パレットチェンジャ
【課題】大型の駆動装置を用いずにパレット交換が可能であって、省スペース化にも適し、既存のマシニングセンタ等に後付けが可能な工作機械用のパレットチェンジャを提供する。
【解決手段】ワークWを載せるパレット12をストックするラック20に、該ラック20との間でパレット12の受け渡しを行うとともにパレット12を昇降させるエレベータ40を近接配置し、更に、マシニングセンタの加工部側のベッド120をエレベータ40に近接配置する。エレベータ40とベッド120には、ベース44,122と、ローラコンベア50,130と、前記ベース44,122に対してローラコンベア50,130を傾斜させる傾斜機構80,150を設ける。そして、前記エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、傾斜させた搬入用ローラコンベア200と排出用ローラコンベア210を利用した自重移動により行う。
【解決手段】ワークWを載せるパレット12をストックするラック20に、該ラック20との間でパレット12の受け渡しを行うとともにパレット12を昇降させるエレベータ40を近接配置し、更に、マシニングセンタの加工部側のベッド120をエレベータ40に近接配置する。エレベータ40とベッド120には、ベース44,122と、ローラコンベア50,130と、前記ベース44,122に対してローラコンベア50,130を傾斜させる傾斜機構80,150を設ける。そして、前記エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、傾斜させた搬入用ローラコンベア200と排出用ローラコンベア210を利用した自重移動により行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタ等の工作機械用のパレットチェンジャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタ等の工作機械においては、被加工物(ワーク)を載せたパレットの搬送・交換は、パレットチェンジャにより行われる。パレットチェンジャには、直進式や旋回式などの様々なタイプのものがある。例えば、直進式には、電動アクチュエータを利用した往復移動によりパレットチェンジを行うシャトル型や、モータ駆動によるベルトコンベアなどを用いてパレットを搬送する方式のものがある。また、旋回式には、アームが固定された中心で旋回するワンハンドロボットや、平置きされたパレットが旋回しワークチェンジを行うターレット型などがある。例えば、下記特許文献1には、ターレット型のマシニングセンタのパレット交換機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−15093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような背景技術には、次のような不都合がある。まず、直進式では、電動アクチュエータやエアシリンダでパレットを搬送する機構の場合には、搬送ストロークに応じた長さのアクチュエータが必要になるという不都合がある。また、ベルトコンベアなどモータ駆動による機構では、機械装置として大掛かりになりやすく、マシニングセンタ上では切粉などにより不具合の原因となりやすい。一方、旋回式のうち、上述したワンハンドロボットでは、アームが固定された中心で旋回するため、その範囲内に障害物がないようにする必要があり、広いスペースが必要となるほか、コストも高いという不都合がある。前記ターレット型においても、平置きされたパレットが旋回しワークチェンジを行うため、ワンハンドロボットと同様に旋回スペースを広くとる必要があり、機械装置が大掛かりとなる。更に、いずれの背景技術においても、大幅な改造をすることなく既存のマシニングセンタに後付けすることは困難であり、初めからパレットチェンジャを備えたマシニングセンタとして製作・販売されている。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、大型の駆動装置を設けることなくパレット交換が可能であって、省スペース化や省エネルギー化にも適しており、既存のマシニングセンタ等にも後付けが可能な工作機械用のパレットチェンジャを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被加工物を載置するパレットをストックするラックと、該ラックに近接配置され、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに、前記パレットを昇降させる昇降機構を備えたエレベータと、該エレベータに近接配置された工作機械の加工部側のベッドと、を備えた工作機械用のパレットチェンジャであって、前記エレベータ及び前記ベッドはそれぞれ、ベースと、該ベース上に配置されており前記パレットを受けるローラコンベアとを備えており、前記エレベータと前記ベッドの間には、前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアと、が配置されており、前記エレベータ及びベッド間の前記パレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上における前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記エレベータは、該エレベータのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるエレベータ用傾斜機構を備えており、前記ベッドは、該ベッドのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるベッド用傾斜機構を備えており、前記エレベータ用傾斜機構によって、前記エレベータのローラコンベアを傾斜させ、前記搬入用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行い、前記ベッド用傾斜機構によって、前記ベッドのローラコンベアを傾斜させ、前記排出用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行うことを特徴とする。他の主要な形態は、前記エレベータが、該エレベータのローラコンベア上のパレットを、前記搬入用ローラコンベアへ向けて押し出す搬入用押出機構を備えており、前記ベッドが、該ベッドのローラコンベア上のパレットを、前記排出用ローラコンベアへ向けて押し出す排出用押出機構を備えていることを特徴とする。
【0008】
他の形態は、前記ラックが、前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚と、該複数段の棚のそれぞれに設けられており、該棚にストックされたパレットを前記エレベータ側へ押し出すパレット押出手段とを備えており、前記エレベータが、前記ローラコンベア上のパレットを前記ラック側へ押し出すパレット押出手段を備えており、前記ラック及びエレベータ間のパレットの受け渡しを、前記各パレット押出手段の駆動により行うことを特徴とする。あるいは、前記ラックが、前記パレットを縦積みにストックするとともに、前記エレベータ側が下がるように傾斜した複数の棚と、該棚の下降端側に配置されており前記パレットを係止可能なストッパと、を備えており、前記棚から前記エレベータのローラコンベアへのパレットの受け渡しを、前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする。あるいは、前記ラックが、前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚を備えており、少なくとも前記エレベータのローラコンベアから前記ラックの棚へのパレットの移動を、前記エレベータ用傾斜機構を利用したパレットの自重移動により行うことを特徴とする。
【0009】
更に他の形態は、前記エレベータは、前記ローラコンベア上のパレットの脱落を防止するストッパ手段を有することを特徴とする。更に他の形態は、前記ベッドは、前記ローラコンベア上のパレットを固定するパレット固定手段を有することを特徴とする。
【0010】
更に他の形態は、前記パレットの姿勢を検知する姿勢検知手段を、パレット毎に設けたことを特徴とする。更に他の形態は、前記姿勢検知手段は、ジャイロセンサ又は加速度センサと、該ジャイロセンサ又は加速度センサの検知信号を外部に送信するための通信手段を含むことを特徴とする。更に他の形態は、前記検知信号を受信する通信手段を備えるとともに、受信した検知信号に基づいて、前記ラックとエレベータ間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,前記エレベータの昇降,前記エレベータとベッド間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,のうち少なくとも一つの動作を制御する駆動制御手段を設けたことを特徴とする。更に他の形態は、光又は音で異常を報知する報知手段を設けるとともに、前記駆動制御手段は、前記パレットから受信した検知信号に基づいて、前記報知手段を駆動することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被加工物を載置するパレットをストックするラックに、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに前記パレットを昇降させるエレベータを近接配置し、更に、工作機械の加工部側のベッドを前記エレベータに近接配置する。そして、前記エレベータ及びベッドにそれぞれ、ベースと、該ベース上に配置され前記パレットを受けるローラコンベアとを設け、前記エレベータと前記ベッドの間には、前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアを配置する。そして、前記エレベータ及びベッド間のパレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上での前記パレットの自重移動により行うこととした。このため、大型駆動装置が不要となり、省スペース化,省エネルギー化が可能となり、更に、大幅な改造をすることなく既存のマシニングセンタへの後付けも可能となる。また、搬送自体には自重移動を利用するため、搬送距離に影響され難いという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1の全体構成を示す図である。
【図2】前記実施例1の構成を示すブロック図である。
【図3】前記実施例1のエレベータの主要部の構成を示す外観斜視図である。
【図4】前記エレベータのパレットストッパの作用を示す平面図であり、(A)はストッパを開いた状態,(B)はストッパを閉じた状態を示す。
【図5】前記エレベータのプッシャの作用を示す側面図であり、(A)はプッシャの復帰状態,(B)はプッシャの退避状態を示す。
【図6】前記実施例1のベッドの構成を示す外観斜視図である。
【図7】前記ベッドの平面図である。
【図8】前記ベッドの作用を示す側面図であり、(A)は搬入状態,(B)は着座状態,(C)は排出状態を示す。
【図9】前記実施例1によるパレット交換の作用を示す側面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
最初に、図1〜図9を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1のパレットチェンジャの全体構成を示す図である。図2は、本実施例のパレットチェンジャの構成を示すブロック図である。図3は、前記パレットチェンジャのエレベータの主要部の構成を示す外観斜視図である。図4は、前記エレベータのパレットストッパの作用を示す平面図であり、(A)はストッパを開いた状態,(B)はストッパを閉じた状態を示す。図5は、前記エレベータのプッシャの作用を示す側面図であり、(A)はプッシャの復帰状態を示し、(B)はプッシャの退避状態を示す。図6は、前記パレットチェンジャのベッド(MCベッド)の構成を示す外観斜視図,図7は前記ベッドの平面図,図8は前記ベッドの傾斜機構の作用を示す側面図であり、(A)は搬入状態,(B)は着座状態,(C)は排出状態を示す。図9は、本実施例によるパレット交換の作用を模式的に示す側面図である。なお、前記図3は、エレベータの構成の理解を容易にするため、図1を紙面裏側から見た状態で示されており、図1,図4,図5,図9とは左右の表示が逆となっている。
【0015】
本実施例のパレットチェンジャ10は、マシニングセンタ等の工作機械用のパレットチェンジャであって、マシニングセンタ等に後付け可能な構成となっている。図1に示すように、パレットチェンジャ10は、ワーク(被加工物)Wを載置するパレット12をストックするラック20と、該ラック20に近接配置され、該ラック20との間で前記パレット12の受け渡しを行うとともに、前記パレット12を昇降させる昇降機構を備えたエレベータ40と、該エレベータ40に近接配置された工作機械の固定台220上のベッド(MCベッド(マシニングセンタベッド))120によって構成されている。また、本実施例では、前記エレベータ40とベッド120の間には、ベッド120へのパレット12の搬入をガイドするための搬入用ローラコンベア200と、前記ベッド120からエレベータ40へのパレット12の排出をガイドするための排出用ローラコンベア210が配置されている。このほか、図2に示すように、前記ラック20には、パレット12を押し出すための押出機構26が設けられ、エレベータ40には、ストッパ機構60,傾斜機構80,押出機構100が設けられ、ベッド120には、傾斜機構150が設けられている。以下、各部について順に説明する。
