説明

パルス電熱と蓄熱の氷剥離装置および方法

パルス電熱と蓄熱の氷剥離のためのシステムおよび方法。パルス電熱氷剥離装置は、1つ以上の冷却剤管と、任意選択により、冷却剤管と熱的接触するフィンとを含む。管および/またはフィンは、抵抗加熱器を形成する。装置は、電力を抵抗加熱器に印加し、管および/またはフィンから氷を剥離するために熱を生成する。フリーザユニットは、廃熱を消散する圧縮機およびコンデンサと、圧縮器、コンデンサ、および冷却剤管を循環する冷却剤とを有する蓄熱除氷システムを形成する。冷却剤管は、蒸発器板と熱的接触する。圧縮機の後およびコンデンサの前にあるタンクは、冷却剤から加熱液体に熱を伝達する。加熱液体は、蒸発器板と熱的接触する加熱管を定期的に流れ、蒸発器板から氷を剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年1月24日に出願された米国仮特許出願第60/646,394号、2005年1月25日に出願された米国仮特許出願第60/646,932号、および2005年11月23日に出願された米国仮特許出願第60/739,506号の優先権の利益を主張する、所有者が共通の同時係属中の2006年1月24日に出願された米国特許出願第11/338,239号の一部継続出願である。米国特許出願第11/338,239号は、2004年6月22日に出願された米国仮特許出願第60/581,912号、2005年1月24日に出願された米国仮特許出願第60/646,394号、および2005年1月25日に出願された米国仮特許出願第60/646,932号の優先権の利益を主張する、所有者が共通の2005年6月22日に出願されたPCT出願第PCT/US2005/22035号の一部継続出願でもある。米国特許出願第11/338,239号は、2002年2月11日に出願された米国仮特許出願第60/356,476号、2002年7月23日に出願された米国仮特許出願第60/398,004号、および2002年8月21日に出願された米国仮特許出願第60/404,872号の優先権の利益を主張する、2003年2月11日に出願された米国特許出願第10/364,438号、現在は米国特許第6,870,139号、の優先権の利益を主張する分割出願である、所有者が共通の同時係属中の2004年9月10日に出願された米国特許出願第10/939,289号、現在は米国特許第7,034,257号、の一部継続出願でもある。
【0002】
本出願は、所有者が共通の2006年5月22日に出願された米国仮特許出願第60/802,407号の優先権の利益を主張する、2007年5月22日に出願されたPCT出願第PCT/US2007/069478号の一部継続出願でもある。PCT出願第PCT/US2007/069478号は、2005年1月24日に出願された米国仮特許出願第60/646,394号、2005年1月25日に出願された米国仮特許出願第60/646,932号、および2005年11月23日に出願された米国仮特許出願第60/739,506号の優先権の利益を主張する、所有者が共通の2006年1月24日に出願された第PCT/US2006/002283号の一部継続出願でもある。PCT出願第PCT/US2007/069478号は、2004年6月22日に出願された米国仮特許出願第60/581,912号、2005年1月24日に出願された米国仮特許出願第60/646,394号、および2005年1月25日に出願された米国仮特許出願第60/646,932号の優先権の利益を主張する、2005年6月22日に出願された第PCT/US2005/022035号の優先権の利益を主張する、所有者が共通の同時係属中の2006年12月22日に出願された米国特許出願第11/571,231号の一部継続出願でもある。PCT出願第PCT/US07/069478号は、2005年1月24日に出願された米国仮特許出願第60/646,394号、2005年1月25日に出願された米国仮特許出願第60/646,932号、および2005年11月23日に出願された米国仮特許出願第60/739,506号の優先権の利益を主張する、所有者が共通の同時係属中の2006年1月24日に出願された米国特許出願第11/338,239号の一部継続出願でもある。米国特許出願第11/338,239号は、2004年6月22日に出願された米国仮特許出願第60/581,912号、2005年1月24日に出願された米国仮特許出願第60/646,394号、および2005年1月25日に出願された米国仮特許出願第60/646,932号の優先権の利益を主張する、所有者が共通の2005年6月22日に出願されたPCT出願第PCT/US2005/22035号の一部継続出願でもある。米国特許出願第11/338,239号は、2002年2月11日に出願された米国仮特許出願第60/356,476号、2002年7月23日に出願された米国仮特許出願第60/398,004号、および2002年8月21日に出願された米国仮特許出願第60/404,872号の優先権の利益を主張する、2003年2月11日に出願された米国特許出願第10/364,438号、現在は米国特許第6,870,139号、の優先権の利益を主張する分割出願である、所有者が共通の同時係属中の2004年9月10日に出願された米国特許出願第10/939,289号、現在は米国特許第7,034,257号、の一部継続出願でもある。
【0003】
上記で識別された特許出願のすべてが、本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0004】
(背景)
氷または霜は、水蒸気または液体の存在下で冷表面上に蓄積し得る。このような氷または霜の剥離は、表面を除去された状態に維持するために(例えば、熱伝達、けん引、または空力的特性の改善のために)望ましく、またはその結果、氷は使用のために収集され得る。大部分の冷凍用途において、最小限のエネルギーを費やして氷の表面を除去することが有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
一実施形態では、パルス電熱氷剥離装置は、冷凍ユニットの1つ以上の冷却剤管およびフィンを含む。フィンは、冷却剤管と熱的接触し、管またはフィンの一方または両方は、抵抗加熱器を形成する。1つ以上のスイッチは、電力を抵抗加熱器に印加し、管および/またはフィンから氷を剥離するために熱を生成し得る。抵抗加熱器は、1つを上回る加熱器区分を形成してもよく、スイッチは、電力を加熱器区分に個々に印加するように構成されてもよい。
【0006】
別の実施形態では、パルス電熱氷剥離装置は、冷凍ユニットの1つ以上の冷却剤管を含む。1つ以上の管は、抵抗加熱器を形成する。1つ以上のスイッチは、電力を加熱器に印加し、管から氷を剥離するために熱を生成してもよい。
【0007】
別の実施形態では、方法は、冷凍ユニットの冷却剤管および/または冷却フィンから氷を剥離する。方法のステップは、通常の冷凍モード中に、冷却剤管および/または冷却フィン上に氷を蓄積するステップと、氷を剥離するために、管およびフィンのうちの一方または両方に電力のパルスを印加するステップとを含む。
【0008】
別の実施形態では、パルス電熱氷剥離装置は、1つ以上の氷成長領域を含む製氷管を含む。1つ以上のコールドフィンガおよび/または冷却剤管は、各氷成長領域から熱を伝達する。水の少なくとも一部分が氷成長領域において凍結して氷になるように、水が製氷管に導入される。電力供給部は、管、または管と熱的接触する加熱器に電力のパルスを定期的に供給し、管から氷を剥離するために、氷の少なくとも界面層を溶解する。
【0009】
別の実施形態では、パルス電熱氷剥離装置は、1つを上回る製氷管を含む。コールドフィンガおよび/または冷却剤管は、各製氷管の氷成長領域から熱を伝達する。水の少なくとも一部分が氷成長領域において凍結するように、水が製氷管に導入される。電力供給部は、各管に電力のパルスを定期的に供給し、管から氷を剥離するために、氷の少なくとも界面層を溶解する。
【0010】
別の実施形態では、パルス電熱氷剥離装置は、蒸発器板と熱的接触する1つ以上の冷却剤管を含む。1つ以上の加熱器は、蒸発器板に隣接して、冷却剤管の間に位置する。加熱器は、氷が蒸発器板から剥離するように、電力を熱に変換するために構成される。
【0011】
別の実施形態では、パルス電熱氷剥離装置は、蒸発器板と熱的接触する1つ以上の冷却剤管を含む。加熱器は、冷却剤管と蒸発器板との間に位置する。加熱器は、氷が蒸発器板から剥離するように、電力を熱に変換するために構成される。
【0012】
別の実施形態では、フリーザユニットは、蓄熱除氷システムとして構成される。フリーザユニットは、廃熱を消散する圧縮機およびコンデンサと、圧縮機、コンデンサ、および冷却剤管を循環する冷却剤とを有する。冷却剤管は、蒸発器板と熱的接触する。圧縮器の後およびコンデンサの前にあるタンクは、冷却剤から加熱液体に熱を伝達する。加熱液体は、蒸発器板と熱的接触する加熱管に定期的に流れ、蒸発器板から氷を剥離する。
【0013】
別の実施形態では、方法は、冷凍ユニットの冷却剤管、冷却フィン、および/または蒸発器板から氷を剥離する。熱は、製氷モードまたは冷凍モード中に冷却剤から加熱液体に伝達する。氷は、製氷モードまたは冷凍モード中に、冷却剤管、冷却フィン、および/または蒸発器板の上に蓄積する。加熱液体は、氷を剥離するために、冷却剤管、冷却フィン、および蒸発器板のうちの少なくとも1つと熱的接触する加熱管を流れる。
【0014】
別の実施形態では、パルス電熱氷剥離装置は、熱交換表面と熱的接触する冷却剤管を有する熱交換器を含む。電力供給部は、パスル加熱のために、熱交換器に電気的に切り替えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、ある実施形態に従う、1つのパルス電熱氷剥離装置を概略的に示す。
【図2】図2は、電熱氷剥離装置等の負荷に電力を提供するように動作可能である電力供給部を概略的に示す。
【図3】図3は、電力供給部のデューティサイクルを示す。
【図4】図4は、電池を有する図2の電力供給部の実施形態を概略的に示す。
【図5】図5は、図2の電力供給部の実施形態を概略的に図示し、高周波数切り替えコンバータを具現化する。
【図6】図6は、図2の電力供給部の実施形態を概略的に図示し、ライン周波数変成器を具現化する。
【図7】図7は、変成器を概略的に示す。
【図8A】図8Aおよび図8Bは、図1のパルス電熱氷剥離装置の一部分を示す。
【図8B】図8Aおよび図8Bは、図1のパルス電熱氷剥離装置の一部分を示す。
【図9】図9は、ある実施形態に従う、1つのパルス電熱氷剥離装置を示す。
【図10】図10は、ある実施形態に従う、1つのパルス電熱氷剥離装置を示す。
【図11】図11は、ある実施形態に従う、1つのパルス電熱氷剥離装置を示す。
【図12】図12は、ある実施形態に従う、冷凍ユニットの冷却剤管および/または冷却フィンから氷を剥離する過程のフローチャートである。
【図13】図13は、管上に装着されるフィンの配列を有する熱交換器の一実施形態を示す。
【図14】図14は、1つの管およびフィンの組み立て体の断面図を示す。
【図15】図15は、室温における純アルミニウムについての熱拡散距離対時間を示すチャートを示す。
【図16】図16は、動作中に加熱パルスにより電力供給される場合(a)と、冷却ポンプおよびファンを停止した状態で加熱パルスにより電力供給される場合(b)との、アルミニウム熱交換器についての温度対時間を示すチャートを示す。
【図17】図17は、ある実施形態に従う、氷を剥離するパルスシステムとして構成される1つの熱交換器を斜視図で示す。
【図18】図18は、氷が蓄積され、かつ電力供給部およびスイッチに接続される図17の熱交換器の上面図を示す
【図19】図19は、ある実施形態に従う、氷を剥離するパルスシステムとして構成される1つの熱交換器を示す。
【図20】図20は、図19の熱交換器の断面図を示す。
【図21】図21は、ある実施形態に従う、氷を剥離するパルスシステムとして構成されるアコーディオン型熱交換器を示す。
【図22】図22は、冷却剤管を形成するために取り付けられる箔座金の断面図を示す。
【図23】図23は、冷却剤管を形成するために直線的なパイプに取り付けられる箔座金の断面図を示す。
【図24】図24は、ある実施形態に従う、氷を剥離するパルスシステムとして構成される別のアコーディオン型熱交換器を示す。
【図25】図25は、ある実施形態に従う、氷を剥離するパルスシステムとして構成される別のアコーディオン型熱交換器を示す。
【図26】図26は、ある実施形態に従う、管状製氷機として構成される1つのパルス電熱氷剥離装置を示す。
【図27】図27は、ある実施形態に従う、管状製氷機として構成される1つのパルス電熱氷剥離装置を示す。
【図28】図28は、図26の管状製氷機の一部分を示す。
【図29】図29は、図26の管状製氷機の一部分を示す。
【図30】図30は、ある実施形態に従う、管状製氷機として構成される1つのパルス電熱氷剥離装置の断面側面図である。
【図31】図31は、図30の管状製氷機の一部分の一実施形態をより詳細に示す。
【図32】図32は、図30の管状製氷機の断面上面図である。
【図33】図33は、ある実施形態に従う、製氷機として構成される1つのパルス電熱氷剥離装置の断面図である。
【図34】図34は、図33の製氷機の一部分をより詳細に示す。
【図35】図35は、ある実施形態に従う、製氷機として構成される1つのパルス電熱氷剥離装置の断面図である。
【図36】図36は、図35の製氷機の一部分をより詳細に示す。
【図37】図37は、ある実施形態に従う、氷を剥離する蓄熱装置を含むフリーザユニットの要素を概略的に示す。
【図38】図38は、図37に示す蒸発器板の断面図である。
【図39】図39は、ある実施形態に従う、氷を剥離する蓄熱装置を含むフリーザユニットの要素を概略的に示す。
【図40】図40は、蓄熱氷剥離装置を示す。
【図41】図41は、熱氷収集を利用するフリーザユニットを動作させる過程のフローチャートである。
【図42】図42は、氷剥離のための、加熱電流のフリーザへの磁気的連結を有する実施形態の概略図である。
【図43】図43は、氷剥離のための、加熱電流のフリーザへの磁気的連結を含む2つのゾーンを有する実施形態の概略図である。
【図44】図44は、ある実施形態に取り組む修理業者に対する負傷を防止するように意図されるインターロックスイッチを示す部分概略図である。
【図45】図45は、狭く離間されたコイル状マイクロチャネル蒸発器を有する実施形態を示す。
【図46】図46は、狭く離間された渦巻線状巻線マイクロチャネル蒸発器を有する実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(図の詳細な説明)
熱交換器は、熱容量間で熱を伝達する役割を果たす。一熱交換器構成では、循環する冷却剤により冷却される熱交換器表面に隣接して空気が循環し、空気は、熱を冷却剤に移す。冷却剤の温度が十分低い場合、氷が表面上に形成され、表面と空気との間の熱交換が妨げられる。熱交換表面を除霜するために冷凍システムに加えられる熱は、空気との熱交換を再開するためにシステムから除去されなければならないため、最小限の付加熱でこのような氷を除去することが望ましい。最小限の量の熱で頻繁に除霜される熱交換器のフィン間隔dは、通常の間隔よりも大幅に低減されるため、熱交換率(W/mK)が増加する。これにより、熱交換器の面積、体積、および質量の低減が可能になる。熱交換器が小型であればあるほど、少ない熱で簡単に除霜することが可能である。層流では、対流熱交換係数は、dに反比例する。これにより、1/dだけ熱交換器の体積の低減が可能になる。例えば、従来の6mmから1mmへのdの低減によって、l/6=l/36だけ熱交換器の体積の低減が可能になる。
