説明

パーツフィーダ及びパーツの供給方法

【課題】ゴム栓挿入装置の設備費を低減すること。
【解決手段】複数のパーツ50を供給するパーツフィーダ1は、複数のパーツ50を姿勢を揃えて並べた状態で、充填可能なパーツ充填路としてのチューブ部材40に形成された内部通路を有するパーツ供給部材を備え、チューブ部材40に形成された内部通路を有するパーツ供給部材の少なくとも一方側の開口40aが、複数のパーツ50を、それらの姿勢を一定に維持したまま通過可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴム栓などのパーツを供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
切圧設備においてゴム栓に電線を挿入するゴム栓挿入装置として、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
このゴム栓挿入装置では、エアにより1つのゴム栓をゴム栓供給管からゴム栓供給孔部及び貫通孔部の途中部分を経由して貫通孔部の一端側開口に向けて圧送させて、ゴム栓保持部材のゴム栓収容凹部内にゴム栓を保持する。それから、ピン部材を前方(貫通孔部の一端側)に移動させて、コアピン本体部の先端部をゴム栓収容凹部内のゴム栓の内部孔に圧入させる。この状態で前方(電線保持部材側)から電線が挿入される。
【0004】
電線に挿入されるゴム栓は、全体として筒状に形成されている。そのようなゴム栓をゴム栓挿入装置に搬送する際には、ゴム栓の姿勢を揃えて搬送する必要がある。このため、ゴム栓挿入装置に搬送するに際して、振動によってゴム栓の姿勢を揃えるための振動機構を有する振動式パーツフィーダが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−288966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、切圧設備毎に1台のパーツフィーダを接続することになるため、複数のゴム栓挿入装置においてゴム栓挿入を行う場合、ゴム栓挿入装置の台数と同じ台数のパーツフィーダが必要である。振動式パーツフィーダは高価であるため、ゴム栓挿入装置の設備費が高くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、ゴム栓挿入装置の設備費を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るパーツフィーダは、複数のパーツを供給するパーツフィーダであって、前記複数のパーツを姿勢を揃えて並べた状態で充填可能なパーツ充填路を有するパーツ供給部材を備え、前記パーツ充填路の少なくとも一方側の開口が、前記複数のパーツをそれらの姿勢を一定に維持したまま通過可能に形成されている。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係るパーツフィーダであって、前記パーツ充填路の一端部に、前記複数のパーツを、それらの姿勢を一定に維持したまま通過可能なパーツ出入部が設けられ、前記パーツ充填路の他端部に、前記複数のパーツが通過不能でかつ気体を流出入可能な気体入出部が設けられている。
【0010】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るパーツフィーダであって、前記パーツ供給部材は、管状体を巻いた形状に形成されている。
【0011】
第4の態様に係るパーツの供給方法は、(a)第1の態様〜第3の態様のいずれか1つに記載のパーツフィーダの前記パーツ充填路内に、複数のパーツを姿勢を揃えて並べた状態で充填する工程と、(b)前記パーツフィーダの前記パーツ充填路内に充填された複数のパーツを、1つずつ分離させて供給する工程とを備える。
【発明の効果】
【0012】
