説明

パネル体の連結構造

【課題】パネル体同士の連結を、封止性よく、作業性よく連結できるように構成する。
【解決手段】一対のパネル体2、3の連結面2d、3dに一対の突片6cが形成されたパネル側連結体6を設ける一方、連結部材5を、連結面2d、3dの前端縁部に沿って設けられ、前側突片6cの前面に当接する脚片7aと連結片7bとを備えた第一連結体7と、連結面2d、3dの後端縁部に沿って設けられ、後側突片6cの後面に当接する脚片8aと連結片8bとを備えた第二連結体8と、第一、第二連結体7、8対向間に配される第三連結体9とで構成し、第三連結体9に、第三連結体9を第二連結体8側に変位して一体化することにより、後側突片6cに干渉して各パネル体2、3を近接させる作動片9bと、第一連結体7の第一係止片7cに係止して抜止めをする第一係止受け片9dとを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音室や、クリーンルーム等、気密性を求められる構造物等を複数のパネル体を用いて形成する場合に用いられるパネル体の連結構造の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、防音室や、クリーンルーム等、気密性を求められる空間等の構造物を、複数のパネル体を連結して構成するようにしたものが知られており、この場合では、パネル体同士を連結部材を用いて連結することになる。
【0003】
このような連結部材としては、連結する一対のパネル体の一方の連結面に、フックプレートが設けられたフック型パネルファスナー部材Aを設ける一方、他方の連結面に、前記フックプレートが係止する受け金具が設けられたフック型パネルファスナー部材Bを設けて、パネル体の連結面同士を突き当てた状態でフックプレートを受け金具に係止させることにより、両パネル体同士を連結するようにしたものが提唱されている。
【特許文献1】実公平5−6403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来のものにおいて、パネル体の連結面が長尺状である場合では、連結面の長尺方向複数箇所にフック型パネルファスナー部材A、Bを点在させる状態で設けてパネル体同士の連結がなされている。このため、これら連結面同士の間に例えば弾性変形自在な気密材を圧着状に挟み込んで、パネル体同士を気密状(封止状)に連結しようとした場合では、フック型パネルファスナー部材A、Bが設けられる箇所においては気密材を集中的に圧着挟持することができるが、フック型パネルファスナー部材A、Bから離れたこれらの中間部位では気密材の圧着力が小さくなり、気密性能のよい部分と悪い部分とが形成されてしまうことが想定されて問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、一対のパネル体を連結部材を用いて連結するにあたり、各パネル体の連結面の連結幅方向中間部に、対向する連結面側に向けて突出し、突出端部にガイド面が形成された連結突片を形成する一方、前記連結部材を、連結面の連結幅方向一方の端縁部側に沿って設けられ、各パネル体の連結突片の一方側面にそれぞれ当接する一対の脚片とこれら脚片を連結する連結片とを備えた第一連結体と、連結面の連結幅方向他方の端縁部側に沿って設けられ、各パネル体の連結突片の他方側面に当接する一対の脚片とこれら脚片を連結する連結片とを備えた第二連結体と、第一、第二連結体の連結片の対向間に、対向方向移動自在に配される第三連結体とにより構成し、前記第三連結体に、該第三連結体の第一、第二連結体の何れか一方に変位して一体化することにより、各パネル体の連結突片に干渉して各パネル体の連結面同士を近接させる作動片と、前記第三連結体の一方への変位により、他方の連結体の脚片に形成された係止片に係止して他方の連結体の抜止めをする係止受け片とを形成したパネル体の連結構造である。
請求項2の発明は、連結突片は、突出端部に突出先端側ほど他方の連結体側に偏寄する傾斜状のガイド面を備えたガイド片を形成する一方、第三連結体の作動片に、突出先端側ほど一方の連結体側に偏寄する傾斜状のガイド受け面を形成し、作動片の一方への変位に伴い、ガイド面がガイド受け面の突出基端側に向けて変位して、パネル体の連結面同士を近接させるように構成されている請求項1に記載のパネル体の連結構造である。
