説明

パーテーション

【課題】 素人であっても、容易にかつ迅速に、しかも確実に、パネルによるデザイン表示を変更することのできるパーテーションを提供する。
【解決手段】 表示窓17を有する外枠10と、外枠10に設けられてパネル100の外周縁部が重ね合わされる受け面20と、外枠10に対して嵌脱可能な内枠30と、内枠に設けられてパネル100の外周縁部を受け面20との間に挟み込む押え面40とを有する。内枠30を上框31と縦框32とに分け、それらを外枠10の上枠部11と縦枠部12とに蝶番50を介して連結する。蝶番50は、上框31及び縦框32を、外枠10に対する嵌合位置と離脱位置との間の任意の開き位置に保持する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーテーション、詳しくは、空間の間仕切りや衝立などに多目的に利用することのできるパーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパーテーションは、空間の演出効果を高めるための間仕切りや衝立などに多々利用されていて、パネルによって発揮される装飾効果に変化を持たせるために、パネルによるデザイン表示を変更可能とすることが行われている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
上掲の特許文献1には、パネルによるデザイン表示を変更するための対策として、ガラス又はプラスチック材料でなる透明な板状部材を枠部材によって自立可能に保持させ、その板状部材の表面に粘着シートでなるパーツを貼り付けて所定のデザインをパネルに付与したり、板状部材に貼り付けられている上記パーツを剥がしたりすることによってパネルによるデザイン表示を変更可能とする手法が記載されている。
【0004】
また、上掲の特許文献2では、上下の固定部材及び接合部材に、パネルの辺部を覆う縁部材が着脱可能であって、縁部材をパネルから取り外した状態で、パネルにデザインを付与している表装材だけを交換することができるようにしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−250092号公報
【特許文献2】特開2005−36486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上掲の特許文献1によって提案されているパネルによるデザイン表示を変更するための対策は、透明な板状材料に粘着シートでなるパーツを貼着したり剥がしたりするものであることから、パーツを貼着したり剥がしたりするのに時間がかかるだけでなく、素人にとっては、パーツとしての粘着シートを板状材料に貼り付けて一定のデザインを付与することが困難であるという問題がある。
【0007】
また、上掲の特許文献2によって提案されているパネルによるデザイン表示を変更するための対策は、パネルに重ね合わされている薄い表装材を交換した後に、そのパネルを縁枠部に装着するものであるので、表装材の取り扱い中に表装材に皺が生じたり表装材が破れたりするおそれがあり、素人にとっては、表装材の交換に困難が伴うという問題がある。
【0008】
そこで、熟練者は勿論、素人であっても、パネルによるデザイン表示を変更するための作業を容易にかつ迅速に、しかも確実に行えるようにすることが要求された。
【0009】
本発明は、以上の問題点や要求に鑑みてなされたものであり、熟練者は勿論、素人であっても、1人の作業者だけで、容易にかつ迅速に、しかも確実に、パネルによるデザイン表示を変更することのできるパーテーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るパーテーションは、パネルを着脱可能としてパネルによるデザイン表示を変更可能としたものである。そして、このパーテーションは、パネル面を露出させる表示窓を有する外枠と、この外枠に設けられて上記パネルの下端縁部が載架されるパネル支持面と、この外枠の上記表示窓の開口縁部に設けられて上記パネルの外周縁部が重ね合わされる受け面と、上記外枠に対して嵌脱可能で、かつ、外枠に嵌合されているときに上記パネルの外周縁部を上記受け面との間に挟み込む押え面を有してなる内枠と、上記外枠に嵌合された内枠の上記押え面を、パネルの外周縁部を上記外枠の受け面との間に挟み込む動作位置に位置決めするための内枠位置決め手段と、を有する。
【0011】
この構成を有するパーテーションは、パネル自体を交換してパネルによるデザイン表示を変更可能としたものであるので、上掲の特許文献1や特許文献2によって提案されている技術に見られるような、素人にとっての作業の困難性を生じる余地がない。