【0016】
まず、前記ラック20について説明する。該ラック20は、複数の縦フレーム22間に、ワークWを載置したパレット12を縦積みにストックするための複数の棚24A〜24Dが設けられた構成となっている。本実施例では、前記ラック20とエレベータ40の間でのパレット12の受け渡しを、押出機構26によるパレット12の押し出しにより行うこととしており、前記縦フレーム22のうち、前記エレベータ40と反対側の縦フレーム22には、前記複数の棚24A〜24Dのそれぞれに押出機構26を構成するエアシリンダ28が設けられている。前記エアシリンダ28のスライダ30には、プッシャ32が設けられており、前記エアシリンダ28を駆動すると、プッシャ32の先端がパレット12の側面に接触し、パレット12をエレベータ40へ向けて押し出すことが可能となっている。なお、エアシリンダ28としては、例えば、公知のロッドレスエアシリンダなどが利用可能である。
【0017】
次に、前記エレベータ40について説明すると、図1に示すように、垂直方向に設けられた昇降用の一対のガイド42A,42Bと、該ガイド42A,42Bに沿って昇降可能なベース44と、該ベース44を前記ガイド42A,42Bに沿って昇降させるリニアアクチュエータ46とによって構成される昇降機構と、前記ベース44上に配置されており前記パレット12を受けるローラコンベア50と、前記ベース44に対して前記ローラコンベア50を傾斜させる傾斜機構80を備えている。このほか、前記エレベータ40には、ローラコンベア50上のパレット12の脱落を防止するストッパ機構60と、前記ローラコンベア50上のパレット12を前記ラック20側へ押し出すためのエアシリンダ102及びプッシャ104,前記パレット12を後述するベッド120へ移動させるときに前記プッシャ104を退避させるためのエアシリンダ106を含む押出機構100を備えている。更に、前記ガイド42Bには、後述する搬入用ローラコンベア200と排出用ローラコンベア210が、適宜手段により取り付けられている。
【0018】
前記ベース44は、図3に示すように、複数のフレーム44A〜44D,82〜88により構成されており、フレーム44Bが、前記リニアアクチュエータ46のスライダ46Aに対して固定プレート48を介して固定されている。一方、前記一対のガイド42A,42Bは、図3に示すように、溝部分を有するレール43A,43Bを有しており、前記フレーム44C及び44Dの間に設けられたフレーム44Aに固定された金具45が、前記レール43A,43Bに沿ってスライド可能に取り付けられている。前記ベース44上に配置されるローラコンベア50は、フレーム50A〜50Dにより全体が略長方形に形成されており、対向するフレーム50A,50B間に、複数のローラ56が略平行に設けられている。前記ローラ56の軸54は、前記フレーム50A,50Bに対して回転可能に支持されている。
【0019】
前記ローラコンベア50は、昇降中にパレット12が脱落するのを防止するためのストッパ機構60を有している。該ストッパ機構60は、前記フレーム50A,50Bに同構成のものが一つずつ設けられている。図3及び図4も参照して説明すると、ストッパ機構60は、フレーム50A,50Bの側面52Aの外側に配置されたエアシリンダ64とストッパ70を中心に構成されている。前記エアシリンダ64の端部は、前記フレーム50Aの上面52Bに連結具62を介して固定されており、ロッド66は回動連結具68及びピン72を介して、ストッパ70のアーム70Aの端部に回動可能に連結されている。前記ストッパ70は、前記アーム70Aと他方のアーム70Bの略中間位置を垂直方向に貫通する軸74によって回動可能に支持されている。前記軸74は、フレーム50A(又は50B)の上面52Bに設けられた長穴76と下面52Cに設けられた図示しない穴を貫通し、両端に設けられたナット78などにより、上面52B及び下面52Cからの抜け落ちが防止されている。なお、本実施例では、取り付けの都合上、前記長穴76を形成することとしたが、丸穴であっても同様の動作が可能である。また、前記フレーム50A,50Bのラック20側の端部には、前記ストッパ70の回動を妨げないように、切欠き53が形成されている。
【0020】
図4(A)に示すように、前記エアシリンダ64のロッド66が、シリンダから露出している部分が少ない場合には、ストッパアーム70Bはフレーム50A,50Bに沿って開いた状態である。一方、エアシリンダ64を駆動してピストン65を矢印F4a方向に押すと、ロッド66がシリンダから露出する部分が長くなる。すると、ロッド66の先端に設けられた回動連結具68及びピン72を介して接続されたストッパ70は、図4(B)に矢印F4bで示すように軸74を中心に回動し、アーム70Bがフレーム50Cに対して略平行となる。このアーム70Bがパレット12の縁に当接することにより、パレット12の脱落を防止することができる。
【0021】
次に、ローラコンベア50から前記ベッド120へのパレット12の移動を、該パレット12の自重で行うためにローラコンベア50を傾斜させる傾斜機構80について説明する。前記ローラコンベア50のフレーム50Dの底面の両端付近には凸部92が設けられており、該凸部92は、前記ベース44側のフレーム82の上面82Aの両端付近に設けられた軸受け90A,90Bに対して軸94を中心に回動可能に支持されている。一方、前記フレーム50Dと対向するフレーム50Cの底面と、ベース44側のフレーム88の間には、傾斜用のエアシリンダ98A,98Bが設けられている。該エアシリンダ98A,98Bの一端側は、フレーム88の上面に設けられた開口部96を貫通してフレーム88の底面に固定されており、他端側は、フレーム50Cに対して固定されている。該エアシリンダ98A,98Bを駆動することにより、ローラコンベア50がフレーム50D側を支点として全体が回動可能となる。すなわち、フレーム50C側を図3の矢印F3b方向に上昇させれば、前記フレーム50D側,すなわち、ベッド120側が低くなるように傾斜を付けることができる。なお、エアシリンダ98A,98Bとフレーム50Cの固定部分は、フレーム50D側との高低差により生じる角度を吸収できる構造となっている。
【0022】
次に、エアシリンダ102及びプッシャ104について説明する。本実施例では、上述した通り、前記ラック20とエレベータ40の間でのパレット12の受け渡しを、パレット12の押し出しにより行うこととしているため、前記エアシリンダ102及びプッシャ104を設けている。前記エアシリンダ102の一端側は、ベース44側のフレーム84の凹部84A内に収納されており、他端側は、前記フレーム84に回転可能に止められている。前記エアシリンダ102のスライダ103には、パレット12の縁部に当接可能なプッシャ104が立設固定されている。前記エアシリンダ102によりスライダ103及びプッシャ104をラック20側へ向けて駆動すると(図5(A)参照)、パレット12をラック20の棚24A〜24Dに戻すことができる。なお、パレット12をラック20に戻すときには、上述したストッパ機構60のストッパ70は開いた状態とする。
【0023】
また、前記プッシャ104は、閉じた状態のストッパ70とともにパレット12の脱落を防止するストッパ機能も兼ねている。前記エアシリンダ102としては、公知のロッドレスエアシリンダなどが利用可能である。なお、前記プッシャ104は、図5(A)に示す状態(以下「復帰状態」とする)では、上述した傾斜機構80によってローラコンベア50を傾けたときにパレット12の縁部と係合するため、ベッド120側へ移動するのを妨げてしまう。そこで、本実施例では、前記プッシャ104を下方に退避させるためのエアシリンダ106を設けている。該エアシリンダ106は、図5(A)に示すように、前記ベース44側のフレーム86の底面に固定されており、該エアシリンダ106のロッド107は、前記フレーム84及び86を貫通し、受け具108を介して前記エアシリンダ102の底面に固定されている。該受け具108は、滑り面108Aに沿って滑ることにより、前記ロッド107の移動により生じるエアシリンダ102とロッド107の傾きを吸収する構成となっている。前記エアシリンダ106を駆動してロッド107を下方に駆動するとエアシリンダ102が傾き、図5(B)に示すように、該エアシリンダ102の上面に設けられたプッシャ104の先端がローラ56よりも低い位置となるため、パレット12をベッド120側へ自重移動させるときの妨げとなることはない。
【0024】
次に、図6〜図8も参照しながら、前記ベッド120について説明する。図7は、図6を矢印F6a方向から見た平面図であり、図8は、前記図6を矢印F6b方向から見た側面図に相当する。なお、前記図8では、後述する電動アクチュエータ152A,172Aの動作の理解を容易にするため、これらを上下方向にずらして図示している。前記ベッド120は、マシニングセンタの固定台220上に移動可能に設けられており、該ベッド120上には、ベース122と、該ベース122上に配置されており、前記パレット12を受けるローラコンベア130と、前記ベース122に対して前記ローラコンベア130を傾斜させる傾斜機構150とが設けられている。前記ベッド120は、前記搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210との間で、前記パレット12の自重移動が可能な構成となっている。前記ベッド120に設けられるベース122は、後述する電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bを固定するためのシリンダ座部123を備えている。前記ベース122とローラコンベア130の間には、クランプベース124が配置されており、ローラコンベア130上に載置されるパレット12を固定するためのエアクランプ126とガイド付きの座面128が対角に2つずつ配置されている。前記クランプベース124,エアクランプ126,座面128については公知であり、例えば、前記エアクランプ126以外にも、油圧,電動などの一般的な方法でのクランプ機構が利用可能である。
【0025】
前記ベース122の上方に配置されるローラコンベア130は、フレーム132A〜132Dにより全体が略長方形に形成されており、対向するフレーム132A,132B間に、複数のローラ134が略平行に設けられている。前記ローラ134の軸136は、前記フレーム132A,132Bに対して回転可能に支持されている。該ローラコンベア130は、支持体140A及び140Bや、昇降ガイド164及び180を介して前記ベース122に対して傾斜可能となるように支持されている。まず、ローラコンベア130の略中央部では、フレーム132A,132Bの内側に設けられた軸142が、ベース122に立設された一対の支持体140A,140Bの縦方向のスリット141に沿ってスライド可能に係合しており、軸142を支点として、ローラコンベア130が揺動可能となっている。
【0026】
また、前記フレーム132A,132Bの外側には、それぞれ傾斜機構150が設けられている。傾斜機構150の構成は、フレーム132A側とフレーム132B側とで同じであるので、以下、フレーム132A側を例に挙げて説明する。前記シリンダ座部123には、一組の電動アクチュエータ152Aと172Aが設けられている。また、前記ベース122上には、前記フレーム132Aの延長方向にガイド160が固定されており、該ガイド160に沿ってスライドするスライダ162には、昇降ガイド164の基部166Aが固定されている。また、前記基部166Aには、金具155を介して前記電動アクチュエータ152Aのロッド154と接続するためのフレーム156が接続されている。該フレーム156の略中央部には、ロッド154の伸縮方向に沿ってスリット156Aが形成されており、該スリット156Aを貫通し、かつ、フレーム156の上面で係合するストッパ158によってロッド154の伸縮量が規制されている。また、前記昇降ガイド164の基部166Aには、ガイドプレート166Bが設けられており、該ガイドプレート166Bには、図6において左上から右下にかけて形成された斜めのスリット168が設けられている。該スリット168には、ローラコンベア130のフレーム132Aの側面に設けられた軸170が係合している。
【0027】
また、前記ベース122上には、前記ガイド160よりも外側に、該ガイド160に対して略平行に他のガイド176が設けられている。該ガイド176は、前記電動アクチュエータ152Aの外側に配置された他方の電動アクチュエータ172Aの駆動によって、スライダ178を介して昇降ガイド180を動かすためのものである。前記ガイド176に沿ってスライドするスライダ178には、昇降ガイド180の基部182Aが固定されている。また、前記基部182Aには、金具175を介して前記電動アクチュエータ172Aのロッド174が接続されている。前記昇降ガイド180の基部182Aには、ガイドプレート182Bが立設されており、該ガイドプレート182Bには、図6において右上から左下側にかけて形成された斜めのスリット186が設けられている。該スリット186には、ローラコンベア130のフレーム132Aの側面に設けられた軸190が係合している。
【0028】
