パルス管冷凍機
【課題】 パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させること。
【解決手段】 蓄冷器9に接続され発熱を伴う高温端部11aを有するパルス管11を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁11cdを該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段30が、前記パルス管冷凍機の圧力源1から流出し前記蓄冷器9に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁11cdを冷却するパルス管冷凍機。
【解決手段】 蓄冷器9に接続され発熱を伴う高温端部11aを有するパルス管11を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁11cdを該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段30が、前記パルス管冷凍機の圧力源1から流出し前記蓄冷器9に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁11cdを冷却するパルス管冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパルス管冷凍機(特開平8−271071)は、図14に示されるように、圧力振動源101の高圧ポート108aが、主切換弁111に接続され、主切換弁111のポート111hは放熱器通路112を介して蓄冷器103、吸熱器104、パルス管105に連通している。パルス管105の温端部105cは流量調整手段122を介して、管体状の第1伝熱管116、位相調整切換弁106のポート106pに接続している。位相調整切換弁106は、圧力振動源101の高圧ポート108aと低圧ポート108bに接続している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のパルス管冷凍機では、冷媒が位相調整切換弁106から流量調整手段122を通ってパルス管105の温端部105cに流入するとパルス管105内で断熱圧縮され、パルス管内のガス温度が高くなり、パルス管105の壁の温度も、パルス管105の温端部105cからパルス管の長手方向の中央部あたりまで約120℃になるため、パルス管105の低温端部には、パルス管105内の温度の高いガスからの熱と、パルス管105の壁からの伝導による熱が侵入し、冷凍能力が低下するという問題があった。
【0004】
また、熱交換器Aの放熱器102は、主切換弁111と蓄冷器103の間に設けられているため、死容積が増大し、冷凍機の冷凍能力が低下するという問題があった。
【0005】
そこで本発明者は、パルス管105の低温端部に侵入する熱を少なくすること、熱交換器Aの放熱器102の死容積をなくするという技術的知見に着目して、蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却するという本発明の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという目的を達成する本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパルス管冷凍機は、
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、
前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備えている
ものである。
【0007】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0008】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、大気によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0009】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源から流出し前記蓄冷器に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0010】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源の吐出口と該圧力源の前記吐出口に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0011】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、前記蓄冷器から圧力源に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0012】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、切換弁の低圧出口と圧力源の吸入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0013】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、別置の圧縮機からの冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0014】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源の吐出側と該圧力源の前記吐出側に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却する
ものである。
【0015】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却する
ものである。
【0016】
本発明(請求項1に記載の第1発明)のパルス管冷凍機は、
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、
前記パルス管の高温側を該パルス管の高温側の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備え、
前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間にラジエターを設け、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ものである。
【0017】
本発明(請求項2に記載の第2発明)のパルス管冷凍機は、
前記第1発明において、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側の管壁を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ものである。
【0018】
本発明(請求項3に記載の第3発明)のパルス管冷凍機は、
前記第1発明または前記第2発明において
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するとともに、
前記放熱器を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【0019】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管壁によって構成されている
ものである。
【0020】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記大気中に設けられた前記パルス管高温側の管の外側面にフィンを設けた
ものである。
【0021】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記パルス管の高温側の管壁に強制的に空気を供給する
ものである。
【0022】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管を熱伝導の良好な部材によって構成するとともに、
真空槽内に設けた前記パルス管の低温側の管を熱伝導の悪い部材によって構成し、
前記パルス管の高温側の管と前記パルス管の低温側の管を接合した
ものである。
【0023】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記パルス管の高温側の管壁に伝導部材を熱接触させ、前記伝導部材の他端を前記パルス管の高温側の管壁温度より低い冷却源に熱接触させる
ものである。
【0024】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却源を、前記冷凍機の真空槽によって構成した
ものである。
【発明の効果】
【0025】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記冷却手段によって、前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0026】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記パルス管の高温側の管壁温度が低くなるため、パルス管低温端に伝導熱で侵入する熱が少なくなるとともに、パルス管の高温側の内壁に接した部分の冷媒ガスも冷却されるので、冷媒ガスの移動によってパルス管低温端に侵入する熱も少なくなる結果、冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0027】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、大気によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0028】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源から流出し前記蓄冷器に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、位相調整器からパルス管の方向に冷媒が流れる時、パルス管高温側のガス温度が高くなり、前記圧力源から流出し、前記蓄冷器に流入するタイミングとほぼ同期して、前記位相調整器から前記パルス管の方向に冷媒が流れるので、前記パルス管の高温側の管壁および該管壁を介してパルス管の高温側の冷媒を効果的に冷却することにより、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0029】