説明

パッチ境界整合を用いてオーディオ信号を処理するための装置および方法

高周波数部分と低周波数部分とを有する帯域幅拡張された信号を、高周波数部分のためのパラメトリックデータを用いて生成するためのオーディオ信号を処理する装置であって、パラメトリックデータは高周波数部分の周波数帯域に関するものであり、該装置は、パッチ境界が周波数帯域の周波数帯域境界と一致するようにパッチ境界を計算するためのパッチ境界計算器(2302)とを含む。該装置は、オーディオ信号(2300)とパッチ境界とを用いて、パッチングされた信号を生成するためのパッチャ(2312)を更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波数再構成(HFR)のための高調波転換方法を利用するオーディオ源符号化システム、および高調波の歪みの生成が処理された信号に明瞭さを加える、例えば、いわゆるエキサイタなどのデジタル効果プロセッサ、および元々の信号のスペクトル内容を維持しながら信号の持続時間を拡張する時間伸張器に関する。
【背景技術】
【0002】
PCT WO 98/57436において、オーディオ信号の低い周波数帯域から高周波数帯域を再構成するための方法として転換という概念が確立された。この概念をオーディオ符号化に用いることによってビットレートを実質的に節約できる。HFRに基づいたオーディオ符号化システムでは、低帯域幅信号がコア波長符号器によって処理され、復号器側で、転換と、目標スペクトル形状を記述する非常に低いビットレートの付加的副情報とを用いてより高い周波数が再生成される。コア符号化信号の帯域幅が狭い低ビットレートでは、知覚的に心地よい特性を有する高帯域を再構成することがますます重要になっている。PCT WO 98/57436において定義されている高調波転換は、低クロスオーバ周波数の状況における複雑な音楽素材に対して非常に性能がよい。高調波転換の原理は、周波数ωの正弦曲線を周波数Tω(ここで、T>1は、転換次数を規定する整数である)の正弦曲線にマッピングするということである。これに対し、単一側波帯変調(SSB)に基づくHFR方法は、周波数ωの正弦曲線を周波数ω+Δω(ここで、Δωは、固定の周波数シフト)の正弦曲線にマッピングする。低帯域幅のコア信号であれば、SSB転換により不協和的アーチファクトが生じ得る。
【0003】
可能な限り最善のオーディオ品質を達成するために、現状の技術水準の高品質な高調波HFR方法は、高周波数分解能および高度なオーバサンプリングを有する複素変調されたフィルタバンク、例えば、短時間フーリエ変換(STFT)を用いて、要求されるオーディオ品質を達成する。正弦曲線の合計の非線形処理から生じる不要な相互変調歪みを回避するためには微細分解能が必要である。十分に高い周波数分解能、すなわち、狭いサブバンドでの高品質方法は、各サブバンドに最大1つの正弦曲線を有することを目指す。高度な時間オーバサンプリングは、エイリアシング型の歪みを回避するために必要であり、ある程度の周波数オーバサンプリングは、過渡信号の前エコーを回避するために必要である。明らかな欠点は、演算が非常に複雑になり得るということである。
【0004】
サブバンドブロックに基づいた高調波転換は、相互変調積を抑制するために用いられるもう1つのHFR方法であり、この場合、粗めの周波数分解能および低めのオーバサンプリングを有するフィルタバンク、例えばマルチチャネルQMFバンクを用いる。この方法では、複素サブバンドサンプルの時間ブロックは共通の位相修正器によって処理され、修正されたサンプルをいくつか重畳することで出力サブバンドサンプルを形成する。これは、他の方法では入力サブバンド信号がいくつかの正弦曲線からなる場合に生じるであろう相互変調積を抑制するという正味の効果を有する。ブロックを基本としたサブバンド処理に基づく転換は、高品質の転換器より演算の複雑性がずっと低く、多くの信号に対しほとんど同じ品質を達成する。しかし、この複雑性は、単純なSSBに基づくHFR方法より依然ずっと高いものである。というのは、典型的なHFR応用では、それぞれが異なる転換次数Tの信号を処理する複数の分析フィルタバンクが、所要の帯域幅を合成するために必要であるからである。さらに、フィルタバンクが異なる転換次数の信号を処理するにもかかわらず、入力信号のサンプリングレートを一定のサイズの分析フィルタバンクに適合させるのが一般的な方法である。また、非重複スペクトル密度を有する異なる転換次数から処理された出力信号を得るために入力信号に帯域フィルタを施すのが一般的である。
【0005】
オーディオ信号の記憶または送信は厳しいビットレート制限を受けることがよくある。過去においては、非常に低いビットレートしか可能でない場合、符号器は送信オーディオ帯域幅を大幅に減少させることを余儀なくされてきた。今日の現代的なオーディオコーデックは帯域幅拡張(BWE)方法(文献1〜12)を用いることによって広帯域信号を符号化することができる。これらのアルゴリズムは、HFスペクトル領域(「パッチング」)への転換およびパラメータ駆動の後置処理の応用により復号化された信号の低周波数部分(LF)から生成された高周波数内容(HF)のパラメトリック表現に依っている。LF部分は任意のオーディオまたは音声符号器で符号化される。例えば、文献1〜4に記載の帯域幅拡張方法は、多数のHFパッチを生成するために、「コピーアップ」方法とも呼ばれる単一側波帯変調(SSB)に依っている。
【0006】
最近、異なるパッチの生成のために1バンクの位相ボコーダのバンク(文献15〜17)を用いる新しいアルゴリズムが提示されている(文献13)(図20参照)。この方法は、SSB帯域幅拡張が行われた信号にみられることの多い聴覚的な粗さを避けるために開発されてきた。「高調波帯域幅拡張」(HBE)と呼ばれるこの方法は、多くの音調信号にとって有利ではあるが、オーディオ信号に含まれる過渡信号の品質低下となりやすい(文献14)。というのは、サブバンドの垂直コヒーレンスが標準位相ボコーダアルゴリズムに保存されることが保証されず、さらに、変換またはフィルタバンクの時間ブロックについて位相の再計算を行わなければならないからである。したがって、過渡信号を含む信号部分のために特別な取り扱いを行う必要が生じる。
【0007】
しかし、BWEアルゴリズムをコーデック鎖の復号器側で行うので、演算の複雑性が重大な問題である。現状の方法、特に位相ボコーダに基づくHBEは、SSBに基づく方法に比べて演算の複雑性が大幅に増加するという欠点がある。
【0008】
上記に概説したように、既存の帯域幅拡張スキームは、一度に1つの所与の信号ブロックにただ1つのパッチング方法(それが、SSBに基づくパッチング(文献1〜4)またはHBEボコーダに基づくパッチング(文献15〜17)であっても)を適用する。さらに、現代のオーディオ符号器(文献19〜20)は、全般的に時間ブロックに基づくパッチング方法を代替のパッチングスキーム間で切り替える可能性を提供する。
【0009】
SSBコピーアップパッチングは、オーディオ信号に不要な粗さを導入するが、演算は単純であり、過渡信号の時間包絡線を保存する。HBEパッチングを用いるオーディオコーデックにおいては、過渡信号再生品質は、最適下限ではないことが多い。さらに、演算の複雑性は、非常に単純なSSBコピーアップ方法の演算に比べて非常に大きい。
【0010】
複雑性の低減については、サンプリングレートが特に重要である。これは、高サンプリングレートは複雑性が高く、低サンプリングレートは所要の動作の数が減少するために複雑性が低いためである。しかしながら、一方で、帯域幅拡張応用の状況では、特に、コア符号器出力信号のサンプリングレートは典型的に非常に低いため、このサンプリングレートでは全帯域幅信号には低すぎることとなる。言い換えれば、復号器出力信号のサンプリングレートが、例えば、コア符号器出力信号の最大周波数の2または2.5倍である場合、例えば、係数2での帯域幅拡張というのは、サンプリングが、さらに生成された高周波数成分を「網羅する」ことができるほど帯域幅拡張された信号のサンプリングレートが高くなるようにアップサンプリング動作が必要とされるということである。
【0011】
さらに、分析フィルタバンクおよび合成フィルタバンクなどのフィルタバンクは、かなりの量の処理動作を担当している。したがって、フィルタバンクの大きさ、すなわち、フィルタバンクが、32チャネルフィルタバンク、64チャネルフィルタバンクまたはさらに多くの数のチャネルを有するフィルタバンクであるかどうかが、オーディオ処理アルゴリズムの複雑性に大きく影響することとなる。一般に、フィルタバンクチャネルの数が多い場合、数が少ない場合に比べて多くの処理動作が必要であるので、より複雑性が高くなる。これにより、ボコーダのような応用または他のオーディオ効果応用などの、異なるサンプリングレートが重要な点である帯域幅拡張応用および他のオーディオ処理応用において、複雑性とサンプリングレートまたはオーディオ帯域幅との間に特定の依存性がある。これは、すなわち、アップサンプリング動作またはサブバンドフィルタリング動作により、その特定の動作のために不適切なツールまたはアルゴリズムを選択すると、オーディオ品質を特に向上させることなく複雑性が大幅に増加する可能性があるということである。
【0012】
帯域幅拡張の場合、パラメトリックデータセットを用いて、パッチング動作、すなわち、供給源範囲(帯域幅拡張プロセッサの入力部で用いられる帯域幅拡張信号の低帯域部)からいくらかのデータを採取し、このデータを高周波数範囲にマッピングする動作によって生成される信号に対し、スペクトル包絡線調整および他の操作を行う。スペクトル包絡線調整は、低帯域信号を高周波数範囲に実際にマッピングする前または供給源範囲を高周波数範囲にマッピングした後に行ってもよい。
【0013】
典型的に、パラメトリックデータセットはある周波数分解能を備えている。すなわちパラメトリックデータとは高周波数部分の周波数帯域のことである。一方、低帯域から高帯域へのパッチング、すなわち、どの目標または高周波数範囲を得るためにどの供給源範囲が用いられるかは、分解能に依存する動作であり、周波数についてパラメトリックデータセットが与えられる。送信されるパラメトリックデータが、ある意味、パッチングアルゴリズムとして実際に用いられるものに依存しないということは重要な特徴である。というのは、これにより、復号器側において、すなわち帯域幅拡張プロセッサの実行の際に、大きな自由度が可能であるからである。ここで、異なるパッチングアルゴリズムを用いてもよいが、1つの同じスペクトル包絡線調整を行ってもよい。言い換えれば、帯域幅拡張応用における高周波数再構成プロセッサまたはスペクトル包絡線調整プロセッサは、スペクトル包絡線調整を行うために、適用されたパッチングアルゴリズムに関する情報を有する必要がない。
【0014】
しかし、この手順の欠点は、一方でパラメトリックデータセットが与えられ、他方でパッチのスペクトル境界が与えられた周波数帯域間に不整合が生じ得るということである。特にパッチ境界の近傍でスペクトルエネルギーが大きく変化する状況では、アーチファクトが特にこの領域に生じる場合があり、これにより帯域幅拡張された信号の品質が低下する。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、高オーディオ品質を可能とするオーディオ処理の向上した概念を提供することである。
【0016】
この目的は、請求項1に記載のオーディオ信号を処理する装置、請求項15に記載のオーディオ信号を処理する方法、または請求項16に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
【0017】
本発明の実施形態は、高周波数部分と低周波数部分とを有する帯域幅拡張された信号を生成するためのオーディオ信号を処理する装置であって、高周波数部分用パラメトリックデータが用いられ、そのパラメトリックデータは高周波数部分の周波数帯域に関する。この装置は、パッチ境界が該周波数帯域の周波数帯域境界と一致するようにパッチ境界を計算するためのパッチ境界計算器を含む。この装置はさらに、オーディオ信号と計算されたパッチ境界とを用いて、パッチ信号を生成するためのパッチャを含む。ある実施形態において、パッチ境界計算器は、高周波数部分に対応する合成周波数範囲における周波数境界としてパッチ境界を計算するよう構成されている。この場合、パッチャは、転換係数およびパッチ境界を用いて低帯域部分の一周波数部分を選択するように構成されている。さらなる実施形態において、パッチ境界計算器は、周波数帯域の周波数帯域境界と一致しない目標パッチ境界を用いてパッチ境界を計算するよう構成されている。そして、パッチ境界計算器は、整合を得るために目標パッチ境界とは異なるパッチ境界を設定するよう構成されている。特に、異なる転換係数を用いる複数のパッチの場合に、パッチ境界計算器は、各パッチ境界が高周波数部分の周波数帯域の周波数帯域境界と一致するように、例えば3つの異なる転換係数のためのパッチ境界を計算するよう構成されている。パッチャは、次いで、2つの隣接するパッチ間の境界が、パラメトリックデータが関係している2つの隣接する周波数帯域間の境界と一致するように3つの異なる転換係数を用いてパッチ信号を生成するよう構成されている。
【0018】
本発明は、一方の不整合なパッチ境界と他方のパラメトリックデータの周波数帯域とから生じるアーチファクトが回避される点で有用である。そうではなく、完全な整合のために、パッチ境界領域において大きく変化する信号または大きく変化する部分を有する信号でも品質よく帯域幅拡張される。
【0019】
さらに、本発明には、それにもかかわらず、符号器が、復号器側に適用されるべきパッチングアルゴリズムに対処する必要がないために高い自由度を可能とするという利点がある。一方のパッチングと、他方でのスペクトル包絡線調整、すなわち帯域幅拡張符号器によって生成されるパラメトリックデータを用いるということとの依存性が維持され、異なるパッチングアルゴリズムの応用または異なるパッチングアルゴリズムの組み合わせの応用さえ可能である。これが可能であるのは、パッチ境界整合が、最後に、一方のパッチデータと他方のパラメトリックデータセットとが、スケール係数帯域とも呼ばれる周波数帯域に関して互いに合致することを確実にするからである。
【0020】
例えば、目標範囲、すなわち最終的に得られる帯域幅拡張された信号の高周波数部分に関し得る計算されたパッチ境界に依存して、オーディオ信号の低帯域部分からのパッチ源データを決定するための対応する供給源範囲を決定する。ある実施形態では高調波係数を適用するので、オーディオ信号の低帯域部分の所定の(小さい)帯域幅しか必要としないということが分かる。したがって、低帯域オーディオ信号からこの部分を効率的に抽出するために、カスケードの個々のフィルタバンクに依る特定の分析フィルタバンク構造を用いる。
【0021】
