説明

パーマネント用ロッド

【課題】ロッド全体における温度分布のばらつきを従来よりも抑えたパーマネント用ロッドを提供することである。
【解決手段】パーマネント用ロッド10は、毛髪が巻かれるロッド本体11と、当該ロッド本体11に装着されて発熱体13への通電によりロッド本体11を通じて毛髪を加熱する加熱フィルム12とを有する。加熱フィルム12は、ほぼ平行四辺形状の部材を用いて、二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺部を重ね合わせて接合する接合部14がスパイラル状となるような筒状に形成する。もし温度分布のばらつきが生じてもスパイラル状のために分散され、従来技術のような直線状のために集中することはない。したがって、ロッド10全体における温度分布のばらつきを従来よりも抑えられる。ロッド10に毛髪を巻いてパーマネントをかけると、従来よりは意図するウェーブにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド本体と加熱部材とを有するパーマネント用ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパーマネント用ロッドでは、少なくともロッド本体と加熱フィルムとを有し、加熱フィルムに備えた抵抗材によって熱を発生させる技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。また、ケース部とヒータ部とを有し、ヒータ部に備えたずれ止め部で端部の位置関係を保つ技術の一例が開示されている(例えば特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2004−290562号公報
【特許文献2】特開2005−000402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の加熱フィルムおよび特許文献2のヒータ部はいずれも平面状の加熱部材であるが、端辺部(すなわち辺の端部)に発熱体を設けるのは限界がある。例えば特許文献1の図4や特許文献2の図2に表すように、加熱部材の各端辺部には発熱体が設けられていない。このような加熱部材をロッド本体に装着して発熱体に通電しても、加熱部材の端と端を合わせた直線状部位(言い換えればロッド本体の外周面において軸方向に沿った直線状部位)は熱せられず、これ以外の部位は熱せられるので、ロッド全体の温度分布にばらつきが生じる。上記直線状部位に集中して温度分布のばらつきがあると、ロッドに毛髪を巻いてパーマネントをかけると意図しないウェーブになる可能性がある。
【0004】
上述のような直線状に熱せられない部位を無くすには、例えば特許文献2の図4(A)に表すように加熱部材の端辺部を重ね合わせて接合する方法が考えられる。ところが、接合を行った部位の双方に発熱体が設けられた場合には他の部位よりも熱くなり、この場合もロッド全体の温度分布にばらつきが生じる。また、例えば特許文献2の図4(B)に表すように加熱部材の端辺部を重ね合わせたことで、ロッド本体と加熱部材との間に隙間が生ずる場合がある。この隙間からは、せっかく発熱体で発生させた熱の一部が放散されるため、ロッド本体を通じて毛髪を十分に熱せられない可能性がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、第1にロッド全体における温度分布のばらつきを従来よりも抑えたパーマネント用ロッドを提供することを目的とする。第2に加熱部材の端辺を重ね合わせる際に隙間を無くして毛髪を十分に熱することが可能なパーマネント用ロッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、毛髪が巻かれるロッド本体と、当該ロッド本体に装着されて発熱体への通電により前記ロッド本体を通じて毛髪を加熱する加熱部材とを有するパーマネント用ロッドであって、前記加熱部材は、ほぼ平行四辺形状の部材を用いて、二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺部を重ね合わせて接合する接合部がスパイラル状となるような筒状に形成したことを要旨とする。
【0007】
