説明

ヒトIL−18および抗CD20抗体の併用癌治療

本発明は一般的に癌の治療におけるヒトIL−18組み合わせの使用に関する。特に、本発明は、ヒトIL−18および抗CD20抗体の組み合わせに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(先行出願の相互参照)
本出願は、2007年3月23日に出願された米国仮出願番号60/896855および20007年7月25日に出願された60/952002の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、IL−18(インターフェロン−γ−誘導因子(IGIF)としても知られる)の、癌細胞の表面上で発現されるモノクローナル抗体と組み合わせた使用に関する。
【背景技術】
【0003】
活性ヒトIL−18は157のアミノ酸残基を含む。これは、T細胞および脾細胞によるインターフェロン−γ−産生の誘発、NK細胞の殺活性の増強、および未感作CD4T細胞のTh1細胞への分化の促進をはじめとする強力な生物活性を有する。加えて、ヒトIL−18はGM−CSFの産生を増大させ、IL−10の産生を減少させる。CD4T細胞はすべての免疫反応の中心的調節エレメントである。これらは2つのサブセット、すなわちTh1およびTh2に分類される。各サブセットは、その様々なサイトカインを分泌する能力により定義される。興味深いことに、分化の最も強力な誘導因子はサイトカイン自体である。未感作前駆体からのTh2細胞の発生はIL−4により誘導される。IL−18が発見される以前は、IL−12が主なTh1誘導性サイトカインと考えられていた。
【0004】
Th1細胞は、IL−2、インターフェロン−γ、およびTNF−βを分泌する。インターフェロン−γ、すなわち特別なTh1サイトカインはマクロファージに直接作用して、これらの殺微生物活性および食作用活性を増強する。その結果、活性化されたマクロファージは細胞内病原体および腫瘍細胞を効率よく破壊できる。Th2細胞はIL−4、IL−5、IL−6、IL−10およびIL−13を産生し、これらは、B細胞が抗体産生細胞になるのを助けることにより作用する。総合すると、Th1細胞は細胞性免疫に主に関与し、一方、Th2細胞は体液性免疫に関与する。
【0005】
広範囲の免疫刺激特性に基づいて、IL−18は様々な前臨床腫瘍モデルにおいて研究されてきた。単剤療法として用いられるIL−18の抗腫瘍活性は、免疫原性である腫瘍において観察された。最も強力な抗腫瘍効果は、MOPC−315形質細胞腫(免疫原性が高い腫瘍)の進行性腫瘍(>100cm)モデルにおいて観察された。このモデルにおいて、ネズミIL−18(5mg/Kg)を約30日間毎日投与すると、その結果、腫瘍が再現可能に退縮し、治癒した。もとの腫瘍を用いた再負荷の結果、腫瘍拒絶が起こり、このことは免疫記憶の誘導を示唆する。このモデルにおける細胞性免疫の関与についてのさらなる証拠は、類似のIL−18スケジュールを用いた場合に退縮しなかった進行性MOPC−315を有する重症複合免疫不全マウス(SCID)において行われた実験から得られる。IL−18により媒介される細胞性免疫のさらなる裏付けも、対照およびIL−18治療マウスにおける確立されたMOPC−315腫瘍に対して行われた免疫組織化学に由来する。このことにより、IL−18治療動物におけるCD8Tリンパ球、NK細胞、活性化マクロファージ、および樹状細胞からなる細胞浸潤物は対照に対して増大することが示された。インビトロで、IL−18で治療された動物からのPBMCまたは脾臓細胞は、腫瘍に対してNKおよびCTL細胞毒性を示した。加えて、無傷Fas/Fasリガンド経路は抗腫瘍反応に有用であるように思われる。
【0006】
リツキシマブは、ヒトIgG1定常領域と融合したヒトCD20抗原を認識するネズミ抗原結合部位からなるキメラモノクローナル抗体である。リツキシマブは、単剤として、無痛性NHLにおいて顕著な活性を有する。166人の再発性または難治性無痛性NHL患者の中心的シングルアーム臨床試験において、全体的奏効率は48%であり、完全奏効(CR)率は6%であった。McLaughlin、et al.、J.Clin.Oncol.16:2825−2833(1998)。事前に治療されていない無痛性NHL患者において、リツキシマブ療法の全体的奏効率は64〜73%であり、CR率は15〜26%である。Hainsworth、et al.、Blood 95:3052−3056(2000);Colombat、et al.、Blood 97:101−106(2001)。さらに、複数の無作為第3相試験により、従来の化学療法にリツキシマブを加えることにより、NHL患者の生存が改善されることが示されている。Marcus、et al.、Blood 105:1417−1423(2005);Marcus、et al.、Blood 104:3064−3071(2004);Hiddemann、et al.、Blood 106:3725−3732(2005);Feugier、et al.、J. Clin. Oncol. 23:4117−4126(2005)。しかし、化学療法に関する高い毒性のために、リツキシマブを用いた単剤療法は、無痛性リンパ腫患者においては依然として1つの選択肢と見なされている。
【0007】
