説明

パネル接続金具

【課題】柔軟な空間の画成を可能とする、パネル接続金具及びこれを用いた間仕切パネルの接続方法・構造を提供する
【解決手段】固定部31cと接続部31eを平面視I字状に一体的に形成した基板31と、固定部31cと接続部31eとの間において基板31の両面に固設されたガイド片32・32とで、パネル接続金具30を構成する。前記ガイド片32の両側端部を基板に略直交する方向に起立してガイド面32aを形成し、前記固定部31c及び接続部31eのそれぞれにおいて、ガイド面32aよりも基板31の側辺側に、パネル11に形成した上下方向に長尺な係合溝33と係合する上下方向の切欠31a・31bを形成する。さらに、切欠31a・31bは、基板31の下辺に開口し、基板31の上下方向中途部まで切り欠いたものとして、切欠31のガイド面側縁を垂直面状とし、他側縁を斜面状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切パネル同士を接続するための接続金具、及び、この接続金具を用いた間仕切パネルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内空間を収納家具や間仕切壁にて区切ることにより、間取りを居住者の使いやすいように変更可能とする技術がある。例えば、特許文献1に示す技術である。
空間を間仕切る収納家具や間仕切壁は可動式とされ、空間の使用形態に応じて収納家具や間仕切壁等を移動して、空間を仕切り直すことができるものとされている。
このように、空間の間取りを変更することができるので、改築することなく生活に応じた間取りに変更したり、居住者が入れ替わる際にはその都度間取りを変更したりすることができるので長期耐用住宅に適しており、また、賃貸マンションに採用すればマンションとしての価値を高めることができる。さらに、特に、集合住宅等においては居住者に応じて各戸の仕様を変更する必要がなく、各戸を同一の間取りに構成することができる。
【0003】
前記間仕切壁は複数の間仕切パネルを連結して構成される。そのため、従来、間仕切パネルの連結構造に関する様々な技術が発明されている。
例えば、特許文献2に記載の技術であり、一方の壁パネルの側面に鉤状片を取り付け、他方の壁パネルの側面に嵌合溝を形成して、鉤状片を嵌合溝に嵌合させることによって壁パネル同士を連結している。この技術では、嵌合溝には、係合を密にするための段部が形成されており、鉤状片嵌合させる際に、鉤状片の移動に伴って段階的に係合が堅くなるようにしている。
また、例えば、特許文献3に記載の技術では、一つの接続金具を用いて、三枚の間仕切壁パネル同士をT字状に連結するための構造が公開されている。
【特許文献1】特開2001−241194号公報
【特許文献2】特開2000−129827号公報
【特許文献3】特開平8−189112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような間仕切パネルの立設・接続は、専門の技術を有する業者等によらず、居住者自身で行えることが好ましい。業者に依頼することにより費用が発生するため、一度間仕切壁により空間の画成を行うと、そのままになってしまいがちであり、可動である利点を発揮することができないためである。そのためには、間仕切壁の施工、すなわち、間仕切パネルの立設及び接続が簡易であり、且つ、施工の仕上がりに差ができないような構造であることが望まれる。
また、パネルは自在に接続できることが好ましい。例えば、平面視I字状やL字状やT字状の間仕切壁を形成するように間仕切パネルを接続したり、室内空間内部に間仕切壁の自由端を形成したりすることができれば、空間を自在に画成することが可能となる。そして、間仕切パネルを箱状に組んで間仕切壁に一体的な家具を形成したり、間仕切壁で空間の一部を仕切ったりすることが可能となる。
【0005】
