説明

パチンコ遊技球用の回転案内具

【課題】 遊技球の好適な案内を図り得ると共に大型の遊技部品の着脱を楽にできるようにした着脱組立て式の回転案内具を提供する。
【解決手段】 回転案内具25は、遊技盤の遊技領域に前向きに固支される小径円筒状の支持体30と、支持体30の外側に組付けられる大径の回転羽根車40とから構成される。支持体30は、外周囲に前側から指先操作が可能で弾性変形し得る係合片33と嵌合片部32を前向きに形成する。回転羽根車40は、リム部43外側に複数の球受け片44を球径に適した間隔で放射状に形成すると共に、リム部43内側に係合部46と嵌合面部47を形成する。回転羽根車40は、遊技領域に固支された支持体30に対し、係合片33と係合部46との係合および嵌合片部32と嵌合面部47との嵌合により、前面側から着脱可能に嵌合結合される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、パチンコ遊技球用の回転案内具に係り、更に詳しくは、パチンコゲームを展開し得る遊技盤の遊技領域内に配設されて、パチンコ球(遊技球)を受けて案内する回転案内具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、パチンコ機やアレンジボール機に代表される遊技機では、機内に収容セットされる遊技盤の遊技領域において、一般に風車(フウシャ)とも呼ばれている類いの回転案内具部品が他の遊技部品に対応する部位に配設されて、遊技領域内に打込まれたパチンコ球(遊技球ともいう)を受けて、夫々の方向へ案内し得るようになっている。この回転案内具は、パチンコゲームの内容別に区分される遊技盤の遊技領域内において、受けた遊技球を所要の方向,位置(具体例として、特別ゲームの開始条件を発生,成立するための始動入賞口や特定入賞口等)に向けて適正に案内してゲーム効果を高めることが望まれ、これを実現可能とするために、その配置部位が工夫,選定されて実施されている。そして、従来から実施されている回転案内具については、例えば図8および図9に例示するような形態のものが実施されている。
【0003】
図8に示す回転案内具60は、金属成形された円盤61と、遊技球Bを受止める樹脂成形製の回転羽根車62とを組付けて、遊技盤前面に打込まれる釘63を支軸として回転可能に取着されるタイプである。この回転案内具60は、遊技盤におけるセンター役物の両側縁部等の所定位置に取着されるため、遊技盤の製作段階において、遊技領域に多数本の案内釘を植設する工程と、センター役物等の各種遊技部品を設置する工程の後、すなわち最終の工程として前記釘63を植設して取着されるようになっている。
【0004】
また、図9に示す回転案内具65は、遊技盤前面にビス着される樹脂成形製の取付けベース66の支軸(ピン)67に、遊技球Bを受止める突条部69を外周に複数個成形した樹脂成形製の回転羽根車68を、回転可能に連結支持させたタイプである。この回転案内具65は、前記取付けベース66の裏側にランプを配設し、また前記回転羽根車68を光透過可能に構成することにより、電飾機能を兼ね備えるようになっている。そして、このような形態の回転案内具65は、取付けベース66に回転羽根車68を前もって組付けておき、遊技盤の製作段階においては、遊技領域に多数本の案内釘を植設する工程の後、すなわち他の遊技部品を配設(設置)する工程で、ビス70により該取付けベース66を遊技盤に取着するようになっている。
【0005】
更に、実願平5−35169号公報には、遊技球の前面に取着される支持部材にフリー回転自在に遊嵌される回転案内体を前側からセットし、更に該回転案内体を保持する座部を形成したランプ用ホルダを前側から装着する構成の遊技球用の案内具が開示されている。前記ランプ用ホルダには、弾性変形可能なフックが一体成形されており、このフックを挿通孔に整合させながら押し込むだけの操作で、該フックは半径方向内方へ弾性変形した後に係合孔に係合し、該ランプ用ホルダは支持部材に簡単かつ容易に装着し得るようになっている。なお、支持部材の挿通孔には、前記係合孔を介して裏側からランプが挿入されると共に、この係合孔の後方に、ランプを取付けたランプ用基盤を配設するよう構成される。