説明

パチンコ遊技機の遊技盤

【課題】化粧シートが遊技基盤から適切に剥がせるようにする。
【解決手段】遊技盤1はベニヤなどの合板製の遊技基盤2に化粧シート3をアクリル粘着材4で結合した構造であり、化粧シート3は透明なポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネル5の後面に化粧層6を印刷した構造であるので、遊技盤1から化粧シート3を除去する場合、遊技盤1に熱処理7を行うと、アクリル粘着材4の遊技基盤2に対する接着力が低下し、ポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネル5の隅部が遊技基盤2から離れる方向の反りを生じ、化粧シート3の隅部およびアクリル粘着材4の隅部が一緒になって遊技基盤2から離れるため、遊技基盤2から離れた化粧シート3の隅部およびアクリル粘着材4の隅部が遊技基盤2に対し矢印X1に示す方向に人または機械で引っ張られることによって、化粧シート3およびアクリル粘着材4が遊技基盤2から適切に剥れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートが遊技基盤から適切に剥がせるパチンコ遊技機の遊技盤に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技店から使用済遊技盤を回収して資源として再利用することは知られている。ガイドレール、入賞部品、装飾部品、球誘導構造体、遊技釘などの遊技部品が、使用済遊技盤として遊技店から回収された遊技盤から取り外される。図4に示すように、遊技盤1は、合板製の遊技基盤2に化粧シート3の転着紙11が水溶性エマルジョンタイプの接着剤13で結合された構造である。化粧シート3は、透明な熱可塑性合成樹脂からなる表面パネル14の後面に化粧層6を印刷し、化粧層6の後面に転着紙11を水溶性エマルジョンタイプの接着剤12で結合した構造である。よって、接着剤12と接着剤13とが同質の接着剤であることから、接着剤13の遊技基盤2と化粧シート3とを結合する強度と、接着剤12の化粧層6と転着紙11とを結合する強度が同じであり、化粧シート3を遊技基盤2から剥がす場合、転着紙11が遊技基盤2に残るというように、化粧シート3が遊技基盤2から適切に剥がせないという欠点がある。
【特許文献1】特開平9−173538号公報
【特許文献2】特開平10−99488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする問題点は、化粧シートを遊技基盤から適切に剥がせないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るパチンコ遊技機の遊技盤は、化粧シートが透明なポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネルの後面に化粧層を印刷した構成であり、化粧シートの化粧層の後面が合板製の遊技基盤の前面にアクリル粘着材で結合されたか、または、化粧シートが透明なポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネルの後面に化粧層を印刷しかつ化粧層の後面に転着紙を水溶性エマルジョンタイプの接着剤で結合した構成であり、化粧シートの転着紙の後面が合板製の遊技基盤の前面にアクリル粘着材で結合されたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るパチンコ遊技機の遊技盤は、ポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネルが0℃よりも低い温度および60℃よりも高い温度で反りを生じるという性質を利用し、遊技盤から化粧シートを除去する場合、遊技盤に冷却処理または加熱処理を行うことによって、化粧シートが遊技基盤から剥がれる方向の反りを発生して遊技基盤から適切に剥がれるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、発明を実施するための最良の形態である。図1のa図を参照し、遊技盤1の構造について説明する。遊技盤1は、ベニヤなどの合板製の遊技基盤2に化粧シート3をアクリル粘着材4で結合した構造である。化粧シート3は、透明なポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネル5の後面に化粧層6を印刷した構造である。化粧層6は、遊技盤1の盤面を構成する図柄などの形象を構成する。そして、化粧層6の後面が遊技基盤2の前面にアクリル粘着材4で結合されたことによって、化粧シート3が遊技基盤2にアクリル粘着材4で結合した形態になる。
【0007】
アクリル粘着材4が遊技基盤2の前面または化粧シート3の裏面に層として設けられて図外の剥離紙で乾燥しないように覆い隠された形態とし、剥離紙が剥がされた後、遊技基盤2と化粧シート3とをアクリル粘着材4で結合させてもよい。
【0008】
アクリル粘着材4は、ゴムからなる粘着剤やアクリル酸メチルなどの共重合体が有機溶媒に溶解された構造であって、0℃乃至60℃の温度範囲では遊技基盤2に対する接着力を維持し、0℃よりも低い温度および60℃よりも高い温度で遊技基盤2に対する接着力が低下する性質を有する。ポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネル5は、0℃乃至60℃の温度で反りを発生しないが、0℃よりも低い温度および60℃よりも高い温度で遊技基盤2から離れる方向の反りを生じる性質を有する。
【0009】
図1のa図に示す構造の遊技盤1は、遊技機製造会社において、図外の遊技部品が取り付けられた形態で、遊技機製造会社から遊技店に販売される。図外の遊技部品が遊技盤1に取り付けられる場合、遊技部品が化粧シート3の前面に接触し、図外の木ねじなどの固着具が遊技部品の取付孔から化粧シート3やアクリル粘着材4を貫通して遊技基盤2に固定される。遊技部品は、ガイドレール、入賞部品、装飾部品、球誘導構造体、遊技釘などである。
