説明

パンツタイプ使い捨ておむつ

【課題】脚周り寸法を調節可能なパンツタイプ使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】上記課題は、内装体200と腹側の外装シート12Fとの重なり部分、及び内装体200と背側の外装シート12Bとの重なり部分をそれぞれ接合する内外接合部71,72を有し、腹側及び背側の内外接合部71,72は、ウエスト側の端部が剥離しない非剥離接合部71とされるとともに、この剥離しない接合部よりも股間側の部分が着脱手段73により着脱可能な着脱接合部72とされている、ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に接合された、吸収体を含む内装体とを備え、外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成されている製品であり、着用の際には下着のパンツと同様、装着者が立位のまま片足ずつウエスト開口部を介して脚開口部に通した後、ウエストまで引き上げる、というものである(例えば特許文献1,2参照)。以下、外装シートと内装体との固定部を内外接合部ともいう。
【0003】
パンツタイプ使い捨ておむつには、フィット性を向上させるために、例えば、脚周り部や胴周り部に糸ゴム等の弾性伸縮部材を設けることが一般的となっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)が、脚開口部の大きさ及び伸縮性が横漏れを考慮して比較的に小さく設定されていることから、装着者の足の指が立体ギャザーにひっかかって、簡単に足を通せない場合がある。この場合、装着者が片足立ちになり、この状態が長く続くと転倒する危険性もある。また、ウエスト寸法の割には脚の太さが太い装着者や、臀部の大きい装着者に対しては、ウエスト寸法に合わせておむつを選ぶと脚周りがきつくなり、足の太さに合わせておむつを選ぶとウエストが緩くなり、標準的な寸法設定では適切なフィットが困難であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−156341号公報
【特許文献2】特開2004−329386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、脚周り寸法を調節可能なパンツタイプ使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
腹側の外装シートの両側部と、背側の外装シートの両側部とが接合されてサイドシール部が形成された筒状の胴回り部と、
前記腹側の外装シート内面から前記背側の外装シート内面まで延在する排泄物吸収部分である、内装体とを備え、
前記腹側の外装シートと背側の外装シートとが股間側で連続せずに離間されており、
前記内装体と前記腹側の外装シートとの重なり部分、及び前記内装体と前記背側の外装シートとの重なり部分をそれぞれ接合する内外接合部を有する、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
腹側及び背側の少なくとも一方の内外接合部は、ウエスト側の端部が剥離しない非剥離接合部とされるとともに、この剥離しない接合部よりも股間側の部分が着脱可能な着脱接合部とされている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
【0007】
(作用効果)
このパンツタイプ使い捨ておむつでは、着脱接合部を外して外装シートの股間側端部を自由にし、この自由部分をたくし上げた後に、再び着脱接合部により接合することによって、脚開口部を拡大することができる。つまり、腹側及び背側の両方に着脱接合部を設け、腹側の外装シート及び背側の外装シートの両方をたくし上げた状態とすれば、脚開口部全体を拡大することができ、腹側の外装シートのみたくし上げれば(又は腹側のみに着脱接合部を設けても同様)前方にのみ、背側の外装シートのみたくし上げれば(又は背側のみに着脱接合部を設けても同様)後方にのみ、脚開口部を拡大させることができる。
したがって、装着前に脚開口部を拡大することにより、装着者の足を脚開口部に通し易くなる。また、装着前又は後に脚開口部を拡大することにより、脚の太さが太い装着者や、臀部の大きい装着者に対しても適切にフィットさせることができる。
【0008】
<請求項2記載の発明>
前記着脱接合部は、前記外装シートの内面に設けられたメカニカルファスナーのフック材と、前記内装体の外面に設けられた前記フック材が係止される被係止材とにより着脱可能に構成されている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
【0009】
(作用効果)
着脱接合部の着脱手段は粘着剤としても良いが、着脱を繰り返しても接合強度の低下が殆ど起こらない点でメカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)を用いることが望ましい。しかし、メカニカルファスナーのフック材を内装体の外面に設けると、外装シートをたくし上げた際にフック材が露出し、下着や服に誤係止されるおそれがある。よって、フック材を外装シートの内面に設ける構成とするのが好ましい。
【0010】
<請求項3記載の発明>
前記背側の内外接合部が前記着脱接合部を有し、前記背側の外装シートの幅方向中央部に、股間側の縁からウエスト側に向かう臀部切り離しミシン目を有する、請求項1又は2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
この形態では、背側の着脱接合部を外すとともに、臀部切り離しミシン目を切り離し、背側の外装シートの股間側を左右に広げた状態で、再び着脱接合部により接合することによって、背側の外装シートをたくし上げずに、つまり背側の外装シートによる臀部下側の被覆を維持したまま、脚開口部を後方に拡大することができる。もちろん、背側の外装シートのたくし上げを組み合わせることも可能である。
【0012】
<請求項4記載の発明>
前記着脱接合部を有する側の外装シート又は前記サイドシール部における股間側端部及びそのウエスト側部分のうち、股間側端部にたくし上げ部材の一端部を固定し、このたくし上げ部材の他端側をウエスト側部分に挿通してなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
【0013】