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、近年のパチンコ遊技機で構成,セットされる遊技盤においては、遊技部品のひとつとして、俗にセンター役物とも呼ばれている大型の装置器具(具体例として、図柄可変表示装置の前側透視体や電動式開閉入賞装置等)が使用されつつある。このような大型役物が使用される場合では、その設置占有面積から観て回転案内具の取着位置が、自ずと始動入賞口や特定入賞口等から大きく離れた位置に制約されることになってしまい、ゲーム効果の向上に適した遊技球の適正な案内ができなくなる。このため現実においては、大型のセンター役物の左右両外側縁に対して夫々の回転案内具をできるだけ近接させ、前後に位置する案内具羽根部と役物外側縁とが互いに左右大きくラップすることを承知の上で取着している。
【0007】
しかし、前述したようなセンター役物と回転案内具との配設形態にあっては、遊技盤の製作において双方の取着作業順が制約されてしまう不便があり、また遊技に供されている遊技盤においてセンター役物の点検取外しや交換に際しては、近傍にある回転案内具が邪魔になってしまい、取外し交換が手早く容易にできない。これに関連して、前記図8の回転案内具60では、支軸としての釘63を抜き取るか若しくは折り曲げなければ前記センター役物を取外すことができず、更にセンター役物の取付け後には、該釘63を再び打込んだり曲げ戻す等の作業を要する問題点がある。また図9の回転案内具65では、回転羽根車68を取付けベース66から容易に取外し得る構成ではないので、センター役物の取外し,取付けに際しては、ビス70の弛め,ねじ込みによる回転案内具65自体の着脱が必要となる欠点がある。従って、これら回転案内具60,65においては、センター役物等の着脱に際して、その取扱いに苦慮すると共に、随分煩わしい作業を伴う欠点を内在していた。
【0008】
また、実願平5−35169号公報に開示の前記案内具では、前記フックを半径方向内方へ付勢して係合孔との係合を解除させることにより、該ランプ用ホルダを前側へ引出し得るように構成されているので、支持部材を取外すことなく回転案内体を前側へ取外すことは可能である。しかし、前記係合孔は支持部材の裏側に形成されていることから、該支持部材が遊技盤に取着されている状態では、ランプ用ホルダの取外し操作を前面側から行なうことは不可能であり、該遊技盤の裏側からフックを指先操作しなければランプ用ホルダを取外すことはできない。しかも、これらフックが係合した係合孔の後方には、前述したように、ランプ用基盤が配設されており、このランプ用基盤を取外さなければフックに対する指先操作をなし得ない。すなわち前記案内具の構成では、回転案内体の取外しに際して、遊技盤の前後面両側からの作業を必要とすることから、センター役物の取外し,取付けに係る作業が、前記回転案内具60,65以上に面倒でかつ困難となってしまう欠点を内在している。
【0009】
【考案の目的】
本考案は、前述した課題を好適に解決するべく新規に提案されたもので、パチンコゲームを展開し得る遊技盤の遊技領域の前面に支持される円筒形の支持体に対して、直接の球受け回転羽根となる大径の回転羽根車を前側から簡単に着脱可能に組付けセットし得る形態にあって、大型の遊技部品の外周囲隣接位置に取着可能にして遊技球の好適な案内を図り得ると共に、大型の遊技部品の着脱を楽にできるようにした着脱組立て式の回転案内具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、初期の目的を達成するため、本考案に係るパチンコ遊技球用の回転案内具は、 所要のパチンコゲームを展開し得る遊技盤の遊技領域内に設置された各種の遊技部品の近傍に配設されて遊技球を案内し得る回転案内具にあって、 前記遊技盤の遊技領域に前向きに固支される小径円筒状の支持体と、外周に複数の球受け片を配設して支持体の外側に組付けられる大径の回転羽根車とを備え、 前記支持体は、外周囲に前側から指先操作が可能で弾性変形し得る係合片と嵌合片部を前向きに形成し、前記回転羽根車は、リム部外側に複数の球受け片を球径に適した間隔で放射状に形成すると共に、リム部内側に係合部と嵌合面部を形成し、 前記遊技領域前面に固支された前記支持体に対する前記回転羽根車の組付けについて、互いに弾性変形により係合し得る前記係合片および前記係合部と、互いに嵌合し得る嵌合片部および前記嵌合面部とを利用して、前記回転羽根車を前面側から着脱可能に嵌合結合し得るように構成したことを特徴とする。
