジ孔54aと中枠14のネジ孔118に螺合せしめられることによって、取付ベース44が中枠14に取り付けられる。これにより、発射ユニット10が中枠14に取り付けられることとなる。
【0040】
かかる中枠14への取り付け状態において、図2に示したように、発射レール46における案内面56は、先端部59を遊技板32に設けられたガイドレール34に向けて、先端部59を係止壁部58よりも鉛直方向上方に位置せしめた所定の傾斜角度をもって配設されている。かかる傾斜角度は、案内面56の延出方向の延長線が、遊技板32に設けられたガイドレール34における傾斜面36との接続部分に繋がる角度とされることが好ましい。更に、案内面56の先端部59とガイドレール34における傾斜面36の先端縁部は、案内面56の延出方向で所定距離を隔てて位置せしめられており、これら案内面56の先端部59と傾斜面36の先端縁部との間には、ファール球排出孔122が形成されている。これにより、十分な打ち出し強さを与えられた遊技球は案内面56上を斜め上方に向かって走行せしめられて、先端部59からガイドレール34に向けて斜め上方(本実施形態においては、斜め左上方向)に飛び出して、ファール球排出孔122を飛び越えた後にガイドレール34に案内されて遊技領域30内に打ち出される一方、打出し強さが不十分で、遊技領域30に至ることなくガイドレール34を逆流せしめられた遊技球は、かかるファール球排出孔122に落下するようにされている。なお、ファール球排出孔122へ落下した遊技球は、図示しない案内路を通じて下皿24に戻されるようになっている。
【0041】
そして、このような構造とされた発射ユニット10は、図13に示すように、カバー部材42の取付状態において、案内面56において取付ベース44と反対側の幅方向端縁部65、換言すれば、パチンコ機11の正面側(表面側)に位置する幅方向端縁部65よりも前方にカバー部材42の天板98が位置せしめられて、パチンコ機11の正面側(表面側)から覆われる。これにより、案内面56への作業者の手や工具などの正面からの打ち当たりを防ぐことが出来て、案内面56の形状を安定して保持することが出来る。
【0042】
加えて、カバー部材42の天板98は、調節ネジ68の頭部および調節ネジ68で固定されるストッパ部60に設けられた取付片62にも重ね合わされるようになっており、調節ネジ68とストッパ部60に設けられた取付片62もカバー部材42によってパチンコ機11の正面側(表面側)から覆われるようになっている。これにより、調節ネジ68やストッパ部60に設けられた取付片62への作業者の手や工具などの正面からの打ち当たりを防ぐことが出来て、調節ネジ68やストッパ部60に設けられた取付片62が不用意に動かされて、案内面56の傾斜角度が変更せしめられてしまうおそれも軽減されている。また、特に本実施形態においては、全ての取付片62がカバー部材42で保護されており、発射レール46の形状安定性がより高度に保持されるようになっている。
【0043】
このように、本実施形態においては、案内面56の幅方向一方の端縁部65および調節ネジ68とこれに固定された取付片62がカバー部材42でパチンコ機11の正面側から覆われて保護されており、案内面56の形状及び傾斜角度を安定して所期の状態に保持することが可能とされている。これにより、遊技球の打ち出し角度および打ち出し強さの精度をより安定して保持することが出来るのである。
【0044】
さらに、特に本実施形態においては、カバー部材42によって、打球槌48の可動領域96の略全体もパチンコ機11の正面側(表面側)から覆われるようになっている。これにより、打球槌48もカバー部材42で保護することが可能とされており、案内面56に対する打球槌48の位置をより安定して保持することが出来る。その結果、遊技球の打ち出し角度および打ち出し強さの精度を更に安定して保持することが可能とされている。
【0045】
そして、特に本実施形態におけるパチンコ機11は、上皿板22に加えて、下皿板27も開放可能とされていることから、上下皿板22,27が開放されると、案内面56の幅方向端縁部65、調節ネジ68とこれに固定される取付片62、打球槌48の可動領域96の略全体がパチンコ機11の正面側に露出し得る。しかし、本実施形態における発射ユニット10は、案内面56の幅方向端縁部65、調節ネジ68、打球槌48の可動領域96がカバー部材42でパチンコ機11の正面側から覆われていることによって、これら全てを保護することが可能とされているのである。それと共に、カバー部材42が透明とされていることから、カバー部材42を取り付けた状態においても、発射ユニット10の内部を容易に視認することが可能とされている。