【0012】
特に、この構成のパーテーションでは、内枠を取り外した外枠にパネルを嵌め込んで、そのパネルの下端縁部を外枠のパネル支持面に載架させること、パネルの外周縁部を外枠の受け面に重ね合わせること、外枠に嵌め込んだ内枠の押え面と外枠の受面とによってパネルの外周縁部を挟み込むこと、内枠位置決め手段によって内枠の押え面を動作位置に位置決めすること、とをこの順に行うだけでパネルの交換が可能である。そして、このようなパネルの交換作業には、パーツとしての粘着シートを板状材料に貼り付けたり剥がしたりする作業が含まれず、また、パネルに重ね合わされている薄い表装材を交換したりする作業も含まれていないので、熟練者は勿論、素人であっても、パーテーションのパネルを、デザインの異なる他のパネルに容易にかつ迅速に、しかも確実に交換することが可能になる。
【0013】
本発明では、上記内枠が、矩形に形作られた上記外枠の上枠部を相手方部材とする上框と、上記外枠の左右それぞれの縦枠部を相手方部材とする各別の縦框と、に分かれていて、上記上框及び左右それぞれの上記縦框が、それらの相手方部材である上記上枠部及び左右の縦枠部に蝶番を介してそれぞれ連結されていると共に、上記内枠位置決め手段が、上記上框及び左右それぞれの上記縦框を、上記外枠に対する嵌合位置と離脱位置との間の任意の開き位置に保持する機能を有する上記蝶番によって形成されている、という構成を採用することが可能である。
【0014】
この構成であれば、蝶番が有する機能によって、内枠の上框や左右の縦框を外枠に対する離脱位置に開いてその位置に停めておくことが可能であるので、外枠に対する嵌合位置から離脱させた内枠の置き場所を別途確保する必要がなくなるだけでなく、離脱位置に開いた上框や縦框が揺れ動いてパネルを外枠に嵌め込む作業のじゃまになるという事態が起こらない。そのため、1人の作業者が多くの労力を費やすことなく、容易にかつ迅速に、しかも確実にパネルの交換作業を行うことが可能になる。
【0015】
本発明では、上記上框及び左右それぞれの上記縦框が上記外枠に対する嵌合位置に位置しているときに、左右それぞれの上記縦框の内側面に上記上框の端縁が突き合わされて、当該縦框が外枠からの離脱方向に開かないように構成されていることが望ましい。
【0016】
この構成であれば、嵌合位置の縦框が、左右の縦枠部に対する嵌合位置から不慮に開いて外枠から離脱するという事態を阻止するので、特別の施錠機構を設けることなく、第三者がパネルを盗み取ったりすることを未然に防止することが可能になる。
【0017】
本発明によれば、上記パネル支持面が、上記外枠の下部に位置する幅木部に設けられて上記パネルの下端部が挿入される溝部の溝底面によって形成されていることが望ましい。この構成であると、外枠にパネルを嵌合するときに、パネルの下端部を幅木部の溝部に挿入した後、そのパネルの外周縁部を外枠の受け面に重ね合わせることができるために、パネルを正確に外枠に嵌め込むことが可能になるという利点がある。
【0018】
本発明では、上記内枠が、矩形に形作られた上記外枠の上枠部を相手方部材とする上框と、上記外枠の左右それぞれの縦枠部を相手方部材とする各別の縦框と、上記外枠の下枠部を相手方部材とする下框と、に分かれていて、上記内枠位置決め手段が、上記上框、左右それぞれの上記縦框及び上記下框に設けられたボルト挿通孔部と、上記上枠部、左右それぞれの上記縦枠部及び上記下枠部に具備されたねじ孔と、上框、左右それぞれの縦框及び下框の上記ボルト挿通孔部に挿通されて上枠部、左右それぞれの縦枠部及び下枠部の上記ねじ孔にねじ込まれるボルトと、を有する、という構成を採用することも可能である。
【0019】
また、本発明では、上記内枠が、矩形に形作られた金属製の上記外枠の上枠部を相手方部材とする上框と、上記外枠の左右それぞれの縦枠部を相手方部材とする各別の縦框と、上記外枠の下枠部を相手方部材とする下框と、に分かれていて、上記内枠位置決め手段が、上記上框、左右それぞれの上記縦框及び上記下框に設けられて、上枠部、左右それぞれの縦枠部及び下枠部に吸着可能な磁石でなる、という構成を採用することも可能である。
【0020】
さらに、本発明では、パネルを着脱可能としてパネルによるデザイン表示を変更可能としたパーテーションであって、パネル面を露出させる表示窓を有する外枠と、この外枠に設けられて上記パネルを抜き差し可能でかつ差込み時にそのパネルの外面を上記表示窓に位置させる溝部と、を有する、という構成を採用することも可能である。
