説明

パレット自動交換装置を備えた工作機械及びパレット交換方法

【課題】構造が単純で、省スペース化を図ることができるパレット自動交換装置を備えた工作機械を提供する。
【解決手段】パレット自動交換装置を備えた工作機械は、ベッド1と、このベッド1上に配設し、ワークWを加工する工具を装着する加工ヘッド2と、ベッド1上に配設し、ワークWを固定したパレットPを保持して水平方向に移動自在であるテーブル10とを備えている。ワークWを加工する際にテーブル10が位置する領域よりも外側であって、テーブル10がベッド1上を移動することができる領域の内側に配設し、加工前後のワークWを固定したパレットPをテーブル10との間で受け渡し、かつ保持する複数のパレット保持具20L、20Rを備えており、テーブル10はパレット保持具20L、20Rとの間でパレットPを受け渡す移載装置12を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパレット自動交換装置を備えた工作機械及びパレット交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来のパレット自動交換装置を備えた工作機械を開示している。この工作機械は、ベッドと、このベッド上に配設した加工ヘッド及びテーブルとを備えている。加工ヘッドはワークを加工する工具を装着する。テーブルはベッド上をワークの加工位置とパレット交換位置との間を往復移動する。このテーブルはパレット支持台を有している。パレット支持台はワークを固定したパレットを支持する。また、この工作機械はベッドの前端から突出した位置に設けたパレット置き台を備えている。パレット置き台はワークを固定したパレットを載置する。
【0003】
さらに、この工作機械はパレット自動交換装置を備えている。パレット自動交換装置は水平面で回転するパレット把持アームを有している。パレット把持アームは両端にパレット把持部を有している。このパレット自動交換装置は、以下に説明するように、パレット支持台上に支持したパレットを交換することができる。
【0004】
パレット自動交換装置はパレット交換位置に移動したテーブルのパレット支持台上に支持したパレットを一端のパレット把持部で把持する。このパレットは加工後のワークを固定している。また、パレット交換装置はパレット置き台上に載置したパレットを他端のパレット把持部で把持する。このパレットは加工前のワークを固定している。そして、パレット自動交換装置はパレット把持アームを180度回転させる。これによって、加工後のワークを固定したパレットはパレット置き台上に移動し、加工前のワークを固定したパレットはパレット支持台上に移動する。そして、このパレット自動交換装置は加工前のワークを固定したパレットをテーブルの支持台上に支持する。このようにして、パレット自動交換装置はパレット支持台上に支持したパレットを交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−117579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のパレット自動交換装置を備えた工作機械は、パレット支持台上に支持したパレットを交換する際に、テーブルを移動させる他にパレット把持アームを回転させなければならない。また、この工作機械はベッドの前端から突出した位置にパレット置き台を設けている。このため、この工作機械は、構造が複雑になり、パレット交換するために広いスペースを必要としている。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、構造が単純で、省スペース化を図ることができるパレット自動交換装置を備えた工作機械及びパレット交換方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパレット自動交換装置を備えた工作機械は、ベッドと、
このベッド上に配設し、ワークを加工する工具を装着する加工ヘッドと、
前記ベッド上に配設し、前記ワークを固定したパレットを保持して水平方向に移動自在であるテーブルとを備えたパレット自動交換装置を備えた工作機械であって、