【0046】
加えて、特に本実施形態における発射ユニット10は、カバー部材42に形成された切欠106に発射レール46が配設されることによって、案内面56がカバー部材42の上端部に位置せしめられて、カバー部材42の上方に露出せしめられている。これにより、案内面56の清掃等のメンテナンスも容易に行うことが可能とされている。また、案内面56が露出されていることから、カバー部材42が案内面56上における遊技球の走行を阻害することも無く、球詰まりなどのおそれも回避されている。
【0047】
更にまた、位置決め部材74も、カバー部材42の外部に配設される。これにより、位置決め部材74の位置調節や、遊技球の繰り返しの打ち当たりに起因して損傷し易い位置決め部材74の交換も容易に行うことが出来る。
【0048】
さらに、カバー部材42の取付状態において、カバー部材42内には、打球用窓63と排出孔110を繋ぐ排出領域124(図3参照)が形成される。ここにおいて、排出領域124は、打球用窓63から排出孔110にかけて、少なくとも正規の遊技球の径寸法よりも大きな隙間寸法をもって形成されることが好ましい。これにより、例えば正規の遊技球よりも小さい径寸法を有する不正な遊技球等は打球用窓63から排出領域124を通じて、排出孔110からカバー部材42外に自然落下で排出される。このように、本実施形態によれば、不正な遊技球を排出孔110が形成された特定場所に導くことが可能とされており、不正な遊技球がパチンコ機11内の様々な場所に飛散したりすることを防ぐことが出来て、不正な遊技球を容易に回収することが出来ると共に、不正な遊技球が飛散することによってパチンコ機11内の各装置の作動が阻害されるおそれも軽減することが可能とされている。なお、排出孔110から排出された不正な遊技球等は、排出孔110の下方に配設した枡状の部材で回収したり、正規の遊技球とは異なる流路を通じて排出したりすることも出来る。また、何等かの原因でカバー部材42内に入り込んだ正規の遊技球やゴミなども排出孔110から排出することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態における発射ユニット10は、カバー部材42に貫設された挿通孔104を通じて、ロータリーソレノイド50がカバー部材42の外部に露出せしめられている。これにより、ロータリーソレノイド50の放熱も有利に行われる。
【0050】
さらに、本実施形態における発射ユニット10は、取付ベース44を中枠14に取り付けるための本体用ネジ孔54aと、カバー部材42を取付ベース44に取り付けるためのカバー用ネジ孔54bが別個に形成されており、本体用ネジ孔54aに螺合せしめられる本体固定ネジ120は取付ベース44と中枠14とを互いに固定する一方、カバー用ネジ孔54bに螺合せしめられるカバー固定ネジ116は取付ベース44とカバー部材42を固定するようにされている。これにより、本体固定ネジ120のみを取り外せば、発射ユニット10をカバー部材42を取り付けたままで中枠14から取り外すことが出来ると共に、カバー固定用ネジ116のみを取り外せば、取付ベース44を中枠14に取り付けたままで、カバー部材42のみを中枠14から取り外すことが出来る。即ち、必要に応じて、発射ユニット10ごと、或いはカバー部材42のみを中枠14から取り外すことが可能とされており、優れたメンテナンス性を得ることが出来る。また、取付ベース44にカバー部材42を取り付けた状態で発射ユニット10のみを搬送したりすることも可能になると共に、カバー部材42によって、搬送に際して取付ベース44に取り付けられた発射レール46や打球槌48を他部材との接触から保護することも可能となる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0052】