本発明では、上記従来技術等に鑑み、居住空間の自由な利用を目指し、居住者のニーズに応じて簡易に変更できるようにして、柔軟な空間の画成を可能とする、パネル接続金具及びこれを用いた間仕切パネルの接続方法・構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、パネルとパネルを直線状に接合するための接続金具であって、一側を固定部、他側を接続部として、平面視I字状に形成した基板と、固定部と接続部との間の基板の両面に固設されたガイド片とで構成し、前記ガイド片の両側端部を基板に略直交する方向に起立して二つのガイド面を形成し、基板両側にパネルに形成した係合溝と係合する上下方向の切欠を前記ガイド面に沿って設けたものである。
【0008】
請求項2においては、パネルとパネルを直角方向に接合するための接続金具であって、略平面視L字状に形成した基板の一側を固定部、他側を接続部として、該固定部及び接続部のそれぞれに基板の両面にガイド片を固設し、前記ガイド片の一側端部を基板に略直交する方向に起立してガイド面を形成し、基板両側にパネルに形成した係合溝と係合する上下方向の切欠を前記ガイド面に沿って設けたものである。
【0009】
請求項3においては、パネルの一側端を壁見切に接合するための接続金具であって、略平面視L字状に形成した基板の一側を固定部、他側を接続部として、該接続部の基板の両面にガイド片を固設し、前記ガイド片の一側端部を基板に略直交する方向に起立してガイド面を形成し、前記固定部のガイド面に沿ってパネルに形成した係合溝と係合する上下方向の切欠を形成し、前記接続部にボルト孔を形成したものである。
【0010】
請求項4においては、前記切欠を、基板の下辺に開口し、基板の上下方向中途部まで切り欠いたものとするとともに、切欠のガイド面側縁を垂直面状、他側縁を斜面状として、切欠の幅を開口で最大としたものである。
【0011】
請求項5においては、前記切欠に係合するパネルに形成される係合溝を、上下方向に長尺な溝とし、上部の溝幅をパネル接続金具の基板の厚みより大きいものとし、下部の溝幅をパネル接続金具の基板の厚みと略等しいものとしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、パネル同士をI字状に接続することができる。パネルに設けられた係合溝に、接続金具の固定部又は接続部をガイド面がパネル側面に当接するまで挿入して、ガイド面がパネル側面に当接した状態を維持しながら接続金具を上下方向に移動させることによって、パネルに金具を係合させ、パネル同士を接続することができる。パネル同士の接続に際して、工具を要することがなく、接続作業が簡易である。
【0014】
請求項2においては、パネル同士をL字状に接続することができる。パネルに設けられた係合溝に、接続金具の固定部又は接続部をガイド面がパネル側面に当接するまで挿入して、ガイド面がパネル側面に当接した状態を維持しながら接続金具を上下方向に移動させることによって、パネルに金具を係合させ、パネル同士を接続することができる。パネル同士の接続に際して、工具を要することがなく、接続作業が簡易である。
【0015】
請求項3においては、パネルに壁見切等の部材を接続して、間仕切壁の自由端を自在に形成することができる。パネルに設けられた係合溝に、接続金具の固定部又は接続部をガイド面がパネル側面に当接するまで挿入して、ガイド面がパネル側面に当接した状態を維持しながら接続金具を上下方向に移動させることによって、パネルに金具を係合させることができ、接続金具のボルト孔を用いて壁見切等の部材と接続金具とを固定することができる。
【0016】
請求項4においては、係合溝において接続金具を下方向に移動させるに伴って、接続金具とパネルとの係合を密にすることができ、また、パネルを他方のパネルに近づけることができる。
【0017】
請求項5においては、係合溝に接続金具が挿入しやすく、また、係合溝において接続金具を下方向に移動させるに伴って、接続金具とパネルとの係合を密にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例に係る間仕切パネルの全体的な構成を示す側面断面図、図2は間仕切パネルの上部構造を示す側面断面図、図3は間仕切パネルの立設した状態における上部構造を示す側面断面図、図4は間仕切パネルの下部構造を示す側面断面図、図5は巾木を取り付けた間仕切パネルの下部構造を示す側面断面図である。
図6はI字接続用接続金具で間仕切パネル同士をI字状に接続した様子を示す平面断面図、図7はI字接続用接続金具を示す斜視図、図8はI字接続用接続金具を示す平面図、図9はI字接続用接続金具を示す正面図である。