前記ワークを加工する際に前記テーブルが位置する領域よりも外側であって、前記テーブルが前記ベッド上を移動することができる領域の内側に配設し、加工前後の前記ワークを固定した前記パレットを前記テーブルとの間で受け渡し、かつ保持する複数のパレット保持具を備えており、
前記テーブルは前記パレット保持具との間で前記パレットを受け渡す移載装置を有していることを特徴とする。
【0009】
このパレット自動交換装置を備えた工作機械はパレット保持具をテーブルがベッド上を移動することができる領域の内側に配設している。つまり、この工作機械はパレット保持具をベッドの外縁より外側にはみ出すことなく配設することができる。また、この工作機械は、パレット保持具の下方にテーブルを移動した状態で、テーブルの移載装置がパレットをテーブルとパレット保持具との間で受け渡しすることができるため、パレット保持具は駆動部を有さない簡易な構造にすることができる。
【0010】
したがって、本発明のパレット自動交換装置を備えた工作機械は、構造及びパレット交換動作が単純で、省スペース化を図ることができる。
【0011】
また、パレット自動交換装置を備えていない既存の工作機械に対し、ワークを加工する際にテーブルが位置する領域よりも外側であって、テーブルがベッド上を移動することができる領域の内側に複数のパレット保持具を配設し、かつテーブルに移載装置を追加するのみで、パレット自動交換装置を備えた工作機械を容易に実現することができる。
【0012】
前記ワークを加工する際に前記テーブルが位置する領域と前記パレット保持具を配設している領域との間を仕切るシャッターを備え得る。この場合、ワークを加工している間、シャッターを閉鎖する。この状態で、パレット保持具が保持した加工後のワークを固定したパレットを取り除き、加工前のワークを固定したパレットにパレット保持具の保持させることができる。
【0013】
本発明のパレット交換方法は、前記工作機械のパレット交換方法であって、
前記ワークの加工を終えた後に前記テーブルを前記パレットを保持していない前記パレット保持具の下方に移動する第1移動工程と、
第1移動工程後に加工後の前記ワークを固定した前記パレットを前記テーブルから前記パレット保持具に前記移載装置によって受け渡す返却工程と、
返却工程後に前記テーブルを加工前の前記ワークを固定した前記パレットを保持している他の前記パレット保持具の下方に移動する第2移動工程と、
第2移動工程後に加工前の前記ワークを固定した前記パレットを前記パレット保持具から前記テーブルに前記移載装置によって受け渡す取出し工程と、
取出し工程後に前記テーブルを前記ワークを加工する領域に移動する第3移動工程とを有していることを特徴とする。
【0014】
このパレット交換方法では、テーブルを移動する第1移動工程、第2移動工程、及び第3移動工程、テーブルの移載装置によってパレットをテーブルとパレット保持具との間で受け渡す返却工程及び取出し工程を実行することによってパレットを交換することができる。このように、パレット交換に要する工程が少なく、それぞれの工程が単純なため、駆動制御を容易に行うことができる。
【0015】
したがって、本発明のパレット交換方法はパレットを容易に交換することができる。
【0016】
また、前記工作機械が前記シャッターを備えている場合のパレット交換方法は、前記ワークの加工を終えた後に前記シャッターを開放する開放工程と、
開放工程後に前記テーブルを前記パレットを保持していない前記パレット保持具の下方に移動する第1移動工程と、
第1移動工程後に加工後の前記ワークを固定した前記パレットを前記テーブルから前記パレット保持具に前記移載装置によって受け渡す返却工程と、
返却工程後に前記テーブルを加工前の前記ワークを固定した前記パレットを保持している他の前記パレット保持具の下方に移動する第2移動工程と、
第2移動工程後に加工前の前記ワークを固定した前記パレットを前記パレット保持具から前記テーブルに前記移載装置によって受け渡す取出し工程と、
取出し工程後に前記テーブルを前記ワークを加工する領域に移動する第3移動工程と、
第3移動工程後に前記シャッターを閉鎖する閉鎖工程とを有していることを特徴とする。
【0017】
このパレット交換方法は、テーブルを移動する第1移動工程、第2移動工程、及び第3移動工程、テーブルの移載装置によってパレットをテーブルとパレット保持具との間で受け渡す返却工程及び取出し工程に加えて、シャッターを開閉する開放工程及び閉鎖工程を実行することによってパレットを交換することができる。つまり、テーブルの移動、移載装置の駆動、及びシャッターの開閉によってパレットを交換することができる。