【0017】
図1は、パルス電熱氷剥離装置20を概略的に示す。装置20は、加熱器10と、電力供給部14から加熱器10への電力の印加を制御するスイッチ12とを含む。他の実施形態では、電力供給部14は、装置20の一部を形成してもよい。スイッチ12は、電力供給部14を加熱器10に接続する電気回路において配置されるように図示されるが、スイッチ12は、この回路に配置される必要はなく、スイッチ12は、電力供給部14への入力部とともに直列で配置され得るか(このような入力部は図1に示されない)、または電力供給部14に組み込まれ得る。
【0018】
装置20は、より詳細に後述するように、1つ以上の表面から氷を剥離するように動作する。本明細書において使用する際、「剥離」は、氷の少なくとも界面層を溶解することによって、1つ以上の表面から氷を解凍することを意味し得るか、あるいは氷の完全な溶解および/または蒸発を意味し得る。装置20の実施形態を参照する前に、電力供給部14についてより詳細に説明する。
【0019】
図2は、電力を負荷(例えば、加熱器10)に提供するように動作可能である電力供給部14を概略的に示す。電力供給部14は、交流(「AC」)電力供給部および/または直流(「DC」)電力供給部であり得る。
【0020】
電力供給部14は、入力部1002(1)および1002(2)ならびに出力部1004(1)および1004(2)を有するように示される。入力部1002は、建物または自動車の電力分配システム等の電源から電力を受信するように、電力供給部14に経路を提供する。しかしながら、電力供給部14のいくつかの実施形態は、入力部1002を含まなくてもよく、エネルギー貯蔵要素(例えば、電池および/またはコンデンサ)含み、かつ短期間の動作だけを対象とする電力供給部14の実施形態は、後述するように、入力部を含む必要はない。電力供給部14は、2つの入力部を有するように示されるが、電力供給部14は、3相AC電力等の2つを上回る入力部を有してもよい。
【0021】
出力部1004は、加熱器10の1つ以上の事例等の1つ以上の負荷に電流を提供するように、電力供給部14に経路を提供する。電力供給部14は、2つの出力部1004を有するように示されるが、電力供給部14は、2つを上回る出力部1004を有してもよい。各出力部1004は、相互の出力部に関する電圧を有する。各電圧は、ゼロであり得る周波数を有する。
【0022】
電力供給部14がその出力部の全てを介して1つ以上の負荷に供給可能である電流の総量は、電力供給部14の出力定格電流と呼ばれる。電力供給部14の定格電流は、連続動作条件下および/またはパルス動作条件下で特定され得る。電力供給部14の連続定格電流は、電力供給部14が1つ以上の負荷に連続的に供給可能である最大量の電流である。電力供給部14のパルス定格電流は、最小期間に1回よりも頻繁に再発しない最大持続時間までの間に、電力供給部14が1つ以上の負荷に供給可能である最大量の電流である。
【0023】
電力供給部14の連続定格電流およびパルス定格電流は、電流の大きさ対時間のグラフである図3を参照することにより理解され得る。縦軸1020は、電力供給部14により1つ以上の負荷に供給される総電力を表し、横軸1022は、時間を表す。点線で示される曲線1028は、電力供給部14の例示的連続定格電流を表す。曲線1028から決定できるように、電力供給部14は、時間に対して一定である連続定格電流の大きさ1024を有する。したがって、電力供給部14は、最大その連続定格電流1024まで、電流を連続的に供給することができる。
【0024】
実線により表される曲線1030は、電力供給部14の例示的最大パルス定格電流を表す。最大定格電流が時間の関数であることに留意されたく、曲線1030は、電流パルス1032を規定する。各電流パルス1032は、最大持続時間tonを有し、最大期間tperiod中に1度だけ発生可能である。したがって、電力供給部14は、最大1026の大きさを有する電流パルス1032を提供することができる。しかしながら、電流パルス1032は、持続時間tonを上回ることはできず、最大期間tperiod中に1回よりも頻繁に発生することができない。
【0025】
電流パルス1032は、以下の式により求められるそのデューティサイクル、Dによって特徴付けられ得る。
【数1】

【0026】
例えば、tonが1分であり、かつtperiodが10分であると仮定する。電流パルス1032のデューティサイクルは、以下の式により求められる。
【数2】

【0027】
図3に示す例が、連続定格電流1028を上回る大きさ1026を有する電流パルス1032を示すことに留意されたい。パルス定格電流が連続定格電流を上回る電力供給部14の実施形態では、電力供給部14は、パルスレート化されると考えられ得る。パルスレート化された電力供給部は一般的であり、その理由は、電力供給部の最大定格電流が電力供給部の熱限界によってしばしば拘束され、電力供給部内の一定の構成要素が安全動作温度を上回らないという要件によって、電力供給部の連続定格電流が拘束されるからである。電力供給部の連続定格電流が熱的に拘束される場合、電力供給部は、連続定格電流を上回る大きさの電流の短電流パルスをしばしば提供することができ、その理由は、電力供給部による負荷への電流の供給に応答して電力供給部が加熱する迅速さを制限する熱容量を電力供給部が含むからである。別の言い方をすると、熱的に拘束される連続定格電流を有する電力供給部は、過剰な電流の持続時間が電力供給部の過剰加熱を防止するのに十分短い限り、その連続定格電流よりも多くの電流をしばしば提供することができる。
【0028】
電力供給部14のサイズおよび/または費用は、そのパルス定格電流よりもその連続定格電流によって、しばしば影響される。したがって、電力供給部14の実施形態では、電力供給部14の費用および/またはサイズは、連続定格電流を最小化することによって低減される。
【0029】
後述するように、パルス電熱氷剥離装置のいくつかの実施形態は、電力供給部14が加熱器10に電流を連続的に提供することを必要とせず、電力供給部14は、電流のパルスを加熱器10に提供しさえすればよい。これによって、電力供給部14がパルスレート化される場合、電力供給部14の連続定格電流が有利に最小化可能になってもよく、電力供給部14は、そのパルス定格電流だけが加熱器10の電流の大きさ要件を満たすように設計されてもよく、電力供給部14の連続定格電流は、加熱器10の電流の大きさの要件よりも大幅に小さくなり得る。したがって、電力供給部がパルスレート化され、かつそのパルス定格電流のみが加熱器10の電流の大きさの要件を満たすように電力供給部を設計することによって、電力供給部14は、安価および/または小型化され得る。
【0030】
上述のように、各出力部1004は、相互の出力部に関する電圧を有する。各出力部の電圧は、後述するように、負荷の抵抗を少なくとも部分的に考慮して選択され得る。直流回路では、抵抗負荷において消費される電力、Pは、以下の式により求められる。
【0031】
【数3】

式中、Vは、負荷における電圧であり、Rは、負荷の抵抗である。抵抗負荷において、負荷により生成される熱は、概して、負荷において消費される電力量に比例する。式3によると、所与の量の電力が負荷において消費される場合、負荷における電圧は、負荷の抵抗が増加するにつれて増加しなければならず、その反対も同様である。したがって、加熱器10が比較的小さい抵抗を有する場合、電力供給部14の少なくとも1つの出力部は、加熱器10が一定量の熱を生成するために、比較的小さい電圧しか必要とし得ない。反対に、加熱器10が比較的大きい抵抗を有する場合、少なくとも1つの出力部は、加熱器10が一定量の熱を生成するために、比較的大きい電圧を有することを必要とし得る。
【0032】
各出力部1004の電圧は、上述のように周波数を有する。周波数は、負荷の抵抗を少なくとも部分的に考慮して選択され得る。例えば、加熱器10の抵抗は、加熱器により伝導される電流の周波数が増加するにつれて増加し得る。このような抵抗の増加は、周波数により誘起される加熱器10の導電体における表皮効果および/または近接効果に起因し得る。したがって、電力供給部14は、その出力部が比較的高い周波数による電圧を有するように設計され、加熱器10を通る電流が、加熱器10の抵抗増加および加熱器10により生成される熱をもたらす対応する高周波数を有するようにする。
【0033】
電力供給部14の実施形態は、より詳細に後述する電力供給部14(1)、14(2)、14(3)、または14(4)を含み得る。複数の事例の電力供給部14(1)、14(2)、14(3)、および/または14(4)を電力供給部14が含んでもよいことを理解されたい。
【0034】
図4は、少なくとも1つの事例の電池1060を含む電力供給部14(1)を概略的に示す。電池1060は、任意選択により、1つ以上のコンデンサによって補完されるか、または1つ以上のコンデンサに置換されてもよい。電池1060は、出力部1004(3)および1004(4)を介して電流を負荷(例えば、加熱器10)に提供するように動作可能である。電力供給部14(1)は、出力部1004を2つだけ含んで図示されるが、電力供給部14(1)は、2つを上回る出力部1004を有してもよい。
【0035】
電池1060は、充電池の技術分野において既知であるように、鉛酸蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、またはニッケル水素電池であり得る。電力供給部14(1)は、電池1060の出力電圧を調節するために、調節サブシステム(図示せず)を、任意選択により含んでもよい。調節サブシステムは、線形調節器および/または切り替え電力変換器を含んでもよい。図4のような電池の実施形態は、電力供給部入力部1002(3)および1002(4)からの高瞬時電力流出を回避する際に有利である。本実施形態では、充電器1062が、電力パルス間に電池1060を再充電するかなりの時間を有するため、充電器1062は、平均負荷を提供しさえすればよい。
【0036】
充電器1062は、その充電が部分的または全体的に消耗される場合に、電池1060を再充電するために、電力供給部14(1)に任意選択により含まれてもよい。充電器1062は、電源に接続可能である入力部1002(例えば、入力部1002(3)および1002(4))により電力供給される。このような電源の例として、建物または自動車の電力分配サブシステムが挙げられる。電力供給部14(1)は、2つの入力部1002を有して図4に図示されるが、電力供給部14(1)は、2つを上回る入力部1002を有してもよい。さらに、電力供給部14(1)が充電器1062を含まない場合、電力供給部14(1)は、いかなる入力部1002も含む必要はない。
【0037】
図5は、電子切り替え式電力供給部である電力供給部14(2)を概略的に示す。切り替え式電力供給部は、「電子回路用変成器」とも呼ばれ得る。電力供給部14(2)は、少なくとも1つの事例の切り替え要素1064および/または切り替え要素1066を含む。また、電力供給部14(2)は、少なくとも1つの事例の磁気要素1068も含む。磁気要素1068は、図5において変成器として示されるが、磁気要素1068は、インダクタであってもよい。切り替え要素1064および/または切り替え要素1066は、フライバックコンバータ、フォワードコンバータ、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータ、バックコンバータ、ブーストコンバータ、および/またはバック/ブーストコンバータを含むがこれらに限定されない切り替え電力トポロジを実装するために、磁気要素1068と連動して構成される。切り替え式電力供給部14(2)は、入力電源1002(5)、1002(6)(例えば、交流(「AC」)電源または直流(「DC」)電源)を、端子1004(5)、1004(6)を介して電流を負荷(例えば、加熱器10)に提供するように動作可能である出力電源に変換する。
【0038】
図6は、少なくとも1つの事例のライン周波数変成器1070を含む電力供給部14(4)を概略的に示す。ライン周波数変成器1070は、通常は、スイッチ1071を介してライン周波数電源に接続される入力部1002(7)、1002(8)を有し、ライン周波数電源は、建物または電力会社の電力分配システムであり得る。スイッチ1071は、1つ以上のMOSFETまたは他の半導体素子を組み込む電子スイッチであり得る。ライン周波数変成器1070は、負荷(例えば、加熱器10)に接続され得る端子を有するため、電力供給部14(4)は、ライン周波数電源から負荷に電力供給し得る。電力供給部14(4)は、ライン周波数電源からの電力を、負荷に適合する形式に変換し得る。ライン周波数電源は、通常は、1,000ヘルツ(「Hz」)未満の周波数を有するAC電源である。例えば、ライン周波数電源は、電気会社により提供され、50ヘルツまたは60Hzの周波数を有し得る。ライン周波数変成器は、しばしば、電力分配システムに直接接続されるように意図される。例えば、ライン周波数変成器は、208ボルト(「V」)から、建物の60Hzの電力分配システムを直接動作させるように意図され得る。ライン周波数変成器1070に加え、電力供給部14(4)は、追加の電力を調整およびフィルタリングする構成要素1069を含み得る。
【0039】
ライン周波数変成器1070(図6)は、切り替え式電力供給部変成器1068(図5)とは対照的である。切り替え式電力供給部14(2)(図5)等の切り替え式電力供給部は、一般的に、何十キロヘルツ以上の周波数で動作し、したがって、切り替え式電力供給部変成器は、概して、何十キロヘルツ(例えば、100kHz)で動作するように意図され、一方、ライン周波数変成器は、何十ヘルツ(例えば、50Hz)で動作するように意図される。
【0040】
次に、電力供給部14(2)および14(4)に使用される変成器の設計考察について説明する。図7は、ライン周波数変成器1070(図6)または切り替え式電力供給部変成器1068(図5)を表し得る変成器1072を概略的に示す。一定の縮尺で示されない変成器1072は、コア1078により磁気的に連結される巻線1074および1076を含む。変成器1072は、巻線を2つだけ含んで図示されるが、変成器1072は、2つを上回る巻線を含んでもよい。さらに、コア1078は、図7に示す構成とは異なる構成を有してもよく、薄鋼板もしくは鋼積層から、または粉末状の鉄を含有する「フェライト」複合材料もしくはセラミック材料から作製されてもよい。
【0041】
変成器1072の巻線(例えば、巻線1074および1076)は、十分低い電気抵抗を呈する任意の導電体から作製されてもよく、所望の形状に形成可能である(例えば、巻線は、コア1078に巻回可能である)。例えば、巻線は、銅またはアルミニウムから作製されてもよく、中実、撚線状、または中空の管状導体から作製されてもよい。銅が、アルミニウムよりも低い電気抵抗および高い熱伝導性を有し、これにより、後述のように、所与のサイズの変成器1072がより大きな負荷電流に対応可能になることから、銅は、いくつかの用途においてアルミニウムより好適であり得る。一実施形態では、1072の2次巻線1076は、銅ワイヤから作製され、別の実施形態では、1072の2次巻線1076は、合金冷凍管をコア1078の周辺に直接巻き付けることによって形成される。
