説明

パチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器

【課題】 球貯留供給部に対する所定位置に、球検出器を指先操作で手早く簡単にセットし得るようにして、遊技機の製造工程の簡単化を図ると共に点検や取外しを楽にする。
【解決手段】 球検出器は、裏セット盤の本体に形成した設置凹部に着脱可能にセット保持される支持体22と、この支持体22に傾動可能に支持される球感知部材23と、支持体22内に取着されて球感知部材23の変位状態に対して電気的にオンオフ条件に作動変化し得る検出スイッチ27とを備え、支持体22単位で取扱い得るカセット形態に構成される。そして、設置凹部に支持体22単位で着脱可能にセットすることにより、球感知部材23を貯留部の底部下流側に臨ませて貯留パチンコ球の球圧を受けるようにし、該球感知部材23の傾動変位に基く前記検出スイッチ27のオンオフ条件で貯留パチンコ球の有無を検出する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、パチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器に係り、更に詳しくは、パチンコ遊技機裏側の球貯留部内に貯留された賞品用のパチンコ球(賞球ともいう)の貯留状況を検出する球検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機やアレンジボール機に代表されるこの種の遊技機では、遊技ホール内の設置枠台(通称)に縦向き姿勢で設置されて遊技に供され、そして機内の遊技盤内で展開されるパチンコゲーム中に成立した入賞(例えばセーフ球の発生や図柄組合わせによる得点)に対する賞品として、機裏側に貯留されたパチンコ球、すなわち裏側に装備されたセット盤の本体に配設された球貯留供給部(具体的には相当数のパチンコ球を貯留して供給し得る球タンクと、この球タンクから供給された球を受入れて整列状態で流出し得る整流樋およびこの下流に連なる送出樋を含む)、そして同供給部の下流端(送出樋の下流端)に連設された賞球払出装置内に亘って収容された前記パチンコ球が、賞球払出装置の作動毎に所定数単位の賞球として払出されて、機前側の球皿側に給出されるようになっている。なお、球貸し用のカードおよびカードユニットを利用して貯留球を貸出し得るタイプの遊技機(一般にカード式パチンコ遊技機ともいう)では、前述した賞球払出しとは別に、遊技者による適正な球貸し操作に応答して賞球払出装置が作動されることにより、所定数球が貸し球として払出されて上の球皿側へ給出されるようになっている。
【0003】
そして前述した遊技機においては、賞球払出装置による賞球払出しおよび貸し球払出しにより、前記球貯留供給部内の有限貯留量の球が減少されることに対して、設置枠台側に設置されている球補給設備の駆動制御により、相当数のパチンコ球が新たに補充されるようになっている。このもとで、何れの遊技機においても、貯留球の減少,有無を検出するための手段として、各種形態の球検出機構が付設されており、基本的な具体例として、前記球タンク内の貯留球の球圧を受けて(感知して)変動する球感知部材と、この球感知部材の変位状態に対応して電気的にオンオフ条件に作動変化して前記球補給設備の駆動制御部側に検出信号を入力し得るための検出スイッチとが使用されている。そして、この球感知部材と検出スイッチが、前記セット盤の本体,球タンク,整流樋の何れか所定の各位置に、支点用の金属ピンまたは固定用のビス等を利用して支持,固着されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、前述したパチンコ遊技機(パチンコ機およびアレンジボール機)においては、必要不可欠とされている前記球検出機構について、その構成部品である球感知部材および検出スイッチを、セット盤の本体,球タンク,整流樋における前側や後側の各部位に配設している。