【0018】
したがって、このパレット交換方法もパレットを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の工作機械を示す側面図である。
【図2】実施例の移載装置を示す一部断面図である。
【図3】実施例のワーク加工時のテーブル等の位置を示す平面図である。
【図4】実施例のワーク加工後のテーブル等の状態を示す側面図である。
【図5】実施例の第1移動工程後及び返却工程のテーブル等の状態を示す側面図である。
【図6】実施例の第1移動工程後及び返却工程のテーブル等の位置を示す平面図である。
【図7】実施例の第2移動工程後のテーブル等の位置を示す平面図である。
【図8】実施例の第3移動工程後のテーブル等の位置を示す平面図である。
【図9】実施例の第3移動工程後のテーブル等の状態を示す側面図である。
【図10】他の実施例の移載装置を示す一部断面図である。
【図11】他の実施例の移載装置の天板が傾斜した状態を示す一部断面図である。
【図12】実施例の工作機械の前方にパレットストッカー装置を配置した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のパレット自動交換装置を備えた工作機械を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
<実施例>
実施例のパレット自動交換装置を備えた工作機械は、図1に示すように、ベッド1と、ベッド1上に配設した加工ヘッド2と、ベッド1上に配設したテーブル10とを備えている。
【0022】
工作機械は、加工ヘッド2にワークWを加工する工具を装着し、加工ヘッド2の下方に位置するテーブル10に保持したパレットPに固定したワークWを加工する。工作機械は、テーブル10をX軸(左右)方向に自在に移動するX軸駆動装置3とY軸(前後)方向に自在に移動するY軸駆動装置4とを有している。これによって、テーブル10はベッド1上を水平方向に移動自在に設けられている。テーブル10は、ワークWを加工する際には、加工ヘッド2の下方領域で移動する。以下、ワークWを加工する際にテーブル10が移動する領域を加工領域という。
【0023】
テーブル10は、図1及び図2に示すように、テーブル本体11と、テーブル本体11上に設けた移載装置12とを有している。テーブル本体11は、矩形状の平板であり、X軸駆動装置3及びY軸駆動装置4上に取り付けられている。移載装置12は、テーブル本体11に固定した底板13、底板13から立ち上がった側板14、側板14上に設けた天板15、及び昇降部材16を有している。昇降部材16は、シリンダー16Aと、シリンダー16Aの上面から突出し、垂直方向に往復移動するピストン16Bと、ピストン16Bの上端に連結した昇降板16Cを有している。
【0024】
移載装置12は、底板13、側板14、及び天板15に囲まれた空間内に昇降部材16のシリンダー16Aを収納している。天板15は中央部に昇降部材16のピストン16Bを挿通する貫通孔15Aを設けている。昇降部材16の昇降板16Cは、天板15より上側で垂直方向に昇降する。
【0025】
パレットPは平面視が左右横長の矩形状の平板である。パレットPは前後方向の中央であって左右端部の下面に上面を閉鎖したピン孔5を設けている。また、パレットPは、中心に対して対称な位置になる四隅部の下面に上面を閉鎖したテーパー孔6を設けている。
【0026】
移載装置12の天板15はパレットPのピン孔5内に嵌り込むピン17を立設している。また、天板15は、パレットPのテーパー孔6内に嵌り込み、テーパー孔6の内面に密接してパレットPをクランプする4個のクランプ部材18を設けている。
【0027】
移載装置12は昇降板16Cの上面にパレットPを保持することができる。移載装置12は、昇降板16CがパレットPを保持した状態で天板15上に下降すると、ピン17がピン孔5に嵌り込み、クランプ部材18がテーパー孔6に嵌り込んで、その内面に密接する。これによって、テーブル10がパレットPをクランプした(保持した)状態になる。また、クランプ部材18はテーパー孔6の内面への密接状態を解除してパレットPのクランプを解除することができる。移載装置12は、パレットPのクランプを解除した状態で昇降板16Cを上昇し、パレットPを天板15から上方に上昇させることができる。
