説明

パージ用タイマ

【課題】装置立ち上げ・再起動時の無駄な時間をなくしたパージ用タイマを提供する。
【解決手段】耐圧防爆容器内に配置され電源に接続された第1タイマと、前記第1タイマからの出力信号に応じて電源のオンオフを行う第1リレーと、第1内圧防爆容器内に配置され前記第1リレーのオン時に前記電源が供給される第1発熱装置と、前記第1内圧防爆容器内に配置された第2耐圧防爆容器と、該第2耐圧防爆容器内に配置された電力供給手段、及び該電力発生手段に接続された第2タイマと、前記第1内圧防爆容器内に配置され前記第2タイマからの出力信号に応じて前記電源のオンオフを行う第2リレーと、第2内圧防爆容器に配置され前記第2リレーのオン時に前記電源が供給される第2発熱装置と、前記第1、第2内圧防爆容器内のパージ状態の正常、異常に応じて前記第1、第2タイマのカウントを開始または停止を行うモニタリング手段と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスガスクロマトグラフなど、多段階の内圧防爆保護装置に用いて好適なパージ用タイマに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の内圧防爆構造では、容器内の爆発性雰囲気のガスがパージされるまでは、外部からのエネルギーを容器内に入れないように、外部の遮断装置で遮断しておく必要がある。
容器内のパージの完了は、所定の流量のパージ用ガスが流れ続けている時間で判断する (所定の流量のガスが所定の時間流れ続けていればパージ完了とする)。
【0003】
図2は多段階の内圧防爆構造を持つ従来のパージ用タイマのブロック構成図である。
図において、第1内圧防爆容器1の電源ラインは耐圧防爆容器2内の第1リレー3により遮断され、第2内圧防爆容器4の電源ラインは第1内圧防爆容器1内の第2リレー5により遮断される。
【0004】
第2内圧防爆容器4へは、第1,第2リレー3,5の両方が導通しないと電源が供給されず、第1内圧防爆容器1へは、耐圧防爆容器2内8の第1リレー3が導通しないと電源が供給されない。
第1、第2内圧防爆容器1,4内にはそれぞれ第1、第2発熱装置(電子回路など)6,7が配置され、第1、第2内圧防爆容器1,4内にはガス導入口8,9からパージ用ガスが導入され、ガス排出口10,11からそれぞれ排出されている。
【0005】
なお、図では省略するがそれぞれの内圧防爆容器1,4内のバージガスの内圧及び流量は圧力計や流量計によりモニタリングされ、所定の値に達した段階で第1、第2タイマ12,13により時間が計測されている。
上述の構成において、
第1内圧防爆容器1のパージ用ガスの流量・内圧がモニタリングされ、所定の流量・圧力に達したところで、耐圧防爆容器2内の第1タイマ12をスタートさせる。
【0006】
第1タイマ12がスタートしてから、所定時間が経過後、耐圧防爆容器2内の第1リレー3を導通させ、第1内圧防爆容器1へ電源を供給する。
これにより第1タイマ12の電源が入るので、同様の手順で第1内圧防爆容器1内の第2リレー5を導通させ、第2内圧防爆容器4へ電源を供給する。
【0007】
そして、モニタリングしている流量・内圧に、所定の値を下回るなどの異常があった場合、パージ状態が破れたと判断し、その部分に電源を供給しているリレーをオフとする。
例えば、第2内圧防爆容器4に異常が発生した場合、第1内圧防爆容器1内の第1リレー3をオフとする。その結果、第2内圧防爆容器4内の第2発熱装置(電子回路)7の電源がオフとなる。
また、第1内圧防爆容器1に異常が生じた場合、耐圧防爆容器2内の第1リレー3をオフとする。その結果、第1内圧防爆容器1、第2内圧防爆容器4の両方の電源がオフとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−178179号公報
【特許文献2】特開平09−267535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで上述の従来例においては、第2タイマ13は、第1内圧防爆容器1のパージが完了するまで電源が入らない。
そのため、第1、第2内圧防爆容器1,4のパージを同時に開始しても、第1内圧防爆容器1のパージが完了するまでは第2内圧防爆容器4のタイマ経過時間がカウントされず、時間のロスになる。
【0010】
これによって、以下の問題が生じる。
1)装置の電源立ち上げ時間が長くなる。
2)時間ロス分のパージガスが無駄になる。
3)ガスクロのように温調する必要がある装置の場合、パージが破れた後の再起動時に、電源断の時間が長くなる。そのため、ガスクロの設定温度がずれてしまい、電源投入後のスタンバイ時間が長くなる。
4)第2内圧防爆容器4のパージが維持されている場合でも、第1内圧防爆容器1のパージが破れたとき、第1タイマ12の電源が切れてタイマリセットされてしまうので、第2タイマ13の再カウントが必要となる。
【0011】
従って本発明は、第2タイマ13の電源を別途設けることにより、耐圧防爆容器内の第1タイマ12と内圧防爆容器1内の第2タイマ13の時間を同時にカウントできるようにし、装置立ち上げ・再起動時の無駄な時間をなくしたパージ用タイマを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載のパージ用タイマにおいては、
耐圧防爆容器内に配置され電源に接続された第1タイマと、
前記耐圧防爆容器内に配置され、前記第1タイマからの出力信号に応じて電源のオンオフを行う第1リレーと、
第1内圧防爆容器内に配置され前記第1リレーのオン時に前記電源が供給される第1発熱装置と、前記第1内圧防爆容器内に配置された第2耐圧防爆容器と、該第2耐圧防爆容器内に配置された電力供給手段、及び該電力発生手段に接続された第2タイマと、前記第1内圧防爆容器内に配置され前記第2タイマからの出力信号に応じて前記電源のオンオフを行う第2リレーと、