請求項3の発明は、パネル体の連結突片は、第一、第二連結体にそれぞれ対向する一対の突片により構成され、ガイド片は一方の突片の突出先端部に形成されている請求項1または2に記載のパネル体の連結構造である。
請求項4の発明は、第三連結体を一方の連結体側に変位せしめて一方の連結体に一体化する一体化手段は、一方の連結体側から螺入した螺子により構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のパネル体の連結構造である。
請求項5の発明は、第三連結体には、一方の連結体の脚片に形成された係止片に係止して一方の連結体の抜け止めをする係止受け片が形成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のパネル体の連結構造である。
請求項6の発明は、連結部材は、一対のパネル体の端面同士を連結するように構成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載のパネル体の連結構造である。
請求項7の発明は、連結部材は、一方のパネル体の端面と、他方のパネル体のパネル面とを連結するように構成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載のパネル体の連結構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、パネル体の連結面同士を近接変位させながら連結することができて、シール性の優れた連結状態とすることができる。
請求項2、3の発明とすることにより、構成の簡略化を図ることができる。
請求項4の発明とすることにより、連結ための作業箇所を少なくできて作業性の向上が図れる。
請求項5の発明とすることにより、連結部材を予め組込んで一つの構成部材として作業することができて、さらなる作業性の向上が図れる。
請求項6、7の発明とすることにより、汎用性の高い連結部材とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は気密性に優れた気密ルームであって、該気密ルーム1は、天井部US、床部GS、これらの間を連結する前後左右の四側片部FS、BS、LS、RSとを備えた六面体により構成されており、これら四側片部FS、BS、LS、RSのうち、任意の側片部(本実施の形態では前側片部FS)に出入り口部Dが開閉自在に設けられている。
そして、気密ルーム1の六側面となる各部US、GS、FS、BS、LS、RSは、それぞれ複数(三枚)のパネル体2、3、4を連結部材5を用いて連結することにより一体化され、これら各部US、GS、FS、BS、LS、RS同士の連結についても連結部材5、または、該連結部材5の一部を変更した変更型連結部材15を用いることにより連結されている。
【0008】
つぎに、本発明が実施された連結部材5の構成について、図2、3を用いて説明する。
前記図2、3は、気密ルーム1の各部US、GS、FS、BS、LS、RSを構成する各パネル体2、3、4のうち、前側片FSのパネル体2、3を連結部材5により連結した状態を平面断面図として示しており、該図面を基準として連結部材5の構成、作用について説明する。
前記各パネル体2、3は、前後一対の面板2a、3aの間にコア材2b、3bを介装して構成されており、左側のパネル体2の右端部と右側のパネル体3の左端部とには、それぞれ角柱長尺状の端部材2c、3cが介装されており、これら端部材2c、3cの上下方向に長い右端面、左端面がそれぞれ本発明の連結面2d、3dに相当している。前記連結面2d、3dの前後方向中間部(連結面2d、3dの幅方向中間部)には上下方向長尺状の凹部2e、3eが形成されており、これら凹部2e、3eに、本発明の連結突片を構成する長尺状のパネル側連結体6がそれぞれ上下方向全長にわたって設けられている。