このような実施形態は、オーディオ品質を犠牲にすることなく複雑性の低い再サンプリングを得るために、分析および/または合成フィルタバンクの特定のカスケード配置に依る。ある実施形態では、入力オーディオ信号を処理する装置は、入力オーディオ信号からオーディオ中間信号を合成するための合成フィルタバンクを含み、入力オーディオ信号は、処理方向において合成フィルタバンクの前に置かれた分析フィルタバンクによって生成された複数の第1のサブバンド信号によって表され、合成フィルタバンクのフィルタバンクチャネルの数は、分析フィルタバンクのチャネル数より小さい。中間信号はオーディオ中間信号から複数の第2のサブバンド信号を生成するためのさらなる分析フィルタバンクによってさらに処理され、該さらなる分析フィルタバンクは、合成フィルタバンクのチャネル数と異なるチャネル数を有し、これにより、複数のサブバンド信号のサブバンド信号のサンプリングレートは、分析フィルタバンクによって生成された複数の第1のサブバンド信号のうちの第1のサブバンド信号のサンプリングレートとは異なる。
【0022】
合成フィルタバンクと後に接続されるさらなる分析フィルタバンクとのカスケードは、サンプリングレート変換を提供するとともに、合成フィルタバンクへ入力された元々のオーディオ入力信号の帯域幅部分の基本帯域への変調を更に提供する。例えば、帯域幅拡張スキームのコア復号器の出力信号であり得る元々の入力オーディオ信号から抽出されたこの時間中間信号は、好ましくは、基本帯域へ変調された臨界的にサンプリングされた信号として表されており、この表現、すなわち、再サンプリングされた出力信号により、サブバンド表現を得るためにさらなる分析フィルタバンクによって処理される際に、行ってもいいし行わなくてもよいが、例えば、非線形サブバンド動作、続いて高周波数再構成処理および最終的な合成フィルタバンクでのサブバンドの混合などの帯域幅拡張に関する処理動作であり得るさらなる処理動作を複雑性の低い処理にすることが可能であることを見出した。
【0023】
本出願は、帯域幅拡張の場合および帯域幅拡張に関係しない他のオーディオ応用の場合におけるオーディオ信号を処理する装置、方法またはコンピュータプログラムの異なる局面を提供する。以下に記載し、特許請求する個々の局面の特徴は、部分的にまたは全部組み合わせることができるが、また、互いに別個に用いることもできる。というのは、個々の局面だけでも、コンピュータシステムまたはマイクロプロセッサで実行されると、知覚的品質、演算の複雑性およびプロセッサ/メモリリソースに関する利点を提供するからである。
【0024】
実施形態は、入力信号のHFRフィルタバンク分析段への効率的なフィルタリングおよびサンプリングレート変換によってサブバンドブロックに基づく高調波HFR方法の演算の複雑性を低減する方法を提供する。さらに、入力信号へ適用される帯域通過フィルタはサブバンドブロックに基づく転換器において時代遅れであることが示され得る。
【0025】
本実施形態は、単一分析および合成フィルタバンク対のフレームワークにおいて数次数のサブバンドブロックに基づく転換を効率的に実行することによりサブバンドブロックに基づく高調波転換の演算の複雑性を低減することを助ける。知覚的品質対演算の複雑性のトレードオフにより、適切なサブセットの次数のみまたはすべての次数の転換を、フィルタバンク対内で一緒に行うことができる。さらに、ある転換次数だけが直接的に計算されるが、残りの帯域幅は、利用可能な、すなわち、以前に計算された転換次数(たとえば、2次)および/またはコア符号化帯域幅の複製によって満たされるという組み合わされた転換スキーム。この場合、パッチングは、複製のために利用可能な供給源範囲のすべての考え得る組み合わせを用いて実行され得る。
【0026】
さらに、実施形態は、高品質な高調波HFR方法とサブバンドブロックに基づく高調波HFR方法の両方をHFRツールのスペクトル整合により改善する方法を提供する。特に、HFR生成信号のスペクトル境界を包絡線調整周波数表のスペクトル境界に整合させることによって性能を改善する。さらに、リミッタツールのスペクトル境界を同じ原理によりHFR生成信号のスペクトル境界に整合させる。
【0027】
さらに、実施形態は、例えば、高調波パッチングとコピーアップパッチングとからなる混合パッチングを適用するパッチングスキームの適用により、過渡信号の知覚品質を改善し、同時に演算の複雑性を低減するよう構成されている。
【0028】
特定の実施形態において、カスケードのフィルタバンク構造の個々のフィルタバンクは、直交ミラーフィルタ(QMF)であり、これはすべて、フィルタバンクチャネルの中心周波数を規定する1セットの変調周波数を用いて変調された低域通過プロトタイプフィルタまたは窓に依る。好ましくは、すべての窓関数またはプロトタイプフィルタは、異なるサイズ(フィルタバンクチャネル)を有するフィルタバンクのフィルタも互いに依存するように互いに依存する。好ましくは、ある実施形態において、第1の分析フィルタバンク、あとに接続されたフィルタバンク、さらなる分析フィルタバンク、および処理のいくらか後の状態では最終的な合成フィルタバンクを含むフィルタバンクのカスケード構造における最大のフィルタバンクは、所定数の窓関数またはプロトタイプフィルタ係数を有する窓関数またはプロトタイプフィルタ応答を有する。サイズのより小さなフィルタバンクはすべて、この窓関数のサブサンプリングされたものである。すなわち、他のフィルタバンクの窓関数は、「大きな」窓関数のサブサンプリングされたものであるということである。例えば、あるフィルタバンクが大きなフィルタバンクのサイズの半分である場合、窓関数は半分の数の係数を有し、サイズが小さい方のフィルタバンクの係数は、サブサンプリングによって導出される。このような状況において、サブサンプリングとは、例えば、サイズが半分の小さい方のフィルタバンクのために1つおきにフィルタ係数を取るということである。しかし、非整数値のフィルタバンクサイズ間に他の関係があるときは、最後に小さい方のフィルタバンクの窓がここでも大きい方のフィルタバンクの窓のサブサンプリングされたものになるように窓係数のある種の補間を行う。
【0029】
本発明の実施形態は、さらなる処理のために入力オーディオ信号の一部しか必要としない状況において特に有用であり、この状況はとくに、高調波帯域幅拡張の場合に起こる。この場合、ボコーダ式処理動作が特に好ましい。
【0030】
この実施形態は、スペクトル整合を用いて、QMFおよびDFTに基づく高調波スペクトル帯域複製のオーディオ品質を改善し、効率的な時間および周波数領域動作によるQMF転換器の複雑性を低減することが実施形態の利点である。
【0031】
実施形態は、高周波数再構成(HFR)のために例えば、サブバンドブロックに基づく高調波転換方法を用いるオーディオ源符号化システム、および高調波歪みの生成が処理信号に明瞭さを加える、いわゆるエキサイタなどのデジタル効果プロセッサ、および元々のスペクトル内容を維持しながら信号の持続時間を拡張する時間伸張器に関する。実施形態は、HFRフィルタバンク分析段に先立つ入力信号の効率的なフィルタリングおよびサンプリングレート変換によるサブバンドブロックに基づく高調波HFR方法の演算の複雑性を低減する方法を提供する。さらに実施形態は、入力信号に適用される従来の帯域通過フィルタがサブバンドブロックに基づくHFRシステムにおいて時代遅れであることを示している。さらに、実施形態は、高品質な高調波HFR方法とサブバンドブロックに基づく高調波HFR方法の両方をHFRツールのスペクトル整合によって改善する方法を提供する。特に、実施形態は、HFR生成信号のスペクトル境界を包絡線調整周波数表のスペクトル境界に整合することによる性能の改善の仕方を教示する。さらに、リミッタツールのスペクトル境界は、同様の原理によりHFR生成信号のスペクトル境界に整合される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、以下に、添付の図面を参照しながら、発明の範囲を限定しない例示的な実施例よって説明される。
【図1】図1は、HFR増強復号器フレームワークにおける転換次数が2,3,4のブロックに基づく転換器の動作を示す。
【図2】図2は、図1における非線形サブバンド伸長の動作を示す。
【図3】図3は、HFR分析フィルタバンクに先立つ再サンプラーおよび帯域フィルタが、多重レート時間領域再サンプラーとQMFに基づく帯域フィルタとを用いて実施される図1のブロックに基づく転換器の効率的な実施を示す。
【図4】図4は、図3の多重レート時間領域再サンプラーの効率的な実施のためのブロックの構築の一例を示す。
【図5a】図5aは、転換次数が2の図4の異なるブロックによって処理された信号例への効果を示す。
【図5b】図5bは、転換次数が2の図4の異なるブロックによって処理された信号例への効果を示す。
【図5c】図5cは、転換次数が2の図4の異なるブロックによって処理された信号例への効果を示す。
【図5d】図5dは、転換次数が2の図4の異なるブロックによって処理された信号例への効果を示す。
【図5e】図5eは、転換次数が2の図4の異なるブロックによって処理された信号例への効果を示す。
【図5f】図5fは、転換次数が2の図4の異なるブロックによって処理された信号例への効果を示す。
【図6】図6は、HFR分析フィルタバンクに先立つ再サンプラーおよび帯域フィルタが、32帯域分析フィルタバンクから選択されたサブバンドに対し動作する小型のサブサンプリングされた合成フィルタバンクによって置き換えられた図1のブロックに基づく転換器の効率的な実施を示す。
【図7】図7は、転換次数が2の図6のサブサンプリングされた合成フィルタバンクによって処理された信号例への効果を示す。
【図8a】図8aは、係数が2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図8b】図8bは、係数が2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図8c】図8cは、係数が2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図8d】図8dは、係数が2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図8e】図8eは、係数が2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図9a】図9aは、係数が3/2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図9b】図9bは、係数が3/2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図9c】図9cは、係数が3/2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図9d】図9dは、係数が3/2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図9e】図9eは、係数が3/2の効率的な多重レート時間領域ダウンサンプラの実施ブロックを示す。
【図10】図10は、HFR増強符号器における包絡線調整周波数帯域の境界に対するHFR転換器信号のスペクトル境界の整合を示す。
【図11】図11は、HFR転換信号のスペクトル境界の不整合によってアーチファクトが生じる場合を示す。
【図12】図12は、HFR転換信号のスペクトル境界の整合の結果、図11のアーチファクトが回避された場合を示す。
【図13】図13は、HFR転換信号のスペクトル境界へのリミッタツールにおけるスペクトル境界の適合を示す。
【図14】図14は、サブバンドブロックに基づく高調波転換の原理を示す。
【図15】図15は、HFR増強オーディオコーデックにおけるいくつかの転換次数を用いたサブバンドブロックに基づく転換の応用の事例を示す。
【図16】図16は、転換次数ごとに別個の分析フィルタバンクを適用する多次数サブバンドブロックに基づく転換動作の従来例を示す。
【図17】図17は、64帯域QMF分析フィルタバンクを適用する多次数サブバンドブロックに基づく転換の効率的な動作の本発明の一例を示す。
【図18】図18は、サブバンド信号式処理を形成する別の一例を示す。
【図19】図19は、単一側波帯変調(SSB)パッチングを示す。
【図20】図20は、高調波帯域幅拡張(HBE)パッチングを示す。
【図21】図21は、第1のパッチングが、周波数拡散により生成され、第2のパッチが低周波数部分のSSBコピーアップにより生成される混合パッチングを示す。
【図22】図22は、第2のパッチを生成するためのSSBコピーアップ動作に第1のHBEパッチを用いる別の混合パッチングを示す。
【図23】図23は、ある実施形態によるスペクトル帯域整合を用いてオーディオ信号を処理するための装置の概略図を示す。
【図24a】図24aは、図23のパッチ境界計算器の好適な実施を示す。
【図24b】図24bは、本発明の実施形態によって行われるステップ系列のさらなる概略図を示す。
【図25a】図25aは、パッチ境界の整合におけるパッチ境界計算器の詳細およびスペクトル包絡線調整の詳細を示すブロック図を示す。
【図25b】図25bは、擬似コードとしての図24aに示す手順のフローチャートを示す。
【図26】図26は、帯域幅拡張処理におけるフレームワークの概略図を示す。
【図27a】図27aは、図23の更なる分析フィルタバンクによって出力されるサブバンド信号の処理の好適な実施を示す。
【図27b】図27bは、図23の更なる分析フィルタバンクによって出力されるサブバンド信号の処理の好適な実施を示す。
【好適な実施形態の説明】
【0033】
以下の実施形態は例示にすぎず、効率的な時間周波数領域動作によってQMF転換器の複雑性を低減させ、かつ、スペクトル整合によってQMFおよびDFTの両方に基づく高調波SBRのオーディオ品質を改善し得る。ここで説明した構成ならびに詳細の修正および変形が当業者に明らかであろうことが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、実施形態の記載および説明によって提示された特定の詳細によって限定されない。
【0034】