加熱部材は、通電により発熱する発熱体を備えた部材であれば材質は任意である。解決手段1によれば、ほぼ平行四辺形状に加工された加熱部材は、筒状に形成することで接合部がスパイラル状となる。この接合部に発熱体が設けられない場合には、スパイラル状となる部位も熱せられず、温度分布のばらつきが生じ得る。しかしながら、仮に温度分布のばらつきが生じてもスパイラル状のために分散され、従来技術のような直線状のために集中することはない。したがって、ロッド全体における温度分布のばらつきを従来よりも抑える。ロッドに毛髪を巻いてパーマネントをかけると、従来よりは意図するウェーブにすることができる。
【0008】
(2)解決手段2は、解決手段1に記載したパーマネント用ロッドであって、発熱体は少なくとも一方側の組にかかる対辺とほぼ平行に形成した一の直線状パターンを有し、加熱部材は前記一の直線状パターンを接合部またはその近傍に形成したことを要旨とする。
【0009】
接合部は、一方側の組にかかる対辺を含み、他方側の組にかかる対辺を含まない。解決手段2によれば、発熱体には少なくとも一方側の組にかかる対辺とほぼ平行に一の直線状パターンが形成され、この一の直線状パターンは接合部またはその近傍(すなわち接合部上や、接合部に接近した位置であって発熱体による熱される部位)に位置させる。こうして接合部も発熱体によって全体的に熱せられるので、ロッド全体がほぼ均一に熱せられる。したがって、温度分布のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0010】
(3)解決手段3は、解決手段1または2に記載したパーマネント用ロッドであって、加熱部材は、一方側の組にかかる端辺部について一方の端辺部と他方の端辺部とで合わせ代を異ならせ、合わせ代が少ない方の端辺部がロッド本体に接近する側に現れるように重ね合わせて接合することを要旨とする。
【0011】
加熱部材の端辺部を重ね合わせて接合する場合には、双方の端辺部に合わせ代が必要となる。解決手段3によれば、一方の端辺部と他方の端辺部とで合わせ代を異ならせ、合わせ代が少ない方の端辺部がロッド本体に接近する側に現れるように重ね合わせて接合する。こうすれば接合部に発熱体を位置させてロッド全体をほぼ均一に熱せられるので、温度分布のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0012】
(4)解決手段4は、解決手段1から3のいずれか一項に記載したパーマネント用ロッドであって、加熱部材は、一方側の組にかかる端辺部を重ね合わせた後の外周面をほぼ平坦とするため、一方の端辺部を断面がL字状となるように形成するか、あるいは一方または双方の端辺部にかかる厚みを他の部位と異ならせたことを要旨とする。
【0013】
解決手段4によれば、一方側の組にかかる端辺部について、一方の端辺部を断面がL字状(もしくは段差状)となるように形成し、他方の端辺部を平坦状に形成する。あるいは、一方または双方の端辺部にかかる厚みを他の部位と異ならせ、重ね合わせた後の厚みが他の部位とほぼ同じとなるように形成する。いずれの構成にせよ、一方側の組にかかる端辺部を重ね合わせた後の外周面がほぼ平坦になるので、ロッド本体と加熱部材との間には隙間ができ難い。したがって、温度分布のばらつきを抑えるだけでなく、発熱体で発生させた熱の放散を防止して毛髪を十分に熱することもできる。
【0014】
(5)解決手段5は、毛髪が巻かれるロッド本体と、当該ロッド本体に装着されて発熱体への通電により毛髪を加熱する加熱部材とを有するパーマネント用ロッドであって、前記加熱部材は、ほぼ四角形状に形成し、二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺に一以上の接続部を設け、前記接続部による接続を行うと、前記発熱体どうしを導通するとともに、前記加熱部材自体を筒状に保持することを要旨とする。
【0015】
解決手段5によれば、二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺、すなわち筒状にする際に合わせる端辺に一以上の接続部を設ける。この接続部は、加熱部材自体を筒状に保持する機能と、発熱体どうしを導通(電気的に接続することを意味する。以下同じ。)する機能との双方を果たす。前者の機能によれば、加熱部材をロッド本体に密着させて熱を確実に伝達できる。後者の機能によれば、端辺部にも発熱体が設けられるので温度分布のばらつきをより確実に抑えられる。
【0016】
(6)解決手段6は、解決手段1から5のいずれか一項に記載したパーマネント用ロッドであって、固定手段によりロッド本体と加熱部材とを固定することを要旨とする。
【0017】
