説明

パーマネントウェーブ用ロッド

【課題】毛髪の捲回容易性、薬剤の均一浸透性、洗浄作業の確実容易性及び施術時間の短縮性に優れ、その結果デザイン性に優れ、毛髪に優れたパーマネントウェーブの仕上がり(リッジ感及び毛先までの纏まり感)を与えることができると同時に毛髪に対するダメージも最小限に抑えることができるパーマネントウェーブ用ロッドの提供を目的とするものである。
【解決手段】本発明のパーマネントウェーブ用ロッドは、円筒状の合成樹脂製ロッド本体と、このロッド本体の両端に延設され、外側に複数の切欠部を有する略短円筒状の一対の輪ゴム係止部とを備えるパーマネントウェーブ用ロッドであって、ロッド本体が網状に形成されており、上記ロッド本体の外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)が1.5以上2.5以下であることを特徴とする。上記ロッド本体の長さ(L)としては、30mm以上70mm以下が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマネントウェーブ用ロッド関し、詳細にはロッドに毛髪を巻き付け輪ゴムで止める形式のパーマネントウェーブ用ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、ヘアスタイルのアレンジ性、嗜好性、流行性等を満足すべく、パーマネントウェーブが普及している。このパーマネントウェーブは、毛髪内で化学反応を起こし、毛髪の構造を変化させることによって毛髪にウェーブを形成させ、このウェーブを一定期間保持するものであり、美容や縮毛の矯正等のために利用されている。そのため、毛髪に十分なウェーブを与えることができると同時に、ウェーブを長期間保持することができ、かつ毛髪に対するダメージを最小限に抑えることのできるパーマネントウェーブの手法が望まれている。
【0003】
特に、今日ではヘアスタイルのデザイン性が高まり、頭の上部、両サイド等に部分的に任意のウェーブ形状を付与する手法や、根本の立ち上がりを良くするための手法などが要求されている。
【0004】
かかるパーマネントウェーブの一般的な施術方法としては、
(1)毛髪にアルカリ剤と還元剤とを含む1剤を塗布する工程、
(2)毛髪をロッドに巻き付けるワインディング工程、
(3)ロッド両端に輪ゴムを掛け渡して毛髪にロッドを固定する工程、
(4)余分な1剤を洗い流す中間水洗工程、
(5)酸化剤を含む2剤を毛髪に塗布する工程、
(6)ロッドを外す工程、及び
(7)微温湯で毛髪を十分ゆすぎ、リンス仕上げ後、セットする工程
等の手順で行われている。なお、ワインディング工程後に1剤を塗布する工程が行われる場合もある。
【0005】
上記パーマネントウェーブの施術方法におけるパーマネント機構を説明すると、まず1剤に含まれるアルカリ剤が毛髪内部に浸透することによって毛髪が膨潤し、1剤に含まれる還元剤の毛髪内部への浸透が促進される。毛髪はケラチンタンパク質等によって構成されているが、毛髪内部に浸透した還元剤はこのケラチンタンパク質を形成しているポリペプチド鎖間に連結されるシスチン結合等を還元切断する。このとき、毛髪内部にはワインディングによる歪み応力が発生しているので、各ペプチド鎖はこの歪み応力が解消されるように個別に流動し、他のポリペプチド鎖との間で相対的な位置ずれを生じる。次に、この状態で2剤に含まれる酸化剤を毛髪に作用させることにより、当初とは異なるシステイン残基間で再度シスチン結合が形成され、その結果毛髪にウェーブが定着形成される。つまり、上記パーマネント方法は、1剤による還元作用と2剤による酸化作用とを経ることによって毛髪にウェーブを与えるというものである。
【0006】
上記パーマネントウェーブの施術に使用されるパーマネントウェーブ用ロッドとしては、従来、円筒状のロッド本体と、このロッド本体の両端に延設され、外側に複数の切欠部を有する扁平円筒状の一対の輪ゴム係止部とを備えたものが一般的であり、(1)施術を短時間で済ませることができるように幅及び直径を大きくしたパーマネントウェーブ用ロッド(特開2004−337286号公報参照)や、(2)2剤の塗布の浸透性及び均一性を図るようロッド本体に長手方向かつ略等角度間隔に複数のスリットが形成されたパーマネントウェーブ用ロッド(実願2005−9441号公報参照)等が開発されている。
【0007】
しかし、上記(1)及び(2)の従来のパーマネントウェーブ用ロッドは、毛髪を捲回するロッド本体がポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂から形成されており、ロッド本体の開口部分(スリット)の割合が少ないため、剛性が高く、毛髪の捲回の際に作用する程度の応力に対する弾力性を有していない。そのため、毛髪をパーマネントウェーブ用ロッドに捲回する作業が容易ではなく、パーマネントの作業性や仕上がりの美しさを低下させる要因になっている。特に、毛髪をパーマネントウェーブ用ロッドに締め込むよう捲回することが困難であるため、その結果、リッジ感(毛髪の根本からの立ち上がり、弾力)や毛先までの纏まり感などの仕上がりを向上するよう施術することが困難である。
【0008】
