説明

パルプ漂白の方法

水性媒体中でのパルプ処理のために、漂白剤、pH調節剤、およびpH緩衝剤と一緒にアミノ酸ホスホン酸を使用する、パルプ漂白プロセスを開示する。当該漂白剤は、酸化漂白剤および還元漂白剤によって代表されうる。酸化漂白処理はアルカリ性の媒体中において実施されるのに対し、還元処理は弱酸性の媒体中において実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸アルキルホスホン酸またはそれらの中和された形態の存在下において、酸化漂白剤または還元漂白剤により、水性媒体中においてパルプを漂白する、パルプ漂白の方法に関する。特に、添加剤レベルの狭義のアミノ酸アルキルホスホン酸の存在下において、約30〜100℃の範囲の温度で、1分〜8時間、添加剤レベルの漂白剤によってパルプを処理する。当該方法は、漂白剤が酸化漂白剤で、それにより処理が8〜13の範囲のpHで適用される場合、特に有益な結果が得られることが見出された。
【背景技術】
【0002】
パルプ漂白技術は、長い間にわたって広く用いられており、多くの商業的用途が見出されている。アルキルホスホン酸は、完全な成功ではないものの、まさしくその分野において使用されてきた。実際に、パルプ漂白技術における使用にとって最も好ましいホスホン酸化合物は、ジエチレントリアミノペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)であると言われている。そのため、改良された漂白方法の開発に対して相当の要望が常に存在した。
【0003】
米国特許出願公開第2008/0115692号(特許文献1)は、少なくとも1種の従来のホスホネートを使用するアルカリ化学パルプ化プロセスにおいて製造されたパルプの特性を向上させるための方法および組成物に関する。中国特許出願第2008-10106832号(特許文献2)は、紙パルプ漂白において使用される過酸化水素のための安定化剤組成物を調製する方法に関する。EDTA、ポリアクリル酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、および水酸化ナトリウムを含有する当該アルカリ安定化剤組成物は、過酸化水素の分解を20%未満に低減する役目を果たし得る。繊維および紙パルプ製造物の過酸化水素漂白における安定化剤として、pH3〜8を有するポリ(α−ヒドロキシアクリル酸)塩およびジエチレントリアミンペンタアセテートの溶液の使用が、特願平5−182234(特許文献3)に記載されている。
【0004】
国際公開公報第2009/092738号(特許文献4)および欧州特許出願公開第2082991号(特許文献5)は、金属イオンの干渉の実質的排除下での水性媒体の使用に関する。選択されたホスホン酸は、金属イオンの効果的な固定化のために使用される。国際公開公報第99/46441号(特許文献6)は、とりわけ、アスパラギン酸キレート化剤を用いたアルカリ性条件下で紙パルプを前処理する工程で構成される、過酸化された酸化剤を用いて紙パルプを漂白する方法に関する。米国特許第5,759,440号(特許文献7)には、ピロリン酸塩およびアミノポリカルボン酸を用いて過酸化水素水溶液を安定化するための方法が記載されている。当該安定化された溶液は、パルプ漂白に使用することができる。
【0005】
国際公開公報第2008/086937号(特許文献8)では、酸化漂白剤と組み合わせてアミノホスホネートを添加する工程を含む、パルプ漂白のためのプロセスが開示されている。国際公開公報第00/68396号(特許文献9)では、活性成分がXAタンパク質タイプのキシラナーゼであるパルプ漂白剤が開示されている。米国特許第4,372,811号(特許文献10)では、パルプ中の炭水化物の分解を抑制するために1種以上の芳香族ジアミンを加える、パルプ漂白のためのプロセスが開示されている。
【0006】
例えば当技術分野の列挙によって示したような新規な技術についての探求では、期待および要望を満たすことができる優れた技術は得られていない。酸化パルプ漂白における活性過酸化物の損失および効果的な重金属イオンの制御を包含する本当に重要なハードルは、障害のまま残っており、それは極めて費用のかかるものであり得、かつ性能低下をもたらし得る。加えて、現在使用されている主要なホスホネート、例えばDTPMP等は、例えば11を超えるような高いpHで漂白活性の低下を示す傾向にあり、過酸化物の過度の分解の一因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0115692号
【特許文献2】中国特許出願第2008-10106832号
【特許文献3】特願平5−182234
【特許文献4】国際公開公報第2009/092738号
【特許文献5】欧州特許出願公開第2082991号
【特許文献6】国際公開公報第99/46441号
【特許文献7】米国特許第5,759,440号
【特許文献8】国際公開公報第2008/086937号
【特許文献9】国際公開公報第00/68396号
【特許文献10】米国特許第4,372,811号
【発明の概要】
【0008】
本発明の主な目的は、優れたパルプ漂白技術を創出することにある。本発明の別の目的は、特に活性過酸化物損失の著しい低減によって特徴付けられる優れた酸化パルプ漂白技術を提供することにある。本発明のさらなる別の目的は、著しく向上した金属イオン制御および固定化を伴うパルプ漂白技術を創出することを意図する。本発明のさらに別の目的は、当技術分野の技術を用いて達成することができるものと比べて著しく優れた物理特性を有するパルプ製造物を得ることが可能なパルプ漂白技術を得ることを目的とする。
