説明

ヒトマッカード−ジョセフ病関連蛋白質、その蛋白質をコードするcDNAおよび遺伝子、そのDNAまたは遺伝子を含むベクター、その発現ベクターで形質転換された宿主細胞、マッカード−ジョセフ病の診断方法および治療剤

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトマッカード−ジョセフ病関連蛋白質、その蛋白質をコードするcDNAおよび遺伝子、そのDNAまたは遺伝子を含むベクター、その発現ベクターで形質転換された宿主細胞、マッカード−ジョセフ病の診断方法および治療剤に関する。
【0002】
【発明の背景】原因不明の神経変性疾患のひとつにマッカード−ジョセフ病(Machado-JosephDisease、以下MJDと略記する。)がある。最初、いくつかの国の臨床医により別々の病名で呼ばれていたが、1976年、主に同一の遺伝子異常に基づく臨床亜型であることが証明された。後になって、この遺伝子異常は常染色体の優性遺伝の形式をとることが判明した。わが国でも1983年に初めてMJDが報告され、それ以降、報告は年々増加している。
【0003】MJDは、発病年齢が10才前後から50才前後と幅広く、初発症状としては運動失調による歩行障害を示すものが多く、次第に、平衡障害、協調運動障害、構音障害、眼振、眼球運動障害、筋萎縮などの症状が現われ、発病後約10年を経過した晩期には、自律神経障害、神経知能障害などの症状が現われ、これが元で最終的には自殺などにより死に至る場合が多い。本症は世代が進むにつれて発病年齢が若くなる傾向がみられる。
【0004】
【従来の技術】最近、MJDが一つの変異遺伝子に基づく疾患であると考えられるようになり、MJDの遺伝子座に関して盛んに研究されている。1993年、ツジらのグループは、連鎖の分析よりMJD遺伝子はヒト染色体14q24.3−32.1にマップされていることを突き止めた(Nature Genetics, 4, 300 (1993)参照のこと)。しかしながら、MJD遺伝子の同定には至っていない。
【0005】
【発明の目的】本発明者らは、MJD遺伝子を同定するために鋭意検討を重ねた。すなわち、MJDと同様に常染色体優性遺伝の形式をとる神経変性疾患であるハンチントン舞踏病、ケネデイー病、SCA1に着目した。最近、これらの関連遺伝子が相次いで同定され、患者の遺伝子では、塩基配列「CAG」の繰り返し数が正常人に比べ異常に多いことが判明した。また、興味深いことに、患者間での比較において、「CAG」の繰り返し数が多いほど発症年齢が下がり、臨床的重症度が増すということが明らかになった。MJDは、これらの遺伝性神経変性疾患と同様な遺伝形式および臨床経過をとることから、MJDでも関連遺伝子内での「CAG」リピートの異常な増幅によって発病しているのではないかと想定し、独自の方法で検討を重ねた。
【0006】本発明者らは、まず、CAGリピートに相補的であるCTGリピートを有するプローブを用いて、正常人の脳皮質より調製したcDNAライブラリーをスクリーニングした結果、明確なCAGリピート構造を有し、359アミノ酸をコードするcDNAクローン(CAG−27)を得た。
【0007】そこで、CAG−27の断片をプローブとして、ヒトジェノミックライブラリーのスクリーニングを行った結果、陽性クローンを得、さらにこれらのクローンはヒト染色体の14q.32.1 にマップされていることが判明した。これによってCAG−27がまさしくMJD関連遺伝子である可能性が高まった。CAG−27の断片を用いて、ヒト脳cDNAライブラリーを再度スクリーニングしたところ、新たに2種類のクローンが得られた。それらを比較したところ、CAGリピートの直前にスプライシングサイトが存在することが分かった。そこでCAGリピートより3′側のDNA断片をプローブとしてヒトジェノミックライブラリーを再度スクリーニングした結果、陽性クローンよりCAGリピートの直前のイントロンの構造が判明した。
【0008】最後にイントロンの3′側とCAGリピートの3′側をコードするプライマーを用いてPCR( Polymerase chain reaction)を行ったところ成功し、PCR生成物のアガロース電気泳動の結果より、正常人では13から36回のCAGリピート部分を有していたのに対し、MJD患者ではいずれも70回前後のリピートが認められた。ここに、本発明者らはMJD関連蛋白質、およびその蛋白質をコードする遺伝子を見出して、本発明を完成するに至った。さらに、MJD関連遺伝子の一部をPCRプライマーとするMJDの診断方法をも確立した。
【0009】スイスプロット(Swiss Prot Release 2.0)に登録されている既知のポリペプチドのアミノ酸配列を調査したが、本発明のポリペプチドと同一の配列を有しているものはまったく無かった。さらに、ジーンバンク(GenBank Release 70.0)に登録されているヌクレオチド配列も調査したが、本発明のポリペプチドをコードするcDNAと同一の配列は見つからなかった。従って、本発明のポリペプチドはまったく新規なものであることが確認された。
【0010】
【発明の開示】本発明は、(1)MJD関連蛋白質、(2)その蛋白質をコードするcDNA、(3)その蛋白質をコードする遺伝子、(4)上記(2)で示されるcDNAまたは上記(3)で示される遺伝子を含む複製または発現ベクター、(5)上記(4)で示される発現ベクターで形質転換された宿主細胞、(6)上記(3)で示される遺伝子を用いることを特徴とするMJDの診断方法、および(7)上記(4)で示されるベクターを有効成分として含有するMJD治療剤、に関する。
【0011】以下、具体的に説明する。
(1)MJD関連蛋白質には、実質的に純粋な形である、配列番号1で示されるアミノ酸配列のLys部が(Gln)n(式中、nは150以下の整数を表わし、(Gln)nはその配列の途中に少なくともひとつのLysを含んでいてもよい。)を介して配列番号2で示されるアミノ酸配列のArg部と結合したアミノ酸配列(以下、アミノ酸配列Aという。)を含むポリペプチド、そのホモローグ、その配列のフラグメント、およびそのホモローグが含まれる。
【0012】「実質的に純粋な形である」アミノ酸配列Aを含むポリペプチドとは、一般に、生産時のポリペプチドの90%以上、例えば、95、98または99%がアミノ酸配列Aで示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドであることを意味する。