解決手段6によれば、固定手段を用いてロッド本体と加熱部材とを固定する。固定手段は、接着剤を用いた接着、接着用シート(特に熱等の外力によって硬化する材質が望ましい)を用いた接着、加熱や超音波等による溶着、締結部材(例えばネジやボルト等)を用いた締結などが該当する。ロッドを落としたり、外力が加わる等のアクシデントが生じた場合でも、ロッド本体と加熱部材との位置関係がずれない。加熱部材とロッド本体との密着状態が確実に維持されるので、加熱部材からロッド本体に熱を確実に伝達することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロッド全体における温度分布のばらつきを従来よりも抑えることができる。また、加熱部材の端辺を重ね合わせる際に隙間を無くして毛髪を十分に熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお以下では、簡単のために「パーマネント用ロッド」を「ロッド」と略称する。
【0020】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、ほぼ平行四辺形状に加工された加熱部材を用いてロッドを構成した例であって、図1,図2を参照しながら説明する。図1には、ロッドの構成例を模式的に分解斜視図で表す。加熱部材の構成例について、図2(A)には平面図を表し、図2(B)には図1の一部を拡大した斜視図で表す。
【0021】
図1に表すロッド10は、ロッド本体11,加熱フィルム12,電源ケーブル15などを有する。ロッド本体11は外周面に毛髪を巻く部材であって、中空状(例えば円筒状等)に形成される。ロッド本体11の材質は、筒状(例えば円筒形状や円柱形状等の筒体)に形成できれば任意である。ただ、パーマネント処理のために毛髪を熱したり毛髪に液剤(例えばカール剤,トリートメント剤,パーマ液等)をかける等を行うので、熱や液剤等に対する耐性や剛性の高い材質(例えばポリカーボネイト等の合成樹脂)にするのが望ましい。このロッド本体11の内周面11a(ほぼ全周)に沿って、後述する加熱フィルム12を装着する。装着方法は任意であるが、本例では円筒状に丸めて両端部を固定した加熱フィルム12における軸方向の中央部で元の平面形態に戻ろうとする復元力(弾性力)を利用して装着する。装着後のロッド10は、外筒に相当するロッド本体11と、内筒に相当する加熱フィルム12とからなる二重筒となる。
【0022】
加熱フィルム12は加熱部材に相当し、通電によって発熱する発熱体13を有する。この加熱フィルム12は丸めて筒状となるように可撓性を有すれば、材質や厚み等は任意である。ただし、発熱体13によって生じた熱(温度は例えば300〜400[℃])に耐え得るだけの材質(例えばナイロンやポリアミド等の合成樹脂)にするのが望ましい。発熱体13を設ける位置は、加熱フィルム12の表面でも内部でもよい。
【0023】
本例では図2(A)に表すように狭角θや辺長Lを有する平行四辺形状の部材を用い、端辺部(すなわち辺の端部)12a,12bを例えば矢印D1,D2のように曲げて、二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺部12aと端辺部12bを重ね合わせる。こうして重ね合わせた状態のまま固定手段(本例ではリベット16)を用いて両端部を固定して接合すると、図1に表すような外径φの円筒状に形成できる。所望の大きさの外径φにするには、狭角θや辺長Lを適切に設定する必要がある。
【0024】
端辺部12a,12bを重ね合わせた接合部14は、加熱フィルム12を筒状に形成したとき図1に表すようなスパイラル状になる。スパイラル状の接合部14を維持するにあたっては、リベット16で締結する両端部の位置が所定角度だけずれる。この所定角度は上記狭角θや辺長Lの大小に応じて任意に設定できるものの、180度が最も望ましい。図1の例では位置関係を見やすくするために記載したので、所定角度は約90度である。両端部を固定して筒状にした加熱フィルム12は接合部14の中央部に隙間が無くなる。また、スパイラル状となるように丸める際に生じた捻りを解消する方向に復元力が働くため、加熱フィルム12全体の形態(すなわち円筒形)をほぼ保ったまま外径φが大きくなってロッド本体11の内周面11aに密着し易い。他方側の組にかかる端辺部12c,12dは、筒状に形成した場合に端部となる。
【0025】
なお、端辺部12bの合わせ代W2は、端辺部12aの合わせ代W1よりも幅を広くする。すなわちW2>W1であって、例えば合わせ代W2を5[mm]程度に設定し、合わせ代W1が2[mm]程度に設定する。また図2(B)に表すように、幅が狭い方の合わせ代W1にかかる端辺部12aがロッド本体11に接近する側(すなわち外周面)に現れるように重ね合わせて接合する。