第1の態様によると、振動式パーツフィーダ等によって、複数のパーツの姿勢を揃えて、前記パーツ充填路の少なくとも一方側の開口から前記パーツ充填路内にパーツを送込むことができる。また、パーツ充填路内に姿勢を並べて充填された複数のパーツを、前記パーツ充填路の少なくとも一方側の開口から、前記複数のパーツをその姿勢を一定に維持したまま外部に供給できる。このため、振動式パーツフィーダ等、複数のパーツの姿勢を揃える装置を、ゴム栓挿入装置の設置台数よりも少なくすることができ、ゴム栓挿入装置の設備費を低減することができる。
【0013】
第2の態様によると、パーツ出入部からパーツを充填したときにエア出入部からパーツが飛び出すことを抑制できる。
【0014】
第3の態様によると、パーツ供給部材の全長が長くなるため、多数のパーツを充填させることができる。しかも、パーツフィーダの小型化を図ることができる。
【0015】
第4の態様によると、一旦、第1の態様〜第3の態様のいずれか1つに記載のパーツフィーダの前記パーツ充填路内に、複数のパーツを姿勢を揃えて並べた状態で充填する。そして、前記パーツフィーダの前記パーツ充填路内に充填された複数のパーツを、1つずつ分離させて供給する。このため、複数のパーツの供給が必要となる作業箇所数に対して、複数のパーツを姿勢を揃えて並べる作業箇所数を少なくできる。これにより、振動式パーツフィーダ等、複数のパーツの姿勢を揃える装置を、ゴム栓挿入装置の設置台数を少なくすることができ、ゴム栓挿入装置の設備費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るパーツフィーダと切出し装置を示す側面図である。
【図2】同上のパーツフィーダと切出し装置を示す平面図である。
【図3】同上のパーツフィーダと切出し装置を示す背面図である。
【図4】同上のパーツフィーダを示す側面図である。
【図5】同上の切出し機構が配設されたベース板の拡大平面図である。
【図6】同上の切出し機構の動作を示す説明図である。
【図7】同上の切出し機構の動作を示す説明図である。
【図8】同上のパーツ充填時の接続状態を示す説明図である。
【図9】同上のパーツ供給時の接続状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
{実施形態}
以下、実施形態に係るパーツフィーダ1について説明する。図1は、パーツフィーダ1と切出し装置55を示す側面図であり、図2は、パーツフィーダ1と切出し装置55を示す平面図であり、図3は、パーツフィーダ1と切出し装置55を示す背面図である。尚、図2は、図1におけるチューブ部材40の弛みをなくして2つのカプラ部材41,46の傾きを変更し、且つ、上側の案内部材35及び案内部材36を取外した状態を示すものである。
【0018】
パーツフィーダ1は、可搬性を有し、振動機構を備えずに、振動式パーツフィーダと接続して、同じ形状で同じ大きさを有する複数のゴム栓などのパーツを姿勢を揃えて並べた状態でパーツフィーダ1のチューブ部材40の内部に充填させた後、切出し装置55と接続して、パーツをそれらの姿勢を一定に維持したまま切出し装置55に供給するものである。切出し装置55に供給されたゴム栓を切出し装置55により1つずつ分離して、切圧機(図示省略)へ搬送する。この後、切圧機により電線(図示省略)に対して切断及び端子圧着が行われ、電線挿入装置(図示省略)により電線にゴム栓が挿入される。
【0019】
次に、パーツフィーダ1について説明する。図4は、パーツフィーダ1を示す側面図である。ここで、2つのパーツフィーダ1は同じ構成であるため、一方のパーツフィーダ1について説明する。
【0020】
パーツフィーダ1は、透明なチューブ部材40(管状体)と、チューブ部材40の一端部に接続された雄カプラ部材43(パーツ出入部)と、チューブ部材40の他端部に図示外のカプラ部材(気体出入部)を介して接続されたエアホース45(管状体)と、エアホース45の他端部に接続された雄カプラ部材48と、チューブ部材40及びエアホース45を巻回して保持するカートリッジ31とを備えている。尚、チューブ部材40に形成された内部通路が、複数のゴム栓50を姿勢を揃えて並べた状態で充填可能なパーツ充填路に相当し、チューブ部材40とエアホース45と雄カプラ部材43と雄カプラ部材48が、パーツ供給部材に相当する。