【0013】「アミノ酸配列Aを含むポリペプチド」とは、アミノ酸配列Aからなるポリペプチドだけでなく、そのポリペプチドのN末端および/またはC末端に、アミノ酸配列Aのアミノ酸数の20%、より好ましくは5%以内の別個のポリペプチドを付加したポリペプチドを意味する。
【0014】アミノ酸配列Aを含むポリペプチドのホモローグとは、一般に少なくとも100個、好ましくは少なくとも150個、例えば200、250または300個の連続したアミノ酸領域で、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80または90%、より好ましくは95%以上相同性のあるものであり、そのようなホモローグは、以下本発明のポリペプチドとして記載される。
【0015】さらに、アミノ酸配列Aを含むポリペプチドのフラグメント、またはそれらのホモローグのフラグメントとは、アミノ酸配列Aを含むポリペプチドまたはそれらのホモローグのうち、少なくとも10アミノ酸、好ましくは少なくとも15アミノ酸、例えば20、25、30、40、50または60アミノ酸部分を意味する。
【0016】アミノ酸配列Aを含むポリペプチドのホモローグ、その配列のフラグメント、およびそのホモローグを別の観点から説明すると、配列番号1で示されるアミノ酸配列のLys部が(Gln)n(式中、nは150以下の整数を表わし、(Gln)nはその配列の途中に少なくともひとつのLysを含んでいてもよい。)を介して配列番号2で示されるアミノ酸配列のArg部と結合しているアミノ酸配列Aを有するもの以外に、そのアミノ酸配列の一部が欠損したもの(例えば、蛋白全長中、生物活性の発現に必須な部分だけからなるポリペプチド)、その一部が他のアミノ酸と置換したもの(例えば、物性の類似したアミノ酸に置換したもの)、およびその一部に他のアミノ酸が付加または挿入されたものも含まれる。
【0017】CAGリピートには、「CAG」そのもの、および「CAG」の亜型である「CAA」および「AAG」も含めて数えることが合理的である。本発明によれば、CAGリピートは正常人で数回から30回、MJD患者で約70回であることが判明している。また、疾患の重症度によっては100を越えることも予測される。従って、アミノ酸配列A中、Glnリピート数、すなわちnは150以下である。さらに(Gln)nは、その配列の途中に少なくともひとつ、例えば1から5個のLys(すなわち、塩基配列「AAG」に相当する)を含んでいてもよい。
【0018】(2)MJD関連蛋白質をコードするcDNAとは、(i)前記アミノ酸配列Aを含むポリペプチドをコードするcDNA、(ii)配列番号3で示される塩基配列のAAA部が(CXX)m(式中、CXXは、塩基配列「CAG」、「CAA」または「AAG」を表わし、mは150以下の整数を表わす。ただし、「CAA」および「AAG」の数は各々0から5個である。)を介して配列番号4で示される塩基配列のCGG部と結合した塩基配列(以下、塩基配列Bという。)を有するcDNA、(iii) 配列番号5で示される塩基配列のAAA部が(CXX)m(式中、CXXおよびmは前記と同じ意味を表わす。)を介して配列番号6で示される塩基配列のCGG部と結合した塩基配列(以下、塩基配列Cという。)を有するcDNA、および(iv)前記塩基配列BまたはCで示される塩基配列に選択的にハイブリダイズする塩基配列を有するcDNA、およびそれらのフラグメントが含まれる。
【0019】塩基配列BまたはCで示される塩基配列に選択的にハイブリダイズするcDNAとは、一般に、少なくとも300個、好ましくは、少なくとも450個、例えば600、750または900個の連続した塩基配列領域で、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80または90%、より好ましくは95%以上の相同性のあるものであり、そのようなcDNAは、以後本発明のcDNAとして記載される。
【0020】塩基配列BまたはCで示される塩基配列を有するcDNAおよびその塩基配列に選択的にハイブリダイズする塩基配列を有するcDNAのフラグメントとは少なくとも10塩基、好ましくは少なくとも45塩基、例えば60、75、90、120または150塩基部分を意味し、そのようなフラグメントも本発明のcDNAに含まれる。
【0021】よく知られているように、ひとつのアミノ酸をコードするコドンは1〜6種類(例えば、メチオニン(Met)は1種類、ロイシン(Leu)は6種類)知られている。従って、ポリペプチドのアミノ酸配列を変えることなくcDNAの塩基配列を変えることができる。従って、(i)で特定される本発明のcDNAには、それぞれ前記アミノ酸配列Aで示されるポリペプチドをコードするすべての塩基配列群(但し、(Gln)n部分は(CXX)mによってコードされているものとする。)が含まれる。塩基配列を変えることによってポリペプチドの生産性が向上することがある。
(ii)で特定されるDNAは、(i)で示されるDNAの一態様であり、(iii) に示されるDNAは、(ii)で特定されるDNAに天然の非翻訳部分を加えた配列を示す。
【0022】CAGリピートは正常人で数回から30回、MJD患者で約70回であることが判明している。従って、塩基配列BまたはCで示される塩基配列中、CAGリピートの数、すなわち、mは150以下である。塩基配列B、Cおよび後記のDで示される塩基配列中、「CXX」は「CAG」、「CAA」または「AAG」を表わすが、「CAA」および「AAG」の数は各々0から5個である。
【0023】(3) MJD関連遺伝子とは、ヒト遺伝子、14q24.3−32.1にマップされている少なくとも5つのエクソンからなる遺伝子のことである。本発明では、その全エクソンとイントロンの一部をシークエンスすることに成功した。より具体的には、配列番号7で示される塩基配列のAGA部が(CXX)m(式中、CXXおよびmは前記と同じ意味を表わす。)を介して配列番号8で示される塩基配列(以下、塩基配列Dという。)を有する染色体DNAである。塩基配列Dには、CAGリピートを含むエクソン部分(本発明では第4エクソンと呼ぶことにする。)とその上流に位置するイントロン部分の塩基配列が明らかにされている。
【0024】CAGリピートは正常人で数回から30回、MJD患者では約70回であることがわかった。従って、塩基配列Dにおいて、mは150以下と定義される。CAGリピートの数は、発症年齢や臨床的重症度と密接な関係があることが予測される。従って、CAGリピートの数を調べることは、MJDの診断法の一つとして利用することができる。本発明のcDNAおよび遺伝子は、遺伝子組み換え法、合成法あるいは当業者に公知の方法によって取得することができる。