(作用効果)
このようなたくし上げ部材を設けることにより、たくし上げ部材の他端を摘まんで引き上げることで、外装シートを容易にたくし上げることができる。
【0014】
<請求項5記載の発明>
腹側の外装シートの両側部と、背側の外装シートの両側部とが接合されて形成された筒状の胴回り部と、
前記腹側の外装シート内面から前記背側の外装シート内面まで延在する排泄物吸収部分である、内装体とを備え、
前記腹側の外装シートと背側の外装シートとが股間側で連続せずに離間されており、
前記内装体と前記腹側の外装シートとの重なり部分、及び前記内装体と前記背側の外装シートとの重なり部分をそれぞれ接合する内外接合部を有する、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
腹側及び背側の少なくとも一方の内外接合部は、ウエスト側の端部が剥離しない非剥離接合部とされるとともに、この剥離しない接合部よりも股間側の部分が剥離可能な剥離接合部とされており、
前記剥離接合部を有する側の外装シートに、股間側の縁部を幅方向全体にわたり切り離すための縁部切り離しミシン目を設けた、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
このパンツタイプ使い捨ておむつでは、縁部切り離しミシン目により股間側の縁部を幅方向全体にわたり切り離すとともに、当該部分を剥離接合部の剥離により内装体から分離することによって、脚開口部を拡大することができる。つまり、腹側及び背側の外装シートの両方の股間側縁部を分離すれば、脚開口部全体を拡大することができ、腹側の外装シートのみ股間側縁部を分離すれば(又は腹側のみに着脱接合部を設けても同様)前方にのみ、背側の外装シートのみ股間側縁部を分離すれば(又は背側のみに着脱接合部を設けても同様)後方にのみ、脚開口部を拡大させることができる。
したがって、装着前に脚開口部を拡大することにより、装着者の足を脚開口部に通し易くなる。また、装着前又は後に脚開口部を拡大することにより、脚の太さが太い装着者や、臀部の大きい装着者に対しても適切にフィットさせることができる。
なお、剥離接合部は、前述の着脱接合部としても同様の効果を得ることができる。また、その場合、外装シートをたくし上げることもできるが、本形態では外装シートをたくし上げずに(つまり、皺がよること無く)脚開口部を拡大出来る利点がある。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、脚周り寸法が調節可能となる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の6−6断面図である。
【図4】図1の7−7断面図である。
【図5】図1の8−8断面図である。
【図6】パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図7】パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、断面図である。
【図8】製品状態のパンツタイプ使い捨ておむつの正面図である。
【図9】製品状態のパンツタイプ使い捨ておむつの背面図である。
【図10】たくし上げた状態のパンツタイプ使い捨ておむつの背面図である。
【図11】たくし上げた状態のパンツタイプ使い捨ておむつの背面図である。
【図12】たくし上げ部材の要部拡大図である。
【図13】パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図14】製品状態のパンツタイプ使い捨ておむつの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、先ずパンツタイプ使い捨て紙おむつの基本構造例について説明し、次に特徴部分について説明する。各図において、「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0019】
<パンツタイプ使い捨ておむつの基本構造例>
図1〜図9は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつは、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側の外装シート12Fと背側を覆う背側の外装シート12Bとを有しており、腹側の外装シート12Fの幅方向両側縁と背側の外装シート12Bの幅方向両側縁とが、上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部100が形成されるように構成されている。符号12Aは個々の溶着部の群としてのサイドシール部を示している。図示形態のように、背側の外装シート12Bが溶着部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施し、背側延出部14に延出溶着部12Eを設けることができる。延出溶着部12Eを設けることにより、後述する背側延出部14の第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することができる。この場合、脇部の破りやすさを考慮して、溶着部12Aは小さな溶着部の集合からなり、溶着部12Aにおける溶着面積の比率が低い接合パターンとすることが一般的であるが、延出溶着部12Eでは破りやすさを考慮する必要が無いため、溶着パターンは溶着部12Aよりも溶着面積の比率を高くすることにより第2の細長状弾性伸縮部材16が確実に溶着固定されるようにしてもよい。また、延出溶着部12Eは臀部カバー部14Cの縁部をカーブしたラインで溶着し、臀部カバー部14Cの第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することもできる。
【0020】
また、胴回り部100における腹側の外装シート12Fの幅方向中央部内面に内装体200の前端部が内外接合部により連結されるとともに、背側の外装シート12Bの幅方向中央部内面に内装体200の後端部が内外接合部により連結されており、腹側の外装シート12Fと背側の外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離Yは150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、腹側の外装シート12Fと背側の外装シート12Bとが股間部で連続した形態、つまり腹側から背側までを一体的な外装シートにより連続的に覆う形態を採用することもできる。
