説明

パレット一体型コンテナ

【課題】段ボールメーカから部品メーカに構成部品を輸送する際に、嵩張らないように扁平状態に折り畳み可能とし、その運送中にぶつかって凹んで損傷することのないようなパレット一体型コンテナを提供することを目的とする。そして、部品メーカでは、パレットにコンテナを固着する際に作業者が屈んだ無理な姿勢をとることなく作業することができるようなパレット一体型コンテナを提供することを目的とする。
【解決手段】パレットの上に箱状のコンテナを固着したパレット一体型コンテナであって、パレットは天板とこの裏面に所定間隔で桁部材を配設し、前記コンテナは左右側壁と前後側壁が前記天板に立設されることによって四方が箱状に囲まれ、前記左右側壁は、前記天板側において側壁から内側へ直角に曲がる底貼着片を備えるとともに、この底貼着片を前記天板に糊着することを特徴とするパレット一体型コンテナである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を運搬するときに用いるパレット一体型のコンテナに関する。詳しくは、構成部材の全てに段ボールを使用し、構成部材を折り畳んで扁平にして嵩張らないようにした状態で輸送し、現地で容易に立体的に組立てることができるパレット一体型コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の保管や運搬に、フォークリフトに対応したパレットが用いられることが多い。従来のパレットは、強度を確保するため、木材やプラスチック、金属等で形成されることが多かった。しかしながら、包装、物流の分野では、地球環境の保護、限られた資源の再利用という観点から、リサイクルできない木製パレットを使用した輸入製品の受け入れを制限するという厳しい規制を設ける国もある。木製パレットは、製品の運搬には欠かせないものであるが、自然環境保護という点から、限られた森林資源を消費することになり、国際的な世論の高まりから見て、確実に使用を制限する方向に向かっている。一方、段ボール製パレットは、軽量で高い品質を備えるだけでなく、自然環境保護に重点を置いた製品である。そして、段ボール製パレットは、古紙としてリサイクル可能であり、焼却処分も簡単であり、かつ、重さは木製パレットの半分以下であり、軽量で扱い易く、作業効率を向上できる。
【0003】
ところが、従来の段ボール製パレットは、木材製や金属製のパレットに比べて強度が劣るという問題がある。そのため、木材や樹脂からなる補強部材を設けたものが提供されている。しかしながら、上記木材や樹脂を組み合わせると、製造コストが高くなり、また、リサイクルが面倒になる等の問題がある。
【0004】
一方、パレットは嵩張るため、輸送コスト及び保管コストが高くつく。そのため、デッキと桁部材とを組立或いは分解を可能にし、分解した状態で輸送し、現場で組立てるパレットが提案されている。このように組立パレットを組立分解可能にすると、桁部材またはデッキ等の構成部品の一部が破損した場合でも、その部品のみを交換すれば組立パレットを再利用することができるため、廃棄ごみを減少させ、資源の無駄遣いの抑制にもなるため、環境への負荷を低減させる効果も奏する。
【0005】
転じて、軽い段ボールを採用することによって、パレットとコンテナとを一体化することが実現し、しかも嵩張らないように折り畳み可能にしたパレット一体型コンテナが提案されている。段ボール製のパレット一体型コンテナ100を図15に示し、全体が直方体状の形態であり、下方のパレット101にコンテナ102が一体的に固着されている。同図の下方のパレット101は扁平な矩形状であり、天板10及びこれを支える桁部材30が設けられる。パレット101の上のコンテナ102は直方体の箱状であり、パレット101の上方空間を囲むように天板10の四方から前後側壁40、40及び左右側壁50、50が立設される。そして、前後側壁40、40及び左右側壁50、50の下端部において、これらの外周は四方枠60によって囲まれている。例えば、自動車のバンパーを入れるコンテナの大きさは幅1.5メートルで深さが1メートル程度の大きさを有する。そのため、四方枠体60を天板10の縁に沿って固着する際に、作業者は低く屈んで作業しなければならない。更に、四方枠体60の内周に四方の側壁を立設する際も、作業者は低く屈んで作業するので作業性が悪い。ところで、段ボールメーカはパレットの天板10に四方枠体60を固着した状態で自動車のバンパー等部品メーカに輸送するので、途中で四方枠体6の四隅部がぶつかって凹み、或いは破損することがある。他に、部品メーカにおいてコンテナにバンパーを積み込む際に、作業者は天板の上に乗って積み込むので、場合によっては天板が作業者の重量で底抜けすることがある。
【0006】