【0025】塩基配列BまたはCで示される塩基配列を有するcDNA、または塩基配列Dで示される塩基配列を有する遺伝子は、以下の方法に従って調製される。すなわち、(i)CAGリピートまたはそれに相補的なCTGリピートを有するプローブを調製し、(ii)(i)で調製したプローブを用いて、ヒトcDNAライブラリーをスクリーニングし、(iii) (ii)で得られた陽性クローンをプローブとして、ヒトジェノミックライブラリーをスクリーニングし、(iv) 得られた陽性クローンを遺伝子マッピングし、(v)14q24.3−32.1にマッピングされているものを検索することによって行なわれる。
【0026】各ステップの詳細な方法は、後記の実施例に記載した方法に従って行なわれる。 塩基配列B、CまたはDで示される塩基配列が一旦確定されると、その後は、化学合成によって、またはPCR法によって、あるいはその塩基配列の断片をプローブとしたハイブリダイズ法によって、本発明のDNAを得ることができる。さらに、本DNAを含有するベクターDNAを適当な宿主に導入し、これを増殖させることによって、目的とする本発明DNAを必要量得ることができる。
【0027】本発明のポリペプチド(例えば、アミノ酸配列Aを含むポリペプチド)を取得する方法としては、(a)生体または培養細胞から精製単離する方法、(b)ペプチド合成する方法、または(c)遺伝子組み換え技術を用いて生産する方法、などが挙げられるが、工業的には(c)に記載した方法が好ましい。
【0028】遺伝子組み換え技術を用いてポリペプチドを生産するための発現系(宿主−ベクター系)としては、例えば、細菌、酵母、昆虫細胞および哺乳動物細胞の発現系が挙げられる。例えば、大腸菌で発現させる場合には、蛋白部分をコードするDNA(例えば、塩基配列Bで示される塩基配列をコードするDNA)を、適当なプロモーター(例えば、trpプロモーター、lacプロモーター、λPLプロモーター、T7プロモーター等)の下流に接続し、大腸菌内で機能するベクター(例えば、pBR322、pUC18、pUC19等)に挿入して発現ベクターを作製する。次に、この発現ベクターで形質転換した大腸菌(例えば、E. coli DH1、E.coli JM109、E. coli HB101株等)を適当な培地で培養して、その菌体より目的とするポリペプチドを得ることができる。また、バクテリアのシグナルペプチド(例えば、pelBのシグナルペプチド)を利用すれば、ペリプラズム中に目的とするポリペプチドを分泌することもできる。さらに、他のポリペプチドとのフュージョン・プロテイン(fusion protein)を生産することもできる。
【0029】また、哺乳動物細胞で発現させる場合には、例えば、塩基配列Cで示される塩基配列をコードするDNAを適当なベクター(例えば、レトロウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、SV40系ベクター等)中の適当なプロモーター(例えば、SV40プロモーター、LTRプロモーター、メタロチオネインプロモーター等)の下流に挿入して発現ベクターを作製する。次に、得られた発現ベクターで適当な哺乳動物細胞(例えば、サルCOS−7細胞、チャイニーズハムスターCHO細胞、マウスL細胞等)を形質転換し、形質転換体を適当な培地で培養することによって、その培養液中に目的とするポリペプチドが分泌される。以上のようにして得られたポリペプチドは、一般的な生化学的方法によって単離精製することができる。
【0030】(4) 本発明には、本発明のcDNAまたは遺伝子を含む複製または発現ベクターが含まれる。ベクターとしては、例えば、ori領域と、必要により上記DNAまたは遺伝子の発現のためのプロモーター、プロモーターの制御因子などからなるプラスミド、ウィルスまたはファージベクターが挙げられる。ベクターはひとつまたはそれ以上の選択的マーカー遺伝子、例えばアンピシリン耐性遺伝子を含んでいてもよい。
【0031】(5) さらに、本発明には、上記(4)に示される複製または発現ベクターで形質転換された宿主細胞も含まれる。細胞としては、例えば細菌、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞が挙げられる。
【0032】
【発明の効果】こうして得られた本発明のMJD関連蛋白質は、MJD治療剤として用いることができる。すなわち、本発明の蛋白質(CAGリピートが正常範囲であるもの)をコードするDNAを含む発現ベクターを全身的あるいは局所的(好ましくは、公知のターゲティング法による局所投与により)に投与する。該ベクターは脳細胞内に侵入し、遺伝子に入り込んで正常範囲のCAGリピートを有するMJD関連蛋白質を継続的に発現する。正常であるMJD蛋白質が異常であるMJD蛋白質に対して大過剰に発現されると、異常である蛋白質はもはや表現されなくなる。
【0033】本発明のMJD関連蛋白質は、そのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いて、生体におけるその蛋白質の定量を行なうことができる。これによってその蛋白質(遺伝子)と疾患の関係の研究あるいは疾患の診断等に利用することができる。本発明の蛋白質および遺伝子は現在のところMJDとの関連でしか論じられていないが、MJD以外の小脳変性疾患あるいはまったく別個の疾患に関連している可能性およびまったく新しい生理活性を有する蛋白質である可能性は否定できない。そのような理由から、重要な意味を持ってくると考えられる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、その蛋白質あるいはその断片を抗原として用いて常法により作製することができる。
【0034】本発明のcDNAは、本発明の蛋白質を生産する際の重要かつ必須の鋳型となるだけでなく、MJDの治療に用いることができる。すなわち、アンチセンスDNAを含む発現ベクターを投与することによって、異常であるMJD蛋白質の発現を停止させることができる。また、本発明のcDNAをプローブとしてジェノミックDNAの分離に利用できる。さらに、MJD関連遺伝子と相同性の高い遺伝子配列を有すると考えられる、MJD以外の小脳変性疾患の遺伝子を分離することも可能である。