ここで、パネル側連結体6のパネル体2、3の各端面同士に設けられており、連結部材5はパネル体の端面同士を連結する構成となっている。
【0009】
前記パネル側連結体6は、本実施の形態では、パネル体2、3とは別部材としてパネル体2、3に抜け止め状に設けられる構成となっているが、パネル体2、3に一体的に形成する構成としてもよい。また、前記パネル側連結体6は、前後方向中間部を基準として線対称状に形成されており、前後方向に反転させることにより、一対のパネル体2、3に対して同じパネル側連結体6を用いることができるように構成されている。
前記パネル側連結体6は、凹部2e、3eの溝側片2f、3fに沿う一対の支持片6aと、これら支持片6aを連結し、パネル体連結面2d、3dと略面一状に配される中間片6bと、該中間片6bの前後端縁部から、対向する連結面2d、3dに向けて突出する前後一対の前後側突片6cを備えて構成されており、これら一対の前後側突片6cが本発明の連結突片に相当している。そして、パネル側連結体6は、溝側片2f、3fに形成された抜止め溝2g、3gに支持片6aに突設した抜止め突起6dを係止させる状態に組込むことで、凹部2e、3eに抜止め状に設けられている。そして、各パネル側連結体6の前後側突片6cは、各突出先端部がそれぞれガイド片6eに構成されており、前方に位置する前方ガイド片6dの後側面は、突出端側ほど後方に偏寄する傾斜状の前方ガイド面6fが形成され、後方に位置する後方ガイド片6eの前側面は、突出端側ほど前方に偏寄する傾斜状の後方ガイド面6fがそれぞれ形成され、これらガイド片6eの対向間に所定の間隙H1が形成されるように設定されている。
【0010】
一方、パネル体2、3同士を連結する連結部材5は、各連結面2d、3dに沿って長尺状に形成された前後一対の第一、第二、第三連結体7、8と、これら第一、第二連結体7、8の対向間に配される長尺状の第三連結体9とにより構成されている。
前記第一連結体7(本発明の他方の連結体に相当する)は、各パネル体連結面2d、3dの幅方向一方の端縁部(パネル体2、3の前面板2a、3a)に沿って前方に設けられる部材であって、各パネル体2、3にそれぞれ設けたパネル側連結体6の前側面(一方側面)となる前側突片6cの前端面にそれぞれ当接する左右一対の第一脚片7aと、これら第一脚片7aを連結する第一連結片7bとにより平面視冂字形状に形成されている。そして、第一連結体7は、各第一脚片7aを前側突片6cに突き当てた状態で第一連結片7bの前面が各パネル体2、3の前面板2a、3aと面一状となるように寸法設定されている。また、第一連結体脚片7aの先端部には、互に近接する方向に突出する第一係止片7cが形成されている。
【0011】
前記第二連結体8(本発明の一方の連結体に相当する)は、第一連結体7を前後方向に反転することにより同一部材を用いることができるように構成されている。そして、第二連結体8は、各パネル体連結面2d、3dの他方の端縁部である後方に設けられる部材であり、各パネル体2、3にそれぞれ設けられたパネル側連結体6の後側面(他方側面)となる、後側突片6cの後端面にそれぞれ当接する左右一対の第二脚片8aと、これら第二脚片8aを連結する第二連結片8bとにより平面視冂字形状に形成されている。そして、第二連結体8は、各第二脚片8aを後側突片6cに突き当てた状態で第二連結片8bの後面が各パネル体2、3の後面板2a、3aと面一状となるように寸法設定されている。また、第二連結体脚片8aの先端部には、互に近接する方向に突出する第二係止片8cが形成されている。さらに、第二連結片8bには、後述する螺子10が貫通する貫通孔8dが上下方向所定間隙を存して複数形成されている。
【0012】
前記第三連結体9は、第一、第二連結体7、8を隣接パネル体2、3のパネル側連結体6の前後側突片6cに突き当てたとき、第一、第二連結片7b、8bの対向間に形成される空間に配されるように構成されている。前記第三連結体9の前後方向長さLは、第一、第二連結片7b、8bの対向間距離L1よりも短く形成(L<L1)されており、第一、第二連結片7b、8bとの対向間において前後方向(対向方向)にスライド移動自在に構成されている。