【0021】
本発明に係るパーテーションは、上記外枠の表示窓が、当該外枠の厚さ方向に貫通する開口でなることが望ましい。この構成を採用すると、当該パーテーションの一側及び他側のどちらからでもパネルのデザインが見えるので、空間を仕切る間仕切りとして有益である。また、本発明では、上記外枠が木質材、金属材又は合成樹脂材のいずれかでなり、上記内枠が木質材、金属材又は合成樹脂材のいずれかでなる。外枠や内枠の材料として、木質材、金属材又は合成樹脂材を適宜選択利用することにより、パネルのデザインと外枠や内枠の材質との組み合わせによって表現される量感や質感などの選択自由度が向上する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、パネル自体を交換することによってパネルによるデザイン表示を変更可能としたので、熟練者は勿論、素人であっても、容易にかつ迅速に、しかも確実に、パネルによるデザイン表示を変更することのできるようになる。
【0023】
特に、内枠位置決め手段に所定の機能を有する蝶番を用いると、1人の作業者だけで、パネルによるデザイン表示を楽に変更することが可能になるという効果が奏される。内枠位置決め手段として、ボルトを用いる手段、磁石を用いる手段を採用することができるという利点もある。
【0024】
また、パネルを外枠の溝部に抜き差し可能としたものでは、当該パーテーションの構造を簡素化することが可能になるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパーテーションの正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う部分の概略断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う部分の概略断面図である。
【図4】蝶番50の正面図である。
【図5】上框を離脱位置に回動させた状態での概略縦断側面図である。
【図6】パネル交換作業時での縦框の作用を説明するための概略縦断側面図である。
【図7】図1のVII部の部分斜視図である。
【図8】第2の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略縦断側面図である。
【図9】図9のパーテーションの一部を省略して示した概略横断平面図である。
【図10】第3の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略縦断側面図である。
【図11】第4の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略縦断側面図である。
【図12】図11のパーテーションの一部を省略して示した概略横断平面図である。
【図13】第5の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略横断平面図である。
【図14】本発明に係るパーテーションの使用例を示した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明の第1の実施形態に係るパーテーションの正面図である。このパーテーションは、外枠10と、この外枠10に嵌合された内枠30とを有している。そして、内枠30は外枠10に嵌脱可能であり、パネル100の交換作業は、外枠10に嵌合されている内枠30をその嵌合位置から離脱させた状態で行われる。
【0027】
図2は図1のII−II線に沿う部分の概略断面図、図3は図1のIII−III線に沿う部分の概略断面図である。
【0028】
図1及び図2を併せ見ることによって判るように、外枠10は、上枠部11と、左右の縦枠部12と、下部の下枠部としての幅木部13とによって正面視矩形に形作られている。そして、幅木部13に横方向(左右方向に一致する)に延びる溝部14が形成されていて、この溝部14の溝底面がパネル支持面15として形成されている。この実施形態では、溝部14に挿入されたゴム材などでなる細長い緩衝体16がパネル支持面15に載架されている。この外枠10は、パネル100の表裏両面を前側及び後側に露出させる正面視矩形の表示窓17を形成している。
【0029】