【0021】
カートリッジ31は、矩形状に形成された1対の板部材32及び板部材33と、チューブ部材40及びエアホース45を巻回するための巻き軸部34とを有する。1対の板部材32及び板部材33は互いに対向するように平行に配設され、1対の板部材32及び板部材33の中央部分において1対の板部材32及び板部材33の間に巻き軸部34が固着されている。
【0022】
左側(図2において左側)の板部材32の上端部において前後方向中央部の内面側には、チューブ部材40を挿通孔35aに挿通させて巻き方向へ案内する案内部材35が取付固定されている。板部材32の上下方向中央部において後端部(図1において切出し機構60側)の内面側には、チューブ部材40を挿通孔37aに挿通させて巻き方向へ案内する2つの案内部材37及び案内部材38が上下方向にそれぞれ取付固定されている。
【0023】
右側(図2において右側)の板部材33の上端部において前後方向中央部の内面側には、エアホース45とチューブ部材40を挿通孔36a及び挿通孔36bに挿通させて巻き方向へ案内する案内部材36が取付固定されている。板部材33の上下方向中央部において後端部の内面側には、エアホース45とチューブ部材40を挿通孔39a及び挿通孔39bに挿通させて巻き方向へ案内する2つの案内部材39が上下方向にそれぞれ取付固定されている。上記案内部材35〜39に対する取付固定の構成としては、例えばビス53を利用した構成等を採用できる。
【0024】
次に、チューブ部材40及びエアホース45について説明する。チューブ部材40及びエアホース45は、巻き軸部34に巻いた状態に形成されている。チューブ部材40は、ゴム栓50の外径に応じた内径となるように形成されている。つまり、チューブ部材40は、複数のゴム栓50が充填可能且つ一定姿勢を維持できるように、ゴム栓50の外径よりも大きな内径であって、ゴム栓50の側方からの投影形状よりも小さな内径となるように形成されている。また、チューブ部材40の一端部には、カプラ部材41の雄カプラ部材43が接続されており、雄カプラ部材43の内径は、複数のゴム栓50が充填可能且つ一定姿勢を維持できるように、ゴム栓50の外径よりも大きな内径であって、ゴム栓50の側方からの投影形状よりも小さな内径となるように形成されている。このため、チューブ部材40(一端部の開口40aを含む)及び雄カプラ部材43は複数のゴム栓50をそれらの姿勢を一定に維持したまま通過可能である。尚、チューブ部材40の一端部の開口40aがパーツ充填路の一方側の開口に相当する。
【0025】
チューブ部材40は可撓性を有し、所定の長さに形成されている。本実施形態では、チューブ部材40は、例えば約1000個のゴム栓50が充填可能な長さに形成されている。もっとも、チューブ部材40は、充填されるゴム栓50の個数に応じて種々の長さのものを採用することができ、必ずしも巻回されている必要はなく、チューブ部材40の長さが短い場合は略直線状に保持されていてもよい。また、パーツ供給部材として、その他、一般的な配管等によって構成されていてもよく、この場合、巻いた形状や直線状など種々の形状に形成されていてもよい。さらに、パーツフィーダ1により供給されるパーツとしては、通常、複数種類のゴム栓が想定される。複数種類のゴム栓は、長さ、外径、外形状等が異なっている。この場合、ゴム栓の長さ、外径、外形状等に応じた内径を有する種々のチューブ部材が適用可能である。パーツとしては、ゴム栓の他、他の電気部品(端子等)・自動車・医薬・食品向け等の各種部品や部材であってもよい。
【0026】
チューブ部材40の他端部には、カプラ部材を介してゴム栓50の外径よりも小さな内径を有するエアホース45の一端部が接続されている。エアホース45は可撓性を有し、エアホース45の他端部には、カプラ部材46の雄カプラ部材48が接続されており、チューブ部材40の他端部に接続されたカプラ部材と、雄カプラ部材48の内径は、ゴム栓50の外径よりも小さく形成されている。このため、チューブ部材40の他端部に接続されたカプラ部材と、エアホース45及び雄カプラ部材48は、圧送用エア(気体)を流出入可能であるが、複数のゴム栓50が通過不能である。