さらに、第三連結体9は、一対のパネル側連結体6の前後側突片6cの対向間に配される細幅状部を備えた本体部9aと、該本体部9aの前後方向中間部に位置して左右方向に突出する左右一対のガイド受け片(本発明の作動片に相当する)9bとがそれぞれ形成されているが、これら左右のガイド受け片9bの前後方向長さHは、それぞれガイド片6eの対向間の間隙H1よりも短く形成(H<H1)されている。そして、これら左右ガイド受け片9bの突出先端部の後側面には、突出先端側ほど第一連結体7側に偏寄する傾斜面であって、前記パネル側連結体6の後方ガイド面6fに対向する傾斜面に形成されたガイド受け面9cが形成されている。また、第三連結体9は、本体部9a左右側部の前方部位に位置して、一対の第一連結体脚片7aの先端部に形成された第一係止片7cにそれぞれ係止する左右一対の第一係止受け片9dが左右方向に突出形成されているとともに、本体部9a左右側部の後方部位に位置して、一対の第二連結体脚片8cの先端部に形成された第二係止片8cにそれぞれ係止する左右一対の第二係止受け片9eが左右方向に突出形成されている。
そして、第三連結体9の本体部9aの後側面9fには、前方が開口された凹状部9gが上下方向長尺状に切欠き形成されており、該凹状部9gには、第二連結体8と第三連結体9との一体化手段としての螺子10が螺合するナット11が、前記第二連結体8に形成された貫通孔8dに連通する状態でそれぞれ抜止め状に設けられている。
【0013】
さらに、第一、第二連結体7、8の各脚片7a、8aの左右の外端面には、それぞれ弾性変形自在に構成されたシール材12が貼着等の一体化手段により設けられているが、連結部材5(第一、第二連結体7、8)は、シール材12が弾性変形しない自然状態において左右長さW1を有するように設定されている。
そして、連結部材5は、図2に示すように、第一、第二連結体7、8の第一、第二連結片7b、8bの前後面をパネル体2、3の前後面板2a、3aと位置合わせした状態、即ち、脚片7a、8aの先端部を、各パネル体2、3に設けられたパネル側連結体6の前後側突片6cの前後側面にそれぞれ当接した状態とするとともに、第三連結体9の前記一対のガイド受け片9bを、パネル側連結体6の前後側ガイド片6cの対向間に嵌入し、かつ、後側面9fを第二連結体8の第二連結片8bに当接するよう後方に偏寄した姿勢(後述する連結部材5の連結姿勢)とすることにより、第三連結体ガイド受け面9cと後方ガイド面6fとが左右方向に係止してパネル体側連結体6が抜止めされてパネル体2、3同士を連結状態とするとともに、第三連結体9の左右の第一係止受け片9dが一対の第一連結体脚片7aの第一係止片7cに係止して第一連結体7の抜止めがなされるように構成されている。そして、前記連結部材5の連結姿勢は、一体化手段としての螺子10を第二連結体8側から螺入して第三連結体9のナット11に螺合して、第二、第三連結体8、9とを一体化することにより保持されるように構成されている。
また、連結部材5は、パネル体2、3を連結する連結姿勢になることにより、一対のパネル体連結面2d、3dの対向間隔Wを、前記シール材12が弾性変形しないときの左右長さW1よりも短くするように寸法設定されており、これによって、シール材12が一対のパネル体2、3により圧着した状態に挟持されるようになり、連結部における気密性が確実に図れるように構成されている。
【0014】
つぎに、連結部材5によるパネル体2、3の連結手順について図4を用いて説明する。
まず、シール材12が設けられた第一、第二連結体7、8と第三連結体9とを予め一体組込みするが、このとき、第三連結体9は、本体部9aの左右方向側面の前後に設けられた第一、第二係止受け片9d、9eが第一、第二連結体7、8の第一、第二係止片7c、8cにそれぞれ係止することにより互に抜け止めされた状態となるように構成されている。そして、螺子10を後方、即ち、気密ルーム1の内側に位置する第二連結体貫通孔8dから挿入し、第三連結体9に固定したナット11に浅く螺合した仮止め状態とする。