図23は、オーディオ信号2300を処理して、高周波数部分および低周波数部分を有する帯域幅拡張された信号を高周波数部分のパラメトリックデータを用いて生成するための装置の実施形態を示している。ここでのパラメトリックデータは、高周波数部分の周波数帯域に関係する。この装置は、好ましくは、周波数帯域の周波数帯域境界と一致しない目標パッチ境界2304を用いて、パッチ境界を計算するためのパッチ境界計算器2302を含む。高周波数部分の周波数帯域についての情報2306は、例えば、帯域幅拡張に適した符号化されたデータストリームから採取することができる。さらなる実施形態において、パッチ境界計算器は、単一のパッチの単一のパッチ境界を計算するだけでなく、異なる転換係数に属するいくつかの異なるパッチのいくつかのパッチ境界を計算する。ここでの転換係数に関する情報は、2308で示されるようにパッチ境界計算器2302に与えられる。パッチ境界計算器は、パッチ境界が周波数帯域の周波数帯域境界と一致するようにパッチ境界を計算するよう構成されている。パッチ境界計算器は目標パッチ境界についての情報2304を受信すると、パッチ境界計算器は、整合を得るために目標パッチ境界とは異なるパッチ境界を設定するように構成されることが好ましい。パッチ境界計算器は、目標パッチ境界とは異なる計算されたパッチ境界をライン2310でパッチャー2312に出力する。パッチャ2312は、低帯域オーディオ信号2300および2310でのパッチ境界を用いて、そして、多重転換が行われる実施形態では、ライン2308での転換係数を用いて、出力2314において1つまたはいくつかのパッチされた信号を生成する。
【0035】
図23の表は、基本的な概念を示す1つの数字の例を示す。例えば、低帯域オーディオ信号が0〜4kHz(供給源範囲は、実際に0Hzで始まるのではなく、例えば20Hzのような0に近い値であることは明らかである)まで拡張した低周波数部分を有すると想定した場合のものである。さらに、ユーザは、4kHz信号の16kHzの帯域幅拡張信号への帯域幅拡張を行おうとしている。さらに、ユーザは、転換係数が2,3,4の3つの高調波パッチを用いて帯域幅拡張を行うことを所望していることを示している。そして、パッチの目標境界は、4〜8kHzまで拡張した第1のパッチと、8〜12kHzまで拡張した第2のパッチと、12〜16kHzまで拡張した第3のパッチとに設定される。このように、低周波数帯域信号の最大またはクロスオーバ周波数と一致している第1のパッチ境界は変化しないと想定すると、パッチ境界は、8,12,16である。しかし、第1のパッチのこの境界を変化させることも、必要であれば本発明の実施形態内である。目標境界は、転換係数が2では、供給源範囲は、2〜4kHzに相当し、転換係数が3では、2.66〜4kHzに相当し、転換係数が4では、3〜4kHzに相当する。具体的には、供給源範囲は、目標境界を実際に用いられる転換係数で割ることにより計算される。
【0036】
図23の例では、境界8,12,16は、パラメトリック入力データが関係する周波数帯域の周波数帯域境界と一致しないと想定している。したがって、パッチ境界計算器は、整合したパッチ境界を計算し、目標境界を直ちに適用しない。このため、第1のパッチのパッチ境界上限は、7.7kHz、第2のパッチのパッチ境界上限は、11.9kHz、第3のパッチのパッチ境界上限は、15.8kHzとなり得る。そして、個々のパッチの転換係数をここでも用いて、ある「調整された」供給源範囲を計算し、パッチングに用いる。これらが図23に例示されている。
【0037】
供給源範囲は、目標範囲とともに変化すると概説してきたが、他の実施例では、転換係数を操作し、供給源範囲または目標境界を維持し、あるいは他の応用では、供給源範囲および転換係数を変化させて、元々の信号の高帯域部分のスペクトル包絡線を記述するパラメトリック帯域幅拡張データが関係する周波数帯域の周波数帯域境界に一致する調整されたパッチ境界に最終的に到達することもできる。
【0038】
図14は、サブバンドブロックに基づく転換の原理を示している。入力時間領域信号は、多数の複素値化されたサブバンド信号を提供する分析フィルタバンク1401に供給される。これらは、サブバンド処理ユニット1402に供給される。多数の複素値化された出力サブバンドは、合成フィルタバンク1403に供給され、合成フィルタバンク1403は、修正された時間領域信号を順番に出力する。サブバンド処理ユニット1402は、修正された時間領域信号が転換次数T>1に相当する入力信号の転換後のものとなるように非線形ブロックに基づくサブバンド処理動作を行う。ブロックに基づくサブバンド処理という概念は、一度に1つより多いサブバンドサンプルのブロックについての非線形動作を含むことで定義され、後続のブロックは窓関数処理され、重複加算されて出力サブバンド信号を生成する。
【0039】
フィルタバンク1401および1403は、QMFまたは窓関数処理されたDFTのような複素指数変調型のいかなるものであってもよい。これらは、変調において偶数または奇数重ねてもよく、広範囲のプロトタイプフィルタまたは窓から定義され得る。物理的ユニットで測定された以下の2つのフィルタバンクパラメータの指数Δf/Δfを知ることは重要である。
【0040】
Δf:分析フィルタバンク1401のサブバンド周波数間隔
Δf:合成フィルタバンク1403のサブバンド周波数間隔
サブバンド処理1402の構成では、供給源と目標サブバンドインデックスとの対応関係を見つけることが必要である。物理的周波数Ωの入力正弦曲線が、インデックスn≒Ω/Δfの入力サブバンドで生じる主な寄与となることが観測される。所望の転換された物理的周波数T・Ωの出力正弦曲線は、インデックスm≒T・Ω/Δfの合成サブバンドを供給することから生じる。したがって、所与の目標サブバンドインデックスmのサブバンド処理の適切な供給源サブバンドインデックス値は、以下の式に従わなくてはならない。
【0041】
【数1】

【0042】
図15は、HFR増強オーディオコーデックでの数次数の転換を用いてサブバンドブロックに基づく転換の応用の事例を示している。送信されたビットストリームをコア復号器1501で受信し、コア復号器1501は、サンプリング周波数fで低帯域幅復号コア信号を与える。低周波数は、複素変調された32帯域QMF分析バンク1502によって、次に、64帯域QMF合成バンク(反転QMF)1505によって、出力サンプリング周波数2fに再サンプリングされる。2つのフィルタバンク1502および1505は、同じ物理的分解能パラメータΔf =Δfを有し、HFR処理ユニット1504は、低帯域幅コア信号に対応する未修正の低い方のサブバンドをそのまま通過させる。多重転換ユニット1503からの出力帯域にHFR処理ユニット1504によってスペクトル成形および修正が行われ、それを64帯域QMF合成バンク1505の高い方のサブバンドに供給することによって出力信号の高周波数内容が得られる。多重転換器1503は、復号されたコア信号を入力し、いくつかの転換された信号成分の重畳または混合の64QMF帯域分析を表す多数のサブバンド信号を出力する。目的は、HFR処理をとばすと、各成分は、コア信号の整数の物理的転換(T=2,3,...)に対応するということである。
【0043】
図16は、転換次数ごとに別個の分析フィルタバンクを適用する多次数のサブバンドブロックに基づく転換1603の動作の従来の事例を示している。ここでは、出力サンプリングレート2fで動作する64帯域QMFの領域に3つの転換次数T=2,3,4を生成し伝達するとする。混合ユニット1604は単に、各転換係数分岐からの関連のサブバンドを選択および混合し、HFR処理ユニットに供給すべき単一多重のQMFサブバンドにする。
【0044】
最初に、ケースT=2について考察する。目的は、具体的には、64帯域QMF分析1602−2、サブバンド処理ユニット1603−2、および64帯域QMF合成1505という処理鎖がT=2の物理的転換となることである。これら3つのブロックが図14の1401、1402、および1403であると認めると、Δf/Δf=2であるので、(1)式により、1603−2の仕様は、供給源nと目標サブバンドmとの対応関係はn=mとなるということが分かる。
【0045】
T=3の場合は、例示したシステムは、入力サンプリングレートを係数3/2だけ低くしてfから2f/3に変換するサンプリングレート変換器1601−3を含む。その目的は具体的には、64帯域QMF分析1602−3、サブバンド処理ユニット1603−3、および64帯域QMF合成1505という処理鎖がT=3の物理的転換という結果になることである。これら3つのブロックが図14の1401、1402、および1403であると認めることによって、Δf/Δf=3という再サンプリングであるので、(1)式は、供給源nと目標サブバンドmとの対応関係はここでもn=mとなるという1603−3の仕様を与えることが分かる。
【0046】
T=4の場合は、例示したシステムは、入力サンプリングレートを係数2だけ低くしてfからf/2に変換するサンプリングレート変換器1601−4を含む。目的は具体的には、64帯域QMF分析1602−4、サブバンド処理ユニット1603−4、および64帯域QMF合成1505という処理鎖がT=4の物理的転換となることである。これら3つのブロックが図14の1401、1402、および1403であると認めることによって、Δf/Δf=4という再サンプリングであるので、(1)式は、供給源nと目標サブバンドmとの対応関係はここでもn=mとなるという1603−4の仕様を与えることが分かる。
【0047】
図17は、単一の64帯域QMF分析フィルタバンクを適用する多次数サブバンドブロックに基づく転換の効率的な動作のための本発明の事例を示している。実際、図16の3つの別個のQMF分析バンクおよび2つのサンプリングレート変換器を用いると、かなり演算の複雑性は高くなり、また、サンプリングレート変換器1601−3のためにフレームに基づく処理の実施により欠点もいくつかある。現在の実施形態は、2つの分岐1601−3→1602−3→1603−3および1601−4→1602−4→1603−4は、それぞれ、サブバンド処理1703−3および1703−4に置き換えることを教示している。ただし、分岐1602−2→1603−2は、図16から変化はない。3つすべての転換次数は、Δf/Δf=2である図14のフィルタバンク領域で行うことになる。T=3の場合、(1)式で与えられた1703−3の仕様は、供給源nと目標サブバンドmとの対応関係はn≒2m/3であるということである。T=4の場合、(1)式で与えられた1703−4の仕様は、供給源nと目標サブバンドmとの対応関係はn≒2mであるということである。さらに複雑性を低減させるために、すでに計算された転換次数またはコア復号器の出力をコピーして転換次数をいくつか生成してもよい。
【0048】
図1は、SBR(ISO/IEC 14496-3:2009, "情報技術−オーディオビジュアル対象物の符号化―第3部:オーディオ)などのHFR増強復号器フレームワークに転換次数2,3,4を用いたサブバンドブロックに基づく転換器の動作を示している。ビットストリームは、コア復号器101によって時間領域に復号化され、HFRモジュール103に渡され、HFRモジュール103は、基本帯域コア信号から高周波数信号を生成する。生成後、HFR生成信号は、送信された副情報によってできるだけ元の信号に一致するようにダイナミックに調整される。この調整は、1つまたは幾つかの分析QMFバンクから得られたサブバンド信号に対しHFRプロセッサ105によって行われる。典型的な手法は、コア復号器は、入力および出力信号の周波数の半分の周波数でサンプリングされた時間領域信号に対して動作するというものである。すなわち、HFR復号器モジュールは、コア信号をサンプリング周波数を2倍にして効果的に再サンプリングするというものである。このサンプリングレート変換は通常、32帯域分析QMFバンク102によってコア符号器信号をフィルタリングするという第1のステップによって得られる。いわゆるクロスオーバ周波数より下のサブバンド、すなわち、全コア符号器信号エネルギーを含む32サブバンドのより低いサブセットがHFR生成信号を運ぶサブバンドのセットと混成される。通常、そのように混成されたサブバンドの数は64であり、これは、合成QMFバンク106を通してフィルタリングされた後、HFRモジュールからの出力と混合された、サンプリングレート変換コア符号器信号となる。
【0049】
HFRモジュール103のサブバンドブロックに基づく転換器では、出力サンプリングレート2fで動作する64帯域QMFの領域に3つの転換次数T=2,3,4が生成され伝達されることになる。入力時間領域信号は、ブロック103−12,103−13および103−14においてバンドパスフィルタリングされる。これが行われるのは、異なる転換次数によって処理された出力信号が生成され、非重複のスペクトル内容を有するようにするためである。信号はさらにダウンサンプリングされ(103−23,103−24)、入力信号のサンプリングレートを一定のサイズ(この場合64)の分析フィルタバンクに合うように適合させる。尚、サンプリングレートをfから2fへ増加させるのは、サンプリングレート変換器が、転換されたサブバンド信号が入力信号と等しいサンプリングレートを有することとなるTではなく、T/2のダウンサンプリング係数を用いるということによって説明することができる。ダウンサンプリングされた信号は、別々のHFR分析フィルタバンク(103−32,103−33および103−34)に供給される。これは、各転換次数に対し1つずつ供給され、これにより、多数の複素数値化されたサブバンド信号が与えられる。これらは、非線形サブバンド伸長ユニット(103−42,103−43および103−44)に供給される。この多数の複素数値化された出力サブバンドは、サブサンプリング分析バンク102からの出力とともに混合/混成モジュール104に供給される。混合/混成ユニットは単に、コア分析フィルタバンク102と、HFR処理ユニット105に供給されるべき単一多重のQMFサブバンドへの各伸長係数分岐とからのサブバンドを混合する。
【0050】
異なる転換次数からの信号スペクトルが重複されないよう設定されているとき、すなわち、T次の転換次数信号のスペクトルが、(T−1)次信号からのスペクトルが終了するところから開始するとき、転換された信号はバンドパス特性を有する必要がある。したがって、図1は従来のバンドパスフィルタ103−12〜103−14である。しかし、混合/混成ユニット104による利用可能なサブバンドの中からの単純な排他的選択によって、別個のバンドパスフィルタが必要なくなり、省くことができる。その代わりに、104における異なるサブバンドチャネルに対し転換分岐から異なる寄与を独立して供給することによってQMFバンクによって提供された固有のバンドパス特性が利用される。また、104において混成された帯域のみに時間伸長を適用するだけでもよい。
【0051】
図2は、非線形サブバンド伸長ユニットの動作を示している。ブロック抽出器201が、複素数値化された入力信号から有限のフレームのサンプルをサンプリングする。フレームは入力ポインター位置によって規定される。このフレームは、202において非線形処理され、次に203の有限長窓によって窓関数処理される。結果としてのサンプルは、出力フレーム位置が出力ポインター位置で規定される重複加算ユニット204において先に出力されたサンプルに加算される。入力ポインタは、固定量増加され、出力ポインタは同量倍のサブバンド伸長係数で増加される。この一連の動作を繰り返すことで、合成窓の長さまで、入力サブバンド信号持続時間倍のサブバンド伸長係数である持続時間を有する出力信号を生成することになる。