【0021】
図7及び図8からも判るように、胴回り部100の上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口部WOとなり、内装体200の幅方向両側において胴回り部100の下縁および内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。各溶着部12Aを剥がして展開した状態では、図1に示すように砂時計形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、排泄物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部100は内装体200を装着者に対して支持する部分である。
【0022】
(外装シート)
腹側の外装シート12F及び背側の外装シート12Bは、図4及び図5にも示すようにシート状資材12,12を2枚貼り合せてなるものであり、内側に位置する内側シート状資材12はウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する外側シート状資材12は内側シート状資材12のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在され、対向面にホットメルト接着剤等により固定されている。シート状資材12としては溶着により接合できるものであれば特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
【0023】
そして、腹側の外装シート12F及び背側の外装シート12Bには、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート状資材12,12間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜18,19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bの両シート状資材12,12の貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0024】
より詳細には、背側の外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める背側本体部13と、この背側本体部13の下側に延出する背側延出部14とを有している。背側延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出した臀部カバー部14Cとを有している。
【0025】
背側延出部14の形状は適宜定めることができるが、図示例では、背側延出部14の上端部は、背側本体部13と同幅で背側本体部13の下側に延出されており、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭められている。背側本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、臀部を覆い易い形状となる。
【0026】
背側延出部14の寸法は適宜定めることができるが、図6に示すように、臀部カバー部14Cの幅方向長さ14x(臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、臀部カバー部14Cの上下方向の長さ14y(延出長さ)が30〜80mmであると、より好ましい。また、背側延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、背側延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度であると、臀部の外観および装着感に優れるため、好ましい。
【0027】
背側本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
【0028】
背側本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、背側本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
【0029】
また、背側本体部13の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0030】
第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0031】
また、背側延出部14における内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくとも臀部カバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0032】
第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0033】
一方、腹側の外装シート12Fは背側の外装シート12Bの背側本体部13と基本的に同様の腹側本体部(溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側の外装シート12Bのような背側延出部14を有していないものである。
【0034】
すなわち、腹側の外装シート(腹側本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材12の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0035】
また、腹側の外装シート12F(腹側本体部)の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
【0036】
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0037】
図示形態の腹側の外装シート12Fは、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める腹側本体部と、この腹側本体部の下側に延出する腹側延出部とからなる構成とすることもできる。これにより、腹側の外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、腹側延出部の面積は、背側延出部の面積の10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。腹側延出部が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