この実施形態では、内枠30が、上框31と左右それぞれの縦框32,32とによって正面視門形に形作られている。図1〜図3のように、内枠30が外枠10に嵌合されているときには、上框31が外枠10の上枠部11に重なり合い、左右それぞれの縦框32,32が外枠の左右それぞれの縦枠部12に重なり合っている。そして、外枠10には、上枠部11に具備された横長平坦面21と、左右それぞれの縦枠部12,12に具備された縦長平坦面22,22と、溝部14に具備されている一方側の横長内壁面23との組み合わせによって形成された受け面20が備わっている。これに対し、外枠10に嵌合されている内枠30には、上框31に具備されて上枠部11の上記横長平坦面21に対峙している横長平坦面41と、左右それぞれの縦框32,32に具備されて縦枠部12,12の上記縦長平坦面22,22に対峙している縦長平坦面42,42と、上記溝部14に具備されて上記一方側の内壁面23に対峙している他方側の内壁面43との組み合わせによって形成された押え面40が備わっている。
【0030】
図1又は図2のように、矩形に形作られている上記パネル100は、その下端部が外枠10の幅木部13に備わっている上記溝部14に挿入されていると共に、このパネル100の下端縁部101が、溝部14に配備されている上記緩衝体16を介し、溝部14の溝底面でなるパネル支持面15に載架されている。したがって、構造的には、パネル100の下端縁部101が、溝部14の一方側の内壁面23と他方側の内壁面43との間に挟み込まれている。また、図2のように、パネル100の上端縁部102が、外枠10の上枠部11に備わっている横長平坦面21と、外枠10に嵌合されている内枠30の上框31に備わっている横長平坦面41との間に挟み込まれている。さらに、図3のように、パネル100の一方側の側端縁部103が、外枠10の縦枠部12に備わっている縦長平坦面22と、外枠10に嵌合されている内枠30の縦框32に備わっている縦長平坦面42との間に挟み込まれている。図3には現れていないけれども、パネル100の他方側の側端縁部も、外枠10の縦枠部に備わっている縦長平坦面と、外枠10に嵌合されている内枠30の縦框に備わっている縦長平坦面との間に挟み込まれている。以上より、外枠10に内枠30が嵌合されているときには、外枠10に嵌合されているパネル100の外周縁部が、外枠10の受け面20と内枠30の押え面40との間に挟み込まれていることになる。
【0031】
上記構成でパネル100が外枠10の受け面20と内枠30の押え面40との間に挟み込まれていると、外枠10の表示窓17に、パネル100の正面(表面)と背面(裏面)とが露出するので、当該パーテーションの正面側からパネル100の表面が見え、その背面側からパネル100の裏面が見えるようになる。したがって、パネル100の表裏両面に、同一又は異なる柄模様や文字、その他のデザイン表示を施しておくと、当該パーテーションの正面側及び背面側からそれらのデザイン表示が見えるようになる。
【0032】
このパーテーションにおいて、外枠10に嵌合されている内枠30は、その押え面40が、パネル100の外周縁部を外枠10の受け面20との間に挟み込む位置、すなわち動作位置に位置決めされていることが必要である。そこで、この実施形態では、次に説明する構成を採用することによって、外枠10に嵌合されている内枠30の受け面20を動作位置に位置決めしている。
【0033】
すなわち、図2のように、内枠30の上框31が、その相手方部材である外枠10の上枠部11に蝶番50によって開閉動可能に連結されている。また、図3のように、内枠30の左右それぞれの縦框32が、それらの相手方部材である外枠10の左右それぞれの縦枠部12に、同様の蝶番50によって開閉動可能に連結されている。そして、上框31が閉動されているときに、その上框31の横長平坦面41が、上枠部11の横長平坦面21に対峙してパネル100の上端縁部102を上枠部11の横長平坦面21との間に挟み込むようになっている。同様に、縦框32が閉動されているときに、その縦框32の縦長平坦面42が、縦枠部12の縦長平坦面22に対峙してパネル100の側端縁部103を縦枠部12の縦長平坦面22との間に挟み込むようになっている。
【0034】
ここで、上記したそれぞれの蝶番50は、上框31及び左右それぞれの縦框32を、それらの相手方部材である外枠10の上枠部11や縦枠部12に対する嵌合位置と離脱位置との間の任意の開き位置に保持する機能を有している。上框31や縦框32についての嵌合位置とは、外枠10に内枠30が嵌合されているときの上框31や縦框32の位置、すなわち図1〜図3に実線で示された上框31や縦框32の位置のことである。また、上框31や縦框32についての離脱位置とは、蝶番50の回動軸線を中心として上框31や縦框32が開き方向に回動されて、それらが上記嵌合位置から離脱してその外側へ退避しているときの位置のことである。