【0027】
図8に示すように、パーツフィーダ1においては、振動により複数のゴム栓50の姿勢を揃えて供給する振動式パーツフィーダ80を使用して、予めチューブ部材40にゴム栓50が充填される。具体的には、チューブ部材40と、振動式パーツフィーダ80の供給経路81がカプラ部材41を介して接続されると共に、エアホース45に接続された雄カプラ部材48は開放状態とされて、振動式パーツフィーダ80から供給経路81を介して供給された複数のゴム栓50が姿勢を揃えて並べた状態で雄カプラ部材43からチューブ部材40へ充填される。詳細については後述する。
【0028】
図9に示すように、切圧機へゴム栓50を搬送するに際して、エアホース45と、エア供給源82がカプラ部材46を介して接続されると共に、チューブ部材40と切出し装置55のチューブ部材44がカプラ部材41を介して接続される。エア供給源82から供給された圧送用エアが雄カプラ部材48からエアホース45を介してチューブ部材40へ流入すると共に、圧送用エアにより圧送された複数のゴム栓50が姿勢を揃えた状態で、チューブ部材40を通って雄カプラ部材43から流出する。詳細については後述する。尚、チューブ部材40の他端部にエアホース45を接続せずに、パーツ充填路としてのチューブ部材40の一端部及び他端部は、複数のゴム栓50を、それらの姿勢を一定に維持したまま通過可能としてもよい。また、圧送用エア以外の方法、例えば、チューブ部材40の一端部を供給経路81よりも下方に配設して、重力により複数のゴム栓50をチューブ部材40の一端部から充填すると共に、チューブ部材40の他端部を一端部よりも下方に配設して、複数のゴム栓50をチューブ部材40の他端部から導出させてもよい。
【0029】
次に、切出し装置55について説明する。図5は、切出し機構60が配設されたベース板3の拡大平面図であり、図6と図7は、切出し機構60の動作を示す説明図である。切出し装置55は、パーツフィーダ1から供給されたゴム栓50を1つずつ分離させて切圧機へ搬送するためのものである。切出し装置55は、切出し機構60と、パーツフィーダ1を着脱可能に保持するパーツフィーダ装着部4と、チューブ部材44と、雌カプラ部材42と、エアホース65aと、ベース板3とを備えている。
【0030】
パーツフィーダ装着部4は、平面視矩形状に形成されたベース板3の前側(ベース板3の長手方向一端側)に配設され、2つのパーツフィーダ1をパーツフィーダ装着部4の幅方向に隙間をあけて並列させた状態で装着できるようになっている。パーツフィーダ装着部4は、本体部材5と、パーツフィーダ1を載置するための台座6とを備えている。本体部材5は、ベース板3の前側(ベース板3の長手方向一端側)に立設され、上方及び前方(ベース板3の長手方向における一端側)に開口している。本体部材5は、ベース板3の長手方向に延びる互いに平行な側板部7及び側板部8と、ベース板3の幅方向と平行な後板部9とを有し、側板部7及び側板部8は、前方へ行く程下方に傾斜する形状となっている。パーツフィーダ装着部4にパーツフィーダ1を装着した状態では、パーツフィーダ1の上側部分及び前端部が本体部材5からそれぞれ突出している。尚、パーツフィーダ装着部4に装着されるパーツフィーダ1は2つに限定されることなく1つのみ装着されていてもよく、また、パーツフィーダ1が1つもしくは3つ以上装着できるようにパーツフィーダ装着部4が形成されていてもよい。
【0031】
側板部7及び側板部8の下端部には、外方に張出した取付部14及び取付部15が形成されており、本体部材5は、取付部14及び取付部15を介してベース板3に取付固定されている。取付固定の構成としては、例えばボルト52を利用した構成等を採用できる。
【0032】