抗腫瘍活性を高める方法を決定し、リツキシマブの有効性を改善するための研究が継続中である。いくつかのメカニズムがインビボのリツキシマブの有効性に貢献し得る。リツキシマブの、リンパ腫細胞表面上のCD20との結合は、細胞内シグナル伝達経路を誘発して、アポトーシス、すなわちプログラム細胞死に至る可能性がある。Shan、et al.、Blood 91:1644−1652(1998);Pedersen、et al.、Blood 99:1314−1319(2002)。さらに、リツキシマブは補体種を活性化でき、補体依存性細胞溶解を引き起こす。Cragg、et al.、Blood 101:1045−1052(2003);Manches、et al.、Blood 101:949−954(2003)。累積証拠は、ADCCがリツキシマブ投与後の腫瘍細胞の除去においてCDCと共同して働くことを示唆する。);Manches、et al.、上記;Golay、et al.、Haematologica 88:1002−1012(2003);Clynes、et al.、Nat.Med.6:443−446(2000)。抗体の定常(Fc)領域が、NK細胞または単球/マクロファージ系の細胞などのエフェクター細胞の表面上のFcレセプターと結合する場合に、ADCCが誘発される。ヒトB細胞リンパ腫のネズミモデルにおいて、リツキシマブの有効性は、活性化Fcレセプターが欠損したマウスにおいて失効していた。対照的に、モノクローナル抗体療法は、阻害性Fcレセプターが欠損したマウスにおいて向上された。Fcレセプターを有するエフェクター細胞は、このモデルにおいてリツキシマブの有効性に関して重要であった。ヒトにおける主要な活性化FcレセプターはCD16a(FcγRIIIa)であり、これはNK細胞および単球により発現される。158位でのヒトFcγRIIIa遺伝子における多型性(フェニルアラニン対バリン)はリツキシマブに対する反応と相関関係があることが証明されている。158VVホモ接合遺伝子型は、インビトロのヒトNK細胞によりADCCと結合し、ADCCを誘発する、さらに強力なIgGと関連し(Koene、et al.、Blood 90:1109−1114(1997);Dall’Ozzo、et al.、Cancer Res. 64:4664−4669(2004))、リツキシマブ療法後のさらに高い反応率とも関連する。Weng、et al.、J.Clin.Oncol.21:3940−3947(2003);Cartron、et al.、Blood 104:2635−2642(2004)。これらのデータは、NK細胞によるADCCも、リンパ腫患者におけるリツキシマブ療法の有効性に関して重要であるという仮定を裏付ける。
【0008】
リツキシマブの有効性を改善するための一方法は、NK細胞および単球/マクロファージ系の細胞をはじめとする、Fcレセプターを有するエフェクター細胞の膨張および/または活性化を引き起こすことができるサイトカインを投与することである。第1相臨床試験により、リツキシマブをIL−2、IL−12、またはGM−CSFと組み合わせてリンパ腫患者に安全に投与できることが証明された。Rossi、et al.、Blood 106:2760(abst 2432)(2005);McLaughlin、et al.、Ann.Oncol.16(Suppl 5):v68(abstr 104)(2005);Ansell、et al.、Blood 99:67−74(2002);Eisenbeis、et al.、Clin.Cancer Res.10:6101−6110(2004);Gluck、et al.、Clin.Cander Res.10:2253−2264(2004);Friedberg、et al.、Br.J.Haematol.117:828−834(2002)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】McLaughlin、et al.、J.Clin.Oncol.16:2825−2833(1998)
【非特許文献2】Hainsworth、et al.、Blood 95:3052−3056(2000)
【非特許文献3】Colombat、et al.、Blood 97:101−106(2001)。
【非特許文献4】Marcus、et al.、Blood 105:1417−1423(2005)
【非特許文献5】Marcus、et al.、Blood 104:3064−3071(2004)
【非特許文献6】Hiddemann、et al.、Blood 106:3725−3732(2005)
【非特許文献7】Feugier、et al.、J. Clin. Oncol. 23:4117−4126(2005)
【非特許文献8】Shan、et al.、Blood 91:1644−1652(1998)
【非特許文献9】Pedersen、et al.、Blood 99:1314−1319(2002)
【非特許文献10】Cragg、et al.、Blood 101:1045−1052(2003)
【非特許文献11】Manches、et al.、Blood 101:949−954(2003)
【非特許文献12】Golay、et al.、Haematologica 88:1002−1012(2003)
【非特許文献13】Clynes、et al.、Nat.Med.6:443−446(2000)
【非特許文献14】Koene、et al.、Blood 90:1109−1114(1997)
【非特許文献15】Dall’Ozzo、et al.、Cancer Res. 64:4664−4669(2004)
【非特許文献16】Weng、et al.、J.Clin.Oncol.21:3940−3947(2003)
【非特許文献17】Cartron、et al.、Blood 104:2635−2642(2004)
【非特許文献18】Rossi、et al.、Blood 106:2760(abst 2432)(2005)