【0011】
【作用】
遊技盤の遊技領域に前向きに固支される支持体は、該遊技領域内に設置された各種の遊技部品の近傍に配設され、該支持体には係合片および嵌合片部が形成されている。また回転羽根車には、リム部外周に複数の球受け片が形成されると共に、該リム部内側に係合部および嵌合面部が形成されている。そして、前記嵌合片部と嵌合面部を夫々整合させた状態で支持体に対し回転羽根車を前側から押し込むと、前記嵌合片部と嵌合面部とが嵌合すると共に前記係合片が適宜弾性変形した後に係合部に係合する。この嵌合片部と嵌合面部とは、互いに面接触しながら摺動し得るように設定されており、回転羽根車は支持体に対して自由回転可能となる。従って、遊技領域に打出された後に回転羽根車の球受け部で受止められた遊技球は、該遊技球の自重により自由回転する該回転羽根車と共に移動した後に、適宜方向へ変向案内される。
【0012】
そして、前記回転羽根車と遊技部品とが重なり合った状態で配設されていることを前提として、該遊技部品を遊技盤から取外したり交換する場合には、該回転羽根車を支持体から取外せばよい。すなわち、遊技盤の前面側からの指先操作により、前記係合片を半径方向内方へ適宜弾性変形させて係合部との係合を解除させ、この状態で回転羽根車を手前側へ引出せば、嵌合片部と嵌合面部との嵌合も解除されて該回転羽根車が支持体から離脱する。従って、遊技部品と重なり合っていた回転羽根車を取外したことにより、該遊技部品を遊技盤の前側へ手早く容易に引出すことができる。
【0013】
【考案の実施の形態】
次に、本考案に係るパチンコ遊技球用の回転案内具について、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。なお本実施例では、遊技機として一般的なパチンコ機に装着される遊技盤に回転案内具を配設し、この遊技盤の遊技領域に打出された遊技球を変向案内する場合を例示する。
【0014】
そこで先ず、パチンコ機における前枠の正面内部に着脱可能にセットされる本実施例の遊技盤について、図1および図7を参照して要約説明する。この遊技盤10は、第1種パチンコ遊技機用のものを例示しており、パチンコゲームに供される各種の遊技部品や表示用の遊技部品等が配設されている。すなわち、盤本体11の円形状の案内レール12内の遊技領域13において、上部に入賞具14を有する電子制御式の図柄表示装置15が中央に配設されている。この図柄表示装置15は、図7に示すように、遊技盤10の前面側に装着セットされる前側透視体16と、内部に図柄表示ユニット等を収容して該遊技盤10の裏面側に突出状態で装着される保持枠体15Aとから構成されている。
【0015】
前記入賞用の遊技部品としては、入球検出に基いて前記図柄表示装置15の図柄作動条件を発生し得る始動入賞具17、入賞口不変形態の普通入賞具18、両側に普通入賞具19を配設すると共に中央に特別遊技の条件成立に基いて開成作動される開閉部材20を備えたアタッカータイプの特別入賞装置21が夫々配設されている。また、表示用の遊技部品として、ランプ付きの回転案内具(ランプ風車)22や照明具23等が所定位置に配設されている。
【0016】
本考案の実施例に係る回転案内具25は、図2に示すように、遊技盤10前面にビス28により取着される取付板26と一体的に成形された小径の支持体30に、大径の回転羽根車40が前側から着脱可能に組付けられて構成される。そして図1に示すように、例えば前記図柄表示装置15の左右両側部に回転案内具25が1基ずつ配設されて、遊技盤10の遊技領域13に打出された遊技球を、該案内具25によって始動入賞具17等の方向へ適宜変向案内するようになっている。
【0017】
