説明

パチンコ機

【課題】遊技盤の後面側のスペースを確保して、大型化する液晶表示装置などを遊技盤の後面に取り付けることができるパチンコ機を提供する。
【解決手段】後面に少なくとも液晶表示装置(34)を含む電装部品が取り付けられた遊技盤(3)と、この遊技盤を内側に収容する前面枠(2)と、遊技盤と前面枠とを固定する固定装置と、を備えたパチンコ機において、固定装置は、遊技盤の他方の側部に設けられた係止部材(50a、50b)と、前面枠の反ヒンジ側に設けられ、係止部材と係合する係合部(40a、40b)と、を備え、係止部材は、係合部と係合して遊技盤を前面枠に固定する固定位置と、係合部との係合を解除して遊技盤を前面枠から取り外し可能な解除位置との間で回動可能に形成される構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の外枠(機枠)と、この外枠に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠(前面枠)と、この本体枠の内側に収容された遊技盤と、本体枠の前面にヒンジを介して開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部が形成されたガラス扉と、を備えて構成されている。遊技盤は、その後面に液晶表示装置、可動役物、遊技に関する制御を行う制御処理装置(制御基板)、遊技球の回収通路などの各種部品が支持部材等を介して取り付けられており、これらの各種部品が取り付けられた遊技盤を本体枠に取り付けるための構造として、例えば特許文献1に示すような技術が開示されている。
【0003】
即ち、特許文献1に記載のパチンコ機は、本体枠に遊技盤を係止する係止部材が設けられており、この係止部材は、本体枠から前方に向かって突出して設けられた突設部と、この突設部を貫通する回転自在な軸と、この軸の一端部に固設され突設部との間に遊技盤を係止するつまみ部と、軸の他端部に固設され軸の遊技盤側への抜けを防止する鍔部とから構成されている。遊技盤を本体枠に取り付けるときには、まず遊技盤の一方の縁辺部(側部)を本体枠のヒンジ側の側部に係止させ、その状態から遊技盤の他方の側辺部が本体枠に収納されるように遊技盤を傾けていき、係止部材のつまみ部を遊技盤の他方の側辺部に形成された係止穴に挿入して遊技盤を本体枠内に取り付ける。そして、つまみ部を略90度回転させることによって、遊技盤を本体枠に固定するようになっている。このように、上記従来の技術によれば、特別な工具等を使用することなく、簡単に遊技盤を本体枠に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190437号公報(段落0021、段落0031〜0033等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年は液晶表示装置や可動役物などが大型化してきており、限られた遊技盤のスペースにこれらの各種部品を取り付けるのは非常に困難となっているのが実情である。特に、特許文献1のような遊技盤の固定構造においては、係止部材が本体枠(前面枠)側に設けられているので、大型の液晶表示装置や可動役物などを遊技盤の後面に取り付けた場合には、遊技盤を本体枠に取り付ける際に、液晶表示装置などがこの係止部材に干渉してしまう。そのため、液晶表示装置を取り付ける位置を調整するための大掛かりな設計変更が必要となり、深刻な問題となっていた。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技盤の後面側のスペースを確保して、大型化する液晶表示装置などを遊技盤の後面に取り付けることができるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成され、後面に少なくとも液晶表示装置を含む電装部品が取り付けられた遊技盤と、この遊技盤を内側に収容する前面枠と、この前面枠にヒンジを介して開閉自在に取り付けられたガラス扉と、前記遊技盤と前記前面枠とを固定する固定装置と、を備え、前記電装部品が取り付けられた前記遊技盤の一方の側部を前記前面枠のヒンジ側に係止した後に前記遊技盤の他方の側部と前記前面枠の反ヒンジ側とを前記固定装置で固定することにより前記遊技盤を前記前面枠に取り付けるパチンコ機において、前記固定装置は、前記遊技盤の他方の側部に設けられた係止部材と、前記前面枠の反ヒンジ側に設けられ、前記係止部材と係合する係合部と、を備え、前記係止部材は、前記係合部と係合して前記遊技盤を前記前面枠に固定する固定位置と、前記係合部との係合を解除して前記遊技盤を前記前面枠から取り外し可能な解除位置との間で回動可能に形成される構成とした。
【0008】
本発明によれば、係止部材は遊技盤の他方の側部に設けられているので、前面枠に係止部材を取り付けるためのボスなど(特許文献1の突設部など)を設ける必要がない。別言すると、前面枠には、係止部材と係合する係合部を設けるだけで良いこととなる。ここで、係止部材は固定位置と解除位置との間で回動可能に形成されるため、その構造をコンパクトにしたくても限界があるが、係合部は、係止部材と係合して遊技盤が固定されれば機能として十分であるため、係止部材に比べてその構造をコンパクトにすることができる。そして、コンパクトにした係合部を前面枠に取り付けることにより、遊技盤の後面側のスペースを十分に確保できるため、大型の液晶表示装置などを遊技盤の後面に取り付けることができるのである。