【0009】
「パーセント」または「%」という用語は、本出願を通して使用される場合、異なって定義されない限り、「重量パーセント」または「重量%」を意味する。「ホスホン酸」および「ホスホネート」という用語も、当然のことながら、媒体の優勢なアルカリ度/酸性度の状態に応じて、互換的に使用される。「ppm」という用語は、「百万分率」を意味する。「ホスホン酸」および「ホスホネート」という用語は、媒体の優勢なアルカリ度/酸性度の状態に応じて、互換的に使用される。「パルプ」および「パルプ濃度」という用語は、互換的に使用される。異なって定義されない限り、pH値は、反応媒体それ自体において25℃で測定される。アミノ酸という用語は、それらのD体、L体、およびDL体、並びにD体とL体との混合物においてのアミノ酸を表す。「芳香族」炭化水素ラジカルまたは部分という用語は、好ましくは、アリールおよびヘテロアリール基を含む。
【0010】
ここで、上記および他の目的は、漂白処理をアミノ酸アルキルホスホン酸の存在下で実施する新規の漂白構成を用いることによって達成することができる。より詳細には、本明細書における本発明の方法は、以下の工程を含むパルプ漂白に関連する:
− 水性媒体中の水(100重量%)に基づいて表した場合に1重量%〜40重量%のパルプを含有する水性媒体を処理する工程;
− pH8〜13で酸化漂白処理を実施するため、およびpH2〜6.5で還元漂白処理を実施するために、乾燥パルプ(100重量%)に基づいて表した場合に0.5重量%〜10重量%の量で、酸化漂白剤および還元漂白剤から選択される漂白剤と、pH調節剤および緩衝成分から選択される漂白添加剤とを添加する工程;
− 下記から選択される式を有する、アミノ酸アルキルホスホン酸またはそれらの塩、すなわちその中和された形態を添加する工程:
A1-(B)y;および
A2-(B)y
式中、A1およびA2は、
A1=HOOC-A-NH2;および
A2=HOOC-C(NH2)(R)(R')
の式を有し、Bは、アルキル基中に1〜6個の炭素原子を有するアルキルホスホン酸部分であり、yは1〜10の整数であり;Aは、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状および/または芳香族の炭化水素基で置換されていてもよい、C2〜C20の直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、このラジカルおよび/または基は、1つまたは複数のOH、COOH、および/またはNH2部分で置換されていてもよく;RおよびR'は、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、および/または芳香族の基、NH2、ならびに/あるいはCOOHで置換されていてもよい、C1〜C20の直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、ならびにRまたはR'のうちの1つは水素であってもよく;
それにより、塩を得るための中和剤は、好ましくは、アンモニア、水酸化アルカリ、水酸化アルカリ土類、およびアミンから選択され、それにより、当該アミンは、好ましくは、以下の一般式を有し、
(X)b[N(W)(H)2-b]z
式中、Xは、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の基で置換されていてもよい、C1〜C200000の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、このラジカルおよび/または基は、OH、COOH、COOG、F、Br、Cl、I、OG、SO3H、SO3G、および/またはSG部分;H;[V-N(H)]x-H;[V-N(Y)]n-V;[V-O]x-Vで置換されていてもよく;式中、Vは、1つまたは複数の、C1〜12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の基で置換されていてもよい、C2〜50の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、このラジカルおよび/または基は、OH、COOH、COOR''、F/Br/Cl/I、OR''、SO3H、SO3R''、および/またはSR''部分で置換されていてもよく、式中、R''は、C1〜12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルであり、式中Gは、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の基で置換されていてもよい、C1〜C200000の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、このラジカルおよび/または基は、OH、COOH、COOR''、F、Br、Cl、I、OR''、SO3H、SO3R''、および/またはSR''部分;H;[V-N(H)]n-H;[V-N(Y)]n-V、あるいは[V-O]x-Vで置換されていてもよく;式中、Yは、H、[V-N(H)]n-Hまたは[V-N(H)]n-Vであり、xは1〜50000の整数であり、nは0〜50000の整数であり;zは0〜200000であり、それにより、zは、Xにおける炭素原子の数に等しいかまたはそれより小さく、bは0または1であり;b=0の場合にz=1であり;ならびにXは、z=0かつb=1の場合に[V-N(H)]x-Hまたは[V-N(Y)]n-Vであり;