続いて、前記組込まれた連結部材5を、パネル体2、3の連結面2d、3d同士の間に仮組込みする。この仮組込みでは、第二連結体8の第二脚片8aの先端を、各パネル体2、3に設けたパネル体側連結体6の後側突片6cに突き当たる状態とすることで、第二連結片8bを各パネル体2、3の後面板2a、3aに位置合わせするように構成されている。つぎに、第三連結体9のガイド受け片9bを各パネル体2、3にそれぞれ設けたパネル体側連結体6の前後側突片6cの間に嵌入する。このとき、図4の実線で示すように、前方に位置する第一連結体7をパネル体2、3の前面板2a、3aよりも前方に変位させた状態とし、かつ、第三連結体9を第一連結体7側に偏寄させる状態として、ガイド受け片9bを前後側突片6cの中間部に位置させることにより、これらの間に嵌入させることができるように構成されている。
【0015】
前記仮組込み状態において、パネル体側連結体後側突片6cの後方ガイド面6fと、第三連結体ガイド受け面9cとは前後方向、左右方向共に離間する状態となっており、第一連結体7の第一係止片7cと第三連結体9の第一係止受け片9dとは前後方向に離間する状態となっている。そして、前記螺子10をナット11に対して螺合して第三連結体9を第二連結体8側に変位させることにより、ガイド受け面9cがパネル側連結体6の後方ガイド面6fに次第に近付いて当接し、該後方ガイド面6fがガイド受け面9cと第二連結体脚片8cとの間に挟持される。この状態から、さらに螺子10を螺合する過程において、ガイド受け面9cと第二連結体脚片8cとに挟持される後方ガイド面6fは、ガイド受け面9cが第二連結体8側に変位するのを受けてガイド受け面9cに深く係止する状態にガイドされて、第三連結体8側に引き寄せられる(パネル体側連結体6(パネル体2、3)が第三連結体9側に変位して)ようになることでパネル体2、3を近接する方向に変位せしめるように設定されている。この状態になると、後側突片6cとガイド受け片9bとが抜止め状に係止される状態となる一方、第三連結体9の第一係止受け片9dが第一連結体7の第一係止片7cに係止して、第一連結体7を第二連結体8側に変位させて、第一脚片7aの先端がパネル体側連結体6の前側突片6cに当接して、第一連結片7bとパネル体2、3の前面板2a、3aとが面一状になるように設定されている。この状態は、図3および図4の仮想線で示す連結部材5の連結姿勢であり、連結部材5は、螺子10により一体化された第二、第三連結体8、9の脚片8cとガイド受け片9bとが、パネル側連結体6の後側突片6cを挟持する状態でパネル体2、3を連結し、該パネル体2、3を抜止め状に連結する第三連結体9が第一連結体7を抜け止めする状態で保持される状態となっている。そして、このとき、第一、第二連結体7、8は、連結片7b、8bがそれぞれパネル体2、3の前後面板2a、3aと面一状となるように構成されている。
さらに、この連結状態において、パネル体2、3の連結面2d、3d同士は対向間隔Wに設定され、前述したように、シール材12が一対のパネル体2、3により圧着された状態に挟持されて、パネル体2、3の連結部における気密性の向上が図れるとともに、安定した連結状態が確立されるように構成されている。しかも、連結部材5は、上下方向複数設箇所において螺入した螺子10により、連結部材5の全長にわたって第三連結体9を変位させ、これによって、パネル体2、3同士を近接させる変位がなされるとともに、シール材12を螺子10配設部だけでなく、連結部材5配設部位である連結面2d、3dの全長において圧着させることができるように構成されている。
【0016】
このように、連結部材5はパネル体2、3、4の端面となる連結面2d、3d、4d同士を気密状に行える構成であるが、さらに、一方のパネル体2と他方のパネル体3の何れか一方のパネル面3aとを連結することもでき、その構成を、図5、7を用いて説明する。
図5は、気密ルーム1の縦断面図であり、図7(A)、(B)はそれぞれ図5の要部拡大図となっている。ここでは、図7(A)に示される天井部USのパネル体2の下側の面板2aと左側片部LSのパネル体4の上端面との連結状態について説明する。