【0035】本発明の遺伝子は、MJDの診断に利用することができる。CAGリピートの数は発症年齢や臨床的重症度と密接な関係があると考えられる。従って、CAGリピートの数を調べることによって、発症年齢を予測したり、発症した場合の症状をある程度予測したりすることができる。
【0036】CAGリピートの数を調べるには、CAGリピート部分の両端の数塩基をプライマーとするPCR法が用いられる。より具体的には、CAGリピートの5′末端に位置するイントロン部分(配列番号9で示す。)のうち、任意の10から30塩基と、第4エクソン中のCAGリピート部分の3′末端側に位置する部分(配列番号10で示す。)のうち、任意の10から30塩基をプライマーとして、対象とするヒトの遺伝子またはmRNAをPCR法によって増幅した後、常法に従い、アガロース電気泳動に付すことにより行なわれる。より好適には、配列番号11で示される塩基配列
【0037】5′−CCAGTGACTACTTTGATTCG−3′および
【0038】配列番号12で示される塩基配列
【0039】5′−TGGCCTTTCACATGGATGTGAA−3′、または配列番号11で示される塩基配列
【0040】5′−CCAGTGACTACTTTGATTCG−3′および配列番号13で示される塩基配列
【0041】5′−CTTACCTAGATCACTCCCAA−3′で示される塩基配列がプライマーとして用いられる。PCRの条件は常法によって設定できるが、例えば、サンプルDNA(遺伝子)200ng、プライマーをそれぞれ200ng、50mM KCl、10mM トリス塩酸緩衝液(pH8.8 )、1.5 mM MgCl2、0.1 %トリトン(Triton)×100、10%(v/v)DMSO、5ユニットTaqポリメラーゼ(和光純薬(株)製)を、総量20μlとする系、95℃、5分間→(95℃、1分間→57℃、1分間→72℃、1分間)×25サイクル→72℃、10分間の条件で行われる。サンプルDNAは健常人またはMJD患者の組織(例えば、血液)より調製されたDNAまたはRNAが用いられる。CAGリピートの数は電気泳動によりPCR産物の長さを判定し、計算することによって判定されるが、より好ましくは、PCR産物をベクターDNA(pBluescript SK(−)等)にサブクローニングした後、シークエンスを行なうことにより、正確に判定することができる。
【0042】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって、より詳細に、かつより具体的に説明するが、もちろんこれによって本発明が制限されるものではない。
【0043】実施例1:CAGに相補的であるCTGが12回連続した構造を持つプローブ(1)(配列番号14)
【0044】
5′−GATCT(CTG)12G−3′ (1)
【0045】を合成し、ヒト脳側頭葉皮質のmRNAより調製したcDNAライブラリー(京都大学医学部、中西重忠教授より供与された( J. Biol. Chem., 268, 3728 (1993))に記載されている。)をスクリーニングした。
【0046】プローブ(1)をポリヌクレオチドキナーゼ(PNK103(商品名)、東洋紡績(株)製)を用いたエンドラベル法でラベルし、ライブラリーより得られた50,000 プラークをスクリーニングしたところ、30個の陽性クローンが得られた(1M NaCl、500mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5 )、1%SDS、200μg/ml酵母RNA中で55℃、16時間ハイブリダイゼーションを行ない、2×SSC、0.1 %SDS、55℃、30分で4回洗浄した後、オートラジオグラフィーを行った。)。
【0047】制限酵素RsaIで切断し、サザンブロッティング分析をしたところ、そのうちの21個に明確な陽性バンドが認められた。これらのバンドのうち、濃度の濃い(すなわち、ハイブリダイズの程度が高いと予想される)クローン8個を選択し、pBluescript SK(+)(Stratagene社製)のEcoRIサイトにリンカーをつけてサブクローンした後、シークエンスしたところ、明確なCAGリピート構造を含むcDNAクローン(CAG−27、図1参照のこと)が得られた。CAG−27は全体で1807bpを含み、その中に359アミノ酸からなるオープンリーディングフレームが認められた。ホモロジー検索の結果、Genbank. HUMSW×784. human×chromosome STSとのホモロジーを認めた。
【0048】実施例2SD系雄性ラット(14週令)の脳、脊髄、心臓、肺、胃、肝臓、小腸、大腸、膵臓、脾臓、腎臓、筋肉、精巣からRNAを抽出しそれぞれポリA RNAを精製した。おのおの10μgのポリA RNAを、常法に従い、アガロース電気泳動で分離したのち、ナイロンメンブラン(Hybond Plus (商品名)、Amersham社製)に転写し、CAG−27のBamHI/BglII断片をプローブとしてノザンブロッティング分析を行った。その結果、膵臓および精巣を除く全ての臓器に28Sより高分子側に陽性バンドが認められた(精巣では18S付近のバンド)。
【0049】CAGリピートのサイズをPCRにより検出するため、この部分を囲む形の2組のプライマー(下記プライマー(2)(配列番号15)と(3)(配列番号16)を組み合わせたものと、同(4)(配列番号17)と(5)(配列番号18)を組み合わせたもの)を作製した。
【0050】
877−TCTTACTTCAGAAGAGCTTCGGAAG −901 (2)
1047−GCTGGCCTTTCACATGGATGTGAAC −1023 (3)
904−ACGAGAAGCCTACTTTGA−921 (4)
1025−AACTCTGTCCTGATAGGT−1008 (5)
【0051】この2組のプライマーの組合せは、健常人白血球より得られたDNAを用いて、種々の条件下に検討した結果、PCRによる増幅が不可能であり、CAGリピート構造内またはその前後にイントロンの存在する可能性が示唆された。
【0052】一方、連鎖解析により、例えば、MJD遺伝子はヒト染色体14q24.3−32.1にマップされていることが判明している(ツジ( Tsuji)ら,Nature Genetics,4, 300 (1993)参照のこと)。そこで、得られたクローン、CAG−27がMJDに関係するか否かを確認するため、フィッシュ(Fish)法によるクロモゾームマッピングを試みたが、非特異性像が多く、明確な結果が得られなかった。