例えば、カバー部材の形状は限定されるものではなく、前記実施形態において、発射レール46の案内面56の幅方向一方の端縁部65およびストッパ部60に設けられた取付片62のみを覆うものでも良い。従って、本発明における遊技球発射装置としては、取付ベースに発射レールと案内面の調節部のみを備えたものでも良く、打球槌および打球槌を駆動せしめる駆動手段は取付ベースと分離して設けられても良い。更に、排出孔110は必ずしも必要ではないが、排出孔110の位置も限定されるものではなく、カバー部材42における側方に開口せしめられていても良い。加えて、周壁100も必ずしも必要ではないのであって、例えば、周壁100を備えることなく、天板98と天板98から突出する取付用ボス112および挿通用ボス114のみによってカバー部材を構成するなどしても良い。更にまた、カバー部材は必ずしも単一の部材から形成される必要は無く、例えば前記実施形態において、案内面56の幅方向一方の端縁部65と調節ネジ68を覆うカバー部材と、打球槌48の可動領域96を覆うカバー部材が別体構成とされた分割構造とするなどしても良い。
【0053】
また、カバー部材と取付ベースの固定構造は、好ましくはカバー部材が取付ベースに対して取外し可能とされるものが採用されるが、必ずしもネジ止めに限定されるものではなく、例えば、カバー部材に係止爪などを形成して、カバー部材を取付ベースに対して取外し可能に係止せしめて取り付けるなどしても良い。更に、前記実施形態においては、カバー固定ネジ116と本体固定ネジ120を別個に設けて、取付ベース44とカバー部材42の着脱を各々独立して行うことが可能とされていたが、例えば、カバー固定ネジ116を取付ベース44から突出するようにして、カバー固定ネジ116のみによって取付ベース44とカバー部材42を中枠14に取り付けるようにする等しても良い。
【0054】
更にまた、前記実施形態においては、打球槌48を駆動せしめる駆動手段としてロータリーソレノイド50が用いられていたが、駆動手段は限定されるものではないのであって、例えば、駆動手段としてステッピングモータ等の電動モータを用い、電動モータとは別位置で打球槌を取付ベースに回動可能に設けると共にコイルスプリング等で発射位置に付勢して、カムを介して付勢方向と逆方向に回動せしめた後にカムと打球槌の当接を解除することでコイルスプリングの弾性によって発射位置まで作動せしめて遊技球を打ち出すようにしたり、駆動手段としてプランジャ型ソレノイドを用い、プランジャ型ソレノイドの可動鉄芯に直接に打球槌を取り付けて、可動鉄芯の直線駆動によって打球槌を直線上に往復動せしめるようにする等しても良い。
【0055】
なお、上記実施形態から把握できる本発明の好適な技術思想について以下に記載する。
【0056】
(1)前記取付ベースを前記パチンコ機の本体に取り付ける本体取付部と、前記カバー部材を該取付ベースに取り付けるカバー取付部とが別個に設けられている請求項1又は2に記載のパチンコ機の遊技球発射装置。
【0057】
このようにすれば、取付ベースとカバー部材の各々を、独立して着脱することが出来る。これにより、例えば取付ベースをパチンコ機の中枠に取り付けた状態でカバー部材のみを取り外したり、カバー部材を備えたまま発射ユニットごと中枠から取り外したりすることが出来て、メンテナンス性も高められる。また、取付ベースにカバー部材を取り付けた状態で発射ユニットを運搬したりすることも出来る。前記実施形態においては、本体用ネジ孔54aおよび挿通用ボス114を含んで本体取付部が構成されている一方、カバー用ネジ孔54bおよび取付用ボス112を含んでカバー取付部が構成されている。
【0058】
(2)前記カバー部材に、厚さ方向に貫通せしめられた排出孔が形成されている請求項1又は2又は技術思想(1)に記載のパチンコ機の遊技球発射装置。
【0059】
このようにすれば、何等かの原因でカバー部材内に入り込んだビスや遊技球を排出孔から排出することが出来て、ビスや遊技球がカバー部材内に滞留して発射ユニットの作動を阻害するおそれを軽減することが出来ると共に、ビスや遊技球を排出孔に集めて、容易に回収することも出来る。より好適には、前記案内面における遊技球の走行方向の基端部に、使用可能な遊技球を係止する一方、使用不可能な遊技球を通過せしめて前記カバー部材の内部空間に案内する係止部を設けると共に、該カバー部材の内部空間に、該係止部と前記排出孔を連通する排出領域を形成した態様が採用される。このようにすれば、正規の遊技球よりも小さな径寸法を有する不正な遊技球が球送り機構などによって案内面上に案内された場合には、係止部を通過せしめて、遊技領域に打ち出すことなく、排出領域を通じて排出孔から発射ユニットの外部に排出することが出来る。このように、カバー部材を利用することによって、特別な部材を要することなく、不正な遊技球を排出孔が設けられた特定の場所に案内する不正球の排出流路を構成することが出来て、不正な遊技球の回収を容易に行うことが出来る。前記実施形態においては、係止壁部58によって係止部が構成されており、係止壁部58とカバー部材42の底部の周壁100に貫設された排出孔110が排出領域124で連通せしめられている。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態としての遊技球発射装置を備えるパチンコ機の正面図。