このため遊技機の製造においては、セット盤の本体に対する球タンク,整流樋の組付け順、そして球感知部材および検出スイッチの組付け順が一義的に制約されてしまい、作業工程の合理化や時間的短縮化を図ることが難しくなっている。また球検出機構の点検や修理等においては、球感知部材および検出スイッチの取外し,取付けの他に、セット盤,球タンク,整流樋の脱着を要することもあり、作業全体にかなりの時間や手間が掛かり面倒となっている。一方、使用済み遊技機(古台)の廃棄処分にあたっては、焼却不向きでむしろ禁止ともされているスイッチやこれに接続された配線(塩化ビニル被覆の電線)の取外しにもかなりの手間が掛かり、廃棄処理作業者に大きな負担を掛けている等の問題があった。なお、この種の球検出機構に係る一例として、特開平7−171241号公報に開示される球検出装置では、取扱いや組付け(設置)に手間が掛かり、また配線の廃棄処理にも時間を要する不便等が指摘される。
【0005】
【考案の目的】
本考案は、前述した課題を好適に解決するために提案されたもので、1つのケース状体に球感知部材および検出スイッチを含むカセット形態の球検出具に構成して、球貯留供給部に対する所定位置に指先操作で手早く簡単にセットし得るようにすることで、遊技機の製造工程の簡略化を図ると共に、点検や取外し更には配線処理を楽にした小型で安価なパチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、本考案に係るパチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器は、 縦向き設置姿勢で遊技に供されて機内の遊技盤内でパチンコゲームを展開して、入賞成立に対して裏側に装備された裏セット盤の貯留部内の貯留パチンコ球を賞球として払出し得るパチンコ遊技機において、 前記裏セット盤の本体上端部に成形された設置凹部に対して摘み部を利用した指先操作で上下方向へ着脱可能に収容セットされて、該設置凹部に設けられた係止手段と摘み部に設けられた係止手段とで抜止め保持される樹脂製ケース状の支持体に、球受け部および操作部を有するレバー状に樹脂成形されて、前記貯留部の球出口側に向けて付勢されて貯留パチンコ球の球圧を受ける前の感知前位置と同球圧を受けた際に変化する感知後位置とに変動し得る球感知部材を、前記支持体に支持された支ピンで傾動可能に支持する一方、前記裏セット盤の外裏側の隅部に設置されたターミナル基盤の球補給情報制御部側に電気的に接続され、機械的な検出接点部を前記球感知部材の操作部に接離可能に臨ませて、該球感知部材の変位状態に対応して電気的にオンオフ条件に変化して貯留パチンコ球の有無を検出し得る検出スイッチを取着して、全体を支持体単位で取扱い得るカセット形態に構成し、前記本体の設置凹部に支持体単位でセット保持して球感知部材を前記貯留部内に臨ませると共に、前記検出スイッチの端子に、前記ターミナル基盤の球補給情報制御部側に接続される配線を接続したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
球検出器は、裏セット盤の本体に形成した設置凹部に対して着脱可能にセット保持される支持体と、この支持体に傾動可能に支持された球感知部材と、支持体内に取着されて球感知部材の変位状態に対して電気的にオンオフ条件に作動変化し得る検出スイッチとを備え、全体が支持体単位のカセット形態の球検出具として構成され取扱い得る。この球検出器は、前記設置凹部に対して指先操作で上方から収容セットされ、支持体に形成した摘み部の係止手段と本体側の係止手段との係止作用下に抜き止め保持される。そして設置凹部に収容セットされた状態にあっては、前記球感知部材の球受け部が貯留部の下流端に開口された球出口に隣接する位置に臨み、貯留パチンコ球の球圧を受けて揺動変位する。また検出スイッチは、機械的な検出接点部を、前記球感知部材の操作部に対し接離可能に臨ませる一方、端子側に接続された配線は、球タンクの支板部のホルダに挿通保持させながらターミナル基盤の球補給情報制御部側に接続される。しかも球検出器は、裏セット盤や球タンクおよび整流樋の組付け順に制約されず、前記設置凹部に対して簡単な指先操作で着脱することができる。