【0052】
SBRによって用いられるSSB転換器(ISO/IEC 14496-3:2009, "情報技術−オーディオビジュアル対象物の符号化、第3部:オーディオ)は、典型的に、第1のサブバンドを除いて全基本帯域を利用し、高帯域信号を生成するが、高調波転換器は、一般的にコア符号器スペクトルの小さい方の部分を用いる。用いる量、いわゆる供給源範囲は、転換次数、帯域幅拡張係数および混成された結果に適用する規則、例えば、異なる転換次数から生成された信号がスペクトル的に重複できるかどうかに依存する。この結果、所与の転換次数のための高調波転換器出力スペクトルのうち、実際には限られた部分のみがHFR処理モジュール105によって用いられる。
【0053】
図18は、単一サブバンド信号を処理するための処理実施例の別の実施形態を示している。単一サブバンド信号は、図18に示されない分析フィルタバンクによってフィルタリングされる前または後のどちらかにある種の間引きが行われている。したがって、単一サブバンド信号の時間長は、間引きされる以前の時間長より短い。単一サブバンド信号は、ブロック抽出器201と同じであり得るが、実施の仕方は異なってもいいブロック抽出器1800に入力される。図18のブロック抽出器1800は、例えば、eと呼ばれるサンプル/ブロック進行値を用いて動作する。サンプル/ブロック進行値は、可変であってもよく、また固定値に設定されていてもよく、図18ではブロック抽出ボックス1800への矢印で示されている。ブロック抽出器1800の出力には、複数の抽出ブロックが存在する。これらのブロックは、大きく重複している。というのは、サンプル/ブロック進行値eは、ブロック抽出器のブロック長さより大幅に小さいからである。例えば、ブロック抽出器は12サンプルのブロックを抽出する。第1のブロックは、サンプル0〜11を含み、第2のブロックは、サンプル1〜12を含み、第3のブロックは、サンプル2〜13を含む、等々。この実施形態において、サンプル/ブロック進行値は1であり、11回重複されている。
【0054】
個々のブロックは、各ブロック毎に窓関数を用いてブロックに窓関数処理を行う窓関数処理器1802に入力される。さらに、各ブロックの位相を計算する位相計算器1804が設けられている。位相計算器1804は、窓関数処理の前または後のいずれかに個々のブロックを用いる。そして、位相調整値p×kは、計算され、位相調整器1806に入力される。位相調整器は、調整値をブロックの各サンプルに適用する。さらに、係数kは、帯域幅拡張係数に等しい。例えば、係数2の帯域幅拡張を得ようとするとき、ブロック抽出器1800によって抽出されたブロック用に計算された位相pは、係数2で乗算され、位相調整器1806のブロックの各サンプルに適用された調整値は、p×2である。これは、値/規則の例である。代替的に、合成のために較正された位相は、k * p、p + (k-1)*pである。この例では、較正係数は、乗算の場合、2であり、加算の場合、1*pである。位相較正値を計算するために他の値/規則を用いてもよい。
【0055】
ある実施形態では、単一サブバンド信号は、複素サブバンド信号であり、ブロックの位相は、複数の異なる方法で計算され得る。1つの方法は、ブロックの中央または中央近傍のサンプルを採取し、この複素サンプルの位相を計算する。すべてのサンプルの位相を計算することも可能である。
【0056】
位相調整器は、窓関数処理器の次に動作するように図18に示されているが、これらの2つのブロックを入れ替えて、ブロック抽出器によって抽出されたブロックに対し位相調整を行い、その後に窓関数動作を行ってもよい。両動作、すなわち窓関数処理と位相調整は、実数または複素数乗算であるので、これらの2つの動作は、それ自体が位相調整乗算係数と窓関数係数との積である複素乗算係数を用いて単一の動作にまとめてもよい。
【0057】
位相調整されたブロックは、重複/加算および振幅較正ブロック1808に入力され、そこで、窓関数処理され、位相調整されたブロックが重複加算される。しかしながら、重要なことは、ブロック1808のサンプル/ブロック進行値は、ブロック抽出器1800で用いられた値とは異なるということである。特に、ブロック1808のサンプル/ブロック進行値は、ブロック1800で用いられた値eより大きいので、ブロック1808によって出力された信号の時間伸長が得られる。このように、ブロック1808によって出力された処理されたサブバンド信号は、ブロック1800に入力されたサブバンド信号より長い長さを有する。2の帯域幅拡張を得ようとするとき、ブロック1800の対応する値の2倍のサンプル/ブロック進行値を用いる。これにより、係数が2の時間伸長が得られる。しかし、他の時間伸長係数が必要な場合は、ブロック1808の出力が所要の時間長を有するような他のサンプル/ブロック進行値を用いることができる。
【0058】
重複問題の対応に関しては、ブロック1800および1808において重複が異なるという問題に対応するために振幅構成を行うことが好ましい。しかし、この振幅較正もまた、窓関数処理器/位相調整乗算係数に導入してもよいが、振幅較正は、また、重複/処理のあとに行ってもよい。
【0059】
ブロック長が12で、ブロック抽出器のサンプル/ブロック進行値が1である上記の例において、係数が2の帯域幅拡張を行う場合、重複/加算ブロック1808のサンプル/ブロック進行値は2となる。これは、依然として5つのブロックが重複する結果になる。係数が3の帯域幅拡張を行う場合、ブロック1808によって用いられるサンプル/ブロック進行値は3となり、重複は低下して、重複3となる。4倍の帯域幅拡張を行う場合、重複/加算ブロック1808は、4というサンプル/ブロック進行値を用いることになり、2より多い数のブロックの重複となる。
【0060】
入力信号を供給源範囲だけを含む転換器分岐に限ることによって大きな演算の節約を達成することができ、これは、各転換次数に適合するサンプリングレートにおいてである。サブバンドブロックに基づくHFR生成器のためのこのようなシステムの基本ブロックスキームを図3に示す。入力コア符号器信号は、HFR分析フィルタバンクより前の専用ダウンサンプラによって処理される。
【0061】
各ダウンサンプラの本質的な作用は、供給源範囲の信号をフィルタリングし、それを、可能な限り低いサンプリングレートで分析フィルタバンクに渡すことである。ここで、「可能な限り低い」とは、ダウンストリーム処理に依然として適切な最も低いサンプリングレートであり、必ずしも間引き後のエイリアシングを回避する最低のサンプリングレートとは限らない。サンプリングレート変換は様々な方法で得ることができる。本発明の範囲は、これには限られないが、2つの例を挙げる。第1の例は、多重レート時間領域処理によって行われる再サンプリングを示し、第2の例は、QMFサブバンド処理によって達成される再サンプリングを示す。
【0062】
図4は、転換次数が2の多重レート時間領域ダウンサンプラにおけるブロックの例を示す。帯域幅BHzおよびサンプリング周波数fの入力信号を複素指数によって変調して(401)、以下のようなDC周波数へ供給源範囲の開始を周波数シフトする。
【0063】
【数2】

【0064】
変調後の入力信号とスペクトルの例を図5(a)および(b)に示す。変調信号は、補間され(402)、通過帯域限界0およびB/2Hzを有する複素数値化された低域通過フィルタによってフィルタリングされる(403)。それぞれのステップの後のスペクトルを図5(c)および(d)に示す。フィルタリングされた信号はその後、間引きされ(404)、信号の実数部分を計算する(405)。これらのステップ後の結果を図5(e)および(f)に示す。この特定の例では、T=2、B=0.6(規格化されたスケール、すなわち、f=2)の場合、供給源範囲を確実に網羅するためにPを24とする。ダウンサンプリング係数は以下のようになる。
【0065】
【数3】

【0066】
ここで、分数は、共通因子8で約分している。従って、補間係数は、3であり(図5(c)から分かるように)、間引き係数は、8である。ノーブルアンデンティティ(「多重レートシステムおよびフィルタバンク」、P.P.ヴァイディアナサン、1993年、プレンティスホール、イングルウッドクリフ)を用いることによって、間引き器は、図4のずっと左側に、補間器は、ずっと右側に動かすことができる。このように、変調およびフィルタリングは、可能な限り低いサンプリングレートで行われ、演算の複雑性はさらに低下する。
【0067】
別の手法は、SBR HFR方法にすでに存在するサブサンプリングされた32帯域分析QMFバンク102からのサブバンド出力を用いることである。異なる転換分岐のための供給源範囲を網羅するサブバンドを、HFR分析フィルタバンクの前の小型のサブサンプリングされたQMFバンクによって時間領域に合成する。この種のHFRシステムを図6に示す。小型のQMFバンクは、元の64帯域QMFバンクをサブサンプリングすることによって得られる。ここでは、原型のフィルタ係数は、元の原型フィルタの線形補間によって求められる。図6における表記に従うと、2次転換器分岐の前の合成QMFバンクは、Q=12帯域(32帯域QMFにおいてゼロに基づく8〜19までのインデックスを有するサブバンド)を有する。合成プロセスのエイリアシングを防ぐために、第1(インデックス8)および最後(インデックス19)の帯域を0に設定する。その結果、出力されたスペクトルを図7に示す。ブロックに基づく転換分析フィルタバンクは、2Q=24帯域、すなわち、多重レート時間領域ダウンサンプラに基づく例(図3)と同じ数の帯域を有する。
【0068】
図1で概説したシステムは、図3および図4において概説された再サンプリングの単純化した特別のケースとみることができる。この構成を単純化するために、変調器を省く。さらに、HFR分析フィルタリングはすべて、64帯域分析フィルタバンクを用いて得ることができる。したがって、図3のP=P=P=64となり、ダウンサンプリング係数は、2次転換分岐では1、3次転換分岐では1.5、4次転換分岐では2である。
【0069】
係数2のダウンサンプラのブロック図を図8(a)に示す。現在実数値の低域通過フィルタをH(z)=B(z)/A(z)(ここで、B(z)は非再帰部(FIR)であり、A(z)は再帰部(IIR)である)と書くことができる。しかし、効率的な実施のために、演算の複雑性を低減させるためにノーブルアイデンティティを用いて、すべての極がA(z)として多重度2(二重極)を有するようにフィルタを設計するのがよい。したがって、フィルタは図8(b)に示すように係数化することができる。ノーブルアイデンティティ1を用いて、図8(c)のように再帰部を間引き器を越えるように移動させてもよい。非再帰フィルタB(z)は、以下の式のように標準的な2成分の多相分解を用いて実施することができる。
【0070】
【数4】

【0071】
したがって、ダウンサンプラは、図8(d)のように構成してもよい。ノーブルアイデンティティ1を用いた後、図8(e)に示すように、FIR部を可能な限り低いサンプリングレートで演算する。図8(e)から、FIR動作(遅延、間引きおよび多相成分)は、2つのサンプルの入力ストライドを用いて窓関数加算動作としてみなすことができることが容易にみてとれる。2つの入力サンプルでは、1つの新しい出力サンプルが生成されることになり、効果的な係数2のダウンサンプリングとなる。
【0072】
係数が1.5=3/2のダウンサンプラのブロック図を図9(a)に示す。実数値の低域通過フィルタをここでもH(z)=B(z)/A(z)(ここで、B(z)は非再帰部(FIR)であり、A(z)は再帰部(IIR)である)と書くことができる。上記と同様に、効率的な実施のために、演算の複雑性を低減させるためにノーブルアイデンティティを用いて、すべての極が、それぞれA(z)またはA(z)として多重度2(二重極)または多重度3(三重極)のいずれかを有するようにフィルタを設計するのがよい。ここで、 低域通過フィルタの設計アルゴリズムの方が効率であるので二重極が選ばれているが、実際、その再帰部は三重極手法に比べて実施が1.5倍複雑である。したがって、図9(b)に示すようにフィルタを係数化することができる。ノーブルアイデンティティ2を用いて、図9(c)のように再帰部を補間器の前に移動させてもよい。非再帰フィルタB(z)は、以下の式のように標準的な2・3=6成分の多相分解を用いて実施することができる。
【0073】
【数5】

【0074】
したがって、ダウンサンプラは、図9(d)のように構成してもよい。ノーブルアイデンティティ1および2を用いた後、図9(e)に示すように、FIR部を可能な限り低いサンプリングレートで演算する。図9(e)から、偶数のインデックスの出力サンプルは、低い方のグループの3つの多相フィルタ(E(z)、E(z)、E(z))を用いて演算され、奇数のインデックスの出力サンプルは、高い方のグループ(E(z)、E(z)、E(z))から演算されることが容易にみてとれる。各グループの動作(遅延鎖、間引きおよび多相成分)は、3つのサンプルの入力ストライドを用いて窓関数加算動作としてみなすことができる。、下側のグループは、元のフィルタB(z)からの偶数のインデックスの係数を用いるのに対し、上側のグループに用いられる窓関数係数は奇数のインデックスの係数である。したがって、3つの入力サンプルのグレープでは、2つの新しい出力サンプルが生成されることになり、効果的に、係数1.5のダウンサンプリングとなる。
【0075】
コア復号器(図1の101)からの時間領域信号はまた、コア復号器のより小さいサブサンプリングされた合成変換を用いることによってサブサンプリングされてもよい。より小さい合成変換を用いることにより、演算の複雑性がさらに低下する。クロスオーバ周波数、すなわち、コア符号器信号の帯域幅によっては、合成変換サイズと名目サイズQ(Q<1)との比がサンプリングレートQfを有するコア符号器出力信号となる。本応用において概説した例におけるサブサンプリングされたコア符号器信号を処理するために、図1のすべての分析フィルタバンク(102,103−32,103−33,103−34)は、図3のダウンサンプラ(301−2,301−3,301−T)、図4の間引き器404および図6の分析フィルタバンク601と同様に、係数Qでスケーリングされる必要がある。明らかに、Qは、すべてのフィルタバンクサイズが整数となるように選ぶ必要がある。
【0076】