【0035】
このように、蝶番50が上記した機能を有していると、上框31や縦框32を上記嵌合位置に閉動させているときには、その蝶番50の機能によって、上框31や縦框32がそれらの嵌合位置に保持される。したがって、外枠10に嵌合されている内枠30は、その押え面40が、パネル100の外周縁部を外枠10の受け面20との間に挟み込む位置、すなわち動作位置に位置決めされていることになる。このことを言い換えると、上記した機能を有する蝶番50によって内枠位置決め手段が形成されている。
【0036】
図4は上記機能を有する蝶番50を正面図で例示してある。同図のように、図例の蝶番50では、回転支軸51とこの回転支軸51が貫挿されている筒部52との間に、一定の摩擦抵抗を発生させるための摩擦材(図に現れていない)が介在されていると共に、回転支軸51と筒部52とに取付板部53,54が設けられている。そして、取付板部53,54の一方が上枠部11又は縦枠部12に固着され、他方が上框31又は縦框32に固着される。この構成を有する蝶番50は、上記したように、摩擦材の作用によって、上記した機能、すなわち、上框31及び左右それぞれの縦框32を、外枠10に対する嵌合位置と離脱位置との間の任意の開き位置に保持する機能を発揮する。
【0037】
次に、パーテーションでのパネル100の交換作業を図5又は図6を参照して説明する。図5は内枠30の上框31を離脱位置に回動させた状態での概略縦断側面図、図6はパネル交換作業時での左右の縦框32,32の作用を説明するための概略縦断側面図である。
【0038】
パネル100をパーテーションに装着する作業では、図5矢印Aのように上框31を蝶番50を利用して嵌合位置から外側へ開動させて離脱位置に位置させることによって、上枠部11の横長平坦面21を開放する。このときの上框31の開き位置は蝶番50の上記した機能によって任意の角度に定めることができる。同様に、図6に仮想線で示したように左右の縦框32,32を蝶番50を利用して嵌合位置から外側へ開動させてそれらの縦框32,21を離脱位置に位置させることによって、縦枠部12,12の縦長平坦面22,22を開放する。このときの縦框32,32の開き位置も、蝶番50の上記した機能によって任意の角度に定めることができる。
【0039】
次に、図5のようにパネル100を斜めに傾斜させ、その下端縁部101を外枠10の幅木部13に設けられている溝部14に矢印Yのように挿入して、その下端縁部101を緩衝体16に乗せ掛ける。この作業と併せて、パネル100を傾斜姿勢から垂直姿勢に起こして、そのパネル100の上端縁部102を上枠部11の横長平坦面21に重ね合わせると共に、パネル100の側端縁部103を左右の縦枠部12,12の縦長平坦面22,22に重ね合わせる。この後、離脱位置に逃がされている左右の縦框32,32を図6の矢印Bのように閉動させてそれらの縦框32,32を嵌合位置に位置させることにより、縦枠部12の縦長平坦面22と縦框32の縦長平坦面42との間にパネル100の左右の側端縁部103,103を挟み込む。最後に、離脱位置に逃がされている上框31を図2の矢印Cのように閉動させてその上框31を嵌合位置に位置させることにより、上枠部11の横長平坦面21と上框31の横長平坦面41との間にパネル100の上端縁部102を挟み込む。
【0040】
このようにすると、それぞれの蝶番50に備わっている上記機能によって、上框31と左右の縦框32,32とによって構成されている内枠30が、外枠10に嵌合されてその位置で位置決めされた状態になると共に、外枠10の受け面20と内枠30の押え面40との間にパネル100の外周縁部が挟み込まれて、そのパネル100が起立姿勢に確実に保持される。
【0041】
パーテーションに装着されているパネル100を異なるデザイン表示のパネルに交換するときには、上記したところと同様の作業を行って上框31や左右の縦框32,32を離脱位置に位置させた後、パーテーションに装着されているパネル100を取り外し、他のデザイン表示のパネルを上記した手順で装着してパネルを起立姿勢に保持させる。
【0042】
この実施形態では、外枠10に嵌合された内枠30の押え面40を、パネル100の外周縁部を外枠10の受け面20との間に挟み込む動作位置に位置決めするための内枠位置決め手段が、上記機能を発揮する蝶番50によって構成されている。さらに加えて、この実施形態では、内枠30の上框31に、左右の縦框32,32を嵌合位置に位置決めする機能を具備させてある。この点を次に説明する。
【0043】