【0038】
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、背側本体部13および背側延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0039】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面全体を覆うように、あるいは腹側の外装シート12Fと背側の外装シート12Bとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シート12Mを固定することもできる。また、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に、中間シート(セカンドシート)40を設けることができる。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立する立体ギャザー60,61を設けることができる。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。また、内装体200は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート12F,12Bに対して着脱自在に取り付けることもできる。
【0040】
なお、内装体200の幅方向両側部、特に内装体200の幅方向両側縁と腹側の外装シート12Fの下端縁との交点近傍及び背側の外装シート12Bの下端縁との交点近傍では、内装体200の剛性(剛度)が15〜50cN/50mm、特に20〜35cN/50mmであると、後述するような立体ギャザー60,61の全体的な起立形状が更に安定するため好ましい。一方、それ以外の部分、例えば幅方向中間部については柔軟性を考慮して、剛性を5〜35cN/50mm、好ましくは10〜25cN/50mmと低くするのが好ましい。なお、剛性を高くする範囲は、幅方向には内装体200の幅方向両側縁から中央側に5〜30mmの範囲、前後方向には内装体200と腹側の外装シート12F,背側の外装シート12Bの交点から前後方向にそれぞれ50mm以内(吸収体56の括れ部56Nと重複する部分は含まない)とするのが好ましい。
【0041】
剛性(剛度)は、JIS K 7171(プラスチック‐曲げ剛性の試験方法)に準拠し、次の方法で測定する。測定にはテンシロン試験機(圧子先端部の曲率半径R1=5.0±0.1mm、支持プレート先端部の曲率半径R2=5.0±0.2mm)を用い、内装体200の製品前後方向の曲げ剛性を測定する。試験片は、内装体200から測定に影響する弾性伸縮部材を取り除き、これをおむつ長手方向80mm、おむつ幅方向50mmの長方形に切り取ることにより作製する。曲げ剛性値の単位中の50mmは試験片の短辺の長さであり、試験時の圧子でたわませた試験片の幅である。それぞれ断面円弧状の先端部を有し、両先端部の先端(上端)間の間隔を50mmとして、互いに平行に且つ両先端部の高さ位置を揃えて配置された一対の支持プレート上に、上記の試験片を、その長手方向を各プレートに直交する方向に向けて、掛け渡すように載置し、その試験片に僅かに接するように圧子先端部を配置する。ロードセル5kg(レンジ196cN)、速度30mm/minの条件で圧子を降下させ、荷重‐たわみ曲線を得る。得られた曲げ応力の最大値を曲げ剛性値(cN/50mm)とする。なお、測定対象となる部位が上記サンプリング寸法より小さい場合は、小スケールの試験片で測定を行い、寸法比に基づいて比例計算にて換算する。
【0042】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60,61を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60,61との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60,61に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。
【0043】
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。中間シート40が幅方向側部から吸収体56の裏面側まで回り込み、ホットメルト接着剤等により接着固定されていると、内装体200の両側部の剛性が向上する。中間シート40の代表的な素材は液の透過性に優れる不織布である。
【0044】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性シート11の外側に、股間部外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性シート11の内側に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
【0045】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60,61は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
【0046】
本実施の形態では、図3及び図4にも示すように、内装体200の左右各側において二重に立体ギャザー60,61が設けられている。おむつを展開した状態では、図示のように、内側立体ギャザー61は内装体200の側部から幅方向中央側に斜めに起立するものであり、外側立体ギャザー60は、内側立体ギャザー61の幅方向外側において内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
【0047】
より詳細には、内側立体ギャザー61は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。細長状弾性伸縮部材63は、ギャザーシート62に対し、前後端部では固定されておらず、中間部において立体ギャザーが前後に伸縮するように固定されている。ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは420〜1120dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示しないが、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