【0042】
変成器1072の巻線(例えば、巻線1074および1076)は、絶縁体によって電気的に絶縁され、絶縁体は、図示を明瞭にするために示されない。巻線の絶縁体は、定格電圧および定格温度を含む特性によって特徴付けられ得る。定格電圧は、絶縁が失敗する許容不可能な危険が発生する前に、絶縁体において印加可能である最大電圧である。高定格電圧の絶縁体を有する変成器は、対応する高電圧が1つ以上の巻線に印加される可能性がある用途において有利に使用され得る。
【0043】
1次巻線1074は、入力電力供給部に接続され、巻線1074における入力電力供給部からの電流は、磁束を生成する。コア1078は、相当量の磁束を指向し、負荷(例えば、加熱器10)に接続される2次巻線1076に磁束が連結するようにする。磁束は、負荷に電力供給する2次巻線1076において電流を誘起する。
【0044】
コア1078は、変成器1072の巻線(例えば、巻線1074および1076)に磁気的に連結するように意図される。したがって、コア1078は、比較的低い磁気抵抗を有し、複数の鋼積層または1つ以上の粉末状の鉄および/またはフェライトコア構造を含む材料から構築されてもよい。
【0045】
コアのサイズは、概して、変成器の動作周波数によって主に支配され、動作周波数が高いと、概して、コア1078が小さいサイズを有することが可能になる。変成器のサイズは、そのコアのサイズに大きく依存するため、変成器1072は、低周波数で動作するように意図される場合には比較的大きく、高周波数で動作するように意図される場合には比較的小さくてもよい。したがって、両方の変成器が同等の定格電流および定格電圧を有する場合、ある事例のライン周波数変成器1070は、ある事例の切り替え式電力供給部変成器1068よりも大幅に大きくなり得る。
【0046】
変成器1072は、最大の定格電圧および定格電流を有する。巻線1074および/または1076に印加可能である最大電圧である最大定格電圧は、巻線1074および/または1076上の絶縁が破壊および破滅される電圧(「破壊電圧」)によって主に支配される。変成器1072の最大定格電圧は、巻線1074および/または1076がその破壊電圧に近似しないように選択される。
【0047】
変成器1072の最大定格電流は、変成器1072の最大安全動作温度から主に決定される。最大安全動作温度は、その温度を超えると、巻線1074および/または1076上の絶縁が破壊する許容不可能な危険が発生する動作温度である。変成器1072は、変成器1072において損失されるエネルギーにより動作中に加熱し、このような損失エネルギーは、単に損失と呼ばれ得る。変成器1072の最大連続定格電流は、大気温度を含む特定の動作条件下で、変成器1072がその最大安全動作温度を上回らずに、変成器1072が連続的に提供可能である最大量の電力である。
【0048】
損失のうちの1つの成分は、巻線1074および1076を流れる電流から生じる巻線損失であり、この場合、両巻線は、ゼロを上回る抵抗を有する。巻線損失は、電流Iを2乗し、かつ巻線の抵抗Rで乗算することによって推定され得る。しかしながら、抵抗Rが電流Iの周波数の関数として変動し得ることを理解されたい。巻線損失は、変成器1072の設計が最適化される場合、具体的には、変成器1072が比較的低い周波数で動作する場合に、支配的な損失であり得る。
【0049】
損失のうちの別の成分は、コア1078内の磁束の変化によりコア1078内で損失されるエネルギーをもたらすコア損失である。したがって、コア損失は、概して、変成器1072の動作周波数が増加すると増加する。ゆえに、コア損失は、変成器1072が低周波数で動作する場合、比較的小さくなり得る。また、コア損失は、コアが構築される材料に応じて変動し、概して、薄鋼板または鋼積層コアよりもフェライトコアでは、高周波数において小さくなる。
【0050】
図6の電力供給部14(4)を再び参照すると、ライン周波数変成器1070は、上述のように、対応する切り替え式電力供給部変成器よりも大きくなり得る。しかしながら、比較的大きいサイズのライン周波数変成器1070は、大きい熱容量を有するライン周波数変成器1070を本質的にもたらし、大きい熱容量を有するライン周波数変成器1070は、小さい熱容量を有する変成器(例えば、切り替え式電力供給部14(2)の変成器1068(図5))よりも、熱源への暴露時にゆっくりと加熱する。結果として、ライン周波数変成器1070(図6)は、切り替え式電力供給部変成器1068よりも良好に、過渡熱加熱に耐えることが可能であり得る。
【0051】
上述のように、変成器の最大連続定格電流は、特定の動作条件下において、その最大安全動作温度を上回らずに、変成器が連続的に供給可能である最大の電流の大きさである。しかしながら、上述のように、ライン周波数変成器1070は、比較的大きい熱容量を有する。ゆえに、ライン周波数変成器1070は、その最大連続定格電流を大幅に上回る電流を、短期間の間、供給することが可能である。ゆえに、電力供給部14(4)は、電流が引き込まれ、かつライン周波数変成器1070がその最大安全動作温度を上回ることを防止するために電力供給部14(4)のデューティサイクルが十分低い限り、ライン周波数変成器1070の最大連続定格電流を上回って電流パルスを有利に供給し得る。上述のように、および詳細に後述するように、多数のパルス電熱氷剥離の実施形態は、何十秒から何十分持続する電流のパルスを電力供給部14が提供することを必要とするだけであり、この場合、各パルスは、小デューティサイクルを有する。したがって、多数のパルス電熱氷剥離の実施形態では、電力供給部14(4)を使用してもよく、この場合、電力供給部14(4)により提供される電流パルスの大きさは、ライン周波数変成器1070の最大連続定格電流を上回る。
【0052】
再び図5の電力供給部14(2)を参照すると、切り替え式電力供給部変成器1068は、概して、ライン周波数変成器(例えば、ライン周波数変成器1070、図6)と比べて比較的小さい。ゆえに、切り替え式電力供給部変成器1068は、概して、ライン周波数変成器よりも小さい熱容量を有し、切り替え式電力供給部変成器1068は、ライン周波数変成器と同じ大きさのパルス電流に対応することが不可能である。しかしながら、その有効質量を増加させ、かつさらなる大きさ、持続時間、および/またはデューティサイクルを有する電流パルスに適応可能にするために、放熱材料を切り替え式電力供給部変成器1068に適用することが可能である。
【0053】
同様に、切り替え式電力供給部に必要とされる切り替え要素1064および1066の電力工学/機器は、通常は、少なくとも一部の熱容量を提供する放熱板に装着される。切り替え要素1064および1066の定格能動電子構成要素に関する主な考察は、能動機器のシリコン接合を過度に高い温度に暴露することを回避することである。
【0054】
通常は、シリコントランジスタ、トライアック、シリコン制御整流器(SCR)、ならびに切り替え要素1064および1066の他の能動構成要素は、最大定格電流と、最大定格電力消費との両方を有する。最大定格電流は、構成要素の短期間電力処理能力を表し、一方、最大定格電力消費は、機器パッケージ、取り付けられた放熱板、および気流に依存し、長期間電力処理能力を表す。
【0055】
放熱板およびファン(特に、多数のワットを処理可能であるもの)は、高価であり、重くてかさ張る。多数の能動機器は、その最大定格電力消費により標示される電力処理能力をかなり上回る短期間電力能力を標示する最大定格電流を有する。ゆえに、切り替え要素1064および1066のシリコン能動機器が、負荷への連続的な電力の代わりに、短期パルスを負荷に提供するように設計される場合、機器パッケージ、放熱板、および冷却ファンにおいて節約することが可能である。
【0056】
再び図7を参照すると、変成器1072の追加の設計考察について説明する。変成器1072が、小デューティサイクルを有して動作するライン周波数変成器1070を表す場合、電流パルスが低デューティサイクルを有する際に、電流パルスを負荷(例えば、加熱器10)に提供するために、高流束密度(但し、飽和未満)および高巻線電流密度により、変成器1070を動作させることが有利であり得る。
【0057】
巻線電流密度は、変成器1072の特定の巻線におけるピーク電流として定義される。巻線電流密度は、過剰に加熱ひいては溶解せずに、および/またはその最大安全動作温度を超えて変成器1072の温度を上昇させずに、巻線が搬送可能である電流の量によって制限される。巻線電流密度の増加は、連続用途に比べて、低デューティサイクル用途において許容される。
【0058】
本書において、その連続出力電流容量よりも少なくとも2倍大きいパルス化出力電流を提供する能力を有する電力供給部は、断続使用電力供給部である。
【0059】
図8Aは、パルス電熱氷剥離装置20(図9、図10参照)の一部分Aを示す。装置20を含む冷凍ユニット(図示せず)は、管4に冷却剤8を流す。熱は、冷凍ユニットから冷却剤8に伝達する。冷却フィン2は、熱伝達を促進するために管4と熱的接触する。氷6(1)は、水蒸気から管4および/またはフィン2の表面上に凝縮し得る。氷6(1)は、熱伝達を妨げる。装置20は、管4および/またはフィン2の表面から氷6(1)を定期的に剥離し、このようにして冷却効率を促進する。図8Bは、管4およびフィン2から氷6(1)が剥離された後の部分Aを示す。
【0060】
図9は、パルス電熱氷剥離装置20(1)を示す。図9は、一定の縮尺で示されない。冷却剤8(図8A、図8B参照)は、冷却剤管4(1)を流れ、管4(1)と熱的接触する冷却フィン2(1)は、冷却剤への熱伝達を促進する。冷却剤管4(1)および冷却フィン2(1)は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から作製され得る。Aと表示される場所は、図8Aおよび図8Bに図示される部分Aを表す。氷6(1)(図8A、図8B参照)は、冷却剤管4(1)およびフィン2(1)のうちの一方または両方の上に成長し得る。装置20(1)において、フィン2(1)は、図1の加熱器10の例である。数個のフィン2(1)のみが、図示を明瞭にするために図9に示される。フィン2(1)は、導電性であり、スイッチ12(1)および12(2)ならびに接地16の間で、図示するように蛇行構成で接続する。管4(1)は、電気絶縁体または導電体から形成され得るが、導電体から形成される場合、管4(1)は、フィン2(1)から実質的に電気的に絶縁される。管4(1)とフィン2(1)との間の電気的絶縁は、例えば、金属酸化物(例えば、陽極酸化塗膜)、ポリマー、複合材料、および/または他の誘電体等の材料を管4(1)とフィン2(1)との間に介在させることによって達成され得る。フィン2(1)は、加熱器区分7(1)および7(2)を形成する。
【0061】
氷剥離が所望される場合、スイッチ12(1)および/または12(2)は閉鎖し、端子18(1)および18(2)において入手可能である電力を加熱器区分7(1)および/または7(2)にそれぞれ印加する。スイッチ12(1)および12(2)は、電気機械的な継電器であり得るか、または電子スイッチであり得る。電力は、フィン2(1)において熱を生成し、氷6(1)を剥離する。装置20(1)において、管4(1)は、直接(例えば、電気的に)加熱されないが、フィン2(1)との熱的接触によって管4(1)が加熱されるため、管4(1)上の氷は剥離する。2つの加熱器区分7(1)および7(2)へのフィン2(1)の組織化は、単に例示的であり、他の実施形態では、フィンが1つのみの加熱部分に組織化されてもよく、または2つを上回る加熱器区分に組織化されてもよいことを理解されたい。
【0062】
パルス電熱氷剥離装置20(1)を含む冷凍ユニットは、冷却剤源に接続される弁を閉鎖するが、引き続き冷凍圧縮機を稼動することによって、氷剥離前に、管4(1)から冷却剤8を排出し得る。氷剥離前に管4(1)から冷却剤8を排出することは、氷剥離中に生成される熱が管4(1)およびフィン2(1)の熱容量だけに作用し、熱が冷却剤の加熱に浪費されないために有利であり得る。冷却剤を加熱しないことによって、氷剥離が加速し、印加しなければならない全体の熱が減少するため、冷凍を再開する際に冷却剤の再冷却に必要な電力が低減される。
【0063】
装置20(1)を利用する冷凍またはフリーザユニットの他の過程が、氷剥離と連携することを理解されたい。例えば、冷凍またはフリーザユニットがファンを利用して熱を装置20(1)に伝達する場合、ファンは、氷剥離中に停止し得る。個々のファンが氷剥離を受ける区分(例えば、区分7(1)または7(2))に隣接して配置される場合、氷剥離を受ける区分に隣接するファンは停止してもよく、一方、他の区分に隣接するファンは動作を継続してもよい。
【0064】
図10は、パルス電熱氷剥離装置20(2)を示す。図10は、一定の縮尺で示され得ない。冷却剤8(図8A、図8B参照)は、冷却剤管4(2)を流れ、管4(2)と熱的接触する冷却フィン2(2)は、冷却剤への熱伝達を促進する。数個のフィン2(2)のみが、図示を明瞭にするために図10に示される。冷却剤管4(2)および冷却フィン2(2)は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から作製され得る。Aと表示される場所は、図8Aおよび図8Bに図示される部分Aを表す。氷6(1)(図8A、図8B参照)は、冷却剤管4(2)およびフィン2(2)のうちの一方または両方の上に成長し得る。装置20(2)において、管4(2)は、図1の加熱器10の例である。管4(2)は、スイッチ12(3)、12(4)、および12(5)ならびに接地16の間で接続する。フィン2(2)は、電気絶縁体または導電体から形成され得るが、導電体から形成される場合、フィン2(2)は、管4(2)から実質的に電気的に絶縁される。管4(2)とフィン2(2)との間の電気的絶縁は、例えば、金属酸化物(例えば、陽極酸化塗膜)、ポリマー、複合材料、および/または他の誘電体等の材料を管4(2)とフィン2(2)との間に介在させることによって達成され得る。管4(2)は、加熱器区分7(3)、7(4)、および7(5)を形成する。
【0065】
氷剥離が所望される場合、スイッチ12(3)、12(4)、および/または12(5)は閉鎖し、端子18(3)において入手可能である電力を加熱器区分7(3)、7(4)、および/または7(5)にそれぞれ印加する。電力は、管4(2)において熱を生成し、氷6(1)を剥離する。装置20(2)において、フィン2(2)は、直接(例えば、電気的に)加熱されないが、管4(2)との熱的接触によってフィン2(2)が加熱されるため、フィン2(2)上の氷は剥離する。3つの加熱器区分7(3)、7(4)、および7(5)への管4(2)の組織化は、単に例示的であり、他の実施形態では、管が3つ未満または3つを上回る加熱器区分に組織化されてもよいことを理解されたい。
【0066】
