説明

パック用シート及びパック用シート製造方法

【課題】摘まみ部の包み込み等がなく製造工程の高速化を容易に促進できると共に、摘まみ部を持って容易に展開でき、しかも簡単な構造で容易且つ安価に製造できるパック用シートを提供する。
【解決手段】化粧液が含浸された不織布、紙等のシート体2から成り、シート体2の必要箇所に切り込み5〜8を形成すると共に、シート体2の外周に少なくとも一対の摘まみ部3を形成する。各摘まみ部3に、これを補強する合成樹脂製の補強フィルムを設ける。各摘まみ部3は、シート体2の外周から外方に突出し、補強フィルム4の外周が摘まみ部3の外周に略一致している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔のパック用として使用するフェースマスク等のパック用シート及びパック用シート製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顔のパック用として使用するフェースマスクは、不織布、紙等の吸水性の高いシート体を素材とし、これに化粧液を含浸している。そして、フェースマスクを顔に当てたときに、顔面に対するシート体の密着性を良くするために、シート体の目、鼻に対応する部分に切り込みを形成すると共に、外周部分に周方向に所定の間隔をおいて複数本の切り込みを放射状に形成し、更に口に対応する部分に開口を形成している。
【0003】
この種のパック用のフェースマスクは、通常、シート体をその略中央で二つ折り状態に折り畳み、更にその二つ折り線の長手方向の複数箇所で順次内側に折り畳む等して、シート体を所定の大きさに折り畳んだ後、その状態で密封性を有する包装袋等に収納している。
【0004】
顔をパックする際には、包装袋を開封して1枚のフェースマスクを取り出し、次いでフェースマスクを折り畳み状態から順次拡げて展開した後、このフェースマスクを顔の略全体に略密着するように当てる。このため従来のフェースマスクは、シート体の外周の左右両側等の所定箇所に、外方に突出する一対の摘まみ部を形成し、シート体を二つ折り状態まで拡げた後、一対の摘まみ部を持って展開状態まで拡げるようにしている(特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−325143号公報
【特許文献2】実用新案登録第3072027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フェースマスクは、不織布、紙等の吸水性の高いシート材を所定形状に切り抜いて製造しており、シート体とその外方に突出する摘まみ部とが同一の素材で形成されているため、化粧液をシート体に含浸した湿潤状態では、摘まみ部にも化粧液が浸透して湿潤化し、その摘まみ部を形成する不織布等の素材の腰がなくなる。
【0006】
このため化粧液を含浸した状態のシート体を折り畳んで包装袋で包装する包装工程、又はシート体に化粧液を含浸させる含浸工程等において、シート体から外方に突出する摘まみ部が折り返されたり、内部に包み込まれたりする惧れがあり、包装工程、含浸工程の作業速度の高速化を図り難いという問題がある。
【0007】
また包装袋から取り出したフェースマスクを二つ折り状態から拡げて展開する場合にも、一対の摘まみ部が多少上下方向にずれるようにシート体を折り畳んではいるものの、摘まみ部自体の素材に腰がなく、しかも両摘まみ部が多量の化粧液を含浸して密着状になっているため、各摘まみ部を区別し難く、両者を容易に分離できないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑み、摘まみ部の包み込み等がなく製造工程の高速化を容易に促進できると共に、摘まみ部を持って容易に展開でき、しかも簡単な構造で容易且つ安価に製造できるパック用シート及びパック用シート製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパック用シートは、化粧液が含浸された不織布、紙等のシート体2から成り、該シート体2の必要箇所に切り込み5〜8を形成すると共に、該シート体2の外周に少なくとも一対の摘まみ部3を形成したパック用シートにおいて、前記各摘まみ部3に、該摘まみ部3を補強する補強材4を設けたものである。前記補強材は合成樹脂製の補強フィルム4でも良い。前記各摘まみ部3は、前記シート体2の外周から外方に突出し、前記補強フィルム4の外周が前記摘まみ部3の外周に略一致していることが望ましい。
【0010】