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源の吐出口と該圧力源の前記吐出口に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記パルス管の高温側の管壁と、また壁を介してパルス管高温側を冷却するとともに、前記圧力源の吐出口と前記切換弁の流入側の間を流れる冷媒で冷却するため、前記圧力源の吐出口の冷媒でパルス管高温側を冷却しても、前記切換弁と前記蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0030】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、前記蓄冷器から圧力源に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、パルス管高温側を冷却するタイミングは、前記第4発明と比べると約180度ずれているが、前記圧力源に流入する冷媒は、前記蓄冷器高温側から流出してきた冷媒であるので蓄冷器高温側に流入する冷媒より低い温度であるため、パルス管高温側の管壁を冷却する冷媒の温度が低いことから、パルス管の管壁が厚い場合は、パルス管の熱容量が大きくなり管壁の蓄熱効果によってタイミングのずれの影響が少なくなるので、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0031】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、切換弁の低圧出口と圧力源の吸入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記パルス管の高温側の管壁と、また壁を介してパルス管高温側の冷却の作用は、前記第6発明と同様であるが、前記圧力源の吸入パルス管と前記切換弁の低圧出口の間を流れる冷媒で冷却するため、圧力源の吸入口の冷媒でパルス管高温側を冷却しても、切換弁と蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないため、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0032】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、別置の圧縮機からの冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記圧力源の冷媒によるパルス管高温側の冷却する時に伴う冷媒の圧力損失、温度上昇がなくなり、パルス管高温側を冷却することが出来るため、パルス管冷凍機の冷凍能力を最も良好に増大させるという効果を奏する。
【0033】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源の吐出側と該圧力源の前記吐出側に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するので、パルス管の高温側の管壁と、また壁を介してパルス管高温側の冷却の作用は、前記第4発明と同様であるが、圧力源の吐出口と切換弁の流入側の間を流れる冷媒で冷却するため、圧力源の吐出口の冷媒で放熱器を冷却することにより、切換弁と蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないため、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0034】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するので、圧力源の吸入口と切換弁の出口側の間を流れる冷媒で冷却するため、圧力源の吸入口の冷媒で放熱器を冷却することにより、切換弁と蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないため、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0035】
上記構成より成る第1発明のパルス管冷凍機は、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間に設けた前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0036】
上記構成より成る第2発明のパルス管冷凍機は、前記第1発明において、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するとともに、前記パルス管の高温側の管壁を冷却した冷媒を圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間に設けた前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0037】
上記構成より成る第3発明のパルス管冷凍機は、前記第1発明または前記第2発明において、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するとともに、前記放熱器を冷却した冷媒を圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間に設けた前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0038】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管壁によって構成されているので、前記パルス管の高温側の管壁を空気で冷却することにより、前記パルス管の高温側の管壁温度が低くなるため、パルス管低温端に伝導熱で侵入する熱が少なくなり、またパルス管の高温側の内壁に接した部分の冷媒ガスも冷却されるので、冷媒ガスの移動によってパルス管低温端に侵入する熱も少なくなることにより、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0039】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記大気中に設けられた前記パルス管高温側の管の外側面にフィンを設けたので、前記パルス管の冷却面積を増大させ、空気による冷却量の増大を図ることによって、前記パルス管の高温側管壁の温度が低くなり、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0040】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記パルス管の高温側の管壁に強制的に空気を供給するので、前記パルス管の高温側の管壁を冷却する空気の熱伝達を良好にして、空気による冷却量の増大を図ることによって、パルス管の高温側管壁の温度が低くなり、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0041】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、大気中に設けられ熱伝導の良好な部材によって構成された前記パルス管の高温側の管と真空槽内に設けた前記パルス管の低温側の管を熱伝導の悪い部材によって構成された前記パルス管の低温側の管を接合したので、大気中に設けた前記パルス管高温側の管の径方向の熱伝導が良好になることにより、前記パルス管高温側の内周面と外周面の温度差は小さくなるとともに、内周面に接した冷媒の温度が低くなり、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0042】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記パルス管の高温側の管壁に伝導部材を熱接触させ、前記伝導部材の他端を前記パルス管の高温側の管壁温度より低い冷却源に熱接触させるので、前記パルス管の高温側の管壁を熱伝導によって冷却して、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0043】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却源を、前記冷凍機の真空槽によって構成したので、パルス管高温側の管から伝導部材を通って真空槽に入った熱は、真空槽外周面で大気に放熱され、パルス管高温側の管壁が冷却されることによって、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図2】本発明の第2実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図3】本発明の第3実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図4】本発明の第4実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図5】本発明の第5実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例のパルス管における低温側と高温側のPV線図を示す。
【図7】本発明の第6実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図8】本発明の第7実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図9】本発明の第8実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図10】本発明の第9実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図11】本発明の第10実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図12】本発明の第11実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図13】本発明の実施例における位相調整器の4個の具体例を示す回路図である。
【図14】従来のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0046】
本第1実施例のパルス管冷凍機は、図1に示されるように蓄冷器9に接続され発熱を伴う高温端部11aを有するパルス管11を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁11cdを該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段30が、前記パルス管冷凍機の圧力源1から流出し前記蓄冷器9に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁11cdを冷却するものである。