【0028】
また、工作機械は、図1、図3〜図5に示すように、加工領域よりも外側であって、テーブル10がベッド1上を移動することができる領域の内側に2個のパレット保持具20L、20Rを配設している。つまり、2個のパレット保持具20L、20Rはテーブル10が工作機械のX軸駆動装置3及びY軸駆動装置4によって移動することができる領域の内側であるベッド1の前部の上方に配設している。
【0029】
パレット保持具20L、20Rはベッド1の前端部から上方に延びた支持部材30の上端から後方に向けて延びた一対のL型レール21L、21Rで構成されている。支持部材30の上端は左右方向に延びており、ベッド1の左右幅と略同じ長さを有している。支持部材30の上端面に2組の一対のL型レール21L、21Rを左右に並べて配置している。一対のL型レール21L、21Rは、上方を向いた水平面21AがパレットPの左右端部の底面を支持し、かつ向かい合った垂直面21BがパレットPの左右端部の側面をガイドするように支持部材30の上端面に所定の間隔を有して固定されている。
【0030】
また、工作機械は、図1に示すように、加工領域とパレット保持具20を配設している領域との間を仕切るシャッター40を備えている。このシャッター40は上下方向に移動する。
【0031】
このような構成を有するパレット自動交換装置を備えた工作機械は、次に説明するように、パレットPを交換することができる。
【0032】
工作機械は、図1及び図3に示すように、シャッター40を閉鎖した状態で、テーブル10にクランプしたパレットPに固定したワークWを加工する。
【0033】
ワークWの加工を終えた後、図4に示すように、シャッター40を上方に移動し、シャッター40を開放する(開放工程)。シャッター40を開放するとともに、テーブル10のクランプ部材18は、パレットPのテーパー孔6の内面への密接状態を解除して、パレットPのクランプを解除する。そして、移載装置12は、昇降板16Cを上昇し、パレットPを天板15から上方に上昇させる。
【0034】
その後、図5及び図6に示すように、工作機械は、X軸駆動装置3及びY軸駆動装置4を駆動して、テーブル10をパレットPを保持していない(工作機械に向かって左側の)パレット保持具20Lの下方に移動する(第1移動工程)。第1移動工程を終了した時点では、移載装置12の昇降板16Cは上昇しているため、一対のL型レール21L、21Rの間を移載装置12の昇降部材16のピストン16Bが入り込み、パレット保持具20Lの上方にパレットP及び昇降板16Cが位置している。
【0035】
その後、移載装置12は、昇降部材16のピストン16Bを下降し、昇降板16Cに保持されたパレットPを下降させる。これによって、パレット保持具20Lの一対のL型レール21L、21Rの垂直面21BがパレットPの左右端部の側面をガイドしつつ、パレットPが下降し、一対のL型レール21L、21Rの水平面21AがパレットPの左右端部の底面を支持する。このようにして、移載装置12によって、加工後のワークWを固定したパレットPをテーブル10からパレット保持具20Lに受け渡す(返却工程)。
【0036】
その後、図7に示すように、工作機械はX軸駆動装置3を駆動して、テーブル10を加工前のワークWを固定したパレットPを保持している(工作機械に向かって右側の)パレット保持具20Rの下方に移動する(第2移動工程)。
【0037】
その後、移載装置12の昇降部材16のピストン16Bが上昇する。それによって、昇降板16Cは、パレットPに向けて上昇して昇降板16Cの上面にパレットPを保持しつつ、パレット保持具20Rより上方に上昇する。このようにして、移載装置12によって、加工前のワークWを固定したパレットPをパレット保持具20Rからテーブル10に受け渡す(取出し工程)。
【0038】