【0048】
細長状弾性伸縮部材63は、内側立体ギャザー61の先端部に1〜2本配置するのが好ましく、先端部と基端部との間の中間部にも1〜2本配置すると更に好ましい。中間部に細長状弾性伸縮部材63があると、これを支点として中間部から先端部に亘る範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。中間部の細長状弾性伸縮部材63の配置位置は内側立体ギャザー61の高さ(突出部の幅方向長さ)の30〜70%範囲が好ましい。乳幼児用紙おむつでは、内側立体ギャザー61の高さは15〜35mm程度が好ましいため、細長状弾性伸縮部材63の配置範囲は先端から基端側に5〜25mmの位置が好ましく、12〜18mmの位置がより好ましい。内側立体ギャザー61の先端部及び/または中間部にそれぞれ細長状弾性伸縮部材63を平行に設ける場合は、その配置間隔61dは2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
【0049】
そして、内側立体ギャザー61のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分(内側取付部分)65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分であり、内側突出部分に相当する)とされ、この突出部分66のうち前後方向両端部が表面シート30表面にホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67により固定され、前後方向中間部が非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
【0050】
外側立体ギャザー60も、内側立体ギャザー61と基本的に同様の構造を有するものであるが、その取付部分(外側取付部分)68が、内装体200の裏面側における内側立体ギャザー61の取付部分65よりも幅方向中央側において内側立体ギャザー61の外面に固定される点、突出部分(外側突出部分)69のうち前後方向両端部が、取付部分68から内装体200の側部を通り内側立体ギャザー61における内側突出部分66の前後方向両端部の表面まで延在し且つ内側突出部分66の前後方向両端部の表面に固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる点、細長状弾性伸縮部材63の配置及び本数等で異なるものである。
【0051】
ただし、内側立体ギャザー61についても、内側突出部分の先端部は幅方向外側に折り返される構造、具体的には内側立体ギャザー61の高さ(突出部の幅方向長さ)の1/2以下、好ましくは1/3以下であれば、外側立体ギャザー61と同様に先端側部分が幅方向外側に折り返され且つ付け根部側部分に固定される構造を採っても良い。
【0052】
外側立体ギャザー60の自由部分(外側自由部分)に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。外側立体ギャザー60に配置する細長状弾性伸縮部材63の太さや伸長率は、内側立体ギャザー61に準ずるが、太さは内側立体ギャザー61のものと同じ、またはより太く、伸長率は内側立体ギャザー61のものと同じ、またはより低いほうが好ましい。
【0053】
また、突出部分66,69の前後固定部67の前後方向長さL6は、内側立体ギャザー61の方が外側立体ギャザー60と同じかまたは短く形成するのが好ましく、立体ギャザー60,61における細長状弾性伸縮部材63の前後方向固定長さは、内側立体ギャザー61の方が外側立体ギャザー60と同じかまたは長く形成するのが好ましい。取付部分65と突出部分66との境界は、外側立体ギャザー60と内側立体ギャザー61とで同じ位置であっても良いが、外側立体ギャザー60の境界が内側立体ギャザー61の境界よりも幅方向中央側に離間しているのが好ましく、その離間距離は10mm以内が好ましい。
【0054】
外側立体ギャザー60及び内側立体ギャザー61の取付部分68,65における突出部分66,69側の縁部には、ホットメルト接着剤やヒートシールによる線状の付け根固定部を形成するのが好ましい。また、他の固定部はホットメルト接着剤等を用いて適宜のパターンで固定することができる。この線状の付け根固定部は、内装体200の表面側の側部近傍(具体的には側縁から幅方向に0〜5mm、好ましくは0〜3mmの位置)または裏面側に位置するのが好ましい。この場合、立体ギャザーを表面側に折り返して固定しているのは実質的に前後方向両端部のみとなるため、前後固定部67による幅方向中央側への規制が十分に作用しない股間部においては、外側立体ギャザー60及び内側立体ギャザー61いずれもが幅方向外側に向かって起立し、内側立体ギャザー61の形成するポケットが広くなる。表面側で側縁から幅方向に5mmを越えて線状の付け根固定部が位置すると、股間部においても立体ギャザーが幅方向中央側に向かって起立し、内側立体ギャザー61の形成するポケットが狭くなるため、好ましくない。裏面側に位置する場合は、内装体200の側縁から0〜20mmの位置が適当だが、20mmを越えて位置してもよい。
【0055】
外側及び内側立体ギャザー60,61の取付部分68,65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができ、またいずれか一方の立体ギャザーを介して他方の立体ギャザーを内装体200に対して固定することもできる。
【0056】