【0047】
本第1実施例は、前記第2発明、第4発明、第5発明、第9発明、第10発明に属する実施例であり、前記圧力源1の吐出口1aは、順次、流路2、流路3、流路4、流路5、流路6を介して切換弁7の高圧入口7aに連通している。前記圧力源1の吸入口1bは、流路18を介して前記切換弁7の低圧出口7bに連通している。
【0048】
前記冷却手段30を構成する前記流路3は、図1に示されるように前記パルス管11の常温より温度の高い管壁11dから高温端近傍11cの間のパルス管高温側11cdの外壁を冷却するように熱接触するようにパルス管高温側11cdの外壁に当接させて配設されている。
【0049】
前記冷却手段30を構成する前記流路5は、前記パルス管11の高温端11aに配設された放熱器12の内を流動する冷媒と熱交換するように放熱器12の外周面に熱接触するように放熱器12の外壁に当接させて配設されている。
【0050】
切換弁7のポート7cは、前記圧力源1から蓄冷器9に冷媒が流れる時は、高圧入口7aに連通し、前記蓄冷器9から前記圧力源1に冷媒が流れる時には、低圧出口7bに連通するように切換制御されている。
【0051】
前記蓄冷器9には金網等の蓄冷材9cが充填されている。ポート7cは、流路8を介して蓄冷器9の高温端9aに連通し、蓄冷器9の低温端9bは、流路10を介してパルス管11の低温端11bに連通している。
【0052】
前記パルス管11の高温端11aは、前記放熱器12および前記流路13を介して位相調整器14に連通している。15は真空槽で、内部は真空状態に維持されている。このようにしてパルス管冷凍機が構成されている。
【0053】
前記圧力源1において圧縮された冷媒は、圧縮機用冷却機100によって冷却されている。
図6は、本第1実施例におけるパルス管低温側と高温側のPV線図を示している。
【0054】
上記構成より成る本第1実施例のパルス管冷凍機の作動について、以下に述べる。
(圧縮過程I)
切換弁7のポート7cと高圧入口7a及び低圧出口7bが共に連通してない状態の圧縮過程Ia(図6)では、位相調整器14から流路13、放熱器12を通ってパルス管11の高温端11aに冷媒が流れ、パルス管内の圧力は低圧からほぼ中間の圧力になり、冷媒の温度も上昇する。
【0055】
前記切換弁7の高圧入口7aとポート7cが連通している状態の圧縮過程Ib(図6)では、圧力源1の高圧口1aから流出する高圧の冷媒は、順次、流路2、流路3、流路4、流路5、流路6、切換弁7、蓄冷器9、流路10を通ってパルス管11の低温端11bに流入し、一方位相調整器14の冷媒は、流路13、放熱器12を通って冷媒がパルス管11の高温端11aに流入し、その結果、パルス管11内の冷媒はほぼ中間の圧力からさらに圧縮され略高圧になり、パルス管内の冷媒温度も更に上昇する。
圧縮過程Iaと圧縮過程Ibが圧縮過程Iを形成する。
【0056】
(略等圧過程II)
前記圧縮過程Iの後、前記切換弁7の高圧入口7aとポート7cが連通している状態の略等圧過程II(図6)では、圧力源1から切換弁7は、蓄冷器9、流路10を通ってパルス管11の低温端11bに冷媒が流れ、一方、位相調整器には、パルス管高温端11aから放熱器12、流路13を通って冷媒が流れ込み、圧力も圧縮過程Iの終わりの圧力より僅か高くなり、温度も圧縮過程Iの終わりの温度より僅か高くなる。
【0057】
(膨張過程III )
前記切換弁7の高圧入口7a、低圧出口7bが共にポート7cと連通してない状態の膨張過程III a(図6)では、パルス管11内の冷媒の一部がパルス管11の高温端11aから放熱器12、流路13を通って位相調整器14に流れ、圧力がほぼ中間の圧力まで低下し、パルス管11内の冷媒温度も低下する。
【0058】
前記切換弁7の低圧出口7bが共にポート7cと連通している状態の膨張過程III b(図6)は、パルス管低温端から流路10、蓄冷器9、切換弁7、流路8を通って圧力源1の低圧側に冷媒が流入し、一方位相調整器14には、パルス管11の高温端11aから放熱器12、流路13を通って冷媒が流れ込み、圧力は略中間圧から略低圧力まで低下し、パルス管11内の冷媒温度も更に低下する。膨張過程III は、上記の膨張過程III aとIII bとから形成される。
【0059】
(略等圧過程IV)
前記膨張過程III の後、切換弁7の低圧出口7bが共にポート7cと連通している状態の略等圧過程IVでは、パルス管低温端11bから流路10、蓄冷器9、流路8、切換弁7、流路8を通って圧力源1の吸入側に低圧の冷媒が流れ、一方、パルス管11の高温端11aから放熱器12、流路13を通って、位相調整器14にも低圧の冷媒が流れ、膨張過程III の終わりの圧力より僅か低い圧力となり、パルス管11内の冷媒温度も僅か低下する。
【0060】
前述した略等圧過程IIと膨張過程III で、パルス管11内の冷媒は仕事(L1)をなし、略等圧過程IVと圧縮過程Iで、パルス管11内の冷媒は仕事(L2)を受ける。仕事(L1)と仕事(L2)の差がパルス管低温側で発生する冷凍量(Qi)である。
【0061】
流路3cを流れている冷媒は、パルス管高温側11cdの管壁を冷却し、パルス管高温側11cdの管壁は、パルス管高温側11cdbの内壁に接している近傍の冷媒から熱を奪い冷媒の温度を下げる。
【0062】
この結果、パルス管壁を伝わりパルス管低温側に侵入する熱伝導による熱損失と、パルス管内に接した近傍の往復流動によってパルス管11の低温側に侵入する熱損失が小さくなるので、パルス管低温側で発生する冷凍量Qiから差引かれる熱が少なくなるので、利用出来る冷凍量が増え、パルス管冷凍機の冷凍能力は増大する。
【0063】
前述したパルス管低温側から流れ込む冷媒でパルス管11内の冷媒は、パルス管高温端11aから放熱器12、流路13を通って位相調節器14に流れるパルス管11内の冷媒は、放熱器12を流れる際、流路5を流れる冷媒によって冷却される。流路5は、切換弁7と圧力源1の間に設けてあるので、流路8、蓄冷器9、流路10、パルス管11、放熱器12、流路13の死容積を増大させることがないため、冷凍能力の低下が少ない。
【実施例2】
【0064】
本第2実施例のパルス管冷凍機は、前記第2発明、第4発明、第5発明、第9発明、第10発明に属する他の実施例で、図2に示されるように圧力源1の吐出口1aと切換弁7の高圧入口7aの間の回路が図1に示される前記第1実施例と異なり主回路と分岐回路から構成されているものである。
【0065】
前記主回路は、圧力源1の吐出口1aが、流路2a、流量調整弁19、流路2b、切換弁7の高圧入口7aに連通している。前記分岐回路は、流路2aから分岐して、流路2c、流量調整弁20、流路2d、流路3、流路4、流路5、流路6を介して、流路2bに合流する。流路3、流路5は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12の外周面に熱接触している。
【0066】
前記流量調整弁19および流量調整弁20は、分岐回路に流れる冷媒量を調整するために設けたものであり、流路2c、流路2d、流路3、流路4、流路5、流路6の流路抵抗によっては、流量調整弁19、流量調整弁20の両方、あるいはいずれかを設けなくても良い。その他の構成は、図1に示される前記第1実施例と同様である。
【0067】
上記構成より成る本第2実施例のパルス管冷凍機は、パルス管11の冷却と放熱器12の冷却の作用が、前記第1実施例と同様であり、蓄冷器12に流れる流量が多い場合、あるいは流路3、流路5の流路抵抗が大きい場合、流路3と流路5での圧力損失が小さく出来るので、圧力損失による冷凍能力の低下が小さいという利点を有する。
【実施例3】
【0068】
本第3実施例のパルス管冷凍機は、前記第2発明に属する実施例で、図3に示されるようには圧力源1の吐出口1aから流出する冷媒の一部が、パルス管高温側11cdの管壁と放熱器12を冷却し、蓄冷器9には流れず、圧力源1の吸入口1bに戻る。
【0069】
即ち、圧力源1の吐出口1aは、流路2a、流量調整弁19、流路2b、切換弁7の高圧入口7aに連通している。流路2aから分岐して、流路32、流路33、流路34、流路35、流路36、流量調整弁20、流路37を介して圧力源1の吸入口1bに連通している。流路33、流路35は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12の外周面に熱接触している。
【0070】
前記流量調整弁19および流量調整弁20は、流路2a、流路32に流れる冷媒量を調整するために設けたものであり、流路32、流路33、流路34、流路35、流路36、流路37、の流路抵抗によっては、流量調整弁19、流量調整弁20の両方、あるいはいずれかを設けなくても良い。その他の構成は、前記第1実施例と同様である。
【0071】
本第3実施例は、流路33、流路35には、圧力源1の吐出口1aから流出する冷媒の一部が、連続して流れているので、パルス管冷凍サイクルの全過程(圧縮過程I、略等圧過程II、膨張過程III 、略等圧過程IV)でパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12を間欠なく冷却しているため、圧力源1の流量は多くなるが、冷凍能力は前記第1実施例より大きくなる。
【実施例4】
【0072】
本第4実施例のパルス管冷凍機は、前記第8発明に属する実施例で、図4に示されるように圧力源1とは異なる別の圧力源41の吐出口41aから流出する冷媒でパルス管11の高温側11cdの管壁、放熱器12を冷却することを特徴とするものである。
【0073】
即ち、圧力源41の吐出口41aは、流路42、流路43、流路44、流路45、流路46を介して圧力源41の吸入口41bに連通しており、流路43、流路45は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12に熱接触している。
【0074】
前記圧力源1の吐出口1aは、流路2a、切換弁7の高圧入口7aに連通している。その他の構成は図1に示される前記第1実施例と同様である。
【0075】
本第4実施例は、流路43、流路45には、圧力源41の吐出側41aから流出する冷媒が、連続して流れているので、パルス管冷凍サイクルの全過程(圧縮過程I、略等圧過程II、膨張過程III 、略等圧過程IV)でパルス管11の高温側11cdの管壁を冷却しているので、圧力源41を新たに設けなければならないが、パルス管11の低温側の冷凍能力は前記第1実施例より大きい。
【実施例5】
【0076】
本第5実施例のパルス管冷凍機は、前記第6発明、第7発明、第11発明、第11発明に属する実施例で、図5に示されるように切換弁7の低圧出口7bと前記圧力源1の吸入口1bの間を流れる冷媒で冷却することを特徴とするものである。