ただし、
Rおよび/またはR'が、少なくとも1つの孤立電子対を有する電子豊富な部分であり、この部分が共有結合によって芳香族部分に直接結合している、化合物;または、炭素原子の少なくとも1個がヘテロ原子で置換されている芳香族化合物;ならびに、Rが-C(Z)(R''')(R'''')であり、R'、R'''、およびR''''が水素である場合、式中、ZがNO2、CN、COOH、SO3H、OH、およびハロゲンから選択される電子求引性基である、化合物
は除外され、
さらに
A2がL−リシンであり、少なくとも1つのL−リシンアミノラジカルが2つのアルキルホスホン酸部分を有している場合、および
A2がL−グルタミン酸であり、グルタミン酸ホスホネートという用語が、反応生成物に基づいて表した場合に50〜90重量%のピロリドンカルボン酸N−メチレンホスホン酸と10〜50重量%のL−グルタミン酸ジホスホン酸との組み合わせを表す場合;
前述のアミノ酸アルキルホスホン酸化合物は、乾燥パルプのレベル(100重量%)に基づいて表した場合に0.01重量%〜6重量%のレベルで添加される;
前述の漂白処理は、30℃〜100℃の温度で1分〜8時間にわたって実施される。
【0011】
本発明の方法における使用にとっての第一の不可欠なアミノ酸アルキルホスホン酸は、式:
A1-(B)y
で表すことができ、式中、A1は、式
HOOC−A−NH2
を有し、式中、Aは、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状および/または芳香族の炭化水素基で置換されていてもよい、C2〜C20の直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、このラジカルおよび/または基は、1つまたは複数の、OH、COOH、および/またはNH2部分で置換されていてもよい。好ましい実施において、Aは、任意でおよび好ましくは1〜3個のNH2部分で置換されていてもよいC2〜C16の直鎖状の炭化水素鎖で表される。当該炭化水素鎖における任意の数の炭素原子の選択は、追加の随意の基および/または任意の部分の選択に応じて所望の実施を構成しうる。好ましい組み合わせの実際の決定は、当該技術分野において周知のルーチン的な手段である。
【0012】
本発明の方法における使用にとって第二の不可欠なアミノ酸アルキルホスホン酸は、式:
A2-(B)y
で表すことができ、式中、A2は、式
HOOC-C(NH2)(R)(R')
を有し、式中、RおよびR'は、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、および/または芳香族の炭化水素基で置換されていてもよい、C1〜C20の直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、このラジカルおよび/または基は、1つまたは複数の、OH、NH2、および/またはCOOH部分で置換されていてもよく、RまたはR'のうちの1つは水素であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書における方法の好ましい実施において、ホスホネート抑制因子A2におけるアミノ酸は、yが2であるD,L−アラニン、yが2であるL−アラニン、yが2〜4の範囲であるL−リシン、yが2であるL−フェニルアラニン、yが2〜6の範囲であるL−アルギニン、yが2であるL−トレオニン、yが2であるL−メチオニン、yが2であるL−システイン、ならびにyが1〜2であるL−グルタミン酸で表すことができる。
【0014】
L−グルタミン酸アルキレンホスホン酸化合物それ自体は、その性能および安定性が不十分であるために、本発明の方法における使用にとって好適ではないということが見出された。生成反応条件に応じて、L−グルタミン酸のメチレンホスホン化から得られるL−グルタミン酸アルキレンホスホン酸は、混合物(100%)に対して、大半のカルボン酸置換ピロリドン由来のモノ−メチレンホスホン酸と、比較的少量のジメチレンホスホン酸グルタミン酸化合物とを含む、実質的に二成分混合物で表すことができる。有益な一態様において、当該反応生成物は、50%〜90%のピロリドンカルボン酸N−メチレンホスホン酸であるスケール抑制剤と、10%〜50%のL−グルタミン酸ビス(アルキレンホスホン酸)化合物とを含有することが多いということが見出された。当該反応の間に形成されるジホスホネートおよびモノホスホネート抑制因子の合計は、多くの場合、グルタミン酸出発材料に基づいて80%を超える。当該二成分混合物は、個々の別々に調製したホスホン酸化合物を混合することによっても調製することができる。別の好ましい実施において、アミノラジカルに結合したアルキレンホスホン酸基を1つ有するL−リシンは、アミノラジカル結合したアルキレンホスホン酸基を1つ有するL−リシンと2つ有するL−リシンとの合計が20モル%以下で表される。別の好ましい実施において、L−リシンアルキレンホスホン酸は、(個々の)アミノラジカルに結合したアルキレンホスホン酸基を2つ有するL−リシン(リシン ジ)とアルキレンホスホン酸基を4つ有するL−リシン(リシン テトラ)との混合物によって表され、それにより、リシン テトラとリシン ジの重量比は、9:1〜1:1の範囲であり、さらにより好ましくは7:2〜4:2である。