他にも段ボール等の紙部材を用いたパレット一体型コンテナが提案されている。即ち、最低限の時間、労力をもって2、3の操作ステップで一人の作業員が展開し、折り畳むことができるコンテナ部分を提供する折り畳み可能なパレット一体型コンテナについて、次のような提案がなされている。パレットと、このパレットの頂面に取り付けたコンテナとを包含する。コンテナは、前部パネル部材と、後部パネル部材と、これら前後のパネル部材の間に位置する1つまたはそれ以上の側部パネル部材とを包含する。前部パネル部材、後部パネル部材および1つまたはそれ以上の側部パネル部材は、各々、上縁、下縁ならびに側縁を有し、これらの縁は、互いに取り付けてあってコンテナの連続した周縁を形成している。1つまたはそれ以上の側部パネルのうちの少なくとも1つは、関節連結手段を包含し、この関節連結手段は、装置の関節連結の展開位置から完全な折り畳み位置への再配置の際に、側部パネル、そして順次にコンテナが内部領域に向かって内方に折り畳まれ得るようにする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−62837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の通りであって、従来のパレット一体型コンテナには次のような問題点がある。
【0009】
パレットの上にコンテナを固着する際に体を屈めた状態で作業を続けなければならないので作業性が悪い。また、パレット一体型コンテナを半組立ての状態で部品メーカに輸送する際に、パレットの四方枠体の四隅がぶつかって凹み、或いは損傷することがあった。
【0010】
以上のように、従来のパレット一体型コンテナでは、パレットにコンテナを立設する際に作業者が屈んだ無理な姿勢で作業を続けなければならず、作業性が悪い。また、パレット一体型コンテナを半組立ての状態で部品メーカに輸送する際に、パレットの天板に固着した四方枠体がぶつかり凹んで変形、或いは損傷することがある。このような観点から、本発明は、段ボールメーカから部品メーカに構成部品を輸送する際に、嵩張らないように扁平状態に折り畳み可能とし、その際にパレットの四方枠体の四隅がぶつかって凹み或いは損傷することのないパレット一体型コンテナを提供することを目的とする。そして、現場の部品メーカでは、パレットにコンテナを固着する際に作業者が屈んだ無理な姿勢をとることなく組み立てることができるようなパレット一体型コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明者等は、段ボールの軽さ、折畳み性及び強度に着目し、段ボールを使用してパレット一体型コンテナを試作したところ実用性に優れるという知見を得た。本発明のパレット一体型コンテナはかかる知見を基に具現化したもので、請求項1の発明は、パレットの上に箱状のコンテナを固着したパレット一体型コンテナであって、パレットは天板とこの裏面に所定間隔で桁部材を配設し、前記コンテナは左右側壁と前後側壁が前記天板に立設されることによって四方が箱状に囲まれ、前記左右側壁は、前記天板側において側壁から内側へ直角に曲がる底貼着片を備えるとともに、この底貼着片を前記天板に糊着することを特徴とするパレット一体型コンテナである。請求項2の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記底貼着片は外方へ向けて突片を備え、この突片が前記天板の左右縁に沿って配設されることを特徴とするパレット一体型コンテナである。請求項3の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記天板の表面左右中央において前後方向に渡し板を載置し、かつ、前記天板の裏面において前記渡し板の位置に桁部材が配設されることを特徴とするパレット一体型コンテナである。最後に請求項4の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記左右側壁の上方からフラップが内側へ直角に曲折され、更に、このフラップの前後端から補助片が前記前後側壁の外側面に接するように垂下することを特徴とするパレット一体型コンテナである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る段ボール製のパレット一体型コンテナによれば、段ボールメーカから部品メーカに構成部品を輸送する際に、折り畳んで嵩張らない扁平状態に保つことができるとともに、その運送中に構成部品がぶつかって凹んで損傷するようなことがない。そして、部品メーカでは、パレットにコンテナを固着する際に、組立が容易で、かつ、作業者が屈んだ無理な姿勢をとることなく作業することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1におけるパレット一体型コンテナの斜視図である。