【0008】
前記設置凹部にセットされた球検出器は、貯留部内に貯留球が全く無い場合においては、球受け部が貯留球の球圧を受けないので、球感知部材の操作部は検出スイッチの接点部を押圧しない。従って、検出スイッチは球無し(オフ)条件とされ、この球無し信号が球補給情報制御部を介してホールコンピュータに入力されて、これに基いて球補給設備が駆動されてパチンコ球が球タンク内に投入される。また貯留部内に貯留球が有る場合においては、球受け部が貯留球の球圧を受けるようになり、球感知部材は操作部により検出スイッチの接点部を押圧して球有り(オン)条件とされ、この検出スイッチからの球有り信号が球補給情報制御部を介してホールコンピュータに随時入力される。
【0009】
【考案の実施の形態】
次に、本考案に係るパチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器について、好適な実施例を挙げて添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。なお本実施例では、機裏側の貯留パチンコ球を、パチンコゲーム中の入賞成立(セーフ球発生)に対する賞球として払出し得る一方、遊技用の球貸し操作に対する貸し球として払出し得るタイプのパチンコ機を例として示す。
【0010】
本実施例のパチンコ機について、図1,図2および図3を参照しながら要約説明すると、固定用の外郭枠とされる外枠1の開口前面側に、開閉用の搭載枠とされる前枠2が着脱および開閉可能に組付けられており、この前枠2の前後各部に遊技機共通用の構成部材であるガラス窓3と上下の球皿4,5および発射装置6等が装備され、また前枠2裏側に位置する遊技盤8セット用の保持枠7の裏側に、球処理部等を備えた裏セット盤9が着脱可能に装備されている。この裏セット盤9では、保持枠7に対応し得る方形サイズに樹脂成形された本体10の中央部に遊技盤裏面の点検用の窓口11が開口されて、これに裏カバー(図示しない)が開閉および着脱可能に取着されており、この窓口11の外周囲部に後述する球貯留供給部12等が配設されている。なお遊技盤8は、前枠2の前側から保持枠7内に着脱可能に収容セットされる。また、貸し球の払出し制御に必要とされる球貸しユニット(カバー式)Uは、図1に例示するように、パチンコ機の側方(外枠1の隣接部位)に設置されて各電子制御部と接続されている。
【0011】
そして前記裏セット盤9では、図1および図4に示すように、前述した球貯留供給部12の構成として、本体10の上部に外向き開口状態で凹設された副貯留部10Aの開口面側に合わせて、主貯留部である球タンク13が設置されて1つの貯留部とされている。また、球タンク13底面の下流端に開口された球出口13aに合わせた下部に斜状レール形の整流樋14が取着され、この整流樋14の下流端に本体10に形成された送出路15が連絡されて、相当量の球を収容(貯留)し得るようになっている。そうして、送出路15下端に設置されたカセット形態の電動制御式の賞球払出装置16の作動により、賞球が払出されるようになっている。また、球タンク13の下縁に沿って一体に成形された支板部13bには、複数個の配線挿通保持用のホルダ30が成形されている。なお、裏セット盤9におけるその余の構成として、賞球を上下の球皿4,5へ排出する経路、アウト球およびセーフ球そして抜出し球を機外へ排出する経路(共に図示しない)が形成される他に、球抜き装置17,セーフ球検出処理装置18,賞球満杯検出装置19および貸し球用の検出スイッチ20が夫々設置され、そして本体10の隅端部にターミナル基盤(集中基盤ともいう)Tが設置されている。更に、本体10の左側上端に、配線保持用のホルダ部31が一体的に形成されている。
【0012】