上述の装置20(1)のように、装置20(2)を含む冷凍ユニットは、冷却剤の加熱に熱を浪費することを回避するために、氷剥離の前に冷却剤8を排出し得る。一代替案では、区分7(3)、(4)、および7(5)は、管4(2)の区分として画定されるため、弁および管は、除霜されていない区分における流動と、除霜されている区分からの冷却剤の断熱および/または排出を冷却剤が継続可能であるように設けられ得る。装置20(2)を利用する冷凍またはフリーザユニットにおいて動作する他の特徴(装置20(1)に関連して上述するファン等)が氷剥離と連携することを理解されたい。
【0067】
別の代替案では、装置20(2)は、管4(2)を通る冷却剤の移動に区分が「後続」するように、区分における氷を剥離してもよい。例えば、図10の実施形態では、冷却剤は、通常、区分7(3)、(4)、および7(5)を通って、順に移動し得る。冷却剤が管4(2)を通って移動する速度は、装置20(2)を含むユニットの冷凍システム設計から決定可能である。冷却剤が、通常、管4(2)を流れる間、装置20(2)は、第1のパルスの電力を区分7(3)に印加してもよく、第1のパルスの持続時間は、区分7(3)から氷を剥離するのに十分である。区分7(3)における冷却剤は、第1のパルスにより生成される熱の一部を吸収する。装置20(2)は、その後、冷却剤が管4(2)を通って移動する速度を把握して配置される時間遅延の後に、第2のパルスの電力を区分7(4)に印加し、第1のパルス中に区分7(3)にあった冷却剤が、第2のパルス中に区分7(4)にあるようにする。第1のパルス中に区分7(3)における冷却剤により吸収された熱は、第2のパルス中の区分7(4)の加熱に役立ち、区分7(4)からの氷の剥離に必要な第2のパルスの持続時間を減少させ得る。装置20(2)は、その後、冷却剤が管4(2)を通って移動する速度を把握して配置される時間遅延の後に、第3のパルスの電力を区分7(5)に印加し、第2のパルス中に区分7(4)にあった冷却剤が、第3のパルス中に区分7(5)にあるようにする。第1および第2のパルス中に区分7(3)および7(4)における冷却剤により吸収された熱は、第3のパルス中の区分7(5)の加熱に役立ち、区分7(5)からの氷の剥離に必要な第3のパルスの持続時間を減少させ得る。本明細書に説明する方法が、冷却剤が順番に流れる任意の数の区分について冷却剤を繰り返してもよいことを理解されたい。
【0068】
図11は、パルス電熱氷剥離装置20(3)を示す。図11は、一定の縮尺で示され得ない。冷却剤8(図8A、図8B参照)は、冷却剤管4(3)を通過し、管4(3)と熱的接触する冷却フィン2(3)は、冷却剤への熱伝達を促進する。数個のフィン2(3)のみが、図示を明瞭にするために図11に示される。冷却剤管4(3)および冷却フィン2(3)は、例えば、銅、アルミニウム、もしくはそれらの合金から作製され得るか、または低熱伝導抵抗を有する他の材料から作製され得る。Aと表示される場所は、図8Aおよび図8Bに図示される部分Aを表す。氷6(図8A、図8B参照)は、冷却剤管4(3)およびフィン2(3)のうちの一方または両方の上に成長し得る。装置20(3)において、管4(3)は、図1の加熱器10の例である。管4(3)は、3つの加熱器区分7(6)、7(7)、および7(8)を形成するために、スイッチ12(6)、12(7)、および12(8)ならびに接地16の間で接続する。フィン2(3)は、電気絶縁体または導電体から形成されてもよく、導電体から形成される場合、フィン2(3)は、管4(3)と電気的に接続され得るが、フィン2(3)は、共通加熱器区分内においてのみ接続し、このようにして、加熱器区分において実質的に等電位に配置される。氷剥離が所望される場合、スイッチ12(6)、12(7)、および/または12(8)は閉鎖し、端子18(4)において入手可能である電力を加熱器区分7(6)、7(7)、および/または7(8)にそれぞれ印加する。電力は、管4(3)において熱を生成し、氷6を剥離する。装置20(3)において、導電性であり、かつ管4(3)に連結されていたとしても、フィン2(3)を通過する電流がほとんど無いため、フィン2(3)の電気加熱は、発生し得るが、偶発的である。主に、フィン2(3)が管4(3)との熱的接触により加熱されるため、フィン2(3)上の氷は、剥離する(すなわち、図1に関連して上述したように、解凍するか、あるいは完全に溶解および/または蒸発する)。3つの加熱器区分7(6)、7(7)、および7(8)への管4(3)の組織化は、単に例示的であり、他の実施形態では、管が3つ未満または3つを上回る加熱器区分に組織化されてもよいことを理解されたい。
【0069】
上述の装置20(1)および20(2)を含む冷凍ユニットのように、装置20(3)を含む冷凍ユニットは、冷却剤の加熱に熱を浪費することを回避するために、氷剥離の前に冷却剤8を排出し得る。一代替案では、区分7(6)、(7)、および7(8)は、管4(3)の区分として画定されるため、弁および管は、除霜されていない区分における流動と、除霜されている区分からの冷却剤の断熱および/または排出を冷却剤が継続可能であるように設けられ得る。装置20(3)を利用する冷凍またはフリーザユニットにおいて動作する他の特徴(装置20(1)および20(2)に関連して上述するファン等)は、氷剥離と連携してもよい。装置20(2)に関連して上述したように、区分を通る冷却剤に氷剥離が「後続」するように時間を計った順番の区分で氷剥離を実行してもよい。
【0070】
実施例1。単一の1メートルの管を含むパルス電熱氷剥離装置が製造および試験された。管は、1cmの外径と1.4ミリオームの電気抵抗とを有する銅から形成された。装置は、200個のアルミニウムのフィンを含み、各フィンは、0.19mmの厚さと4cmx4cmの面積とを有し、フィンは、管上で4mm離間された。T=−10℃の冷たいグリコールを管に流し、管を冷却して、霜を管およびフィン上に形成した。1.4Vの電圧および1000Aの電流におけるDC電力のパルスは、4秒から5秒の長さであり、装置上に形成されていた霜の全てを剥離した(この場合、溶解した)。
【0071】
図12は、冷凍ユニットの冷却剤管および/またはフィンから氷を剥離する過程30のフローチャートである。過程30は、例えば、パルス電熱氷剥離装置20(1)〜20(3)のいずれかによって実装され得る。ステップ32において、冷凍ユニットは、冷凍モードで動作する。低温の冷却剤が、冷却剤管を循環して、管および/または冷却フィンを冷却し、熱(例えば、冷凍されるものからの熱または壁を通って拡散するか、もしくはユニットにおける開口部を通って漏出する熱)は、冷凍ユニットから管および/またはフィンに伝達する。冷凍ユニットにおける空気からの水蒸気は、冷却剤管および/または冷却フィン上で氷として凝縮し得る。ステップ34において、通常の冷凍モードを一時的に中断して、氷の剥離中にエネルギーを保存する。ステップ34は、任意選択であり、一定の冷凍ユニットにおいて発生しなくてもよい。例えば、ステップ34は、一定の区分において冷凍を継続する一方で、他の区分が除霜されることが望ましいユニットにおいて発生しなくてもよい。ステップ36は、電力のパルスを冷却剤管および/または冷却フィンに印加して、剥離される第1の区分において、それらの上に集められた氷を剥離(例えば、解凍、溶解、または蒸発)する。ステップ36の例として、対応するスイッチ12(1)〜12(8)を閉鎖することによって、区分7(1)から7(8)のいずれかの上に蓄積された氷を剥離することが挙げられる。ステップ38は、氷の剥離が完了したか否か、あるいは冷却剤管および/またはフィンの追加の区分を除霜するべきか否かを決定する。氷の剥離が完了した場合、方法30は、ステップ32において通常の冷凍モードを再開する。追加の区分を除霜する場合、任意選択の遅延ステップ39により、一区分の除霜の際に熱を吸収した冷却剤は、次の区分への移動が可能になり、ステップ40は、次の区分を除霜し、次に、方法30は、ステップ38に戻り、氷の剥離が完了したか否かに関する決定を繰り返す。
【0072】
N個の区分を有する図11のような実施形態では、区分の各々は、P秒毎におけるM秒の間、スイッチ12(1〜8)による順番スケジュールで、氷剥離のために電力を受信し、電力供給部の結果として生じるデューティサイクル要件は、N*M/Pである。例えば、3つの区分を有し、その各々が15分毎に30秒の間除氷される実施形態は、10パーセントの負荷デューティサイクルに対応可能である電力供給部を必要とする。
【0073】
あるいは、各区分に、別々の専用電力供給部(図示せず)が設けられてもよい。本実施形態では、各専用電力供給部は、M/Pの負荷デューティサイクルに対応可能でなければならない。例において、3つの区分を有し、その各々が15分毎に30秒の間除氷され、その各々に専用電力供給部が設けられる実施形態では、各電力供給部は、3と1/3%の負荷デューティサイクルに対応しさえすればよい。
【0074】
図13は、管およびフィンの組み立て体620の配列を有する熱交換器600の一実施形態を示し、各組み立て体620は、図示するように、管606上に装着されるフィン604を有する。通常の動作において、冷却される気体は、矢印の方向614に流れ、一方、冷却剤は、矢印612の方向に管606を流れる。各管606は、スイッチ610を介して電源608に接続し、スイッチ610の閉鎖時に、電流が管606を流れて熱を生成し、それによって熱交換器600を除氷するように動作するようにする。図13において、図示を明瞭にするために、電気接続を含む管606が1つだけしか示されない。短電流パルスが管606を通過する場合、管606の壁内においてジュール熱が生成される。管606とフィン604との間の熱抵抗が極めて低いため、高速の熱拡散がフィン604において発生する。したがって、管606に生成されるジュール熱は、フィン604に急速に伝播し、熱交換器600上に成長した氷および/または霜を溶解する。
【0075】
図14は、図13の1つの管およびフィンの組み立て体620の断面図を示し、熱伝達計算で利用される一定の幾何学的形状定義を示す。以下の例は、熱拡散の速度を示す。ある材料における熱拡散距離、LD,は、以下によって求められる。
【0076】
【数4】

式中、
【0077】
【数5】

式中、tは時間であり、αは、材料の熱拡散率であり、κは、材料の熱伝導率であり、ρは、材料の密度であり、Cpは、材料の熱容量である。
【0078】
図15は、室温における純アルミニウムについての熱拡散距離(m)対時間(s)を示すチャートを示す。具体的には、図15は、熱が、1秒で1.8cmを超え、5秒で3.9cmを超えてアルミニウムにおいて拡散することを示す。したがって、この拡散距離は、熱が管606内で生成される場合に、約1秒でフィン604(フィン604は通常のサイズを有する)を加熱するのに十分である。
【0079】
本実施形態は、冷凍業界で現在用いられる広範な熱交換器内における使用を促進する。例えば、フィン604の形状は、環状、4角形、ピン状等のうちの1つ以上であってもよい。フィン604および管606は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、導電性ポリマー、または他の合金のうちの1つ以上から作製されてもよい。ステンレス鋼管は、例えば、ステンレス鋼が比較的高い電気抵抗を有するため、抵抗加熱を促進するために使用され得る。他の金属および合金も使用してもよい。
【0080】
図1、図2、図4、図5、図6、および図7を参照して前述したように、電力供給部608は、十分な電力を供給可能であるDCまたはAC電力供給部であり、一定の実施形態では、電力供給部608は、低電圧、高電流の電力供給部である。例えば、電力供給部608は、図4に示すような電池、超コンデンサの列、図6に示すような降圧変成器の電力供給部、図5に示すような電子回路用降圧変成器等のうちの1つ以上であってもよい。一実施形態では、管606の電気抵抗が、高周波数電流の搬送時の表皮効果により増加し得るため、電力供給部608は、有益である高周波数電流を産生する。
【0081】
より均一な電気加熱を生成するために、フィン604は、管606から電気的に絶縁される一方で、管606との良好な熱的接触を維持してもよい。例えば、アルミニウム表面上の薄膜陽極酸化層、ポリマーの薄膜層、またはエポキシ接着剤は、このような電気的絶縁を形成してもよい。
【0082】
上記例において示すように、このようなパルス加熱は、基本の管における液体触媒との対流熱交換により、および熱交換器の外面における空気により、熱損失を制限する。この熱損失の最小化によって、平均電力要件が減少し、熱交換器600を停止せずに(すなわち、フリーザ、冷却器、または空調機器を停止せずに)除氷および除霜が可能になる。十分な周波数を有する加熱パルスを印加することによって、フィンおよび管の外面上に成長する氷または霜の薄膜層が溶解され、このようにして、熱交換器の表面が実質的に氷および霜を含まずに維持される。したがって、このようなパルス加熱によって、熱交換器の性能および信頼性が改善され得る(必要とされる起動および停止サイクルを低減することによって)。さらに、このようなパルス加熱によって、除氷に必要な電力が低減され、除氷中の温度変動が最小化されることにより、冷蔵庫に保管される食物の賞味期限が延び得る。
【0083】
アルミニウムから作製され、かつ通常の寸法、つまり、1cmの管606の内径、0.30mmの管606の壁厚さ、36mmのフィン604の直径、0.5mmのフィン604の厚さ、および4mmのフィン604間の空間を有する図13の熱交換器600について考察する。このような熱交換器は、約330g/mの質量(管606のメートル長さ当たり)と、0.47m/m(管のメートル長さ当たりの平方メートル)の総表面積(フィン604+管の外面)とを有する。管606における冷媒の温度が−18℃であると仮定すると、管606の内面における対流熱交換速度は、1000W/(m2・K)であり、大気温度は、+5℃であり、空気と熱交換器600の外面との間の対流熱交換係数は、65W/(m・K)である。
【0084】
図16に示すように、3V/mの電場が管606に印加される場合、0℃を上回ってアルミニウムの表面を加熱するのにかかる時間は1.4秒未満である。アルミニウムの表面が0℃を超えると、アルミニウムの表面上に形成される任意の氷または霜が溶解し始める。
【0085】
【表1】

(境界条件)
【0086】
【表2】

(電気的パラメータ)
【0087】
【表3】

【0088】
熱交換器の停止時のパルス加熱中の熱交換器の温度は、
【数6】

により決定され、中断しない熱交換器の動作時のパルス加熱中の熱交換器の温度は、
【0089】
【数7】

により決定され、式中、
【0090】
【数8】

であり、
【0091】
【数9】

である。
【0092】