【0009】
また、上記構成において、前記係止部材は、前記遊技盤に回動可能に支持される軸部と、この軸部の一端側に設けられ、遊技盤の前面側から手指で操作可能なつまみ部と、前記軸部の他端側に設けられた係止片とを備えて構成されると共に、前記遊技盤の他方の側部の上端部に設けられる上部係止部材と、下端部に設けられる下部係止部材とからなり、前記係合部は、前記前面枠の反ヒンジ側であって前記上部係止部材に対応する位置に設けられる上部係合部と、前記下部係止部材に対応する位置に設けられる下部係合部とからなると共に、前記上部係合部は、正面視で下方が開放された略コ字状の壁部と、この壁部に囲まれた内側の空間であって、前記上部係止部材の係止片が挿入可能な開口部とを備え、前記上部係止部材の係止片を前記上部係合部の開口部に挿入した状態で、前記上部係止部材のつまみ部を回動させることにより、前記上部係止部材の係止片が前記上部係合部の壁部と係合するようにしても良い。
【0010】
この構成によれば、つまみ部を手指で掴んで回すだけの操作で遊技盤を前面枠に固定したり、その固定を解除して遊技盤を前面枠から取り外したりすることができるので、作業効率化が図れる利点がある。しかも、上部係合部は、下方が開放された略コ字状の壁部であり、この内部には上部係止部材の係止片が挿入可能な開口部が形成されている。つまり、本構成は、開口部を全て壁部で囲っているのではない。別言すると、本構成の壁部は、開口部を全て囲うように設けた壁部の下側を切断した形状となっているのである。この構成にすることによって、係合部をコンパクトな形状とすることができ、遊技盤の後面側のスペースをより一層確保することができる。よって、液晶表示装置の取り付け高さ位置を変更するといったことは必要なくなる。
【0011】
また、上記構成において、前記下部係合部は、正面視で上方が開放された略コ字状の壁部と、この壁部に囲まれた内側の空間であって、前記下部係止部材の係止片が挿入可能な開口部とを備え、前記下部係止部材の係止片を前記下部係合部の開口部に挿入した状態で、前記下部係止部材のつまみ部を回動させることにより、前記下部係止部材の係止片が前記下部係合部の壁部と係合するようにしても良い。この構成によれば、下部係合部も上部係合部と同様にコンパクトな形状にすることができるので、遊技盤の後面側のスペースをさらに確保できることとなる。
【0012】
また、上記構成において、前記壁部のうち、前記前面枠の反ヒンジ側の壁部は、前記係止片の回動に伴う押圧力によって撓むように形成されていることが望ましい。遊技盤を前面枠にガタつきなく取り付けるために、通常、遊技盤の寸法をプラス公差で製作し、前面枠の遊技盤が取り付けられる部分の寸法をマイナス公差で製作するため、この公差によって遊技盤が前面枠に取り付けられない(嵌らない)といった場合が起こり得る。このとき、本構成によれば、係止片の回動に伴う押圧力によって壁部の反ヒンジ側が撓むため、この公差を吸収して遊技盤を前面枠に確実に取り付けることができるのである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、係止部材を遊技盤に設け、係合部を前面枠に設ける構成としたので、遊技盤の後面側のスペースを確保できる。よって、大型化する液晶表示装置など遊技盤の後面に取り付けるために、大掛かりな設計変更を行う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態例に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機のガラス扉と前面ボードを取り外し、遊技盤の一側部を前面枠に係止した状態の外観斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図4】図2に示すパチンコ機の遊技盤を前面枠に取り付けた状態の正面図である。
【図5】図4に示すパチンコ機のE−E断面図である。
【図6】図4に示すパチンコ機のF−F断面図である。
【図7】図4に示すパチンコ機の遊技盤を取り外した状態の正面図である。
【図8】図2に示す係止部材と係合部を従来例の通りに取り付けた状態のパチンコ機の外観斜視図であって、ガラス扉と前面ボードを取り外し、遊技盤の一側部を前面枠に係止した状態の外観斜視図である。
【図9】図8に示すパチンコ機の遊技盤を取り付けた状態の正面図である。
【図10】図9に示すパチンコ機のE’−E’断面図である。
【図11】図9に示すパチンコ機のF’−F’断面図である。