前述したパチンコ機にあって、本実施例の球検出器は、1つのケース単位に構成されたもので、前記裏セット盤9の本体10の上端部に成形された設置凹部(設置部)21に指先操作で着脱可能にセットされて、前記球貯留供給部12内の貯留球の減少,有無を好適に検出し得る。すなわち球検出器は、基本的な構成として図3,図4および図5に例示するように、本体10の設置凹部21内に嵌挿セットし得る方形ケース状に樹脂成形された1つの支持体22と、この支持体22に対して回動可能に支持されて貯留球の球圧を受ける前の位置と同球圧を受けた際に変化する位置とに変動し得る球感知部材23と、支持体22に取着されて球感知部材23の変位状態に対して電気的にオンオフ条件に作動変化し得る検出スイッチ27とを備えて、全体がカセット形態の球検出具として取扱い得るようになっている。そして、本体10の設置凹部21に支持体22単位でセット保持したもとで、球感知部材23を前記貯留部10A,13内の所定位置に臨ませて、検出スイッチ27を前記ターミナル基盤Tにおける球補給情報端子部(球補給情報制御部)t側に接続するようになっている。
【0013】
このような本実施例の球検出器では、具体例として設置凹部21に対して上下方向から出入れし得る形態であって、図5〜図7に示すように支持体22は、設置凹部21の各側に成形された溝21aおよび係合口(係合手段)21bに対して、係合条22aと弾性変形可能な摘み(摘み部)22bと突出した爪部(係合手段)22cとを利用して、位置決めおよび抜止めされた状態でセット保持されるようになっている。また球感知部材23は、レバー状に樹脂成形されて支持体22下部の支ピン26に左右横向き状態で支持されており、そして図8および図9中右側の球受け部24を、支持体22の口22dから延出して前記副貯留部10Aの底面に成形された段差凹部10aに位置させ、他方の操作部25を支持体22内の検出スイッチ27側に延出させている。なお球感知部材23は、操作部25と支持体22内側に形成された突起22e,22eとの係合により、上下方向への傾動範囲が好適に規制されている。また球受け部24では、球1個分に適した幅を含む斜状の受け面24aを有し、補助貯留部13A内の貯留球を有効に受けながら球タンク13側へ案内し得るようになっており、先端には球受継ぎ用の案内部24bを形成している。
【0014】
一方前記検出スイッチ27は、アクチュエータレバー28aとロッド28bを含む機械式の検出接点部28を有するマイクロ(リミット)式のスイッチが使用されて、前記球感知部材23の操作部25で直接操作されるアクチュエータレバー28aの作動変化により、ロッド28bが弾性付勢力をもって出没変位してオンオフするように設定されている。そして、各端子29に接続された配線hが、前記支持体22外へ引出され、前記ホルダ部31に保持された後に、前記球タンク13の外裏側の周囲(図4および図8中の左壁外から底部外)に沿って延出されると共に各ホルダ30に挿通保持され、前記ターミナル基盤Tの所定位置にコネクタ接続されて、球補給情報端子部tに回路接続されるようになっている。なお、検出接点部28のロッド28bに係る弾性付勢力を受けるアクチュエータレバー28aが、球感知部材23の操作部25を直接押接しているもとで、同部材23は、常に球圧を受ける前(球検知前)に付勢保持されている。またターミナル基盤Tにおいて、配線hと回路接続された球補給情報端子部tに、球補給設備の駆動部を制御するホールコンピュータが接続されるようになっており、検出スイッチ27からの球無し信号(スイッチのオフ信号)に基いて球補給設備が駆動されて、球が球タンク13内に投入される。
【0015】
前述のように構成された本実施例の球検出器は、図3および図4に例示するように、前記裏セット盤9の本体10の設置凹部21に上方から嵌込まれて位置決めセット保持された状態にあって、支持体22の背面が前記球タンク13の球出口13aに対する案内垂直面として臨み、また球感知部材23の球受け部24が、副貯留部10Aの段差凹部10aに臨むようになっている。このもとで貯留球検出例として、貯留部10A,13内の貯留球が球タンク13の球出口13aから整流樋14の上端部に供給される過程において、球感知部材23の球受け部24が、副貯留部10A内の下流側の貯留球を受けて押下げられている状態では、検出スイッチ27が検出接点部28を操作部25で押された球有り(オン)条件とされ、球受け部24が貯留球から解放された状態では、検出スイッチ27が検出接点部28を戻した球無し(オフ)条件とされるようになっている。