本発明のパック用シート製造方法は、不織布、紙等の原反シート材20を長手方向に送りながら、該原反シート材20を切り抜いて、必要箇所に切り込み5〜8が形成されたシート体2から成り且つ該シート体2の外周に少なくとも一対の摘まみ部3を有するパック用シート1を製造するに際し、前記原反シート材20のシート体切り取り予定箇所26の両側で且つ前記原反シート材20の長手方向に対して斜め方向の両側の摘まみ部切り取り予定箇所27に順次補強フィルム片28を貼付し、前記摘まみ部3を有する前記シート体2の切り取り時に、前記摘まみ部切り取り予定箇所27の前記原反シート材20と一緒に前記補強フィルム片28を前記摘まみ部3の形状に沿って切り取るものである。前記原反シート材20に合成樹脂製の前記補強フィルム片28を接着又は熱シールすることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、摘まみ部の包み込み等がなく製造工程の高速化を容易に促進できると共に、各摘まみ部を持ってシート体を容易に展開でき、しかも簡単な構造で容易且つ安価に製造できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて詳述する。図1〜図12は本発明をフェースマスク1に採用した第1の実施例を示す。
【0013】
フェースマスク1はパック用シートの一例であって、図1〜図4に示すように、化粧液が含浸された不織布、紙等の吸水性の高いシート体2から構成され、そのシート体2の外周の左右両側に、外方に突出する少なくとも一対の展開用の摘まみ部3が一体に形成されている。各摘まみ部3はその一側面に設けられた補強材、例えば摘まみ部3の一側面に接着又は熱シール等で貼着された合成樹脂製の補強フィルム4により補強されている。
【0014】
シート体2は顔面の略全体を覆う大きさを有し、略円形状、おむすび状、その他の所定形状に形成されている。そして、シート体2の所要箇所には、顔面に対する密着性を良くするために複数の切り込み5〜8が形成されている。例えば、シート体2の内部側には顔の目、鼻に対応する部分にU字状、逆U字状にスリット等の切り込み5,6が、口に対応する部分に開口部等の切り込み7が夫々形成され、また外周には上下、左右等の適当箇所にスリット等の切り込み8が放射状に形成されている。
【0015】
一対の摘まみ部3の内、その一方の摘まみ部3はシート体2の上下方向の略中央よりも上側に、他方の摘まみ部3はシート体2の上下方向の略中央よりも下側に夫々配置されており、シート体2を左右方向の略中央の二つ折り線9で二つ折り状に折り畳んだときに、図4(A)に示すように、その両摘まみ部3が上下方向の略中央で重なり合わないで上下に近接するようになっている。
【0016】
各摘まみ部3を補強する補強フィルム4は、適度な弾性、保形性を有する合成樹脂フィルムから成り、摘まみ部3の形状に対応して設けられている。この補強フィルム4は、その内端側に上下方向の帯状の延出部4aが設けられている。延出部4aは摘まみ部3からシート体2側に若干入り込んで上下両側に伸びており、その摘まみ部3を除く外側はシート体2の外形状に沿っている。
【0017】
両摘まみ部3は、図4(B)に示すように二つ折り状態のときに、その一部が重なり合う位置に設けても良い。勿論、両摘まみ部3が略一致するように設けることも可能である。また切り込み5〜8はシート体2に左右の略対称位置に形成されているが、非対称でも良い。延出部4aは上下両側の他、上側又は下側の何れか一方のみでも良い。また延出部4aの長さは、シート体2の折り線よりも摘まみ部3側に収まる程度にしても良い。補強フィルム4は図1に2点鎖線で示すように摘まみ部3とシート体2との境界までとし、延出部4aをなくしても良い。
【0018】
図5〜図8はフェースマスク1を折り畳んで1枚ずつ包装袋10によりラップ巻き状に密封包装したフェースマスク包装体11を例示する。このフェースマスク包装体11はパック用シート体包装体の一例であって、図5〜図8に示すように、フェースマスク1を左右略中央の二つ折り線9で二つ折り状に折り畳んで二つ折り体12とし、この二つ折り体12とその外側の包装フィルム13とを、二つ折り線9方向の複数箇所の折り線14,15で偏平状に折り畳んでラップ巻き状に包み込むと共に、その包装フィルム13を縦シール部16及び横シール部17で剥離可能にシールして包装袋10を形成したものである。なお、包装フィルム13にはイージーピールフィルム、その他の薄手の適宜フィルムが使用されている。
【0019】