図10は、SBRなどのHFR増強符号器における包絡線調整周波数表のスペクトル境界に対するHFR転換器信号のスペクトル境界の整合を示している(ISO/IEC 14496-3:2009,「情報技術−オーディオビジュアル対象物の符号化、第3部:オーディオ」)。図10(a)は、クロスオーバ周波数kから停止周波数kまでの周波数範囲を網羅する包絡線調整表、いわゆるスケール係数帯域を含む周波数帯域の様式的グラフを示す。スケール係数帯域は、再生成される高帯域周波数のエネルギーレベル、すなわち、周波数包絡線を調整するときHFR増強符号器に用いられる周波数グリッドを構成する。包絡線を調整するために、信号エネルギーは、スケール係数帯域境界および選択された時間境界によって制約される時間/周波数ブロックについて平均化される。
【0077】
具体的には、図10は、上側部分に周波数帯域への分割100を示しているが、周波数帯域は周波数とともに増加していることが図10から明らかになる。ここで、水平軸は周波数に対応し、図10の表記において、フィルタバンクチャネルkを有している。このフィルタバンクは、64チャネルフィルタバンクのようなQMFフィルタバンクとして実施してもよいし、またはデジタルフーリエ変換を介して実施してもよく、kは、DFT応用のある周波数ビンに相当する。したがって、DFT応用の周波数ビンとQMF応用のフィルタバンクチャネルとは、本明細書中では同じことを意味する。したがって、周波数ビン100または周波数帯域における高周波数部分102に対しパラメトリックデータが与えられる。最終的に帯域幅拡張された信号の低周波数部分は104と示される。図10の真ん中の図は、第1のパッチ1001、第2のパッチ1002および第3のパッチ1003のパッチ範囲を示している。各パッチは2つのパッチ境界の間に延び、第1のパッチには低い方のパッチ境界1001aおよび高い方のパッチ境界1001bがある。1001bで示されている第1のパッチの高い方の境界は、1002aで示されている第2のパッチの低い方の境界に対応する。したがって、参照番号1001bおよび1002aは、実際には1つの同じ周波数のことを指している。第2のパッチの高い方のパッチ境界1002bは、第3のパッチの低い方のパッチ境界1003aに対応し、第3のパッチはまた、高い方のパッチ境界1003bを有する。個々のパッチ間には極が存在しないことが好ましいが、これは究極的な要件ではない。図10において、パッチ境界1001b,1002bは、周波数帯域100の対応する境界と一致していないが、ある周波数帯域101内であることが分かる。図10の低い側の線は、整合した境界1001cを有する異なるパッチを示している。ここでは、第1のパッチの上側境界1001cの整合は、自動的に第2のパッチの下側境界1002cの整合を意味し、その逆も同様である。さらに、第2のパッチ1002dの上側境界は、図10の第1の線における周波数帯域101の下側周波数境界と整合し、したがって、1003cで示される第3のパッチの下側境界もまた自動的に整合することが示されている。
【0078】
図10の実施形態において、整合した境界は、一致している周波数帯域101の下側周波数境界に整合していることが示されているが、整合はまた、異なる方向で行ってもよい。すなわち、パッチ境界1001c,1002cは、帯域101の下側周波数境界ではなく、上側周波数境界に整合してもよい。実際の実施によっては、これらの可能性うちの1つを適用してもよいし、異なるパッチに対する両方の可能性の混合もあり得る。
【0079】
図10(b)に示すように、異なる転換次数によって生成される信号がスケール係数帯域に整合していない場合は、スペクトルエネルギーが転換帯域境界の近傍で大幅に変化するとアーチファクトが生じ得る。というのは、包絡線調整プロセスは、1つのスケール係数帯域内でスペクトル構成を維持するからである。したがって、本発明は、図10(c)に示すように転換された信号の周波数境界をスケール係数帯域の境界に適合させる。図10(c)の転換次数が2および3(T=2,3)によって生成される信号の上側境界を図10(b)に比べて少し低くし、転換帯域の周波数境界を既存のスケール係数帯域境界に整合させる。
【0080】
不整合の境界を用いるときのアーチファクトの可能性を示す実際の手法を図11に示す。図11(a)は、ここでもスケール係数帯域境界を示す。図11(b)は、コア復号基本帯域信号とともに転換次数T=2,3,4の調整されていないHFR生成信号を示す。図11(c)は、平らな目標包絡線が想定されたときの包絡線調整された信号を示す。斜め格子模様領域を有するブロックは、出力信号において異常の原因となり得る高い帯域内エネルギー変化を有するスケール係数帯域を表している。
【0081】
図12は、図11の手法を示すが、今回は整合した境界を用いている。図12(a)は、スケール係数帯域境界を示し、図12(b)は、コア復号基本帯域信号とともに転換次数T=2、3、4の調整されていないHFR生成信号を示し、図11(c)と同様に、図12(c)は、平らな目標包絡線が想定されたときの包絡線調整された信号を示す。この図から分かるように、転換信号帯域の不整合による高い帯域内エネルギー変化を有するスケール係数帯域がないので、アーチファクトの可能性が低下している。
【0082】
図25aは、好ましい実施形態によるパッチ境界計算器2302およびパッチャーの実施ならびに帯域幅拡張手法内でのこれらの要素の位置の概観を示す。具体的には、低域データ2300およびパラメトリックデータ2302を受信する入力インタフェース2500が設けられている。パラメトリックデータは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるISO/IEC 14496-3: 2009、特に第4.6.18節「SBRツール」である帯域幅拡張に関連した節に関する文献から公知であるような帯域幅拡張データであってもよい。第4.6.18節において特に重要なのは、第4.6.18.3.2節「周波数帯域表」であり、特にいくつかの周波数表fmaster、fTableHigh、fTableLow、fTable Noise、およびfTableLimの計算である。特に、「スタンダード」の第4.6.18.3.2.1節は、マスター周波数帯域表の計算を定義し、第4.6.18.3.2.2節は、マスター周波数帯域表から導出された周波数帯域表の計算を定義し、特にどのようにfTableHigh、fTableLow、およびfTable Noiseが計算されるかを表している。第4.6.18.3.2.3節は、リミッタ周波数帯域表の計算を定義している。
【0083】
低分解能周波数表fTableLowは、低分解能パラメトリックデータ用であり、高分解能周波数表fTableHighは、高分解能パラメトリックデータ用であり、これらはいずれも、上記のスタンダードに記載されるように、MPEG−4 SBRツールの場合に可能であり、パラメトリックデータが低分解能パラメトリックデータであるのか、または高分解能パラメトリックデータであるのかは、エンコーダ実施に依る。入力インタフェース2500が、パラメトリックデータが低分解能データであるのか、高分解能データであるのかを判断し、この情報を周波数表計算器2501に与える。周波数表計算器は、それからマスタ表を計算するか、一般に高分解能表2502および低分解能表2503を導出し、それをリミッタ帯域計算器2505をさらに含むかまたは協働するパッチ境界計算器コア2504に与える。要素2504および2505は、整合した合成パッチ境界2506および合成範囲に関連した対応するリミッタ帯域境界を生成する。この情報2506は、供給源低域計算器2507に与えられ、供給源帯域計算器2507は、対応する転換係数とともに整合した合成パッチ境界2506が、例えば、パッチャとしての高調波転換器2508を用いてパッチングした後に得られるように、あるパッチのための低帯域オーディオ信号の供給源範囲を計算する。
【0084】
特に、高調波転換器2508は、DFTに基づくパッチングアルゴリズムまたはQMFに基づくパッチングアルゴリズムのような異なるパッチングアルゴリズムを行ってもよい。高調波転換器2508は、QMFに基づく高調波転換器の実施形態のための図26および27の場合に記載されるボコーダ式処理を行うように実施してもよいが、ボコーダ式構成において高周波数部分を生成する目的のためのDFTに基づく転換器のような他の転換器動作を用いてもよい。DFTに基づく転換器では、供給源帯域計算器が低周波数範囲のための周波数窓を計算する。QMFに基づく実施では、供給源帯域計算器2507が各パッチの供給源範囲の所要のQMF帯域を計算する。供給源範囲は、低帯域オーディオデータ2300によって規定され、このデータは典型的にエンコード形式で与えられ、入力インタフェース2500によってコア復号器2509に送られる。コア復号器2509は、その出力データを、QMF実施またはDFT実施であり得る分析フィルタバンク2510に供給する。QMF実施では、分析フィルタバンク2510は、32のフィルタバンクチャネルを有してもよく、これらの32のフィルタバンクチャネルは「最大」の供給源範囲を規定し、それから、高調波転換器2508は、これらの32の帯域から、供給源帯域計算器2507によって規定されるような調整された供給源範囲を構成する実際の帯域を選択し、これにより、例えば、図23の表の周波数値が、合成フィルタバンクサブバンドインデックスに変換されるとすれば、図23の表の調整された供給源範囲データを満たす。DFTに基づく転換器に対して同様の手順を行うことができる。DFTに基づく転換器は、低周波数範囲では各パッチごとにある窓を受け取り、そしてその窓をDFTブロック2510に転送し、ブロック2504によって計算された調整または整合された合成パッチ境界に応じて供給源範囲を選択する。
【0085】
転換器2508によって出力された転換された信号2509は、包絡線調整器および利得リミッタ2510に送られ、この包絡線調整器および利得リミッタ2510は、高分解能表2502および低分解能表2503、調整されたリミッタ帯域2511および当然ながらパラメトリックデータ2302を入力として受ける。そして、線2512上の包絡線調整高帯域は、合成フィルタバンク2514に入力され、合成フィルタバンク2514は、典型的にコア復号器2509による出力としての形式で低帯域を追加的に受信する。両方の寄与が合成フィルタバンク2514によって混合され、最終的に線2515において高周波数再構成信号を得る。
【0086】
高帯域と低帯域との混合は、異なる方法で行われてもよいことは明らかである。例えば、周波数領域においてではなく、時間領域において混合してもよい。さらに、混合の実施に関係なく、混合と包絡線調整の順番を変えてもよいことは明らかである。すなわち、ある周波数範囲の包絡線調整を混合の後に行ってもよいし、あるいは、混合の前に行ってもよい。後者の場合が図25aに示されている。さらに、包絡線調整は、転換器2508における転換の前に行ってもよいので、転換器2508と包絡線調整2510の順番が、1つの実施形態としての図25aに示すものと異なっていてもよい。
【0087】
ブロック2508の場合にすでに概説したように、DFTに基づく高調波転換器またはQMFに基づく高調波転換器を実施形態に適用することができる。どちらのアルゴリズムも位相ボコーダ周波数拡散に依る。コア符号器時間領域信号は、修正された位相ボコーダ構造を用いて帯域幅拡張される。帯域幅拡張は、共通の分析/合成変換段階において幾つかの転換係数(t=2,3,4)を用いて、時間伸長、次に間引き、すなわち、転換によって行われる。転換器の出力信号は、入力信号の2倍のサンプリングレートを有する。すなわち、転換係数が2では、信号は時間伸長されるが間引きされず、入力信号と持続時間は等しいが、サンプリング周波数が2倍の信号を効率的に生成するということである。組み合わされたシステムは、間引き係数がそれぞれ1,1.5,2である2,3,4の転換係数を用いる3つの平行な転換器であると解釈され得る。複雑性を低減させるために、図27の場合に後述するような補間によって係数3および4の転換器(3次および4次転換器)を係数2の転換器(2次転換器)に組み入れる。
【0088】
各フレームでは、過渡応答を向上させるために適用され得るか、またはオフにされ得る信号適合周波数領域オーバサンプリングによって、転換器の名目「全体の大きさ」変換サイズを決定する。この値は図24aにFFTSizeSynとして示されている。そして、窓関数処理された入力サンプルのブロックを変換するのであるが、そこでは、ブロックの抽出のために、ずっと少ない数のサンプルのブロック進行値または分析ストライド値がブロックの有意の重複を有するように行われる。抽出されたブロックは、信号適合周波数領域オーバサンプリング制御信号に依存してDFTによって周波数領域に変換される。複素数値化されたDFT係数の位相は、用いられる3つの転換係数によって修正される。2次転換では、位相は2倍になり、3次転換および4次転換では、位相は3倍、4倍になるか、または2つの連続したDFT係数から補間される。修正された係数は次に、DFTによって時間領域に戻され、窓関数処理されて、入力ストライドとは異なる出力ストライドを用いて重複加算によって混成される。そして、図24aに示されたアルゴリズムを用いてパッチ境界を計算してアレイxOverBinに書き込む。そして、そのパッチ境界を用いて時間領域変換窓を計算してDFT転換器を適用する。QMF転換器供給源範囲では、チャネル番号を合成範囲において計算されたパッチ境界に基づき計算する。好ましくは、実際、これは、転換されたスペクトルを生成するための制御情報としてこれが必要であるので転換以前に行われる。
【0089】
次に、図24aに示される擬似符号について、パッチ境界計算器の1つの好ましい実施を示す図25bのフローチャートを参照して説明する。ステップ2520において、周波数表を高または低分解能表などの入力データに基づき計算する。したがって、ブロック2520は、図25aのブロック2501に相当する。そして、ステップ2522において、目標合成パッチ境界を転換係数に基づき決定する。特に、目標合成パッチ境界は、図24aのパッチ値の乗算の結果およびfTableLow(0)に相当する。ここで、fTableLow(0)は、帯域幅拡張範囲の第1のチャネルまたはビン、すなわち、その下では、入力オーディオデータ2300が高分解能で与えられるクロスオーバー周波数より上の第1の帯域を示す。ステップ2524において目標合成パッチ境界が整合範囲内の低分解能表のエントリと合致するかどうか調べる。特に、例えば、図24aの2525に示すような3の整合範囲が好ましい。しかし、5以下の範囲などの他の範囲も有用である。ステップ2524において、目標が低分解能表の中のエントリに合致すると判断されると、この合致したエントリを目標パッチ境界に代わる新たなパッチ境界とする。しかし、整合範囲内にエントリが存在しないと判断されると、ステップ2526に進み、図24aの2527で示されるように高分解能表について同じ検査を行う。ステップ2526において、整合範囲内に表エントリが存在すると判断されると、この合致したエントリを目標合成パッチ境界に代わる新たなパッチ境界とする。しかし、ステップ2526において、高分解能表においても整合範囲内に値が存在しないと判断されると、ステップ2528に進み、整合なしで目標合成境界を用いる。これもまた図24aの2529で示されている。したがって、ステップ2528は、帯域幅拡張復号器がループにならないが、周波数表と目標範囲とに関して非常に特定的で問題のある選択がある場合でも解決に至ることがどんな場合でも保証されるような予備的なステップとみなすことができる。