【0077】
即ち、切換弁7の低圧出口7bは、流路52、流路53、流路54、流路55、流路56、ファン59により送風されているラジエター57、流路58を介して、圧力源1の吸入口1bに連通しており、流路53、流路55は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12に熱接触している。
【0078】
圧力源1の吐出口1aは、流路2a、切換弁7の高圧入口7aに連通している。その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0079】
本第5実施例は、蓄冷器9から切換弁7の低圧出口7b、流路52を通って流路53に流入する冷媒は、そこで、パルス管11の高温側11cdの管壁を冷却し、流路54を通って流路55に流入し、そこで放熱器12内で位相調整器14とパルス管11の間を流動する冷媒を冷却するため、パルス管壁を伝わりパルス管低温側に侵入する熱伝導による熱損失と、パルス管内に接した近傍の冷媒の往復流動によってパルス管11の低温側に侵入する熱損失が小さくなるので、冷凍能力は増大する。
【0080】
パルス管高温側を冷却するタイミングは、前記第5発明の場合と比べると約180度ずれるが、圧力源に流入する冷媒は、蓄冷器高温端から流出してきた冷媒であるので蓄冷器高温端に流入する冷媒より低い温度であるので、パルス管高温側を冷却する冷媒の温度が低いことが特徴である。
【0081】
この場合、パルス管高温側を冷却するタイミングは、前記第5発明に対し約180度ずれるのでタイミング的には前記第5発明に属する実施例の方が優れているが、パルス管11の管壁が厚い場合は、熱容量が大きくなり管壁の蓄熱効果によってタイミングのずれの影響が少なくなるので、冷凍能力が増大する。
【実施例6】
【0082】
本第6実施例のパルス管冷凍機は、図7に示されるように蓄冷器9に接続され発熱を伴う高温端部11aを有するパルス管11を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段30が、大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管壁11cdによって構成されているものである。
【0083】
圧力源1の吐出口1aは、流路2を介して切換弁7の高圧入口7aに連通している。圧力源1の吸入口1bは、流路18を介して切換弁7の低圧出口7bに連通している。切換弁7のポート7cは、圧力源1から蓄冷器9に冷媒が流れる時は、高圧入口7aに連通し、蓄冷器9から圧力源1に冷媒が流れる時には、低圧出口7bに連通するようにしてある。
【0084】
蓄冷器9には金網等の蓄冷材9cが充填されている。ポート7cは、流路8を介して蓄冷器9の高温端9aに連通し、蓄冷器9の低温端9bは、流路10を介してパルス管11の低温端11bに連通している。パルス管11の高温端11aは放熱器12、流路13を介して位相調整器14に連通している。
【0085】
前記冷却手段30を構成する前記パルス管11の高温側11cdは、真空槽15の外側の大気中に設けてあり、低温側11deは、真空槽内に設けてある。真空槽15の内部は真空状態である。
【0086】
前記圧力源1で圧縮された冷媒は圧縮機用冷却器100で冷却されている。本第6実施例のパルス管冷凍機は、上述のようにしてパルス管冷凍機が構成され、パルス管の低温側と高温側のPV線図は、第1実施例と同様に図6に示されるものである。
【0087】
上記構成より成る本第6実施例のパルス管冷凍機の作動は、本第1実施例と同一である。
【0088】
パルス管11の高温側11cdの管壁温度は、周囲の空気の温度より高いので、パルス管高温側11cdの管壁は周囲の空気で冷却され、パルス管高温側11cdの管壁は、パルス管高温側11cdbの内壁に接している近傍の冷媒から熱を奪い冷媒の温度を下げる。この結果、パルス管壁を伝わりパルス管低温側に侵入する熱伝導による熱損失と、パルス管内に接した近傍の冷媒の往復流動によってパルス管11の低温側に侵入する熱損失が小さくなるので、パルス管低温側で発生する冷凍量Qiから差引かれる熱が少なくなるので、利用出来る冷凍量が増え、パルス管冷凍機の冷凍能力は増大する。
【実施例7】
【0089】
本第7実施例のパルス管冷凍機は、図8に示されるように真空槽15の外側の大気中に設けてあるパルス管11の高温側の管11cdと放熱器12にそれぞれドーナツ型のフィン21、22を多数枚設けたことを特徴するものである。
【0090】
前記ドーナツ型のフィン21、22は、図8に示されるように前記パルス管11および放熱器12の外周壁に軸方向一定間隔で多数並設されている。
【0091】
本第7実施例のパルス管冷凍機は、フィン21、22を設けたことにより、伝導面積が増大し、パルス管11の高温側の管11cdと放熱器12の冷却が図7に示される前記第6実施例より良好になる。その結果、冷凍能力が前記第6実施例より増大する。
【0092】
尚本第7実施例において、フィン21,22は、ドーナツ型を多数枚適切な間隔でパルス管11の高温側11cdの外周面と熱交換器12の外周面に固着させているが、フィンをパルス管11の高温側11cdの外周面と熱交換器12の外周面に螺旋状に設けても良い。
【実施例8】
【0093】
本第8実施例のパルス管冷凍機は、図9に示されるように真空槽15の外側の大気中に設けてあるパルス管11の高温側の管11cdと放熱器12にそれぞれ縦フィン31,32を多数枚設けたことを特徴とするものである。
【0094】
前記縦フィン31、32は、図9に示されるように前記パルス管11および放熱器12の外周壁の軸方向全体に延在させて周方向一定角度毎に多数列設されている。
【0095】
本第8実施例のパルス管冷凍機は、前記第7実施例と同様にフィン31、32を設けたことにより、伝熱面積が増大し、パルス管11の高温側の管11cdと放熱器12の冷却が前記第6実施例より良好になることから、冷凍能力が前記第6実施例より増大する。
【実施例9】
【0096】
本第9実施例のパルス管冷凍機は、図10に示されるように前記パルス管の高温側の管壁に強制的に空気を流すことを特徴とするものであり、パルス管高温側11cd、放熱器12の近傍にファン等の圧力発生源24を設けている。
【0097】
本第9実施例のパルス管冷凍機は、パルス管高温側11cd、放熱器12を冷却する空気の熱伝達を良好にして、空気による冷却量の増大を図ることによって、パルス管の高温側管壁の温度が低くなり、前記第6実施例と同様の作用により、冷凍能力が増大するものである。
【実施例10】
【0098】
本第10実施例のパルス管冷凍機は、図11に示されるように大気中に設けた前記パルス管11の高温側の管11cdは熱伝導の良好な部材25とし、真空槽15内に設けた前記パルス管11の低温側の管11bdを熱伝導の悪い部材26とし、前記パルス管11の高温側の管11cdと前記パルス管の低温側の管11bdを接合している。
【0099】
前記熱伝導の良好な部材25は例えば、銅、アルミで、熱伝導の悪い部材26はステンレス等である。
【0100】
本第10実施例のパルス管冷凍機は、大気中に設けた前記パルス管高温側の管の径方向、熱伝導が良好になり、前記パルス管高温側の内周面と外周面の温度差は小さくなり、内周面に接した冷媒の温度が低くなり、冷凍能力が増大する。
【実施例11】
【0101】
本第11実施例のパルス管冷凍機は、図12に示されるようにパルス管11の高温側11cdの管壁に伝導部材30を熱接触させ、伝導部材30の他端を真空槽15に熱接触するようにするものである。
【0102】
本第11実施例のパルス管冷凍機は、パルス管11の高温側11cdの管壁を高温側11cdの管壁温度より温度の低い冷却源15としての真空槽で伝導部材30を介して冷却することにより、冷凍能力の増大を図るものである。
【0103】
この場合、パルス管11の高温側11cdは、真空槽内でも、あるいは、真空槽外の大気中に設けても良い。
【0104】
上述の実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0105】
上述した実施例における位相調整器14は、図13(A)に示されるオリフィス型、図13(B)に示されるアクティブバッファ型、図13(C)に示されるダブインレット型、図13(D)に示される4バルブ等いずれの方式でも良いものである。
【0106】
また上述の実施例においては、1段のパルス管冷凍機について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、2段以上のパルス管冷凍機にも適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側を該パルス管の高温側の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備え、前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間にラジエターを設け、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという用途に適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1 圧力源
9 蓄冷器
11 パルス管
11a 高温端部
11cd 高温側の管壁
30 冷却手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパルス管冷凍機(特開平8−271071)は、図14に示されるように、圧力振動源101の高圧ポート108aが、主切換弁111に接続され、主切換弁111のポート111hは放熱器通路112を介して蓄冷器103、吸熱器104、パルス管105に連通している。パルス管105の温端部105cは流量調整手段122を介して、管体状の第1伝熱管116、位相調整切換弁106のポート106pに接続している。位相調整切換弁106は、圧力振動源101の高圧ポート108aと低圧ポート108bに接続している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のパルス管冷凍機では、冷媒が位相調整切換弁106から流量調整手段122を通ってパルス管105の温端部105cに流入するとパルス管105内で断熱圧縮され、パルス管内のガス温度が高くなり、パルス管105の壁の温度も、パルス管105の温端部105cからパルス管の長手方向の中央部あたりまで約120℃になるため、パルス管105の低温端部には、パルス管105内の温度の高いガスからの熱と、パルス管105の壁からの伝導による熱が侵入し、冷凍能力が低下するという問題があった。
【0004】
