説明

パネル取付構造

【課題】1種類の支柱と取付金具のみにより在庫・施工できると共に、効率的に施工できるパネル取付方法を提供する。
【解決手段】支柱1には取付金具3をボルトB1により取付けるための貫通孔11が穿設されており、取付金具3は固定部31とパネル取付部32とを備え、固定部31は前記支柱1の外径に対応した形状となされ、固定部31の略中央には前記支柱1の貫通孔11にボルトB1を貫通させて支柱1に取付ける固定用孔33が形成されていると共に、固定部31の一端のみからパネル取付部32が突設されると共に、前記取付金具3が支柱1に取付けられた状態においては、前記支柱1に穿設された貫通孔11の方向Xとパネル取付部32の突設された方向Yとが略45°とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に取付金具を介してパネルを取付けたパネル取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱に取付金具を介してパネルを取付けたパネル取付構造については、例えば特許文献1に示されるような、対立した両支柱間に腰板を架け渡して結合する支柱と腰板の取付け方法において、前記両支柱の内側壁に取付片で左右框を対向状に取付けて、その左右框の下端間に下框を架け渡して、前記左右框と下框で囲まれた空間部に幕板を張って、前記左右框の上端間に上框を架け渡して取付けた支柱と腰板との取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−348948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のパネル取付構造においては、支柱に対して幕板からなるパネルが直線状に支柱の左右に取付けられる場合と、支柱に対してパネルが90°に取付けられる場合とで、支柱に取付けられた取付片は、前者の場合180°方向に支柱に取付けられ、後者の場合90°方向に支柱に取付けられるため、それぞれの場合で異なる位置に取付片が取付けられた支柱を用意する必要があり、在庫する際には種類が増えてしまい、また施工時においては支柱を立設する際に場所毎に取付片が取付けられた支柱の種類を確認しなければならず、非常に手間を要するものであった。
【0005】
本発明は、前記の如き課題を解消し、1種類の支柱と取付金具のみにより在庫・施工できると共に、効率的に施工できるパネル取付方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち本発明に係るパネル取付構造は、間隔をおいて立設された支柱に取付金具を介してパネルが架設されてなるパネル取付構造であって、支柱には取付金具をボルトにより取付けるための貫通孔が穿設されており、取付金具は固定部とパネル取付部とを備え、固定部は前記支柱の外径に対応した形状となされ、固定部の略中央には前記支柱の貫通孔にボルトを貫通させて支柱に取付ける固定用孔が形成されていると共に、固定部の一端のみからパネル取付部が突設されると共に、前記取付金具が支柱に取付けられた状態においては、前記支柱に穿設された貫通孔の方向とパネル取付部の突設された方向とは略45°となされていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明に係るパネル取付構造は、前記パネル取付部には金具側取付孔が形成され、該金具側取付孔の縁部には仮置き部が設けられて、パネルに形成されたパネル側取付孔に前記仮置き部が挿入されて、パネルが支柱に固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、支柱には取付金具をボルトにより取付けるための貫通孔が穿設されており、取付金具は固定部とパネル取付部とを備え、固定部は前記支柱の外径に対応した形状となされ、固定部の略中央には前記支柱の貫通孔にボルトを貫通させて支柱に取付ける固定用孔が形成されていると共に、固定部の一端のみからパネル取付部が突設されると共に、前記取付金具が支柱に取付けられた状態においては、前記支柱に穿設された貫通孔の方向とパネル取付部の突設された方向とは略45°としているため、支柱に対して2枚のパネルを90°方向に取付ける場合には、パネルの手前側において、2個の取付金具のパネル取付部が左右方向になる様に固定部を重ね合せて、ボルトを取付金具の固定用孔と支柱の貫通孔とに貫通させて固着すれば、各取付金具のパネル取付部のなす角度は90°となるので、この状態でパネル取付部にパネルを取付ければよく、また支柱に対して2枚のパネルを180°方向に取付ける場合には、1個の取付金具をパネルの手前側に配置し、もう1個の取付金具をパネルの奥側に配置して、ボルトを取付金具の固定用孔と支柱の貫通孔とに貫通させて固着すれば、各取付金具のパネル取付部のなす角度は180°となるので、この状態でパネル取付部にパネルを取付ければよい。すなわち、1種類の支柱と取付金具とを用いて、2枚のパネルを支柱に対して90°方向にも180°方向にも取付けることができるため、効率的に施工及び部材の在庫をすることができる。