【図2】同上、コンテナ部前後側壁の部品図である。
【図3】同上、コンテナ部左右側壁の部品図である。
【図4】同上、パレット部渡し板の部品図である。
【図5】同上、パレット部桁部材の部品図である。
【図6】同上、パレット部桁部材の斜視図である。
【図7】同上、パレット裏面側から見た斜視図である。
【図8】同上、コンテナ部における前後側壁を組み立てる状態を示す斜視図である。
【図9】同上、パレット部の上に前後側壁を折り畳み、その上に左右側壁を重ねた状態を示す斜視図である。
【図10】同上、パレットの天板に渡し板を設け、左右側壁を組み立てる状態を示す斜視図である。
【図11】同上、パレット一体型コンテナの完成斜視図である。
【図12】同上、パレット部桁部材の他の形態の部品図である。
【図13】本発明の実施例2におけるコンテナ部左右側壁の部品図である。
【図14】同上、パレット一体型コンテナの完成斜視図である。
【図15】従来のパレット一体型コンテナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例1】
【0015】
先ず、本発明の実施例ついて、図1〜図12を参照しながら説明する。なお、正面図、側面図、断面図及び斜視図における上下を上下方向と称し、左右を左右方向と称し、また、平面図、正面図、側面図、断面図および斜視図における物体の天地を上下方向と称する。
【0016】
本実施の形態に係るパレット一体型コンテナは、図1に示すように全体が直方体状の形態を備えており、下方のパレット101の上にコンテナ102が一体的に固着されている。下方のパレット101は扁平な矩形状であり、天板10にこれを裏側から支える桁部材30が左方端の前後方向に設けられ、これと平行に中央に桁部材30が前後方向に設けられ、更に、これと平行に桁部材30が右方端の前後方向に設けられる。上方のコンテナ102は直方体の箱状であり、パレット101の上方空間を囲むように四方の前後側壁40、40及び左右側壁50、50が天板10に立設される。
【0017】
コンテナ102の前後の側壁を構成する前後側壁40を図2に示す。同図(a)は矩形状の内側壁41を示し、同図(b)は矩形状の外側壁42を示す。この外側壁42の上方に折り目Aを介してフラップ43を備える。同図(c)は、前後側壁40の完成状態を示し、外側壁42に折り目Aに沿って内側壁41を左右中央位置に重ねるように糊着したもので、コンテナ102の前後側壁を補強するため二枚重ねにしている。図中の点線は折り目を示し、他の図においても同様である。一方、コンテナ102の左右の側壁を構成する左右側壁50を図3に示す。左右側壁50は略矩形状であり、中央の側壁51の左右に折り目B、Bを介して補助片52、52を備え、上方に断続する折り目C、C、C・・・を介してフラップ53を備え、下方に断続する折り目D、D、Dを介して底貼着片54を備える。
【0018】
次に、パレット101を構成する渡し板20を図4に示す。細長い略矩形状で、中央の水平板21の前後端に折り目E、Eを介してこの外側に起立片22、内側に垂下片23を夫々備える。ここで、上下の折り目E、E間の長さはパレット101の前後方向の幅寸法と略同じである。次に、パレット101の主要部を構成する桁部材の部品図を図5に示す。同図(a)は桁部材本体31の展開図であり、同図(b)は補強束32の展開図である。同図(a)の略矩形状をした桁部材本体31の展開図は天板311を中にして上下対称であり、所定の箇所に複数の折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。複数の左右方向の折り目によって、上下中央の天板311を中にして上下対称に帯状に分割される。桁部材本体31の展開図の上下および左右の方向については、上記の通りとする。中央の天板311の上方に、上から折り目Hを左右方向に備え、これに平行に折り目G、そして、これらに平行に折り目Fを備える。これらの折り目によって、上方から突合せ面314、底面313及び側面312に帯状に分割される。天板311の下方も対称に、下方から突合せ面314、底面313及び側面312に帯状に分割される。上方の底面313を横断して突合せ面314の途中まで、略折り目Gから直立するように三箇所の嵌合溝が形成される。底面313の左右中央に嵌合溝315を形成し、これから左右等間隔に左右端より略内側に嵌合溝315及び315を形成する。下方にも同様に、三本の嵌合溝315、315及び315が形成される。これらの嵌合溝315に、同図(b)に示す補強束32の展開図の状態から折り重ねたものが装嵌される。補強束32の展開図は細長い矩形状を示し、一つ置きの折り目、切り目によって左右方向に等間隔に分割される。左方から、順に折り目Jと切れ目aを交互に上下方向で平行に備え、折り目Jと切れ目aに挟まれて補強片321が左右に複数箇所形成される。折り目Jの上下中央は菱形異形状に切り取られ、切れ目aの上下端部に折り目K、Kを備える。