【0026】
発熱体13は電気抵抗となる抵抗材であって、通電によって発熱すれば材質は任意である。例えば、ニッケル−クロム合金や鉄−クロム合金等が該当する。本例の発熱体13は加熱フィルム12の表面に所定のパターンで設けられる。当該所定のパターンは、例えば図2に表すように一方側の組にかかる対辺(図中の縦辺)とほぼ平行に形成した一の直線状パターン13aと、他方側の組にかかる対辺(図中の横辺)とほぼ平行に形成した複数の直線状パターン13bとを有する。一の直線状パターン13aは端辺部12bに沿って設け、複数の直線状パターンはジグザグ状に接続して設ける。
【0027】
上述した発熱体13に通電するため、加熱フィルム12には二つの端子12eが設けられる。各端子12eはそれぞれ発熱体13のパターンの端に位置して設けられ、電源に接続するための電源ケーブル15が接続されている。電源は発熱体13に対して電力を供給できれば種類は任意である。例えばコンセントから供給される商用電源や、温度制御等を行う制御装置に備えられた電源などが該当する。
【0028】
上述した実施の形態1によれば、以下に表す各効果を得ることができる。
(a1)ほぼ平行四辺形状に加工された加熱フィルム12は、筒状に形成することで接合部14がスパイラル状となる(図1を参照)。この接合部14に発熱体13が設けられない場合には、スパイラル状となる部位も熱せられず、温度分布のばらつきが生じ得る。しかしながら、仮に温度分布のばらつきが生じてもスパイラル状のために分散され、従来技術のような直線状のために集中することはない。したがって、ロッド10に毛髪を巻いてパーマネントをかけると、従来よりは意図するウェーブに処理することができる。
【0029】
(a2)発熱体13には、少なくとも一方側の組にかかる対辺(図2の縦辺)とほぼ平行に一の直線状パターン13aが形成されている。平面状の加熱フィルム12を円筒状に丸めてリベット16で両端部を固定すると、一の直線状パターン13aは接合部14の近傍(すなわち接合部14に接近した位置であって発熱体13によって熱される部位)に位置する(図2(B)を参照)。よって接合部14も発熱体13によって全体的に熱せられるので、ロッド10の全体がほぼ均一に熱せられる。したがって、温度分布のばらつきをより確実に抑えることができる。なお、一の直線状パターン13aを接合部14上に位置させて形成した場合にも同様の作用効果が得られる。
【0030】
(a3)端辺部12a(一方の端辺部)と端辺部12b(他方の端辺部)とで合わせ代を異ならせ、幅が狭い方の合わせ代W1にかかる端辺部12aがロッド本体11に接近する側に現れるように重ね合わせて接合する(図2(B)を参照)。こうすれば接合部14に複数の直線状パターン13bを位置させ、かつ当該複数の直線状パターン13bに一の直線状パターン13aを接近させられる。したがって、ロッド10の全体をほぼ均一に熱せられるので、温度分布のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0031】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、ほぼ四角形状に加工された加熱部材を用いてロッドを構成した例であって、図3,図4を参照しながら説明する。図3には、ロッドの構成例を模式的に分解斜視図で表す。加熱部材の構成例について、図4(A)には平面図を表し、図4(B)には図3の一部を拡大した斜視図で表す。
なお、図示および説明を簡単にするために実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
実施の形態2は、実施の形態1と次の点で相違する。第1に、図3に表すように一以上(図3の例では4つ)の接続部17を加熱フィルム12に備える。第2に、図4(A)に表すように加熱フィルム12をほぼ四角形状に加工する。第3に、加熱フィルム12に設ける発熱体13のパターンを異ならせる。
【0033】