【0015】
A2ホスホネート抑制因子における好ましいアミノ酸としては、xが2である7−アミノヘプタン酸、xが2である6−アミノヘキサン酸、xが2である5−アミノペンタン酸、xが2である4−アミノ酪酸、およびxが2であるβ−アラニンが挙げられる。ホスホネート抑制因子A1における好ましいアミノ酸は、ラクタムまたは他の従来の公知の材料から出発することにより有利に調製することができ、7−アミノヘプタン酸を、対応するジホスホネートを作製するために2−アザシクロオクタノンの代わりに使用することができる。好ましいアミノ酸出発材料を本明細書の以下の例において示す。手短に言えば、出発材料であるアミノ酸(1モル)、亜リン酸(2モル)、塩酸水溶液(1.2モル)の化学量論的な割合の混合物を、撹拌しながら100℃に加熱し、次いで、ホルムアルデヒド(2モル)を、100〜120℃の範囲の温度で120〜140分かけて少しずつ加える。その後、当該反応混合物を、さらに60〜100分間、105〜115℃に維持する。出発材料の化学量論的な割合は、利用可能なN−H官能基との反応によるホスホン酸置換の所望の程度に応じて変動しうることが理解される。
【0016】
本明細書における別の好ましい実施において、本発明の方法における使用のためのアミノ酸ホスホネートは、以下からなる群より選択されるポリホスホン酸との組み合わせにおける、アミノ酸ポリホスホネートの選択された組み合わせによって表すことができる:(a)アルキレン部分が1〜20個の炭素原子を有するアミノ(ポリ)アルキレンポリホスホン酸;(b)アルキレン部分が2〜50個の炭素原子を有するヒドロキシアルキレンポリホスホン酸;および(c)アルカン部分が3〜12個の炭素原子を有する直鎖構造であるホスホノアルカンポリカルボン酸。実際に好ましいのは、アルキレン部分に1〜12個の炭素原子を有するアミノアルキレンポリホスホン酸;アルキレン部分に2〜12個の炭素原子と2つのホスホン酸基とを有するヒドロキシアルキレンホスホン酸であり;その一方で、ホスホノアルカンポリカルボン酸は、4〜8個の炭素原子を有する直鎖状アルカン構造を有し、この場合、ホスホン酸ラジカルとカルボン酸ラジカルのモル比は1:2〜1:4の範囲である。特に好ましいのは、2〜8つのホスホン酸基を有するポリホスホン酸である。個別に好ましい種としては、以下が挙げられることが見出された:アミノトリ(メチレンホスホン酸)およびそのN−酸化物;1−ヒドロキシエチレン(1,1−ジホスホン酸塩);エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸);ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸);ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸);ヒドロキシエチルアミノビス(メチレンホスホン酸);N,N'−ビス(3−アミノプロピル)−エチレンジアミンヘキサ(メチレンホスホン酸);およびブタン−2−ホスホノ−1,2,4−トリカルボン酸。
【0017】
アミノ酸ホスホネートとホスホン酸の重量比は、98:2〜25:75、好ましくは90:10〜50:50の範囲である。
【0018】
A2は、例えば動物種において生じたものなどの特定の天然アミノ酸を含むα−アミノ酸で表すことができる。アミノ酸は、概して、タンパク質の構築ブロックである。40種を超える公知のアミノ酸が存在し、それらの約20種は、実際に、例えば動物の組織などに含まれる。アミノ酸は、タンパク質から出発する加水分解によって、酵素発酵によって、および/または化学的合成によって作製することができる。この技術分野は著しく周知であり、すべての個別の技術が文献において豊富に記述されている。好適なアミノ酸は、それらのD体、D,L体、およびL体の状態で、ならびにD体とL体との混合物の状態で使用することができる。ホスホネート抑制因子における使用にとって好ましいα−アミノ酸としては、D,L−アラニン;L−アラニン;L−フェニルアラニン;L−リシン;L−アルギニン;L−メチオニン;L−システイン;L−トレオニン;およびL−グルタミン酸が挙げられる。
【0019】
以下のような特定のアミノ酸は除外される:
1.Rおよび/またはR'が、芳香族部分に直接結合している電子豊富な部分を含む、α−アミノ酸。例として、108〜112℃での、HCl(1.5モル)の存在下におけるL−チロシン(1当量)(R=p−OH−フェニル−CH2;R'=H)とH3PO3(2当量)およびホルムアルデヒド(2.2当量)との反応では、対応するビス(メチレンホスホン酸)は得られない。実際に、31P−NMR分析では、痕跡量のリン酸を伴う出発材料の亜リン酸のシグナルしか示されない。水に不溶性の生成物が得られ、これは、ホルムアルデヒドとチロシンの反応により結果として芳香族部分の間にメチレンの架橋が形成されたためと考えられる;
2.Rおよび/またはR'が、炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子で置換されている芳香族を含む、α−アミノ酸。例えば、107〜111℃での、HCl(2.5モル)の存在下におけるL−トリプトファン(1当量)とH3PO3(2当量)およびホルムアルデヒド(2.2当量)との反応では、対応するビス(メチレンホスホン酸)は得られない。31PーNMR分析では、痕跡量のリン酸を伴う出発材料の亜リン酸のシグナルしか示されない。水に不溶性の生成物が得られ、これは、ホルムアルデヒドとトリプトファンの反応により結果として芳香族部分の間にメチレンの架橋が形成されたためと考えられる;ならびに