包装時には、図8に示すように、包装フィルム13上にフェースマスク1の二つ折り体12を重ね(図8(A)参照)、この二つ折り体12の端部近傍の折り線18に沿って包装フィルム13を内側に折り重ねてた後(図8(B)参照)、二つ折り線9方向の2箇所、例えば二つ折り体12の二つ折り線9と反対側にある一対の摘まみ部3の両側の2箇所の折り線14,15に沿って一方向に偏平な三つ折り状に折り畳んでいる。
【0020】
従って、フェースマスク1の二つ折り体12は、図6に示すように中間部12aの上にその一端側の内側部12bが重なり、内側部12bの上に中間部12aの他端側の外側部12cが三つ折り状になっており、その内側部12bの内端部に包装フィルム13の内端側が内外両側から巻き付けられている。なお、2箇所の折り線14,15間の間隔は、一対の摘まみ部3を両側から挟み且つ二つ折り体12の内側部12bと外側部12cとが包装フィルム13を介して内外に重なり合う程度となっている。
【0021】
そして、包装フィルム13は、フェースマスク1に対して折り線14,15方向の両側の横シール部17と、この横シール部17間で包装フィルム13の外端部をその端縁に沿って内側の包装フィルム13にシールする縦シール部16とで密封状にシールされている。そして、この包装フィルム13により、1個の包装袋10が構成されている。
【0022】
縦シール部16では、包装フィルム13の外端縁に沿ってその端縁より若干内側に感圧ホットメルト接着剤19等を塗工しておき、その感圧ホットメルト接着剤19等を介して包装フィルム13の外端部が内側の包装フィルム13の外側に剥離可能に熱シールされている。また横シール部17では包装フィルム13同士の重なり部分が熱溶着、熱シール、その他の適宜シール法により剥離可能にシールされている。なお、各シール部は包装袋10の開封を容易にするために易剥離接着しておくことが望ましい。しかし、包装フィルム13が開封時に比較的容易に破れる程度の薄いフィルムの場合には、縦シール部16、横シール部17は剥離可能である必要はない。
【0023】
このフェースマスク包装体11において、包装袋10からフェースマスク1を取り出して使用する場合には、包装フィルム13の外端縁13aを摘んで縦シール部16側から包装袋10を開封する。この開封時には先ず縦シール部16が剥離し、続いて横シール部17が周方向(二つ折り線9方向)へと順次剥離するため、包装袋10を開封しながらフェースマスク1の二つ折り体12を二つ折り状に容易に拡げて展開することができる。
【0024】
フェースマスク1の二つ折り体12の内外両端部は、包装フィルム13を介して二つ折り体12の他の対向部分と接しているため、二つ折り体12の端部が他の対向部分に密着する等の問題がなく、二つ折り体12の端部を包装フィルム13から容易に分離でき、包装袋10を開封して展開状に拡げるに際しての取り扱いが非常に容易である。
【0025】
二つ折り状まで展開した後は、各摘まみ部3を持ってシート体2の左半分と右半分とを剥がしながら拡げて展開する。この場合、シート体2及び摘まみ部3は化粧液が含浸した湿潤状態であるが、シート体2から外方に突出する摘まみ部3は補強フィルム4により補強されているので、摘まみ部3が折れ込む等の問題がなく、各摘まみ部3を容易に区別できる。しかも各摘まみ部3は補強フィルム4により補強されており、摘まみ部3自体に保形成があるため、各摘まみ部3を容易に摘むことができる。従って、従来に比較して二つ折り状のシート体2を容易に拡げて展開することができる。
【0026】
更に補強フィルム4に上下方向の帯状等の細い延出部4aがある場合には、この延出部4aによって摘まみ部3の上下近傍でシート体2を補強できる。このためシート体2には複数の切り込み5〜8があるにも拘わらず、シート体2を更に容易に拡げることができる。
【0027】
フェースマスク1を拡げた状態で顔に当てる場合にも、各摘まみ部3が補強フィルム4で補強され、各摘まみ部3の上下近傍のシート体2が延出部4aで補強されているため、各摘まみ部3を摘んで拡げた状態のフェースマスク1を顔面上へと容易に運ぶことができる。また摘まみ部3に補強フィルム4を接着又は熱シールにより貼着して、この補強フィルム4を補強材として補強しているため、構造的にも非常に簡単であり、容易且つ安価に製造できる。
【0028】
図9及び図10は原反シート材20からフェースマスク1を製造する場合の製造過程を例示する。原反シート材20は、これをロール状に巻いた原反ロール21から繰り出して長手方向に送る。そして、この原反シート材20を長手方向に送りながら、例えば補強フィルム貼付工程22、フェースマスク切り取り工程23、フェースマスク取り出し工程24、トリム回収工程25等を経てフェースマスク1を順次製造する。