また、上記(1)及び(2)のパーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド本体の開口部分(スリット)の割合が少なく、ロッド本体におけるスリット以外の帯状領域も比較的多く存在するため、1剤及び2剤の毛髪への浸透効率及び中間水洗工程における1剤の洗浄容易性がそれほど高くない。かかる1剤及び2剤の毛髪への浸透効率の低さは、毛髪に対するウェーブ形成力を低下させるおそれがある。また、中間水洗工程における1剤の洗浄容易性の低下は、ロッド本体の帯状領域と毛髪との間に1剤が残存し、パーマネントの仕上がりの美しさ(具体的には毛先までの纏まりやリッジ感)の低下を招来する。
【0009】
さらに、上記(1)及び(2)に代表されるパーマネントウェーブ用ロッドは、通常、ロッド本体の長さ(L)が80mm以上であり、外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)が2を超える。かかる範囲の長さ(L)及び比(L/R)を有するパーマネントウェーブ用ロッドによれば、ロッド同士を衝突させることなく緻密に配列させることが困難であるため、頭の一部分のみに任意にウェーブ形状を付与することが困難であり、その結果、上述のようなパーマネントウェーブのデザイン性を高めるという今日的要請に応えることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−337286号公報
【特許文献2】実願2005−9441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、毛髪の捲回容易性、薬剤の均一浸透性、洗浄作業の確実容易性及び施術時間の短縮性に優れ、その結果、デザイン性に優れ、毛髪に優れたパーマネントウェーブの仕上がり(リッジ感及び毛先までの纏まり感)を与えることができると同時に毛髪に対するダメージも最小限に抑えることができるパーマネントウェーブ用ロッドの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた発明は、
円筒状の合成樹脂製ロッド本体と、
このロッド本体の両端に延設され、外側(中心軸方向の外端部側)に複数の切欠部を有する略短円筒状の一対の輪ゴム係止部と
を備えるパーマネントウェーブ用ロッドであって、
上記ロッド本体が網状に形成されており、
上記ロッド本体の外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)が1.5以上2.5以下であることを特徴とする。
【0013】
当該パーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド本体が網状に形成され、格子状の線状材と網目状の開口部から構成されているため、ロッド本体の弾力性が高く、そのロッド本体の高い弾力性を利用して毛髪を容易かつ確実に巻き付けることができ、毛髪を強く締め込むこともできる。また、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド本体が網状に形成され、略均一かつ面積占有率の大きい網目状開口部を有しているため、ロッド本体の液体流通性が高く、優れた薬剤の均一塗布性及び洗浄の容易かつ確実性を備えている。その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、ウェーブ形成効率を高めることができ、毛髪に優れたリッジ感及び毛先までの纏まり感を与えることができる。さらに、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、上述のように毛髪のワインディング作業、薬剤の塗布作業及び中間水洗作業の容易性が向上することから、各作業工程に要する時間を短縮化することができ、その結果、毛髪に与えるダメージを小さくすることができる。また、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド本体の外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)が1.5以上2.5以下であることから、ロッド本体の外径(R)を基準にとると、ロッド本体の長さ(L)が従来のパーマネントウェーブ用ロッドよりも小さくなるため、ロッド同士を衝突させることなく比較的緻密に配列させることができる。その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、頭の一部分のみに任意にウェーブ形状を付与することができ、上述のようなパーマネントウェーブのデザイン性を高めるという今日的要請に応えることができる。
【0014】
上記ロッド本体の長さ(L)としては、30mm以上70mm以下が好ましい。このようにロッド本体の長さ(L)を上記範囲とすることで、上述の衝突なく比較的緻密に配列する機能が増大し、部分的なウェーブ形状の付与容易性、ひいてはパーマネントウェーブのデザイン性を高めることができる。
【0015】
上記ロッド本体の開口率としては30%以上70%以下が好ましく、ロッド本体を構成する線状材の平均幅としては0.5mm以上2mm以下が好ましい。このようにロッド本体の開口率及びロッド本体を構成する線状材の平均幅を上記範囲とすることで、上述の毛髪の捲回容易性、薬剤の均一浸透性、洗浄作業の確実容易性及び施術時間の短縮性をさらに高めることができ、その結果、パーマネントウェーブの仕上がり(リッジ感及び毛先までの纏まり感)をさらに向上することができる。