【0053】以上の結果より、次のステップとしてこのクローンの遺伝子クローニングを行った。CAG−27のBamHI/BglII断片をプローブに用い、ヒトジェノミックライブラリー(HL 1067jおよびHL 1111j,いずれもClontech社製))より 500,000クローンをスクリーニングし(スクリーニングは、温度が65℃であることを除いて、実施例1のハイブリダイゼーションの条件と同様にして行った。)、12個の陽性クローンを得た。これらのクローンのそれぞれをXhoI/PstIで切断しサザンブロッティング分析を行い、最強シグナルを与える2クローン(それぞれ、CAG−27−6およびCAG−27−11と命名した。)をフィッシュ法によるクロモゾームマッピングに供した。
【0054】その結果、CAG−27−6およびCAG−27−11はともに14q24.3−32.1にマップされていることが判明した。ふたつのクローンをPstIで切断し、pBluescript SK(+)にサブクローニングし、ハイブリダイゼーションの陽性だったクローンをシークエンスしたところ、いずれもCAG−27の287から372bpに相当する部分を含んでいた。一方、さらに 790,000個のヒト脳cDNAライブラリーを、CAG−27のBamHI−Bgl II をプローブとして検索したところ、CAG−27以外に異なる2種類のcDNA(cDNA−3およびcDNA−6)が得られた。
【0055】シークエンスの結果、cDNA−6はCAG−27の塩基、1〜287および373〜924の部分と一致し、cDNA−3はCAG−27の塩基、1〜287の部分と一致した。従って、この三者はそれぞれ同一遺伝子からのスプライシングスにより生み出される、3つのmRNAアイソフォームと考えられた。特に、塩基924位のスプライシングはCAGリピートの直前であり、PCRにはイントロンの3′−側を用いなければならないことが明確に示された。図2にクローン、CAG−27、CAG−27−6、CAG−27−11、cDNA−3およびcDNA−6の構造を示す。
【0056】CAG−27のDraII/SacI断片(CAGリピートの最終部分からコードされている蛋白質のカルボキシル末端に相当)をプローブとしてヒトジェノミックライブラリーをスクリーニングし、 800,000個から4個の陽性クローンを得た(それぞれをCAG−27−21、CAG−27−22、CAG−27−23、CAG−27−24と命名した。スクリーニングは、温度が65℃であることを除いて、実施例1のハイブリダイゼーションの条件と同様にして行った。)。このうち、CAG−27−23をシークエンスすることにより、CAG−27の924位の塩基(CAGリピートの直前の塩基)のイントロン構造が判明した(配列番号9参照)。ここでヒトジェノミッククローン中に得られたCAGリピートは27回であり、cDNA(CAG−27)の26回とは異なっていることがわかった。
【0057】ここで新たなPCRプライマー(6)(配列番号11)、(7)(配列番号12)および(8)(配列番号13)を作製した。
【0058】5′−CCAGTGACTACTTTGATTCG−3′ (6)(CAGリピートの5′側、イントロン部分に存在)
【0059】
5′−TGGCCTTTCACATGGATGTGAA−3′ (7)(CAGリピートの3′側)
【0060】
5′−CTTACCTAGATCACTCCCAA−3′ (8)(CAGリピートの3′側)
【0061】プライマー(6)とプライマー(7)を組み合わせた場合にも、PCRされる検体とされない検体がでたが、プライマー(6)とプライマー(8)を組み合わせた場合には全例成功した。サンプルDNA(遺伝子)200ng、プライマー(6)およびプライマー(8)をそれぞれ200ng、50mM KCl、10mM トリス塩酸緩衝液(pH8.8 )、1.5 mM MgCl2、0.1 %トリトン(Triton)×100、10%(v/v)DMSO、5ユニットTaqポリメラーゼ(和光純薬(株)製)を、総量20μlの系でPCRを行った(PCRは95℃、5分間→(95℃、1分間→57℃、1分間→72℃、1分間)×25サイクル→72℃、10分間の条件で行った。)。反応後、常法に従い、アガロース電気泳動をしたところ、正常人では13回から36回のCAGリピートに相当するバンドが検出されたのに対し、MJDの患者(11例)においては、いずれも70回前後(68回から79回)のCAGリピートが認められた。従って、この条件はMJDの遺伝子診断に十分使用できることがわかった。
【0062】
【配列表】
配列番号:1配列の長さ:291配列の型:アミノ酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:蛋白質配列Met Glu Ser Ile Phe His Glu Lys Gln Glu Gly Ser Leu Cys Ala Gln 1 5 10 15 His Cys Leu Asn Asn Leu Leu Gln Gly Glu Tyr Phe Ser Pro Val Glu 20 25 30 Leu Ser Ser Ile Ala His Gln Leu Asp Glu Glu Glu Arg Met Arg Met 35 40 45 Ala Glu Gly Gly Val Thr Ser Glu Asp Tyr Arg Thr Phe Leu Gln Gln 50 55 60 Pro Ser Gly Asn Met Asp Asp Ser Gly Phe Phe Ser Ile Gln Val Ile 65 70 75 80 Ser Asn Ala Leu Lys Val Trp Gly Leu Glu Leu Ile Leu Phe Asn Ser 85 90 95 Pro Glu Tyr Gln Arg Leu Arg Ile Asp Pro Ile Asn Glu Arg Ser Phe 100 105 110 Ile Cys Asn Tyr Lys Glu His Trp Phe Thr Val Arg Lys Leu Gly Lys 115 120 125 Gln Trp Phe Asn Leu Asn Ser Leu Leu Thr Gly Pro Glu Leu Ile Ser 130 135 140 Asp Thr Tyr Leu Ala Leu Phe Leu Ala Gln Leu Gln Gln Glu Gly Tyr 145 150 155 160 Ser Ile Phe Val Val Lys Gly Asp Leu Pro Asp