【0010】
遊技店から使用済遊技盤を回収して資源として再利用する場合について説明する。使用済遊技盤として遊技店から回収された遊技盤1から遊技部品が取り外される。この遊技部品の取り外された遊技盤1は、遊技基盤2と化粧シート3とがアクリル粘着材4で結合された構造であって、遊技部品の取り除かれた残渣孔を有する。
【0011】
図1のb図を参照し、遊技店から使用済遊技盤として回収されかつ遊技部品の取り除かれた遊技盤1から化粧シート3を除去する場合について説明する。化粧シート3に遊技基盤2から離れる方向の反りを発生させるために、遊技盤1に熱処理7を行う。熱処理7としては、0℃以下の冷却処理または60℃以上の加熱処理である。熱処理7の結果、アクリル粘着材4の遊技基盤2に対する接着力が低下し、ポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネル5の隅部が遊技基盤2から離れる方向の反りを生じ、化粧シート3の隅部およびアクリル粘着材4の隅部が一緒になって遊技基盤2から離れる。よって、例えば、遊技基盤2から離れた化粧シート3の隅部およびアクリル粘着材4の隅部が遊技基盤2に対し矢印X1に示す方向に人または機械で引っ張られることによって、化粧シート3およびアクリル粘着材4が遊技基盤2から適切に剥れるという利点がある。
【0012】
図2を参照し、熱処理装置について説明する。熱処理装置としては、ベルトコンベヤまたはローラコンベヤなどの搬送機構8と冷却処理用の冷却機構9とを備え、処理対象物の遊技盤1が搬送機構8におけるベルトまたはローラなどの搬送体10の上に載せられる。この場合、例えば、遊技基盤2が搬送体10に接触し、化粧シート3が上に向けられた形態となる。そして、搬送機構8の搬送体10が矢印X2で示す一方向に遊技盤1を搬送するように駆動するのに伴い、搬送体10に搭載された遊技盤1が冷却機構9の0℃以下の冷却雰囲気に構成された内部を通過させられる。
【0013】
遊技盤1が冷却機構9の内部を通過する過程において、図2に点線で示すように化粧シート3の隅部およびアクリル粘着材4の隅部が遊技基盤2から剥がれて上に反り返る。よって、搬送体10に搭載された遊技盤1が冷却機構9から出た後、化粧シート3およびアクリル粘着材4が遊技基盤2から離れた化粧シート3の隅部およびアクリル粘着材4の隅部を取り掛かりとして人または機械で遊技基盤2より上方に剥がされれば、木質だけの遊技基盤2を得ることができるという利点がある。冷却機構9を用いれば、処理対象物の遊技盤1からの気体の発生がないという利点がある。
【0014】
図2において、冷却機構9を加熱機構に置き換えてもよい。また、搬送機構8が遊技盤1を搬送する一方向に冷却機構9および加熱機構を縦列に配置し、夏季は冷却機構9または加熱機構を運転し、冬季は加熱機構または冷却機構9を運転してもよい。この場合、夏季に冷却機構9を運転し、冬季は加熱機構を運転すれば、作業者に対する熱環境がよい。夏季に加熱機構を運転し、冬季は冷却機構9を運転すれば、熱効率がよい。また、加熱機構を用いる場合、加熱機構に処理対象物の遊技盤1から発生する気体を捕集して脱臭や無害化のための処理を行うガス処理機構を付加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0015】
図3は、発明を実施するための異なる形態に係る遊技盤1の構造を示す。図3において、化粧シート3が表面パネル5の後面に印刷された化粧層6の後面に転着紙11を水溶性エマルジョンタイプの接着剤12で結合した構造である点で、図1と異なる。転着紙11は、白色のケント紙などにより構成される。よって、転着紙11の裏面が遊技基盤2にアクリル粘着材4で結合することによって、遊技盤1では化粧シート3を遊技基盤2にアクリル粘着材4で結合した構造となる。この異なる形態に係る遊技盤1にも、図1のb図における熱処理7を行うことによって、化粧シート3およびアクリル粘着材4が遊技基盤2から適切に剥れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】a図は遊技盤の構造図、b図は遊技盤から化粧シートを除去する工程図(最良の形態)。
【図2】遊技盤から化粧シートを剥がす熱処理装置の模式図(最良の形態)。
【図3】遊技盤遊技盤の構造図(異なる形態)。
【図4】遊技盤の構造図(従来)。
【符号の説明】
【0017】
1は遊技盤、2は遊技基盤、3は化粧シート、4はアクリル粘着材、5は表面パネル、6は化粧層、7は熱処理、8は搬送機構、9は冷却機構、10は搬送体、11は転着紙、12は接着剤、13は接着剤、14は表面パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧シートが透明なポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネルの後面に化粧層を印刷した構成であり、化粧シートの化粧層の後面が合板製の遊技基盤の前面にアクリル粘着材で結合されたか、または、化粧シートが透明なポリオレフィン合成樹脂からなる表面パネルの後面に化粧層を印刷しかつ化粧層の後面に転着紙を水溶性エマルジョンタイプの接着剤で結合した構成であり、化粧シートの転着紙の後面が合板製の遊技基盤の前面にアクリル粘着材で結合されたことを特徴とするパチンコ遊技機の遊技盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−212515(P2008−212515A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56658(P2007−56658)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】