図16は、上記に列挙した仮定に従い、動作中に加熱パルスにより電力供給される場合と、冷却ポンプおよびファンを停止した状態で加熱パルスにより電力供給される場合との熱交換器600についてシミュレートされた温度対時間を図示するチャートを示す。具体的には、図16は、不断の動作中に霜の溶解が開始するのにかかる時間が1.4秒未満であることから、冷却剤ポンプまたはファンを停止せずに除霜の実行が成功され得ることを示す。本例では、1.671kWの加熱電力を生成する熱交換管(例えば、管606)の1メートルの区分に3Vを印加する。管は、3Vの印加で557.004Aを伝導する。図17は、氷を剥離するパルスシステムとして構成される熱交換器650を斜視図で示す。熱交換器650は、例えば、金属または電気的および熱的に導電性のポリマーから形成され得る。表面654(1)および654(2)は、冷却剤を循環させることによって冷却される。空気は、冷却表面652、656(1)、および656(2)と、本図面において隠れている表面652および表面654(2)の反対の対応する冷却表面とを通過して、矢印662の方向に循環する。熱は、空気から熱交換器の冷却表面に通過し、次いで、冷却剤に通過し、氷が冷却表面上に形成され得る。薄膜氷検出器653が、氷および/または霜の存在を検出するために、冷却表面のうちの1つ以上、例えば、冷却表面652に取り付けられ、氷または霜の厚さを測定してもよい。上面658および底面660は、氷がその上に形成されないように断熱される。
【0093】
図18は、氷6(2)が蓄積され、かつ電力供給部14およびスイッチ666に接続される熱交換器650の上面図を示す。動作中、熱交換器650は、空気を冷却し、氷6(2)を蓄積し得る。次いで、スイッチ666を閉鎖し、電流の加熱パルスを熱交換器650に送り、加熱パルスの電力および持続時間は、パルスからのかなりの熱が氷6(2)および熱交換器650の冷却表面に消散する前に、氷と物体との界面を溶解するように制御可能である。熱交換器650が、垂直に配向される場合(例えば、図17および図18に示すように)、加熱パルスが印加された後に、重力によって氷6(2)が熱交換器650から離れて摺動することが可能である。
【0094】
図19は、氷を剥離するパルスシステムとして構成される熱交換器670を示す。熱交換器670は、空気チャネル672を形成し、空気チャネル672において、熱は、空気から、入口674において交換機670に進入し、かつ出口676において交換器670から退出する冷却剤に通過する。点線F14〜Fl4は、図20に示す断面平面の上部を示す。
【0095】
図20は、点線図19におけるF14〜Fl4から垂直に下方に延出する平面から取られた熱交換器670の断面図を示す。空気は、矢印680方向に熱交換器670を流れる。冷却表面673は、空気チャネル672の側面を形成し、断熱678の層は、図示するように、各空気チャネル672の上部および底部を断熱する。各冷却表面673は、スイッチ684を介して電力供給部14に接続する(図示を明瞭にするために、接続される冷却表面673が1つだけしか示されていない)。
【0096】
動作中、熱交換器670は、空気を冷却し、冷却表面673上に氷6(3)を蓄積し得る。次いで、スイッチ684を閉鎖し、電流の加熱パルスを冷却表面673の各々に送り、加熱パルスの電力および持続時間は、パルスからのかなりの熱が氷6(3)、冷却剤、および熱冷却表面673に消散する前に、氷と物体との界面を溶解するように制御される。熱交換器670が、垂直に配向される場合(例えば、図19および図20に示すように)、加熱パルスが印加された後に、重力によって氷6(3)が冷却表面673から離れて摺動することが可能である。
【0097】
熱交換器650および670の修正が本開示の範囲内にあることを理解されたい。例えば、熱交換器650の冷却表面は、図17および図18に示す形状とは異なる形状を有してもよく、冷却剤は、熱交換器650の管またはチャネルを通ってもよい。冷却表面を電力供給部に接続する代わりに、加熱箔またはフィルムを、熱交換器650または670の冷却表面に隣接する誘電体層上に配置してもよい。加熱箔またはフィルムと冷却表面との間の空間を封止してもよく、あるいは、加熱箔またはフィルムを冷却表面に熱的接触させるように空間を無くし、氷剥離中に、加熱箔またはフィルムと冷却表面との間の空隙を確立するように加圧されてもよい。冷却表面は、区分を形成し(例えば、熱交換器20(1)、20(2)、および20(3)のように)、このような区分は、全ての区分が所与の時間に加熱パルスを受信しないように、スイッチおよび電力供給部への電気接続を形成し得る。
【0098】
図21は、氷を剥離するパルスシステムとして構成されるアコーディオン型熱交換器700の概略断面図を示す。熱交換器700では、冷却剤706(フロンまたは他の液体)は、熱交換表面を形成する冷却フィン704を有する冷却剤管702を流れ、周囲空気と熱を交換する。冷却剤管702は、フィン704内に冷却剤を有するように示されるが、一定の実施形態は、直線的な管またはパイプ(例えば、図23参照)から側方に延出する熱交換表面を有する冷却管を有してもよい。他の実施形態では、管またはパイプは、熱交換表面を形成するために蛇行形状またはジグザグ形状を帯びてもよい(例えば、図25参照)。冷却フィン704上で形成され得る氷6(4)は、パルス除氷により除去可能である。電力供給部14は、スイッチ708の閉鎖時に、電流の加熱パルスを熱交換器700に送り、加熱パルスは、フィン704と氷6(4)との間に形成される氷と物体との界面を少なくとも溶解し、加熱パルスは、全ての氷6(4)も溶解し得る。単位面積当たりの加熱の通常の密度は、約5KW/mから約100KW/mであり得る。電流の大きさおよびパルス持続時間は、温度、流速、および冷却剤の特性(例えば、密度、熱容量、および熱伝導率)に基づいて調整され得る。通常のパルス持続時間は、約0.1秒から10秒であり得る。
【0099】
電力供給部14は、図1において14として図示され得る。具体的には、電力供給部14は、図4に示すような電池、図6に示すようなライン周波数変成器、または図5に示すような電子回路用変成器を組み込んでもよい。スイッチ708は、半導体型(パワーMOSFET、IGBT、サイリスタ等)、機械的スイッチ、電磁スイッチ、または上記の任意の組み合わせであってもよい。次いで、加熱パルスの後に残存する固い氷6(4)は、重力によって(例えば、氷6(4)は、フィン704から離れて摺動し得る)、または熱交換器700に対する擦過、振動、もしくは空気吹き込み等の機械的作用によって、除去されてもよい。振動は、例えば、任意選択の小型の電気モータ712およびクランク軸714によって、任意選択の電磁バイブレータ716によって、または冷却剤706への圧力振動を誘起することによって提供可能である。
【0100】
図22は、冷却剤管720を形成するために取り付けられる箔座金722の断面図を示す。冷却剤管720は、例えば、冷却剤管702(図21参照)として使用されてもよい。箔座金722は、例えば、内径が1インチで外径が3インチの4ミルのステンレス鋼の箔座金であってもよく、その外側縁724および内側縁726においてはんだ付けされるか、またはスポット溶接される。したがって、各座金722は、熱交換表面を形成する(例えば、対の座金は、図21の1つの冷却フィン704を形成する)。
【0101】
図23は、冷却剤管730を形成するために、直線的なパイプ734に取り付けられる箔座金732の断面図を示す。冷却剤管730は、例えば、冷却剤管702(図21参照)として使用されてもよい。箔座金732は、例えば、内径が1インチで外径が3インチの4ミルのステンレス鋼の箔座金であってもよく、その外側縁736および内側縁738においてはんだ付けされるか、またはスポット溶接され、また、座金732は、パイプ734にもはんだ付けまたは溶接される。したがって、各対の座金732は、冷却フィン(例えば、冷却フィン704、図21)を形成する。パイプ734および座金732の相対的な壁厚さは、電力のパルスが図21に示すように誘起される場合に、類似の密度の加熱電力、Wを有するように選択され得る。
【0102】
図24は、氷を剥離するパルスシステムとして構成される別のアコーディオン型熱交換器740を示す。熱交換器740は、周囲空気との加熱を交換する冷却フィン744を含む冷却剤管742を有する。冷却フィン744上で形成され得る氷6(5)は、熱交換器720と同様に熱交換器740において作動するパルス電熱氷剥離によって除去可能である。電力供給部14は、スイッチ748の閉鎖時に、電流の加熱パルスを熱交換器740に送り、加熱パルスは、フィン744と氷6(5)との間に形成される氷と物体との界面を少なくとも溶解し、加熱パルスは、全ての氷6(5)も溶解または蒸発し得る。
【0103】
図25は、氷を剥離するパルスシステムとして構成される別のアコーディオン型熱交換器760を示す。熱交換器760は、周囲空気との加熱を交換する冷却剤管762を有し、冷却剤管762は、蛇行型であり、冷却剤は、熱交換表面積を最大化するように冷却剤管762の湾曲部764を流れる。冷却剤管762上で形成され得る氷(図示せず)は、パルス電熱氷剥離によって除去可能である。電力供給部14は、スイッチ768の閉鎖時に、電流の加熱パルスを熱交換器760に送り、加熱パルスは、フィン764と氷との間に形成される氷と物体との界面を少なくとも溶解し、加熱パルスは、全ての氷も溶解し得る。
【0104】
熱交換器730、740、および760の修正が本開示の範囲内にあることを理解されたい。例えば、熱交換器730、740、および760の熱交換表面は、図23、図24、および図25に示す形状とは異なる形状を有してもよい。管および/または冷却フィンを電力供給部に接続する代わりに、加熱箔またはフィルムを、このような表面に隣接する誘電体層上に配置してもよい。加熱箔またはフィルムと熱交換表面との間の空間を封止してもよく、あるいは、加熱箔またはフィルムを冷却表面に熱的接触させるように空間を無くし、氷剥離中に、加熱箔またはフィルムと冷却表面との間の空隙を確立するように加圧されてもよい。熱交換表面は、上述のように区分を形成し、区分は、全ての区分が所与の時間に加熱パルスを受信しないように、スイッチおよび電力供給部への電気接続を形成し得る。
【0105】
薄壁金属管および箔のパルス加熱は、低電圧(1Vから24V)、但し高電流(何百または何千アンペア)を有利に利用し得る。より高い電圧(例えば、120VACまたは240VAC)の直接使用が好ましい場合、より高い電気抵抗が有利である。より高い抵抗は、加熱器の伝導性膜を冷却管から分離することによって達成可能である。例えば、フィンを含む熱交換器は、陽極酸化アルミニウムから作製されてもよく、薄くて高抵抗性の加熱フィルムが(絶縁)陽極酸化層の上に適用される。加熱フィルムは、CVD、PVD、電解塗膜、または塗装によって適用可能である。
【0106】
図26は、管状製氷機100(1)として構成されるパルス電熱氷剥離装置を示す。図26は、一定の縮尺で示され得ない。Bと表示される管状製氷機100(1)は、図28においてより詳細に示される。製氷機100(1)は、さらに後述するように、パルス電熱氷剥離を使用して収集されるリング状の氷6(6)を作製する。製氷管110(1)は、フリーザ区画(図示せず)において垂直に配向される。一実施形態では、管110(1)は、約3インチから5インチの長さであり、1インチの外径を有し、約10ミルの壁厚さを有する。管110(1)は、例えば、ステンレス鋼、チタン合金、あるいは材料を導電性にするカーボン粒子および/または繊維で充填されるポリマー等の複合材料から作製され得る。噴霧ヘッド120は、水130を管110(1)に噴霧する。一連の熱伝導フィン140は、コールドフィンガ150からフリーザ区画に熱を伝導し、管110(1)の氷成長領域(図26に示されず、図28参照)が、水の凝固点未満の温度に達成するようにする。図26において熱伝達フィン140が2つだけしか示されないが、効果的な熱伝達の必要に応じて、より少ないまたは多くのフィン140を管110(1)の周囲に配置してもよい。コールドフィンガ150および熱伝達フィン140は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から作製され得る。
【0107】
図28は、管状製氷機100(1)の部分Bをさらに詳細に示す。コールドフィンガ150は、管110(1)を実質的に取り囲み、管110(1)の内部周辺に連続的である対応する氷成長場所112(1)を画定する。氷成長領域112(1)は、氷分離領域115(1)によって分離され、氷は、領域115(1)において成長しない。氷分離領域115(1)は、コールドフィンガ150に隣接しない範囲、または領域115(1)において管110(1)の温度を上昇させるように設けられ得る温度制御要素118として画定されてもよい。例えば、温度制御要素118は、領域118から熱伝導フィン140への熱流を妨げる断熱であってもよい。あるいは、温度制御要素118は、氷分離領域115(1)の温度を上昇させる加熱器であってもよい。
【0108】
再び図26を参照すると、氷6(6)は、水130が管110(1)を流れると、コールドフィンガ150に隣接して成長する。凍結しない余剰の水155は、分離スクリーン160を通って保持タンク170に通過し、保持タンクにおいて水は供給水190に加わる。凍結して氷6(6)になって、供給水190に戻らない水130は、供給弁230により制御される水供給部220によって補充される。保持タンク170におけるポンプ200は、管205から噴霧ヘッド120に水190を送出して、上述の過程を開始する。任意選択の加熱器210を利用して、水190を凍結させないようにしてもよい。
【0109】
環状氷6(6)は、電力供給部14から管110(1)に電力を供給するために、スイッチ12(9)を閉鎖することによって収集される。図26は、母線125が、管110(1)の上端を、スイッチ12(9)を介して電力供給部14の一方の側面に連結し、管110(1)の下方端が接地16に接続されることを示す。しかしながら、電力および接地の接続が逆であってもよいことを理解されたい。一実施形態では、管110(1)が、約10ミルの厚さを有するステンレス鋼から形成された状態で、スイッチ12(9)は、約1秒間閉鎖し、約1から6ボルトACおよび約300アンペア電流の電力のパルスを供給する。管110(1)において消費される電力は、管110(1)の温度を水の凝固点を超えて上昇させ、環状氷6(6)の少なくとも界面層が溶解し、環状氷6(6)が管110(1)から剥離(この場合、解凍)し、重力が管110(1)から下方に環状氷6(6)を引っ張るようにする。
【0110】
管110(1)の電気抵抗が、電力供給部14およびスイッチ12(9)の電圧および電流容量に適合するように選択され得ることを理解されたい。例えば、低電気抵抗を提示する管110(1)は、高電流、低電圧の電力供給部14およびスイッチ12(9)の使用を決定し得るが、より高い抵抗を有する製氷管110(1)は、より高い電圧およびより低い電流のために構成される電力供給部14およびスイッチ12(9)の使用を可能にし得る。一実施形態では、管110の電気抵抗は、110〜120VACまたは220〜240VAC等の商業的に利用可能な線間電圧が電力供給部14として役割を果たすように最適化される。
【0111】
したがって、管110(1)は、図1の加熱器10の例である。分離スクリーン160によって、環状氷6(6)は、収集された環状氷6(7)として回収ビン180に進められる。
【0112】
本明細書に説明するように成長する氷6(6)は、管110(1)から滴下する余剰の水155への溶解空気および汚染物質を拒否し得る。したがって、環状氷6(6)(および収集される環状氷6(7))は、高い質および透明性を有し得る。溶解空気および汚染物質は、水190において蓄積してもよく、ゆえに、製氷機100(1)は、水190の少なくとも一部分を定期的に排水するように排水弁250により制御される排水管240を含んでもよい。排水は、水供給部220から置換される。代替実施形態(図示せず)では、保持タンク170およびポンプ200を排除し、水供給部220が噴霧ヘッド120に直接供給し、余剰の水155が、単に排水される。