3.Rが-C(Z)(R''')(R'''')であり、R'、R'''、およびR''''が水素である場合、式中、Zが、NO2、CN、COOH、SO3H、OH、およびハロゲンから選択される電子求引性基である、α−アミノ酸。一例として、110〜115℃での、HCl(1.5モル)の存在下におけるL−アスパラギン酸(1当量)(Z=COOH)とH3PO3(2当量)およびホルムアルデヒド(2.2当量)との反応では、フマル酸;イミノビス(メチレンホスホン酸);アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、およびL−アスパラギン酸ビス(メチレンホスホン酸)を含む複合生成物混合物が生じる。後者の生成物は、反応条件下においてフマル酸とそれ自体ATMPに変換されるイミノビス(メチレンホスホン酸)とに分解されることが、31P−NMRによって示されている。別の例において、107〜112℃での、HCl(1.5モル)の存在下におけるL−セリン(1当量)(Z=OH)とH3PO3(2当量)およびホルムアルデヒド(2.2当量)との反応では、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)と亜リン酸とを含む複合生成物混合物が生じる。31P−NMRでは、L−セリンモノホスホネートもしくはジホスホネートに対応するシグナルは示されない。L−セリンホスホネートは、反応条件下において不安定であり、分解して最終的にATMPを生じると考えられる。
【0020】
権利を主張する技術内での使用にとって好適ではない特定のα−アミノ酸は、チロシン;トリプトファン;アスパラギン;アスパラギン酸;およびセリンである。
【0021】
本発明の方法における使用のためのアミノ酸アルキルホスホネートは、アミノ酸の1つまたは複数の利用可能なN−H官能基と亜リン酸およびホルムアルデヒドとを、反応を完了するのに十分な時間、通常70℃を超える温度で当該反応混合物を加熱することにより、塩酸の存在下、概して4未満のpHを有する水性媒体中で反応させることによって、調製することができる。この種類の反応は、当該技術分野において従来通りで周知であり、新規のホスホネート化合物の例は、以下に説明されているように、塩酸経路を介して合成されている。
【0022】
好ましい方法において、アミノ酸ホスホネートは、ハロゲン化水素酸ならびに対応する副産物および中間体の実質的排除下で作製することができる。具体的には、亜リン酸成分(100%)に関して表した場合に0.4%以下、好ましくは2000ppm未満のハロゲン化水素酸の存在下で、
(a)亜リン酸;
(b)アミノ酸;および
(c)ホルムアルデヒド
を、0.05:1〜2:1の(a):(b);0.05:1〜5:1の(c):(b);および5:1〜0.25:1の(c):(a)の反応物質比で反応させることによって、アミノ酸ホスホネートを製造することができ、
この場合、(a)および(c)は使用されるモル数を表し、(b)はアミン中のN−H官能基の数を乗じたモル数を表し、3.1以下のpKaを有する酸触媒の存在下で、当該触媒は反応媒体に対して均一であり、かつ以下のような反応物質比:
40:1〜1:5の(b):(d)
で使用され、この場合、(d)は、触媒1モル当たりの利用可能なプロトン数を乗じた触媒のモル数を表す。形成されたアミノ酸ホスホネートは、それ自体公知の方法において回収することができる。当該反応は、例えば、それ自体または担持体上に被着された固体酸性金属酸化物;スルホン酸またはカルボン酸のブレンステッド酸基を有する陽イオン交換樹脂;上に有機ブレンステッド触媒が被着されている、孤立電子対を有する固体支持体の相互作用に由来する酸触媒;上にルイス酸サイトを有する化合物が被着されているそのような支持体の相互作用;化学ブレンステッドグラフト化および不均一なリンおよびケイ素含有ポリ酸によって官能化された不均一固体、から選択される不均一触媒の存在下において、均一触媒パラメータ選択と同様に実施することも可能である。
【0023】
パルプは、木材、繊維作物、古紙から繊維を化学的または機械的に分離することによって調製した乾燥繊維状材料である。木材繊維を分離するために使用することができる多くの様々なプロセスが存在する。これらのプロセスは、当技術分野において極めて周知である。パルプの名称は、使用されるプロセスに関連付けることができ、例えば、公知の種類は、機械パルプ;サーモメカニカルパルプ;ケミサーモメカニカルパルプ;化学パルプ;および脱インキパルプとしても知られる再生パルプである。そのような入手可能なパルプは、漂白することによって、例えば白色紙製造物などを製造することができる。漂白の目的の1つは、パルプ製品の白色度および清浄さを向上させることである。漂白剤は、酸化漂白剤および還元漂白剤から選択することができ、この場合、漂白剤は、乾燥パルプ(100%)に基づいて表した場合に0.5〜10%、好ましくは1〜6%、特に2〜5%のレベルで使用される。本明細書における使用にとって好適な漂白剤の周知の例としては、亜ジチオン酸塩、水素化ホウ素、二酸化塩素、ペルオキソ一硫酸(H2SO5)、ホルムアミジンスルフィン酸、活性化酸性過酸化物、例えば、過酸化モリブデートなど、酸素、過酸化物強化酸素、過酸化水素、過酸素酸、例えば、過酢酸およびオゾンなど、が挙げられる。