図10は間仕切パネル側面に設けた係合溝を示す図、図11はI字接続用接続金具を用いたパネル接合の様子を示す斜視図である。
図12は間仕切パネル側面にI字接続用接続金具を固定した様子を示す図、図13はI字接続用接続金具に間仕切パネルを接続する様子を示す図、図14は間仕切パネル側面に間仕切パネルを接続する様子を示す図である。
図15は端部用接続金具で間仕切パネルと壁見切とを接続した様子を示す平面断面図、図16は端部用接続金具を示す正面図である。
図17はL字接続用接続金具で間仕切パネル同士をL字状に接続した様子を示す平面断面図、図18はL字接続用接続金具を示す平面図、図19は図18におけるB方向矢視図、図20は図18におけるA方向矢視図である。
図21はL字接続用接続金具と端部用接続金具とで間仕切パネル及び壁見切を接続して形成した間仕切壁のL字状接続部を示す平面断面図、図22はI字接続用接続金具とL字接続用接続金具とで間仕切パネル及び壁見切を接続して形成した間仕切壁のT字状接続部を示す平面断面図、図23はI字接続用接続金具とL字接続用接続金具とで間仕切パネル及び壁見切を接続して形成した間仕切壁の十字状接続部を示す平面断面図である。
【0019】
本発明の実施例に係る間仕切パネルの構造から説明する。
図1に示す如く、間仕切パネル11は天井レール12と床用ランナー13との間に配設される。間仕切パネル11の表裏に設けた化粧板21・21間において、間仕切パネル11の上端辺には天井レール12と係合する係合部15が設けられる。
天井レール12は天井面に固定され、この天井レール12の直下において、床用ランナー13が床に固定される。間仕切パネル11はその上端を天井レール12に係合させるとともに上方へ押し上げた状態で、床用ランナー13上に載置して、設置する。すなわち、間仕切パネル11は、天井と床との間に突っ張った状態に立設される。
そして、間仕切パネル11の下部には、間仕切パネル11の下部の保護を行うとともに床の収まりをよくするために、巾木固定部材19を介して巾木14が取り付けられる。
【0020】

図2及び図3に示す如く、前記係合部15は間仕切パネル11の上面を構成し、該係合部15には間仕切パネル11の上端辺において該間仕切パネル11へ上下方向に進退可能な突起部材23が設けられる。該突起部材23は弾性部材24によって上方へ突出する方向に付勢されている。
従って、間仕切パネル11を設置する際には、天井レール12に間仕切パネル11の突起部材23を係止させ、上方へ間仕切パネル11を押し上げると、弾性部材24が縮んで突起部材23がパネル内部に後退する。これにより、間仕切パネル11と自然長にある突起部材23と脚16とを合わせた上下高さが、天井高より大きくとも、天井レール12と床用ランナー13との間に立設される。また、間仕切パネル11を設置後は、弾性部材24により突起部材23が上方へ付勢されることにより、間仕切パネル11が天井レール12と床用ランナー13との間で上下方向に突っ張った状態に立設されることになる。
【0021】
一方、図4に示す如く、間仕切パネル11の表裏に設けた化粧板21・21間において、板状体の下端辺には下部フレーム42が設けられており、該下部フレーム42に床用ランナー13と係合する複数の脚16・16・・・が設けられている。
脚16には、長さ調節機構17が設けられている。前記下部フレーム42下面にナット42aが固設されて、ボルト孔が形成されている。このナット42aに、脚16を構成する螺子部17aが螺入されている。螺子部17aには操作用のナット17bが固設されており、該ナット17bを回転操作して螺子部17aを回転させることにより、脚16はパネル内部より上下方向に進退可能とされている。従って、間仕切パネル11を設置する際に、立設された間仕切パネル11の脚16を更に伸張させることにより、間仕切パネル11は天井レール12と床用ランナー13との間でより強固に突っ張った状態となる。
【0022】
また、図5に示す如く、間仕切パネル11の下面と床との間、すなわち、脚16によって形成された間仕切パネル11下面と床との間隙に、巾木固定部材19が嵌入される。巾木固定部材19は間仕切パネル11下辺と床用ランナー13とに係合するように形成されている。そして、巾木固定部材19に形成された溝に巾木14に形成された突起が嵌合され、間仕切パネル11下部に巾木14が固定される。