また、熱交換器Aの放熱器102は、主切換弁111と蓄冷器103の間に設けられているため、死容積が増大し、冷凍機の冷凍能力が低下するという問題があった。
【0005】
そこで本発明者は、パルス管105の低温端部に侵入する熱を少なくすること、熱交換器Aの放熱器102の死容積をなくするという技術的知見に着目して、蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却するという本発明の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという目的を達成する本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパルス管冷凍機は、
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、
前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備えている
ものである。
【0007】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0008】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、大気によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0009】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源から流出し前記蓄冷器に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0010】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源の吐出口と該圧力源の前記吐出口に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0011】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、前記蓄冷器から圧力源に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0012】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、切換弁の低圧出口と圧力源の吸入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0013】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、別置の圧縮機からの冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却する
ものである。
【0014】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源の吐出側と該圧力源の前記吐出側に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却する
ものである。
【0015】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却する
ものである。
【0016】
本発明(請求項1に記載の第1発明)のパルス管冷凍機は、
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、
前記パルス管の高温側を該パルス管の高温側の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備え、
前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間にラジエターを設け、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ものである。
【0017】
本発明(請求項2に記載の第2発明)のパルス管冷凍機は、
前記第1発明において、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側の管壁を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ものである。
【0018】
本発明(請求項3に記載の第3発明)のパルス管冷凍機は、
前記第1発明または前記第2発明において
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するとともに、
前記放熱器を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【0019】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却手段が、大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管壁によって構成されている
ものである。
【0020】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記大気中に設けられた前記パルス管高温側の管の外側面にフィンを設けた
ものである。
【0021】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記パルス管の高温側の管壁に強制的に空気を供給する
ものである。
【0022】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管を熱伝導の良好な部材によって構成するとともに、
真空槽内に設けた前記パルス管の低温側の管を熱伝導の悪い部材によって構成し、
前記パルス管の高温側の管と前記パルス管の低温側の管を接合した
ものである。
【0023】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記パルス管の高温側の管壁に伝導部材を熱接触させ、前記伝導部材の他端を前記パルス管の高温側の管壁温度より低い冷却源に熱接触させる
ものである。
【0024】
本発明のパルス管冷凍機は、
前記発明において、
前記冷却源を、前記冷凍機の真空槽によって構成した
ものである。
【発明の効果】
【0025】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記冷却手段によって、前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0026】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記パルス管の高温側の管壁温度が低くなるため、パルス管低温端に伝導熱で侵入する熱が少なくなるとともに、パルス管の高温側の内壁に接した部分の冷媒ガスも冷却されるので、冷媒ガスの移動によってパルス管低温端に侵入する熱も少なくなる結果、冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0027】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、大気によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0028】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源から流出し前記蓄冷器に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、位相調整器からパルス管の方向に冷媒が流れる時、パルス管高温側のガス温度が高くなり、前記圧力源から流出し、前記蓄冷器に流入するタイミングとほぼ同期して、前記位相調整器から前記パルス管の方向に冷媒が流れるので、前記パルス管の高温側の管壁および該管壁を介してパルス管の高温側の冷媒を効果的に冷却することにより、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0029】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源の吐出口と該圧力源の前記吐出口に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記パルス管の高温側の管壁と、また壁を介してパルス管高温側を冷却するとともに、前記圧力源の吐出口と前記切換弁の流入側の間を流れる冷媒で冷却するため、前記圧力源の吐出口の冷媒でパルス管高温側を冷却しても、前記切換弁と前記蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0030】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、前記蓄冷器から圧力源に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、パルス管高温側を冷却するタイミングは、前記第4発明と比べると約180度ずれているが、前記圧力源に流入する冷媒は、前記蓄冷器高温側から流出してきた冷媒であるので蓄冷器高温側に流入する冷媒より低い温度であるため、パルス管高温側の管壁を冷却する冷媒の温度が低いことから、パルス管の管壁が厚い場合は、パルス管の熱容量が大きくなり管壁の蓄熱効果によってタイミングのずれの影響が少なくなるので、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0031】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、切換弁の低圧出口と圧力源の吸入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記パルス管の高温側の管壁と、また壁を介してパルス管高温側の冷却の作用は、前記第6発明と同様であるが、前記圧力源の吸入パルス管と前記切換弁の低圧出口の間を流れる冷媒で冷却するため、圧力源の吸入口の冷媒でパルス管高温側を冷却しても、切換弁と蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないため、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0032】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、別置の圧縮機からの冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するので、前記圧力源の冷媒によるパルス管高温側の冷却する時に伴う冷媒の圧力損失、温度上昇がなくなり、パルス管高温側を冷却することが出来るため、パルス管冷凍機の冷凍能力を最も良好に増大させるという効果を奏する。