【図12】図8に示すパチンコ機の遊技盤を取り外した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態例を図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の内側に収容された遊技盤3と、前面枠2の前面にヒンジ25を介して扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、前面枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、前面枠2の下部に設けられた発射装置(図示せず)と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7と、受皿5の側部に設けられ、遊技者による押下操作が可能なタッチボタン60等を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。
【0016】
また、図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、電装部品Uを構成する主制御処理部11、演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、および普通図柄表示制御部12fが取り付けられるほか、払出制御処理部12eと、発射制御処理部13と、賞球払出装置14等が設けられている。続いて、図1〜図6を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
【0017】
遊技盤3は、その盤面(前面)に遊技領域31を有しており、前面枠2に装着した後、ガラス板10から遊技領域31を観察することができるようになっている。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、図示しないが、可動役物、スルーチャッカ、電動チューリップ、ステージ、始動入賞口、一般入賞口、アウト口、遊技釘、風車、アタッカー装置等が設けられている。
【0018】
一方、遊技盤3の後面には、図2に示すように電装部品Uの一つである液晶表示装置34が取り付けられる他、図3に示すように、それ以外の電装部品Uとして、主制御処理部11、演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12cおよび普通図柄表示制御部12fなどの各種制御処理部(基板)が基板ケースに収納された状態で支持部材等を介して取り付けられている。そして、液晶表示装置34は、遊技領域31に形成された開口(図示せず)を介して視認できるようになっている。
【0019】
遊技盤3に取り付けられた上記の各種部品について簡単に説明を加えると、まず、液晶表示装置34は、始動入賞口に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示(演出用の図柄を変動表示)する。可動役物は、液晶表示装置34の近傍位置に設けられ、液晶表示装置34と連動して可動する装置である。スルーチャッカは、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選が行われ、当選すると電動チューリップが一定時間開放する。この電動チューリップは、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、この羽根部材が開放することにより、始動入賞口の入口が拡大するようになっている。
【0020】
また、ステージは、液晶表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージの中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には始動入賞口が配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で始動入賞口へと導かれることとなる。アタッカー装置は、特別図柄に係る電子抽選の結果、大当たりとなって大当たり遊技に移行した場合に所定回数開放される装置である。このアタッカー装置が開放すると、大入賞口が露呈し、そこに遊技球が入賞することで多くの賞球が獲得できるようになっている。また、一般入賞口に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、始動入賞口や一般入賞口に入らなかった遊技球は、アウト口から回収される。
【0021】
主制御処理部11は、特別図柄に係る電子抽選処理や普通図柄に係る電子抽選処理などの遊技に関する主要な処理を行っている。また、演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12cおよび普通図柄表示制御部12fは副制御処理部を構成しており、主制御処理部11が生成した処理情報に従って、液晶表示装置34やスピーカ20、その他の演出装置(LED装置など)などの制御を行っている。
【0022】
なお、図3に示すように、払出制御処理部12eおよび発射制御処理部13は前面枠2の裏面下部に設けられ、賞球払出装置14は前面枠2の裏面側部に設けられている。払出制御処理部12eは、賞球払出装置14を制御して遊技球の貸出・払出の処理を行うためのものであり、発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて、発射装置に対する作動の制御を行うためのものである。
【0023】