【0023】
上述の如く構成される間仕切パネル11は、複数枚を並設することによって、室内空間を間仕切ることができる。隣接する間仕切パネル11と間仕切パネル11は、接続金具30を用いて接続される。
接続金具30は、直線的に二枚の間仕切パネル11・11を接続するためのI字接続用接続金具30i(図6)、間仕切パネル11端部に設ける壁見切25と接続するための端部用接続金具30e(図15)、L字状に二枚の間仕切パネル11・11を接続するためのL字接続用接続金具30L(図17)の、各種類があり、間仕切パネル11の接続形態に応じて使い分ける。
【0024】
まず、接続金具30の一形態であるI字接続用接続金具30iについて説明する。
【0025】
図6乃至図9に示す如く、I字接続用接続金具30iは、固定用切欠31aと、接続用切欠31bとをそれぞれ形成した基板31と、該基板31の両面に固設されるU字状の補強ガイド片32・32とで構成される。
補強ガイド片32は、基板31に接合される部分と、該基板31に直交する方向に起立するガイド面32aとが形成される。補強ガイド片32を基板31に接合することで基板31の剛性を高めるとともに、ガイド面32aが間仕切パネル11の側面に当接することによって、固定時及び接続時のI字接続用接続金具30iの移動方向をガイドし、I字接続用接続金具30iの基板31の面方向及びこれに直行する方向の振れを抑制し、より安定した状態でI字接続用接続金具30iを間仕切パネル11に固定することができるようにしている。
【0026】
前記補強ガイド片32・32は、基板31の幅方向略中央に配置されており、該補強ガイド片32・32を介して基板31の一側がパネル固定部31cであり、他側がパネル接続部31eである。
【0027】
基板31のパネル固定部31cに形成される固定用切欠31aは、間仕切パネル11に接続金具30を固定するための切り欠きであり、基板31に設けられた補強ガイド片32のガイド面32aよりも基板31の側辺側の直ぐ側部において、基板31の下辺に開口し上方へ向かって基板31の上下方向略中心部近傍まで切り欠かれて、形成される。
固定用切欠31aは、その開口から基板31の上下方向略中心部へ向かって切り欠きの幅が狭くなるようにテーパーが設けられる。固定用切欠31aの補強ガイド片32側の縁は垂直面であり、他側の縁は補強ガイド片32側へ近づく斜面とされる。
【0028】
また、基板31のパネル接続部31eに形成される接続用切欠31bは、間仕切パネル11に取り付けられた接続金具30に、別の間仕切パネル11を接続するための切り欠きであり、補強ガイド片32を介して固定用切欠31aの反対側であって、基板31に設けられた補強ガイド片32のガイド面32aよりも基板31の側辺側の直ぐ側部に設けられる。
接続用切欠31bは、基板31の下辺に開口し上方へ向かって基板31の上下方向略中心部近傍まで切り欠かれており、その開口から基板31の上下方向略中心部へ向かって切り欠きの幅が狭くなるようにテーパーが設けられた挿入部xと、該挿入部xより奥部に切り欠きの幅が略一定となるように設けられた固定部yとが、連続して形成される。
接続用切欠31bの補強ガイド片32側の縁は垂直面であり、他側の縁は挿入部xでは補強ガイド片32側へ近づく斜面、固定部yでは垂直面である。これにより、接続用切欠31bの補強ガイド片32側と反対側の縁に沿って、接続用切欠31bを上方へ移動すれば、徐々に補強ガイド片32側へ引き寄せられることになる。
【0029】
図10及び図11に示す如く、間仕切パネル11の両側に設けられた化粧板21・21間に、側部フレーム34が設けられており、該側部フレーム34の側面には上下方向に複数の係合溝33・33・・・が形成される。
前記係合溝33は、上下方向を長手方向とする溝であり、その上部に接続金具30の基板31の厚さよりも幅の広い挿入部33aが設けられており、また、その下部に接続金具30の基板31の厚みと略等しい幅の固定部33cが設けられており、挿入部33aと固定部33cとの間にはテーパー部33bが形成される。
【0030】