Cys Glu Ala Asp Gln 165 170 175 Leu Leu Gln Met Ile Arg Val Gln Gln Met His Arg Pro Lys Leu Ile 180 185 190 Gly Glu Glu Leu Ala Gln Leu Lys Glu Gln Arg Val His Lys Thr Asp 195 200 205 Leu Glu Arg Met Leu Glu Ala Asn Asp Gly Ser Gly Met Leu Asp Glu 210 215 220 Asp Glu Glu Asp Leu Gln Arg Ala Leu Ala Leu Ser Arg Gln Glu Ile 225 230 235 240 Asp Met Glu Asp Glu Glu Ala Asp Leu Arg Arg Ala Ile Gln Leu Ser 245 250 255 Met Gln Gly Ser Ser Arg Asn Ile Ser Gln Asp Met Thr Gln Thr Ser 260 265 270 Gly Thr Asn Leu Thr Ser Glu Glu Leu Arg Lys Arg Arg Glu Ala Tyr 275 280 285 Phe Glu Lys 290
【0063】配列番号:2配列の長さ:43配列の型:アミノ酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:蛋白質配列Arg Asp Leu Ser Gly Gln Ser Ser His Pro Cys Glu Arg Pro Ala Thr 1 5 10 15 Ser Ser Gly Ala Leu Gly Ser Asp Leu Gly Lys Ala Cys Ser Pro Phe 20 25 30 Ile Met Phe Ala Thr Phe Thr Leu Tyr Leu Thr 35 40
【0064】配列番号:3配列の長さ:873配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:Genomic DNA配列ATGGAGTCCA TCTTCCACGA GAAACAAGAA GGCTCACTTT GTGCTCAACA TTGCCTGAAT 60AACTTATTGC AAGGAGAATA TTTTAGCCCT GTGGAATTAT CCTCAATTGC ACATCAGCTG 120GATGAGGAGG AGAGGATGAG AATGGCAGAA GGAGGAGTTA CTAGTGAAGA TTATCGCACG 180TTTTTACAGC AGCCTTCTGG AAATATGGAT GACAGTGGTT TTTTCTCTAT TCAGGTTATA 240AGCAATGCCT TGAAAGTTTG GGGTTTAGAA CTAATCCTGT TCAACAGTCC AGAGTATCAG 300AGGCTCAGGA TCGATCCTAT AAATGAAAGA TCATTTATAT GCAATTATAA GGAACACTGG 360TTTACAGTTA GAAAATTAGG AAAACAGTGG TTTAACTTGA ATTCTCTCTT GACGGGTCCA 420GAATTAATAT CAGATACATA TCTTGCACTT TTCTTGGCTC AATTACAACA GGAAGGTTAT 480TCTATATTTG TTGTTAAGGG TGATCTGCCA GATTGCGAAG CTGACCAACT CCTGCAGATG 540ATTAGGGTCC AACAGATGCA TCGACCAAAA CTTATTGGAG AAGAATTAGC ACAACTAAAA 600GAGCAAAGAG TCCATAAAAC AGACCTGGAA CGAATGTTAG AAGCAAATGA TGGCTCAGGA 660ATGTTAGACG AAGATGAGGA GGATTTGCAG AGGGCTCTGG CACTAAGTCG CCAAGAAATT 720GACATGGAAG ATGAGGAAGC AGATCTCCGC AGGGCTATTC AGCTAAGTAT GCAAGGTAGT 780TCCAGAAACA TATCTCAAGA TATGACACAG ACATCAGGTA CAAATCTTAC TTCAGAAGAG 840CTTCGGAAGA GACGAGAAGC CTACTTTGAA AAA 873
【0065】配列番号:4配列の長さ:129配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:Genomic DNA配列CGGGACCTAT CAGGACAGAG TTCACATCCA TGTGAAAGGC CAGCCACCAG TTCAGGAGCA 60CTTGGGAGTG ATCTAGGTAA GGCCTGCTCA CCATTCATCA TGTTCGCTAC CTTCACACTT 120TATCTGACA 129
【0066】配列番号:5配列の長さ:925配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:Genomic DNA配列GAATTCCGTT GCTGTCGTCG GCGTGGGGGC CGTTGGCTCC AGACAAATAA ACATGGAGTC 60CATCTTCCAC GAGAAACAAG AAGGCTCACT TTGTGCTCAA CATTGCCTGA ATAACTTATT 120GCAAGGAGAA TATTTTAGCC CTGTGGAATT ATCCTCAATT GCACATCAGC TGGATGAGGA 180GGAGAGGATG AGAATGGCAG AAGGAGGAGT TACTAGTGAA GATTATCGCA CGTTTTTACA 240GCAGCCTTCT GGAAATATGG ATGACAGTGG TTTTTTCTCT ATTCAGGTTA TAAGCAATGC 300CTTGAAAGTT TGGGGTTTAG AACTAATCCT GTTCAACAGT CCAGAGTATC AGAGGCTCAG 360GATCGATCCT ATAAATGAAA GATCATTTAT ATGCAATTAT AAGGAACACT GGTTTACAGT 420TAGAAAATTA GGAAAACAGT GGTTTAACTT GAATTCTCTC TTGACGGGTC CAGAATTAAT 