【図2】同パチンコ機からガラス扉及び上下皿板を取り外した状態を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態としての遊技球発射装置の正面図。
【図4】同遊技球発射装置の斜視図。
【図5】同遊技球発射装置を構成する打出装置の正面図。
【図6】同打出装置の背面図。
【図7】同打出装置の斜視図。
【図8】図3に示した遊技球発射装置を構成するカバー部材の正面図。
【図9】同カバー部材の背面図。
【図10】同カバー部材の斜視図。
【図11】同カバー部材の下面図。
【図12】図2に示した遊技球発射装置の取付構造を説明するための説明図。
【図13】図3におけるXIII−XIII断面に相当する要部拡大断面図。
【符号の説明】
【0061】
10:発射ユニット、11:パチンコ機、14:中枠、40:打出装置、42:カバー部材、44:取付ベース、46:発射レール、56:案内面、60:ストッパ部、62:取付片、65:端縁部、68:調節ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ機において遊技球を発射位置から斜め上方に向かって所定距離に亘って案内する案内面を形成する案内レールが、パチンコ機本体に固定される板状の取付ベースに取り付けられてなるパチンコ機の遊技球発射装置において、
前記案内レールが所定の長さ寸法を有する金属板によって形成されていると共に、該金属板の長さ方向に直交する幅方向の一方の端縁部において前記案内面と反対の裏面側に向かって突出する取付片が一体形成されており、前記取付ベースにおける一方の板面上に突設された取付部の突出先端面に対して該取付片が重ね合わされて固着されることによって該金属板が該取付ベースに固定されて、該案内面が、その幅方向において該取付ベースの該一方の板面上に立ち上がり且つその長さ方向において該取付ベースの該一方の板面と平行に延びるように形成されている一方、該金属板の該案内面の長さ方向で前記発射位置と反対側に位置する先端部分において該案内面の長さ方向の延長線に対して俯角をもって下方に延びる屈曲部が一体形成されていると共に、該屈曲部の形成部分にも該取付片が形成されており、該屈曲部に形成された該取付片の該取付部に対する固着部分において該金属板の該案内面の先端部分における長さ方向の傾斜角度を設定することが出来るようにされており、更に、該取付ベースに対して該一方の板面側から重ね合わされて、該金属板における該案内面を外部に露出せしめた状態で、該金属板における該取付ベースと反対側の端縁部と該屈曲部の形成部分に形成された該取付片とを覆うカバー部材が、該取付ベースに対して取り外し可能に組み付けられていることを特徴とするパチンコ機の遊技球発射装置。
【請求項2】
遊技球を打ち出す打球槌が前記取付ベースに前記一方の板面と平行な方向で往復動可能に取り付けられていると共に、該打球槌に駆動力を及ぼして往復動せしめる駆動手段が該取付ベースに取り付けられており、これら打球槌と駆動手段を含んで前記案内面における前記発射位置に保持された該遊技球を該案内面が延びる方向に向けて打ち出す打球手段が構成されている一方、該取付ベースの該一方の板面上における該打球槌の往復動領域を全体に亘って覆うように前記カバー部材が該取付ベースに取り付けられている請求項1に記載のパチンコ機の遊技球発射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−247379(P2009−247379A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94969(P2008−94969)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000121693)奥村遊機株式會社 (978)
【Fターム(参考)】