【0016】
【実施例の作用】
次に、前述のように構成された本実施例に係るパチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器の作用につき説明する。
【0017】
本実施例の球検出器は、方形ケース状に樹脂成形された支持体22に、球感知部材23を回動可能に配設すると共に、該球感知部材23の変位状態に対して電気的にオンオフ条件に作動する検出スイッチ27を設置して、支持体単位のカセット形態の球検出具として構成される。すなわち、パチンコ機に搭載される1つのユニット部材として別工程で製造および組立てが行なわれ、パチンコ機の組立て製造ラインに合わせて管理されると共に取扱われる。
【0018】
このような本実施例の球検出器は、前記裏セット盤9の本体10に形成した設置凹部21に上方から嵌込むことで、支持体22の背面が前記球タンク13の球出口13aに対する案内垂直面として臨み、また球感知部材23の球受け部24が副貯留部10Aの段差凹部10aに臨んだ状態でセットされる。そして、球検出器が設置凹部21に完全にセットされた状態では、支持体22に形成した係合条22aおよび摘み22bの爪部22cが、設置凹部21の各側に成形された溝21aおよび係合口21bに対して夫々係止するようになり、該球検出器は抜止めされた固定状態にセット保持される。なお本実施例では、上方に開口した前記設置凹部21へ球検出器を嵌込む形態であるから、該設置凹部21に対する球検出器のセット作業は、前枠2の保持枠7に対する裏セット盤9の組付け、および該裏セット盤9に対する球タンク13および整流樋14の組付け順に全く制約されるものではない。すなわち、保持枠7に裏セット部材9を装着すると共に該裏セット盤9に球タンク13と整流樋14を取着した後に、球検出器を設置凹部21にセットすることが可能であり、また前記球タンク13と整流樋14とを取着する前に球検出器を設置凹部21にセットすることも勿論可能であるから、組付け作業工程の合理化や作業時間の短縮化等を好適に図り得る。
【0019】
また、球検出器の検出スイッチ27の各端子29に接続されている配線hの処理に関しては、前記裏セット盤9に対して球検出器と球タンク13および整流樋14を取着した適宜後に、図4に示すように、前記本体10のホルダ部31に保持させた後に、球タンク13の支板部13bに成形された各ホルダ30に該配線hを順次挿通保持させ、ターミナル基盤Tの所定位置にコネクタ接続することにより、球補給情報端子部tに回路接続される。これにより、球検出器とホールコンピュータとが前記球補給情報端子部tを介して接続され、球タンク13内の貯留球の有無による該球検出器のオンオフ信号がホールコンピュータに入力される。
【0020】
前記裏セット盤9の設置凹部21にセットされた球検出器は、球感知部材23の球受け部24が、副貯留部10Aの段差凹部10aに臨んだ状態で配設されている。従って、図示しない球補給設備から球が供給される前、すなわち副貯留部10Aおよび球タンク13内に貯留球が全く無い状態においては、図9に示すように、球受け部24に貯留球の球圧を受けないので、球感知部材23は該球受け部24を上昇させた状態に姿勢保持され、検出スイッチ27の検出接点部28を押圧しない球無し(オフ)条件とされる。従って検出スイッチ27からの球無し信号が、球補給情報端子部tを介してホールコンピュータに入力され、これに基いて球補給設備が駆動されてパチンコ球が球タンク13内に投入されるようになる。
【0021】
球補給設備から副貯留部10Aおよび球タンク13内に供給された球は、底面上を転動しながら球出口13a側へ順次移動し、球感知部材23の球受け部24上に載置されるようになる。すなわち球感知部材23は、図10に示すように、貯留球の球圧により球受け部24側が下動した状態に姿勢変位し、検出スイッチ27の検出接点部28が押圧されて球有り(オン)条件とされる。従って検出スイッチ27からの球有り信号が、球補給情報端子部tを介してホールコンピュータに入力される。なお、球出口13aから流出した貯留球は、下部に取着された整流樋14および送出路15内へ貯留され、賞球払出装置16の作動により賞球または遊技球として順次払出される。