【0019】
図5(a)の桁部材本体31の展開図及び同図(b)の補強束32の展開図の夫々の状態から折り上げ、これらを組み合わせると桁部材が形成される。この桁部材をパレットに固着する場合のパレットの底板側から見た斜視図として図6に示す。先ず、図5(a)の桁部材本体31の展開図の状態から、上下中央の天面311を下側にして折り目F、Fの位置から側面312、312を直立させる。次に、折り目G、Gの位置から底面313、313を夫々内側へ直角に折り曲げ、次いで、折り目H、Hの位置から合わせ面314、314を夫々天板311側へ直角に折り曲げると細長いトヨ状の桁部材30が折り上がる。この状態について詳細を説明すると、底面313、313が平行に並んで桁部材30の底面を形成し、これらの両側に側面312、312が垂下して側面を形成する。ここで、天面311は隠れるが底面313、313の下方に平行に形成される。合わせ面314、314も隠れるが、底面313、313との間にお互いに面を突き合わせる。ここで、底面313、313を跨ぐように、左右方向中央部の前後方向に嵌合溝315及び左右端から内側に嵌合溝315、315が凹んだ状態で形成される。一方、図5(b)の補強束32の展開図の状態から、折り目Jが頂辺となるように、左右平行に並ぶ補強片321、321を折り曲げて裏面同士を対面させる。順次他の3箇所の折り目Jの部位から夫々補強片321、321を折り曲げて裏面同士を対面させることによって、アコーデオンのように隣同士の補強片321、321が折り重なった補強束32が形成される。本実施例では、同じ要領で3個の補強束32を形成する。このようにして、桁部材本体31と補強束32が折り上がったので、桁部材本体31の三箇所の嵌合溝315へ補強束32、32、32を押し込んで嵌着し、これらの結合した状態が図6に示す桁部材30となる。
【0020】
次に、図6に示した桁部材30の底面313、313側を、パレット101の底板11に糊着する状態を図7に示す。本実施例では、天板10に手前の縁に沿って細長い桁部材30を左右端部と中央部に夫々平行に配置、糊着する。次いで、これらの上から覆うように底板11を底面313、313側に糊着する。同様に桁部材30を天板10に手前端部から後方に向けて四箇所等間隔で平行に、下駄の歯の様に糊着する。次いで、他の前後方向2列の桁部材30の群を夫々覆うように、底面11を底面313、313側に糊着する。ここで、前後方向の桁部材30の群の夫々の列に挟まれてフォークリフト爪の挿入孔X、Xが形成される。以上、本実施例では、天板10の裏面に三列合計12個の桁部材30が糊着され、パレット101に必要とされる強度に応じて桁部材30の個数を決める。
【0021】
パレット一体型コンテナを構成する部品は以上の通りであり、段ボールメーカは構成部材を半組立ての扁平な状態で例えば自動車部品メーカに輸送する。次いで、自動車メーカにおいてパレット一体型コンテナへと箱状に組み立てながら、例えばバンパーをコンテナの中に積み込む。これらの作業手順について以下に説明する。
【0022】
以上のようにして形成されたパレット101の上にコンテナ102の側壁を固着する状態を図8に示す。パレット101の天板10の左右端部に、左右側壁50の底貼着片54を内側へ直角に折り曲げ、糊着する。その際、底貼着片54の突片55、55(図3を参照)の先端が天板10の左右縁から出っ張らないように位置付ける。底貼着片54にこれらの突片55を設けたので、二箇所の突片55を目印にして確実に天板10の左右端部から内側に底貼着片54を糊着することができる。図8の状態から進め、次いで、前後の補助片52、52を折り目B、Bの部位から内側へ側壁51の内側面に対面するまで折り曲げ、次いでこの状態を保ったまま更に折り目Dの部位から側壁51を折り曲げて天板10に対面するように折り重ねる。他方の左右側壁50も同様に天板10に対面するまで重ね折ることによって、天板10に左右側壁50、50の側壁51、51が重なって扁平状態になり、この状態を図9(a)に示す。この上に図4に示す渡し板20の長手方向を左右に向けて重ねる。更に、この状態の上に、別体の前後側壁40、40を載置し、重ねる。この状態を図9(b)に示し、前後側壁40の内側壁41とこの左右に外側壁42、42及び後側にフラップ43が見える。このように、パレットの上に左右側壁2枚及び前後側壁2枚を重ねて扁平状態にし、更にこの状態のものを多段積みにして部品メーカへ輸送する。このように、パレット一体型コンテナの構成部品を扁平状態に折り畳んで多段積みにするので、スペースを取らず輸送コストを下げることができる。