図1に示したように、内枠30の左右の縦框32,32が外枠10の上端に達する長さを有しているのに対し、内枠30の上框31は、左右の縦框32,32の両方が嵌合位置に位置しているときに、嵌合位置の上框31が左右それぞれの縦框32,32の相互間に亘る長さを有している。このため、上框31が嵌合位置に閉動しているときには、その上框31の両端のそれぞれが、左右それぞれの縦框32,32の内側面33,33に各別に突き合わされることになり、その結果、左右の縦框32,32が離脱方向に開くことを上框31が阻止する。嵌合位置の上框31がこのように左右の縦框32,32が嵌合位置から離脱方向に開くことを阻止する作用を発揮するようになっていると、特別のロック機構を設けることなく、第三者がパネルを盗み取ったりすることを未然に防止することが可能になる。したがって、たとえば、嵌合位置の上框31を外枠10に対して施錠する機構を設けておくだけで、左右の縦框32,32に施錠を施さなくても、内枠30が外枠10から取り外されるという事態が防止される。
【0044】
また、この実施形態では、パーテーションの見栄えを考慮して、内枠30の左右の縦框32,32を外枠10の下端にまで延出させている。このこととの関係上、縦框32には、図7に示した部分斜視図に示した凹所34を具備させてある。こうしておけば、縦框32を嵌合位置に閉動させたときに、外枠10の幅木部13が凹所34に収容されるので、幅木部13が縦框32を嵌合位置に閉動させることの障害にならない。
【0045】
図8は第2の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略縦断側面図、図9は同パーテーションの一部を省略して示した概略横断平面図である。この実施形態は、内枠位置決め手段にビス止め構造を採用した事例である。
【0046】
この実施形態では、外枠の上枠部11に、その横長平坦面21の上側から前方に向けて横長の突出部18を設けてある。また、幅木部13には、入隅形状を形作っている横長の立上り平坦面24と横長の水平な平坦面とを具備させてあり、その水平な平坦面によって、パネル100の下端縁部が載架されるパネル支持面15を形成してある。そして、上枠部11及び幅木部13のそれぞれに、ねじ孔61,62を設けてある。また、外枠の縦枠部12にもねじ孔63を設けてある。
【0047】
これに対し、内枠は、矩形に形作られた外枠の上枠部11を相手方部材とする上框31と、外枠の左右それぞれの縦枠部12を相手方部材とする各別の縦框32と、外枠の下枠部としての幅木部13を相手方部材とする下框35とに分かれている。そして、上記内枠位置決め手段が、上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35に設けられたボルト挿通孔部31a,32a,35aと、上枠部11、左右それぞれの縦枠部12及び幅木部13に具備されたねじ孔61,62,63と、上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35のボルト挿通孔部31a,32a,35aに挿通されて上記各ねじ孔61,62,63にねじ込まれるボルト65とを有する。
【0048】
内枠位置決め手段が上記構成を備えていると、ボルト65を上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35のボルト挿通孔部31a,32a,35aに挿通させて、各ねじ孔61,62,63にねじ込むことによって、上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35によって構成される内枠が外枠に嵌合位置で位置決めされる。そのため、上框31の横長平坦面41、縦框32の縦長平坦面42、下框35に設けられている横長平坦面44によって形成される押え面40が、外枠の受け面20に対峙し、それらの相互間にパネル100の外周縁部が挟み込まれる。パネル100の交換は、各ボルト65を取り外して上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35によって構成される内枠を外枠から離脱させた後、パネル100を上記のように外枠の受け面20と内枠の押え面40との間に挟み込む。
【0049】
図10は第3の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略縦断側面図である。この実施形態は、内枠位置決め手段に磁石を採用した事例である。
【0050】