一般的に、酸化漂白剤は、アミノ酸ホスホネートと反応してはならない。塩素および次亜塩素酸塩はアミノ酸ホスホネートと反応し得るため、本明細書における酸化漂白工程において使用することはできない。酸化漂白剤処理は、概して、8〜13、好ましくは8〜12、特に8.5〜10.5の範囲のpHで実施される。還元漂白処理は、概して、2〜6.5、好ましくは3〜6.5、特に4〜6.5の範囲のpHで実施される。当該漂白工程は、明らかに、好適なpH調節剤、緩衝成分、および任意で当技術分野における従来の周知の添加剤の存在を必要とする。酸化アプローチの際、pHは、アルカリ材料、特に、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムをはじめとするアルカリ性水酸化物、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムをはじめとするアルカリ土類水酸化物、シリカ緩衝剤、ならびにMgSO4.7H2O、すなわちエプソム塩を用いて確立することができる。水酸化マグネシウムおよびマグネシウム塩という、調節剤の組み合わせの使用は、同程度の条件下において、例えば水酸化アルカリ単独と比較して、より良好なアルカリ性リザーブを提供できる点において有益であることが見出された。例として、pHは、酸化漂白の際、水酸化ナトリウムを用いて調節することができ、その一方で、硫酸は、還元漂白工程に先立ってpH制御のために使用することができる。
【0024】
パルプは、漂白処理の際、水性媒体に基づき、1〜40%、好ましくは3〜30%、ある特定の実施においては4〜25%のレベルで使用される。これらの範囲は、関連する技術分野において極めて標準的である。これらの範囲は、使用される漂白工程、酸化工程、または還元工程に応じて、若干変わってもよく、ならびに変わることが多い。パルプ濃度は、通常、還元漂白工程よりも酸化漂白工程の方が高いが、それぞれのレベルは、本明細書において列挙した範囲内である。
【0025】
本発明の漂白処理は、1分〜8時間、好ましくは8分〜6時間、特に20分〜2時間にわたって、30〜100℃、好ましくは40〜90℃、特に45〜80℃の温度で実施される。本発明のプロセスにおいて、アミノ酸アルキルホスホン酸成分および漂白剤を加える工程の順序は固定されているわけではない。好ましい態様において、アミノ酸アルキルホスホン酸成分は最初に加えられる。さらなる態様において、両成分は同時に加えられる。当然のことながら、当該成分にパルプを加えることも可能である。
【0026】
本明細書における方法は、一般的に、長きにわたって広く実施されてきた。要約説明は、公知の現状技術水準を手短に思い起こさせる役目を果たし得る。本明細書における漂白方法は、複数の変法を具現化することができ、それにより、最も一般的なアプローチよって単一または複数のその後の段階が具現化される。一例として、一段階漂白プロセスは、パルプ濃縮機の前にパルプおよびキレート剤を加える工程を含み、パルプ濃縮機の後に蒸気ミキサーにおいて漂白剤、多くの場合は漂白溶液が加えられる。漂白は、漂白塔において生じ得、その後、漂白されたパルプを抄紙機に移す前に中和する工程が行われる。別のアプローチの例として、酸化漂白工程が還元漂白工程の後に行われる二段階漂白プロセスが構成される。実際に、酸化工程は、中和工程までは上記の一段階プロセスと同じであり得る。その時点において、第一段階に由来する漂白パルプおよび場合によっては追加的なキレート剤と一緒に還元漂白剤が、第二漂白塔、例えば上向流塔に加えられる。漂白されたパルプは、通常、ストックチェストに保持され、そこから、場合によっては適正なパルプ濃度を得るためにパルプ濃縮機を介して、抄紙機へ移送することができる。これらの技術は周知であり、いずれの変形も標準的実施法である。
【0027】
本発明の技術の適用に伴う潜在的恩恵を、以下のような比較を示すことによって説明する。
【0028】
アミノ酸ホスホネートの性能を、製紙プロセスと同様の条件において使用される酸化漂白剤の安定化のために使用される従来の製品と比較する。この比較において使用する製品は、ジエチレントリアミノペンタ−(メチレンカルボン酸)(DTPA);ジエチレントリアミノペンタ−(メチレンホスホン酸)(Dequest(登録商標) 2066)、およびリシンテトラ−(メチレンホスホン酸)エタノールアミン塩(Lysine tetraphph)である。
【0029】
試験は、以下のように実施する。機械的攪拌機、定圧滴下漏斗、および容積測定装置に接続された管材を備える三ツ口フラスコに、0.2gの試験製造物;6gの32%w/wの水酸化マグネシウム水性スラリー; 3gのケイ酸ナトリウムおよび10gの1%硫酸鉄七水和物水溶液を入れる。総重量150gまで脱イオン水を加える。当該混合物を、攪拌しながら60℃に加熱し、その後、16.7gの42%過酸化水素水溶液を加える。過酸化水素を加えた後に形成された酸素ガスの体積を時間ベースで記録する。表1に、時間を分(min)で表し、酸素体積をミリリットル(ml)で表した実験結果を示す。
【0030】
(表1)120分間の実験の間の酸素放出量

【0031】
過酸化水素の添加後に形成された酸素ガス量は、本発明の方法では著しく減少している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ漂白のための方法であって、以下の工程を含む方法:
− 水性媒体中の水(100重量%)に基づいて表した場合に1重量%〜40重量%のパルプを含有する水性媒体を提供する工程;
− 以下から選択される式を有するアミノ酸アルキルホスホン酸またはそれらの塩を添加する工程:
A1-(B)y;および
A2-(B)y;
式中、A1およびA2は、
A1=HOOC-A-NH2;および
A2=HOOC-C(NH2)(R)(R')
の式を有し、Bは、アルキル基中に1〜6個の炭素原子を有するアルキルホスホン酸部分であり、yは、1〜10の整数であり; Aは、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、および/または芳香族の炭化水素基で置換されていてもよい、C2〜C20の直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、このラジカルおよび/または基は、1つまたは複数のOH、COOH、および/またはNH2部分で置換されていてもよく;RおよびR'は、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、および/または、例えばフェニルなどの芳香族の基、NH2、NH-(C=NH)NH2、OH、SH、SCH3、NO2、CN、SO3H、ハロゲン、CONH2、ならびに/あるいはCOOHで置換されていてもよい、C1〜C20の直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、かつRまたはR'のうちの1つは水素であってもよく;
ただし、
Rおよび/またはR'が、少なくとも1つの孤立電子対を含む電子豊富な部分を含み、この部分が、共有結合によって芳香族部分に直接結合している、化合物;または、炭素原子の少なくとも1個がヘテロ原子で置換されている芳香族化合物;ならびに、Rが-C(Z)(R''')(R'''')であり、R'、R'''、およびR''''が水素である場合、式中、ZがNO2、CN、COOH、CONH2、SO3H、OH、およびハロゲンから選択される電子求引性基である、化合物
は除外され、
さらに、
A2がL−リシンであり、少なくとも1つのL−リシンアミノラジカルが2つのアルキルホスホン酸部分を有する場合、および
A2がL−グルタミン酸であり、グルタミン酸ホスホネートという用語が、50〜90重量%のピロリドンカルボン酸N−メチレンホスホン酸と10〜50重量%のL−グルタミン酸ジホスホン酸との組み合わせを表す場合;
前記アミノ酸アルキルホスホン酸化合物は、乾燥パルプのレベル(100重量%)に基づいて表した場合に0.01重量%〜6重量%のレベルで添加される;
− pH8〜13で酸化漂白処理を実施するため、およびpH2〜6.5で還元漂白処理を実施するために、乾燥パルプ(100重量%)に基づいて表した場合に0.5重量%〜10重量%の量で、酸化漂白剤および還元漂白剤から選択される漂白剤と、pH調節剤および緩衝成分から選択される漂白添加剤とを添加する工程;ならびに
− 漂白処理を、30℃〜100℃の温度で1分〜8時間にわたって実施する工程。
【請求項2】
アミノ酸アルキルホスホン酸の塩が、アンモニア、水酸化アルカリ、水酸化アルカリ土類、およびアミンから選択される中和剤によって生成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アミンが、下記一般式を有する、請求項2記載の方法:
(X)b[N(W)(H)2-b]z
式中、Xは、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の基で置換されていてもよい、C1〜C200000の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、このラジカルおよび/または基は、OH、COOH、COOG、F、Br、Cl、I、OG、SO3H、SO3G、および/またはSG部分;H;[V-N(H)]x-H;[V-N(Y)]n-V;[V-O]x-Vで置換されていてもよく;式中、Vは、1つまたは複数の、C1〜12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の基で置換されていてもよい、C2〜50の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、このラジカルおよび/または基は、OH、COOH、COOR''、F/Br/Cl/I、OR''、SO3H、SO3R''、および/またはSR''部分で置換されていてもよく、式中、R''は、C1〜12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルであり、Gは、1つまたは複数の、C1〜C12の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の基で置換されていてもよい、C1〜C200000の直鎖状、分岐鎖状、環状、または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、このラジカルおよび/または基は、OH、COOH、COOR''、F、Br、Cl、I、OR''、SO3H、SO3R''、および/またはSR''部分;H;[V-N(H)]n-H;[V-N(Y)]n-V、あるいは[V-O]x-Vで置換されていてもよく; 式中、Yは、H、[V-N(H)]n-Hまたは[V-N(H)]n-Vであり、xは1〜50000の整数であり、nは0〜50000の整数であり;zは0〜200000であり、それにより、zは、Xにおける炭素原子の数に等しいかまたはそれより小さく、bは0または1であり;b=0の場合にz=1であり;ならびにXは、z=0かつb=1の場合に[V-N(H)]x-Hまたは[V-N(Y)]n-Vである。