【0023】
部品メーカでは、パレットとコンテナの側壁が折り重なった扁平の状態で受取り、この状態からスタートしてパレット一体型コンテナへと立体的に組み立てる。天板10の左右端部に糊着した左右側壁50を底貼着片54の折り目Dの部位から直立させ、同時に前後の補助片52、52を折り目B、Bを介して直角に拡げ、この状態を図10(a)に示す。次に、天板10の左右中央部に図4に示す渡し板20を位置づけ、この前後の起立片22、22を直立させると同時に垂下片23、23を桁部材30、30の外側に接するように垂下させる。次いで、天板10の後端部に前後側壁40を立設する。この時、補助片52が内側なるように前後側壁40を立て、かつ、前後側壁40を渡し板20の起立片22の内側になるように立てる。この後方の前後側壁40を立設する状態を図10(b)に示す。ここで、前後側壁40と左右側壁50とで形成される外側稜線部を後述する接着テープによって貼着するので、底板10に前後側壁40と左右側壁50とを安定して立設することができる。
【0024】
このように、後方の前後側壁40を立てた状態において、例えばコンテナ102に自動車の複数のバンパーを積み込む。パレット一体型コンテナ100の大きさは深さ1メートル、幅1、5メートル程もあってかなり大きい。そのため作業者がコンテナ102の中に入って自動車のバンパーを持ち上げながらコンテナの奥の方から、例えば10本程のバンパーを積み込む。その際、コンテナ102の天板10の中央の渡し板20を目印としてその上に作業者が乗って作業をする。渡し板20の裏側は複数本の桁部材30が前後方向に設けられているので強度が強く、作業者が乗っても天板10が底抜けするようなことがない。バンパーを積み込んだら、手前の前後側壁40を天板10に立設する。次いで、四方の側壁からフラップ43、43及びフラップ53、53を夫々内側へ直角に折り曲げる。このようにして、コンテナ102の開口部に四方の庇状平面部が確保されるので、パレット一体型コンテナ100を段積みする際に、安定して積層することができる。このようにパレット一体型コンテナ100が段積みされた状態で、例えば船便の大コンテナに積み込まれ、例えば海外の自動車組み立て工場に輸送される。
【0025】
パレット一体型コンテナが完成した状態を図11に示す。全体が直方体状の形態を備えており、パレット一体型コンテナ100は下方のパレット101の上にコンテナ102が一体的に固着されている。図に示すように、下方のパレット101は扁平な矩形状であり、天板10及びこれを支える桁部材30が左方端の前後方向に設けられ、これと平行に左右中央に桁部材30が前後方向に設けられ、これと平行に桁部材30が右方端の前後方向に設けられる。そして、これらの3列の桁部材30に間にフォークリフトの爪が入る挿入口X、Xが形成される。パレット101の上のコンテナ102は直方体状であり、パレット101の上方空間を囲むように天板10に四方から前後側壁40、40及び左右側壁50、50が立設される。天板10の左右端において、左右側壁50の底貼着片54が糊着されて左右側壁50、50が直立し、一方、天板10の前後端において、前後側壁40が左右側壁50、50の補助片52、52に接して外側に直立する。ここで、前後側壁40と左右側壁50とで形成される四方の稜線部を跨るように接着テープT1、T1が貼着されるので、前後側壁40と左右側壁50は安定して天板10に立設した状態を保つことができる。同様に、フラップ53と外側壁42とで形成される稜線部を跨るように接着テープT2が貼着される。左右側壁50の天板10側において、底貼着片54から外側へ突片55、55が突き出ており、これらの突片55は天板10の左右端部から先端がはみ出ないように位置づけられる。また、コンテナ102の開口部から見えるように天板10の中央部前後方向に渡し板20が配置される。ここで、図示のように前後側壁40の外側壁42は渡し板20の起立片22の内側に位置して立設される。
【0026】
桁部材本体の展開図の他の実施態様を図12に示す。図5に示したものとの主たる相違点は、嵌合溝315の数を3箇所から左右の2箇所に減じたところにある。パレット101に必要とされる強度に応じて嵌合溝315の数を決める。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明の実施例2ついて、図13、14を参照しながら説明する。
【0028】
本実施例の実施例1との主たる相違点は、左右側壁50におけるフラップ53の両側に直角に曲がる補助片を設けたところにある。以下、実施例1と相違する箇所について主に説明する。