【0029】
補強フィルム貼付工程22では、原反シート材20のシート体切り取り予定箇所26の両側の摘まみ部切り取り予定箇所27に所定大きさの補強フィルム片28を順次貼付する。シート体切り取り予定箇所26は原反シート材20の長手方向に所定間隔で近接するように設定され、各摘まみ部切り取り予定箇所27はシート体切り取り予定箇所26に対して原反シート材20の長手方向と交差する斜め方向の両側にある。そして、図10(B)に示すように、各摘まみ部切り取り予定箇所27に、これよりも多少大きめの補強フィルム片28を、その一部がシート体切り取り予定箇所26に入るように貼着する。
【0030】
補強フィルム片28は原反シート材20が一対の貼付ロール間を通過するときに、長手方向に隣り合う各シート体切り取り予定箇所26間のピッチに対応したピッチで摘まみ部切り取り予定箇所27に接着、熱シール等により貼着する。例えば、原反シート材20に補強フィルム片28を熱シール法で貼着する場合には、全面シール、点シール、線シール、紐型シール等で貼着しても良いし、×印模様、○印模様、ローレット加工模様となるように貼着しても良い。勿論、これらに関係なく、熱を加えて加圧することにより、不織布等の原反シート材20と補強フィルム片28とを接着又はシールできるものであれば、どのような接着法又は熱シール法を採用しても良い。
【0031】
フェースマスク切り取り工程23では、補強フィルム片28を貼着した後の原反シート材20を一対のカーターロール間に送り、そのカーターロールによりフェースマスク1を切り取る。カーターロールには、シート体2と一対の摘まみ部3とを含むフェースマスク1の外周形状に対応する切り刃、各切り込みに対応する切り刃を有し、原反シート材20が一対のカーターロールを通過するときに、その切り刃により原反シート材20からフェースマスク1を切り取る。
【0032】
この場合、原反シート材20のシート体切り取り予定箇所26、摘まみ部切り取り予定箇所27を切って、原反シート材20から摘まみ部3付きのシート体2を切り取るときに、原反シート材20の摘まみ部切り取り予定箇所27と一緒に補強フィルム片28を各摘まみ部3の形状に沿って切り取る。このため補強フィルム4の形状が摘まみ部3に対応したものとなる。
【0033】
フェースマスク1は原反シート材20の長手方向に対して斜め方向に向く状態で切り取るので、原反シート材20に対するフェースマスク1の歩留りが向上し、材料の無駄を極力防止できる。また各摘まみ部切り取り予定箇所27毎に、これを覆う大きさの補強フィルム片28を貼着しておき、その補強フィルム片28と一緒に原反シート材20から摘まみ部3を切り取るため、原反シート材20の長手方向に連続する帯状の補強フィルム片を使用する場合に比較して、補強フィルム片28の無駄も防止できる。
【0034】
フェースマスク取り出し工程24では、フェースマスク切り取り工程23にて原反シート材20からフェースマスク1が切り取られる都度、そのフェースマスク1を取り出して次の包装工程へと搬送する。トリム回収工程25では、フェースマスク1を切り取った後のトリム29を巻き取る等によって回収する。なお、化粧液の含浸工程は、原反シート材20に対して補強フィルム片28を貼着する補強フィルム貼着工程22の前、又は補強フィルム貼着工程22とフェースマスク切り取り工程23との間、又は包装工程の前の何れでも良い。
【0035】
フェースマスク1は顔を覆う大きさであって、展開状態では非常に大きく、しかも化粧液を含浸しているため、所定の大きさに折り畳んだ折り畳み状態で包装袋10により密封状に包装する。その場合、フェースマスク1の使用形態等を考慮して、1枚ずつ個別に包装袋10により包装しても良いし、数枚程度、又はそれ以上の複数枚をまとめて重ね合わせた状態で包装袋10により包装しても良い。
【0036】
図11及び図12はシート体2に化粧液を含浸したフェースマスク1を1枚ずつ折り畳みながら包装する場合の包装過程を例示する。フェースマスク1の包装には、帯状の包装フィルム13を使用し、これをロール状に巻いた原反ロール31から繰り出して長手方向に送りながら、例えば接着剤塗布工程32、二つ折り工程33、供給工程34、折り重ね工程35、包み込み工程36、密封工程37、フェースマスク包装体取り出し工程38等を経て包装し、フェースマスク包装体11として仕上げる。
【0037】