側板部7及び側板部8における後端部の下端は、ベース板3の上面よりも上方で且つ台座6よりも上方となるように形成されている。側板部7及び側板部8の前端部の上端部には外方に突出する張出部16及び張出部17がそれぞれ形成され、張出部16及び張出部17に形成された孔部16a及び孔部17aにランプ18及びランプ19がそれぞれ挿通されて固定されている。2つのパーツフィーダ1のうち、作動中(ゴム栓導出中)のパーツフィーダ1側に設けられたランプ18又はランプ19が点灯するようになっている。
【0033】
台座6は、平面視矩形状に形成され、前後方向(ベース板3の長手方向)に延びる互いに平行な側板部10及び側板部11と上板部12とを有する。台座6は、本体部材5の前後方向中央部分に配設され、台座6における側板部10及び側板部11の外面と、本体部材5における側板部10及び側板部11の下端部の内面とをそれぞれ内接させた状態で取付固定されている。取付固定の構成としては、例えばビス51を利用した構成等を採用できる。
【0034】
上板部12の上面は水平面に形成され、上板部12の上面にパーツフィーダ1を安定的に載置できるようになっている。上板部12とベース板3の上面との間には、エアホース45を介してチューブ部材40に圧送用エアを供給するためのエアホース49と、チューブ部材40に充填されたゴム栓50を切出し機構60に供給するチューブ部材44を通すための空間13が形成されている。このように、チューブ部材44は、上板部12とベース板3との間の空間13を通って、切出し機構60に接続されている。また、エアホース49は、上板部12とベース板3との間の空間13を通って、エア供給源82(図9参照)に接続されている。
【0035】
切出し機構60は、ベース板3の前側(ベース板3の長手方向他端側)に配設され、切換部材61及び切出し部材64と、駆動機構62及び駆動機構63と、エア供給部65を備えている。エア供給部65には、エアホース65aを介してエア供給源82(図9参照)と接続され、搬送通路66は、切圧機の搬送経路83(図9参照)と接続されている。エア供給源82から圧送用エアが常時供給されているため、図6の場合、エア供給部65に供給された圧送用エアは、エア通路63aと通路64aと搬送通路66を通って切圧機の搬送経路83に流れる。
【0036】
駆動機構62は、切換部材61を駆動するものであり、駆動機構62の駆動により切換部材61は、通路61bと通路62aが連通する第1位置から、通路61aと通路62aが連通する第2位置へ移動する。駆動機構63は、切出し部材64を駆動するものであり、駆動機構63の駆動により切出し部材64は、図6に示す保持位置から、図7に示す切出し位置へ移動する。尚、駆動機構62及び駆動機構63は、エアシリンダやリニアモータ等の周知のアクチュエータを含む駆動機構によって構成されている。
【0037】
次に、切出し機構60の動作について説明する。左側のパーツフィーダ1からゴム栓50が供給された場合、図6に示すように切換部材61が第1位置にあるため、切換部材61の通路61aは通路62aと連通しない。このため、ゴム栓50は左側のチューブ部材44を通って、切換部材61の通路61aに保持される。駆動機構62の駆動により切換部材61が第2位置へ移動すると、通路61aが通路62aと連通するため、ゴム栓50は通路62aと通路63bを通って、切出し部材64の収容孔64bに保持される。そして、図7に示すように、駆動機構63の駆動により切出し部材64が切出し位置へ移動すると1つのゴム栓50が分離される。このとき、収容孔64bがエア通路63a及び搬送通路66と連通するため、エア供給部65に供給された圧送用エアにより、ゴム栓50は搬送通路66を通って切圧機の搬送経路83に搬送される。
【0038】
他方、右側のパーツフィーダ1からゴム栓50が供給された場合は、図6に示すように切換部材61が第1位置にあるとき、切換部材61の通路61bと駆動機構62の通路62aと駆動機構63の通路63bを通って、切出し部材64の収容孔64bに保持される。そして、図7に示すように、駆動機構63の駆動により切出し部材64が切出し位置へ移動すると1つのゴム栓50が分離される。このとき、収容孔64bがエア通路63a及び搬送通路66と連通するため、エア供給部65に供給された圧送用エアにより、ゴム栓50は搬送通路66を通って切圧機の搬送経路83に搬送される。