【0016】
上記ロッド本体は、中心軸の一方向を基準として右巻き螺旋状にかつストライプ状に配設される複数の右巻き線状材と、これとは対称に左巻き螺旋状にかつストライプ状に配設される複数の左巻き線状材とが格子状に交差する網状構造を有するとよい。このようにロッド本体を右巻き線状材群と左巻き線状材群とを格子状に組み合わせた網状構造とすることで、開口率の上記範囲への調整及び弾力性の向上が容易であり、加えて捲回された毛髪がロッド本体の各線状材と点状に接するため、洗浄の際にロッド本体と毛髪との間に1剤が残存してしまうことや、毛髪を巻付ける際及び捲回した毛髪を輪ゴムで押止する際に毛髪に損傷を与えてしまうことを防止することができる。
【0017】
上記ロッド本体を構成する右巻き線状材及び左巻き線状材は、三角形状の断面形状を有し、その一角がロッド本体の半径方向外方を向くよう配設するとよい。このように、各線状材の断面形状を三角形状とし、その三角形状の各線状材を一角が円筒状ロッド本体の半径方向外方を向くよう配設することで、捲回した毛髪束に対して線状(各毛髪に対して点状)に当接することとなる。その結果、当該手段によれば、上述の洗浄の際の1剤残存防止作用や、毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用をさらに効果的に奏することができる。
【0018】
上記複数の右巻き線状材及び複数の左巻き線状材のうち一方の線状材群が構成する外径(線状材群が構成する仮想円筒面の外径)より他方の線状材群が構成する外径を小さくするとよい。このように、一方の線状材群の外径より他方の線状材群の外径を小さくすることで、捲回した毛髪に対して一方の線状材群のみが主に当接することとなり、上記洗浄の際の1剤残存防止作用や毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用をより向上することができる。また、当該手段によれば、ロッド本体の弾力性がさらに向上し、毛髪の捲回容易性が向上し、毛髪の強い締め込みがより容易かつ確実になる。
【0019】
下方を支持し、上方からロッド本体中央部に荷重を付加した場合におけるロッド本体中央部の単位荷重当たりの撓み量としては、0.18mm/N以上0.25mm/N以下が好ましい。このように、ロッド本体中央部の単位荷重当たりの撓み量を上記範囲とすることで、ロッド本体に対してワインディング作業に最適な弾力性が付与され、その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッドへの毛髪の捲回容易性がさらに向上し、上述の施術時間の短縮化がさらに促進される。加えて、かかるロッド本体の最適な弾力性を利用することで、当該パーマネントウェーブ用ロッドに毛髪を比較的強く巻き付けることができる。その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、毛髪内部により大きな歪み応力を作用させることができ、さらに高いウェーブ効果及びウェーブの長期間保持効果が得られ、加えてパーマネントウェーブの仕上がり(リッジ感及び毛先までの纏まり感)をさらに向上することができる。
【0020】
ここで、「開口率」とは、ロッド本体の表面全面に対する開口部分の占有面積比率のことをいう。「輪ゴム」とは、輪の形にした細い紐状のゴムを意味し、輪ゴムからなるもの、輪ゴムの周囲に繊維等が被覆されたもの等を含む。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明のパーマネントウェーブ用ロッドは、毛髪の捲回容易性、薬剤の均一浸透性、洗浄作業の確実容易性及び施術時間の短縮性に優れ、その結果、毛髪に優れたパーマネントウェーブの仕上がり(リッジ感及び毛先までの纏まり感)を与えることができ、同時に毛髪に対するダメージも最小限に抑えることができる。また、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド同士を衝突させることなく比較的緻密に配列させることができるため、頭の一部分のみに任意にウェーブ形状を付与することができ、パーマネントウェーブのデザイン性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るパーマネントウェーブ用ロッドを示す斜視図
【図2】図1のパーマネントウェーブ用ロッドの側面図
【図3】図1のパーマネントウェーブ用ロッドのA−A線拡大端面図
【図4】図1のパーマネントウェーブ用ロッドの先端部の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
図1のパーマネントウェーブ用ロッド1は、ロッド本体2と一対の輪ゴム係止部3とを備えている。
【0024】
ロッド本体2は、円筒状に形成されており、かつ全体が網状に形成されている。このロッド本体2は、具体的には格子状(菱格子状を含む)に連結する複数の線状材4、5から構成されている。詳細には、ロッド本体2は、その円筒状の中心軸の一方向を基準として右巻き螺旋状にかつストライプ状(所定間隔を開けて平行)に配設される複数の右巻き線状材4と、これとは対称に左巻き螺旋状にかつストライプ状に配設される複数の左巻き線状材5とが所定角度で交差するよう組み合わされた網状構造を有している。そのため、ロッド本体2には、略正方形状、略菱形状、略平行四辺形状等の多数の網目状開口部6が均一かつ高い面積占有率で形成されている。