図8には、前記傾斜機構150を利用したローラコンベア130の作用が示されている。まず、エレベータ40側からパレット12を搬入する際には、エレベータ40側が高くなるように電動アクチュエータ152A,172Aを駆動する。具体的には、昇降ガイド164側では、軸170がスリット168の上端168A側にくるようにロッド154を縮め、昇降ガイド180側では、軸190がスリット186の中間部付近にくるようにロッド174の長さを調節する。また、エレベータ40からパレット12を受け取り、ワークWの加工を行う際には、ローラコンベア130をベース122に着座させる必要があることから、その際には、図8(B)に示すように、電動アクチュエータ152A,172Aともに、ロッド154,174を縮めて、前記軸170がスリット下端168Bに位置し、前記軸190がスリット下端186Bに位置するように調節する。このとき、ローラコンベア130の略中央部に設けられた軸142も支持体140A,140Bのスリット141に沿って下降し、ローラコンベア130全体がベース122に着座する。この着座状態において、ベース120は固定台220上を図8(B)に矢印でF8aで示す方向に移動し、所定の加工位置において、図示しない工具等によりワークWの加工が行われる。
【0029】
そして、加工が終了したワークWは、ベース120を図8(B)に矢印F8bで示す方向に移動させることにより、排出可能位置に移動する。加工が終わったワークWをエレベータ40に戻す場合には、図8(C)に示すように、エレベータ40側が低くなるように電動アクチュエータ152A,172Aを駆動する。具体的には、昇降ガイド164側では、軸170がスリット168の中間部付近にくるようにロッド154の長さを調節し、昇降ガイド180側では、軸190がスリット186の上端186Aにくるようにロッド174を伸ばすという具合である。なお、フレーム132B側に設けた電動アクチュエータ152Bは、前記電動アクチュエータ152Aと同様に駆動し、他の電動アクチュエータ172Bは、前記電動アクチュエータ172Aと同様に駆動する。
【0030】
次に、前記エレベータ40と上述したベッド120間に配置される搬入用ローラコンベア200と、排出用ローラコンベア210について説明する。前記搬入用ローラコンベア200は、前記ベッド120のローラコンベア130よりも高い位置にある状態のエレベータ40のローラコンベア50から、ベッド120へのパレット12の搬入をガイドするもので、エレベータ40側が高く、ベッド120側が低くなるように傾斜している。該搬入用ローラコンベア200は、フレーム202の一対の長辺204間に多数のローラ206が略平行に設けられた構成となっており、該ローラ206の軸は、前記フレーム202に対して回転可能となっている。他方、前記排出用ローラコンベア210は、前記エレベータ40のローラコンベア50よりも高い位置にある状態のベッド120のローラコンベア130から、前記エレベータ40へのパレット12の排出をガイドするもので、ベッド120側が高く、エレベータ40側が低くなるように傾斜している。該排出用ローラコンベア210は、フレーム212の一対の長辺214間に多数のローラ216が略平行に設けられた構成となっており、該ローラ216の軸は、前記フレーム212に対して回転可能となっている。前記搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210は、例えば、前記エレベータ40のガイド42Bに取り付けられている。これら搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210を、前記エレベータ40と前記ベッド120の間に配置することにより、前記エレベータ40とベッド120間におけるパレット12の自重移動が可能となる。
【0031】
次に、図9も参照しながら、本実施例によるパレット12の交換手順を説明する。まず、ラック20の棚24A〜24DにワークWを載せたパレット12をセットする。本実施例では、棚24A〜24Dの順にパレット12上のワークWを加工するものとして、以下の手順を説明する。また、ベッド120については、固定台220上を移動させて、図9(A)に示すように初期位置(エレベータ40とマシニングセンタの間のパレット12の受け渡しのために決められた位置)に移動しておき、電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bを駆動して、図8(A)に示すパレット受け取り状態に傾斜させておく。そして、エレベータ40のリニアアクチュエータ46を駆動し、ラック20の一番上の棚24Aからパレット12を受け取り可能な位置(図1及び図9に示す位置PC)にローラコンベア50を移動させ、その状態で停止させる(図9(A))。
【0032】
そして、前記ローラコンベア50では、エアシリンダ106の駆動により、プッシャ104を図5(A)に示す復帰状態にして、ラック20側からのパレット12の受け取りに備える。そして、前記棚24Aに設けられたエアシリンダ28の駆動により、スライダ30及びプッシャ32をエレベータ40側へ押し出し、前記プッシャ32の先端でパレット12をエレベータ40側のローラコンベア50側へ移動させる。パレット12がローラコンベア50上に完全に移動したら、ストッパ機構60のエアシリンダ64を駆動して、図4(B)に示すように、パレット12の一端側を押えるようにストッパ70を閉める。なお、このとき、パレット12の他端側は、上述したプッシャ104により係止可能となっており、エレベータ40の昇降中にパレット12がローラコンベア50から脱落するのを防止することができる。
【0033】
前記ローラコンベア50上にパレット12を固定したら、前記リニアアクチュエータ46の駆動により、ベッド120へのパレット12の搬入位置(図1及び図9に示す位置PA)までローラコンベア50を移動させて停止する(図9(B)参照)。そして、エアシリンダ106の駆動により図5(B)に示すようにプッシャ104を退避させるとともに、傾斜機構80のエアシリンダ98A,98Bの駆動により、ベッド120側が低くなるようにローラコンベア50を傾斜させる。すると、パレット12は、図9(C)に示すように、自重によりローラコンベア50のローラ56上を転がり、更に、前記ベッド120との間に配置された搬入用ローラコンベア200のローラ206上を転がって、ベッド120のローラコンベア130側へ移動する。該ローラコンベア130も、事前に受け取り状態に傾斜しているため、前記パレット12は、ストッパ138に当接するまで、自重によって前記ローラコンベア130上を転がる。
【0034】
ベッド120側へパレット12が完全に移動したら、電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bの駆動により、図8(B)に示すようにローラコンベア130を着座させ、エアクランプ126によりパレット12を固定し、ベッド120を図8に矢印F8aで示す方向に移動させて、該パレット12上のワークWをマシニングセンタで加工する。一方、ワークWの加工中、前記エレベータ40はリニアアクチュエータ46の駆動により、パレット12をベッド120から受け取る位置(図1及び図9に示す位置PB)にローラコンベア50を移動させ、その位置で待機するとともに、エアシリンダ98A,98Bの駆動により傾斜状態から水平状態へ復帰させる(図9(D))。ワークWの加工が終了したら、ベッド120を図8に矢印F8bで示す方向へ移動させて初期位置に戻し、エアクランプ126によるパレット12の固定を解除する。そして、電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bの駆動により、ローラコンベア130を図8(C)に示すパレット排出状態に傾斜させる。すると、パレット12は、ローラコンベア130のローラ134上を自重により移動し(図9(E)参照)、更に、エレベータ40との間に配置された排出用ローラコンベア210のローラ216上を自重により移動して、エレベータ40のローラコンベア50上に移動する。
【0035】
ローラコンベア50上にパレット12が完全に移動したら、エアシリンダ106を駆動してプッシャ104を復帰し、パレット12の脱落を防止した状態でリニアアクチュエータ46を駆動し、ローラコンベア50をラック12の棚24Aの位置(位置PC)まで移動させる(図9(F))。一方、パレット12を排出したベッド120側では、ローラコンベア130をパレット受け取り状態に傾斜させて待機する。そして、ローラコンベア50側では、エアシリンダ64の駆動によりストッパ70を開き、更に、エアシリンダ102の駆動により、図5(A)に矢印で示す方向にプッシャ104を移動させ、加工済みワークWを載せたパレット12を、ラック20の棚24Aに押し戻す(図9(G))。その後、エアシリンダ102の駆動によりプッシャ104を初期位置(図9(A)に示す状態)に戻し、ローラコンベア50を、次に加工を行うワークWが載せられているパレット12の棚24B(図1及び図9にPDで示す位置)に、リニアアクチュエータ46の駆動により移動させる。以降の手順は、前記図9(A)〜(G)と同様である。
【0036】
このように、実施例1によれば、ワークWを載置するパレット12をストックするラック20に、該ラック20との間で前記パレット12の受け渡しを行うとともに前記パレット12を昇降させるエレベータ40を近接配置し、更に、マシニングセンタの加工部側のベッド120を前記エレベータ40に近接配置する。前記エレベータ40及びベッド120には、ベース44,122と、該ベース44,122上に配置され前記パレット12を受けるローラコンベア50,130と、前記ベース44,122に対して前記ローラコンベア50,130を傾斜させる傾斜機構80,150を設ける。また、前記エレベータ40とベッド120の間には、搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210を配置する。そして、前記エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、傾斜させたローラコンベア50,130及び搬入用ローラコンベア200,排出用ローラコンベア210上でのパレット12の自重移動により行うこととしたので、次のような効果が得られる。
【0037】
(1)エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、搬入用ローラコンベア200と排出用ローラコンベア210を利用した自重移動としているため、ベルトコンベア等の大型駆動装置が不要となり、省スペース化,省エネルギー化が可能となる。
(2)エレベータ40のローラコンベア50に傾斜を付けるためにエアシリンダ98A等を使用し、ベッド120のローラコンベア130に傾斜を付けるために電動アクチュエータ152A等を使用しているが、パレット12の搬送自体はパレット12の自重を利用しているため、より一層の省スペース化,省エネルギー化が可能となる。
(3)大幅な改造をすることなく既存のマシニングセンタへの後付けも可能となる。
(4)ローラコンベア50,130に傾斜を付けるためのエアシリンダ98A,98B,電動アクチュエータ152A,152B,172A,172は、傾斜を付けるためのストロークがあればよいため、パレット12の搬送距離が長くても、アクチュエータとしては比較的短いものを使用すれば足り、搬送距離に影響され難いという効果が得られる。
(5)パレット12を縦積みのラック20にストックすることとしたので、パレット12の一枚分のスペースに複数のストックが可能となるため、省スペース化が可能となる。また、エレベータ40により高さ移動が可能なため、該エレベータ40とラック20間のパレット12の受け渡しを、双方に設けたパレット押出手段(エアシリンダ28,102)により簡単に行うことができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法,材質は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例では、ローラコンベア50,130の傾斜機構や、ラック20とエレベータ40間のパレット12の押出機構にエアシリンダ28,102を用いることとしたが、これも一例であり、公知の各種のアクチュエータ(例えば、電動式や油圧式など)を利用してよい。
(3)前記実施例では、エレベータ40のローラコンベア50は、ラック20側をリフトすることでベッド120側が低くなるようにのみ傾斜する構成としたが、ベッド120側を下降させて同様の効果を得る構成としてもよい。
(4)前記実施例に示したラック20の構成も一例であり、棚24A〜24Dの段数は必要に応じて適宜増減可能である。
(5)前記実施例で示した搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210の長さは、搬送距離に応じて適宜変更可能である。
【0039】
(6)前記実施例では、エレベータ40からベッド120へのパレット12の移動時に、ローラコンベア50及び130を傾斜させて搬入ないし搬出することとしたが、エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、押し出しにより行うようにしてもよい。例えば、図10(A)に示すように、エレベータ40のローラコンベア50側に押出機構300を設け、ベッド120のローラコンベア130側には他の押出機構310を設ける。そして、前記押出機構300を用いてパレット12を搬入用ローラコンベア200側へ押し出すことで、図10(A)に示すように、ローラコンベア50,130の双方に傾斜を設けずに、エレベータ40からベッド120へのパレット12を移動させることができる。反対に、前記押出機構310を用いてパレット12を排出用ローラコンベア210側へ押し出すことで、図10(B)に示すように、ローラコンベア50,130の双方に傾斜を設けずに、ベッド120からエレベータ40へのパレット12の移動が可能になる。むろん、いずれの場合も、搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210上での移動は、パレット12の自重移動である。なお、図10(C)に示すように、エレベータ40側にのみ押出機構300を設け、ベッド120側は傾斜させる機構のままとしてもよいし、その逆としてもよい。