続いて、遊技盤3と前面枠2とを固定する固定装置を構成する係止部材50a、50bと係合部40a、40bの構造について図2、図4〜図7を参照しながら詳しく説明する。なお、上部係止部材50aと下部係止部材50bは同じ構成であるので、ここでは上部係止部材50aについてのみ説明を行い、下部係止部材50bについての説明は省略する。同様に、上部係合部40aと下部係合部40bとは若干形状の違いがあるものの、酷似する構成であるため、ここでは上部係合部40aについてのみ説明を行い、下部係合部40bについての説明は省略する。
【0024】
樹脂性材料からなる上部係止部材50aは、遊技盤3の右上角部に回動可能に支持された棒状の軸部52aと、この軸部52aの一端側(遊技盤3の前面側)に取り付けられたつまみ部51aと、軸部52aの他端側(遊技盤3の後面側)に取り付けられた係止片53aとで構成されている。つまみ部51aは、作業者の手指で掴める程度の大きさで、細長なブロックから成り、係止片53aは、つまみ部51aよりやや小さい大きさの相似形状を成している。そして、つまみ部51aと係止片53aは軸部52aの軸線を中心に線対称となるように軸部52aの端部にそれぞれ取り付けられている。よって、上部係止部材50aは、軸部52aを水平方向に向けると、軸部52aとつまみ部51aと係止片53aとにより、略H型の形状となる。
【0025】
なお、つまみ部51aが水平方向に向いた位置にあるときが遊技盤3を前面枠2に固定する固定位置であり、つまみ部51aが鉛直方向に向いた位置にあるときが前面枠2と遊技盤3との固定を解除する解除位置である。そして、上部係止部材50aは上述した形状を成しているので、つまみ部51aを90度回転する毎に固定位置と解除位置とが切り替わるようになっている。
【0026】
一方、上部係合部40aは、樹脂性材料からなると共に、図2および図7に示すように、正面視で下側が開放した略コ字状に形成された壁部41aを有し、この壁部41aの内側には開口部42aが形成されている。つまり、コ字状に屈曲させた壁部41aの内側の部分が開口部42aとなっている。この開口部42aは、細長なブロック形状をなす係止片53aのうち、軸部52aの軸線を中心として片側の部分(つまり、ブロックの半分)が挿入可能な程度の大きさの開口である。係止片53aを開口部42aに挿入してつまみ52aを回すと、図5に示すように係止片53aの前面が壁部41aの後面と係合する。これにより、遊技盤3は、前後方向に動かないように前面枠2の内側に固定される。
【0027】
ここで、遊技盤3を前面枠2の枠内(内側)にガタつくことなく取り付けるために、遊技盤3の外形はプラス公差の寸法で製作され、前面枠2のうち遊技盤3が取り付けられる部分はマイナス公差の寸法で製作される。そのため、遊技盤3を前面枠2に取り付けて係止片53aを開口部42aに挿入し、つまみ部51aを正面側から見て時計回りに回していくと、その途中で壁部41aのうち、前面枠2のヒンジ25と反対側(右側)の部分に係止片53aの先端部が当接してしまい、遊技盤3を固定する位置、つまり、係止片53aが水平になる位置までつまみ部52aを回すことができない場合が生じ得る。そのために、本実施形態では、壁部41aのうちヒンジ25と反対側の壁部41a−1を係止片53aの回動に伴う押圧力によって撓むように形成している。
【0028】
このような構成にしたことで、遊技盤3を前面枠2に取り付けた後につまみ部51aを回動させると、この回動に伴って係止片53aが壁部41aの反ヒンジ側の壁面41a−1を押圧して撓ませながら壁部41aの後面と係合する。よって、遊技盤3は、前後左右の何れの方向に対しても緩むことなく前面枠2へ確実に固定することができるのである。
【0029】
次に、本実施形態の遊技盤3の後面側のスペースがどの程度広がったかについて、従来例と比較しながら説明する。まず、本実施形態における上部係合部40aと下部係合部40bとの間の長さ(電装部品の取り付け許容寸法)は、図7に示すようにL1である。
【0030】
一方、図8〜図11には、本実施形態に係るパチンコ機Pの上部係止部材50aおよび下部係止部材50bを従来例の通りに前面枠2に取り付けたパチンコ機P2の構造が示されている。このパチンコ機P2は、上部係止部材50aおよび下部係止部材50bは前面枠2に設けられ、上部係合部40aおよび下部係合部40bは遊技盤3に設けられている。そのため、前面枠2の上部には上部係止部材50aを回転自在に支持するボス70aが、前面枠2の下部には下部係止部材40bを回転自在に支持するボス70bが、それぞれ必要となる。このボス70aは、つまみ部51aを掴んで軸部52a回りに係止片53aを360度回転できるようにするために、係止片53aの回転半径より大きな形状にする必要がある。ボス70bについても同様である。従って、従来例の通りに上部係止部材50aと下部係止部材50bを前面枠2に取り付ける構造の場合には、図10に示すように、ボス70aを設けたために長さC1だけ余分なスペースが必要となる。さらに、図11に示すように、ボス70bを設けたために長さC2だけ余分なスペースが必要となる。
【0031】