かくして構成された外側及び内側立体ギャザー60,61では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66,69のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分68,65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において外側及び内側立体ギャザー60,61が幅方向外側に開くように起立するため、外側及び内側立体ギャザー60,61が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。一方、股間部の前後両側(腹部及び背部)においては、前後固定部67により外側及び内側立体ギャザー60,61が幅方向外側へ開かないように規制されるため、内側立体ギャザー61は高く起立し、外側立体ギャザー60の下半分も同様に起立するため、腹部及び背部における内装体200両脇からのもれが確実に防止できる。また、内側立体ギャザー61の突出部分66における前後固定部67は折り返さずに、外側立体ギャザー60の突出部部分68における前後固定部67は外向きに折り返されているため、外側及び内側立体ギャザー60,61における内側及び外側自由部分間の離間状態が維持され、外側及び内側立体ギャザー60,61が広い間隔で確実に起立し、それぞれが脚周りにフィットするようになるため、漏れ防止性に優れたものとなる。
【0057】
立体ギャザー60,61の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、内側立体ギャザー61の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W5は10〜50mm、特に15〜35mmであるのが好ましく、外側立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分69の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、内側立体ギャザー61をトップシート30表面に倒した状態における先端間の離間距離W4は60〜170mm、特に70〜120mmであるのが好ましい。また、外側立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、外側及び内側立体ギャザー60,61のいずれか一方のみを設けることもできる。
【0058】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0059】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0060】
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60,61の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。具体的な寸法としては、吸収体前端部56Fの前後方向長さをL1とし、吸収体56と腹側の外装シート12Fとの重なり部分における前後方向長さをL2とし、吸収体後端部56Bの前後方向長さをL3とし、吸収体56と背側の外装シート12Bとの重なり部分における前後方向長さをL4とし、括れ部56Nの最小幅をW1とし、吸収体前端部56Fの幅及び吸収体後端部56Bの幅をW2としたとき、下記の式(1)〜(4)を満足するように構成されていると、好ましい。
70mm ≦ W1 < W2 ≦ 190mm …(1)
0.5 ≦ W1/W2 ≦ 0.85 …(2)
0mm ≦ L1−L2 ≦ 70mm …(3)
0mm ≦ L3−L4 ≦ 50mm …(4)
W1及びW2が狭過ぎると、立体ギャザー60,61の起立が不安定になり、また吸収量が不十分となり、広過ぎるとフィット性の低下により装着感が悪化する。
【0061】
また、上記数値範囲にあると、股間部においては立体ギャザー60,61の取付部分65近傍に吸収体56が存在しないため、立体ギャザー60,61の動きの自由度が増し、立体ギャザー60,61が幅方向外側に開き易く、肌に対して面で当たりやすくなり、脚の動きに対するフィット面の追従性も向上する。前後両側においては内装体200側部の吸収体56が十分な範囲に存在するため、これを基点(支点)として立体ギャザー60,61の起立が安定する。前後両側から股間部に至る部分は、立体ギャザー60,61が内装体200の幅方向両側縁を基準として幅方向内側に起立した姿勢から幅方向外側に開いていく変位部であり、この立体ギャザー60,61の姿勢変化が内装体200側部まで存在する吸収体56により支えられ、立体ギャザー60,61の全体的な起立形状が安定する。上記数値範囲を外れ、括れ部が大きくなりすぎると、股間部においては立体ギャザー60,61の自由度が高くなりすぎ、かえって脚周りに隙間ができ易くなるおそれがあり、また股間部の前後両側においても基点(支点)が無いために立体ギャザー60,61の起立が不安定になるおそれがある。逆に括れ部が小さくなりすぎると、立体ギャザー60,61の自由度が低下するので好ましくない。
【0062】
さらに、括れ部56N全体の前後方向長さL7は好ましくは80mm以上、特に好ましくは120〜260mmとされる。括れ部56Nの前後方向長さL7が短過ぎると立体ギャザー60,61の自由度が低下するとともに、吸収体56の脚周りに対するフィット性が低下して脚の動きを妨げるようになり、長すぎると立体ギャザー60,61の起立が安定しなくなる。
【0063】
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマーとしては、抗菌物質と一体化したものを用いることができる。特に、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)を高吸収性ポリマー中に含有させるか、あるいは抗菌消臭性ゼオライト粒子を高吸収性ポリマー粒子の表面に静電気により付着させてなる、抗菌消臭性高吸収性ポリマー粒子が好適である。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0064】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図2のように、吸収体56全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
【0065】
(股間部外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面に露出する股間部外装シート12Mが設けられている。この股間部外装シート12Mの素材としては、腹側の外装シート12F及び背側の外装シート12Bと同様のものを用いることができるが、より高強度の素材や消臭剤を含有するもの等、腹側の外装シート12F及び背側の外装シート12Bとは異なる素材を用いることもできる。具体的には、PP、PP/PE、PP/PET等の繊維からなる、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアーポイント不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等の各種不織布、あるいはこれに消臭剤等を添加したもの等を用いることができる。