上記第1の相違点に関連して、接続部17は図4(A)に表すピン17aと収容部17bとからなる。これらのピン17aおよび収容部17bは、加熱フィルム12の端辺(左右の縦辺)にそれぞれ備える。また材質は任意であるが、接続時に導通する材質の部材を少なくとも一部に備える必要がある。収容部17bはピン17aを着脱可能に収容し、かつ収容状態を保持可能な係止構造を有する。すなわち接続部17は、図3に表すように接続状態で加熱フィルム12を筒状に保持する機能と、発熱体13どうしを導通する機能とを兼ねる。前者の機能は、加熱フィルム12の端辺部12a,12bを図4(A)に表す矢印D3,D4のように曲げて接続部17による接続を行うだけで、図3に表す筒状形態が維持されることを意味する。一方、収容部17bからピン17aを抜いて接続を解除すれば、加熱フィルム12は図4(A)に表す平面形態に戻る。このように接続部17の接続を行うに伴って端辺部12a,12bの端面を合わせるので(図4(B)を参照)、実施の形態1における接合を行うための合わせ代W1,W2を考慮する必要がない。
【0034】
上記第2と第3の相違点に関連して、複数の直線状パターン13cは加熱フィルム12の縦辺と交差するような線分(図4(A)の例では斜線)とし、これらをジグザグ状に接続して設ける。一部の直線状パターン13cについては加熱フィルム12の端辺で跨ぐことになり、これらを接続するために上記接続部17を用いる。
なお、上述した接続部17は発熱体13のパターンとの接続関係を分かり易くするために、加熱フィルム12の外周面に現れる位置に備えた(図3および図4(A)を参照)。実際には加熱フィルム12の内周面に現れる位置に接続部17を備えるのが望ましく、この場合には接続部17(ピン17aおよび収容部17b)と発熱体13をスルーホール(電気的に接続されるもの)を介して接続すればよい。こうすれば、ロッド本体11と発熱体13との間に隙間を無くしてほぼ前面を密着させることができる。したがって、発熱体13で発生した熱を効率よくロッド本体11に伝えられる。
【0035】
上述した実施の形態2によれば、以下に表す各効果を得ることができる。
(b1)ほぼ四角形状に加工された加熱フィルム12は、筒状に形成することで加熱フィルム12に備えた複数の直線状パターン13cがスパイラル状となる(図3を参照)。この構成によれば、ロッド10の全体で温度分布をほぼ均一にできる。よってロッド10に毛髪を巻いてパーマネントをかけると、意図するウェーブに処理することができる。
【0036】
(b2)二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺(図4(A)では左右の縦辺)、すなわち筒状にする際に合わせる端辺に一以上の接続部17を設ける(図4(A)を参照)。この接続部17について、加熱フィルム12を筒状に保持する機能によれば、加熱フィルム12をロッド本体11に密着させて熱を確実に伝達できる。また、発熱体13どうしを導通する機能によれば、端辺部12a,12bにも発熱体13が設けられるので温度分布のばらつきをより確実に抑えられる。さらに、ピン17aを収容部17bに差し込んで収容させるだけで簡単に加熱フィルム12を筒状に形成するので、ロッド10の製造工程が簡易化されるので生産効率を向上させ、製造コストを低減させることができる。
【0037】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための最良の形態について実施の形態1,2に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に表す各形態を実現してもよい。
【0038】
(c1)実施の形態1では、加熱フィルム12に設ける発熱体13を一の直線状パターン13aと複数の直線状パターン13bとで構成した(図2(A)を参照)。この形態に代えて、他のパターン(直線に限らず曲線を含む)で加熱フィルム12に設けてもよい。例えば、複数の直線状パターン13bに代わる複数の直線状パターン13dを設けた例を図5に平面図で表す。この複数の直線状パターン13dは一の直線状パターン13aとほぼ平行な線分からなり、複数の直線状パターン13dをジグザグ状に接続して設ける。また、図4(A)に表す複数の直線状パターン13cのようなパターンで設けてもよい。この点は実施の形態2でも同様である。すなわち、加熱フィルム12に設ける発熱体13のパターンは任意である。曲線を含めた任意のパターンであっても、通電により発熱体13を発熱させることでパーマネント処理のために毛髪を熱することができる。
【0039】