前記支持体30は、図2,図5および図6に示すように、菱形状に成形された前記取付板26の中央に突設した円形突出部27から水平前方へ延出し、該円形突出部27の外径より適宜小径の円筒体状に形成されている。そして、円筒体状の支持体30には、円筒中心を挟む上下位置に、周方向に離間する一対のスリット31,31が夫々形成されており、これら各スリット31により、左右に対向的に位置する円弧状の嵌合片部32,32と、上下に対向的に位置する細長の係合片33,33とが形成される。各係合片33は、前記嵌合片部32より延出長さを適宜大きく設定してあり、その先端部を指先で半径方向内方へ付勢すると、外周面に一体成形された鉤部34,34を互いに近接するよう弾性変形し得るようになっている。なお、各鉤部34の前面には、径方向外方に向かうにつれて取付板26に近接する傾斜が付され、後述する回転羽根車40の支持体30への取付けに際し、該回転羽根車40の前面側からの押し込みにより各係合片33を半径方向内方へ弾性変形させるべく機能する。
【0018】
前記回転羽根車40は、図2〜図6に示すように、円筒状のボス部41と、このボス部41の外周面から半径方向外方へ延出した合計4本のアーム42と、これらアーム42を介して該ボス部41と一体的に成形された大径のリム部43とから構成されている。このリム部43の外周には、遊技球Bの半径と略同一寸法で径方向に突出する球受け片44が、周方向に遊技球Bの外径に適した間隔で放射状に複数個形成されると共に、隣り合う球受け片44,44の間に遊技球Bが整合し得る曲面状の球受け部45が形成される。
【0019】
前記ボス部41の内周面は、図4に示すように、前記支持体30に形成された嵌合片部32,32が嵌合し得る嵌合面部47として形成され、嵌合片部32,32の外周面と嵌合面部47の内周面とが面接触しながら摺動し得るように寸法設定されている。また、前記ボス部41の奥行方向の全長は、図6に示すように、前記支持体30の係合片33の延出長さ(前記円形突出部27の前面と鉤部34の後面との間の寸法)より適宜小さく設定されている。従って、支持体30の前側から回転羽根車40を装着した際には、ボス部41の前端面である係合部46に前記鉤部34が係合すると共に、該ボス部41の後端面が前記円形突出部27の前面に接触する。従って回転羽根車40は、支持体30に対して前後方向への移動が規制され、かつこの状態で該支持体30に対して自由回転可能に支持される。
【0020】
なお、前記回転羽根車40におけるボス部41の前面側には、図2に破線で示すように、所要のデザイン印刷等を施した化粧板50を着脱可能に装着することにより、遊技盤10に装着された際の装飾効果を高めることができるよう構成されている。
【0021】
【実施例の作用】
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ遊技球用の回転案内具の作用につき説明する。
【0022】
前述した本実施例の回転案内具25では、図1に示す遊技盤10において、遊技領域13の中央に配設された電子制御式の図柄表示装置15の左右両側に取付けられ、該遊技領域13に打出された遊技球を、該図柄表示装置15の下方に配設された始動入賞具17等へ適宜変向案内するようになっている。このとき、前記図柄表示装置15の前側透視体16は、横方向の寸法を大きくした大型部品となっているので、始動入賞具17に対する遊技球の適切な案内を図るため、図1および図7に示すように、回転案内具25を可能な限り前側透視体16に近接した位置に取付けることが必要となる。
【0023】
この場合において、実施例の回転案内具25では、支持体30に回転羽根車40を装着せずに、該支持体30のみを先に遊技盤10に取付ける。すなわち、取付板26の長手方向が上下の向きになるよう調節してビス28を遊技盤10にねじ込めば、支持体30が該遊技盤10の所定位置に固着される。このとき、取付板26および支持体30は、図7に示すように、前側透視体16における外側縁部16aに干渉しないので、遊技盤10に対する支持体30の組付け作業は、前側透視体16の取付け前でも取付け後でも可能であり、遊技盤製作における遊技部品の組付け順序(工程)が制約されない。
【0024】