股間部外装シート12Mには座位時に高い体圧がかかる。よって、摩擦堅牢度の高い(毛羽立たない)特性を有する素材が好ましい。
股間部外装シート12Mは、印刷や着色を行い、デザイン要素を備えたシートとしてもよい。前述のデザインシートと併用する場合は、それぞれのデザインが重ならないように配置することが好ましい。
股間部外装シート12Mとして伸縮不織布を用い、内装体200の長手方向に伸長して貼り付けると、股間部のフィット性が向上するため好ましい。
股間部外装シート12Mが幅方向側部から身体側面まで回り込み、ギャザーシート62の外面にホットメルト接着剤等により接着固定されていると、内装体200の両側部の剛性が向上する。このような形態においては、股間部外装シート12Mに剛度(コシ度)の高いシートを用いることが好ましい。具体的には、クラーク法(JISL1096 C法)によって測定される剛軟度の、シートのMD方向とCD方向との和が100mm以上、好ましくは150mm以上のシートを用いるとよい。
図示例では、腹側及び背側の外装シート12F,12Bと内装体200とが重なる部分において、股間部外装シート12Mは内装体200と腹側及び背側の外装シート12F,12Bとの間に挟まれているが、腹側及び背側の外装シート12F,12Bの外側に貼り付けることも可能である。股間部外装シート12Mは、ホットメルト接着剤等により内装体200の裏面、並びに腹側及び背側の外装シート12F,12Bの内面若しくは外面に貼り付けられる。
【0066】
<内外接合部>
特徴的には、腹側及び背側の内外接合部71,72の各々は、ウエスト側の端部が剥離しない非剥離接合部71とされるとともに、股間側の部分が、股間側の端部に設けられた着脱手段73により着脱可能な着脱接合部72とされている。腹側及び背側の内外接合部71,72のいずれか一方については、剥離しない非剥離接合部71のみで構成することもできる。このパンツタイプ使い捨ておむつでは、図10に示すように、着脱接合部72を外して外装シート12F,12Bの股間側端部を自由にし、この自由部分をたくし上げた後に、再び着脱接合部72により接合することによって、脚開口部LOを拡大することができる。なお、たくし上げ状態は背側のみ(図10)示し、腹側については省略しているが、腹側についても同様であり、図8から容易に理解できるものである。
【0067】
図示形態のように、腹側及び背側の両方に着脱接合部72を設け、腹側の外装シート12F及び背側の外装シート12Bの両方をたくし上げた状態とすれば、脚開口部LO全体を拡大することができ、腹側の外装シート12Fのみたくし上げれば(又は腹側のみに着脱接合部72を設けても同様)前方にのみ、背側の外装シート12Bのみたくし上げれば(又は背側のみに着脱接合部72を設けても同様)後方にのみ、脚開口部LOを拡大させることができる。したがって、装着前に脚開口部LOを拡大することにより、装着者の足を脚開口部LOに通し易くなる。また、装着前又は後に脚開口部LOを拡大することにより、脚の太さが太い装着者や、臀部の大きい装着者に対しても適切にフィットさせることができる。
【0068】
非剥離接合部71は使用に際して取り外す部分ではないため、ホットメルト接着剤やヒートシール、超音波シール等の取り外しを想定しない接合手段により形成する。その寸法、形状は適宜定めることができるが、例えば内装体200の前端部の矩形範囲とするのが望ましく、その幅方向の長さは内装体200の幅の80〜100%程度、縦方向の長さは20〜70mm程度とするのが望ましい。
【0069】
着脱接合部72を着脱可能とするための着脱手段73は粘着剤としても良いが、着脱を繰り返しても接合強度の低下が殆ど起こらない点でメカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)と、フック材が係止される被係止材とで構成することが望ましい。この場合、着脱手段73を内装体200の外面に設けることもできるが、着脱手段73としてフック材を用いる場合、外装シート12F,12Bをたくし上げた際にフック材が露出し、下着や服に誤係止されるおそれがある。よって、フック材を外装シート12F,12Bの内面に設け、これを内装体200の外面に係止する構成とするのが好ましい。また、図示形態では、前述の股間部外装シート12Mを前後方向に延長して被係止材としているが、別途専用のループ材(表面に多数のループが形成されたシート。メス材ともいう。)を設けても良い。
【0070】
着脱接合部72の寸法、形状は、内装体200と腹側及び背側の外装シート12F,12Bとの重なり部分のうち、非剥離接合部71を除いた部分として定めることができる。また、着脱手段73の幅方向の長さは着脱接合部72の30〜100%程度、着脱接合部72の20〜70%程度(図示形態のようにフック材を外装体の内面に設ける場合には、たくし上げを容易にするために、着脱手段73は非剥離接合部71から十分に離れているのが好ましい)とするのが望ましい。
【0071】
また、図2,図9に示すように、背側の内外接合部71,72が着脱接合部72を有する形態では、背側の外装シート12Bの幅方向中央部に、股間側の縁からウエスト側に向かう臀部切り離しミシン目80を形成するのも好ましい。この形態では、図11に示すように、背側の着脱接合部72を外すとともに、臀部切り離しミシン目80を切り離し、背側の外装シート12Bの股間側を左右に広げた状態で、再び着脱接合部72により接合することによって、背側の外装シート12Bをたくし上げずに、つまり背側の外装シート12Bによる臀部下側の被覆を維持したまま、脚開口部LOを後方に拡大することができる。もちろん、背側の外装シート12Bのたくし上げを組み合わせることも可能である。
【0072】
さらに、図12に示すように、サイドシール部12Aにおける股間側端部及びそのウエスト側部分のうち、股間側端部にたくし上げ部材90の一端部91を固定し、このたくし上げ部材90の他端側をウエスト側部分に挿通することも提案する。図示形態では、たくし上げ部材90として糸を用い、サイドシール部12Aを溶着で形成するのではなく、このたくし上げ部材としての糸で並縫いして形成し、その股間側端部91のみ固定し、他端部を外装シート12F,12Bのウエスト側の端部から突出させている。このようなたくし上げ部材90を設けることにより、図12(a)に示す製品状態から、図12(b)に示すように、たくし上げ部材90の他端を摘まんで引き上げることで、外装シート12F,12Bを容易にたくし上げることができる。