【0009】
また、本発明によれば、前記パネル取付部には金具側取付孔が形成され、該金具側取付孔の縁部には仮置き部を設けられて、パネルに形成されたパネル側取付孔に前記仮置き部を挿入して、パネルを支柱に固定するようになされているため、パネル施工時にパネルを仮置き部に仮置きして作業者の負担を軽減することができ好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るパネル取付構造に用いる取付金具の、実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】パネルの取付構造を説明する分解斜視図である。
【図3】本発明に係るパネル取付構造を備えた実施形態の一例を示す(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図4】本発明に係るパネル取付構造において、(a)支柱に対して2枚のパネルを90°方向に取付ける場合の説明模式図(平面視)、(b)支柱に対して2枚のパネルを180°方向に取付ける場合の説明模式図(平面視)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
本形態に係るパネル取付構造は、間隔をおいて立設された円柱状の支柱1の相対向する側壁間に連続してパネル2が取付金具3を介して架設されており、支柱1には取付金具3をボルトにより取付けるための貫通孔11が穿設されており、取付金具3は固定部31とパネル取付部32とを備え、固定部31は前記支柱1の外径に対応した形状となされ、固定部31の略中央には前記支柱1の貫通孔11にボルトB1を貫通させて支柱1に取付ける四角形状の固定用孔33が形成されると共に、固定部31の一端のみからパネル取付部32が突設されている。
【0012】
なお、本実施形態においては支柱1が円柱状であるため、固定部31の形状も平面視で1/4円弧状となされている。勿論、支柱1の外形が角形であれば、それに対応するように固定部31を形成すればよく、支柱1の外形に合せて固定部31の形状を適宜形成すればよい。
【0013】
また前記取付金具3が支柱1に取付けられた状態において、支柱1に穿設された貫通孔11の方向Xとパネル取付部32の突設された方向Yとは略45°となされている。勿論、支柱1に穿設された貫通孔11の方向とパネル取付部32の突設された方向とは正確に45°になるのが好ましいが、通常ボルトB1と貫通孔11の遊び代があることから、略45°となされていればよい。
【0014】
そして、パネル取付部32の略中央には四角形状の金具側取付孔34が形成され、該金具側取付孔34の縁部35から水平に曲げ起こされた仮置き部36が設けられて、パネル2に形成されたパネル側取付孔21に前記仮置き部36を挿入し、ボルトB2を貫通させ締め込んでパネル2が支柱1に固定される。
【0015】
次にパネルの取付方法について説明する。
ボルトB1を取付金具3の固定部31に形成された固定用孔33に挿入し、支柱1の所定の位置に形成された貫通孔11に貫通して、支柱1に取付金具3を固定する。次いで、パネル取付部32の金具側取付孔34の縁部35に設けられた仮置き部36を、パネル2の所定の位置に形成されたパネル側取付孔21に挿入し、パネル2を仮置き部36に仮置きした状態で、ボルトB2をパネル側取付孔21と金具側取付孔33とに挿入し貫通させて、パネル2を取付金具3に固定する。
【0016】
次に本発明に係るパネル取付構造を有する実施形態の一例について説明する。
図3に示す本発明に係るパネル取付構造を備えた実施形態の一例は、マンションや店舗等に設置される自転車置場Jであり、手前側の左右に2本の支柱1a,1bが、奥側の左右と中央とに3本の支柱1c,1d,1eが配置され、手前側の左右の支柱1a、1bと奥側の支柱1c、1e上端部間にそれぞれ主梁4a、4bを架け渡して、この左右の主梁4a,4b間の手前側、中央、奥側にそれぞれ母屋5a,5b,5cが3本架け渡され、その上に屋根材6が取付けられている。
【0017】