【0090】
図24aの擬似符号に関して、2531の符号線が、すべての変数が有用な範囲であることを確実にするためにある処理を行うことが概説されている。さらに、目標が整合範囲内の低分解能表のエントリに合致するかどうかの検査は、図25bのブロック2522近傍および線2525、2527に示された積によって計算された目標合成パッチ境界と、線2525ではパラメータsfbL、線2527では パラメータsfbH(sfb =スケール係数帯域)によって規定された実際の表のエントリとの差(線2525、2527)の計算として行われる。他の検査動作も可能であることは言うまでもないことである。
【0091】
さらに、整合範囲内での合致を整合範囲が予め決められた箇所で探すとは限らない。そうではなくて、表での検索は、最もよく合致した表エントリ、すなわち、2つの目標周波数値間の差が小さいか大きいかに関係なく、目標周波数値に最も近い表のエントリを見つけ出すように行われ得る。
【0092】
他の実施は、転換係数TでのHFR生成信号の(基本的な)帯域幅限界を超えない最も高い境界に対してfTableLowまたはfTableHighなどの表内での検索に関する。そして、この得られた最も高い境界を転換係数TのHFR生成信号の周波数限界として用いる。この実施において、図25bのボックス2522近傍に示された目標計算は必要ない。
【0093】
図13は、例えば、SBR(ISO/IEC 14496-3:2009,「情報技術 -オーディオビジュアル対象物の符号化、第3部:オーディオ」)に記載されるようなHFRリミッタ帯域境界の、HFR増強符号器における高調波パッチへの適用を示している。リミッタは、スケール係数帯域よりずっと粗い分解能を有する周波数帯域において動作するが、動作の原理はほとんど同じである。リミッタにおいて、リミッタ帯域のそれぞれについての平均の利得値を計算する。スケール係数帯域のそれぞれについて計算された個々の利得値、すなわち、包絡線利得値は、リミッタの平均利得値を、ある乗算係数より多く超えることが許されない。リミッタの目的は、スケール係数帯域利得の大きな変化を各リミッタ帯域内に抑えることである。転換器により生成された帯域をスケール係数帯域に適用すれば、帯域内エネルギーの小さな変化は、確実にスケール係数帯域内になるが、本発明によると、転換器帯域境界にリミッタ帯域境界を適用することにより、転換器で処理された帯域間の大きなスケールエネルギー差に対応する。図13(a)は、転換次数T=2,3,4のHFR生成信号の周波数限界を示している。異なる転換された信号のエネルギーレベルは実質的に異なり得る。図13(b)は、典型的に対数周波数目盛での一定の幅を有するリミッタの周波数帯域を示している。転換器周波数帯域境界は、一定のリミッタ境界として加算され、残りのリミッタ境界は、例えば、図13(c)に示されるように、できるだけ対数関係を維持するように再計算される。
【0094】
さらなる実施形態は、図21に示すような混合されたパッチングスキームを用いる。ここでは、時間ブロック内での混合されたパッチング方法が行われる。HFスペクトルの異なる領域を全部網羅するために、BWEはいくつかのパッチを含む。HBEにおいて、より高いパッチは位相ボコーダ内で高い転換係数を必要とし、このため過渡の知覚品質が特に悪化する。
【0095】
このように、実施形態は、好ましくは演算が効率的なSSBコピーアップパッチングによって上側スペクトル領域を占める高次のパッチと、好ましくはHBEパッチングによって高調波構造の保存が望ましい中央のスペクトル領域を網羅する低次のパッチとを生成する。パッチング方法の個々の混合は、経時において静的であってもよいし、また、好ましくは、ビットストリームに信号化され得る。
【0096】
コピーアップ動作では、図21に示すように低周波数情報を用い得る。あるいは、HBE方法を用いて生成されたパッチからのデータを図21に示すように用い得る。後者は、高いパッチほど密度の低い音調構造となる。これら2つの例の他にも、コピーアップとHBEとのあらゆる組み合わせが考えられる。
【0097】
提案された概念の利点は、
過渡応答の知覚品質の改善
演算の複雑性の低減である。
【0098】
図26は、帯域幅拡張のための好ましい処理鎖を示す。ここでは、異なる処理動作がブロック1020a、1020bで示される非線形サブバンド処理内で行われる。ある実施において、帯域幅拡張された信号などの処理された時間領域信号の帯域選択処理が、合成フィルタバンク2311の前に存在する、サブバンド領域ではなく時間領域において行われる。
【0099】
図26は、さらなる実施形態による低帯域入力信号1000から帯域幅拡張オーディオ信号を生成する装置を示している。この装置は、分析フィルタバンク1010、サブバンド式非線形サブバンドプロセッサ1020a,1020b、続いて接続された包絡線調整器1030、または、一般に言う、例えば、パラメータライン1040で入力されるような高周波数再構成パラメータで動作する高周波数再構成プロセッサを備える。包絡線調整器、または一般に言う高周波数再構成プロセッサは、各サブバンドチャネルについての個々のサブバンド信号を処理し、各サブバンドチャネルについて処理されたサブバンド信号を合成フィルタバンク1050に入力する。合成フィルタバンク1050は、低帯域コア復号器信号のサブバンド表現を低チャネル入力信号として受信する。実施によっては、図26における分析フィルタバンク1010の出力から低帯域を取り出すこともできる。転換されたサブバンド信号は、高周波数再構成を行う合成フィルタバンクのより高いフィルタバンクチャネルに供給される。
【0100】
フィルタバンク1050は、最後に、転換係数2,3,4による帯域拡張を含む転換器出力信号を出力し、ブロック1050による出力信号はもはや、クロスオーバ周波数、すなわちSBRまたはHFR生成信号成分の最も低い周波数に対応するコア符号器信号の最も高い周波数に帯域幅限定されない。図26の分析フィルタバンク1010は、分析フィルタバンク2510に相当し、合成フィルタバンク1050は、図25aの合成フィルタバンク2514に相当し得る。特に、図27の場合に説明したように、図25aのブロック2507で示した供給源帯域計算は、ブロック2504および2505によって計算された整合した合成パッチ境界およびリミッタ帯域境界を用いて、非成形サブバンドバンド処理1020a、1020b内で行われる。
【0101】
リミッタ周波数帯域表に関して特記すべきことは、リミッタ周波数帯域表は、ISO/IEC 14496-3: 2009, 4.6.18.3.2.3に規定されるようなビットストリーム要素bs_limiter_bandsによって信号化される、全体の再構成範囲に対し1つのリミッタ帯域、またはオクターブ当たりおよそ1.2,2または3の帯域を有するように構成し得るということである。帯域表は、高周波数生成器パッチに対応するさらなる帯域を保持していてもよい。表は、要素の数が帯域の数+1の数に等しい合成フィルタバンクサブバンドのインデックスを保持し得る。高調波転換が有効であるとき、リミッタバンド計算器は、パッチ境界計算器2504によって規定されたパッチ境界と一致するリミッタ帯域境界を確実に導入する。さらに、残りのリミッタ帯域境界は、パッチ境界のために、これらの「固定して」設定されたリミッタ帯域境界間で計算される。
【0102】
図26の実施形態において、分析フィルタバンクは、2倍のオーバサンプリングを行い、ある分析サブバンド間隔1060をもっている。合成フィルタバンク1050は、この実施形態においては、図27において後述するような転換寄与に帰着する分析サブバンド間隔の2倍の大きさを有する合成サブバンド間隔1070を有する。
【0103】
図27は、図26における非線形サブバンドプロセッサ1020aの好適な実施形態についての詳細な実施を示している。図27に示される回路は、単一のサブバンド信号1080を入力として受け取り、これは、3つの「分岐」において処理される。上側分岐110aは、転換係数が2の転換用である。図27において110bで示される中央の分岐は、転換係数が3の転換のためのものであり、図27における下側の分岐は、転換係数が4の転換のためのものであり、参照番号110cにより示されている。しかし、分岐110aについて図27の各処理要素により得られる実際の転換は1にすぎない(すなわち、転換なし)。中央の分岐110bについて図27に示される処理要素により得られる実際の転換は、1.5に等しく、下側分岐110cについての実際の転換は2に等しい。このことは、転換係数Tが示されている図27の左側への括弧書きの番号により示されている。1.5および2の転換は、分岐110b,110cにおける間引き操作および重複加算プロセッサによる時間伸長を有することにより得られる第1の転換寄与を表している。第2の寄与、すなわち、転換の2倍処理は、分析フィルタバンクのサブバンド間隔の2倍である合成サブバンド間隔1070を有する合成フィルタバンク105により得られる。従って、合成フィルタバンクは、合成サブバンド間隔の2倍をもつので、いずれの間引き機能も分岐110aにおいては生じない。
【0104】
しかし、1.5による転換を得るために、分岐110bは間引き機能をもっている。合成フィルタバンクが分析フィルタバンクの物理的サブバンド間隔の2倍を有するということにより、図27の第2の分岐110bについてのブロック抽出器の左側に示すように転換係数3が得られる。
【0105】
同様に、第3の分岐は、転換係数2に対応する間引き機能を有し、分析フィルタバンクおよび合成フィルタバンクにおける異なるサブバンド間隔の最終的な寄与は、最終的に第3の分岐110cの転換係数4に対応する。
【0106】
特に、各分岐は、ブロック抽出器120a,120b,120cを有し、これらブロック抽出器の各々は図18のブロック抽出器1800と同じようなものであってもよい。さらに、各分岐は、位相計算器122a,122bおよび122cを有し、この位相計算器は、図18の位相計算器1804と同じようなものであってもよい。さらに、各分岐は位相調整器124a,124b,124cを有し、この位相調整器は、図18の位相調整器1806と同じようなものであってもよい。さらに、各分岐は、窓関数処理器126a,126b,126cを有し、これら窓関数処理器の各々は図18の窓関数処理器1802と同じようなものであってもよい。それにもかかわらず、窓関数処理器126a,126b,126cは、いくつかの「ゼロパディング」とともに矩形窓を適用するようにも構成され得る。図11の実施形態における各分岐110a,110b,110cからの転換またはパッチ信号は、加算器128に入力され、加算器128は、各分岐からの寄与を現在のサブバンド信号に加算し、加算器128の出力でいわゆる転換ブロックを最終的に得る。次に、重複加算器130における重複加算処理が行われ、重複加算器130は、図18の重複/加算ブロック1808と同じようなものであってもよい。重複加算器は、重複加算進行値2・e(ここで、eは、ブロック抽出器120a、120b、120cの重複進行値または「ストライド値」である)を適用し、重複加算器130は、図27の実施形態においては、チャネルk、すなわち、現在観察されているサブバンドチャネルについての単一のサブバンド出力である転換された信号を出力する。図27において示される処理は、各分析サブバンドについてまたはあるグループの分析サブバンドについて行われ、図26において示されるように、転換されたサブバンド信号は、ブロック103によって処理された後で合成フィルタバンク105に入力されて、最終的に、ブロック105の出力で図26において示される転換出力信号を得る。
【0107】
ある実施形態においては、第1の転換分岐110aのブロック抽出器120aは、10個のサブバンドサンプルを抽出し、その後、これら10個のQMFサンプルを極座標に変換する。そして、位相調整器124aにより生成されるこの出力は、窓関数処理器126aに送られ、窓関数処理器126aは、ブロックの最初および最後の値についてのゼロにより出力を拡張する。この操作は、長さ10の矩形窓での(合成)窓関数処理に等しい。分岐110aにおけるブロック抽出器120aは、間引きを行わない。したがって、ブロック抽出器によって抽出されたサンプルは、それらが抽出されたのと同じサンプル間隔で、抽出されたブロックにマッピングされる。
【0108】
しかしながら、これは、分岐110bおよび110cについてのものとは異なる。ブロック抽出器120bは、好ましくは8つのサブバンドサンプルのブロックを抽出し、これらの8つのサブバンドサンプルを、抽出されたブロック内において、異なるサブバンドサンプル間隔にて分配する。抽出されたブロックについての非整数サブバンドサンプルエントリは、補間により得られ、こうして得られたQMFサンプルは、補間サンプルとともに極座標に変換されて、位相調整器により処理される。次に、ここでも、窓関数処理器126bにおける窓関数処理が、最初の2つのサンプルと最後の2つのサンプルについてのゼロにより位相調整器124bにより出力されるブロックを拡張するために行われ、その処理は、長さ8の矩形窓での(合成)窓関数処理に等しい。
【0109】
ブロック抽出器120cは、6個のサブバンドサンプルの時間範囲を持つブロックを抽出するよう構成され、間引き係数2の間引きを行い、QMFサンプルの極座標への変換を行い、そして、位相調整器124bにおいて再度操作を行い、その出力は、ここでは最初の3つのサブバンドサンプルおよび最後の3つのサブバンドサンプルについてのゼロによりここでも拡張される。この操作は、長さ6の矩形窓での(合成)窓関数処理と等しい。
【0110】
各分岐の転換出力は、ついで加算器128により加算されて混成されたQMF出力を形成し、混成されたQMF出力は最終的にブロック130において重複加算を用いて重畳される。ここで、重複加算進行またはストライド値は、上述したようにブロック抽出器120a,120b,120cのストライド値の2倍である。
【0111】