この場合に、天井部USのパネル体2は、左側端面に横端部材13が設けられ、該横端部材13の下面13aがパネル体2の連結面13aとして用いられるように構成されており、該連結面13aに形成された凹部13bに、前記パネル側連結体6が抜止め状に設けられている。一方、左側片部LSのパネル体4の上端面には端部材4cが設けられており、該端部材4cの上端面(連結面)4dに形成された凹部4eパネル側連結体6が抜止め状に設けられている。そして、これらパネル側連結体6の間に、シール材12が設けられた第一、第二連結体7、8と第三連結体9とが組込まれた連結部材5を仮組込みするが、この場合に、連結部材5は前後方向長尺状となる姿勢で、かつ、気密ルーム1の屋外側に第一連結体7、屋内側に第二連結体8が位置する状態で設けられ、この状態から、気密ルーム1の屋内側から螺子10を緊締することにより、シール材12がパネル体2、4との間に圧着状に挟持されて、該連結部における気密性の向上が図れるように構成されている。
【0017】
このように、天井部USと前後左右側片部FS、BS、LS、RS、床部GSと前後左右側片部FS、BS、LS、RSとの連結は、それぞれ天井部US、床部GSを構成するパネル体2、3、4に横端部材13を連結することにより、連結部材5を用いて同様の構成で連結できるようになっている。
また、前後左右側片部FS、BS、LS、RS同士の連結となる各コーナー部における連結は、図4、6、8に示すように、それぞれ上下方向長尺状のコーナーポスト14を用いて連結するように構成されており、ここでは、後側片部BSを構成するパネル体2と左側片部LSを構成するパネル体4との連結部について図8を用いて説明する。
前記コーナーポスト14は角柱形状に形成されており、パネル体4の後端面に設けられる端部材4cにパネル側連結体6が設けられ、該端部材4cに対向するコーナーポスト14の前端面(連結面)14aには、パネル側連結体6の前後側突片6cと同形状の一対の突片14bが一体形成されている。そして、コーナーポスト14とパネル体4との間に、シール材12が設けられた第一、第二連結体7、8と第三連結体9とが組込まれた連結部材5を仮組込みするが、この場合に、連結部材5は上下方向長尺状となる姿勢で、かつ、気密ルーム1の屋外側に第一連結体7、屋内側に第二連結体8が位置する状態で設けられ、この状態から、気密ルーム1の屋内側から螺子10を緊締することにより、シール材12がパネル体4とコーナーポスト14との間に圧着状に挟持されて、該連結部における気密性の向上が図られるように構成されている。
【0018】
また、コーナーポスト14には、パネル体2の左側端面に設けられる端部材2cに対向する右端面(連結面)14cが形成されるが、該右端面14cの前後方向長さが、パネル体2のパネル厚よりも短くなるように形成されている。ここで用いられる変更型連結部材15は、前記連結部材5の第一、第二連結体7、8に相当する第四、第五連結体16、17がつぎのように変更された形状に形成されており、第三連結体9に相当する第六連結体18は、第三連結体9と同様に構成されている。
つまり、前記第四、第五連結体16、17は、一対の第四、第五脚片16a、17aと、これらを連結する第四、第五連結片16b、17bとを備えて構成され、第四、第五脚片16a、17aの先端部に第四、第五係止片16c、17cが形成されている。さらに、第四、第五連結片16b、17bは、コーナーポスト14の右端面14cの前後面14d、14eに近接対向するよう延出する延出片16d、17dが形成されている。そして、コーナーポスト14とパネル体2との間に、延出片16d、17dの対向面と、パネル体2側の脚片16a、17aとにシール材12が設けられた第四、第五連結体16、17と第六連結体18とが組込まれた連結部材15を仮組込みするが、この場合に、連結部材15は、上下方向長尺状となる姿勢で、気密ルーム1の屋外側に第一連結体16、屋内側に第二連結体17が位置し、各延出片16d、17dがコーナーポスト14の右端面14cに続く前後面14d、14eにあてがわれる状態で設けられ、この状態から、気密ルーム1の屋内側から螺子10を緊締することにより、シール材12がコーナーポスト14の前後面において圧着され、かつ、パネル体4と連結部材15の間において圧着された状態で挟持され、該連結部における気密性の向上が図られるように構成されている。さらに、コーナーポスト14を用いて連結した場合では、コーナーポスト右端面14cの前後面14d、14eに対する第四、第五連結体16、17の延出片16d、17dの積層長さを調整することで、各側片部FS、BS、LS、RSの寸法誤差、取付け誤差により発生する寸法誤差を調整することができるように構成されている。