そのために、図12に示すように、従来例の通りに上部係止部材50aおよび下部係止部材50bを前面枠2に取り付けたパチンコ機P2は、液晶表示装置34を含む電装部品Uを取り付けることができる上下方向のスペース、つまり、電装部品の取り付け許容寸法は、長さL2しか確保できないこととなる。ここで、図12に示すように、L1=L2+C1+C2であるので、本実施形態に係るパチンコ機Pの電装部品の取り付け許容寸法L1は、従来例の通りに係止部材50a、50bを取り付けたパチンコ機P2の電装部品の取り付け許容寸法L2よりもC1+C2だけ長いこととなる。従って、本実施形態に係るパチンコ機Pは、このC1+C2の長さの分だけスペースに余裕があるので、近年の大型化する液晶表示装置であっても、特に設計変更をすることなく遊技盤3の後面に取り付けることができるのである。
【0032】
以上、説明したように、本実施形態に係るパチンコ機Pによれば、遊技盤3の反ヒンジ側の側部の上下に形成された角部にそれぞれ上部係止部材50aと下部係止部材50bを設け、これらに係合する上部係合部40aと下部係合部40bを前面枠2に設けたので、遊技盤3の後面側のスペースがL1−L2(即ち、C1+C2)の分だけ余計に確保できる。よって、今まで液晶表示装置34を取り付けていた高さ位置に、大型サイズの液晶表示装置34をそのまま取り付けても、係合部40a、40bと干渉することがない。つまり、液晶表示装置34を遊技盤3の後面に取り付けるために大幅な設計変更を行う必要なない。また、反ヒンジ側の壁部41a−1、41b−1が撓む構造となっているので、遊技盤3は前後左右の何れの方向にも緩むことなく前面枠2内に保持されることとなる。
【符号の説明】
【0033】
2 前面枠
3 遊技盤
4 ガラス扉
25 ヒンジ
31 遊技領域
34 液晶表示装置(電装部品)
40a 上部係合部(固定装置)
40b 下部係合部(固定装置)
41a、41b 壁部
41a−1、41b−1 反ヒンジ側の壁部
42a、42b 開口部
50a 上部係止部材(固定装置)
50b 下部係止部材(固定装置)
51a、51b つまみ部
52a、52b 軸部
53a、53b 係止片
U 電装部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が前面に形成され、後面に少なくとも液晶表示装置を含む電装部品が取り付けられた遊技盤と、この遊技盤を内側に収容する前面枠と、この前面枠にヒンジを介して開閉自在に取り付けられたガラス扉と、前記遊技盤と前記前面枠とを固定する固定装置と、を備え、前記電装部品が取り付けられた前記遊技盤の一方の側部を前記前面枠のヒンジ側に係止した後に前記遊技盤の他方の側部と前記前面枠の反ヒンジ側とを前記固定装置で固定することにより前記遊技盤を前記前面枠に取り付けるパチンコ機において、
前記固定装置は、前記遊技盤の他方の側部に設けられた係止部材と、前記前面枠の反ヒンジ側に設けられ、前記係止部材と係合する係合部と、を備え、
前記係止部材は、前記係合部と係合して前記遊技盤を前記前面枠に固定する固定位置と、前記係合部との係合を解除して前記遊技盤を前記前面枠から取り外し可能な解除位置との間で回動可能に形成される
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記係止部材は、前記遊技盤に回動可能に支持される軸部と、この軸部の一端側に設けられ、遊技盤の前面側から手指で操作可能なつまみ部と、前記軸部の他端側に設けられた係止片とを備えて構成されると共に、前記遊技盤の他方の側部の上端部に設けられる上部係止部材と、下端部に設けられる下部係止部材とからなり、
前記係合部は、前記前面枠の反ヒンジ側であって前記上部係止部材に対応する位置に設けられる上部係合部と、前記下部係止部材に対応する位置に設けられる下部係合部とからなると共に、前記上部係合部は、正面視で下方が開放された略コ字状の壁部と、この壁部に囲まれた内側の空間であって、前記上部係止部材の係止片が挿入可能な開口部とを備え、
前記上部係止部材の係止片を前記上部係合部の開口部に挿入した状態で、前記上部係止部材のつまみ部を回動させることにより、前記上部係止部材の係止片が前記上部係合部の壁部と係合する
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記下部係合部は、正面視で上方が開放された略コ字状の壁部と、この壁部に囲まれた内側の空間であって、前記下部係止部材の係止片が挿入可能な開口部とを備え、
前記下部係止部材の係止片を前記下部係合部の開口部に挿入した状態で、前記下部係止部材のつまみ部を回動させることにより、前記下部係止部材の係止片が前記下部係合部の壁部と係合する
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項4】
請求項2または3の記載において、
前記壁部のうち、前記前面枠の反ヒンジ側の壁部は、前記係止片の回動に伴う押圧力によって撓むように形成されていることを特徴とするパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−87701(P2011−87701A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242437(P2009−242437)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】