【0022】
そして本実施例では、裏セット盤9に球タンク13および整流樋14を取着したままで、前記摘み22bを指先で適宜押圧して爪部22cと係合口21bとの係止を解除させ、この状態で支持体22を上方へ引上げれば、球検出器を設置凹部21から容易に取外すことができる。また、検出スイッチ27の各端子29に接続されている配線hを、ターミナル基盤Tとのコネクタ接続を解除すると共に各ホルダ30やホルダ部31から順次取外すことにより、前記球検出器は該配線hを接続したまま裏セット盤9から完全に取外される。従って、球検出器の点検や修理等においては、球感知部材23および検出スイッチ27を個別に取外したり,取付けることは勿論、裏セット盤9,球タンク13,整流樋14の脱着を必要としないから、作業時間の短縮化や作業の合理化を図り得る。また、本実施例の球検出器が配設された遊技機を、使用済み遊技機として廃棄処分するにあたっては、当該の球検出器を配線hと共に設置凹部21から取外し得るから、焼却禁止ともされる検出スイッチ27や配線hの取外しを極めて簡単に行なうことができ、廃棄処理作業者の負担を軽減することができる。
【0023】
なお本考案が対象とする球検出器として、裏セット盤9の本体10に設置される球タンク13により貯留部が構成される場合に対しては、球タンク13の球出口13aの上流隣接部に開口された口に、支持体22に支持された球感知部材23の球受け部24を臨ませて、同部材23の動作変化に対する検出スイッチ27のオンオフ条件で、球タンク13内の貯留球の有無を検出し得る形態であってもよい。
【0024】
【考案の効果】
以上説明した如く、本考案に係るパチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器は、裏セット盤の本体に形成した設置凹部に対して着脱可能にセット保持される支持体に、貯留球の球圧に対して傾動可能に支持された球感知部材と、支持体内に取着されて球感知部材の変位状態に対して電気的にオンオフ条件に作動変化し得る検出スイッチとを組付けたカセット形態に構成したので、該支持体単位で取扱い得る。しかも、前記球検出器の設置凹部に対する嵌合セット作業は、裏セット盤の上方からの簡単な指先操作だけで容易に行ない得ると共に、裏セット盤,球タンク,整流樋の組付け順に制約されることがないから、組立て作業工程の合理化および時間的短縮化を図り得る利点がある。また、設置凹部にセットした球検出器は、支持体に形成した係止手段と本体に形成した係止手段との係止作用下に好適に抜き止め保持され、球感知部材および検出スイッチにより貯留部内の貯留パチンコ球の球有り,球無しを好適に検知して、検出信号を球補給情報制御部を介して球補給設備の駆動部を制御するホールコンピュータに入力することができる。
【0025】
また、本考案のパチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器によれば、前記裏セット盤,球タンクおよび整流樋を組付けたままの状態で、簡単な指先操作で前記係止手段同志の係止を解除させながら支持体を上方へ引上げるだけで、該球検出器を設置凹部から容易に取外すことができる。そして、検出スイッチの各端子に接続されている配線は、ターミナル基盤とのコネクタ接続を解除すると共に各ホルダから順次取外せば、球検出器は該配線を接続したままで裏セット盤から完全に取外すことができる。すなわち、球検出器の点検や修理等においては、球感知部材および検出スイッチを個別に取外したり,取付けることは勿論、裏セット盤,球タンク,整流樋の脱着を必要とせず、作業時間の短縮化や合理化を図り得る利点がある。更に、本考案の球検出器が配設された遊技機を、使用済み遊技機として廃棄処分するにあたっては、当該の球検出器と配線とを接続したまま裏セット盤から簡単かつ容易に取外し得るから、焼却禁止ともされる検出スイッチや該配線の取外しも極めて簡単に行なうことができ、廃棄処理作業者の負担を軽減し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のパチンコ機を示す概略背面図である。