また、図6にも示す如く、前記側部フレーム34には、係合溝33の両側方にパッキン36・36を固定するための溝35・35が形成されている。溝35は間仕切パネル11の上下間に亘って上下方向に延在しており、ここにパッキン36が挿入される。該パッキン36が、接続される間仕切パネル11と間仕切パネル11との間に介装されることによって、パネル間の間隙を閉塞するとともに、密閉性を高めて、間仕切パネル11により仕切られる空間と空間との間で音の漏れや気体の往来の抑制が図られる。
【0031】
続いて、パネルの接続手順について、説明する。
【0032】
上述の接続金具30を利用して間仕切パネル11・11を接続する際には、図12に示す如く、まず、既に立設されている間仕切パネル11の側面に、接続金具30を固定する。なお、接続金具30の数は間仕切パネル11の大きさに合わせて適宜調整する。
図11にも示す如く、I字接続用接続金具30iのパネル固定部31cを、補強ガイド片32のガイド面32aが側部フレーム34に当接するまで、係合溝33の挿入部33aに挿入し、接続金具30を下方へ押し下げて、間仕切パネル11に接続金具30を固定する。
係合溝33の挿入部33aは、接続金具30の基板31の厚みより幅の広い溝であり、接続金具30を容易に挿入することができる。そして、接続金具30を下方へ押し下げることで、接続金具30の基板31の固定用切欠31aが係合溝33を下方へ摺動し、固定部33cに至る。このとき、固定用切欠31aに形成されたテーパーによって、接続金具30は係合溝33を下方へ摺動するに伴って徐々に強固に固定されていく。
【0033】
そして、図13に示す如く、接続しようとする間仕切パネル11を既に立設されている間仕切パネル11の側方に仮立てし、接続しようとする間仕切パネル11の側面に設けられた係合溝33の挿入部33aに、既に立設されている間仕切パネル11の側面に固定されたI字接続用接続金具30iのパネル接続部31eを、補強ガイド片32のガイド面32aが側部フレーム34に当接するまで、係合溝33の挿入部33aに挿入する。
【0034】
最後に、図14に示す如く、接続しようとする間仕切パネル11の脚16に設けたアジャスタ17を操作して、該脚16を伸張させる。このとき、間仕切パネル11が上方へ押し上げられることになり、これに伴って接続しようとする間仕切パネル11の係合溝33が、各I字接続用接続金具30iに対して相対的に上昇することにより、I字接続用接続金具30iの基板31の接続用切欠31bが該係合溝33を下方へ摺動し、固定部33cに至る。また、接続用切欠31bに形成されたテーパーによって、I字接続用接続金具30iは係合溝33を下方へ摺動するに伴って徐々に強固に固定されるとともに、接続しようとする間仕切パネル11は既に立設されている間仕切パネル11側へ引き寄せられていく。
これにより、立設されている間仕切パネル11の側方に間仕切パネル11が接続される。
【0035】
次に、接続金具30の一形態である端部用接続金具30eについて説明する。
【0036】
図15及び図16に示す如く、端部用接続金具30eは間仕切パネル11の側面に壁見切25を接続するための接続金具30である。壁見切25を接続することによって、室内空間の所望の位置に間仕切壁の自由端を形成することができる。
端部用接続金具30eは、パネル固定部31cと見切接続部31dとが略直交するように平面視略L字状に一体的に設けられた基板31と、該基板31の両面に固設された平面視略L字状の補強ガイド片32・32とで構成されている。
【0037】
基板31のパネル固定部31cには固定用切欠31aが形成される。該固定用切欠31aは、間仕切パネル11に接続金具30を固定するための切り欠きであり、基板31に設けられた補強ガイド片32のガイド面32aよりも基板31の側辺側の直ぐ側部において、基板31の下辺に開口し、上方へ向かって基板31の上下方向略中心部近傍まで切り欠かれて、形成される。
固定用切欠31aは、その開口から基板31の上下方向略中心部へ向かって切り欠きの幅が狭くなるようにテーパーが設けられる。固定用切欠31aの補強ガイド片32側の縁は垂直面であり、他側の縁は補強ガイド片32側へ近づく斜面とされる。
【0038】