【0033】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源の吐出側と該圧力源の前記吐出側に連通する切換弁の高圧入口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するので、パルス管の高温側の管壁と、また壁を介してパルス管高温側の冷却の作用は、前記第4発明と同様であるが、圧力源の吐出口と切換弁の流入側の間を流れる冷媒で冷却するため、圧力源の吐出口の冷媒で放熱器を冷却することにより、切換弁と蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないため、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0034】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口の間を流れる冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するので、圧力源の吸入口と切換弁の出口側の間を流れる冷媒で冷却するため、圧力源の吸入口の冷媒で放熱器を冷却することにより、切換弁と蓄冷器高温端の間の死容積が増大することがないため、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0035】
上記構成より成る第1発明のパルス管冷凍機は、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間に設けた前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0036】
上記構成より成る第2発明のパルス管冷凍機は、前記第1発明において、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するとともに、前記パルス管の高温側の管壁を冷却した冷媒を圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間に設けた前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0037】
上記構成より成る第3発明のパルス管冷凍機は、前記第1発明または前記第2発明において、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するとともに、前記放熱器を冷却した冷媒を圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間に設けた前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという効果を奏する。
【0038】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却手段が、大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管壁によって構成されているので、前記パルス管の高温側の管壁を空気で冷却することにより、前記パルス管の高温側の管壁温度が低くなるため、パルス管低温端に伝導熱で侵入する熱が少なくなり、またパルス管の高温側の内壁に接した部分の冷媒ガスも冷却されるので、冷媒ガスの移動によってパルス管低温端に侵入する熱も少なくなることにより、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0039】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記大気中に設けられた前記パルス管高温側の管の外側面にフィンを設けたので、前記パルス管の冷却面積を増大させ、空気による冷却量の増大を図ることによって、前記パルス管の高温側管壁の温度が低くなり、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0040】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記パルス管の高温側の管壁に強制的に空気を供給するので、前記パルス管の高温側の管壁を冷却する空気の熱伝達を良好にして、空気による冷却量の増大を図ることによって、パルス管の高温側管壁の温度が低くなり、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0041】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、大気中に設けられ熱伝導の良好な部材によって構成された前記パルス管の高温側の管と真空槽内に設けた前記パルス管の低温側の管を熱伝導の悪い部材によって構成された前記パルス管の低温側の管を接合したので、大気中に設けた前記パルス管高温側の管の径方向の熱伝導が良好になることにより、前記パルス管高温側の内周面と外周面の温度差は小さくなるとともに、内周面に接した冷媒の温度が低くなり、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0042】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記パルス管の高温側の管壁に伝導部材を熱接触させ、前記伝導部材の他端を前記パルス管の高温側の管壁温度より低い冷却源に熱接触させるので、前記パルス管の高温側の管壁を熱伝導によって冷却して、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【0043】
上記構成より成る本発明のパルス管冷凍機は、前記発明において、前記冷却源を、前記冷凍機の真空槽によって構成したので、パルス管高温側の管から伝導部材を通って真空槽に入った熱は、真空槽外周面で大気に放熱され、パルス管高温側の管壁が冷却されることによって、パルス管冷凍機の冷凍能力を増大させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図2】本発明の第2実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図3】本発明の第3実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図4】本発明の第4実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図5】本発明の第5実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例のパルス管における低温側と高温側のPV線図を示す。
【図7】本発明の第6実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図8】本発明の第7実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図9】本発明の第8実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図10】本発明の第9実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図11】本発明の第10実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図12】本発明の第11実施例のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【図13】本発明の実施例における位相調整器の4個の具体例を示す回路図である。
【図14】従来のパルス管冷凍機を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0046】
本第1実施例のパルス管冷凍機は、図1に示されるように蓄冷器9に接続され発熱を伴う高温端部11aを有するパルス管11を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁11cdを該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段30が、前記パルス管冷凍機の圧力源1から流出し前記蓄冷器9に流入する冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁11cdを冷却するものである。
【0047】
本第1実施例は、前記第2発明、第4発明、第5発明、第9発明、第10発明に属する実施例であり、前記圧力源1の吐出口1aは、順次、流路2、流路3、流路4、流路5、流路6を介して切換弁7の高圧入口7aに連通している。前記圧力源1の吸入口1bは、流路18を介して前記切換弁7の低圧出口7bに連通している。
【0048】
前記冷却手段30を構成する前記流路3は、図1に示されるように前記パルス管11の常温より温度の高い管壁11dから高温端近傍11cの間のパルス管高温側11cdの外壁を冷却するように熱接触するようにパルス管高温側11cdの外壁に当接させて配設されている。
【0049】
前記冷却手段30を構成する前記流路5は、前記パルス管11の高温端11aに配設された放熱器12の内を流動する冷媒と熱交換するように放熱器12の外周面に熱接触するように放熱器12の外壁に当接させて配設されている。
【0050】
切換弁7のポート7cは、前記圧力源1から蓄冷器9に冷媒が流れる時は、高圧入口7aに連通し、前記蓄冷器9から前記圧力源1に冷媒が流れる時には、低圧出口7bに連通するように切換制御されている。
【0051】
前記蓄冷器9には金網等の蓄冷材9cが充填されている。ポート7cは、流路8を介して蓄冷器9の高温端9aに連通し、蓄冷器9の低温端9bは、流路10を介してパルス管11の低温端11bに連通している。
【0052】
前記パルス管11の高温端11aは、前記放熱器12および前記流路13を介して位相調整器14に連通している。15は真空槽で、内部は真空状態に維持されている。このようにしてパルス管冷凍機が構成されている。
【0053】
前記圧力源1において圧縮された冷媒は、圧縮機用冷却機100によって冷却されている。
図6は、本第1実施例におけるパルス管低温側と高温側のPV線図を示している。
【0054】
上記構成より成る本第1実施例のパルス管冷凍機の作動について、以下に述べる。
(圧縮過程I)