第2内圧防爆容器に配置され前記第2リレーのオン時に前記電源が供給される第2発熱装置と、
前記第1、第2内圧防爆容器内のパージ状態の正常、異常に応じて前記第1、第2タイマのカウントを開始または停止を行うモニタリング手段と、を具備したことを特徴とする。
【0013】
請求項2においては、請求項1に記載のパージ用タイマにおいて、
前記モニタリング手段は前記第1、第2内圧防爆容器内に流れるパージ用ガスの流量と圧力を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したことから明らかなように本発明の請求項1、2によれば、第2耐圧防爆容器内に電力発生手段を配置して第2タイマを駆動できるようにしたので、第1内圧防爆容器がパージできていない状態でも第2タイマを動作させることができるようになった。
その結果、
1)第1タイマ, 第2タイマが同時にカウントできるようになり、パージ時間のロスをなくすことができた。
2)第1内圧防爆容器のみパージが破れた場合にも、第2タイマの電源断によるリセットがなくなり、再起動時のパージ時間のロスをなくすことができた。
3)時間のロスがなくなることにより、電源断時の温度低下が最小限に抑えられ、電源が入ってからのスタンバイ時間を短くすることができた。
4)時間のロスがなくなることにより、パージガスの無駄をなくすことができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のバージ用タイマを示すブロック構成図である。
【図2】従来のバージ用タイマを示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明のバージ用タイマの構成図を示すものである。図において、図1の従来例とは第1内圧防爆容器内に第2耐圧防爆容器14を配置し、この第2耐圧防爆容器14内に第2タイマ13を配置すると共に、例えば電池などの電力供給手段15を配置したことと、従来、耐圧防爆容器内に配置された第1リレー3を介して第1内圧防爆容器内の第2タイマへの電源供給ラインを除去した点のみが異なっている。
【0017】
なお、電力供給手段15と第1タイマを耐圧防爆容器内に配置した理由は第1内圧防爆容器1がパージできていない状態でも動作する部分となるため、防爆が必要である。
【0018】
図1において、第1内圧防爆容器内の第2タイマ13は、第1内圧防爆容器のパージの完了の有無に係らず電源が入っている。
従って、第1、第2内圧防爆容器1,4のパージが同時に開始されると第1内圧防爆容器1のパージの完了に係らず第2内圧防爆容器4のタイマ経過時間がカウントされるので時間のロスがない。
その結果、
1)装置の電源立ち上げ時間が早くなる。
2)従来生じていた時間ロス分のパージガスが無駄になることがない。
3)ガスクロのように温調する必要がある装置の場合、パージが破れた後の再起動時に、電源断の時間が短くなることで温度ずれが生じることがなく電源投入後のスタンバイ時間を短くすることができる。
4)第2内圧防爆容器4のパージが維持されていれば、第1内圧防爆容器1のパージが破れても、第2タイマ13の電源が切れてタイマリセットされてしまうことがなく、第2タイマ13の再カウントをする必要がない。
【0019】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。例えば、実施例では内圧防爆容器が2段の場合について説明したが、3段以上であっても同様に内圧防爆容器内に耐圧防爆容器を配置して、その中に電力発生手段とタイマを配置してタイマのカウントを行うことにより同様の効果を得ることができる。
従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
【符号の説明】
【0020】
1 第1内圧防爆容器
2、14 耐圧防爆容器
3 第1リレー
4 第2内圧防爆容器
5 第2リレー
6 第1発熱装置(電子回路)
7 第2発熱装置(電子回路)
8,9 ガス導入口
10,11 ガス排出口
12 第1タイマ
13 第2タイマ
15 電力供給手段(電池など)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧防爆容器内に配置され電源に接続された第1タイマと、
前記耐圧防爆容器内に配置され、前記第1タイマからの出力信号に応じて電源のオンオフを行う第1リレーと、
第1内圧防爆容器内に配置され前記第1リレーのオン時に前記電源が供給される第1発熱装置と、前記第1内圧防爆容器内に配置された第2耐圧防爆容器と、該第2耐圧防爆容器内に配置された電力供給手段、及び該電力発生手段に接続された第2タイマと、前記第1内圧防爆容器内に配置され前記第2タイマからの出力信号に応じて前記電源のオンオフを行う第2リレーと、
第2内圧防爆容器に配置され前記第2リレーのオン時に前記電源が供給される第2発熱装置と、
前記第1、第2内圧防爆容器内のパージ状態の正常、異常に応じて前記第1、第2タイマのカウントを開始または停止を行うモニタリング手段と、を具備したことを特徴とするパージ用タイマ。
【請求項2】
前記モニタリング手段は前記第1、第2内圧防爆容器内に流れるパージ用ガスの流量と圧力を含むことを特徴とする請求項1に記載のパージ用タイマ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−167760(P2012−167760A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29926(P2011−29926)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)