【0073】
他方、上記例では、外装シート12F,12Bをたくし上げるため、大きな皺となって余る部分が発生し、見栄えや装着感に少なからず影響する。そこで、図13に示すように、着脱接合部72を有する側の外装シート、つまり図示形態では腹側の外装シート12F及び背側の外装シート12Bの両方に、股間側の縁部を幅方向全体にわたり切り離すための縁部切り離しミシン目85を設けることも提案する。このミシン目85は縦方向に間隔を空けて複数本設けるのが好ましいが、一本でも良い。
【0074】
このパンツタイプ使い捨ておむつでは、図14に示すように、縁部切り離しミシン目85により股間側の縁部12Eを幅方向全体にわたり切り離すとともに、当該部分12Eを剥離接合部の剥離により内装体200から分離することによって、脚開口部LOを拡大することができる。しかも、この際、外装シート12F,12Bをたくし上げずに(つまり、皺がよること無く)脚開口部LOを拡大することができる。なお、拡大後の状態は背側のみ(図14)示し、腹側については省略しているが、腹側についても同様であり、図13から容易に理解できるものである。
【0075】
図示形態において、腹側及び背側の外装シート12Bの両方の股間側縁部を分離すれば、脚開口部LO全体を拡大することができ、腹側の外装シート12Fのみ股間側縁部を分離すれば(又は腹側のみに着脱接合部72を設けても同様)前方にのみ、背側の外装シート12Bのみ股間側縁部を分離すれば(又は背側のみに着脱接合部72を設けても同様)後方にのみ、脚開口部LOを拡大させることができる。
【0076】
なお、この縁部切り離しミシン目85により脚開口部LOを拡大する形態では、切り離した部分12Eについては再び取り付けることがないため、図示例のような着脱手段73による着脱接合部72に代えて、弱く接着又は溶着することにより剥離可能に接合された剥離接合部とすることもできる。その他は、前述の着脱接合部72を有する形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつとして利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
100…胴回り部、11…液不透過性シート、12F…腹側の外装シート、12B…背側の外装シート、12A…サイドシール部、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部立体ギャザー、62…ギャザーシート、71,72…内外接合部、71…非剥離接合部、72…着脱接合部、73…着脱手段、80…臀部切り離しミシン目、85…縁部切り離しミシン目、90…たくし上げ部材、LO…脚開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側の外装シートの両側部と、背側の外装シートの両側部とが接合されてサイドシール部が形成された筒状の胴回り部と、
前記腹側の外装シート内面から前記背側の外装シート内面まで延在する排泄物吸収部分である、内装体とを備え、
前記腹側の外装シートと背側の外装シートとが股間側で連続せずに離間されており、
前記内装体と前記腹側の外装シートとの重なり部分、及び前記内装体と前記背側の外装シートとの重なり部分をそれぞれ接合する内外接合部を有する、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
腹側及び背側の少なくとも一方の内外接合部は、ウエスト側の端部が剥離しない非剥離接合部とされるとともに、この剥離しない接合部よりも股間側の部分が着脱可能な着脱接合部とされている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記着脱接合部は、前記外装シートの内面に設けられたメカニカルファスナーのフック材と、前記内装体の外面に設けられた前記フック材が係止される被係止材とにより着脱可能に構成されている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記背側の内外接合部が前記着脱接合部を有し、前記背側の外装シートの幅方向中央部に、股間側の縁からウエスト側に向かう臀部切り離しミシン目を有する、請求項1又は2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記着脱接合部を有する側の外装シート又は前記サイドシール部における股間側端部及びそのウエスト側部分のうち、股間側端部にたくし上げ部材の一端部を固定し、このたくし上げ部材の他端側をウエスト側部分に挿通してなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
【請求項5】
腹側の外装シートの両側部と、背側の外装シートの両側部とが接合されて形成された筒状の胴回り部と、
前記腹側の外装シート内面から前記背側の外装シート内面まで延在する排泄物吸収部分である、内装体とを備え、
前記腹側の外装シートと背側の外装シートとが股間側で連続せずに離間されており、
前記内装体と前記腹側の外装シートとの重なり部分、及び前記内装体と前記背側の外装シートとの重なり部分をそれぞれ接合する内外接合部を有する、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
腹側及び背側の少なくとも一方の内外接合部は、ウエスト側の端部が剥離しない非剥離接合部とされるとともに、この剥離しない接合部よりも股間側の部分が剥離可能な剥離接合部とされており、
前記剥離接合部を有する側の外装シートに、股間側の縁部を幅方向全体にわたり切り離すための縁部切り離しミシン目を設けた、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−70820(P2013−70820A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211646(P2011−211646)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】