【0040】
(7)前記実施例では、ラック20とエレベータ40間のパレット12の受け渡しを、押し出しにより行うこととしたが、これも一例であり、傾斜による自重移動を利用した移動機構としてもよい。例えば、前記実施例1において、エレベータ40側のローラコンベア50に、ラック20側とベッド120側の双方を昇降可能な傾斜機構を設けることにより、前記押出機構100を設けることなく、ラック20へのパレット12の自重移動を行うようにしてもよい。あるいは、図10(D)に示すように、ラック20の棚24A〜24Dを、エレベータ40側が低くなるように傾斜させ、その下降端側に、縦フレーム22に沿って昇降可能なストッパ330を設け、ラック20のパレット12をストックしておくときにはストッパ330を上げて係止しておき、エレベータ40側へ移動させるときにはストッパ330を下げるという構造としてもよい。
【0041】
(8)本発明では、パレット12を自重移動させるため、該パレット12の姿勢を適切に保つ必要があり、姿勢に異常がある場合には、パレットチェンジャ10の駆動を停止したり、周囲に異常を報知したりして、搬送の不具合を未然に防止できる構成とすると都合がよい。例えば、図11に示す例では、パレットチェンジャ10及びマシニングセンタ400の駆動を制御する駆動制御装置410を設ける。一方、パレット12には、姿勢検知装置420を各パレット毎に取り付ける。該姿勢検知装置420は、例えば、図11に示すように、ジャイロセンサ422と通信装置424を備えており、これらは電池426により駆動する。前記駆動制御装置410は、パレット12側の通信装置424と、例えば無線通信が可能な通信装置412を有しており、該通信装置412で受信した検知信号に応じて、パレットチェンジャ10及びマシニングセンタ400の駆動を制御する。該駆動制御装置410で制御を行うパレットチェンジャ10側の動作としては、例えば、
(a)ラック20とエレベータ40間のパレット12の移動に関する動作のうち、パレット12の自重移動以外の動作(前記実施例1では、エアシリンダ28による押し出し,押出機構100による押し出し),
(b)エレベータ40の昇降(前記実施例1では、リニアアクチュエータ46の駆動),
(c)エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動に関する動作のうち、該パレット12の自重移動以外の動作(前記実施例1では、傾斜機構80及び傾斜機構150の駆動),
などが挙げられ、姿勢の異常を検知したときには駆動停止などの制御を行う。また、マシニングセンタ400側の駆動制御としては、固定台220上でのベッド120の移動が挙げられる。前記駆動制御装置410は、これら全ての駆動の制御を行うようにしてもよいし、いずれか一部のみの制御を行うようにしてもよい。
【0042】
更に、図11に示すように、光又は音で外部に異常を報知する報知装置430を設け、前記駆動制御装置410が、前記パレット12から受信したジャイロセンサ422の検知信号に基づいて、前記報知装置430を駆動し、パレット12の姿勢に異常があるときには、前記駆動制御とともに、音や光による異常の報知を行うようにしてもよい。図11の例によれば、例えば、ベッド120上においてエアクランプ126によりパレット12を固定する場合、前記エアクランプ126に切粉などの異物が挟まって正しく固定されず、パレット12が傾いた場合に、その傾きを異常として検出し、装置を停止させたり、アラームを鳴らしたりする等の手段により報知することができる。また、パレット12は、エレベータ40からベッド120へ移動すると水平→傾斜→水平のように姿勢が変化し、また、ベッド120からエレベータ40へ移動するときは、水平→傾斜→水平と状態変化するが、前記姿勢検知装置420により、その姿勢変化の状態を監視して、移動中に止まってしまっている場合などにも、異常を検出することが可能である。なお、図11の例では、ジャイロセンサ422により姿勢検知を行うこととしたが、加速度センサをパレット12に取り付け、同様の監視を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、被加工物を載置するパレットをストックするラックに、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに前記パレットを昇降させるエレベータを近接配置し、更に、工作機械の加工部側のベッドを前記エレベータに近接配置する。そして、前記エレベータ及びベッドにそれぞれ、ベースと、該ベース上に配置され前記パレットを受けるローラコンベアとを設け、前記エレベータと前記ベッドの間には、前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアを配置する。そして、前記エレベータ及びベッド間のパレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上での前記パレットの自重移動により行うこととしたので、マシニングセンタ等の工作機械用のパレットチェンジャの用途に適用できる。特に、大型の駆動装置が不要であるため、省スペース化が要求されるパレットチェンジャの用途に好適である。
【符号の説明】
【0044】
10:パレットチェンジャ
12:パレット
20:ラック
22:縦フレーム
24A〜24D:棚
26:押出機構
28:エアシリンダ
30:スライダ
32:プッシャ
40:エレベータ
42A,42B:ガイド
43A,43B:レール
44:ベース
44A〜44D:フレーム
45:金具
46:リニアアクチュエータ
46A:スライダ
48:固定プレート
50:ローラコンベア
50A〜50D:フレーム
52A:側面
52B:上面
52C:下面
53:切欠き
54:軸
56:ローラ
60:ストッパ機構
62:連結具
64:エアシリンダ
65:ピストン
66:ロッド
68:回動連結具
70:ストッパ
70A,70B:アーム
72:ピン
74:軸
76:長穴
78:ナット
80:傾斜機構
82〜88:フレーム
82A:上面
84A:凹部
90A,90B:軸受け
92:凸部
94:軸
96:開口部
98A,98B:エアシリンダ
99:ロッド
100:押出機構
102:エアシリンダ
103:スライダ
104:プッシャ
106:エアシリンダ
107:ロッド
108:受け具
108A:滑り面
120:ベッド
122:ベース
123:シリンダ座部
124:クランプベース
126:エアクランプ
128:座面
130:ローラコンベア
132A〜132D:フレーム
134:ローラ
136:軸
138:ストッパ
140A,140B:支持体
141:スリット
142:軸
150:傾斜機構
152A,152B:電動アクチュエータ
154:ロッド
155:金具
156:フレーム
156A:スリット
158:ストッパ
160:ガイド
162:スライダ
164:昇降ガイド
166A:基部
166B:ガイドプレート
168:スリット
168A:上端
168B:下端
170:軸
172A,172B:電動アクチュエータ
174:ロッド
175:金具
176:ガイド
178:スライダ
180:昇降ガイド
182A:基部
182B:ガイドプレート
186:スリット
186A:上端
186B:下端
188:台
190:軸
200:搬入用ローラコンベア
202,212:フレーム
204,214:長辺
206,216:ローラ
210:排出用ローラコンベア
220:固定台
300,310:押出機構
330:ストッパ
400:マシニングセンタ
410:駆動制御装置
412:通信装置
420:姿勢検知装置
422:ジャイロセンサ
424:通信装置
426:電池
430:報知装置
W:ワーク(被加工物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタ等の工作機械用のパレットチェンジャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタ等の工作機械においては、被加工物(ワーク)を載せたパレットの搬送・交換は、パレットチェンジャにより行われる。パレットチェンジャには、直進式や旋回式などの様々なタイプのものがある。例えば、直進式には、電動アクチュエータを利用した往復移動によりパレットチェンジを行うシャトル型や、モータ駆動によるベルトコンベアなどを用いてパレットを搬送する方式のものがある。また、旋回式には、アームが固定された中心で旋回するワンハンドロボットや、平置きされたパレットが旋回しワークチェンジを行うターレット型などがある。例えば、下記特許文献1には、ターレット型のマシニングセンタのパレット交換機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−15093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような背景技術には、次のような不都合がある。まず、直進式では、電動アクチュエータやエアシリンダでパレットを搬送する機構の場合には、搬送ストロークに応じた長さのアクチュエータが必要になるという不都合がある。また、ベルトコンベアなどモータ駆動による機構では、機械装置として大掛かりになりやすく、マシニングセンタ上では切粉などにより不具合の原因となりやすい。一方、旋回式のうち、上述したワンハンドロボットでは、アームが固定された中心で旋回するため、その範囲内に障害物がないようにする必要があり、広いスペースが必要となるほか、コストも高いという不都合がある。前記ターレット型においても、平置きされたパレットが旋回しワークチェンジを行うため、ワンハンドロボットと同様に旋回スペースを広くとる必要があり、機械装置が大掛かりとなる。更に、いずれの背景技術においても、大幅な改造をすることなく既存のマシニングセンタに後付けすることは困難であり、初めからパレットチェンジャを備えたマシニングセンタとして製作・販売されている。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、大型の駆動装置を設けることなくパレット交換が可能であって、省スペース化や省エネルギー化にも適しており、既存のマシニングセンタ等にも後付けが可能な工作機械用のパレットチェンジャを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被加工物を載置するパレットをストックするラックと、該ラックに近接配置され、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに、前記パレットを昇降させる昇降機構を備えたエレベータと、該エレベータに近接配置された工作機械の加工部側のベッドと、を備えた工作機械用のパレットチェンジャであって、前記エレベータ及び前記ベッドはそれぞれ、ベースと、該ベース上に配置されており前記パレットを受けるローラコンベアとを備えており、前記エレベータと前記ベッドの間には、前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアと、が配置されており、前記エレベータ及びベッド間の前記パレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上における前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記エレベータは、該エレベータのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるエレベータ用傾斜機構を備えており、前記ベッドは、該ベッドのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるベッド用傾斜機構を備えており、前記エレベータ用傾斜機構によって、前記エレベータのローラコンベアを傾斜させ、前記搬入用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行い、前記ベッド用傾斜機構によって、前記ベッドのローラコンベアを傾斜させ、前記排出用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行うことを特徴とする。他の主要な形態は、前記エレベータが、該エレベータのローラコンベア上のパレットを、前記搬入用ローラコンベアへ向けて押し出す搬入用押出機構を備えており、前記ベッドが、該ベッドのローラコンベア上のパレットを、前記排出用ローラコンベアへ向けて押し出す排出用押出機構を備えていることを特徴とする。
【0008】