【0019】
このように、予め床部GSをパネル体2、3、4と連結部材5と横端部材13とを用いて形成し、該床部GSに、前後左右の側片部FS、BS、LS、RSを構成するためのパネル体2、3、4とコーナーポスト14と連結部材5、15とを用いて形成し、最後に、天井部USをパネル体2、3、4と連結部材5と横端部材13とを用いて形成することにより、気密ルーム1を構成することができるが、このとき、気密ルーム1は、部品点数が少なく、組み込み作業が容易で、しかも、各連結部材5、15を用いた連結部における気密性が優れたものにすることができ、しかも、一体化手段としての螺子10が気密ルーム1の内側からの作業とすることができて、作業性の向上、意匠性の向上が図れるように構成されている。
尚、実施の形態において説明した以外の部所についての連結部材5、変更型連結部材15による連結構成は、図面において同様の機能を示す部材に同様の符号を付すことにより説明を省略する。
【0020】
叙述の如く構成された本形態において、気密ルーム1は、複数のパネル体2、3、4を連結部材5により連結して構成されるが、この場合に、例えば、パネル体2、3において、パネル体2、3の連結面2d、3d(端面)同士のあいだは、連結面2d、3dに沿い、該連結面2d、3d一帯に配設された連結部材5を用いて連結され、連結部材5の第一、第二連結体7、8の対向間に配される第三連結体9を連結面2d、3dの幅方向一方の端縁側に変位して該一方の第二連結体8に一体化させることにより、第一、第二連結体7、8に対するパネル連結面2d、3dとの間隔を近接変位させながらパネル体2、3同士を連結する構成であるので、連結面2d、3d同士のあいだに設けたシール材12を、第一、第二連結体連結面2d、3dの全長にわたって均一な状態で圧着状に挟持させることができて、シール性の優れた気密ルーム1を形成することができる。
【0021】
このように、本発明が実施された連結部材5は、連結面2d、3dの間に設けたシール材12を全長にわたって圧着状に挟持できるものであるが、第三連結体9を一方の端縁部に変位させるための構造は、パネル体2、3側に設けたパネル側連結体6に、第一、第二連結体7、8の位置決め用として形成された連結突片6cに形成されたガイド片6eの傾斜状の後方ガイド面6fと、第三連結体9のガイド受け片9bに形成した傾斜状のガイド受け面9cとしたので、構成の簡略化を図ることができる。
【0022】
さらに、このものにおいて、第三連結体9を第二連結体8側に変位させて、パネル体2、3同士を連結して一体化するための手段として、所定間隙を存して第二連結体8側から螺入される螺子10を第三連結体9に螺合する構成としたので、シール材12を連結面2d、3d一帯に圧着させた状態でパネル体2、3同士を連結できるものでありながら、連結作業の箇所を少なくすることができて作業性の向上を図ることができる。
【0023】
また、このものでは、第一、第二連結体7、8の両者を第三連結体9から抜止めできるように構成したので、連結部材5を予め組込んで一つの構成部材として作業することができて、さらなる作業性の向上を図れる。
【0024】
しかも、このものでは、パネル体2、3、4同士を連結する場合に、例えばパネル体2、3の端面同士の連結、一方の端面と、他方のパネル面との連結等、適宜箇所にパネル側連結体6を設けることで、連結部材5による連結を行うことができ、少ない部品点数で容易に構造物を組立てることが可能となって、汎用性の高い連結部材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】クリーンルームの概略斜視図である。
【図2】連結部材による連結状態を説明する断面図である。