この実施形態では、内枠位置決め手段が、上框31、左右それぞれの縦框(不図示)及び下框35に設けられて、上枠部11、左右それぞれの縦枠部(不図示)及び下枠部としての幅木部13に吸着可能な磁石70でなる。そして、上枠部11、左右それぞれの縦枠部(不図示)及び下枠部としての幅木部13には、上框31、左右それぞれの縦框(不図示)及び下框35に設けられている磁石70が吸着可能な吸着面を有している。図10には上枠部11の吸着面を符号26で示し、幅木部13の吸着面を符号27で示してあり、縦枠部の吸着面を図示省略してある。
【0051】
内枠位置決め手段が上記構成を備えていると、上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35の各磁石70をそれらの相手方部材の吸着面に吸着させることによって、上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35によって構成される内枠が外枠に嵌合位置で位置決めされる。パネル100の交換は、上框31、左右それぞれの縦框32及び下框35によって構成される内枠を外枠から離脱させた後、パネル100を図10のように外枠の受け面20と内枠の押え面40との間に挟み込む。
【0052】
図11は第4の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略縦断側面図、図12は同パーテーションの一部を省略して示した概略横断平面図である。
【0053】
この実施形態では、外枠10の左右の縦枠部12に縦方向に延びる溝部81を具備させると共に、外枠10の上枠部11にスリット状の差込み口82を具備させてある。また、幅木部13には、図2に示したものと同様の溝部14を具備させてある。そして、パネル100の交換作業は、上記の差込み口82や溝部81を利用してパネル100を抜き差しすることによって行う。なお、図11及び図12において、符号83,84は目隠し板を示している。
【0054】
図13は第5の実施形態によるパーテーションの一部を省略して示した概略横断平面図である。
【0055】
この実施形態では、外枠10の左右の縦枠部12に縦方向に延びる溝部81を具備させると共に、左右の縦枠部12の補強部材などに縦長の切欠き91を設けることによって、一方側又は他方側の切欠き91や溝部81をパネル100を抜き差しすることのできる差込み口として利用することができるように構成してある。このものにおいて、パネル100の交換作業は、一方側又は他方側の切欠き91及び溝部81を差込み口として利用してパネル100を横方向に抜き差しすることによって行う。矢印Iは一方側の溝部81を差込み口として利用した場合のパネル100の差込み方向を示している。なお、図13に示した一方側の目隠し板83は、パネル100を溝部81に差し込んだ後に、縦枠部12に装着される。
【0056】
以上説明した第1〜第5の各実施形態において、外枠10の上枠部11、縦枠部12及び幅木部13、内枠30の上框31、縦框32、下框35などは、木質材、金属材又は合成樹脂材のいずれかを選択して製作することが可能である。また、図10に示した吸着面26,27などは、外枠1を磁性を発揮する金属の肌面によって形成することができる。また、金属材を用いる場合には、外枠10の上枠部11、縦枠部12及び幅木部13や、内枠30の上框31、縦框32、下框35などを、プレス成形された板金によって形成することも、アルミ引抜き品によって形成することも可能である。
【0057】
図14は本発明に係るパーテーションの使用例を示した概略斜視図である。同図の使用例は、複数のパーテーションPをヒンジ(不図示)を用いて横に連結し、それぞれのパーテーションPをヒンジを利用して交互に反対方向に折り曲げて屏風のように立てた事例である。本発明に係るパーテーションは、図14の事例のほか、室内空間の間仕切りとして使用することも、衝立として使用することも、あるいは駅構内の柱の壁面装飾などとして使用することも可能である。
【0058】
なお、図1〜図13において、同一又は相応する部分には同一符号を付してある。
【符号の説明】
【0059】
10 外枠
11 上枠部
12 縦枠部
13 幅木部
14 溝部
15 パネル支持面
17 表示窓
20 受け面
30 内枠
31 上框
31a,32a,35a ボルト挿通孔部(内枠位置決め手段)
32 縦框
35 下框
40 押え面
50 蝶番(内枠位置決め手段)
61,62,63 ねじ孔(内枠位置決め手段)
65 ボルト(内枠位置決め手段)
70 磁石(内枠位置決め手段)
81 溝部