他の形態は、前記ラックが、前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚と、該複数段の棚のそれぞれに設けられており、該棚にストックされたパレットを前記エレベータ側へ押し出すパレット押出手段とを備えており、前記エレベータが、前記ローラコンベア上のパレットを前記ラック側へ押し出すパレット押出手段を備えており、前記ラック及びエレベータ間のパレットの受け渡しを、前記各パレット押出手段の駆動により行うことを特徴とする。あるいは、前記ラックが、前記パレットを縦積みにストックするとともに、前記エレベータ側が下がるように傾斜した複数の棚と、該棚の下降端側に配置されており前記パレットを係止可能なストッパと、を備えており、前記棚から前記エレベータのローラコンベアへのパレットの受け渡しを、前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする。あるいは、前記ラックが、前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚を備えており、少なくとも前記エレベータのローラコンベアから前記ラックの棚へのパレットの移動を、前記エレベータ用傾斜機構を利用したパレットの自重移動により行うことを特徴とする。
【0009】
更に他の形態は、前記エレベータは、前記ローラコンベア上のパレットの脱落を防止するストッパ手段を有することを特徴とする。更に他の形態は、前記ベッドは、前記ローラコンベア上のパレットを固定するパレット固定手段を有することを特徴とする。
【0010】
更に他の形態は、前記パレットの姿勢を検知する姿勢検知手段を、パレット毎に設けたことを特徴とする。更に他の形態は、前記姿勢検知手段は、ジャイロセンサ又は加速度センサと、該ジャイロセンサ又は加速度センサの検知信号を外部に送信するための通信手段を含むことを特徴とする。更に他の形態は、前記検知信号を受信する通信手段を備えるとともに、受信した検知信号に基づいて、前記ラックとエレベータ間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,前記エレベータの昇降,前記エレベータとベッド間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,のうち少なくとも一つの動作を制御する駆動制御手段を設けたことを特徴とする。更に他の形態は、光又は音で異常を報知する報知手段を設けるとともに、前記駆動制御手段は、前記パレットから受信した検知信号に基づいて、前記報知手段を駆動することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被加工物を載置するパレットをストックするラックに、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに前記パレットを昇降させるエレベータを近接配置し、更に、工作機械の加工部側のベッドを前記エレベータに近接配置する。そして、前記エレベータ及びベッドにそれぞれ、ベースと、該ベース上に配置され前記パレットを受けるローラコンベアとを設け、前記エレベータと前記ベッドの間には、前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアを配置する。そして、前記エレベータ及びベッド間のパレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上での前記パレットの自重移動により行うこととした。このため、大型駆動装置が不要となり、省スペース化,省エネルギー化が可能となり、更に、大幅な改造をすることなく既存のマシニングセンタへの後付けも可能となる。また、搬送自体には自重移動を利用するため、搬送距離に影響され難いという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1の全体構成を示す図である。
【図2】前記実施例1の構成を示すブロック図である。
【図3】前記実施例1のエレベータの主要部の構成を示す外観斜視図である。
【図4】前記エレベータのパレットストッパの作用を示す平面図であり、(A)はストッパを開いた状態,(B)はストッパを閉じた状態を示す。
【図5】前記エレベータのプッシャの作用を示す側面図であり、(A)はプッシャの復帰状態,(B)はプッシャの退避状態を示す。
【図6】前記実施例1のベッドの構成を示す外観斜視図である。
【図7】前記ベッドの平面図である。
【図8】前記ベッドの作用を示す側面図であり、(A)は搬入状態,(B)は着座状態,(C)は排出状態を示す。
【図9】前記実施例1によるパレット交換の作用を示す側面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
最初に、図1〜図9を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1のパレットチェンジャの全体構成を示す図である。図2は、本実施例のパレットチェンジャの構成を示すブロック図である。図3は、前記パレットチェンジャのエレベータの主要部の構成を示す外観斜視図である。図4は、前記エレベータのパレットストッパの作用を示す平面図であり、(A)はストッパを開いた状態,(B)はストッパを閉じた状態を示す。図5は、前記エレベータのプッシャの作用を示す側面図であり、(A)はプッシャの復帰状態を示し、(B)はプッシャの退避状態を示す。図6は、前記パレットチェンジャのベッド(MCベッド)の構成を示す外観斜視図,図7は前記ベッドの平面図,図8は前記ベッドの傾斜機構の作用を示す側面図であり、(A)は搬入状態,(B)は着座状態,(C)は排出状態を示す。図9は、本実施例によるパレット交換の作用を模式的に示す側面図である。なお、前記図3は、エレベータの構成の理解を容易にするため、図1を紙面裏側から見た状態で示されており、図1,図4,図5,図9とは左右の表示が逆となっている。
【0015】
本実施例のパレットチェンジャ10は、マシニングセンタ等の工作機械用のパレットチェンジャであって、マシニングセンタ等に後付け可能な構成となっている。図1に示すように、パレットチェンジャ10は、ワーク(被加工物)Wを載置するパレット12をストックするラック20と、該ラック20に近接配置され、該ラック20との間で前記パレット12の受け渡しを行うとともに、前記パレット12を昇降させる昇降機構を備えたエレベータ40と、該エレベータ40に近接配置された工作機械の固定台220上のベッド(MCベッド(マシニングセンタベッド))120によって構成されている。また、本実施例では、前記エレベータ40とベッド120の間には、ベッド120へのパレット12の搬入をガイドするための搬入用ローラコンベア200と、前記ベッド120からエレベータ40へのパレット12の排出をガイドするための排出用ローラコンベア210が配置されている。このほか、図2に示すように、前記ラック20には、パレット12を押し出すための押出機構26が設けられ、エレベータ40には、ストッパ機構60,傾斜機構80,押出機構100が設けられ、ベッド120には、傾斜機構150が設けられている。以下、各部について順に説明する。
【0016】
まず、前記ラック20について説明する。該ラック20は、複数の縦フレーム22間に、ワークWを載置したパレット12を縦積みにストックするための複数の棚24A〜24Dが設けられた構成となっている。本実施例では、前記ラック20とエレベータ40の間でのパレット12の受け渡しを、押出機構26によるパレット12の押し出しにより行うこととしており、前記縦フレーム22のうち、前記エレベータ40と反対側の縦フレーム22には、前記複数の棚24A〜24Dのそれぞれに押出機構26を構成するエアシリンダ28が設けられている。前記エアシリンダ28のスライダ30には、プッシャ32が設けられており、前記エアシリンダ28を駆動すると、プッシャ32の先端がパレット12の側面に接触し、パレット12をエレベータ40へ向けて押し出すことが可能となっている。なお、エアシリンダ28としては、例えば、公知のロッドレスエアシリンダなどが利用可能である。
【0017】
次に、前記エレベータ40について説明すると、図1に示すように、垂直方向に設けられた昇降用の一対のガイド42A,42Bと、該ガイド42A,42Bに沿って昇降可能なベース44と、該ベース44を前記ガイド42A,42Bに沿って昇降させるリニアアクチュエータ46とによって構成される昇降機構と、前記ベース44上に配置されており前記パレット12を受けるローラコンベア50と、前記ベース44に対して前記ローラコンベア50を傾斜させる傾斜機構80を備えている。このほか、前記エレベータ40には、ローラコンベア50上のパレット12の脱落を防止するストッパ機構60と、前記ローラコンベア50上のパレット12を前記ラック20側へ押し出すためのエアシリンダ102及びプッシャ104,前記パレット12を後述するベッド120へ移動させるときに前記プッシャ104を退避させるためのエアシリンダ106を含む押出機構100を備えている。更に、前記ガイド42Bには、後述する搬入用ローラコンベア200と排出用ローラコンベア210が、適宜手段により取り付けられている。
【0018】
前記ベース44は、図3に示すように、複数のフレーム44A〜44D,82〜88により構成されており、フレーム44Bが、前記リニアアクチュエータ46のスライダ46Aに対して固定プレート48を介して固定されている。一方、前記一対のガイド42A,42Bは、図3に示すように、溝部分を有するレール43A,43Bを有しており、前記フレーム44C及び44Dの間に設けられたフレーム44Aに固定された金具45が、前記レール43A,43Bに沿ってスライド可能に取り付けられている。前記ベース44上に配置されるローラコンベア50は、フレーム50A〜50Dにより全体が略長方形に形成されており、対向するフレーム50A,50B間に、複数のローラ56が略平行に設けられている。前記ローラ56の軸54は、前記フレーム50A,50Bに対して回転可能に支持されている。
【0019】
前記ローラコンベア50は、昇降中にパレット12が脱落するのを防止するためのストッパ機構60を有している。該ストッパ機構60は、前記フレーム50A,50Bに同構成のものが一つずつ設けられている。図3及び図4も参照して説明すると、ストッパ機構60は、フレーム50A,50Bの側面52Aの外側に配置されたエアシリンダ64とストッパ70を中心に構成されている。前記エアシリンダ64の端部は、前記フレーム50Aの上面52Bに連結具62を介して固定されており、ロッド66は回動連結具68及びピン72を介して、ストッパ70のアーム70Aの端部に回動可能に連結されている。前記ストッパ70は、前記アーム70Aと他方のアーム70Bの略中間位置を垂直方向に貫通する軸74によって回動可能に支持されている。前記軸74は、フレーム50A(又は50B)の上面52Bに設けられた長穴76と下面52Cに設けられた図示しない穴を貫通し、両端に設けられたナット78などにより、上面52B及び下面52Cからの抜け落ちが防止されている。なお、本実施例では、取り付けの都合上、前記長穴76を形成することとしたが、丸穴であっても同様の動作が可能である。また、前記フレーム50A,50Bのラック20側の端部には、前記ストッパ70の回動を妨げないように、切欠き53が形成されている。
【0020】
図4(A)に示すように、前記エアシリンダ64のロッド66が、シリンダから露出している部分が少ない場合には、ストッパアーム70Bはフレーム50A,50Bに沿って開いた状態である。一方、エアシリンダ64を駆動してピストン65を矢印F4a方向に押すと、ロッド66がシリンダから露出する部分が長くなる。すると、ロッド66の先端に設けられた回動連結具68及びピン72を介して接続されたストッパ70は、図4(B)に矢印F4bで示すように軸74を中心に回動し、アーム70Bがフレーム50Cに対して略平行となる。このアーム70Bがパレット12の縁に当接することにより、パレット12の脱落を防止することができる。
【0021】
次に、ローラコンベア50から前記ベッド120へのパレット12の移動を、該パレット12の自重で行うためにローラコンベア50を傾斜させる傾斜機構80について説明する。前記ローラコンベア50のフレーム50Dの底面の両端付近には凸部92が設けられており、該凸部92は、前記ベース44側のフレーム82の上面82Aの両端付近に設けられた軸受け90A,90Bに対して軸94を中心に回動可能に支持されている。一方、前記フレーム50Dと対向するフレーム50Cの底面と、ベース44側のフレーム88の間には、傾斜用のエアシリンダ98A,98Bが設けられている。該エアシリンダ98A,98Bの一端側は、フレーム88の上面に設けられた開口部96を貫通してフレーム88の底面に固定されており、他端側は、フレーム50Cに対して固定されている。該エアシリンダ98A,98Bを駆動することにより、ローラコンベア50がフレーム50D側を支点として全体が回動可能となる。すなわち、フレーム50C側を図3の矢印F3b方向に上昇させれば、前記フレーム50D側,すなわち、ベッド120側が低くなるように傾斜を付けることができる。なお、エアシリンダ98A,98Bとフレーム50Cの固定部分は、フレーム50D側との高低差により生じる角度を吸収できる構造となっている。
【0022】
次に、エアシリンダ102及びプッシャ104について説明する。本実施例では、上述した通り、前記ラック20とエレベータ40の間でのパレット12の受け渡しを、パレット12の押し出しにより行うこととしているため、前記エアシリンダ102及びプッシャ104を設けている。前記エアシリンダ102の一端側は、ベース44側のフレーム84の凹部84A内に収納されており、他端側は、前記フレーム84に回転可能に止められている。前記エアシリンダ102のスライダ103には、パレット12の縁部に当接可能なプッシャ104が立設固定されている。前記エアシリンダ102によりスライダ103及びプッシャ104をラック20側へ向けて駆動すると(図5(A)参照)、パレット12をラック20の棚24A〜24Dに戻すことができる。なお、パレット12をラック20に戻すときには、上述したストッパ機構60のストッパ70は開いた状態とする。