図27は、参照番号108がパッチングのために利用可能な分析サブバンド信号、すなわち、図26の分析フィルタバンク1010によって出力される図26に1080で示されている信号を示していると考えると、図25aの供給源帯域計算器2507によって行われる機能をさらに示している。分析サブバンド信号からの正しいサブバンドの選択、またはDFT転換器に関係する他の実施形態においては、正しい分析周波数窓の適用は、ブロック抽出器120a,120b,120cによって行われる。このために、各パッチの第1のサブバンド信号、最後のサブバンド信号およびその間のサブバンド信号を示すパッチ境界が各転換分岐のブロック抽出器に設けられている。最終的に転換係数T=2になる第1の分岐は、そのブロック抽出器120aで、xOverQmf(0)とxOverQmf(1)との間のすべてのサブバンドインデックスを受け取り、そしてブロック抽出器120aはこのように選択された分析サブバンドからブロックを抽出する。尚、パッチ境界は、kによって示される合成範囲のチャネルインデックスとして与えられ、分析帯域は、それらのサブバンドチャネルに関してnによって示される。したがって、nは2kをTで割ることによって計算されるので、したがって、分析帯域nのチャネル番号は、図26の場合に記載したように合成フィルタバンクの周波数間隔が2倍であるために合成範囲のチャネル番号と同じである。
【0112】
これは、第1のブロック抽出器120aのための、または一般に第1の転換器分岐110aのためのブロック120aの上に示されている。そして、第2のパッチング分岐110bのため、ブロック抽出器は、xOverQmf(1)とxOverQmf(2)との間のすべての合成範囲チャネルインデックスを受け取る。特に、ブロック抽出器がさらなる処理のためにブロックを抽出しなければならない供給源範囲チャネルインデックスは、係数2/3でkを乗算することにより、決定されたパッチ境界によって与えられた合成範囲チャネルインデックスから計算される。そして、この計算の整数部分が、分析チャネル番号nとされ、そこからブロック抽出器は、要素124b,126bによってさらに処理されるべきブロックを抽出する。
【0113】
第3の分岐110cでは、ここでもブロック抽出器120cがパッチ境界を受け取り、xOverQmf(2)からxOverQmf(3)までによって規定される合成帯域に対応するサブバンドからブロック抽出を行う。分析番号nは、2×kで計算され、これは、合成チャネル番号から分析チャネル番号を計算するための計算規則である。この場合、xOverQmfは、図24aの xOverBinに相当するが、図24aはDFTに基づくパッチャに対応し、一方、xOverQmfは、QMFに基づくパッチャに相当することが概説される。 xOverQmf(i)を決定するための計算規則は図24aに示すのと同様に決定されるが、係数fftSizeSyn/128はxOverQmfの計算には必要ではない。
【0114】
図27の実施形態の分析範囲を計算するためのパッチ境界を決定する手順がまた図24bに示されている。第1のステップ2600において、転換係数2,3,4、および場合によってはさらに大きい数に対応するパッチのパッチ境界を図24aまたは図25aの場合に記載したように計算する。そして、DFTパッチャのための供給源範囲周波数領域窓またはQMFパッチャのための供給源範囲サブバンドを、ブロック2602の右に示されている、ブロック120a,120b,120cの場合に説明した式によって計算する。そして、パッチングは、ブロック2604に示すように、転換された信号を計算し、転換された信号を高周波数にマッピングすることにより行われ、転換された信号の計算は、特に図27の手順に示されている。ここで、ブロック重複加算130によって出力された転換信号が、図24bのブロック2604の手順によって生成されたパッチングの結果に相当する。
【0115】
ある実施形態では、サブバンドブロックに基づく高調波転換を用いることによってオーディオ信号を復号する方法を含み、この方法は、Mバンド分析フィルタバンクによりコア復号信号のフィルタリングを行って、1セットのサブバンド信号を得ることと、該サブバンド信号の1サブセットを、少ない数のサブバンドを有するサブサンプリングされた合成フィルタバンクによって合成することと、サブサンプリングした供給源範囲信号を得ることとを含む。
【0116】
ある実施形態は、HFR生成信号のスペクトルバンド境界をパラメトリックプロセスに用いられたスペクトル境界に整合させる方法に関する。
【0117】
ある実施形態は、HFR生成信号のスペクトル境界を包絡線調整周波数表のスペクトル境界に整合させる方法に関し、この方法は、転換係数TのHFR生成信号の基本帯域幅限度を超えない包絡線調整周波数表において最も高い境界を検索することと、得られた最も高い境界を転換係数TのHFR生成信号の周波数限度として用いることとを含む。
【0118】
ある実施形態は、リミッタツールのスペクトル境界をHFR生成信号のスペクトル境界に整合させる方法に関し、この方法は、HFR生成信号の周波数境界をリミッタツールによって用いられる周波数バンド境界を作成するときに用いられる境界の表に加えることと、リミッタが、定数境界として加えられた周波数境界を用い、それに従って残りの境界を調整するようにさせることとを含む。
【0119】
ある実施形態は、転換動作がサブバンド信号の時間ブロックで行われる低分解能フィルタバンク領域におけるいくつかの整数の転換次数を含むオーディオ信号の混成転換に関する。
【0120】
さらなる実施形態は、2より大きい転換次数が次数2の転換環境に埋め込まれる混成転換に関する。
【0121】
さらなる実施形態は、3より大きい転換次数が次数3の転換環境に埋め込まれ、4より低い転換次数が別に行われる混成転換に関する。
【0122】
さらなる実施形態は、転換次数(例えば、2より大きい転換次数)は、コア符号化帯域幅を含む以前に計算された転換次数(すなわち特に、より低い次数)の複製によって作成される混成転換に関する。利用可能な転換次数とコア帯域幅との考え得るすべての組み合わせが制限なく可能である。
【0123】
ある実施形態は、転換に必要な分析フィルタバンクの低減された数のために演算の複雑性が低下することに関する。
【0124】
ある実施形態は、入力オーディオ信号からの帯域幅拡張信号を生成するための装置であって、第1のパッチ信号および第1のパッチ信号に比べて異なるパッチ周波数を有する第2のパッチ信号を得るために入力オーディオ信号をパッチングするパッチャであって、第1のパッチ信号は、第1のパッチングアルゴリズムを用いて生成され、第2のパッチ信号は、第2のパッチングアルゴリズムを用いて生成されるようなパッチャと、帯域幅拡張信号を得るために第1のパッチ信号および第2のパッチ信号を混成する混成器とを含む装置に関する。
【0125】
さらなる実施形態は、第1のパッチングアルゴリズムが高調波パッチングアルゴリズムであり、第2のパッチングアルゴリズムが非高調波パッチングアルゴリズムである該装置に関する。
【0126】
さらなる実施形態は、第1のパッチング周波数は、第2のパッチング周波数より低いか、またはその反対である上記の装置に関する。
【0127】
さらなる実施形態は、入力信号がパッチング情報を含み、パッチャが、パッチング情報に応じて第1のパッチングアルゴリズムまたは第2のパッチングアルゴリズムを変化させるために入力信号から抽出されたパッチング情報により制御されるよう構成される上記の装置に関する。
【0128】
さらなる実施形態は、パッチャが、オーディオ信号サンプルの後続ブロックをパッチするよう動作し、パッチャは、第1のパッチングアルゴリズムおよび第2のパッチングアルゴリズムをオーディオサンプルの同じブロックに適用するよう構成される上記の装置に関する。
【0129】
さらなる実施形態は、パッチャが、任意の次数で、帯域幅拡張係数によって制御される間引き器、フィルタバンクおよびフィルタバンクサブバンド信号のための伸長器とを含む上記の装置に関する。
【0130】
さらなる実施形態は、伸長器が、抽出進行値に応じて多くの重複ブロックを抽出するブロック抽出器と、窓関数または位相較正に基づいて各ブロックのサブバンドサンプリング値を調整する位相調整器または窓関数処理器と、抽出進行値よりも大きい重複進行値を用いて窓関数処理され、かつ、位相調整されたブロックの重複加算処理を行う重複/加算器とを含む上記の装置に関する。
【0131】
さらなる実施形態は、オーディオ信号を帯域幅拡張するための装置であって、ダウンサンプリングされたサブバンド信号を得るためにオーディオ信号をフィルタリングするフィルタバンクと、異なる方法で異なるサブバンド信号を処理する複数の異なるサブバンドプロセッサであって、異なる伸長係数を用いて異なるサブバンド信号時間伸長動作を行うサブバンドプロセッサと、帯域幅拡張されたオーディオ信号を得るために複数の異なるサブバンドプロセッサによって出力される処理されたサブバンドを混合するための混合器とを含む装置に関する。
【0132】
さらなる実施形態は、オーディオ信号をダウンサンプリングするための装置であって、変調器と、補間係数を用いる補間器と、複素低域通過フィルタと、補間係数より高い間引き係数を用いる間引き器とを含む装置に関する。
【0133】
ある実施形態は、オーディオ信号をダウンサンプリングするための装置であって、オーディオ信号から複数のサブバンド信号を生成するための第1のフィルタバンクであって、サブバンド信号のサンプリングレートがオーディオ信号のサンプリングレートよりも低いような第1のフィルタバンクと、サンプルレート変換を行うための分析フィルタバンクが後に続く少なくとも1つの合成フィルタバンクであって、分析フィルタバンクのチャネル数と異なるチャネル数を有する合成フィルタバンクと、サンプルレート変換された信号を処理するための時間伸長プロセッサと、時間伸長された信号と低帯域信号または異なる時間伸長された信号とを混成するための混成器とを含む装置に関する。
【0134】
さらなる実施形態は、非整数のダウンサンプリング係数によってオーディオ信号をダウンサンプリングするための装置であって、デジタルフィルタと、補間係数を有する補間器と、偶数および奇数のタップを有する多位相要素と、補間係数より大きな間引き係数を有する間引き器とを含み、間引き係数および補間係数は、補間係数と間引き係数の比が整数ではないように選択されるような装置に関する。
【0135】
ある実施形態は、オーディオ信号を処理するための装置であって、ある係数分名目変換サイズより小さい合成変換サイズを有するコア復号器であって、名目変換サイズに対応する名目サンプリングレートより小さなサンプリングレートを有するコア復号器によって出力信号が生成されるよう構成されているコア復号器と、1つ以上のフィルタバンクを有するポストプロセッサと、1つ以上の時間伸長器と、混合器とを含み、1つ以上のフィルタバンクのフィルタバンクチャネルの数が、名目変換サイズによって決定された数より少ない装置に関する。
【0136】
さらなる実施形態は、低帯域信号を処理するための装置であって、低帯域オーディオ信号を用いて多数のパッチを生成するパッチ生成器と、スケール係数帯域境界を有する隣接するスケール係数帯域に与えられたスケール係数を用いて信号の包絡線を調整する包絡線調整器とを含み、パッチ生成器は、隣接するパッチ間の境界が、周波数スケールにおける隣接するスケール係数間の境界と一致するように、多数のパッチを行うよう構成された装置に関する。
【0137】
ある実施形態は、低帯域オーディオ信号を処理するための装置であって、低帯域オーディオ信号を用いて多数のパッチを生成するパッチ生成器と、リミッタ帯域境界を有する隣接するリミッタ帯域に制限することによって信号の包絡線調整値を制限する包絡線調整リミッタとを含み、パッチ生成器は、隣接するパッチ間の境界が、周波数スケールにおける隣接するリミッタ帯域間の境界と一致するように、多数のパッチを行うよう構成された装置に関する。
【0138】
本発明の処理は、帯域幅拡張スキームに依るオーディオコーデックを増強するために有用である。特に、所与のビットレートでの最適な知覚品質が非常に重要であり、同時に処理力が制限されたリソースである場合に有用である。
【0139】
最も適した応用は、オーディオ復号器であり、これは携帯式装置で実施され、したがって電池での電力供給で動作することが多い。
【0140】
本発明の符号化されたオーディオ信号は、デジタル記憶媒体に保存することもできるし、また、インターネットのような、無線送信媒体または有線送信媒体などの送信媒体で送信することもできる。
【0141】
実施要件によっては、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアにおいて実施可能である。そのような実施は、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協同する(または協同し得る)電子的に読み取り可能な制御信号を記憶させるデジタル記憶媒体、例えば、フロッピーディスク、DVD、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリを用いて行うことが可能である。
【0142】
本発明によるいくつかの実施形態は、ここで記述された方法のうちの1つを実行するように、プログラム可能なコンピュータシステムと協働し得る電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを含む。
【0143】
一般的に、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータで実行されるときに、方法のうちの1つを行う動作が可能なプログラムコードを持つコンピュータプログラム製品として実施することが可能である。プログラムコードは、例えば、マシン可読キャリアに記憶され得る。
【0144】
他の実施形態は、マシン可読キャリアに記憶された、ここで記述された方法のうちの1つを行うコンピュータプログラムを含む。
【0145】
言い換えると、発明の方法の実施形態は、それゆえにコンピュータプログラムがコンピュータで実行されるときに、ここで記述された方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0146】
従って、本発明の方法のさらなる実施形態は、ここで記述された方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを記憶して成るデータキャリア(デジタル記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体)である。
【0147】
従って、本発明の方法のさらなる実施形態は、ここで記載された方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号列である。このデータストリーム、または、信号列は、例えば、インターネットを介したデータ通信接続を介して転送されるよう構成され得る。
【0148】
さらなる実施形態は、ここで記述された方法のうちの1つを実行するよう構成されるかまたは適合する処理手段、例えば、コンピュータ、または、プログラム可能な論理デバイスを含む。
【0149】