【図2】本実施例のパチンコ機を一部破断して示す概略平面図である。
【図3】球貯留供給部を含むパチンコ機の上部位の縦断側面図である。
【図4】実施例に係る球検出器が配設された球貯留供給部を一部破断して示すパチンコ機の上部位の背面図である。
【図5】球貯留供給部の球出口部位を示す平面図である。
【図6】裏セット盤の本体に取着する球タンクと、該裏セット盤に形成した設置凹部に嵌合セットされる球検出器とを分解状態で示す概略斜視図である。
【図7】支持体に配設される球感知部材と検出スイッチとを分解状態で背面側から観た球検出器の斜視図である。
【図8】支持体に球感知部材および検出スイッチを組付けた状態で示す球検出器の背面図である。
【図9】貯留部内の球無し状態における球感知部材の姿勢位置を示す球検出器の動作説明図である。
【図10】貯留部内の球有り状態における球感知部材の姿勢位置を示す球検出器の動作説明図である。
【符号の説明】
9 裏セット盤
10 本体
10A 副貯留部(貯留部)
13 球タンク(貯留部)
13a 球出口
21 設置凹部
21b 係合口(係止手段)
22 支持体
22b 摘み(摘み部)
22c 爪部(係止手段)
23 球感知部材
24 球受け部
25 操作部
26 支ピン
27 検出スイッチ
28 検出接点部
T ターミナル基盤
h 配線
t 球補給情報端子部(球補給情報制御部)

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 縦向き設置姿勢で遊技に供されて機内の遊技盤内でパチンコゲームを展開して、入賞成立に対して裏側に装備された裏セット盤(9)の貯留部(10A,13)内の貯留パチンコ球を賞球として払出し得るパチンコ遊技機において、前記裏セット盤(9)の本体(10)上端部に成形された設置凹部(21)に対して摘み部(22b)を利用した指先操作で上下方向へ着脱可能に収容セットされて、該設置凹部(21)に設けられた係止手段(21b)と摘み部(22b)に設けられた係止手段(22c)とで抜止め保持される樹脂製ケース状の支持体(22)に、球受け部(24)および操作部(25)を有するレバー状に樹脂成形されて、前記貯留部(10A,13)の球出口(13a)側に向けて付勢されて貯留パチンコ球の球圧を受ける前の感知前位置と同球圧を受けた際に変化する感知後位置とに変動し得る球感知部材(23)を、前記支持体(22)に支持された支ピン(26)で傾動可能に支持する一方、前記裏セット盤(9)の外裏側の隅部に設置されたターミナル基盤(T)の球補給情報制御部(t)側に電気的に接続され、機械的な検出接点部(28)を前記球感知部材(23)の操作部(25)に接離可能に臨ませて、該球感知部材(23)の変位状態に対応して電気的にオンオフ条件に変化して貯留パチンコ球の有無を検出し得る検出スイッチ(27)を取着して、全体を支持体(22)単位で取扱い得るカセット形態に構成し、前記本体(10)の設置凹部(21)に支持体(22)単位でセット保持して球感知部材(23)を前記貯留部(10A,13)内に臨ませると共に、前記検出スイッチ(27)の端子に、前記ターミナル基盤(T)の球補給情報制御部(t)側に接続される配線(h)を接続したことを特徴とするパチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【登録番号】第3050253号
【登録日】平成10年(1998)4月15日
【発行日】平成10年(1998)6月30日
【考案の名称】パチンコ遊技機の賞品用貯留球の球検出器
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平9−11806
【出願日】平成9年(1997)12月26日
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)