【0025】
当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、ロッド本体2が網状に形成され、格子状の線状材4、5と網目状の開口部6から構成されているため、ロッド本体2の弾力性が高く、そのロッド本体2の高い弾力性を利用して毛髪を容易かつ確実に巻き付けることができ、毛髪を強く締め込むこともできる。また、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、ロッド本体2が網状に形成され、略均一かつ面積占有率の大きい網目状開口部6を有しているため、ロッド本体2に毛髪を捲回した状態での液体流通性が高く、優れた薬剤の均一塗布性及び洗浄作業の容易かつ確実性を備えている。その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、ウェーブ形成効率を高めることができ、毛髪に優れたリッジ感及び毛先までの纏まり感を与えることができる。さらに、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、上述のように毛髪のワインディング作業、薬剤の塗布作業及び中間水洗作業の容易性が向上することから、各作業工程に要する時間を短縮化することができ、その結果、毛髪に与えるダメージを小さくすることができる。
【0026】
ロッド本体2の形成材料としては、適当な弾力性を有しているものであれば特に限定されないが、例えばゴム、合成樹脂又はこれらの混合体若しくはこれらの発泡体が使用される。ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム(U)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム(Q)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、塩素化ポリエチレン(CM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、フッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。上記ゴムの中でも、耐薬品性等の面で、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)が好ましい。
【0027】
上記合成樹脂としては、例えばフェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、ポリメチルメタアクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状ポリオレフィン(COP)等が挙げられる。
【0028】
上記合成樹脂の中でも、弾力性、耐薬品性、汎用性、透明性等の面で、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、ポリメチルメタアクリル樹脂(PMMA)が好ましく、ポリプロピレン(PP)が特に好ましい。このポリプロピレン(PP)の中でも、適度な弾力性が発現される面で、ホモポリプロピレン(PP)又はポリプロピレン(PP)とブロックポリプロピレン(PP)との混合体が特に好ましい。
【0029】
ロッド本体2の形成材料としては、かかる材料を1種又は2種以上混合して使用することができる。なお、ロッド本体2の形成材料中には、上記合成樹脂等の主材料に加え、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、顔料、防カビ剤、フィラー、可塑剤、劣化防止剤、分散剤等が挙げられる。
【0030】
ロッド本体2を構成する右巻き線状材4及び左巻き線状材5は、図3に示すように、三角形状の断面形状を有している。これらの線状材4、5は、その底辺が円筒状ロッド本体2の内面aに沿うよう配設されている。このように、各線状材4、5の断面形状を三角形状とし、その三角形状の各線状材4、5を底辺が円筒状のロッド本体2の内面aに沿うよう配設することで、三角形状の各線状材4、5の断面形状における頂角(底辺に対向する一角)が円筒状のロッド本体2の半径方向外方を向くことから、捲回した毛髪束に対して線状(各毛髪に対して点状)に当接することとなる。その結果、上述の洗浄の際の1剤残存防止作用や、毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用をさらに効果的に奏することができる。なお、線状材4、5は、断面形状の頂角が丸められており、上述の毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用がさらに高められている。
【0031】