その後、図8及び図9に示すように、工作機械はX軸駆動装置3及びY軸駆動装置4を駆動して、テーブル10を加工領域に移動する(第3移動工程)。そして、図1及び図3に示すように、シャッター40を下方に移動し、シャッター40を閉鎖する(閉鎖工程)。シャッター40を閉鎖するとともに、移載装置12は昇降板16Cを下降する。これによって、パレットPが天板15上に下降し、テーブル10がパレットPをクランプした状態になる。このようにして、テーブル10に保持した加工後のワークWを固定したパレットPを加工前のワークWを固定したパレットPに交換することができる。
【0039】
テーブル10にクランプしたパレットPに固定したワークWを加工する際、シャッター40が閉鎖しているため、工作機械に向かって左側のパレット保持具20Lが保持している加工後のワークWを固定したパレットPを取り除き、工作機械に向かって左側のパレット保持具20Lに加工前のワークWを固定したパレットPを保持させることができる。
【0040】
その後、ワークWの加工を終えると、シャッター40を開放し(開放工程)、パレットPのクランプを解除して、パレットPを天板15から上方に上昇させた状態で、パレットPを保持していない(工作機械に向かって右側の)パレット保持具20Rの下方にテーブル10を移動する(第1移動工程)。そして、パレット保持具20RにパレットPを受け渡し(返却工程)、パレットPを保持している(工作機械に向かって左側の)パレット保持具20Lの下方にテーブル10を移動する(第2移動工程)。そして、加工前のワークWを固定したパレットPをパレット保持具20Lからテーブルに受け渡す(取出し工程)。そして、テーブル10を加工領域に移動し(第3移動工程)、シャッター40を閉鎖する(閉鎖工程)。このように、このパレット自動交換装置を備えた工作機械はパレットPの交換を繰り返し行うことができる。
【0041】
このパレット自動交換装置を備えた工作機械はパレット保持具20L、20Rをテーブル10がベッド1上を移動することができる領域の内側に配設している。つまり、この工作機械はパレット保持具20L、20Rをベッド1の外縁より外側にはみ出すことなく配設することができる。また、この工作機械は、パレット保持具20L、20Rの下方にテーブル10を移動した状態で、テーブル10の移載装置12がパレットPをテーブル10とパレット保持具20L、20Rとの間で受け渡しすることができるため、パレット保持具20L、20Rは駆動部を有さない簡易な構造にすることができる。
【0042】
したがって、実施例のパレット自動交換装置を備えた工作機械は、構造及びパレット交換動作が単純で、省スペース化を図ることができる。
【0043】
また、パレット自動交換装置を備えていない既存の工作機械に対し、加工領域よりも外側であって、テーブル10がベッド1上を移動することができる領域の内側に2個のパレット保持具20L、20Rを配設し、かつテーブル10に移載装置12を追加するのみで、パレット自動交換装置を備えた工作機械を容易に実現することができる。
【0044】
さらに、この工作機械のパレット交換方法では、テーブル10を移動する第1移動工程、第2移動工程、及び第3移動工程、テーブル10の移載装置12によってパレットPをテーブル10とパレット保持具20L、20Rとの間で受け渡す返却工程及び取出し工程に加えて、シャッター40を開閉する開放工程及び閉鎖工程を実行することによってパレットPを交換することができる。つまり、テーブル10の移動、移載装置12の駆動、及びシャッター40の開閉によってパレットPを交換することができる。
【0045】
したがって、実施例の工作機械のパレット交換方法はパレットPを容易に交換することができる。
【0046】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例では、移載装置の天板の上面は水平面であり、パレットを水平に保持することができるのみであったが、図10及び図11に示すように、移載装置60は、左右に回転装置61を有し、回転装置61の軸61Aの周りに天板15が回動するようにしてもよい。この場合、図11に示すように、ワークWを保持したパレットPを所定角度に傾斜させた状態で、加工ヘッド2の装着した工具によって、ワークWを加工することができる(図11において、実施例と同一の構成は同一の符号を付している。)。
(2)図12に示すように、実施例の工作機械の前方にパレットストッカー装置70を配置してもよい。この場合、パレットストッカー装置70とパレット保持具20L、20Rとの間でパレットを自動に載せ替えることができる載せ替え装置を有するとよい(図12において、実施例と同一の構成は同一の符号を付している。)。