切換弁7のポート7cと高圧入口7a及び低圧出口7bが共に連通してない状態の圧縮過程Ia(図6)では、位相調整器14から流路13、放熱器12を通ってパルス管11の高温端11aに冷媒が流れ、パルス管内の圧力は低圧からほぼ中間の圧力になり、冷媒の温度も上昇する。
【0055】
前記切換弁7の高圧入口7aとポート7cが連通している状態の圧縮過程Ib(図6)では、圧力源1の高圧口1aから流出する高圧の冷媒は、順次、流路2、流路3、流路4、流路5、流路6、切換弁7、蓄冷器9、流路10を通ってパルス管11の低温端11bに流入し、一方位相調整器14の冷媒は、流路13、放熱器12を通って冷媒がパルス管11の高温端11aに流入し、その結果、パルス管11内の冷媒はほぼ中間の圧力からさらに圧縮され略高圧になり、パルス管内の冷媒温度も更に上昇する。
圧縮過程Iaと圧縮過程Ibが圧縮過程Iを形成する。
【0056】
(略等圧過程II)
前記圧縮過程Iの後、前記切換弁7の高圧入口7aとポート7cが連通している状態の略等圧過程II(図6)では、圧力源1から切換弁7は、蓄冷器9、流路10を通ってパルス管11の低温端11bに冷媒が流れ、一方、位相調整器には、パルス管高温端11aから放熱器12、流路13を通って冷媒が流れ込み、圧力も圧縮過程Iの終わりの圧力より僅か高くなり、温度も圧縮過程Iの終わりの温度より僅か高くなる。
【0057】
(膨張過程III )
前記切換弁7の高圧入口7a、低圧出口7bが共にポート7cと連通してない状態の膨張過程III a(図6)では、パルス管11内の冷媒の一部がパルス管11の高温端11aから放熱器12、流路13を通って位相調整器14に流れ、圧力がほぼ中間の圧力まで低下し、パルス管11内の冷媒温度も低下する。
【0058】
前記切換弁7の低圧出口7bが共にポート7cと連通している状態の膨張過程III b(図6)は、パルス管低温端から流路10、蓄冷器9、切換弁7、流路8を通って圧力源1の低圧側に冷媒が流入し、一方位相調整器14には、パルス管11の高温端11aから放熱器12、流路13を通って冷媒が流れ込み、圧力は略中間圧から略低圧力まで低下し、パルス管11内の冷媒温度も更に低下する。膨張過程III は、上記の膨張過程III aとIII bとから形成される。
【0059】
(略等圧過程IV)
前記膨張過程III の後、切換弁7の低圧出口7bが共にポート7cと連通している状態の略等圧過程IVでは、パルス管低温端11bから流路10、蓄冷器9、流路8、切換弁7、流路8を通って圧力源1の吸入側に低圧の冷媒が流れ、一方、パルス管11の高温端11aから放熱器12、流路13を通って、位相調整器14にも低圧の冷媒が流れ、膨張過程III の終わりの圧力より僅か低い圧力となり、パルス管11内の冷媒温度も僅か低下する。
【0060】
前述した略等圧過程IIと膨張過程III で、パルス管11内の冷媒は仕事(L1)をなし、略等圧過程IVと圧縮過程Iで、パルス管11内の冷媒は仕事(L2)を受ける。仕事(L1)と仕事(L2)の差がパルス管低温側で発生する冷凍量(Qi)である。
【0061】
流路3cを流れている冷媒は、パルス管高温側11cdの管壁を冷却し、パルス管高温側11cdの管壁は、パルス管高温側11cdbの内壁に接している近傍の冷媒から熱を奪い冷媒の温度を下げる。
【0062】
この結果、パルス管壁を伝わりパルス管低温側に侵入する熱伝導による熱損失と、パルス管内に接した近傍の往復流動によってパルス管11の低温側に侵入する熱損失が小さくなるので、パルス管低温側で発生する冷凍量Qiから差引かれる熱が少なくなるので、利用出来る冷凍量が増え、パルス管冷凍機の冷凍能力は増大する。
【0063】
前述したパルス管低温側から流れ込む冷媒でパルス管11内の冷媒は、パルス管高温端11aから放熱器12、流路13を通って位相調節器14に流れるパルス管11内の冷媒は、放熱器12を流れる際、流路5を流れる冷媒によって冷却される。流路5は、切換弁7と圧力源1の間に設けてあるので、流路8、蓄冷器9、流路10、パルス管11、放熱器12、流路13の死容積を増大させることがないため、冷凍能力の低下が少ない。
【実施例2】
【0064】
本第2実施例のパルス管冷凍機は、前記第2発明、第4発明、第5発明、第9発明、第10発明に属する他の実施例で、図2に示されるように圧力源1の吐出口1aと切換弁7の高圧入口7aの間の回路が図1に示される前記第1実施例と異なり主回路と分岐回路から構成されているものである。
【0065】
前記主回路は、圧力源1の吐出口1aが、流路2a、流量調整弁19、流路2b、切換弁7の高圧入口7aに連通している。前記分岐回路は、流路2aから分岐して、流路2c、流量調整弁20、流路2d、流路3、流路4、流路5、流路6を介して、流路2bに合流する。流路3、流路5は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12の外周面に熱接触している。
【0066】
前記流量調整弁19および流量調整弁20は、分岐回路に流れる冷媒量を調整するために設けたものであり、流路2c、流路2d、流路3、流路4、流路5、流路6の流路抵抗によっては、流量調整弁19、流量調整弁20の両方、あるいはいずれかを設けなくても良い。その他の構成は、図1に示される前記第1実施例と同様である。
【0067】
上記構成より成る本第2実施例のパルス管冷凍機は、パルス管11の冷却と放熱器12の冷却の作用が、前記第1実施例と同様であり、蓄冷器12に流れる流量が多い場合、あるいは流路3、流路5の流路抵抗が大きい場合、流路3と流路5での圧力損失が小さく出来るので、圧力損失による冷凍能力の低下が小さいという利点を有する。
【実施例3】
【0068】
本第3実施例のパルス管冷凍機は、前記第2発明に属する実施例で、図3に示されるようには圧力源1の吐出口1aから流出する冷媒の一部が、パルス管高温側11cdの管壁と放熱器12を冷却し、蓄冷器9には流れず、圧力源1の吸入口1bに戻る。
【0069】
即ち、圧力源1の吐出口1aは、流路2a、流量調整弁19、流路2b、切換弁7の高圧入口7aに連通している。流路2aから分岐して、流路32、流路33、流路34、流路35、流路36、流量調整弁20、流路37を介して圧力源1の吸入口1bに連通している。流路33、流路35は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12の外周面に熱接触している。
【0070】
前記流量調整弁19および流量調整弁20は、流路2a、流路32に流れる冷媒量を調整するために設けたものであり、流路32、流路33、流路34、流路35、流路36、流路37、の流路抵抗によっては、流量調整弁19、流量調整弁20の両方、あるいはいずれかを設けなくても良い。その他の構成は、前記第1実施例と同様である。
【0071】
本第3実施例は、流路33、流路35には、圧力源1の吐出口1aから流出する冷媒の一部が、連続して流れているので、パルス管冷凍サイクルの全過程(圧縮過程I、略等圧過程II、膨張過程III 、略等圧過程IV)でパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12を間欠なく冷却しているため、圧力源1の流量は多くなるが、冷凍能力は前記第1実施例より大きくなる。
【実施例4】
【0072】
本第4実施例のパルス管冷凍機は、前記第8発明に属する実施例で、図4に示されるように圧力源1とは異なる別の圧力源41の吐出口41aから流出する冷媒でパルス管11の高温側11cdの管壁、放熱器12を冷却することを特徴とするものである。
【0073】
即ち、圧力源41の吐出口41aは、流路42、流路43、流路44、流路45、流路46を介して圧力源41の吸入口41bに連通しており、流路43、流路45は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12に熱接触している。
【0074】
前記圧力源1の吐出口1aは、流路2a、切換弁7の高圧入口7aに連通している。その他の構成は図1に示される前記第1実施例と同様である。
【0075】
本第4実施例は、流路43、流路45には、圧力源41の吐出側41aから流出する冷媒が、連続して流れているので、パルス管冷凍サイクルの全過程(圧縮過程I、略等圧過程II、膨張過程III 、略等圧過程IV)でパルス管11の高温側11cdの管壁を冷却しているので、圧力源41を新たに設けなければならないが、パルス管11の低温側の冷凍能力は前記第1実施例より大きい。
【実施例5】
【0076】
本第5実施例のパルス管冷凍機は、前記第6発明、第7発明、第11発明、第11発明に属する実施例で、図5に示されるように切換弁7の低圧出口7bと前記圧力源1の吸入口1bの間を流れる冷媒で冷却することを特徴とするものである。
【0077】
即ち、切換弁7の低圧出口7bは、流路52、流路53、流路54、流路55、流路56、ファン59により送風されているラジエター57、流路58を介して、圧力源1の吸入口1bに連通しており、流路53、流路55は、それぞれパルス管11の高温側11cdの管壁と放熱器12に熱接触している。
【0078】
圧力源1の吐出口1aは、流路2a、切換弁7の高圧入口7aに連通している。その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0079】
本第5実施例は、蓄冷器9から切換弁7の低圧出口7b、流路52を通って流路53に流入する冷媒は、そこで、パルス管11の高温側11cdの管壁を冷却し、流路54を通って流路55に流入し、そこで放熱器12内で位相調整器14とパルス管11の間を流動する冷媒を冷却するため、パルス管壁を伝わりパルス管低温側に侵入する熱伝導による熱損失と、パルス管内に接した近傍の冷媒の往復流動によってパルス管11の低温側に侵入する熱損失が小さくなるので、冷凍能力は増大する。
【0080】
パルス管高温側を冷却するタイミングは、前記第5発明の場合と比べると約180度ずれるが、圧力源に流入する冷媒は、蓄冷器高温端から流出してきた冷媒であるので蓄冷器高温端に流入する冷媒より低い温度であるので、パルス管高温側を冷却する冷媒の温度が低いことが特徴である。
【0081】
この場合、パルス管高温側を冷却するタイミングは、前記第5発明に対し約180度ずれるのでタイミング的には前記第5発明に属する実施例の方が優れているが、パルス管11の管壁が厚い場合は、熱容量が大きくなり管壁の蓄熱効果によってタイミングのずれの影響が少なくなるので、冷凍能力が増大する。
【実施例6】
【0082】
本第6実施例のパルス管冷凍機は、図7に示されるように蓄冷器9に接続され発熱を伴う高温端部11aを有するパルス管11を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側の管壁を該パルス管の高温側の管壁の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段30が、大気中に設けられた前記パルス管の高温側の管壁11cdによって構成されているものである。