接着剤塗布工程32では、長手方向に走行中の包装フィルム13の幅方向の一方の端部に、塗布ノズル、塗工ロール等の塗工手段により縦シール用の感圧ホットメルト接着剤19を長手方向に沿って帯状に塗工する。なお、感圧ホットメルト接着剤19は、包装フィルム13の端縁から開封時の摘まみ代39分だけ内側に入った位置に塗工することが望ましい。また感圧ホットメルト接着剤19を塗工済みの包装フィルム13を使用する場合には、包装に当たっての接着剤塗布工程32は省略できる。
【0038】
二つ折り工程33では、シート体2の左右方向の中央部の二つ折り線9でフェースマスク1を二つ折り状に折り畳む。この場合、フェースマスク1が化粧液を含浸した湿潤状態であっても、各摘まみ部3は補強フィルム4により補強されているので、摘まみ部3が内側に折れ込んで二つ折り状のシート体2間に挟まれる等の問題はなく、フェースマスク1を容易且つ確実に二つ折り状に折り畳むことができる。二つ折り状態では一対の摘まみ部3が二つ折り線9と反対側で上下に近接しており、両者が重なり合うことはない。なお、フェースマスク1を二つ折りする場合、シート体2の左右の切り込み5〜8が一致しないように折り畳むことが望ましい。
【0039】
供給工程34では、感圧ホットメルト接着剤19を塗工後の包装フィルム13上に二つ折り状のフェースマスク1、即ち二つ折り体12を順次供給する。この場合、二つ折り状のフェースマスク1は、その二つ折り線9を包装フィルム13の略幅方向に向けた状態で包装フィルム13上にその長手方向に略等間隔をおいて供給する。また二つ折り状のフェースマスク1は包装フィルム13の幅内に収まり、包装フィルム13の感圧ホットメルト接着剤19を塗工した端縁側に所定幅のシール代40が残り、これと反対の端縁側に所定幅の折り重ね代41が残るように、その幅方向の中間に配置する。
【0040】
折り重ね工程35では、折り重ね手段を通過するときに、フェースマスク1の二つ折り体12の端部近傍に二つ折り線9と略直交する長手方向の折り線18ができるように、包装フィルム13の一端側の折り重ね代41分を内側に折り込んで、二つ折り体12上に折り重ねる。
【0041】
包み込み工程36では、折り重ね工程35でフェースマスク1上に折り重ねられた包装フィルム13の折り重ね部13cが内側となるように、二つ折り状のフェースマスク1及び包装フィルム13をその二つ折り線9方向の複数箇所の折り線14,15に沿って一方向に巻いて偏平状に包み込んで行く。なお、この実施例では、二つ折り状のフェースマスク1をその二つ折り線9方向の2箇所の折り線14,15で三つ折り状に折り畳んでいるため、包み込み工程36は第1折り畳み工程42、第2折り畳み工程43により構成されている。
【0042】
第1折り畳み工程42では、第1折り畳み手段が通過するときに、包装フィルム13の折り重ね部13cを二つ折り体12の中間部12aと内側部12bとの間で挟むように、包装フィルム13とフェースマスク1との一端側を折り線14に沿って内側へと折り畳む。そして、第2折り畳み工程43では、第1折り畳み工程42で折り畳まれた内側部12b上の包装フィルム13に、二つ折り体12の外側部12cの外端部が上から重なり、且つこの外端部よりも外側で包装フィルム13の感圧ホットメルト接着剤19側が上から重なるように、包装フィルム13と二つ折り体12との他端側を折り線15に沿って内側へと折り畳む。
【0043】
密封工程37は、包装フィルム13の他端側をその内側の前記包装フィルム13に感圧ホットメルト接着剤19により感圧接着する縦シール工程44、縦方向の両側で包装フィルム13同士を熱溶着し溶断する横シール工程45とを含み、三つ折り後に包装フィルム13を縦シール部16、横シール部17で夫々シールしその横シール部17の中間で順次溶断して、包装フィルム13からなる包装袋10によりフェースマスク1を密封した1個のフェースマスク包装体11として、フェースマスク包装体取り出し工程38を経て取り出して行く。なお、溶断工程は横シール工程45から分離して、横シール工程45の後に設けても良い。
【0044】
このようしてフェースマスク1と包装フィルム13とを一緒に折り畳みながら、包装フィルム13でフェースマスク1を包み込んで偏平状にし、その包装フィルム13を縦シール部16及び横シール部17でシールして密封状の包装袋10を構成することにより、フェースマスク1を個別に包装できる。第1折り畳み工程42、第2折り畳み工程43で二つ折り状のフェースマスク1を更に三つ折り状に折り畳むが、フェースマスク1とその外側の包装フィルム13とを一緒に折り畳むので、摘まみ部3があるにも拘わらず、その摘まみ部3が内側に折れ込んだりすることもない。また特に摘まみ部3を補強フィルム4で補強することにより、摘まみ部3の保形性が向上する。このため、フェースマスク1の外側に包装フィルム13があることと相まって、摘まみ部3の折れ込み等を確実に防止できる。従って、作業の高速化を容易に促進できる。