(c2)実施の形態1では、平面状(断面が板状)に加工した加熱フィルム12を用いた(図1を参照)。この形態に代えて、一方側の組にかかる端辺部12a,12bのうち、一方の端辺部(例えば端辺部12a)を断面がL字状となるように形成し、他方の端辺部(例えば端辺部12b)を平坦状に形成してもよい。図6(A)に表す断面図では、一方の端辺部12fを断面がL字状となるように形成している。端辺部同士を重ね合わせて接合すると、図6(B)に表すように外周面に段差が現れない。こうして重ね合わせた後の外周面がほぼ平坦になるので、ロッド本体11と加熱フィルム12との間には隙間ができ難くなる。よって温度分布をほぼ均一にし、発熱体13で発生させた熱の放散を防止して毛髪を十分に熱することもできる。
【0040】
(c3)上記(c2)のほかに、端辺部12a,12bのうちで一方または双方の端辺部にかかる厚みを他の部位と異ならせ、重ね合わせた後の厚みが他の部位とほぼ同じになるように形成してもよい。図7(A)に表す断面図では、双方の端辺部12gの厚みを他の部位のほぼ半分で形成している。端辺部12gを重ね合わせて接合すると、図7(B)に表すように外周面に段差が現れない。よって(c2)と同様に、温度分布をほぼ均一にし、発熱体13で発生させた熱の放散を防止して毛髪を十分に熱することもできる。
【0041】
(c4)実施の形態1,2では、丸めた加熱フィルム12が元の平面形態に戻ろうとする復元力を利用してロッド本体11の内周面11aに装着する構成とした(図1,図3を参照)。この形態に代えて、加熱フィルム12をロッド本体11の内周面側に入れ、固定手段により加熱フィルム12とロッド本体11とを固定する構成としてもよい。固定手段は加熱フィルム12とロッド本体11とで固定できれば、その手段は任意である。例えば、接着剤を用いた接着、接着用シート(特に熱等の外力によって硬化する材質が望ましい)を加熱フィルム12に被せてロッド本体11の内周面11aにする接着、加熱や超音波等による溶着、締結部材(例えばネジやボルト等)を用いた締結などが該当する。ロッド10を落としたり、外力が加わる等のアクシデントが生じた場合でも、ロッド本体11と加熱フィルム12との位置関係がずれない。加熱フィルム12とロッド本体11との密着状態が確実に維持されるので、加熱フィルム12からロッド本体11に熱を確実に伝達することができる。
【0042】
(c5)実施の形態2では、発熱体13どうしの接続には接続部17を用いる構成とした(図4を参照)。この形態に代えて、他の接続部材を用いて接続する構成としてもよい。他の接続部材としては、例えば板部材および当該板部材を挟む挟持部材(例えばクリップ)の組み合わせなどが該当する。特に加熱フィルム12を筒状に保持する機能と、発熱体13どうしを導通する機能とを兼ねる部材が望ましい。他の接続部材を用いる場合でも、温度分布のばらつきがより確実に抑えられ、簡単に加熱フィルム12を筒状に形成できる。よって、ロッド10の製造工程が簡易化されるので生産効率を向上させ、製造コストを低減させることができる。
【0043】
(c6)実施の形態1,2では、ロッド10の温度を所望温度にする温度制御を行わない構成とした。この形態に代えて、温度制御を行う構成としてもよい。具体的には、ロッド本体11や加熱フィルム12に備える温度センサ(例えばサーミスタ)と、ロッド10とは別個に備えられて当該温度センサで検出した温度に基づいて発熱体13に供給する電力(電圧値または電流値)を制御する制御装置とを加えればよい。温度センサは、感温部が平面状であることが望ましい。この場合には、加熱フィルム12とロッド本体11の内周面11aとの間に挟むことができるので、より正確な温度設定が可能になる。また、上述した固定手段を用いることにより、温度センサを確実に固定することができる。
【0044】
(c7)実施の形態1,2では、加熱部材として通電によって発熱する発熱体13を備えた平面状の加熱フィルム12を適用した(図1〜図4を参照)。この形態に代えて、発熱可能な他の形状からなる加熱部材を適用してもよい。この場合でも単に加熱部材の形状が異なるに過ぎないので、実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
(c8)実施の形態1,2では、ロッド本体11や加熱フィルム12を円筒状に形成した(図1〜図4を参照)。この形態に代えて、円筒状以外の中空状(例えば角筒状や楕円筒状等)に形成してもよい。また、加熱フィルム12をロッド本体11の内部または外周面に備える構成であれば、中空状以外の形状で形成してもよい。いずれにせよ単に形状が異なるに過ぎないので、実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