そして遊技盤10に対して、図柄表示装置15における前側透視体16および支持体30の組付けが完了した後に、該支持体30に回転羽根車40を取付ける。すなわち、支持体30の嵌合片部32,32および係合片33,33に対し、回転羽根車40の嵌合面部47を整合させた状態で、該回転羽根車40を前側から支持体30に押し込む。このとき、嵌合片部32,32に対して嵌合面部47が略密着状態で摺動すると共に、係合片33,33の鉤部34,34が嵌合面部47に当接して半径方向内方へ弾性変形した状態で、支持体30に対し回転羽根車40がスライド移動する。そして回転羽根車40が、図6に示すように、前記円形突出部27の前面に当接する位置まで押し込まれると、係合片33,33の鉤部34,34が、ボス部41の前側へ突出して嵌合面部47との当接が解除されて元の状態に復帰し、該ボス部41の係合部46に係合する。これにより、回転羽根車40は支持体30に対して、円形突出部27および鉤部34,34によって前後方向への移動が規制されるが、嵌合片部32,32と嵌合面部47とが摺動可能に嵌合しているので自由回転は可能である。このように支持体30に装着された回転羽根車40は、図1および図7に示すように、前側透視体16とは前後方向に重なり合った状態となり、始動入賞具17と適切な間隔をおいて配設される。
【0025】
本実施例の回転案内具25では、球受け片44の突出高さを遊技球Bの半径と略同一寸法に設定すると共に、隣り合う球受け片44,44間に画成された球受け部45を遊技球Bが整合し得る曲面に形成してあるので、案内釘に当接しながら落下してくる遊技球は、回転羽根車40の球受け部45に一旦受止められる。
そして回転羽根車40は、受止められた遊技球Bの自重によって支持体30に対して回転し、球受け部45に収まった状態で移動した該遊技球Bは、横方向へ変向案内される。従って、回転案内具25で案内される遊技球Bの動きに面白味があって遊技者に興味を与え得ると共に、該遊技球Bをより遠方へ送出することができる。また、各球受け片44間を曲面に形成したことで該球受け片44の基部が厚くなり、回転羽根車40および球受け片44自体の強度が向上すると共に意匠面でも向上が図られる。
【0026】
また、前記図柄表示装置15の取外しや交換に際しては、回転案内具25における回転羽根車40を支持体30から取外せばよい。すなわち、回転羽根車40におけるボス部41の前面に取付けられた化粧板50を取外し、該ボス部41の前側へ突出した前記係合片33,33の先端部を指先で摘み、互いに半径方向内方へ適宜弾性変形させて係合部46と鉤部34,34との係合を解除させ、この状態で回転羽根車40を手前側へ引出せば、嵌合片部32,32と嵌合面部47との嵌合も解除されて、該回転羽根車40は支持体30から離脱する。そして、取付板26および支持体30は、前側透視体16と前後方向に重なり合っていないので、図柄表示装置15および前側透視体16は、手早く容易に取外すことが可能となる。
【0027】
なお、支持体に形成される嵌合片部および係合片の形状は、前記実施例に例示した形状,形態のものに限定されるものではなく、前面側からの指先操作により回転羽根車を簡単かつ容易に着脱し得ると共に、回転羽根車を回転自在に支持し得るものであれば、これ以外の形状であってもよい。また前記実施例では、第1種パチンコ遊技機用の遊技盤に実施する場合を例示したが、本考案の回転案内具は、これ以外の第2種パチンコ遊技機や第3種パチンコ遊技機用の遊技盤あるいはアレンジボール遊技機の遊技盤等にも好適に実施し得る。
【0028】
【考案の効果】
以上説明した如く、本考案に係るパチンコ遊技球用の回転案内具によれば、遊技盤に固着される支持体と、遊技球用の球受け片を形成した回転羽根車とを別体に形成すると共に、互いに弾性変形により係合し得る係合片および係合部と、互いに嵌合し得る嵌合片部および嵌合部とを利用して、前面側からの操作により着脱可能に嵌挿結合し得るよう構成したことにより、適宜時点において回転羽根車を簡単かつ容易に取外すことができる。しかも、前面側からの簡単な指先操作のみで回転羽根車を取外すことが可能なので、従来のようにビスの弛め,ねじ込みや支軸の折り曲げ等の煩わしい作業を必要としない利点がある。従って、例えば遊技部品に隣接して回転案内具を配設するに際し、該遊技部品に対して回転羽根車を前後に重なり合うよう設定した場合であっても、該回転羽根車のみを支持体から取外せば、遊技部品の簡単かつ容易な組外しが可能となる。すなわち、遊技盤に大型の遊技部品を取付ける場合において、回転案内具の取着位置が制約されることはなく、ゲーム効果の向上に適した遊技球の適正な案内が常にできると云う有益な効果を奏する。