(3)実施例ではパレット保持具がベッドの前部の上方に位置していたが、パレット保持具は、加工領域よりも外側であり、テーブルがベッド上を移動することができる領域内であれば、ベッドの左右どちらの上方に位置してもよい。
(4)実施例では、ワークを加工する際にテーブルが位置する領域とパレット保持具を配設している領域とを仕切るシャッターを設けていたが、シャッターを設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…ベッド
2…加工ヘッド
10…テーブル
12…移載装置
20L、20R…パレット保持具
40…シャッター
P…パレット
W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドと、
このベッド上に配設し、ワークを加工する工具を装着する加工ヘッドと、
前記ベッド上に配設し、前記ワークを固定したパレットを保持して水平方向に移動自在であるテーブルとを備えたパレット自動交換装置を備えた工作機械であって、
前記ワークを加工する際に前記テーブルが位置する領域よりも外側であって、前記テーブルが前記ベッド上を移動することができる領域の内側に配設し、加工前後の前記ワークを固定した前記パレットを前記テーブルとの間で受け渡し、かつ保持する複数のパレット保持具を備えており、
前記テーブルは前記パレット保持具との間で前記パレットを受け渡す移載装置を有していることを特徴とするパレット自動交換装置を備えた工作機械。
【請求項2】
前記ワークを加工する際に前記テーブルが位置する領域と前記パレット保持具を配設した領域との間を仕切るシャッターを備えていることを特徴とする請求項1記載のパレット自動交換装置を備えた工作機械。
【請求項3】
請求項1記載のパレット自動交換装置を備えた工作機械のパレット交換方法であって、
前記ワークの加工を終えた後に前記テーブルを前記パレットを保持していない前記パレット保持具の下方に移動する第1移動工程と、
第1移動工程後に加工後の前記ワークを固定した前記パレットを前記テーブルから前記パレット保持具に前記移載装置によって受け渡す返却工程と、
返却工程後に前記テーブルを加工前の前記ワークを固定した前記パレットを保持している他の前記パレット保持具の下方に移動する第2移動工程と、
第2移動工程後に加工前の前記ワークを固定した前記パレットを前記パレット保持具から前記テーブルに前記移載装置によって受け渡す取出し工程と、
取出し工程後に前記テーブルを前記ワークを加工する領域に移動する第3移動工程とを有していることを特徴とする工作機械のパレット交換方法。
【請求項4】
請求項2記載のパレット自動交換装置を備えた工作機械のパレット交換方法であって、
前記ワークの加工を終えた後に前記シャッターを開放する開放工程と、
開放工程後に前記テーブルを前記パレットを保持していない前記パレット保持具の下方に移動する第1移動工程と、
第1移動工程後に加工後の前記ワークを固定した前記パレットを前記テーブルから前記パレット保持具に前記移載装置によって受け渡す返却工程と、
返却工程後に前記テーブルを加工前の前記ワークを固定した前記パレットを保持している他の前記パレット保持具の下方に移動する第2移動工程と、
第2移動工程後に加工前の前記ワークを固定した前記パレットを前記パレット保持具から前記テーブルに前記移載装置によって受け渡す取出し工程と、
取出し工程後に前記テーブルを前記ワークを加工する領域に移動する第3移動工程と、
第3移動工程後に前記シャッターを閉鎖する閉鎖工程とを有していることを特徴とする工作機械のパレット交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−52448(P2013−52448A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190276(P2011−190276)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(390020639)株式会社キラ・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】