480ATCAGATACA TATCTTGCAC TTTTCTTGGC TCAATTACAA CAGGAAGGTT ATTCTATATT 540TGTTGTTAAG GGTGATCTGC CAGATTGCGA AGCTGACCAA CTCCTGCAGA TGATTAGGGT 600CCAACAGATG CATCGACCAA AACTTATTGG AGAAGAATTA GCACAACTAA AAGAGCAAAG 660AGTCCATAAA ACAGACCTGG AACGAATGTT AGAAGCAAAT GATGGCTCAG GAATGTTAGA 720CGAAGATGAG GAGGATTTGC AGAGGGCTCT GGCACTAAGT CGCCAAGAAA TTGACATGGA 780AGATGAGGAA GCAGATCTCC GCAGGGCTAT TCAGCTAAGT ATGCAAGGTA GTTCCAGAAA 840CATATCTCAA GATATGACAC AGACATCAGG TACAAATCTT ACTTCAGAAG AGCTTCGGAA 900GAGACGAGAA GCCTACTTTG AAAAA 925
【0067】配列番号:6配列の長さ:807配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:Genomic DNA配列CGGGACCTAT CAGGACAGAG TTCACATCCA TGTGAAAGGC CAGCCACCAG TTCAGGAGCA 60CTTGGGAGTG ATCTAGGTAA GGCCTGCTCA CCATTCATCA TGTTCGCTAC CTTCACACTT 120TATCTGACAT AAGAGCTCCA TGTGATTTTT GCTTTACATT ATTCTTCATT CCCTCTTTAA 180TCATATTAAG ACTCTTAAGT AAATTTGTAA TCTACTAAAT TTCCCTGGAT TAAGGAGCAA 240GGTTACCAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAG CTAGATGTGG TGGCTCACAT CTGTAATCCC 300AGCACTTTGG GAAACCAAGG CAGGAGAGGA TTGCTAGAAC ATTTAATGAA TACTTTAACA 360TAATAATTTA AACTTCACAG TAATTTGTAC AGTCTCCAGA AATTCCTTAG ACATCATGAA 420TATTTTTCTT TTTTTGGGGT GACAGGGCAA AACTCTGTCT CAAAAAAAAA AAAAAAAAAA 480AAAGGGCTGG ACACGGTGGC TTACGCCTGT TATCCCGGCA CTTTGGGAGG CCAAGGCCGA 540TGGATCACCT GAGGTCAGGA GTTCAAGACC AGCCTGGCCA ACATGGTGAA ACCCCATCTC 600TACTAAAAAT ACAAAAATTT GCTGGGCATG GTGGTGGGCA CCTGTAATCC CAGGAGGCTG 660AGGCAGGAGA ATCACTTGAA CCTGGGAGCG GAGATTGCAG TGAGCCAAGA TTGTGCCATT 720GAACTCCAGC CTGGGTGACA AGACCAAAAC TCCATCTCAA AAAAAAAAAA AAAAAAAGCG 780ACAGCAACGG CGACAGCAAC GGAATTC 807
【0068】配列番号:7配列の長さ:129配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:Genomic DNA配列CTTTTAATAC CAGTGACTAC TTTGATTCGT GAAACAATGT ATTTTCCTTA TGAATAGTTT 60TTCTCCATGG TGTATTTATT CTTTTAAGTT TTGTTTTTTA AATATACTTC ACCTTTTGAA 120TGTTTCAGA 129
【0069】配列番号:8配列の長さ:76配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:Genomic DNA配列CGGGACCTAT CAGGACAGAG TTCACATCCA TGTGAAAGGC CAGCCACCAG TTCAGGAGCA 60CTTGGGAGTG ATCTAG 76
【0070】配列番号:9配列の長さ:128配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列CTTTTAATAC CAGTGACTAC TTTGATTCGT GAAACAATGT ATTTTCCTTA TGAATAGTTT 60TTCTCCATGG TGTATTTATT CTTTTAAGTT TTGTTTTTTA AATATACTTC ACCTTTTGAA 120TGTTTCAG 128
【0071】配列番号:10配列の長さ:129配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:Genomic DNA配列CGGGACCTAT CAGGACAGAG TTCACATCCA TGTGAAAGGC CAGCCACCAG TTCAGGAGCA 60CTTGGGAGTG ATCTAGGTAA GGCCTGCTCA CCATTCATCA TGTTCGCTAC CTTCACACTT 120TATCTGACA 129
【0072】配列番号:11配列の長さ:20配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列CCAGTGACTA CTTTGATTCG
【0073】配列番号:12配列の長さ:22配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列TGGCCTTTCA CATGGATGTG AA
【0074】配列番号:13配列の長さ:20配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列CTTACCTAGA TCACTCCCAA
【0075】配列番号:14配列の長さ:44配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列GATCTCTGCT GCTGCTGCTG CTGCTGCTG CTGCTGCTG CTGG