【図3】連結部材による連結状態を説明する要部拡大断面図である。
【図4】クリーンルームの組立て状態を説明する要部の分解斜視図である。
【図5】クリーンルームの縦断面図である。
【図6】クリーンルームの横断面図である。
【図7】図7(A)、(B)は、それぞれ図5の左上部拡大図、左下部拡大図である。
【図8】図6の左上部拡大図である。
【符号の説明】
【0026】
1 気密ルーム
2 パネル体
2d 連結面
3 パネル体
5 連結部材
6 パネル側連結体
6c 突片
6f ガイド面
7 第一連結体
7a 第一脚片
7b 第一連結片
8 第二連結体
9 第三連結体
9b ガイド受け片
9c ガイド受け面
10 螺子
11 ナット
12 シール材
13 横端部材
14 コーナーポスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のパネル体を連結部材を用いて連結するにあたり、各パネル体の連結面の連結幅方向中間部に、対向する連結面側に向けて突出し、突出端部にガイド面が形成された連結突片を形成する一方、前記連結部材を、連結面の連結幅方向一方の端縁部側に沿って設けられ、各パネル体の連結突片の一方側面にそれぞれ当接する一対の脚片とこれら脚片を連結する連結片とを備えた第一連結体と、連結面の連結幅方向他方の端縁部側に沿って設けられ、各パネル体の連結突片の他方側面に当接する一対の脚片とこれら脚片を連結する連結片とを備えた第二連結体と、第一、第二連結体の連結片の対向間に、対向方向移動自在に配される第三連結体とにより構成し、前記第三連結体に、該第三連結体の第一、第二連結体の何れか一方に変位して一体化することにより、各パネル体の連結突片に干渉して各パネル体の連結面同士を近接させる作動片と、前記第三連結体の一方への変位により、他方の連結体の脚片に形成された係止片に係止して他方の連結体の抜止めをする係止受け片とを形成したパネル体の連結構造。
【請求項2】
連結突片は、突出端部に突出先端側ほど他方の連結体側に偏寄する傾斜状のガイド面を備えたガイド片を形成する一方、第三連結体の作動片に、突出先端側ほど一方の連結体側に偏寄する傾斜状のガイド受け面を形成し、作動片の一方への変位に伴い、ガイド面がガイド受け面の突出基端側に向けて変位して、パネル体の連結面同士を近接させるように構成されている請求項1に記載のパネル体の連結構造。
【請求項3】
パネル体の連結突片は、第一、第二連結体にそれぞれ対向する一対の突片により構成され、ガイド片は一方の突片の突出先端部に形成されている請求項1または2に記載のパネル体の連結構造。
【請求項4】
第三連結体を一方の連結体側に変位せしめて一方の連結体に一体化する一体化手段は、一方の連結体側から螺入した螺子により構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のパネル体の連結構造。
【請求項5】
第三連結体には、一方の連結体の脚片に形成された係止片に係止して一方の連結体の抜け止めをする係止受け片が形成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のパネル体の連結構造。
【請求項6】
連結部材は、一対のパネル体の端面同士を連結するように構成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載のパネル体の連結構造。
【請求項7】
連結部材は、一方のパネル体の端面と、他方のパネル体のパネル面とを連結するように構成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載のパネル体の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−221653(P2009−221653A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63879(P2008−63879)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(593022342)ベニックス株式会社 (13)