(c9)実施の形態1,2では、加熱部材として発熱体13を備えた加熱フィルム12を用いた(図1等を参照)。この形態に代えて、通電により発熱可能な他の加熱部材を用いてもよい。他の加熱部材としては、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)面状発熱体が該当する。PTC面状発熱体は定常発熱体の一つであり、カーボンに樹脂の微粒子を混ぜ合わせてバインダーを加えて基体(例えばフィルム)上に形成する。サーモスタット制御,オープンループ制御,PTC制御等によって発熱温度を制御できる。すなわち面全体が一定温度で発熱するので、むらなく熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】パーマネント用ロッドの構成例を模式的に表す分解斜視図である。
【図2】加熱部材の構成例を表す平面図と一部拡大の斜視図である。
【図3】パーマネント用ロッドの構成例を模式的に表す分解斜視図である。
【図4】加熱部材の構成例を表す平面図と一部拡大の斜視図である。
【図5】加熱部材の構成例を表す平面図である。
【図6】加熱部材の構成例を表す断面図である。
【図7】加熱部材の構成例を表す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 パーマネント用ロッド
11 ロッド本体
11a 内周面
12 加熱フィルム(加熱部材)
12a,12b,12c,12d,12f,12g 端辺部
12e 端子
13 発熱体
13a 一の直線状パターン
13b,13c,13d 複数の直線状パターン
14 接合部
15 電源ケーブル
16 リベット(固定手段)
17 接続部
17a ピン
17b 収容部
W1,W2 合わせ代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪が巻かれるロッド本体と、当該ロッド本体に装着されて発熱体への通電により前記ロッド本体を通じて毛髪を加熱する加熱部材とを有するパーマネント用ロッドであって、
前記加熱部材は、ほぼ平行四辺形状の部材を用いて、二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺部を重ね合わせて接合する接合部がスパイラル状となるような筒状に形成したパーマネント用ロッド。
【請求項2】
請求項1に記載したパーマネント用ロッドであって、
発熱体は、少なくとも一方側の組にかかる対辺とほぼ平行に形成した一の直線状パターンを有し、
加熱部材は、前記一の直線状パターンを接合部またはその近傍に形成したパーマネント用ロッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載したパーマネント用ロッドであって、
加熱部材は、一方側の組にかかる端辺部について一方の端辺部と他方の端辺部とで合わせ代を異ならせ、合わせ代が少ない方の端辺部がロッド本体に接近する側に現れるように重ね合わせて接合するパーマネント用ロッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載したパーマネント用ロッドであって、
加熱部材は、一方側の組にかかる端辺部を重ね合わせた後の外周面をほぼ平坦とするため、一方の端辺部を断面がL字状となるように形成するか、あるいは一方または双方の端辺部にかかる厚みを他の部位と異ならせたパーマネント用ロッド。
【請求項5】
毛髪が巻かれるロッド本体と、当該ロッド本体に装着されて発熱体への通電により前記ロッド本体を通じて毛髪を加熱する加熱部材とを有するパーマネント用ロッドであって、
前記加熱部材は、ほぼ四角形状に形成し、二組の対辺のうちで一方側の組にかかる端辺に一以上の接続部を設け、
前記接続部による接続を行うと、前記発熱体どうしを導通するとともに、前記加熱部材自体を筒状に保持するパーマネント用ロッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載したパーマネント用ロッドであって、
固定手段によりロッド本体と加熱部材とを固定するパーマネント用ロッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−5103(P2010−5103A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167470(P2008−167470)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(507097246)株式会社FRASCO (2)
【出願人】(508193703)
【Fターム(参考)】