【0083】
圧力源1の吐出口1aは、流路2を介して切換弁7の高圧入口7aに連通している。圧力源1の吸入口1bは、流路18を介して切換弁7の低圧出口7bに連通している。切換弁7のポート7cは、圧力源1から蓄冷器9に冷媒が流れる時は、高圧入口7aに連通し、蓄冷器9から圧力源1に冷媒が流れる時には、低圧出口7bに連通するようにしてある。
【0084】
蓄冷器9には金網等の蓄冷材9cが充填されている。ポート7cは、流路8を介して蓄冷器9の高温端9aに連通し、蓄冷器9の低温端9bは、流路10を介してパルス管11の低温端11bに連通している。パルス管11の高温端11aは放熱器12、流路13を介して位相調整器14に連通している。
【0085】
前記冷却手段30を構成する前記パルス管11の高温側11cdは、真空槽15の外側の大気中に設けてあり、低温側11deは、真空槽内に設けてある。真空槽15の内部は真空状態である。
【0086】
前記圧力源1で圧縮された冷媒は圧縮機用冷却器100で冷却されている。本第6実施例のパルス管冷凍機は、上述のようにしてパルス管冷凍機が構成され、パルス管の低温側と高温側のPV線図は、第1実施例と同様に図6に示されるものである。
【0087】
上記構成より成る本第6実施例のパルス管冷凍機の作動は、本第1実施例と同一である。
【0088】
パルス管11の高温側11cdの管壁温度は、周囲の空気の温度より高いので、パルス管高温側11cdの管壁は周囲の空気で冷却され、パルス管高温側11cdの管壁は、パルス管高温側11cdbの内壁に接している近傍の冷媒から熱を奪い冷媒の温度を下げる。この結果、パルス管壁を伝わりパルス管低温側に侵入する熱伝導による熱損失と、パルス管内に接した近傍の冷媒の往復流動によってパルス管11の低温側に侵入する熱損失が小さくなるので、パルス管低温側で発生する冷凍量Qiから差引かれる熱が少なくなるので、利用出来る冷凍量が増え、パルス管冷凍機の冷凍能力は増大する。
【実施例7】
【0089】
本第7実施例のパルス管冷凍機は、図8に示されるように真空槽15の外側の大気中に設けてあるパルス管11の高温側の管11cdと放熱器12にそれぞれドーナツ型のフィン21、22を多数枚設けたことを特徴するものである。
【0090】
前記ドーナツ型のフィン21、22は、図8に示されるように前記パルス管11および放熱器12の外周壁に軸方向一定間隔で多数並設されている。
【0091】
本第7実施例のパルス管冷凍機は、フィン21、22を設けたことにより、伝導面積が増大し、パルス管11の高温側の管11cdと放熱器12の冷却が図7に示される前記第6実施例より良好になる。その結果、冷凍能力が前記第6実施例より増大する。
【0092】
尚本第7実施例において、フィン21,22は、ドーナツ型を多数枚適切な間隔でパルス管11の高温側11cdの外周面と熱交換器12の外周面に固着させているが、フィンをパルス管11の高温側11cdの外周面と熱交換器12の外周面に螺旋状に設けても良い。
【実施例8】
【0093】
本第8実施例のパルス管冷凍機は、図9に示されるように真空槽15の外側の大気中に設けてあるパルス管11の高温側の管11cdと放熱器12にそれぞれ縦フィン31,32を多数枚設けたことを特徴とするものである。
【0094】
前記縦フィン31、32は、図9に示されるように前記パルス管11および放熱器12の外周壁の軸方向全体に延在させて周方向一定角度毎に多数列設されている。
【0095】
本第8実施例のパルス管冷凍機は、前記第7実施例と同様にフィン31、32を設けたことにより、伝熱面積が増大し、パルス管11の高温側の管11cdと放熱器12の冷却が前記第6実施例より良好になることから、冷凍能力が前記第6実施例より増大する。
【実施例9】
【0096】
本第9実施例のパルス管冷凍機は、図10に示されるように前記パルス管の高温側の管壁に強制的に空気を流すことを特徴とするものであり、パルス管高温側11cd、放熱器12の近傍にファン等の圧力発生源24を設けている。
【0097】
本第9実施例のパルス管冷凍機は、パルス管高温側11cd、放熱器12を冷却する空気の熱伝達を良好にして、空気による冷却量の増大を図ることによって、パルス管の高温側管壁の温度が低くなり、前記第6実施例と同様の作用により、冷凍能力が増大するものである。
【実施例10】
【0098】
本第10実施例のパルス管冷凍機は、図11に示されるように大気中に設けた前記パルス管11の高温側の管11cdは熱伝導の良好な部材25とし、真空槽15内に設けた前記パルス管11の低温側の管11bdを熱伝導の悪い部材26とし、前記パルス管11の高温側の管11cdと前記パルス管の低温側の管11bdを接合している。
【0099】
前記熱伝導の良好な部材25は例えば、銅、アルミで、熱伝導の悪い部材26はステンレス等である。
【0100】
本第10実施例のパルス管冷凍機は、大気中に設けた前記パルス管高温側の管の径方向、熱伝導が良好になり、前記パルス管高温側の内周面と外周面の温度差は小さくなり、内周面に接した冷媒の温度が低くなり、冷凍能力が増大する。
【実施例11】
【0101】
本第11実施例のパルス管冷凍機は、図12に示されるようにパルス管11の高温側11cdの管壁に伝導部材30を熱接触させ、伝導部材30の他端を真空槽15に熱接触するようにするものである。
【0102】
本第11実施例のパルス管冷凍機は、パルス管11の高温側11cdの管壁を高温側11cdの管壁温度より温度の低い冷却源15としての真空槽で伝導部材30を介して冷却することにより、冷凍能力の増大を図るものである。
【0103】
この場合、パルス管11の高温側11cdは、真空槽内でも、あるいは、真空槽外の大気中に設けても良い。
【0104】
上述の実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0105】
上述した実施例における位相調整器14は、図13(A)に示されるオリフィス型、図13(B)に示されるアクティブバッファ型、図13(C)に示されるダブインレット型、図13(D)に示される4バルブ等いずれの方式でも良いものである。
【0106】
また上述の実施例においては、1段のパルス管冷凍機について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、2段以上のパルス管冷凍機にも適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、前記パルス管の高温側を該パルス管の高温側の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備え、前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間にラジエターを設け、前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却するので、パルス管冷凍機の冷凍能力を良好に増大させるという用途に適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1 圧力源
9 蓄冷器
11 パルス管
11a 高温端部
11cd 高温側の管壁
30 冷却手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、
前記パルス管の高温側を該パルス管の高温側の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備え、
前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間にラジエターを設け、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【請求項2】
請求項1において、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側の管壁を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【請求項3】
請求項1において、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するとともに、
前記放熱器を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【請求項1】
蓄冷器に接続され発熱を伴う高温端部を有するパルス管を備えたパルス管冷凍機において、
前記パルス管の高温側を該パルス管の高温側の温度より低い冷却媒体によって冷却する冷却手段を備え、
前記冷却手段が、前記パルス管冷凍機の冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
圧力源の吸入口と該圧力源の前記吸入口に連通する切換弁の低圧出口との間にラジエターを設け、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【請求項2】
請求項1において、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温側の管壁を冷却するとともに、
前記パルス管の高温側の管壁を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【請求項3】
請求項1において、
前記冷却手段が、前記切換弁の低圧出口から流出した冷媒によって前記パルス管の高温端に配設された放熱器を冷却するとともに、
前記放熱器を冷却した冷媒を前記ラジエターにおいて冷却する
ことを特徴とするパルス管冷凍機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−230308(P2010−230308A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162371(P2010−162371)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【分割の表示】特願2001−262282(P2001−262282)の分割
【原出願日】平成13年8月30日(2001.8.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【分割の表示】特願2001−262282(P2001−262282)の分割
【原出願日】平成13年8月30日(2001.8.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
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