ロッド本体2の各線状材4、5の断面形状に関し、図3に示すように、複数の右巻き線状材4が構成する仮想円筒面bの外径より複数の左巻き線状材5が構成する仮想円筒面cの外径が小さくされている。つまり、複数の左巻き線状材5の断面形状より複数の右巻き線状材4の断面形状が大きくされ、左巻き線状材5の稜線より右巻き線状材4の稜線が半径方向外方に突出している。このように、一方の線状材群の外径より他方の線状材群の外径を小さくすることで、捲回した毛髪に対して一方の線状材群のみが主に当接することとなり、上記洗浄の際の1剤残存防止作用や毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用をより向上することができる。また、当該手段によれば、ロッド本体2の弾力性がさらに向上し、毛髪の捲回容易性が向上し、毛髪の締め込みがより容易かつ確実になる。
【0032】
ロッド本体2の外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)の下限としては、1.5が好ましく、1.8が特に好ましい。一方、当該比(L/R)の上限としては、2.5が好ましく、2.3が特に好ましい。このロッド本体2の外径(R)は、断面形状が大きい複数の右巻き線状材4が構成する仮想円筒面bの外径である。このように、ロッド本体2の外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)を上記範囲とすることで、ロッド本体2の外径(R)を基準にとると、ロッド本体2の長さ(L)が従来のパーマネントウェーブ用ロッドよりも小さくなるため、ロッド同士を衝突させることなく比較的緻密に配列させることができる。その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、頭の一部分のみに任意にウェーブ形状を付与することができ、上述のようなパーマネントウェーブのデザイン性を高めるという今日的要請に応えることができる。
【0033】
ロッド本体2の長さ(L)の下限としては、30mmが好ましく、40mmが特に好ましい。一方、当該長さ(L)の上限としては、70mmが好ましく、60mmが特に好ましい。このようにロッド本体2の長さ(L)を上記範囲とすることで、上述の衝突なく比較的緻密に配列する機能が増大し、部分的なウェーブ形状の付与容易性、ひいてはパーマネントウェーブのデザイン性を高めることができる。
【0034】
ロッド本体2の開口率の下限としては、30%が好ましく、40%が特に好ましい。一方、ロッド本体2の開口率の上限としては、70%が好ましく、60%が特に好ましい。ロッド本体2の開口率が上記下限より小さいと、液体の流通性が低下することに起因してパーマ剤の均一塗布性や中間水洗における1剤の洗い流しが困難になり、またロッド本体2の弾力性が低下することに起因して当該パーマネントウェーブ用ロッド1への毛髪の捲回容易性が低下する結果、パーマネント施術時間の延長にもつながる。一方、ロッド本体2の開口率が上記上限を超えると、ロッド本体2の弾力性が過小になることに起因してパーマネントウェーブの仕上がりが低下するおそれがある。
【0035】
ロッド本体2の線状材4、5の平均幅の下限としては、0.5mmが好ましく、1mmが特に好ましい。一方、線状材4、5の平均幅の上限としては、3mmが好ましく、2mmが特に好ましい。線状材4、5の平均幅を上記範囲内とすることで、中間水洗の効率及び確実容易性を高めることができ、1剤を容易かつ確実に洗い流すことができる。その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、余分な1剤が毛髪に残留していない状態で2剤を塗布することができ、ひいては2剤を毛髪のあらゆる箇所に浸透させることができる。そのため、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、2剤の有する酸化作用を最大限に発揮させることができ、ひいてはパーマネントウェーブ形成効率、パーマネントウェーブの仕上がりの美しさ及び寿命を向上させることができる。逆に、線状材4、5の平均幅が上記下限より小さいと、ロッド本体2の強度が低下し、毛髪をパーマネントウェーブ用ロッド1に巻き付け難くなるおそれがある。一方、線状材4、5の平均幅が上記上限を超えると、中間水洗において1剤を洗い流すのが困難になると同時に、毛髪に対する2剤の付着にもムラを生じるおそれがある。
【0036】
軸方向と垂直面での断面形状における線状材4、5の頂角αとしては、60°以上100°以下が好ましく、70°以上90°以下が特に好ましい。線状材4、5の頂角αが上記上限を超えると、開口率が低下し、中間水洗において1剤を洗い流すのが困難になるおそれがある。逆に、線状材4、5の頂角αが上記下限より小さいと、ロッド本体2の剛性が低下し、毛髪の捲回作業性が低下するおそれがあり、加えて毛髪を締め込むことが困難になるおそれがある。
【0037】
一対の輪ゴム係止部3は、略短円筒状に形成されており、ロッド本体2の両端に延設されている。一対の輪ゴム係止部3は、外側(パーマネントウェーブ用ロッド1の両端側)に、略等角度間隔でかつ軸方向に切り込んだ複数の切欠部7を有し、これらの切欠部7間に略等角度間隔で形成される複数の方形板状舌片部8を有している。
【0038】
パーマネント施術工程において、当該パーマネントウェーブ用ロッド1に対して毛髪を捲回し、その状態で当該パーマネントウェーブ用ロッド1に縦方向(軸方向)に輪ゴム(図示しない)を掛け渡すことでパーマネントウェーブ用ロッド1を毛髪(図示しない)に固定するが、当該パーマネントウェーブ用ロッド1に架け渡した輪ゴムを対偶する二対の切欠部7に挿入することで、パーマネントウェーブ用ロッド1は安定的に毛髪に固定される。