【0113】
図27は、管状製氷機100(2)として構成されるパルス電熱氷剥離装置を示す。図27は、一定の縮尺で示され得ない。Cと表示される管状製氷機100(2)の一部分は、図29においてより詳細に示される。製氷機100(2)は、管状製氷機100(1)の対応する要素に同一であり、ゆえに同一に番号付けられる一定の要素を含む。管状製氷機100(2)は、成長領域を冷却するために冷却剤管260(1)を使用する(図29参照)。冷却剤管260(1)は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から作製され得る。誘電体層270は、冷却剤管260(1)から管110(2)を電気的に絶縁するが、管110(2)から管260(1)への熱の伝達に対する影響は最小限である。誘電体層270は、例えば、ポリイミドから作製されてもよく、または熱伝導性繊維もしくは粉末、アルミナ繊維もしくは粉末、ガラス繊維、または窒化ホウ素粉末で充填されるポリマーから作製されてもよい。氷6(8)は、水130が管110(2)を流れると、管260(1)に隣接して成長し、環状氷6(8)は、電力供給部14から管110(2)に電力を供給するために、スイッチ12(9)を閉鎖することによって収集され、分離スクリーン160は、氷が製氷システム100(1)において成長および収集されるのと同様に、収集された環状氷6(9)として、環状氷6(8)を回収ビン180に進める。
【0114】
図29は、管状製氷機100(2)の部分Cをより詳細に示す。冷却剤管260(1)の各々は、冷却剤290を流し、対応する氷成長場所112(2)を画定するコールドフィンガ280を有する。氷成長領域112(2)は、氷分離領域115(2)によって分離され、氷は、領域115(2)において成長しない。氷分離領域115(2)は、コールドフィンガ280に隣接しない範囲として図29において画定される。しかしながら、温度制御要素118が、図28と同様に、領域115(2)において管110(2)の温度を上昇させるように設けられてもよいことを理解されたい。
【0115】
図30は、管状製氷機100(3)として構成されるパルス電熱氷剥離装置の断面側面図である。図30は、一定の縮尺で示され得ない。製氷機100(3)の部分Dは、図31においてより詳細に示される。図30の点線F26〜F26に沿って取られた製氷機100(3)の断面上面図が、図32に示される。製氷機100(3)は、管状製氷機100(1)および100(2)の対応する要素に同一であり、ゆえに同一に番号付けられる一定の要素を含む。製氷機100(3)は、熱伝達板280に装着されるいくつかの製氷管110(3)の各々において環状氷6(10)を作製する(図示を明瞭にするために、熱伝達板280および氷6(10)の一部だけが図30に表示される)。管110(3)は、例えば、ステンレス鋼またはチタン合金から形成され得る。熱伝達板280は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から作製され得る。冷却剤管260(2)は、熱伝達板280および管110(3)からの熱を除去する冷却剤を循環させる。管205は、各管110(3)の内面に水130を噴霧する噴霧ヘッド120を供給する。環状氷6(10)が収集される状態になると、スイッチ12(10)は、電力のパルスを電力供給部14から母線125の各々に連結し、次いで、管110(3)の各々を通って接地16に連結する。電力により管110(3)の各々に生成される熱は、各環状氷6(10)の少なくとも界面層を溶解し、管110(3)から落下するように環状氷を剥離する。収集された氷から凍結されない水を分離し、凍結されない水を保持タンクに捕捉し、保持タンクにおいて排出および補充し、噴霧ヘッド120まで水を送出し、水が収集される状態になる時を決定する設備が、図26および図27に示す設備と同一であり得ることを理解されたい。
【0116】
図31は、管状製氷機100(3)の部分Dの一実施形態をより詳細に示す。氷6(10)は、製氷管110(3)に直接隣接して成長する。誘電体層295は、管110(3)と熱伝達板280との間に配置され、板280から管110(3)を電気的に絶縁する。誘電体層295は、例えば、DuPontより入手可能である銅の層290の間に被覆されるポリイミドフィルムであってもよい。あるいは、誘電体層295は、熱伝導性繊維もしくは粉末、アルミナ繊維もしくは粉末、ガラス繊維、または窒化ホウ素粉末で充填されるポリマーを含んでもよい。銅層290は、はんだの層285により、管110(3)および熱伝達板280に取り付けられ得る。例えば、管110(3)は、まず管をはんだ箔で巻き付けてから、それを、銅層290の間で被覆されるポリイミドフィルム295に巻き付け、次いで、再びはんだ箔で巻き付けることによって調製され得る。このように調製される複数の管110(3)は、熱伝達板280の孔に挿入され、次いで、はんだ285から管110(3)、銅層290、および熱伝達板280に再び流れるように、組立品全体を炉に載置し得る。
【0117】
別の実施形態では、熱伝達板280は、誘電フィルムへのはんだの代わりに、誘電性かつ熱伝導性の接着剤により管110(3)に組み立てられる区分に分離されてもよい。
【0118】
図32は、図30に示されるF26〜F26に沿った管状製氷機100(3)の断面上面図である。図32は、一定の縮尺で示され得ない。製氷管110(3)および冷却剤管260(2)の各々は、1つ以上の熱伝達板280を貫通する。図32は、6角形の配列の19個の製氷管110(3)および54個の冷却剤管260(2)を示すが、対象の製氷容量を達成するために、または対象の場所に適合するために、他の数および配置の製氷管110(3)、冷却剤管260(2)、および熱伝達板280を利用してもよい。したがって、製氷機100(3)は、製氷管110(3)の配列を形成し、この場合、氷6(10)は、図30(図32に示す線F24〜F24に沿った、製氷機100(3)の断面図を表す)に示すように、製氷管110(3)および熱伝達板280の各交点で成長する。
【0119】
本明細書において開示される管状製氷機100(例えば、管状製氷機100(1)、100(2)、および100(3))の代替実施形態は、本開示を熟読および理解することによって明らかになり、かつ本開示の範囲内にある。例えば、管110(例えば、管110(1)、110(2)、または110(3)のいずれか)は、断面が円形であってもよく、または他の断面形状を有してもよく、4角形、長方形、楕円形、3角形、または星形等の対応する氷形状を産生してもよい。噴霧ヘッド120は、水130を噴霧する1つ以上のノズルによって、または水130を管110の内面に注入もしくは導入するための1つ以上の要素によって置換されてもよい。母線125は、図26および図27に示すように、管110の外周の外部に位置してもよく、図30に示すように、管110の外周の内部に位置してもよい。コールドフィンガ150は、熱伝導フィン140を必要としないように、氷成長領域112(1)からの熱の伝導に十分であってもよい。例えば、氷を容量的に検知することによって、氷を光学的に検知することによって、氷の重量を決定することによって、経過製氷時間を決定することによって、または水流が氷により妨げられることを決定することによって、氷6(6)、6(8)、または6(10)を収集する時を決定する装置が提供されてもよい。回収ビン(例えば、ビン180)において収集された氷のレベルを検出して、十分な氷が回収ビンにある場合に製氷を停止する装置が提供されてもよい。分離スクリーン160は、収集時に環状氷を捕捉するが、他の時には管110の下から移動する可動要素によって置換されてもよい。分離スクリーン160は、水の回収を妨げる望ましくない氷の蓄積を回避するために加熱されてもよい。ポンプ200、加熱器210、供給弁230、排水弁250、温度制御要素118、および/またはスイッチ12(9)は、制御器(例えば、マイクロプロセッサ、例えば、製氷機100が位置するフリーザを動作するマイクロプロセッサ)によって動作されてもよい。温度センサを利用して、製氷機100および/またはフリーザもしくは製氷機100が位置する他の設備空間の要素の動作をマイクロプロセッサが最適化できるように、データを提供してもよい。製氷機100(3)の管110(3)は、氷6(10)が1つの管110(3)または1つの群の管110(3)から一度に収集されるように、個々にまたはまとめて電気接続されてもよい。全ての管110(3)よりも少ない管から同時に氷6(10)を収集することによって、氷の収集に必要な電流の生成および切り替えに関連する構成要素の電流処理容量、ひいてはサイズ、重量、および/または費用が低減され得る。
【0120】
管状製氷機として構成されるパルス電熱氷剥離装置のさらに他の実施形態は、1つ以上の製氷管110と熱的接触する加熱器を利用する。このような実施形態は、製氷管110のために、広範な材料のうちのいずれかを有利に利用し得る。例えば、一実施形態では、管状製氷機は、ステンレス鋼もしくは他の金属、ガラス、プラスチック、ポリマー、Teflon(登録商標)、セラミックもしくは炭素繊維材料、または複合材料、あるいはそれらの組み合わせから形成される製氷管110を含む。製氷管110は、そこに形成される氷を剥離するために、管に巻き付けられる可撓性加熱器要素によって加熱されてもよい。適切な加熱器要素には、例えば、インコネル被覆カプトンラミネート等の、金属と誘電体とのラミネートが含まれ得る。製氷管110に巻き付けられる加熱器要素を利用することによって、加熱器特徴(例えば、高電流、高コストの電力供給部を利用する必要がないような高い電気抵抗)とは無関係に、管の材料の特徴(例えば、耐腐食性、抗菌性)を最適化する等の設計オプションが可能になり得る。導電性管110を利用する場合、電力供給部14およびスイッチ12の設計において管の伝導性が考慮されること、または管が加熱器用素から電気的に絶縁されることを確実にするように設計において注意を要し得る。加熱器と製氷管110との間の熱抵抗ならびに冷却剤管260もしくは熱伝導フィン140、加熱器、および製氷管110間の熱抵抗は、製氷効率が高く、かつ氷の収集に必要な電力が低くなるように、有利に低い。
【0121】
図33は、製氷機300(1)として構成されるパルス電熱氷剥離装置の断面図である。図33は、一定の縮尺で示され得ない。製氷機300(1)の部分Eは、図34において詳細に示される。製氷機300(1)は、蒸発器板310(1)と、冷却剤管320を流れる冷却剤(図示せず)により冷却されるフィン330とを含む。フィン330は、図示するように、製氷ポケット335を分割する。水は、板310(1)および/またはフィン330に隣接して導入され、凍結して氷6(11)になる(図示を明瞭にするために、管320、フィン330、製氷ポケット335、および氷6(11)の一部だけが図33に表示される)。蒸発器板310(1)、冷却剤管320、および/またはフィン330は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から作製され得る。また、製氷機300(1)は、さらに後述するように、パルス電熱氷剥離を使用して、氷6(11)を収集するための1つ以上の加熱器340(1)も含む。したがって、加熱器340(1)は、図1の加熱器10の例である。
【0122】
図34は、製氷機300(1)の部分Eをより詳細に示す。層の相対厚さは、図34において一定の縮尺で示され得ない。加熱器340(1)は、抵抗加熱層層344(1)および誘電体層342(1)を含む。加熱層344(1)は、例えば、ステンレス鋼もしくはチタン合金等の適度に抵抗性の金属の層または銅等の良好な導電体の薄膜層から形成され得る。誘電体層342(1)は、電気絶縁体である材料から有利に形成されるが、高い熱伝導率を有し、したがって、板310(1)から加熱層344(1)を電気的に絶縁するとともに、そこへの熱伝達を促進する役割を果たす。一実施形態では、加熱器340(1)は、印刷回路板であり、誘電体層342(1)は、エポキシガラス、ポリイミド、ポリイミドガラス、またはTeflon(登録商標)等の誘電体層であり、加熱層344(1)は、銅等の導電体である。
【0123】
動作中、製氷機300(1)は、収集が所望されるまで氷を成長させてから、電力を加熱層344(1)に連結する。層344(1)により生成される熱は、板310(1)およびフィン330を急速に加熱し、氷6(11)を剥離する。氷6(11)が収集されると、電力は、製氷が再開できるように、加熱層344(1)からの接続を切る。
【0124】
図35は、製氷機300(2)として構成されるパルス電熱氷剥離装置の断面図である。図35は、一定の縮尺で示され得ない。製氷機300(2)の部分Fは、図36において詳細に示される。製氷機300(2)は、製氷機300(1)の対応する要素に同一であり、ゆえに同一に番号付けられる一定の要素を含む(図示を明瞭にするために、管320、フィン330、製氷ポケット335、および氷6(12)の一部だけが図35に表示される)。製氷機300(2)は、蒸発器板310(2)の表面315(図36参照)を実質的に被覆する単一の加熱器340(2)を有し、加熱器340(2)は、板310(2)と冷却剤管320との間に配置される。加熱器340(2)の載置は、表面315のあらゆる点に熱を提供することによって、氷の収集効率を改善する。蒸発器板310(2)、冷却剤管320、および/またはフィン330は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から作製され得る。
【0125】
図36は、製氷機300(2)の部分Fをより詳細に示す。図36は、一定の縮尺で示され得ない。加熱器340(2)は、抵抗加熱層層344(2)および誘電体層342(2)を含む。誘電体層342(2)は、電気絶縁体であるが、高い熱伝導率を有する材料から有利に形成され、したがって、板310(2)から加熱層344(2)を電気的に絶縁するとともに、そこへの熱伝達を促進する。例えば、誘電体層342(2)は、ポリイミド、熱伝導性繊維もしくは粉末、アルミナ繊維もしくは粉末、ガラス繊維、または窒化ホウ素粉末で充填されるポリマーを含み得る。また、図36は、熱層344(2)と管320との間に配置される最適な誘電体層342(3)を示す。誘電体層342(3)を使用して、層344(2)の電気抵抗を制御するために、加熱層344(2)を管320から電気的に絶縁してもよい。あるいは、管320が層344(2)に電気的に連結するように誘電体層342(3)を排除してもよい。
【0126】
動作中、製氷機300(2)は、収集が所望されるまで氷6(12)を成長させてから、電力を加熱層344(2)に連結する。層344(2)により生成される熱は、板310(2)およびフィン330を急速に加熱し、氷6(12)を剥離する。氷6(12)が収集されると、電力は、製氷が再開できるように、加熱層344(2)からの接続を切る。
【0127】