【0076】配列番号:15配列の長さ:25配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列TCTTACTTCA GAAGAGCTTC GGAAG
【0077】配列番号:16配列の長さ:25配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列GCTGGCCTTT CACATGGATG TGAAC
【0078】配列番号:17配列の長さ:18配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列ACGAGAAGCC TACTTTGA
【0079】配列番号:18配列の長さ:18配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列AACTCTGTCC TGATAGGT
【図面の簡単な説明】
【図1】 CAG27のシークエンス解析図を表わす。
【図2】 クローン、CAG−27、CAG−27−6、CAG−27−11、cDNA−3およびcDNA−6の構造を比較したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端のLysが(Gln)n(式中、nは13〜36の整数を表わし、(Gln)nはその配列の途中に少なくとも一つのLysを含んでいてもよい。)を介して配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端のArgと結合したアミノ酸配列であるポリペプチド。
【請求項2】 配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端のLysが(Gln)n(式中、nは13〜36の整数を表わし、(Gln)nはその配列の途中に少なくとも一つのLysを含んでいてもよい。)を介して配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端のArgと結合したアミノ酸配列であるポリペプチドをコードするcDNA。
【請求項3】 配列番号3で示される塩基配列の3’末端が(CXX)m(式中、CXXは、塩基配列「CAG」、「CAA」または「AAG」を表わし、mは13〜36の整数を表わす。ただし、「CAA」および「AAG」の数は各々0から5個である。)を介して配列番号4で示される塩基配列の5’末端と結合した塩基配列を有するcDNA。
【請求項4】 配列番号5で示される塩基配列の3’末端が(CXX)m(式中、CXXおよびmは請求項3の記載と同じ意味を表わす。)を介して配列番号6で示される塩基配列の5’末端と結合した塩基配列を有するcDNA。
【請求項5】 配列番号7で示される塩基配列の3’末端が(CXX)m(式中、CXXおよびmは請求項3の記載と同じ意味を表わす。)を介して配列番号8で示される塩基配列の5’末端と結合した塩基配列を有する遺伝子。
【請求項6】 請求項2乃至5のいずれかの項に記載のcDNAまたは遺伝子を含む複製または発現ベクター。
【請求項7】 請求項6に記載された複製または発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項8】 配列番号11および配列番号13で示される塩基配列の組み合わせであるプライマーセット。
【請求項9】 請求項8記載のプライマーセットをPCRのプライマーとして用いることを特徴とするマッカードジョセフ病特有蛋白中のグルタミンの繰り返し回数を測定する方法。
【請求項10】 配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端のLysが(Gln)n(式中、nは68〜79の整数を表わし、(Gln)nはその配列の途中に少なくとも一つのLysを含んでいてもよい。)を介して配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端のArgと結合したアミノ酸配列であるポリペプチド。
【請求項11】 配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端のLysが(Gln)n(式中、nは68〜79の整数を表わし、(Gln)nはその配列の途中に少なくとも一つのLysを含んでいてもよい。)を介して配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端のArgと結合したアミノ酸配列であるポリペプチドをコードするcDNA。
【請求項12】 配列番号3で示される塩基配列の3’末端が(CXX)m(式中、CXXは、塩基配列「CAG」、「CAA」または「AAG」を表わし、mは68〜79の整数を表わす。ただし、「CAA」および「AAG」の数は各々0から5個である。)を介して配列番号4で示される塩基配列の5’末端と結合した塩基配列を有するcDNA。
【請求項13】 配列番号5で示される塩基配列の3’末端が(CXX)m(式中、CXXおよびmは請求項の記載と同じ意味を表わす。)を介して配列番号6で示される塩基配列の5’末端と結合した塩基配列を有するcDNA。
【請求項14】 配列番号7で示される塩基配列の3’末端が(CXX)m(式中、CXXおよびmは請求項の記載と同じ意味を表わす。)を介して配列番号8で示される塩基配列の5’末端と結合した塩基配列を有する遺伝子。
【請求項15】 マッカード−ジョセフ病関連蛋白のN末端部の291個のアミノ酸である配列番号1で示される配列であるアミノ酸配列。
【請求項16】 請求項15で示されるアミノ酸配列をコードするcDNA。
【請求項17】 請求項16で示されるcDNAが、配列番号3で示される配列であるcDNA。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3517988号(P3517988)
【登録日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【発行日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−251600
【出願日】平成6年9月21日(1994.9.21)
【公開番号】特開平8−92289
【公開日】平成8年4月9日(1996.4.9)
【審査請求日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)