【非特許文献19】McLaughlin、et al.、Ann.Oncol.16(Suppl 5):v68(abstr 104)(2005)
【非特許文献20】Ansell、et al.、Blood 99:67−74(2002)
【非特許文献21】Eisenbeis、et al.、Clin.Cancer Res.10:6101−6110(2004)
【非特許文献22】Gluck、et al.、Clin.Cander Res.10:2253−2264(2004)
【非特許文献23】Friedberg、et al.、Br.J.Haematol.117:828−834(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの研究では22〜79%の全体的な奏効率および5〜45%の完全奏効率が観察された。加えて、絶対NK数およびエクスビボADCC活性などのバイオマーカーは奏効率と関連していた。これらの研究のほとんどは、主に再発性および難治性疾患の患者ならびに侵攻性リンパ腫サブタイプ(DLBCLおよびマントル細胞リンパ腫)の患者を対象に含んでいた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明はこれを必要とする患者において癌を治療する方法であって:発癌性疾患を予防および/または治療するために:(i)ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および;(ii)CD20抗原に対する抗体(別名では、単に抗CD20抗体と呼ばれる)を患者に対して同時または連続的のいずれかで投与する工程を含む方法に関する。
さらなる実施形態において、本発明は、これを必要とする患者において癌を治療する方法であって、発癌性疾患(癌)を予防および/または治療するための(i)ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および;(ii)CD20抗原に対する抗体(別名では単に抗CD20抗体と呼ばれる)の時間差投与を含む方法に関する。
【0012】
一態様において、本発明は、発癌性疾患(癌)の予防および/または治療において用いられるヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および抗CD20抗体に関する。
一態様において、本発明は、発癌性疾患(癌)の予防および/または治療において同時または連続使用(投与)されるヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および抗CD20抗体に関する。
一態様において、本発明は、発癌性疾患(癌)の予防および/または治療のために抗CD20抗体と併用される医薬の製造におけるヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)の使用に関する。
一態様において、本発明は、発癌性疾患(癌)の予防および/または治療のためにヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)と併用される医薬の製造における抗CD20抗体の使用に関する。
【0013】
一態様において、本発明は、発癌性疾患(癌)の予防および/または治療用医薬の製造におけるヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および抗CD20抗体の使用に関する。
一態様において、本発明は、発癌性疾患(癌)の予防および/または治療において抗CD20抗体と併用されるヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)に関する。
一態様において、本発明は、発癌性疾患(癌)の予防および/または治療においてヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)と併用される抗CD20抗体に関する。ヒトIL−18ポリペプチドおよび抗CD20抗体を、別々に、連続して、および/または同時に投与することができる。さらに、ヒトIL−18ポリペプチドおよび抗CD20抗体を、時間差をつけた方法で投与することができる。
【0014】
一実施形態においては、ヒトIL−18ポリペプチドを抗CD20抗体の前に投与する。
一実施形態においては、抗CD20抗体をヒトIL−18の前に投与する。
本発明の一実施形態において、抗CD20抗体はモノクローナルである。
一実施形態において、抗CD20抗体はFc性エフェクター機能を有する。
一実施形態において、抗CD20抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を有する。
本発明の一実施形態において、抗CD20抗体は、キメラ、ヒト化 またはヒトモノクローナル抗体である。
本発明の一実施形態において、CD20(抗CD20抗体)に対するモノクローナル抗体は、完全長IgG1抗体、完全長IgG2抗体、完全長IgG3抗体、完全長IgG4抗体、完全長IgM抗体、完全長IgA1抗体、完全長IgA2抗体、完全長分泌IgA抗体、完全長IgD抗体、および完全長IgE抗体からなる群から選択される完全長抗体であり、ここで、抗体は真核細胞においてグリコシル化されている。
【0015】
本発明の一実施形態において、抗CD20抗体は、完全長抗体、たとえば完全長IgG1抗体である。