【0039】
以上のように構成されたパーツフィーダ1によると、振動式パーツフィーダ80等によって、複数のゴム栓50の姿勢を揃えて、パーツ充填路としてのチューブ部材40の内部通路の少なくとも一方側の開口40aからパーツ充填路内にゴム栓50を送込むことができる。また、パーツ充填路内に姿勢を並べて充填された複数のゴム栓50を、パーツ充填路の少なくとも一方側の開口40aから、複数のゴム栓50をその姿勢を一定に維持したまま外部に供給できる。このため、振動式パーツフィーダ80等、複数のゴム栓50の姿勢を揃える装置を、ゴム栓挿入装置の設置台数よりも少なくすることができ、ゴム栓挿入装置の設備費を低減することができる。
【0040】
また、パーツ充填路の一端部に、複数のゴム栓50を、それらの姿勢を一定に維持したまま通過可能な雄カプラ部材43が設けられ、パーツ充填路の他端部に、複数のゴム栓50が通過不能でかつ圧送用エアを流出入可能なカプラ部材が設けられているため、雄カプラ部材43からゴム栓50を充填したときにカプラ部材からゴム栓50が飛び出すことを抑制できる。
【0041】
パーツ供給部材としてのチューブ部材40とエアホース45と雄カプラ部材43と雄カプラ部材48は、チューブ部材40及びエアホース45を巻いた形状に形成されているため、パーツ供給部材の全長が長くなり、多数のゴム栓50を充填させることができる。しかも、パーツフィーダ1の小型化を図ることができる。
【0042】
<パーツの供給方法>
次に、パーツフィーダ1を使用したパーツの供給方法について説明する。パーツの供給方法は、パーツフィーダ1のパーツ充填路内に、複数のゴム栓50を姿勢を揃えて並べた状態で充填する工程(a)と、パーツフィーダ1のパーツ充填路内に充填された複数のゴム栓50を、1つずつ分離させて供給する工程(b)とを備えるものである。
【0043】
先ず、作業者は、ゴム栓50が充填されていない1つ又は2つのパーツフィーダ1を、切出し機構60が配設されていないゴム栓充填用のパーツフィーダ装着部4に装着する。具体的には、パーツフィーダ1の後端を本体部材5の後板部9の前面に密着させた状態で、パーツフィーダ1を台座6に載置する。パーツフィーダ1を装着後、図8に示すように、パーツフィーダ1のチューブ部材40の一端部と、振動式パーツフィーダ80の供給経路81とをカプラ部材41を介して接続すると共に、エアホース45の他端部に接続された雄カプラ部材48を開放状態にする。そして、振動式パーツフィーダ80から雄カプラ部材43を介して、圧送用エアと共に流入した複数のゴム栓50が姿勢を揃えて並べた状態でチューブ部材40の内部に充填される。このとき、エアホース45に接続された雄カプラ部材48から圧送用エアが流出するが、ゴム栓50は飛び出さない。
【0044】
ゴム栓50の充填が完了すると、チューブ部材40の一端部と振動式パーツフィーダ80の供給経路81との接続を解除して、パーツフィーダ1をパーツフィーダ装着部4から取り外す。さらに同径のゴム栓50を充填する場合は、同じチューブ部材40を有するパーツフィーダ1のチューブ部材40の一端部と、振動式パーツフィーダ80の供給経路81とをカプラ部材41を介して接続し、上記と同様の作業を行う。別の種類のゴム栓を充填する場合は、ゴム栓に応じた内径を有するチューブ部材を備えた別のパーツフィーダ1A又はパーツフィーダ1Bのチューブ部材の一端部と、充填しようとするゴム栓に対応する振動式パーツフィーダの供給経路とをカプラ部材を介して接続し、上記と同様の作業を行う。
【0045】
次に、パーツフィーダ1から切出し装置55へゴム栓50を供給するに際して、作業者は、ゴム栓50が充填された1つ又は2つのパーツフィーダ1を切出し装置55のパーツフィーダ装着部4に装着する。具体的には、パーツフィーダ1の後端を本体部材5の後板部9の前面に密着させた状態で、パーツフィーダ1を台座6に載置する。パーツフィーダ1を装着後、図9に示すように、エア供給源82に接続されたエアホース49の雌カプラ部材47と、エアホース45の雄カプラ部材48を接続する。また、チューブ部材44の雌カプラ部材42と、チューブ部材40の雄カプラ部材43を接続する。