さらなる実施形態は、ここで記述された方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、プログラム可能な論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を、ここで記述された方法のうちの機能のいくつかまたはすべてを行うために使用し得る。いくつかの実施形態においては、フィールドプログラマブルゲートアレイは、ここで記述された方法のうちの1つを行うために、マイクロプロセッサと協同し得るものである。一般に、これらの方法は、好ましくは、何らかのハードウェア装置により行われる。
【0151】
上述した実施形態は、単に本発明の原理を例示するに過ぎない。構成の修正及び変形、並びにここに記述された詳細は、当業者にとっては明白であると考える。従って、本発明は、ここでの実施形態の記述及び説明により表される特定の細部によるのではなく、付随する特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであることが意図される。
【0152】
[文献]
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(2) S. Meltzer, R. Boehm および F. Henn, “SBR enhanced audio codecs for digital broadcasting such as “Digital Radio Mondiale” (DRM),”(「全世界のデジタルラジオ」などのデジタル放送用SBR増強オーディオコーデック)第112回 AES会議、 ミュンヘン、2002年5月
(3) T. Ziegler, A. Ehret, P. Ekstrand および M. Lutzky, “Enhancing mp3 with SBR: Features and Capabilities of the new mp3PRO Algorithm,”(SBRでのmp3増強:新しいmp3PROアルゴリズムの特徴と能力)第112回 AES会議、ミュンヘン、2002年5月
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(9) E. Larsen, R. M. Aarts, および M. Danessis. Efficient high-frequency bandwidth extension of music and speech(音楽と音声の効率的な高周波数帯域幅拡張)第112回AES会議、ミュンヘン、ドイツ、2002年5月
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(12) 米国特許第6895375号, Malah, D & Cox, R. V.: System for bandwidth extension of Narrow-band speech(狭帯域音声の帯域幅拡張用システム)
(13) Frederik Nagel, Sascha Disch, “A harmonic bandwidth extension method for audio codecs,”(オーディオコーデック用高調波帯域幅拡張方法)音響、音声および信号処理についての ICASSP国際会議、IEEE CNF、台北、台湾、2009年4月
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(17) 米国特許第6549884号 Laroche, J. & Dolson, M.: Phase-vocoder pitch-shifting(位相ボコーダピッチシフティング)
(18) Herre, J.; Faller, C.; Ertel, C.; Hilpert, J.; Hoelzer, A.; Spenger, C, “MP3 Surround: Efficient and Compatible Coding of Multi-Channel Audio,” (MP3サラウンド:多重チャネルオーディオの効率的で互換性のある符号化)、第116回 会議、Aud. Eng. Soc., 2004年5月
(19) Neuendorf, Max; Gournay, Philippe; Multrus, Markus; Lecomte, Jeremie; Bessette, Bruno; Geiger, Ralf; Bayer, Stefan; Fuchs, Guillaume; Hilpert, Johannes; Rettelbach, Nikolaus; Salami, Redwan; Schuller, Gerald; Lefebvre, Roch; Grill, Bernhard: Unified Speech and Audio Coding Scheme for High Quality at Lowbitrates(低ビットレートでの高品質のための統一音声およびオーディオ符号化スキーム)、ICASSP 2009年、2009年4月19〜24日、台北、台湾
(20) Bayer, Stefan; Bessette, Bruno; Fuchs, Guillaume; Geiger, Ralf; Gournay, Philippe; Grill, Bernhard; Hilpert, Johannes; Lecomte, Jeremie; Lefebvre, Roch; Multrus, Markus; Nagel, Frederik; Neuendorf, Max; Rettelbach, Nikolaus; Robilliard, Julien; Salami, Redwan; Schuller, Gerald: A Novel Scheme for Low Bitrate Unified Speech and Audio Coding(低ビットレート統一音声およびオーディオ符号化のための新スキーム)、第126回AES会議、2009年5月7日、ミュンヘン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波数部分(102)と低周波数部分(104)とを有する帯域幅拡張された信号を、高周波数部分(102)のためのパラメトリックデータ(2302)を用いて生成するためのオーディオ信号を処理する装置であって、該パラメトリックデータは、高周波数部分(102)の周波数帯域(100,101)に関するものであり、該装置は、
パッチ境界(1001c,1002c,1002d,1003c,1003b)を該パッチ境界が前記周波数帯域(101,100)の周波数帯域境界と一致するように計算するためのパッチ境界計算器(2302)と、
オーディオ信号(2300)と前記パッチ境界(1001c,1002c,1002b,1003c,1003b)とを用いて、パッチングされた信号を生成するためのパッチャ(2312)とを含む装置。
【請求項2】
前記パッチ境界計算器(2302)は、周波数帯域(101)の周波数帯域境界と一致しない目標パッチ境界(1001b,1002a,1002b,1003a)を用いるよう構成されており、
前記パッチ境界計算器(2302)は、前記目標パッチ境界とは異なるパッチ境界を設定するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パッチ境界計算器(2302)は、各パッチ境界が高周波数部分の周波数帯域の周波数帯域(100,101)境界と一致するように3つの異なる転換係数のためのパッチ境界を計算するよう構成されており、
パッチャ(2312)は、隣接するパッチ間の境界が2つの隣接する周波数帯域(100,101)の境界と一致するように前記3つの異なる転換係数(2308)を用いてパッチングされた信号を生成するよう構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記パッチ境界計算器(2302)は、高周波数部分(102)に対応する合成周波数範囲における周波数境界(k)としてパッチ境界を計算するよう構成されており、
パッチャ(2312)は、転換係数およびパッチ境界を用いて低帯域部分(104)の一周波数部分を選択するよう構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記パラメトリックデータ(2302)を用いてパッチングされた信号(2509)を調整するための高周波数再構成器(1030,2510)をさらに含み、該高周波再構成器は、1つの周波数帯域または1つの周波数帯域グループに対して、パッチングされた信号(2509)の対応する周波数帯域または周波数帯域グループを重みづけるために用いられる利得係数を計算するように構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記パッチ境界計算器(2302)は、
パラメトリックデータまたはさらなる構成入力データを用いて高周波数部分(102)の周波数帯域を規定する周波数表を計算し(2520)、
少なくとも1つの転換係数を用いて目標合成パッチ境界を決定し(2522)、
合致している周波数帯域を該周波数表内で検索し(2524)、
該合致している周波数帯域をパッチ境界として選択する(2525、2527)ように構成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記パッチ境界計算器は、所定の一致範囲内の目標周波数境界に一致する一致境界を有する一致周波数帯域を周波数表内で検索するか、または目標周波数境界に最も近い周波数帯域境界を有する周波数帯域を検索するよう構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記所定の一致範囲は、高周波数部分(102)の5つのQMF帯域または40の周波数ビン以下の値に設定する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記パラメトリックデータは、スペクトル包絡線データ値を含み、各周波数帯域に対して別個のスペクトル包絡線データ値が与えられる装置であって、この装置は、パッチングされた信号の各帯域をその帯域のスペクトル包絡線データ値を用いてスペクトル包絡線調整をするための高周波数再構成器(2510,1030)をさらに含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記パッチ境界計算器(2302)は、転換係数の高周波数再構成された信号の帯域幅限界を超えない周波数表において最も高い境界を検索し、得られた最も高い境界をパッチ境界として用いるよう構成されている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記パッチ境界計算器(2302)は、前記複数の異なる転換係数の各転換係数に対して異なる目標パッチ境界を受け取るよう構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記パッチングされた信号を調整するための利得値を制限する際に用いられるリミッタ帯域を計算するためのリミッタツール(2505,2510)をさらに含む装置であって、この装置は、パッチ境界計算器(2302)によって決定された少なくとも1つのパッチ境界をリミッタ境界として設定するようにリミッタ境界を設定するように構成されたリミッタ帯域計算器をさらに含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記リミッタ帯域計算器(2505)は、更なるリミッタ境界が高周波数部分(102)の周波数帯域の周波数帯域境界と一致するように更なるリミッタ境界を計算するよう構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記パッチャ(2312)は、異なる転換係数(2308)を用いて多数のパッチを生成するよう構成され、
前記パッチ境界計算器(2302)は、パッチ境界が高周波数部分(102)の周波数帯域の異なる周波数帯域境界と一致するように前記多数のパッチの各パッチのパッチ境界を計算するよう構成されている装置であって、
この装置は、スケール係数帯域に対して与えられたパラメトリックデータに含まれるスケール係数を用いて、パッチングの後に高周波数部分(102)の包絡線を調整するか、またはパッチングする前に高周波数部分を調整するための包絡線調整器(2510)をさらに含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
高周波数部分(102)と低周波数部分(104)とを有する帯域幅拡張された信号を、高周波数部分(102)のためのパラメトリックデータ(2302)を用いて生成するためのオーディオ信号を処理する方法であって、該パラメトリックデータは、高周波数部分(102)の周波数帯域(100,101)に関するものであり、該方法は
パッチ境界(1001c,1002c,1002d,1003c,1003b)を該パッチ境界が周波数帯域(101,100)の周波数帯域境界と一致するように計算するステップ(2302)と、
オーディオ信号(2300)と前記パッチ境界(1001c,1002c,1002b,1003c,1003b)とを用いて、パッチングされた信号を生成するステップ(2312)とを含む方法。
【請求項16】
請求項15の方法をコンピュータ上で実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24a】
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【図24b】
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【図25a】
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【図25b】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【公表番号】特表2013−521538(P2013−521538A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556463(P2012−556463)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053313
【国際公開番号】WO2011/110499
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(597159765)フラウンホーファーゲゼルシャフト ツール フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシユング エー.フアー. (68)
【出願人】(506427990)ドルビー・インターナショナル・アクチボラゲット (24)
【氏名又は名称原語表記】DOLBY INTERNATIONAL AB