【0039】
一対の輪ゴム係止部3の方形板状舌片部8の外面側には、軸方向の複数の凸条部9が形成されている。一般的にパーマネント施術工程において、毛髪の捲回作業は輪ゴム係止部3を把持しつつ当該パーマネントウェーブ用ロッド1を回転させることにより行うが、かかる舌片部8の外面側の複数の凸条部9によって指が滑ってしまうことを低減でき、毛髪の捲回作業性をより向上することができる。
【0040】
輪ゴム係止部3の各サイズは、ロッド本体2に毛髪を捲回した状態で当該パーマネントウェーブ用ロッド1に輪ゴムを架け渡することができれば特に限定されるものではなく、輪ゴムの太さ、張力等に応じて適宜選択される。
【0041】
一対の輪ゴム係止部3の形成材料としては、上記ロッド本体2の形成材料と同様の材料が用いられる。
【0042】
当該パーマネントウェーブ用ロッド1の製造方法としては、上記構造のものが製造できれば特に限定されるものではなく、形状、使用する材料等に応じて公知の製造方法が適宜採用される。当該パーマネントウェーブ用ロッド1の製造方法としては、例えばインジェクション成形等が好適に使用される。また、このロッド本体2と一対の輪ゴム係止部3とは、一体成形されてもよいし、別体に成形されてもよい。
【0043】
当該パーマネントウェーブ用ロッド1の下方を支持し、上方からロッド本体2の中央部に荷重を付加した場合におけるロッド本体2の中央部の単位荷重当たりの撓み量の下限としては、0.18mm/Nが好ましく、0.19mm/Nが特に好ましい。一方、かかるロッド本体2の中央部の単位荷重当たりの撓み量の上限としては、0.25mm/Nが好ましく、0.2mm/Nが好ましい。ロッド本体2中央部の単位荷重当たりの撓み量が上記範囲内にあることにより、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、ワインディング作業に最適な弾力性を有することができ、その結果、毛髪をきわめて容易に巻き付けることができ、ひいては施術時間を短縮することができる。また、ロッド本体2中央部の単位荷重当たりの撓み量が上記範囲内にあることにより、ワインディングに最適な弾力性を利用することによって毛髪を適度な力で締め込むことができ、その結果、毛髪内部により大きな歪み応力を作用させることができ、毛髪にさらに高いウェーブ効果を与えることができると同時に、ウェーブを長期間保持することができる。逆に、ロッド本体2中央部の単位荷重当たりの撓み量が上記下限より小さいと、ロッド本体2が柔らかくなり過ぎるため、毛髪をパーマネントウェーブ用ロッド1に巻き付け難くなるおそれがある。一方、ロッド本体2中央部の単位荷重当たりの撓み量が上記上限を超えると、ロッド本体2の弾力性が低下するため、ワインディング作業の確実容易性が低下し、毛髪をきつく巻き付けることが難しくなる。その結果、毛髪内部に大きな歪み応力を作用させることが困難になり、ウェーブ効果やリッジ感の低減を招くおそれがある。
【0044】
当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、上述のように毛髪の捲回容易性、薬剤の均一浸透性、洗浄作業の確実容易性及び施術時間の短縮性に優れている。また、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、ロッド本体の外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)が1.5以上2.5以下であることから、ロッド同士を衝突させることなく比較的緻密に配列させることができる。その結果、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、頭の一部分のみに任意にウェーブ形状を付与することができ、上述のようなパーマネントウェーブのデザイン性を高めるという今日的要請に応えることができる。さらに、当該パーマネントウェーブ用ロッド1は、輪ゴム係止部3とロッド本体2とを一体的に形成することにより製造コストを削減することができる。
【0045】
なお、本発明のパーマネントウェーブ用ロッドは上記実施形態に限定されるものではない。例えば、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、右巻き線状材と左巻き線状材を同一の断面形状とし、ロッド本体表面を面一にすることも可能である。このように、線状材群からなるロッド本体表面を面一にしても、上述の洗浄の際の1剤残存防止作用や毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用を奏することができる。
【0046】
また、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド本体内面が面一になるよう各線状材を構成しなくてもよい。例えば、一対の線状材群に関し、一方の線状材群を半径方向外方に配設し、他方の線状材群を半径方向内側に配設するよう接合することも可能である。このように、線状材群からなるロッド本体内面を面一にしなくても、上述の洗浄の際の1剤残存防止作用や毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用を奏することができる。