【0029】
また、従来の回転案内具では、上方より落下してくる遊技球は回転羽根車に当ると瞬間的に横方向に案内されるため、この遊技球の動きに面白味がないものであった。これに対し、本考案に係る回転案内具では、回転羽根車の外周に複数の球受け片を遊技球の球径に適した間隔で放射状に形成してあるので、案内釘に当接しながら落下してくる遊技球は、この球受け片の間で一旦受止められる。そして回転羽根車は、受止めた遊技球の自重によって該遊技球を暫く保持したまま支持体に対して回転し、その後に適宜方向へ変向案内するようになる。すなわち、回転案内具で案内される遊技球の動きに面白味があって遊技者に興味を与え得ると共に、該遊技球をより遠方へ送出することができる等の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例に係る回転案内具が実施される遊技盤の正面図である。
【図2】実施例に係る回転案内具を分解して示す視斜図である。
【図3】実施例に係る回転案内具の正面図である。
【図4】実施例の回転案内具を回転羽根車を取外した状態で示す正面図である。
【図5】実施例の回転案内具を回転羽根車および化粧板を取外した分解状態で示す一部破断側面図である。
【図6】実施例の回転案内具を遊技盤に取付けた状態で示す縦断側面図である。
【図7】実施例の回転案内具を遊技盤に取付けると共に回転羽根車を着脱する状態を示す横断平面図である。
【図8】従来から実施されている回転案内具を概略で示す斜視図である。
【図9】従来から実施されている別の回転案内具を概略で示す正面図である。
【符号の説明】
10 遊技盤
13 遊技領域
15 図柄表示装置(遊技部品)
30 支持体
32 嵌合片部
33 係合片
40 回転羽根車
43 リム部
44 球受け片
46 係合部
47 嵌合面部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 所要のパチンコゲームを展開し得る遊技盤(10)の遊技領域(13)内に設置された各種の遊技部品(15)の近傍に配設されて遊技球を案内し得る回転案内具にあって、前記遊技盤(10)の遊技領域(13)に前向きに固支される小径円筒状の支持体(30)と、外周に複数の球受け片(44)を配設して支持体(30)の外側に組付けられる大径の回転羽根車(40)とを備え、前記支持体(30)は、外周囲に前側から指先操作が可能で弾性変形し得る係合片(33)と嵌合片部(32)を前向きに形成し、前記回転羽根車(40)は、リム部(43)外側に前記複数の球受け片(44)を球径に適した間隔で放射状に形成すると共に、リム部(43)内側に係合部(46)と嵌合面部(47)を形成し、前記遊技領域(13)前面に固支された前記支持体(30)に対する前記回転羽根車(40)の組付けについて、互いに弾性変形により係合し得る前記係合片(33)および前記係合部(46)と、互いに嵌合し得る嵌合片部(32)および前記嵌合面部(47)とを利用して、前記回転羽根車(40)を前面側から着脱可能に嵌合結合し得るように構成したことを特徴とするパチンコ遊技球用の回転案内具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【登録番号】第3039850号
【登録日】平成9年(1997)5月14日
【発行日】平成9年(1997)7月31日
【考案の名称】パチンコ遊技球用の回転案内具
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平9−508
【出願日】平成9年(1997)1月22日
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)