本発明の一実施形態において、抗CD20抗体は抗体フラグメント、たとえばscFvまたはUniBody(商標)(WO2007/059782に開示されているような一価抗体)である。本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、(i)配列番号1の重鎖可変領域の形態または配列番号2の軽鎖可変領域の結合ドメインポリペプチドであって、免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドと融合したもの、(ii)ヒンジ領域と融合した免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、および(iii)CH2定常領域と融合した免疫グロブリン重鎖CH3定常領域を含む結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、突然変異体P172S CD20(セリンと突然変異形成した172位のプロリン)と、ヒトCD20に対するのと少なくとも同じ親和性で結合する。
【0016】
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体はCD20上のエピトープと結合し、このエピトープは
(i)172位のアミノ酸残基プロリンを含まないか、もしくは必要としない;
(ii)170位のアミノ酸残基アラニンまたは172位のプロリンを含まないか、もしくは必要としない;
(iii)163位のアミノ酸残基アスパラギンおよび166位のアスパラギンを含まないか、もしくは必要としない;
(iv)172位のアミノ酸残基プロリンを含まないか、もしくは必要としないが、163位のアミノ酸残基アスパラギンおよび166位のアスパラギンを含むか、または必要とする;または
(v)170位のアミノ酸残基アラニンまたは172位のプロリンを含まないか、または必要としないが、163位のアスパラギンおよび166位のアスパラギンアミノ酸残基を含むか、または必要とする。
【0017】
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、ヒトCD20の小さな第1細胞外ループ中のエピトープと結合する。
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、CD20上の不連続エピトープと結合する。
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体はCD20上の不連続エピトープと結合し、このエピトープは第1の小さな細胞外ループの一部および第2の細胞外ループの一部を含む。
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体はCD20上の不連続エピトープと結合し、このエピトープは、小さな第1細胞外ループのAGIYAP残基および第2細胞外ループの残基MESLNFIRAHTPYIを有する。
【0018】
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は:
(i)補体の存在下でCD20を発現する細胞の補体依存性細胞毒性(CDC)を誘導できる;
(ii)補体の存在下で、CD20および高レベルのCD55および/またはCD59を発現する細胞の補体依存性細胞毒性(CDC)を誘導できる;
(iii)CD20を発現する細胞のアポトーシスを誘導できる;
(iv)エフェクター細胞の存在下でCD20を発現する細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導できる;
(v)CD20を発現する細胞の同型接着を誘導できる;
(vi)CD20との結合に際して脂質ラフト中に移行できる;
(vii)CD20を発現する細胞を激減させることができる;
(viii)低レベルのCD20を発現する細胞(CD20低細胞)を激減させることができる;および
(ix)ヒト組織中でその場でB細胞を有効に激減させることができる
からなる群から選択される1以上の特性を有する。
【0019】
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、配列番号5、9、または11から選択されるVH CDR3配列を含む。
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、配列番号3のVH CDR1、配列番号4のVH CDR2、配列番号5のVH CDR3、配列番号6のVL CDR1、配列番号7のVL CDR2および配列番号8のVL CDR3配列を含む。
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、配列番号10の配列にまたがるVH CDR1〜CDR3を含む。
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、それぞれ配列番号1および配列番号2に記載されるアミノ酸配列;またはそれぞれ配列番号1および配列番号2に記載されるアミノ酸配列と少なくとも95%相同性であり、さらに好ましくは少なくとも98%相同性であるか、または少なくとも99%相同性であるアミノ酸配列を含むヒト重鎖およびヒト軽鎖可変領域を有する。
【0020】