【0046】
次に、エア供給源82からエアホース49及びエアホース45を介してチューブ部材40の他端部に圧送用エアが流入すると、圧送用エアにより、チューブ部材40の内部に充填された複数のゴム栓50がチューブ部材40の内部を移動し、チューブ部材40の一端部に接続された雄カプラ部材43から複数のゴム栓50がそれらの姿勢を一定に維持したまま連続的に導出され、チューブ部材44を通って切出し機構60に供給される。連続的に供給されたゴム栓50が、切出し機構60により1つずつ分離されて、切圧機に搬送される。一方のパーツフィーダ1のチューブ部材40に充填されたゴム栓50を全て導出させた後、他方のパーツフィーダ1のチューブ部材40に充填されたゴム栓50を切出し装置55に供給する場合は、上記と同様の方法で行うことができる。
【0047】
以上のようにパーツフィーダ1を使用したパーツの供給方法によると、パーツ充填路内に、複数のゴム栓50を姿勢を揃えて並べた状態で充填する。そして、パーツフィーダ1のチューブ部材40内に充填された複数のゴム栓50を、1つずつ分離させて供給する。このように、振動式パーツフィーダ80等によって、複数のゴム栓50の姿勢を揃えて、パーツ充填路としてのチューブ部材40の内部通路の少なくとも一方側の開口40aからパーツ充填路内にゴム栓50を送込むことができる。また、パーツ充填路内に姿勢を並べて充填された複数のゴム栓50を、パーツ充填路の少なくとも一方側の開口40aから、複数のゴム栓50をその姿勢を一定に維持したまま外部に供給できる。このため、複数のゴム栓50の供給が必要となる作業箇所数に対して、複数のゴム栓50を姿勢を揃えて並べる作業箇所数を少なくできる。これにより、振動式パーツフィーダ80等、複数のゴム栓50の姿勢を揃える装置を、ゴム栓挿入装置の設置台数を少なくすることができ、ゴム栓挿入装置の設備費を低減することができる。
【0048】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0049】
1 パーツフィーダ
40 チューブ部材
40a 開口
43 雄カプラ部材
45 エアホース
48 雄カプラ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパーツを供給するパーツフィーダであって、
前記複数のパーツを姿勢を揃えて並べた状態で充填可能なパーツ充填路を有するパーツ供給部材を備え、
前記パーツ充填路の少なくとも一方側の開口が、前記複数のパーツをそれらの姿勢を一定に維持したまま通過可能に形成されている、パーツフィーダ。
【請求項2】
請求項1記載のパーツフィーダであって、
前記パーツ充填路の一端部に、前記複数のパーツを、それらの姿勢を一定に維持したまま通過可能なパーツ出入部が設けられ、
前記パーツ充填路の他端部に、前記複数のパーツが通過不能でかつ気体を流出入可能な気体出入部が設けられている、パーツフィーダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパーツフィーダであって、
前記パーツ供給部材は、管状体を巻いた形状に形成されている、パーツフィーダ。
【請求項4】
(a)請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のパーツフィーダの前記パーツ充填路内に、複数のパーツを姿勢を揃えて並べた状態で充填する工程と、
(b)前記パーツフィーダの前記パーツ充填路内に充填された複数のパーツを、1つずつ分離させて供給する工程と、
を備えるパーツの供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103317(P2013−103317A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250509(P2011−250509)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】