そして、奥側の3本の支柱1c,1d,1e間には、2枚の背面パネル2(2a,2b)が180°方向(直線状)に、そのパネル2端部の上部及び下部においてそれぞれ2個の取付金具3,3を介して固定されており、また、手前側の左右の支柱1a、1bと奥側の左右の支柱1c、1eとの間には、それぞれ1枚ずつ側面パネル2(2c,2d)がそのパネル2端部の上部及び下部においてそれぞれ2個の取付金具3,3を介して固定されて、自転車置場Jが形成されている。つまり、2枚の背面パネル2(2a,2b)は180°方向に配置され、左側の背面パネル2aと左側の側面パネル2c、及び右側の背面パネル2bと右側の側面パネル2dとは90°方向に配置されている。
【0018】
支柱1に対して2枚のパネル2を90°方向に取付ける場合(2aと2c及び2bと2d)には、図4(a)に示されるように、パネル2の手前側において、2個の取付金具3のパネル取付部32が左右方向になる様に固定部31を重ね合せて、ボルトB1を取付金具3の固定用孔33と支柱1の貫通孔11とに貫通させて固着し、次いでなす角度が略90°となった各取付金具3のパネル取付部32にパネル2を取付ける。
【0019】
また支柱1に対して2枚のパネル2を180°方向に取付ける場合には、図4(b)に示されるように、1個の取付金具3をパネル2の手前側に配置し、もう1個の取付金具3をパネル2の奥側に配置して、ボルトB1を取付金具3の固定用孔33と支柱1の貫通孔11とに貫通させて固着し、次いでなす角度が180°となった各取付金具3のパネル取付部32にパネル2を取付ける。したがって、1種類の支柱1と取付金具3とを用いて、2枚のパネル2を支柱1に対して90°方向にも180°方向にも取付けることができるため、効率的に施工及び部材の在庫をすることができる。
【0020】
ここで、支柱1に穿設された貫通孔11について、上述の実施形態において貫通孔11は円形状となされているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔11を横長孔とすれば、横長孔の長さによって2枚のパネル2,2を設置する角度を90°以上に自在に調整することができると言った機能を付与することができ、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、1種類の支柱と取付金具とを用いて、2枚のパネルを支柱に対して90°方向にも180°方向にも取付けることができるため、効率的に施工及び部材の在庫をすることができるパネル取付構造に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 支柱
1a 支柱
1b 支柱
1c 支柱
1d 支柱
1e 支柱
11 貫通孔
2 パネル
2a 背面パネル
2b 背面パネル
2c 側面パネル
2d 側面パネル
21 パネル側取付孔
3 取付金具
31 固定部
32 パネル取付部
33 固定用孔
34 金具側取付孔
35 縁部
36 仮置き部
4a 主梁
4b 主梁
5a 母屋
5b 母屋
6 屋根材
B1,B2 ボルト
C 支柱の中心
X 支柱に穿設された貫通孔の方向
Y パネル取付部の突設された方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて立設された支柱に取付金具を介してパネルが架設されてなるパネル取付構造であって、支柱には取付金具をボルトにより取付けるための貫通孔が穿設されており、取付金具は固定部とパネル取付部とを備え、固定部は前記支柱の外径に対応した形状となされ、固定部の略中央には前記支柱の貫通孔にボルトを貫通させて支柱に取付ける固定用孔が形成されていると共に、固定部の一端のみからパネル取付部が突設されると共に、前記取付金具が支柱に取付けられた状態においては、前記支柱に穿設された貫通孔の方向とパネル取付部の突設された方向とは略45°となされていることを特徴とするパネル取付構造。
【請求項2】
前記パネル取付部には金具側取付孔が形成され、該金具側取付孔の縁部には仮置き部が設けられて、パネルに形成されたパネル側取付孔に前記仮置き部が挿入されて、パネルが支柱に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−149154(P2011−149154A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8975(P2010−8975)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)