【0047】
ロッド本体は、その中心軸方向と略平行にかつストライプ状に配設される複数の長手方向線状材と、周方向にかつストライプ状に配設される複数の周方向線状材とが格子状に組み合わされた網状構造を有してもよい。かかる網状構造によっても、同様に、洗浄の際の1剤残存防止作用や毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用を奏することができる。
【0048】
ロッド本体を構成する線状材の断面形状は、上記三角形状に限定されず、例えば円形、方形等でも可能であり、洗浄の際の1剤残存防止作用や毛髪を巻付ける際の毛髪への損傷防止作用を奏することができる。
【0049】
ロッド本体は、軸方向の中心に向かって徐々に縮径するよう湾曲した形状を有してもよい。このように、ロッド本体を軸方向の中心に向かって徐々に縮径するよう湾曲した形状とすることで、ロッド本体と架け渡した輪ゴムとの間に隙間を形成することができ、毛髪の捲回容易性と毛髪の損傷防止性を向上することができる。
【0050】
当該パーマネントウェーブ用ロッドの両端近傍に、半径方向外方に突出する環状の凸条部を有してもよい。このように、両端近傍に環状凸条部を有することで、一対の輪ゴム係止部の切欠部に輪ゴムを掛け渡した状態で、ロッド本体と輪ゴムとの間に隙間を形成することができる。そのため、当該パーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド本体が軸方向中心に向かって漸進的に縮径するよう凹状に湾曲した形状を有していない場合であっても、捲回した毛髪を輪ゴムで押圧し過ぎることが低減され、施術後の毛髪に輪ゴムの跡が残ることを防止することができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0052】
[実施例1]
ランダムポリプロピレンを用い、図1に示すようなロッド本体及び一対の輪ゴム係止部をインジェクション成形により一体成形することで実施例1のパーマネントウェーブ用ロッドを得た。このパーマネントウェーブ用ロッドは、ロッド本体の外径が26mm、厚みが1.5mm、ロッド本体の長さ(軸方向長さ)を53mm、輪ゴム係止部の長さを7mm、右巻き線状材の高さを1.5mm、左巻き線状材幅を1mm、ロッド本体の開口率を45%とした。ロッド本体の右巻き線状材及び左巻き線状材は、ロッド本体の軸方向に対して略45°傾斜した方向に配設した。
【0053】
[実施例2]
ホモポリプロピレンを用いた以外は上記実施例1と同様にして実施例2のパーマネントウェーブ用ロッドを得た。
【0054】
[実施例3]
ホモポリプロピレンとブロックポリプロピレンとを1:1の割合で混合した樹脂を用いた以外は上記実施例1と同様にして実施例3のパーマネントウェーブ用ロッドを得た。
【0055】
[実施例4]
ブロックポリプロピレンを用いた以外は上記実施例1と同様にして実施例4のパーマネントウェーブ用ロッドを得た。
【0056】
[比較例1]
ポリプロピレンを用い、上記実施例1と同様の一対の輪ゴム係止部と円筒状で開口部のないロッド本体とをインジェクション成形により一体成形することで比較例1のパーマネントウェーブ用ロッドを得た。ロッド本体の長さを79mmとし、それ以外のロッド本体及び輪ゴム係止部の外径、厚み等は上記実施例1と同様にした。
【0057】
[比較例2]
ポリカーボネートを用い、上記実施例1と同様の一対の輪ゴム係止部と中央から左右方向にかつ略等角度間隔に9本のスリットを有するロッド本体とをインジェクション成形により一体成形することで比較例2のパーマネントウェーブ用ロッドを得た。ロッド本体の長さを79mmとし、ロッド本体及び輪ゴム係止部の外径、厚み等は上記実施例1と同様にした。スリットによるロッド本体の開口率は約25%とした。
【0058】
[特性の評価]
上記実施例1〜4及び比較例1〜2のパーマネントウェーブ用ロッドを用い、各パーマネントウェーブ用ロッドのロッド本体中央部の単位荷重当たりの撓み量を下記の方法で測定した。また、実施例1〜4及び比較例1〜2のパーマネントウェーブ用ロッドを用い、経歴10年以上の美容師が女性被験者に実際にパーマネント加工を施術し、以下の評価を行った。その結果を下記表1に示す。
【0059】
(1)ロッド本体中央部の単位荷重当たりの撓み量
長さ/速度計付測定スタンド(株式会社イマダ製の「MX−500N−E」)に、平型アタッチメント(株式会社イマダ製)をセットしたデジタルフォースゲージ(株式会社イマダ製の「ZP−100N」)を取り付け、このスタンドに一対の三角柱状台を載置し、この一対の三角形状台にロッド本体の両端部近傍が当接するようパーマネントウェーブ用ロッドを載置し、アタッチメントをロッド本体中央部に垂直に降ろし、捲回作業の際に作用しうる3〔N〕、5〔N〕及び7〔N〕の力を加え、撓み量(フォースゲージの移動距離)を測定した。それらの測定値を対応する力で除した値の平均値を当該撓み量とした。
【0060】
(2)ワインディング評価
ワインディング作業において、比較的短時間で容易にロッド本体に毛髪を捲回できた場合を○、捲回に少し労力を感じた場合を△、捲回に非常に労力を有する場合を×として比較評価した。