一方、基板31の見切接続部31dには、壁見切25と螺結するためのボルト孔が穿設されている。
【0039】
間仕切パネル11を壁見切25とを端部用接続金具30eにて接続する際には、まず、壁見切25の側面に端部用接続金具30eを固定する。端部用接続金具30eの基板31の見切接続部31dに設けられたボルト孔に接続用のボルトを螺入して、端部用接続金具30eの見切接続部31dと壁見切25の側面とを螺結し、端部用接続金具30eを壁見切25に固定する。
【0040】
続いて、壁見切25に固定された端部用接続金具30eのパネル固定部31cを、間仕切パネル11の側面に設けられた係合溝33の挿入部33aに、補強ガイド片32のガイド面32aが側部フレーム34に当接するまで挿入する。そして、壁見切25を端部用接続金具30eとともに押し下げ、端部用接続金具30eの固定用切欠31aを、間仕切パネル11側面の係合溝33の固定部33cに係合させる。このとき、端部用接続金具30eが下方へ移動するに伴い、係合溝33及び固定用切欠31aの形状により、徐々に間仕切パネル11側へ壁見切25が引き寄せられるとともに、強固に間仕切パネル11に端部用接続金具30eが固定される。
これにより、間仕切パネル11に壁見切25が接続される。
【0041】
次に、接続金具30の一形態であるL字接続用接続金具30Lについて説明する。
【0042】
図17乃至図20に示す如く、端部用接続金具30eは間仕切パネル11と間仕切パネル11とを略直交するよう(L字状)に接続するための接続金具30である。
L字接続用接続金具30Lは、パネル固定部31cとパネル接続部31eとが略直交するように平面視略L字状に一体的に設けられた基板31と、パネル固定部31cとパネル接続部31eのそれぞれにおいて該基板31の両面に固設された平面視略L字状の補強ガイド片32・32・・とで構成される。
【0043】
基板31のパネル固定部31cには固定用切欠31aが形成される。該固定用切欠31aは、間仕切パネル11に接続金具30を固定するための切り欠きであり、基板31に設けられた補強ガイド片32のガイド面32aよりも基板31の側辺側の直ぐ側部において、基板31の下辺に開口し、上方へ向かって基板31の上下方向略中心部近傍まで切り欠かれて、形成される。
固定用切欠31aは、その開口から基板31の上下方向略中心部へ向かって切り欠きの幅が狭くなるようにテーパーが設けられる。固定用切欠31aの補強ガイド片32側の縁は垂直面であり、他側の縁は補強ガイド片32側へ近づく斜面とされる。
【0044】
基板31のパネル接続部31eには接続用切欠31bが形成される。接続用切欠31bは、間仕切パネル11に取り付けられた端部用接続金具30eに、別の間仕切パネル11を接続するための切り欠きであり、基板31のパネル接続部31eに設けられた補強ガイド片32のガイド面32aよりも基板31の側辺側の直ぐ側部に設けられる。
接続用切欠31bは、基板31の下辺に開口し上方へ向かって基板31の上下方向略中心部近傍まで切り欠かれており、その開口から基板31の上下方向略中心部へ向かって切り欠きの幅が狭くなるようにテーパーが設けられた挿入部xと、該挿入部xより奥部に切り欠きの幅が略一定となるように設けられた固定部yとが、連続して形成される。
接続用切欠31bの補強ガイド片32側の縁は垂直面であり、他側の縁は挿入部xでは補強ガイド片32側へ近づく斜面、固定部yでは垂直面である。これにより、接続用切欠31bの補強ガイド片32側と反対側の縁に沿って、接続用切欠31bを上方へ移動すれば、徐々に補強ガイド片32側へ引き寄せられることになる。
【0045】
間仕切パネル11と間仕切パネル11とをL字接続用接続金具30Lにて接続する手順は、間仕切パネル11と間仕切パネル11とをL字接続用接続金具30Lと略同様であるので説明を省略する。
【0046】
上述のL字接続用接続金具30Lと端部用接続金具30eとを併用することにより、図21に示す如く、二枚の間仕切パネル11・11を平面視L字状に接続し、二枚の間仕切パネル11・11により形成される角部に壁見切25を設けることができる。