【0029】
本実施の形態に係るコンテナ102の側壁を構成する左右側壁50の展開図を図13に示す。左右側壁50は略矩形状であり、中央の側壁51の左右に折り目B、Bを介して補助片52、52を備え、上方に断続する折り目C、C、C・・・を介してフラップ53を備え、下方に断続する折り目D、D、Dを介して底貼着片54を備える。そして、フラップ53の左右に折り目L、Lを介して補助片56、56を備え、これらが本実施例の特徴である。
【0030】
パレット一体型コンテナが完成した状態を図14に示し、全体が直方体状の形態を備えており、下方のパレット101及びこの上にコンテナ102が一体的に固着されている。パレット101の上のコンテナ102は直方体状であり、パレット101の上方空間を囲むように天板10の四方から前後側壁40、40及び左右側壁50、50が立設される。左右側壁50の側壁51からフラップ53が内側へ直角に折れ、更にフラップ53の前後両端部から補助片56、56が垂下し、即ち、折り目Lを介して補助片56、56が直角に折れ曲がって、夫々前後側壁40における側壁42の外側面に接する。
【0031】
ここで、前後側壁40と左右側壁50とで形成される四方の稜線部を跨るように、接着テープT1が貼着されるので、前後側壁40と左右側壁50は安定して天板10に立設した状態を保つことができる。同様に、フラップ53から直角に折れ曲がった補助片56、稜線部及び側壁51を跨るように、接着テープT3が貼着される。本実施例では、実施例1の場合より接着テープの貼着箇所が少なくて済むので組み立て作業時間が短縮される。また、コンテナ102に詰め込んだバンパーによって内側から側壁42に対して負荷がかかった場合、直角に垂下する補助片56によって、側壁42は強度的に安定して支えられる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
なお、本発明のパレット一体型コンテナの使途は自動車のバンパーを積み込む他に、その他一般の大型樹脂成型品を積み込むために好適である。特に、大型樹脂製品が段ボール製のコンテナボックスの中に収められるので、衝撃によって樹脂製品の角部同士がぶつかって破損するようなことが無く、或いは、製品同士がぶつかって表面塗装が剥がれるようなことが無い。従って、大型樹脂製品をパレット一体型コンテナのコンテナ内に積み込んで横持ちし、安全に船積み等により輸送することが可能となる。


【符号の説明】
【0033】
100 パレット一体型コンテナ
101 パレット
102 コンテナ
10 天板
11 底板
20 渡し板
21 水平板、22 起立片、23 垂下片
30 桁部材
31 桁部材本体
311 天面、312 側面、313 底面、314 合せ面
315 嵌合溝
32 補強束
40 前後側壁
41 内側壁、42 外側壁、43 フラップ
50 左右側壁
51 側壁、52 補助片、53 フラップ、54 底貼着片
55 突片、56 補助片
60 四方枠体
A〜L 折り目
T1、T2、T3 接着テープ
a 切れ目
X 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットの上に箱状のコンテナを固着したパレット一体型コンテナであって、
パレットは天板とこの裏面に所定間隔で桁部材を配設し、
前記コンテナは左右側壁と前後側壁が前記天板に立設されることによって四方が箱状に囲まれ、
前記左右側壁は、前記天板側において側壁から内側へ直角に曲がる底貼着片を備えるとともに、
この底貼着片を前記天板に糊着することを特徴とするパレット一体型コンテナ。
【請求項2】
前記底貼着片は外方へ向けて突片を備え、
この突片が前記天板の左右縁に沿って配設されることを特徴とする請求項1記載のパレット一体型コンテナ。
【請求項3】
前記天板の表面左右中央において前後方向に渡し板を載置し、
かつ、前記天板の裏面において前記渡し板の位置に桁部材が配設されることを特徴とする請求項1記載のパレット一体型コンテナ。
【請求項4】
前記左右側壁の上方からフラップが内側へ直角に曲折され、
更に、このフラップの前後端から補助片が前記前後側壁の外側面に接するように垂下することを特徴とする請求項1記載のパレット一体型コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−51638(P2011−51638A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203509(P2009−203509)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(390019493)中央紙器工業株式会社 (26)
【Fターム(参考)】