100 パネル
101 パネルの下端縁部
P パーテーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを着脱可能としてパネルによるデザイン表示を変更可能としたパーテーションであって、
パネル面を露出させる表示窓を有する外枠と、
この外枠に設けられて上記パネルの下端縁部が載架されるパネル支持面と、
この外枠の上記表示窓の開口縁部に設けられて上記パネルの外周縁部が重ね合わされる受け面と、
上記外枠に対して嵌脱可能で、かつ、外枠に嵌合されているときに上記パネルの外周縁部を上記受け面との間に挟み込む押え面を有してなる内枠と、
上記外枠に嵌合された内枠の上記押え面を、パネルの外周縁部を上記外枠の受け面との間に挟み込む動作位置に位置決めするための内枠位置決め手段と、
を有することを特徴とするパーテーション。
【請求項2】
上記内枠が、矩形に形作られた上記外枠の上枠部を相手方部材とする上框と、上記外枠の左右それぞれの縦枠部を相手方部材とする各別の縦框と、に分かれていて、上記上框及び左右それぞれの上記縦框が、それらの相手方部材である上記上枠部及び左右の縦枠部に蝶番を介してそれぞれ連結されていると共に、上記内枠位置決め手段が、上記上框及び左右それぞれの上記縦框を、上記外枠に対する嵌合位置と離脱位置との間の任意の開き位置に保持する機能を有する上記蝶番によって形成されている請求項1に記載したパーテーション。
【請求項3】
上記上框及び左右それぞれの上記縦框が上記外枠に対する嵌合位置に位置しているときに、左右それぞれの上記縦框の内側面に上記上框の端縁が突き合わされて、当該縦框が外枠からの離脱方向に開かないように構成されている請求項2に記載したパーテーション。
【請求項4】
上記パネル支持面が、上記外枠の下部に位置する幅木部に設けられて上記パネルの下端部が挿入される溝部の溝底面によって形成されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載したパーテーション。
【請求項5】
上記内枠が、矩形に形作られた上記外枠の上枠部を相手方部材とする上框と、上記外枠の左右それぞれの縦枠部を相手方部材とする各別の縦框と、上記外枠の下枠部を相手方部材とする下框と、に分かれていて、
上記内枠位置決め手段が、上記上框、左右それぞれの上記縦框及び上記下框に設けられたボルト挿通孔部と、上記上枠部、左右それぞれの上記縦枠部及び上記下枠部に具備されたねじ孔と、上框、左右それぞれの縦框及び下框の上記ボルト挿通孔部に挿通されて上枠部、左右それぞれの縦枠部及び下枠部の上記ねじ孔にねじ込まれるボルトと、を有する請求項1に記載したパーテーション。
【請求項6】
上記内枠が、矩形に形作られた金属製の上記外枠の上枠部を相手方部材とする上框と、上記外枠の左右それぞれの縦枠部を相手方部材とする各別の縦框と、上記外枠の下枠部を相手方部材とする下框と、に分かれていて、
上記内枠位置決め手段が、上記上框、左右それぞれの上記縦框及び上記下框に設けられて、上枠部、左右それぞれの縦枠部及び下枠部に吸着可能な磁石でなる請求項1に記載したパーテーション。
【請求項7】
パネルを着脱可能としてパネルによるデザイン表示を変更可能としたパーテーションであって、
パネル面を露出させる表示窓を有する外枠と、
この外枠に設けられて上記パネルを抜き差し可能でかつ差込み時にそのパネルの外面を上記表示窓に位置させる溝部と、
を有することを特徴とするパーテーション。
【請求項8】
上記外枠の表示窓が、当該外枠の厚さ方向に貫通する開口でなる請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載したパーテーション。
【請求項9】
上記外枠が木質材、金属材又は合成樹脂材のいずれかでなり、上記内枠が木質材、金属材又は合成樹脂材のいずれかでなる請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載したパーテーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−21409(P2011−21409A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168364(P2009−168364)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(501348531)ワールドリビング株式会社 (5)
【出願人】(500062438)吉田サッシ株式会社 (11)