【0023】
また、前記プッシャ104は、閉じた状態のストッパ70とともにパレット12の脱落を防止するストッパ機能も兼ねている。前記エアシリンダ102としては、公知のロッドレスエアシリンダなどが利用可能である。なお、前記プッシャ104は、図5(A)に示す状態(以下「復帰状態」とする)では、上述した傾斜機構80によってローラコンベア50を傾けたときにパレット12の縁部と係合するため、ベッド120側へ移動するのを妨げてしまう。そこで、本実施例では、前記プッシャ104を下方に退避させるためのエアシリンダ106を設けている。該エアシリンダ106は、図5(A)に示すように、前記ベース44側のフレーム86の底面に固定されており、該エアシリンダ106のロッド107は、前記フレーム84及び86を貫通し、受け具108を介して前記エアシリンダ102の底面に固定されている。該受け具108は、滑り面108Aに沿って滑ることにより、前記ロッド107の移動により生じるエアシリンダ102とロッド107の傾きを吸収する構成となっている。前記エアシリンダ106を駆動してロッド107を下方に駆動するとエアシリンダ102が傾き、図5(B)に示すように、該エアシリンダ102の上面に設けられたプッシャ104の先端がローラ56よりも低い位置となるため、パレット12をベッド120側へ自重移動させるときの妨げとなることはない。
【0024】
次に、図6〜図8も参照しながら、前記ベッド120について説明する。図7は、図6を矢印F6a方向から見た平面図であり、図8は、前記図6を矢印F6b方向から見た側面図に相当する。なお、前記図8では、後述する電動アクチュエータ152A,172Aの動作の理解を容易にするため、これらを上下方向にずらして図示している。前記ベッド120は、マシニングセンタの固定台220上に移動可能に設けられており、該ベッド120上には、ベース122と、該ベース122上に配置されており、前記パレット12を受けるローラコンベア130と、前記ベース122に対して前記ローラコンベア130を傾斜させる傾斜機構150とが設けられている。前記ベッド120は、前記搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210との間で、前記パレット12の自重移動が可能な構成となっている。前記ベッド120に設けられるベース122は、後述する電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bを固定するためのシリンダ座部123を備えている。前記ベース122とローラコンベア130の間には、クランプベース124が配置されており、ローラコンベア130上に載置されるパレット12を固定するためのエアクランプ126とガイド付きの座面128が対角に2つずつ配置されている。前記クランプベース124,エアクランプ126,座面128については公知であり、例えば、前記エアクランプ126以外にも、油圧,電動などの一般的な方法でのクランプ機構が利用可能である。
【0025】
前記ベース122の上方に配置されるローラコンベア130は、フレーム132A〜132Dにより全体が略長方形に形成されており、対向するフレーム132A,132B間に、複数のローラ134が略平行に設けられている。前記ローラ134の軸136は、前記フレーム132A,132Bに対して回転可能に支持されている。該ローラコンベア130は、支持体140A及び140Bや、昇降ガイド164及び180を介して前記ベース122に対して傾斜可能となるように支持されている。まず、ローラコンベア130の略中央部では、フレーム132A,132Bの内側に設けられた軸142が、ベース122に立設された一対の支持体140A,140Bの縦方向のスリット141に沿ってスライド可能に係合しており、軸142を支点として、ローラコンベア130が揺動可能となっている。
【0026】
また、前記フレーム132A,132Bの外側には、それぞれ傾斜機構150が設けられている。傾斜機構150の構成は、フレーム132A側とフレーム132B側とで同じであるので、以下、フレーム132A側を例に挙げて説明する。前記シリンダ座部123には、一組の電動アクチュエータ152Aと172Aが設けられている。また、前記ベース122上には、前記フレーム132Aの延長方向にガイド160が固定されており、該ガイド160に沿ってスライドするスライダ162には、昇降ガイド164の基部166Aが固定されている。また、前記基部166Aには、金具155を介して前記電動アクチュエータ152Aのロッド154と接続するためのフレーム156が接続されている。該フレーム156の略中央部には、ロッド154の伸縮方向に沿ってスリット156Aが形成されており、該スリット156Aを貫通し、かつ、フレーム156の上面で係合するストッパ158によってロッド154の伸縮量が規制されている。また、前記昇降ガイド164の基部166Aには、ガイドプレート166Bが設けられており、該ガイドプレート166Bには、図6において左上から右下にかけて形成された斜めのスリット168が設けられている。該スリット168には、ローラコンベア130のフレーム132Aの側面に設けられた軸170が係合している。
【0027】
また、前記ベース122上には、前記ガイド160よりも外側に、該ガイド160に対して略平行に他のガイド176が設けられている。該ガイド176は、前記電動アクチュエータ152Aの外側に配置された他方の電動アクチュエータ172Aの駆動によって、スライダ178を介して昇降ガイド180を動かすためのものである。前記ガイド176に沿ってスライドするスライダ178には、昇降ガイド180の基部182Aが固定されている。また、前記基部182Aには、金具175を介して前記電動アクチュエータ172Aのロッド174が接続されている。前記昇降ガイド180の基部182Aには、ガイドプレート182Bが立設されており、該ガイドプレート182Bには、図6において右上から左下側にかけて形成された斜めのスリット186が設けられている。該スリット186には、ローラコンベア130のフレーム132Aの側面に設けられた軸190が係合している。
【0028】
図8には、前記傾斜機構150を利用したローラコンベア130の作用が示されている。まず、エレベータ40側からパレット12を搬入する際には、エレベータ40側が高くなるように電動アクチュエータ152A,172Aを駆動する。具体的には、昇降ガイド164側では、軸170がスリット168の上端168A側にくるようにロッド154を縮め、昇降ガイド180側では、軸190がスリット186の中間部付近にくるようにロッド174の長さを調節する。また、エレベータ40からパレット12を受け取り、ワークWの加工を行う際には、ローラコンベア130をベース122に着座させる必要があることから、その際には、図8(B)に示すように、電動アクチュエータ152A,172Aともに、ロッド154,174を縮めて、前記軸170がスリット下端168Bに位置し、前記軸190がスリット下端186Bに位置するように調節する。このとき、ローラコンベア130の略中央部に設けられた軸142も支持体140A,140Bのスリット141に沿って下降し、ローラコンベア130全体がベース122に着座する。この着座状態において、ベース120は固定台220上を図8(B)に矢印でF8aで示す方向に移動し、所定の加工位置において、図示しない工具等によりワークWの加工が行われる。
【0029】
そして、加工が終了したワークWは、ベース120を図8(B)に矢印F8bで示す方向に移動させることにより、排出可能位置に移動する。加工が終わったワークWをエレベータ40に戻す場合には、図8(C)に示すように、エレベータ40側が低くなるように電動アクチュエータ152A,172Aを駆動する。具体的には、昇降ガイド164側では、軸170がスリット168の中間部付近にくるようにロッド154の長さを調節し、昇降ガイド180側では、軸190がスリット186の上端186Aにくるようにロッド174を伸ばすという具合である。なお、フレーム132B側に設けた電動アクチュエータ152Bは、前記電動アクチュエータ152Aと同様に駆動し、他の電動アクチュエータ172Bは、前記電動アクチュエータ172Aと同様に駆動する。
【0030】
次に、前記エレベータ40と上述したベッド120間に配置される搬入用ローラコンベア200と、排出用ローラコンベア210について説明する。前記搬入用ローラコンベア200は、前記ベッド120のローラコンベア130よりも高い位置にある状態のエレベータ40のローラコンベア50から、ベッド120へのパレット12の搬入をガイドするもので、エレベータ40側が高く、ベッド120側が低くなるように傾斜している。該搬入用ローラコンベア200は、フレーム202の一対の長辺204間に多数のローラ206が略平行に設けられた構成となっており、該ローラ206の軸は、前記フレーム202に対して回転可能となっている。他方、前記排出用ローラコンベア210は、前記エレベータ40のローラコンベア50よりも高い位置にある状態のベッド120のローラコンベア130から、前記エレベータ40へのパレット12の排出をガイドするもので、ベッド120側が高く、エレベータ40側が低くなるように傾斜している。該排出用ローラコンベア210は、フレーム212の一対の長辺214間に多数のローラ216が略平行に設けられた構成となっており、該ローラ216の軸は、前記フレーム212に対して回転可能となっている。前記搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210は、例えば、前記エレベータ40のガイド42Bに取り付けられている。これら搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210を、前記エレベータ40と前記ベッド120の間に配置することにより、前記エレベータ40とベッド120間におけるパレット12の自重移動が可能となる。
【0031】
次に、図9も参照しながら、本実施例によるパレット12の交換手順を説明する。まず、ラック20の棚24A〜24DにワークWを載せたパレット12をセットする。本実施例では、棚24A〜24Dの順にパレット12上のワークWを加工するものとして、以下の手順を説明する。また、ベッド120については、固定台220上を移動させて、図9(A)に示すように初期位置(エレベータ40とマシニングセンタの間のパレット12の受け渡しのために決められた位置)に移動しておき、電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bを駆動して、図8(A)に示すパレット受け取り状態に傾斜させておく。そして、エレベータ40のリニアアクチュエータ46を駆動し、ラック20の一番上の棚24Aからパレット12を受け取り可能な位置(図1及び図9に示す位置PC)にローラコンベア50を移動させ、その状態で停止させる(図9(A))。
【0032】
そして、前記ローラコンベア50では、エアシリンダ106の駆動により、プッシャ104を図5(A)に示す復帰状態にして、ラック20側からのパレット12の受け取りに備える。そして、前記棚24Aに設けられたエアシリンダ28の駆動により、スライダ30及びプッシャ32をエレベータ40側へ押し出し、前記プッシャ32の先端でパレット12をエレベータ40側のローラコンベア50側へ移動させる。パレット12がローラコンベア50上に完全に移動したら、ストッパ機構60のエアシリンダ64を駆動して、図4(B)に示すように、パレット12の一端側を押えるようにストッパ70を閉める。なお、このとき、パレット12の他端側は、上述したプッシャ104により係止可能となっており、エレベータ40の昇降中にパレット12がローラコンベア50から脱落するのを防止することができる。
【0033】
前記ローラコンベア50上にパレット12を固定したら、前記リニアアクチュエータ46の駆動により、ベッド120へのパレット12の搬入位置(図1及び図9に示す位置PA)までローラコンベア50を移動させて停止する(図9(B)参照)。そして、エアシリンダ106の駆動により図5(B)に示すようにプッシャ104を退避させるとともに、傾斜機構80のエアシリンダ98A,98Bの駆動により、ベッド120側が低くなるようにローラコンベア50を傾斜させる。すると、パレット12は、図9(C)に示すように、自重によりローラコンベア50のローラ56上を転がり、更に、前記ベッド120との間に配置された搬入用ローラコンベア200のローラ206上を転がって、ベッド120のローラコンベア130側へ移動する。該ローラコンベア130も、事前に受け取り状態に傾斜しているため、前記パレット12は、ストッパ138に当接するまで、自重によって前記ローラコンベア130上を転がる。
【0034】
ベッド120側へパレット12が完全に移動したら、電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bの駆動により、図8(B)に示すようにローラコンベア130を着座させ、エアクランプ126によりパレット12を固定し、ベッド120を図8に矢印F8aで示す方向に移動させて、該パレット12上のワークWをマシニングセンタで加工する。一方、ワークWの加工中、前記エレベータ40はリニアアクチュエータ46の駆動により、パレット12をベッド120から受け取る位置(図1及び図9に示す位置PB)にローラコンベア50を移動させ、その位置で待機するとともに、エアシリンダ98A,98Bの駆動により傾斜状態から水平状態へ復帰させる(図9(D))。ワークWの加工が終了したら、ベッド120を図8に矢印F8bで示す方向へ移動させて初期位置に戻し、エアクランプ126によるパレット12の固定を解除する。そして、電動アクチュエータ152A,152B,172A,172Bの駆動により、ローラコンベア130を図8(C)に示すパレット排出状態に傾斜させる。すると、パレット12は、ローラコンベア130のローラ134上を自重により移動し(図9(E)参照)、更に、エレベータ40との間に配置された排出用ローラコンベア210のローラ216上を自重により移動して、エレベータ40のローラコンベア50上に移動する。