【0045】
しかもフェースマスク1の内端部、外端部は、包装フィルム13を介して他の部分と対向することになり、フェースマスク1の他の部分と直接接触することはない。従って、包装袋10を構成する包装フィルム13を一種の介在物として利用でき、フェースマスク1が化粧液を含浸しているにも拘わらず、開封時にフェースマスク1の内外両端部の確認、分離等が容易になり、その端部を掴んで折り畳み状態のフェースマスク1を容易に拡げることができる。
【0046】
図13は本発明の第2の実施例を例示する。このフェースマスク1は、図13(A)(B)に示すようにシート体2の斜め方向の両側に摘まみ部3が形成され、上下方向の中間の左右方向の二つ折り線9でシート体2を二つ折り状に折り畳むようにしている。
【0047】
このように摘まみ部3はシート体2の外周であれば、任意の箇所に設けても良い。また摘まみ部3が一対の場合には、略反対側の位置に夫々配置することが望ましい。但し、二つ折り体12を三つ折り状に折り畳むときには、2箇所の折り線14,15間の外側又は内側に摘まみ部3が位置するようにする等、その折り線14,15が摘まみ部3から外れるようにすることが望ましい。勿論、折り線14,15が摘まみ部3を通るように折り畳んでも良い。
【0048】
図14は本発明の第3の実施例を例示する。補強フィルム4は摘まみ部3の全面に設けても良いが、図14(A)〜(C)に示すように摘まみ部3の一部分に設けても良い。その場合、摘まみ部3の端縁を容易に見出し易くするためには、補強フィルム4と摘まみ部3との突出端縁を一致させることが望ましい。また摘まみ部3に塗料、その他の塗工材料を塗って補強材を形成しても良い。
【0049】
図15及び図16は本発明の第4の実施例を例示する。このフェースマスク包装体11は、展開状態のフェースマスク1を包装フィルム13と一緒に一方向に三つ折り状、又は四つ折り状に折り畳んで同様に包装したものである。包装方法は図8、図12の場合と同様である。この場合には、フェースマスク包装体11の長さが長くなるが、包装袋10の開封時に縦シール部16側から開封して、順次横シール部17を剥がしながら拡げて行けば、フェースマスク1を展開状に拡げることができる。
【0050】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明は各実施例に限定されるものではない。例えば、パック用シート体2としては、顔用のフェースマスク1の他、膝その他の部位のパック用として使用するものでも良い。シート体2は紙、不織布その他の吸水性に優れたシート状のものであれば良い。従って、複数枚を重ねた複合シート等でも良い。
【0051】
摘まみ部3の補強材は、補強フィルム4により構成する他、原反シート材20の摘まみ部切り取り予定箇所27に塗料、その他の材料の吸水性のない塗工剤、又は撥水性のある塗工剤を塗布することにより形成しても良い。また摘まみ部3はシート体2から外方に突出していることが望ましいが、シート体2の外周縁部の全周、又は対角線方向の両側の一部を摘まみ部3とし、その摘まみ部3を補強材で補強するようにしても良い。
【0052】
包装フィルム13の外側の外端縁は、包装袋10の幅方向の端縁と略一致するようにしても良い。フェースマスク1の二つ折り体12を折り畳む場合、その折り数を四つ折りにするなど、三つ折り以上の複数折りで折り畳むことが望ましい。包装フィルム13からなる包装袋10でフェースマスク1を密封状に包装したフェースマスク包装体11の場合には、摘まみ部3を補強剤で補強しなくても良い。パック用シートは帯状でも良い。その他、本発明は、シート体2に薬液を含浸した治療用シートにも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの正面図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの底面図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの要部の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの二つ折り体の正面図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示すフェースマスク包装体の正面図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示すフェースマスク包装体の概略断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例を示すフェースマスク包装体の一部破断斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの包装過程の説明図である。