【請求項4】
アミノ酸アルキルホスホン酸におけるアミノ酸A1が、
− D,L−アラニン、この場合yは2;
− L−アラニン、この場合yは2;
− L−フェニルアラニン、この場合yは2;
− L−リシン、この場合yは2〜4の範囲;
− L−アルギニン、この場合yは2〜6の範囲;
− L−トレオニン、この場合yは2;
− L−メチオニン、この場合yは2;
− L−システイン、この場合yは2;および
− L−グルタミン酸、この場合yは1〜2
から、ならびに
1〜3つのNH2部分で置換されているC2〜C16の直鎖状炭化水素ラジカルから選択されるアミノ酸ホスホン酸A1における、部分A
から選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
アミノ酸ホスホン酸が、
− 7−アミノヘプタン酸;
− 6−アミノヘキサン酸;
− 5−アミノペンタン酸;
− 4−アミノ酪酸;および
− β−アラニン
から選択され、それにより、そのような種のそれぞれにおいてyが2である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
亜リン酸成分(100%)に関して表した場合に0.4%以下のハロゲン化水素酸の存在下で、
(a)亜リン酸;
(b)式A1またはA2のアミノ酸;および
(c)ホルムアルデヒド
を、
0.05:1〜2:1の(a):(b);0.05:1〜5:1の(c):(b);および5:1〜0.25:1の(c):(a)の反応物質比で反応させることによって、アミノ酸アルキルホスホン酸が作製され、
この場合、(a)および(c)は使用されるモル数を表し、(b)はアミン中のN−H官能基の数を乗じたモル数を表し、3.1以下のpKaを有する酸触媒の存在下で、該触媒は反応媒体に対して均一であり、かつ以下のような反応物質比:
40:1〜1:5の(b):(d)
で使用され;
この場合、(d)は、触媒1モル当たりの利用可能なプロトン数を乗じた触媒のモル数を表す、
請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
アミノ酸アルキルホスホン酸に加えて、ポリホスホン酸が加えられ、該ポリホスホン酸が、
(a)アルキレン部分が1〜20個の炭素原子を有するアミノポリアルキレンポリホスホン酸;
(b)アルキレン部分が2〜50個の炭素原子を有するヒドロキシアルキレンポリホスホン酸;および
(c)アルカン部分が、3〜12個の炭素原子を有する直鎖構造である、ホスホノアルカンポリカルボン酸;
からなる群より選択され、
アミノ酸アルキルホスホン酸とポリホスホン酸の重量比が98:2〜25:75の範囲である、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
漂白処理が、40℃〜90℃の温度で8分〜6時間にわたって実施される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
パルプが3〜30重量%を占める、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
漂白剤が、過酸化水素、酸素、過酸化物強化酸素、二酸化塩素、オゾン、および過酸から選択される酸化漂白剤であり、該漂白剤が、1重量%〜6重量%のレベルで添加され、水性媒体が8〜12のpHを有する、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
酸化漂白が、水酸化マグネシウム、ケイ酸塩緩衝剤、および/またはエプソム塩を用いて8〜12に調節されたpHで実施される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
酸化漂白が、8.5〜10.5の範囲のpHで実施される、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
漂白剤が、亜ジチオン酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸、および水素化ホウ素の群より選択される還元漂白剤である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
還元漂白が、4〜6.5のpHで実施される、請求項13記載の方法。

【公表番号】特表2013−519801(P2013−519801A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552422(P2012−552422)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052129
【国際公開番号】WO2011/098599
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511226890)デクエスト アーゲー (2)
【Fターム(参考)】