図37は、氷を剥離する蓄熱装置を含むフリーザユニット400(1)の要素を概略的に示す。図37は、一定の縮尺で示され得ない。フリーザユニット400(1)は、冷却剤を圧縮する圧縮機410を有する。冷却剤は、圧縮機410を出る際に高温であり、タンク440における管412を通過し、ここで、冷却剤は、熱を加熱液体445に伝達する(加熱液体445のみに伝達するフリーザユニット400(1)の要素は、図37においてクロスハッチングで示される)。加熱液体445は、好ましくは、アルコール、水/グリコールの混合液、またはブライン等の−20℃未満の凝固点と60℃を超える沸点とを有する液体である。冷却剤は、管415におけるタンク440を出て、コンデンサ420においてより多くの熱を伝達する。管415は、膨張弁420まで継続し、膨張弁において、冷却剤は急速に膨張し、氷点下温度まで冷却する。膨張弁420の後、冷却剤は、管430と、点線405によって図37において示されるフリーザ区画内に入る。冷却剤管430は、製氷機の一部である蒸発器板435と熱的接触し、そこから熱を伝達する。点線F32〜F32は、断面図において示す蒸発器板435を図38において示す。冷却剤管430への通過後、冷却剤は、圧縮機410に戻り冷却剤の圧縮、冷却剤の冷却、および蒸発器板の冷却のサイクルを繰り返す。
【0128】
フリーザユニット400(1)の製氷中、加熱液体445は、タンク440において冷却剤から廃熱を集めて保持する。出口弁450およびポンプ455は、タンク440から加熱管460(1)への加熱液体445の伝達を制御する。管430と同様に、加熱管460(1)は、蒸発器435と熱的接触する。氷の収集が所望される場合、フリーザユニット400(1)は、出口弁450を開放してポンプ455を作動させ、加熱管460(1)を介して加熱液体445を送出し、それによって、収集のために蒸発器板435から氷を剥離する熱パルスを生成する。
【0129】
図38は、図37における点線F32〜F32に沿った断面図である。蒸発器板435は、図示するように、交代で冷却剤管430および加熱管460(1)に連結する。加熱液体445が通過する加熱管460(1)内における通過は、図37との一貫性を保つために、図38においてクロスハッチングされている。蒸発器板435の反対側面上には、製氷中に氷6(13)から熱を伝達するフィン330が存在する。
【0130】
図37は、冷却剤管430および加熱管460(1)が交互に蒸発器板435を交差できるように、フリーザ区画405内にマニホールド432として配列される冷却剤管430を示す。代替実施形態では、冷却剤管および加熱液体管は、蛇行状の対として蒸発器板435を横断するが、このような実施形態は、冷却剤管、加熱液体管、またはその両方のいずれかが「背面」配置を形成する内部曲線を有し得る。このような配置は、「熱い」または「冷たい」範囲を形成し、その範囲において、製氷または氷収集のそれぞれが、より多くの時間および/またはエネルギーを必要とする。加熱管460(1)がマニホールドを形成してもよく、または単一の管430および460(1)が「背面」配置の形成を回避するために、蒸発器板の各端部において交差してもよいことを理解されたい。
【0131】
図37および図38に示されるフリーザユニット400(1)の性能についてシミュレーションした。457mmx432mmの蒸発器板の寸法が想定された。加熱管460(1)は、内径が16mmおよび長さが7.7メートルの銅管であることが想定された。加熱液体445は、等量の水およびグリコールの混合液であることが想定された。タンク440における加熱液体445は、60℃の温度に到達すると想定された。シミュレーションにより、ポンプ455において10ワットの電力を費やすことにより、0.9リットルの水/グリコール混合液を送出することによって、氷が2秒で収集されたことが示され、水/グリコール混合液は、0.223バールの圧力に到達した。これは、60秒から300秒間で1〜2kWの電力を費やし得る商用製氷機における氷収集に必要とされるエネルギーに極めて好ましく匹敵する。氷収集で消費するエネルギーの減少により、経時的な製氷速度が向上し、かつエネルギー費用が低下する。
【0132】
図39は、氷を剥離する蓄熱装置を含むフリーザユニット400(2)の要素を概略的に示す。図39は、一定の縮尺で示され得ない。製氷機400(2)は、製氷機400(1)の対応する要素に同一であり、ゆえに同一に番号付けられる一定の要素を含む。製氷機400(2)では、タンク440は、蒸発器板435よりも高いレベルに位置し、出口弁450の開放時に、重力によって加熱液体445が加熱管460(1)に流入して蒸発器板435から氷を取り除くようにする。加熱管460(1)は、有利なことに、加熱管460(1)を通る加熱液体445の急速な流動を促進するように、直径が大きくてもよく、急速な流動により、板435が急速に加温され、板435から氷が急速に取り除かれる。製氷機400(2)は、蒸発器板435よりも低いレベルに位置する加熱液体容器465を含み、加熱液体445が、加熱管460(1)の通過後に、容器465に排出するようにする。ポンプ470は、再利用のために、管475および任意選択の入口弁452を介して、加熱液体445をタンク440に戻して送出する。加熱液体445からタンク440への伝達が、別の氷の収集の発生まで完了する必要がないため、ポンプ470は、高容量を有する必要はない。
【0133】
本明細書において開示されるフリーザユニット400(例えば、フリーザユニット400(1)または400(2)のいずれか)の代替実施形態は、本開示を熟読および理解することによって明らかになり、かつ本開示の範囲内にある。例えば、フリーザユニット400は、一定の実施形態では、氷の収集中に、圧縮機410を停止し得る。しかしながら、氷の収集中に、印加される熱は、概して数秒間だけであるため、一定の実施形態は、収集中に圧縮機410を稼動したままにし、開始/停止サイクル中に圧縮機410により生じる摩耗を低減し、かつ収集直後に製氷を迅速に再開できるように蒸発器板435の熱的回復を速める。製氷中に加熱管460(1)における加熱液体445を冷却する際および氷収集中にタンク440に戻る同量の加熱流体445を冷却する際に費やされ得るエネルギーを節約するために、氷の収集中以外に加熱管460(1)から加熱液体445を排出するために、弁またはポンプを設けてもよい。一実施形態では、図37に示す構成要素を利用して、タンク440は、蒸発器板435よりも下に配置され、ポンプ455の動作時以外に重力が加熱液体445をタンク440に戻して排出するようにする。別の実施形態では、図39に示す構成要素を利用して、加圧時に加熱液体445およびその蒸気を含有するようにタンク440ならびに弁450および452を適合させる。管412における冷却剤が、タンク440における加熱液体445およびその蒸気を加熱する場合、圧力が確立されて、出口弁450の開放時に、蒸気圧が、氷剥離および収集のために、管460を通って加熱液体445を急速に押し出す。十分な加熱液体445が管460に押し出されると、出口弁450が閉鎖して入口弁452が開放し、次いで、ポンプ470が、容器465からタンク440へ加熱液体を戻し始めることができる。
【0134】
図40は、蓄熱氷剥離装置500を示す。装置500は、後述のように、冷却剤8(図8A、図8B参照)が流れる冷却剤管4(4)と、冷却フィン2(4)と、氷剥離のために加熱液体445(図37、図39参照)が流れる加熱管460(2)とを含む。数個のフィン2(4)のみが、図示を明瞭にするために図40に示される。冷却剤管4(4)、冷却フィン2(4)、および/または加熱管460(2)は、例えば、銅、アルミニウム、もしくはそれらの合金から作製されてもよく、または低熱伝導抵抗を有する他の材料から作製されてもよい。Aと表示される場所は、図8Aおよび図8Bにおいて図示される部分Aを表す。
【0135】
パルス電熱氷剥離装置20(1)(図3参照)のように、装置500は、通常の動作中に、熱を冷却剤に伝達し、氷6は、管4(4)、フィン2(4)、および/または加熱管460(2)(図8A、図8B参照)上に適宜形成され得る。氷剥離が所望される場合、加熱液体445(図37、図39参照)は、加熱管460(2)を流れ、装置500を加熱して氷を剥離する。図40における3つの管4(4)および2つの加熱管460(2)の図示が単に例示的であること、ならびに任意の数の管4(4)および460(2)を氷剥離装置に含めてもよいことを理解されたい。当業者であれば、図40の蓄熱氷剥離装置500と、図37および図39のフリーザユニット400(1)および400(2)の管430および460を含む蒸発器板435との間の類似性に気付くであろう。
【0136】
図41は、蓄熱氷収集を利用するフリーザユニットを動作する過程550のフローチャートである。過程550は、例えば、フリーザユニット400(1)または400(2)のいずれかによって実装され得る。ステップ560において、フリーザユニットは、製氷モードで動作する。圧縮機は、冷却剤を圧縮し、冷却剤は、熱を加熱液体に伝達し、熱をコンデンサに伝達し、膨張弁を通過し、製氷機の冷却剤管を循環し、水を凍結させて氷を形成する。ステップ560の例として、(1)管412を通過して、タンク440内の加熱液体445に熱を伝達し、(2)コンデンサ420に熱を伝達し、(3)膨張弁420を通過し、(4)管430内を循環して水を凍結させて氷を形成する冷却剤を圧縮機410が圧縮することが挙げられる。ステップ565では、フリーザユニットは、氷の収集する時を決定する。氷の収集する時になると、過程550はステップ570に続き、そうでない場合は、製氷がステップ560において継続する。ステップ570において、圧縮機は、氷収集過程中に稼動を停止する。ステップ570の例として、圧縮機410の停止が挙げられる。ステップ570は、任意選択であり、一定の冷凍ユニットにおいて発生しなくてもよく、例えば、ステップ570は、開始および停止の繰り返しにより圧縮機に過度の損傷を生じる可能性のあるユニットにおいて発生しなくてもよい。ステップ575は、氷を剥離(例えば、氷を解凍、溶解、および/または蒸発)するために加熱管に加熱液体を流す。ステップ575の例として、管460に加熱液体445を流すために出口弁450を動作させること、またはポンプ455を動作させることが挙げられる。加熱液体は、氷を剥離するために氷の少なくとも界面層を溶解する。ステップ580は、加熱管から加熱液体を排出するか、または空にする。ステップ580の例として、(1)加熱液体445が、重力によりタンク440に戻って流れるようにポンプ455を停止すること(図37参照)と、(2)加熱液体445が、重力によりタンク465に排出するように出口弁450を閉鎖すること(図39参照)とが挙げられる。氷剥離が完了すると、過程550は、ステップ560において通常の製氷モードを再開する。
【0137】
図42は、磁気的に連結される実施形態を示す。本実施形態では、冷却フィン2(5)は、冷却管4(5)に取り付けられる。冷却管4(5)は、熱的にならびに電気的に断熱/絶縁され、変成器1072(2)のコア1078(2)の周囲に数回(通常は、1.5から4回)巻き付けられ、変成器1072(2)の低電圧2次巻線としての役割を果たす。電気接続1090は、電流が冷却管4(5)に流れることができるように、ゾーンの遠位端に存在する。
【0138】
図42の実施形態では、冷却管4(5)および冷却フィン2(5)を加熱したい場合、好ましくは電源ライン周波数よりも大幅に高い周波数で動作する周波数交流源が、変成器1072(2)の一次巻線1074(2)に印加される。これによって、冷却管4(5)において電流が誘起され、それによって冷却管4(5)が加熱される。
【0139】
図43は、磁気的に連結される加熱のいくつかのゾーンを有する実施形態を示す。本実施形態では、管4(6)は、製造中に、トロイダルコア1080を通り抜ける。また、各トロイダルコア1080に巻回されるのは、一次巻線1082である。加熱ゾーンの端部において、管4(6)は、共に接合され1086、任意選択により接地16に接合され、トロイダルコア1080を貫通する管4(6)のループ1084を組み込む電気回路を完成させる。
【0140】
管4(6)の第1のゾーン1094に付着する氷を剥離したい場合、スイッチ1088が閉鎖され、高周波数交流源1092を一次巻線1082に連結する。これにより、管4(6)のゾーン1094に電流が誘起され、管が加熱され、前述のように氷が剥離される。
【0141】
管4(6)の第2のゾーン1096に付着する氷を剥離したい場合、第2のスイッチ1090が閉鎖され、高周波数交流源1092を、管4(6)の第2のゾーン1099の管が通過するトロイダルコアの周囲に巻線される第2の一次巻線1098に連結する。
【0142】
図43の実施形態では、高周波数電力供給部1092は、前述のように、ゾーンの数と各ゾーンの剥離パルスとを乗算し、各ゾーンが除氷される速度により割られるものN*M/Pに同等であるデューティサイクルに対応可能である断続使用電力供給部であり得る。
【0143】
電力供給部が、除氷する管およびフィンの平方メートル当たり、1キロワットの電力以上を提供可能であることが好ましい。管および/またはフィン上に伝導性フィルムを有する実施形態では、電力供給部は、伝導性フィルムの平方メートル当たり、少なくとも1キロワットを提供可能であるべきである。これらの高電力は、除霜にかかる時間が2分未満、ある実施形態では1分であると予測されることから必要とされる。
【0144】
図44は、図11の実施形態等の、本発明の実施形態に組み込まれるいくつかの安全特徴を示す。安全インターロックスイッチ1001、1003は、除氷システムの各アクセスパネル(図示せず)の開放および取り外しが、インターロックスイッチ1001、1003の1つ以上を開放するように設置される。インターロックスイッチ1001、1003は、これらのスイッチのいずれかの開放が回路を開放するように直列に接続される。メンテナンスまたは他の目的による機械の開放により、電力供給部14から電力が除去される。ゆえに、電力供給部14は、停止し、スイッチ12(10)、12(11)、および12(12)から電力を除去し、それによって、管4(7)から任意の電力が除去される。
【0145】
加えて、冷却剤管4(7)の外面または冷却剤管4(7)上の伝導性フィルム等の、システムの帯電金属の外面は、電気的に絶縁する塗膜で塗膜される。可能である場合、この絶縁塗膜は、傷が付きにくい耐久性のある材料から作製され、塗膜が大幅な摩耗抵抗を有するように1ミリメートルの厚さを有する。
【0146】
保護被覆上の電気絶縁および安全インターロックスイッチを含む類似の安全特徴が、他の実施形態に設置される。
【0147】
図45は、螺旋状にコイル状であるマイクロチャネル冷媒蒸発器1102を有する実施形態を示す。コイル状マイクロチャネル蒸発器は、マイクロチャネル管1106を通って長手方向に及ぶ複数の冷媒通路1104を有する。マイクロチャネル管1106は、通常は、2ミリメートル未満幅であり、ある実施形態では1ミリメートル幅の小空間1108が、マイクロチャネル管の巻きのより広い表面の間の気流のために存在するようにコイル状になる。いくつかの実施形態では、誘電繊維をマイクロチャネル管に巻回するか、またはスペーサを提供して、コイル回転間の一定の離間を維持するが、気流を大幅に妨害しない。他の実施形態では、誘電スペーサを使用して、所望の離間を維持する。動作中、空気または他の気体は、空間1108を介して蒸発器に進入し、通路1104に閉じ込められる管および冷媒と熱を交換し、コイルが巻回される軸(空気が存在する軸と同一の軸)は、好ましくは、溶解水が下方に滴下するように水平である。代替実施形態では、気流方向は、図45に示す方向とは逆である。