【0035】
ローラコンベア50上にパレット12が完全に移動したら、エアシリンダ106を駆動してプッシャ104を復帰し、パレット12の脱落を防止した状態でリニアアクチュエータ46を駆動し、ローラコンベア50をラック12の棚24Aの位置(位置PC)まで移動させる(図9(F))。一方、パレット12を排出したベッド120側では、ローラコンベア130をパレット受け取り状態に傾斜させて待機する。そして、ローラコンベア50側では、エアシリンダ64の駆動によりストッパ70を開き、更に、エアシリンダ102の駆動により、図5(A)に矢印で示す方向にプッシャ104を移動させ、加工済みワークWを載せたパレット12を、ラック20の棚24Aに押し戻す(図9(G))。その後、エアシリンダ102の駆動によりプッシャ104を初期位置(図9(A)に示す状態)に戻し、ローラコンベア50を、次に加工を行うワークWが載せられているパレット12の棚24B(図1及び図9にPDで示す位置)に、リニアアクチュエータ46の駆動により移動させる。以降の手順は、前記図9(A)〜(G)と同様である。
【0036】
このように、実施例1によれば、ワークWを載置するパレット12をストックするラック20に、該ラック20との間で前記パレット12の受け渡しを行うとともに前記パレット12を昇降させるエレベータ40を近接配置し、更に、マシニングセンタの加工部側のベッド120を前記エレベータ40に近接配置する。前記エレベータ40及びベッド120には、ベース44,122と、該ベース44,122上に配置され前記パレット12を受けるローラコンベア50,130と、前記ベース44,122に対して前記ローラコンベア50,130を傾斜させる傾斜機構80,150を設ける。また、前記エレベータ40とベッド120の間には、搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210を配置する。そして、前記エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、傾斜させたローラコンベア50,130及び搬入用ローラコンベア200,排出用ローラコンベア210上でのパレット12の自重移動により行うこととしたので、次のような効果が得られる。
【0037】
(1)エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、搬入用ローラコンベア200と排出用ローラコンベア210を利用した自重移動としているため、ベルトコンベア等の大型駆動装置が不要となり、省スペース化,省エネルギー化が可能となる。
(2)エレベータ40のローラコンベア50に傾斜を付けるためにエアシリンダ98A等を使用し、ベッド120のローラコンベア130に傾斜を付けるために電動アクチュエータ152A等を使用しているが、パレット12の搬送自体はパレット12の自重を利用しているため、より一層の省スペース化,省エネルギー化が可能となる。
(3)大幅な改造をすることなく既存のマシニングセンタへの後付けも可能となる。
(4)ローラコンベア50,130に傾斜を付けるためのエアシリンダ98A,98B,電動アクチュエータ152A,152B,172A,172は、傾斜を付けるためのストロークがあればよいため、パレット12の搬送距離が長くても、アクチュエータとしては比較的短いものを使用すれば足り、搬送距離に影響され難いという効果が得られる。
(5)パレット12を縦積みのラック20にストックすることとしたので、パレット12の一枚分のスペースに複数のストックが可能となるため、省スペース化が可能となる。また、エレベータ40により高さ移動が可能なため、該エレベータ40とラック20間のパレット12の受け渡しを、双方に設けたパレット押出手段(エアシリンダ28,102)により簡単に行うことができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法,材質は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例では、ローラコンベア50,130の傾斜機構や、ラック20とエレベータ40間のパレット12の押出機構にエアシリンダ28,102を用いることとしたが、これも一例であり、公知の各種のアクチュエータ(例えば、電動式や油圧式など)を利用してよい。
(3)前記実施例では、エレベータ40のローラコンベア50は、ラック20側をリフトすることでベッド120側が低くなるようにのみ傾斜する構成としたが、ベッド120側を下降させて同様の効果を得る構成としてもよい。
(4)前記実施例に示したラック20の構成も一例であり、棚24A〜24Dの段数は必要に応じて適宜増減可能である。
(5)前記実施例で示した搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210の長さは、搬送距離に応じて適宜変更可能である。
【0039】
(6)前記実施例では、エレベータ40からベッド120へのパレット12の移動時に、ローラコンベア50及び130を傾斜させて搬入ないし搬出することとしたが、エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動を、押し出しにより行うようにしてもよい。例えば、図10(A)に示すように、エレベータ40のローラコンベア50側に押出機構300を設け、ベッド120のローラコンベア130側には他の押出機構310を設ける。そして、前記押出機構300を用いてパレット12を搬入用ローラコンベア200側へ押し出すことで、図10(A)に示すように、ローラコンベア50,130の双方に傾斜を設けずに、エレベータ40からベッド120へのパレット12を移動させることができる。反対に、前記押出機構310を用いてパレット12を排出用ローラコンベア210側へ押し出すことで、図10(B)に示すように、ローラコンベア50,130の双方に傾斜を設けずに、ベッド120からエレベータ40へのパレット12の移動が可能になる。むろん、いずれの場合も、搬入用ローラコンベア200及び排出用ローラコンベア210上での移動は、パレット12の自重移動である。なお、図10(C)に示すように、エレベータ40側にのみ押出機構300を設け、ベッド120側は傾斜させる機構のままとしてもよいし、その逆としてもよい。
【0040】
(7)前記実施例では、ラック20とエレベータ40間のパレット12の受け渡しを、押し出しにより行うこととしたが、これも一例であり、傾斜による自重移動を利用した移動機構としてもよい。例えば、前記実施例1において、エレベータ40側のローラコンベア50に、ラック20側とベッド120側の双方を昇降可能な傾斜機構を設けることにより、前記押出機構100を設けることなく、ラック20へのパレット12の自重移動を行うようにしてもよい。あるいは、図10(D)に示すように、ラック20の棚24A〜24Dを、エレベータ40側が低くなるように傾斜させ、その下降端側に、縦フレーム22に沿って昇降可能なストッパ330を設け、ラック20のパレット12をストックしておくときにはストッパ330を上げて係止しておき、エレベータ40側へ移動させるときにはストッパ330を下げるという構造としてもよい。
【0041】
(8)本発明では、パレット12を自重移動させるため、該パレット12の姿勢を適切に保つ必要があり、姿勢に異常がある場合には、パレットチェンジャ10の駆動を停止したり、周囲に異常を報知したりして、搬送の不具合を未然に防止できる構成とすると都合がよい。例えば、図11に示す例では、パレットチェンジャ10及びマシニングセンタ400の駆動を制御する駆動制御装置410を設ける。一方、パレット12には、姿勢検知装置420を各パレット毎に取り付ける。該姿勢検知装置420は、例えば、図11に示すように、ジャイロセンサ422と通信装置424を備えており、これらは電池426により駆動する。前記駆動制御装置410は、パレット12側の通信装置424と、例えば無線通信が可能な通信装置412を有しており、該通信装置412で受信した検知信号に応じて、パレットチェンジャ10及びマシニングセンタ400の駆動を制御する。該駆動制御装置410で制御を行うパレットチェンジャ10側の動作としては、例えば、
(a)ラック20とエレベータ40間のパレット12の移動に関する動作のうち、パレット12の自重移動以外の動作(前記実施例1では、エアシリンダ28による押し出し,押出機構100による押し出し),
(b)エレベータ40の昇降(前記実施例1では、リニアアクチュエータ46の駆動),
(c)エレベータ40とベッド120間のパレット12の移動に関する動作のうち、該パレット12の自重移動以外の動作(前記実施例1では、傾斜機構80及び傾斜機構150の駆動),
などが挙げられ、姿勢の異常を検知したときには駆動停止などの制御を行う。また、マシニングセンタ400側の駆動制御としては、固定台220上でのベッド120の移動が挙げられる。前記駆動制御装置410は、これら全ての駆動の制御を行うようにしてもよいし、いずれか一部のみの制御を行うようにしてもよい。
【0042】
更に、図11に示すように、光又は音で外部に異常を報知する報知装置430を設け、前記駆動制御装置410が、前記パレット12から受信したジャイロセンサ422の検知信号に基づいて、前記報知装置430を駆動し、パレット12の姿勢に異常があるときには、前記駆動制御とともに、音や光による異常の報知を行うようにしてもよい。図11の例によれば、例えば、ベッド120上においてエアクランプ126によりパレット12を固定する場合、前記エアクランプ126に切粉などの異物が挟まって正しく固定されず、パレット12が傾いた場合に、その傾きを異常として検出し、装置を停止させたり、アラームを鳴らしたりする等の手段により報知することができる。また、パレット12は、エレベータ40からベッド120へ移動すると水平→傾斜→水平のように姿勢が変化し、また、ベッド120からエレベータ40へ移動するときは、水平→傾斜→水平と状態変化するが、前記姿勢検知装置420により、その姿勢変化の状態を監視して、移動中に止まってしまっている場合などにも、異常を検出することが可能である。なお、図11の例では、ジャイロセンサ422により姿勢検知を行うこととしたが、加速度センサをパレット12に取り付け、同様の監視を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、被加工物を載置するパレットをストックするラックに、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに前記パレットを昇降させるエレベータを近接配置し、更に、工作機械の加工部側のベッドを前記エレベータに近接配置する。そして、前記エレベータ及びベッドにそれぞれ、ベースと、該ベース上に配置され前記パレットを受けるローラコンベアとを設け、前記エレベータと前記ベッドの間には、前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアを配置する。そして、前記エレベータ及びベッド間のパレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上での前記パレットの自重移動により行うこととしたので、マシニングセンタ等の工作機械用のパレットチェンジャの用途に適用できる。特に、大型の駆動装置が不要であるため、省スペース化が要求されるパレットチェンジャの用途に好適である。
【符号の説明】
【0044】
10:パレットチェンジャ
12:パレット
20:ラック
22:縦フレーム
24A〜24D:棚
26:押出機構
28:エアシリンダ
30:スライダ
32:プッシャ
40:エレベータ
42A,42B:ガイド
43A,43B:レール
44:ベース
44A〜44D:フレーム
45:金具
46:リニアアクチュエータ
46A:スライダ
48:固定プレート
50:ローラコンベア
50A〜50D:フレーム
52A:側面
52B:上面
52C:下面
53:切欠き
54:軸
56:ローラ
60:ストッパ機構
62:連結具
64:エアシリンダ
65:ピストン
66:ロッド
68:回動連結具
70:ストッパ
70A,70B:アーム
72:ピン
74:軸
76:長穴
78:ナット
80:傾斜機構
82〜88:フレーム
82A:上面
84A:凹部
90A,90B:軸受け
92:凸部
94:軸
96:開口部
98A,98B:エアシリンダ
99:ロッド
100:押出機構
102:エアシリンダ
103:スライダ
104:プッシャ
106:エアシリンダ
107:ロッド
108:受け具
108A:滑り面
120:ベッド
122:ベース
123:シリンダ座部
124:クランプベース
126:エアクランプ
128:座面
130:ローラコンベア
132A〜132D:フレーム
134:ローラ
136:軸
138:ストッパ
140A,140B:支持体
141:スリット
142:軸
150:傾斜機構
152A,152B:電動アクチュエータ
154:ロッド
155:金具
156:フレーム