既に立設されている間仕切パネル11の側面に設けられた複数の係合溝33・33・・・のうち、一部の係合溝33に端部用接続金具30eを固定して間仕切パネル11に壁見切25を接続し、他の一部の係合溝33にL字接続用接続金具30Lを固定して間仕切パネル11を接続するのである。このようにして、一枚の間仕切パネル11の一側の側面に、直線方向へ壁見切25を、直交する方向へ間仕切パネル11・11を接続することができる。
【0047】
また、上述のL字接続用接続金具30LとI字接続用接続金具30iとを併用することにより、図22に示す如く、三枚の間仕切パネル11・11・11を平面視T字状に接続することができる。
既に立設されている間仕切パネル11の側面に設けられた複数の係合溝33・33・・・のうち、一部の係合溝33をI字接続に利用し、他の一部の係合溝33をL字接続に利用することにより、一枚の間仕切パネル11の一側の側面に、直線方向及び直交する方向の両方向へ間仕切パネル11・11を接続することができる。
【0048】
さらに、上述のL字接続用接続金具30LとI字接続用接続金具30iとを併用することにより、図23に示す如く、四枚の間仕切パネル11・11・・を平面視十字状に接続することができる。
既に立設されている間仕切パネル11の側面に設けられた複数の係合溝33・33・・・のうち、一部の係合溝33をI字接続に利用し、他の一部の係合溝33をL字接続に利用することにより、一枚の間仕切パネル11の一側の側面に、直線方向及び直交する方向の両方向へ間仕切パネル11・11を接続することができる。
【0049】
上述の如く、本発明に係る間仕切パネルの接続構造では、I字接続用接続金具30iと、端部用接続金具30eと、L字接続用接続金具30Lとの、三種類の接続金具30を利用することによって、平面視I字状、L字状、T字状又は十字状に間仕切パネル同士又は間仕切パネルと壁見切とを接続することができる。いずれの接続形態においても、間仕切パネルは同一のものであり、また、その接続作業も接続形態によらず略同一であり、簡易な作業である。特に、L字状接続やI字状接続に際しては、工具を必要としないため、より簡易である。
【0050】
従って、本実施例に係る間仕切パネル11の立設作業、接続作業とも、作業が簡易であり、専門の技術を要することなく、間仕切パネル11を移動したり、着脱したりすることができる。
しかも、接続金具30の形態を選択することにより、略同様の接続手順にて、間仕切パネル11の様々な接続形態に対応することができる。従って、間仕切パネル11の接続作業の仕上がりを均一化させることができ、品質の安定を図ることができる。また、どのような接続形態であっても間仕切パネル11は同一のものを使用することで部材を汎用化させることができ、比較的安価な接続金具30にバリエーションを設けることで、コストの低減を図ることができる。
【0051】
また、間仕切パネル11では、空間を完全に仕切るだけではなく、壁見切25を間仕切パネル11に接続することで、空間内部において間仕切壁の自由端を形成することができるので、間仕切パネル11を組み合わせることによって家具を形成したり、間仕切パネル11に開口部や扉を設けたりすることによって、空間を連通させる開口を形成することができる。
【0052】
また、間仕切パネル11は天井と床との間に突っ張った形で立設されており、天井と間仕切パネル11との間には天井レール12が、床と間仕切パネル11との間には巾木14及び床用ランナー13が設けられ、間仕切パネル11間にはパッキン36が介装される。これらにより、立て付けの壁と同程度の、遮音性・断熱性・強度を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例に係る間仕切パネルの全体的な構成を示す側面断面図。
【図2】間仕切パネルの上部構造を示す側面断面図。
【図3】間仕切パネルの立設した状態における上部構造を示す側面断面図。
【図4】間仕切パネルの下部構造を示す側面断面図。
【図5】巾木を取り付けた間仕切パネルの下部構造を示す側面断面図。
【図6】I字接続用接続金具で間仕切パネル同士をI字状に接続した様子を示す平面断面図。
【図7】I字接続用接続金具を示す斜視図。
【図8】I字接続用接続金具を示す平面図。
【図9】I字接続用接続金具を示す正面図。
【図10】間仕切パネル側面に設けた係合溝を示す図。
【図11】I字接続用接続金具を用いたパネル接合の様子を示す斜視図。