【図9】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの製造過程の工程ブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの製造過程の工程図である。
【図11】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの包装過程の工程ブロック図である。
【図12】本発明の第1の実施例を示すフェースマスクの包装過程の工程図である。
【図13】本発明の第2の実施例を示すフェースマスクの説明図である。
【図14】本発明の第3の実施例を示すフェースマスクの要部の説明図である。
【図15】本発明の第4の実施例を示すフェースマスク包装体の斜視図である。
【図16】本発明の第4の実施例を示すフェースマスクの包装過程の説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 フェースマスク(パック用シート)
2 シート体
3 摘まみ部
4 補強フィルム(補強材)
5〜8 切り込み
10 包装袋
12 二つ折り体
13 包装フィルム
14,15 折り線
20 原反シート材
26 シート体切り取り予定箇所
27 摘まみ部切り取り予定箇所
28 補強フィルム片
33 二つ折り工程
34 供給工程
35 折り重ね工程
36 包み込み工程
37 密封工程
42 第1折り畳み工程
43 第2折り畳み工程
44 縦シール工程
45 横シール工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧液が含浸された不織布、紙等のシート体(2)から成り、該シート体(2)の必要箇所に切り込み(5)〜(8)を形成すると共に、該シート体(2)の外周に少なくとも一対の摘まみ部(3)を形成したパック用シートにおいて、前記各摘まみ部(3)に、該摘まみ部(3)を補強する補強材(4)を設けたことを特徴とするパック用シート。
【請求項2】
前記補強材は合成樹脂製の補強フィルム(4)であることを特徴とする請求項1に記載のパック用シート。
【請求項3】
前記各摘まみ部(3)は、前記シート体(2)の外周から外方に突出し、前記補強フィルム(4)の外周が前記摘まみ部(3)の外周に略一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載のパック用シート。
【請求項4】
不織布、紙等の原反シート材(20)を長手方向に送りながら、該原反シート材(20)を切り抜いて、必要箇所に切り込み(5)〜(8)が形成されたシート体(2)から成り且つ該シート体(2)の外周に少なくとも一対の摘まみ部(3)を有するパック用シート(1)を製造するに際し、前記原反シート材(20)のシート体切り取り予定箇所(26)の両側で且つ前記原反シート材(20)の長手方向に対して斜め方向の両側の摘まみ部切り取り予定箇所(27)に順次補強フィルム片(28)を貼付し、前記摘まみ部(3)を有する前記シート体(2)の切り取り時に、前記摘まみ部切り取り予定箇所(27)の前記原反シート材(20)と一緒に前記補強フィルム片(28)を前記摘まみ部(3)の形状に沿って切り取ることを特徴とするパック用シート製造方法。
【請求項5】
前記原反シート材(20)に合成樹脂製の前記補強フィルム片(28)を接着又は熱シールすることを特徴とする請求項4に記載のパック用シート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−223371(P2006−223371A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38097(P2005−38097)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(390018832)東亜機工株式会社 (14)