156A:スリット
158:ストッパ
160:ガイド
162:スライダ
164:昇降ガイド
166A:基部
166B:ガイドプレート
168:スリット
168A:上端
168B:下端
170:軸
172A,172B:電動アクチュエータ
174:ロッド
175:金具
176:ガイド
178:スライダ
180:昇降ガイド
182A:基部
182B:ガイドプレート
186:スリット
186A:上端
186B:下端
188:台
190:軸
200:搬入用ローラコンベア
202,212:フレーム
204,214:長辺
206,216:ローラ
210:排出用ローラコンベア
220:固定台
300,310:押出機構
330:ストッパ
400:マシニングセンタ
410:駆動制御装置
412:通信装置
420:姿勢検知装置
422:ジャイロセンサ
424:通信装置
426:電池
430:報知装置
W:ワーク(被加工物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を載置するパレットをストックするラックと、
該ラックに近接配置され、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに、前記パレットを昇降させる昇降機構を備えたエレベータと、
該エレベータに近接配置された工作機械の加工部側のベッドと、
を備えた工作機械用のパレットチェンジャであって、
前記エレベータ及び前記ベッドはそれぞれ、
ベースと、該ベース上に配置されており前記パレットを受けるローラコンベアとを備えており、
前記エレベータと前記ベッドの間には、
前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、
前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアと、
が配置されており、
前記エレベータ及びベッド間の前記パレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上における前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項2】
前記エレベータは、該エレベータのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるエレベータ用傾斜機構を備えており、
前記ベッドは、該ベッドのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるベッド用傾斜機構を備えており、
前記エレベータ用傾斜機構によって、前記エレベータのローラコンベアを傾斜させ、前記搬入用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行い、
前記ベッド用傾斜機構によって、前記ベッドのローラコンベアを傾斜させ、前記排出用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行うことを特徴とする請求項1記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項3】
前記エレベータが、該エレベータのローラコンベア上のパレットを、前記搬入用ローラコンベアへ向けて押し出す搬入用押出機構を備えており、
前記ベッドが、該ベッドのローラコンベア上のパレットを、前記排出用ローラコンベアへ向けて押し出す排出用押出機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項4】
前記ラックが、
前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚と、該複数段の棚のそれぞれに設けられており、該棚にストックされたパレットを前記エレベータ側へ押し出すパレット押出手段とを備えており、
前記エレベータが、
前記ローラコンベア上のパレットを前記ラック側へ押し出すパレット押出手段を備えており、
前記ラック及びエレベータ間のパレットの受け渡しを、前記各パレット押出手段の駆動により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項5】
前記ラックが、
前記パレットを縦積みにストックするとともに、前記エレベータ側が下がるように傾斜した複数の棚と、
該棚の下降端側に配置されており前記パレットを係止可能なストッパと、
を備えており、
前記棚から前記エレベータのローラコンベアへのパレットの受け渡しを、前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項6】
前記ラックが、
前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚を備えており、
少なくとも前記エレベータのローラコンベアから前記ラックの棚へのパレットの移動を、前記エレベータ用傾斜機構を利用したパレットの自重移動により行うことを特徴とする請求項2記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項7】
前記エレベータは、
前記ローラコンベア上のパレットの脱落を防止するストッパ手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項8】
前記ベッドは、
前記ローラコンベア上のパレットを固定するパレット固定手段を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項9】
前記パレットの姿勢を検知する姿勢検知手段を、パレット毎に設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項10】
前記姿勢検知手段は、
ジャイロセンサ又は加速度センサと、該ジャイロセンサ又は加速度センサの検知信号を外部に送信するための通信手段を含むことを特徴とする請求項9記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項11】
前記検知信号を受信する通信手段を備えるとともに、受信した検知信号に基づいて、
前記ラックとエレベータ間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,
前記エレベータの昇降,
前記エレベータとベッド間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,
のうち少なくとも一つの動作を制御する駆動制御手段を設けたことを特徴とする請求項10記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項12】
光又は音で異常を報知する報知手段を設けるとともに、
前記駆動制御手段は、前記パレットから受信した検知信号に基づいて、前記報知手段を駆動することを特徴とする請求項11記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項1】
被加工物を載置するパレットをストックするラックと、
該ラックに近接配置され、該ラックとの間で前記パレットの受け渡しを行うとともに、前記パレットを昇降させる昇降機構を備えたエレベータと、
該エレベータに近接配置された工作機械の加工部側のベッドと、
を備えた工作機械用のパレットチェンジャであって、
前記エレベータ及び前記ベッドはそれぞれ、
ベースと、該ベース上に配置されており前記パレットを受けるローラコンベアとを備えており、
前記エレベータと前記ベッドの間には、
前記ベッドのローラコンベアよりも高い位置にあるエレベータのローラコンベアから、前記ベッドのローラコンベアへのパレットの搬入をガイドする方向に傾斜した搬入用ローラコンベアと、
前記エレベータのローラコンベアよりも高い位置にあるベッドのローラコンベアから、前記エレベータのローラコンベアへのパレットの排出をガイドする方向に傾斜した排出用ローラコンベアと、
が配置されており、
前記エレベータ及びベッド間の前記パレットの移動を、前記搬入用ローラコンベア及び排出用ローラコンベア上における前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項2】
前記エレベータは、該エレベータのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるエレベータ用傾斜機構を備えており、
前記ベッドは、該ベッドのベースに対して前記ローラコンベアを傾斜させるベッド用傾斜機構を備えており、
前記エレベータ用傾斜機構によって、前記エレベータのローラコンベアを傾斜させ、前記搬入用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行い、
前記ベッド用傾斜機構によって、前記ベッドのローラコンベアを傾斜させ、前記排出用ローラコンベアへのパレットの移動を該パレットの自重移動により行うことを特徴とする請求項1記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項3】
前記エレベータが、該エレベータのローラコンベア上のパレットを、前記搬入用ローラコンベアへ向けて押し出す搬入用押出機構を備えており、
前記ベッドが、該ベッドのローラコンベア上のパレットを、前記排出用ローラコンベアへ向けて押し出す排出用押出機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項4】
前記ラックが、
前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚と、該複数段の棚のそれぞれに設けられており、該棚にストックされたパレットを前記エレベータ側へ押し出すパレット押出手段とを備えており、
前記エレベータが、
前記ローラコンベア上のパレットを前記ラック側へ押し出すパレット押出手段を備えており、
前記ラック及びエレベータ間のパレットの受け渡しを、前記各パレット押出手段の駆動により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項5】
前記ラックが、
前記パレットを縦積みにストックするとともに、前記エレベータ側が下がるように傾斜した複数の棚と、
該棚の下降端側に配置されており前記パレットを係止可能なストッパと、
を備えており、
前記棚から前記エレベータのローラコンベアへのパレットの受け渡しを、前記パレットの自重移動により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項6】
前記ラックが、
前記パレットを縦積みにストックする複数段の棚を備えており、
少なくとも前記エレベータのローラコンベアから前記ラックの棚へのパレットの移動を、前記エレベータ用傾斜機構を利用したパレットの自重移動により行うことを特徴とする請求項2記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項7】
前記エレベータは、
前記ローラコンベア上のパレットの脱落を防止するストッパ手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項8】
前記ベッドは、
前記ローラコンベア上のパレットを固定するパレット固定手段を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項9】
前記パレットの姿勢を検知する姿勢検知手段を、パレット毎に設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項10】
前記姿勢検知手段は、
ジャイロセンサ又は加速度センサと、該ジャイロセンサ又は加速度センサの検知信号を外部に送信するための通信手段を含むことを特徴とする請求項9記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項11】
前記検知信号を受信する通信手段を備えるとともに、受信した検知信号に基づいて、
前記ラックとエレベータ間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,
前記エレベータの昇降,
前記エレベータとベッド間のパレットの移動に関する動作のうち、該パレットの自重移動以外の動作,
のうち少なくとも一つの動作を制御する駆動制御手段を設けたことを特徴とする請求項10記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【請求項12】
光又は音で異常を報知する報知手段を設けるとともに、
前記駆動制御手段は、前記パレットから受信した検知信号に基づいて、前記報知手段を駆動することを特徴とする請求項11記載の工作機械用のパレットチェンジャ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−82023(P2013−82023A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222574(P2011−222574)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(593232479)株式会社テイエムシイ (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(593232479)株式会社テイエムシイ (2)
【Fターム(参考)】
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