【図12】間仕切パネル側面にI字接続用接続金具を固定した様子を示す図。
【図13】I字接続用接続金具に間仕切パネルを接続する様子を示す図。
【図14】間仕切パネル側面に間仕切パネルを接続する様子を示す図。
【図15】端部用接続金具で間仕切パネルと壁見切とを接続した様子を示す平面断面図。
【図16】端部用接続金具を示す正面図。
【図17】L字接続用接続金具で間仕切パネル同士をL字状に接続した様子を示す平面断面図。
【図18】L字接続用接続金具を示す平面図。
【図19】図18におけるB方向矢視図。
【図20】図18におけるA方向矢視図。
【図21】L字接続用接続金具と端部用接続金具とで間仕切パネル及び壁見切を接続して形成した間仕切壁のL字状接続部を示す平面断面図。
【図22】I字接続用接続金具とL字接続用接続金具とで間仕切パネル及び壁見切を接続して形成した間仕切壁のT字状接続部を示す平面断面図。
【図23】I字接続用接続金具とL字接続用接続金具とで間仕切パネル及び壁見切を接続して形成した間仕切壁の十字状接続部を示す平面断面図。
【符号の説明】
【0054】
11 間仕切パネル
12 天井レール
13 床用ランナー
14 巾木
25 壁見切
30 接続金具
30i I字接続用接続金具
30e 端部用接続金具
30L L字接続用接続金具
31 基板
31a 固定用切欠
31b 接続用切欠
31c パネル固定部
31d 見切接続部
31e パネル接続部
32 補強ガイド片
33 係合溝
34 側部フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルとパネルを直線状に接合するための接続金具であって、
一側を固定部、他側を接続部として、平面視I字状に形成した基板と、固定部と接続部との間の基板の両面に固設されたガイド片とで構成し、
前記ガイド片の両側端部を基板に略直交する方向に起立して二つのガイド面を形成し、
基板両側にパネルに形成した係合溝と係合する上下方向の切欠を前記ガイド面に沿って設けた
ことを特徴とするパネル接続金具。
【請求項2】
パネルとパネルを直角方向に接合するための接続金具であって、
略平面視L字状に形成した基板の一側を固定部、他側を接続部として、該固定部及び接続部のそれぞれに基板の両面にガイド片を固設し、
前記ガイド片の一側端部を基板に略直交する方向に起立してガイド面を形成し、
基板両側にパネルに形成した係合溝と係合する上下方向の切欠を前記ガイド面に沿って設けた
ことを特徴とするパネル接続金具。
【請求項3】
パネルの一側端を壁見切に接合するための接続金具であって、
略平面視L字状に形成した基板の一側を固定部、他側を接続部として、該接続部の基板の両面にガイド片を固設し、
前記ガイド片の一側端部を基板に略直交する方向に起立してガイド面を形成し、
前記固定部のガイド面に沿ってパネルに形成した係合溝と係合する上下方向の切欠を形成し、
前記接続部にボルト孔を形成した
ことを特徴とするパネル接続金具。
【請求項4】
前記切欠を、
基板の下辺に開口し、基板の上下方向中途部まで切り欠いたものとするとともに、
切欠のガイド面側縁を垂直面状、他側縁を斜面状として、切欠の幅を開口で最大とした、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパネル接続金具。
【請求項5】
前記切欠に係合するパネルに形成される係合溝を、上下方向に長尺な溝とし、
上部の溝幅をパネル接続金具の基板の厚みより大きいものとし、
下部の溝幅をパネル接続金具の基板の厚みと略等しいものとした、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパネル接続金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−37639(P2006−37639A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222333(P2004−222333)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(593121634)双葉実業株式会社 (12)