【0148】
通常の蒸発器よりも小型でかつ効率的であるが、従来の機器は、氷を空間1108に蓄積する強い傾向を有することから気流が閉鎖されていたため、このような堅く離間されたコイルを回避していた。
【0149】
氷の蓄積により、空間1108を通る気流が減少し、冷媒通路1104における冷媒からの熱伝達が減少する。したがって、氷の蓄積は、コイルにおける圧力降下および/またはコイルを通る気流体積、気流流閉鎖によりモータへの負荷変更から生じるファンにもしくは送風機の電流、電圧、または速度の変化を測定することによって、あるいはコイルへの冷媒入力部とコイルからの冷媒出力部との間の温度差を測定することによって検出される。
【0150】
ある実施形態では、氷の蓄積は、サーミスタ1110が測定するコイル入力部における温度と、第2のサーミスタ1112が測定するコイル出力部における温度との差の減少によって検出される。これらの温度は、制御器1114により読み取られる。コイルがその上に氷を有することを制御器1114が決定すると、制御器は、除氷中に冷媒ポンプを停止し、次いで、前述のように、接続部1116を介して高加熱電流をコイルの中央回転に提供する。制御器1114への帰還電流は、追加のワイヤ1118を通過する。
【0151】
図46に示す代替実施形態では、蒸発器は、図45の実施形態と同様に、マイクロチャネル管1150から製作されるが、渦巻線状に巻回される。渦巻線部の回転間の空間1152は、2ミリメートル幅未満であり、好ましくは、約1ミリメートル幅である。空気は、渦巻線部の軸に沿って進入し、渦巻線部は、好ましくは、溶解水が渦巻線部から排出するように垂直に配向される。渦巻線部の中央において、管1150は、冷媒を管に供給するように後方に延出される(図示せず)。図45の実施形態と同様に、マイクロチャネル管に巻回される小誘電挿入部または誘電繊維(図示せず)は、適切な離間の維持を支援する。また、渦巻線部の中央および渦巻線部の外部は、除氷のために高加熱連流を印加するために、制御部1114に類似する制御器に連結される。渦巻線部には、図45の実施形態のセンサに類似するセンサが、気流の閉鎖時および渦巻線部の除氷の必要時を決定するために設けられる。
【0152】
図45および図46の実施形態では、制御器1114は、熱交換表面の平方メートル当たり1キロワット以上の電気加熱電力を巻線マイクロチャネル熱交換器に供給可能であり、除氷にかかる時間は、2分未満、ある実施形態では1分であると予測される。代替実施形態では、管1106は、単一の4角形の管である。
【0153】
上述の変更および他の変更を、本明細書に説明するパルス電熱および蓄熱氷剥離装置に、その範囲から逸脱することなく加えてもよい。したがって、上記説明に含まれる事項および添付の図面に示される事項が、限定的な意味ではなく例示的に解釈されるべきであることに留意されたい。以下の請求項は、本明細書に説明する全ての一般的かつ具体的な特徴と、言葉上の問題として範囲の間にあると主張され得る本方法およびシステムの範囲に関する全記述を対象とするように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの冷却剤管および複数のフィンを備える冷却剤蒸発器であって、各フィンは、該少なくとも1つの冷却剤管と熱的接触し、該少なくとも1つの冷却剤管は、少なくとも1つの電気抵抗加熱器区分を形成する、冷却剤蒸発器と、
パルスレート化電力供給部であって、該パルスレート化電力供給部は該少なくとも1つの電気抵抗加熱器区分に電力供給するために連結される、パルスレート化電力供給部と、
該パルスレート化電力供給部によって該少なくとも1つの電気抵抗加熱器区分に印加される電力を制御する少なくとも1つのスイッチと
から成るパルス電熱除霜装置。
【請求項2】
前記電力は、少なくとも1つの加熱器区分に印加され得るように構成され、一方で、冷却剤は別の加熱器区分と熱的接触する冷却剤管を流れ続けるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管および前記フィンが、ポリマー塗膜、熱伝導性接着剤、金属酸化物、および複合材料フィルムのうちの少なくとも1つから形成される絶縁体によって互いから電気的に絶縁され、該絶縁体は、管とフィンとの間の熱を伝導する一方で、該管および該フィンを互いから電気的に絶縁する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電力供給部は、切り替え式コンバータおよび断続使用ライン周波数変成器から成る群から選択される装置を備えるパルスレート化電力供給部である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
電力を印加する前記装置は、前記抵抗加熱器に磁気的に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のフィンのうちの少なくともいくつかは、前記少なくとも1つの冷却剤管に電気的に接続される、請求項1に記載のパルス電熱除霜装置。
【請求項7】
前記複数のフィンのうちの少なくともいくつかは、複数の点において、前記少なくとも1つの冷却剤管と熱的かつ電気的に接触する、請求項6に記載のパルス電熱除霜装置。
【請求項8】
前記蒸発器は、複数の区分を備え、各加熱器区分は、複数のフィンに電気的かつ熱的に連結される少なくとも1つの冷却剤管の少なくとも1つの部分を備え、少なくとも1つの区分の少なくとも1つのフィンは、複数の点において、少なくとも1つの冷却剤管の該少なくとも1つの部分に電気的かつ熱的に連結され、各加熱器区分のフィンは、同一の区分の少なくとも1つの冷却剤管の部分にのみ直接電気的に連結される、請求項1に記載のパルス電熱除霜装置。
【請求項9】
複数の加熱器区分およびスイッチが存在し、該スイッチは、電力を該加熱器区分に個々に印加するように構成される、請求項1に記載のパルス電熱氷剥離装置。
【請求項10】
前記パルスレート化電力供給部により前記少なくとも1つの電気抵抗加熱器区分に印加される電力を制御する前記少なくとも1つのスイッチは、該パルスレート化電力供給部に電力を連結可能であるスイッチと、該パルスレート化電力供給部から該少なくとも1つの加熱器区分への電力を連結可能であるスイッチとから成る群から選択されるスイッチである、請求項1に記載のパルス電熱氷剥離装置。
【請求項11】
冷凍ユニットの冷却剤管および/または冷却フィンから氷を剥離するための方法であって、
通常の冷凍モード中に、該冷却剤管および該冷却フィンの一方または両方の上に氷を蓄積することと、
該氷を剥離するために、パルスレート化電力供給部から該管および該フィンの一方または両方に、電力のパルスを印加することと、
該印加するステップの前に、通常の冷凍モードを中断することと、
該印加するステップの前に、該1つ以上の冷却剤管から少なくとも一部の冷却剤を排出することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記1つ以上の冷却剤管および前記冷却フィンのうちの少なくとも1つは、区分に組織化され、前記印加および排出するステップは、該区分の各々について繰り返される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上の氷成長領域を備える製氷管と、
各氷成長領域から熱を伝達する少なくとも1つの冷却剤管と、
該製氷管から排出する余剰の水を、該氷成長領域から取り除かれた該任意の氷と分離するスクリーンと、
水を該氷成長領域に進入可能にする、少なくとも1つの供給弁により制御される水供給部と、
電力のパルスを該管に定期的に供給する電力供給部であって、該パルスは、該管から該氷を剥離するために、該氷の少なくとも界面層を溶解する、電力供給部と
を備え、該パルスは、熱拡散距離が最大の氷厚さ未満であるように時間制限される、パルス電熱製氷および氷剥離装置。
【請求項14】
前記製氷管は、金属、ガラス、プラスチック、ポリマー、Teflon(登録商標)、セラミック、および炭素繊維から成る群から選択される材料を含み、前記装置は、前記1つ以上の氷成長領域からの熱伝達を促進するために、1つ以上の熱伝導フィンをさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記氷成長領域への再利用のために前記余剰の水を保持する保持タンクと、水の該保持タンクにおける凍結を防止する加熱器とをさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記氷を容量的に検知することによって、該氷を光学的に検知することによって、該氷の重量を決定することによって、経過製氷時間を決定することによって、および水流が氷により妨げられることを決定することによって、から成る群から選択される方法によって、該氷を検知することによって前記電力のパルスをいつ印加するかを決定する装置をさらに備え、該パルスの電力をいつ印加するかを決定する該装置は、周囲の設備の少なくとも一部分の開放時に、電力の印加を防止する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
複数の製氷管と、
各製氷管の氷成長領域から熱を伝達する少なくとも1つの冷却剤管と、
各製氷管に水を導入する装置であって、それにより、該水の少なくとも一部分が該氷成長領域において凍結して氷になる、装置と、
各管から該氷を剥離するために、該氷の少なくとも界面層を溶解するように、電力のパルスを該製氷管に定期的に供給するパルスレート化電力供給部と
を備え、
該製氷管は複数の群を形成し、該電力供給部は、電力のパルスを各群に個々に定期的に供給し、
安全インターロックは、周囲の設備の少なくとも一部分の開放時に該電気供給部がパルスを供給することを防止し、
該パルスは、熱拡散距離が最大の氷厚さ未満であるように時間制限される、パルス電熱氷剥離装置。
【請求項18】
各群の前記氷を容量的に検知することによって、各群の該氷を光学的に検知することによって、各群の該氷の重量を決定することによって、経過製氷時間を決定することによって、および水流が各群の氷により妨げられることを決定することによって、から成る群から選択される方法によって、該氷を検知することによって前記電力のパルスをいつ印加するかを決定する装置をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
蓄熱除氷システムとして構成されるフリーザユニットであって、
廃熱を消散する圧縮機およびコンデンサを有するフリーザユニットと、
該圧縮機、該コンデンサ、および冷却剤管を循環する冷却剤であって、該冷却剤管は蒸発器板と熱的接触する、冷却剤と、
該冷却剤から加熱液体に熱を伝達する、該圧縮機の後および該コンデンサの前にあるタンクと
を備え、該加熱液体は、該蒸発器板から氷を剥離するために、該蒸発器板と熱的接触する加熱管を定期的に流れる、フリーザユニット。
【請求項20】
前記冷却剤管および前記加熱管は、交代で前記蒸発器板に連結し、前記加熱液体を送出するポンプをさらに備え、前記蒸発器板は、前記タンクよりも高いレベルに配置され、前記加熱液体は、前記ポンプが動作していない場合に、前記加熱液体タンクに排出する、請求項19に記載のフリーザユニット。
【請求項21】
冷凍ユニットの冷却剤管、冷却フィン、および蒸発器板のうちの少なくとも1つから氷を剥離するための方法であって、
製氷モードまたは冷凍モード中に、冷却剤から加熱液体に熱を伝達することと、
該製氷モードまたは冷凍モード中に、該冷却剤管、冷却フィン、および蒸発器板のうちの少なくとも1つの上に氷を蓄積することと、
該氷を剥離するために、該冷却剤管、冷却フィン、および蒸発器板のうちの少なくとも1つと熱的接触する加熱管に該加熱液体を流すことと、
該流すステップ中に、該製氷モードまたは冷凍モードを停止することと
を含む、方法。
【請求項22】
前記流すステップの完了時に、前記加熱管から前記加熱液体を排出することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
熱交換表面と熱的接触する冷却剤管を有する熱交換器であって、該熱交換表面のうちの少なくとも1つは、陽極酸化アルミニウムまたは陽極酸化アルミニウム合金から形成される絶縁体を含み、伝導性フィルムは該絶縁体上に配置される、熱交換器と、
パルス加熱のために、該熱交換器の該伝導性フィルムに連結される電力供給部と
を備え、
該伝導性フィルムは、CVD、PVD、無電解塗膜、および塗装のうちの1つにより適用される金属層であり、
該電力供給部は、該伝導性フィルムの平方メートル当たり少なくとも1キロワットを提供することが可能である、パルス電熱氷剥離装置。
【請求項24】
マイクロチャネル蒸発器管であって、該管の入力端部から該管の出力端部に及ぶ複数の冷媒通路を有し、該管は、第1、第2、第3、および第4の側面を有し、該第1および第2の側面は、該第3および第4の側面よりも大きい幅を有する、マイクロチャネル蒸発器管と、
該マイクロチャネル蒸発器管は、該第1の側面と該第2の側面との間の空間が、約2ミリメートル未満の幅を有するように、渦巻線および螺旋から成る群から選択される形状に形成され、
該管の該第1および第2の側面の間の該空間に氷が蓄積された時を決定するために適合されるセンサと、
該管の該第1および第2の側面の間の該空間に氷が蓄積されたことを該センサが表示する場合に、高除氷電流を該マイクロチャネル蒸発器管に印加するパルスレート化電力供給部をさらに備える制御器と
を備える、熱交換器。
【請求項25】
前記制御器は、除氷のために、熱交換表面の平方メートル当たり少なくとも1キロワットの電力を前記熱交換器に印加することが可能である、請求項24に記載の熱交換器。
【請求項26】
前記蒸発器における冷媒流動は、除氷のために電力印加中に停止する、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項27】
前記マイクロチャネル管は、渦巻線状に巻回される、請求項26に記載の熱交換器。
【請求項28】
前記マイクロチャネル管は、螺旋状に巻回される、請求項26に記載の熱交換器。
【請求項29】
前記マイクロチャネル管の前記第1の側面と前記第2の側面との間の前記空間は、マイクロチャネル管に巻回される誘電スペーサおよび誘電繊維から成る群から選択される装置で維持される、請求項24に記載の熱交換器。
【請求項30】
前記マイクロチャネル管のうちの少なくとも1つの回転は、変成器の2次巻線としての役割を果たす、請求項24に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公表番号】特表2011−502240(P2011−502240A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532261(P2010−532261)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/081902
【国際公開番号】WO2009/059076
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(504303713)ザ トラスティーズ オブ ダートマウス カレッジ (12)
【Fターム(参考)】