【0061】
(3)中間水洗の容易性評価
きわめて容易かつ確実に中間水洗を行うことができた場合を○、中間水洗に若干の困難を伴った場合を△、中間水洗に多大な困難を伴った場合を×として比較評価した。
【0062】
(4)毛髪への2剤の浸透容易性評価
毛髪のあらゆる箇所に対して容易に2剤を浸透させることができた場合を○、毛髪のあらゆる箇所に対して2剤を浸透させることはできたが、若干の困難を伴った場合を△、毛髪のあらゆる箇所に2剤を浸透させることができなかった場合を×として比較評価した。
【0063】
(5)リッジ性評価
施術後の毛髪について、優れた弾力感及び根元の立ち上がり感を得られた場合を○、適度の弾力感及び根元の立ち上がり感を得られた場合を△、所望の弾力感及び根元の立ち上がり感を得られなかった場合を×として比較評価した。
【0064】
(6)毛先の纏まり性評価
施術後の毛髪について、良好な毛先までの纏まり感を得られた場合を○、所望の毛先までの纏まり感を得られなかった場合を×として比較評価した。
【0065】
(7)毛髪の損傷防止性評価
施術後に、毛髪の傷みを感じなかった場合を○、毛髪の傷みを少し感じた場合を△、毛髪の傷みを感じた場合を×として比較評価した。
【0066】
【表1】

【0067】
適度な柔軟性及び弾力感を有する実施例1〜4のパーマネントウェーブ用ロッドは、比較的硬質な比較例1及び2のパーマネントウェーブ用ロッドと比較して、ワインディング作業における毛髪の巻きやすさを有している。また、大きな開口率を有する実施例1〜4のパーマネントウェーブ用ロッドは、開口率の小さい比較例1及び2のパーマネントウェーブ用ロッドと比較して、優れた中間水洗の確実容易性及び2剤の浸透容易性を有している。そのため、実施例1〜4のパーマネントウェーブ用ロッドは、比較的硬質な比較例1及び2のパーマネントウェーブ用ロッドと比較して、施術時間の短縮化が図られ、優れたリッジ性、毛先までの纏まり性及び毛髪の損傷防止性が発現されている。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明のパーマネントウェーブ用ロッドは、美容室等におけるパーマネントウェーブの施術の用具として有用であり、特に経験の少ない美容師や家庭での個人的使用に適している。
【符号の説明】
【0069】
1 パーマネントウェーブ用ロッド
2 ロッド本体
3 輪ゴム係止部
4 右巻き線状材
5 左巻き線状材
6 網目状開口部
7 切欠部
8 方形板状舌片部
9 凸条部
a ロッド本体の内面
b 仮想円筒面
c 仮想円筒面
α 頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の合成樹脂製ロッド本体と、
このロッド本体の両端に延設され、外側に複数の切欠部を有する略短円筒状の一対の輪ゴム係止部と
を備えるパーマネントウェーブ用ロッドであって、
上記ロッド本体が網状に形成されており、
上記ロッド本体の外径(R)に対する長さ(L)の比(L/R)が1.5以上2.5以下であることを特徴とするパーマネントウェーブ用ロッド。
【請求項2】
上記ロッド本体の長さ(L)が30mm以上70mm以下である請求項1に記載のパーマネントウェーブ用ロッド。
【請求項3】
上記ロッド本体の開口率が30%以上70%以下である請求項1又は請求項2に記載のパーマネントウェーブ用ロッド。
【請求項4】
上記ロッド本体を構成する線状材の平均幅が0.5mm以上2.5mm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のパーマネントウェーブ用ロッド。
【請求項5】
上記ロッド本体が、中心軸の一方向を基準として右巻き螺旋状にかつストライプ状に配設される複数の右巻き線状材と、これとは対称に左巻き螺旋状にかつストライプ状に配設される複数の左巻き線状材とが格子状に交差する網状構造を有している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパーマネントウェーブ用ロッド。
【請求項6】
上記ロッド本体を構成する右巻き線状材及び左巻き線状材が、三角形状の断面形状を有し、その一角がロッド本体の半径方向外方を向くよう配設されている請求項5に記載のパーマネントウェーブ用ロッド。
【請求項7】
上記複数の右巻き線状材及び複数の左巻き線状材のうち一方の線状材群が構成する外径より他方の線状材群が構成する外径が小さくされている請求項5又は請求項6に記載のパーマネントウェーブ用ロッド。
【請求項8】
下方を支持し、上方からロッド本体中央部に荷重を付加した場合において、ロッド本体中央部の単位荷重当たりの撓み量が0.18mm/N以上0.25mm/N以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のパーマネントウェーブ用ロッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−182888(P2011−182888A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49896(P2010−49896)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)