本発明の一実施形態において、CD20結合分子は、WO2004/035607で開示されている抗CD20抗体の1つ、たとえばオファツムマブ(2F2)、11B8、または7D8、WO2005/103081で開示されている抗体の1つ、たとえば2C6、WO2004/103404で開示されている抗体の1つ、AME−133(ヒト化および最適化抗CD20モノクローナル抗体、Applied Molecular Evolutionにより開発)、US2003/0118592で開示されている抗体の1つ、TRU−015(CytoxB20G、抗CD20抗体上のキードメイン由来の小モジュラー免疫薬剤融合タンパク質、Trubion Pharmaceuticals Incにより開発)、WO2003/68821で開示されている抗体の1つ、IMMU−106(ヒト化抗CD20モノクローナル抗体)、WO2004/56312で開示されている抗体の1つ、オクレリズマブ(2H7.v16、PRO−70769、R−1594)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ)、およびRituxan(登録商標)/MabThera(登録商標)(リツキシマブ)から選択される。
【0021】
「CD20」および「CD20抗原」という用語は本明細書においては交換可能に用いられ、細胞により自然に発現されるか、またはCD20遺伝子でトランスフェクトされた細胞上で発現されるヒトCD20の任意の変異体、イソ型および種相同体を包含する。CD20の同義語としては、当該分野において認識されるように、Bリンパ球表面抗原 B1、Leu−16およびBp35が挙げられる。ヒトCD20は、UniProtKB/Swiss−Prot entry P11836を有する。
【0022】
本明細書において用いられる「免疫グロブリン」という用語は、2対のポリペプチド鎖(1対の軽(L)低分子量鎖および1対の重(H)鎖であり、4つすべてはジスルフィド結合により相互連結している)からなる構造的に関連した糖タンパク質の一種を意味する。免疫グロブリンの構造は十分に特性づけられている。たとえば、Fundamental Immunology Ch. 7(Paul、W.、ed.、2nd ed.Raven Press、N.Y.(1989))を参照のこと。簡単に言うと、各重鎖は典型的には重鎖可変領域(本明細書においてはVHと略記する)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域(CH)は、典型的には3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は典型的には軽鎖可変領域(本明細書においてはVLと略記する)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は典型的には1つのドメイン、CLからなる。VHおよびVL領域はさらに超可変性の領域(または一列および/または構造的に規定されたループの形態で超可変性であり得る超可変性領域)に再分割することができ、この領域は相補性決定領域(CDR)とも称し、より高度に保存されたフレームワーク領域(FR)と称する領域が組み入れられている。
【0023】
各VHおよびVLは典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序で並んだ3つのCDRおよび4つのFRからなる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196、901−917(1987)も参照のこと)。典型的には、この領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)に記載されている方法により行う(たとえばKabatにおいてと同様または本明細書においてKabatにしたがった可変ドメイン残基ナンバリングなどの表現は、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのこのナンバリングシステムをさす)。このナンバリングシステムを用いると、実際のペプチドの直鎖アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮、または可変ドメインのFRまたはCDR中への挿入に対応して、より少ないか、または追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、VH CDR2の残基52後に1つのアミノ酸挿入物(たとえばKabatの残基52a)および重鎖FR残基82後に挿入された残基(たとえばKabatの残基82a、82b、および82c等)を含み得る。Kabat残基ナンバリングは、「標準的」Kabat番号付与された配列と抗体の配列の相同性領域でのアラインメントにより所定の抗体について決定できる。
【0024】
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のフラグメント、またはこれらのいずれかの誘導体であって、典型的な生理的条件下で、かなりの時間、例えば、たとえば少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3、4、5、6、7日以上など、または他の関連する機能により規定される期間(たとえば抗原と結合する抗体に関連する生理反応を誘導、促進、強化、および/または調節するために十分な時間および/または抗体がFc媒介性エフェクター活性を動員するために十分な時間)、抗原と特異的に結合できる能力を有するものをさす。
免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(たとえばエフェクター細胞)および補体系の成分、たとえばC1q(補体活性化の古典的経路における第1成分)をはじめとする免疫グロブリンの宿主組織または因子との結合を媒介することができる。
抗CD20抗体は、単一特異的、二重特異的または多特異的であり得る。実際、本発明により提供される二重特異的抗体は、CD20の一部に加えて任意の好適な標的と結合できる。
【0025】
前述のように、本明細書において記載される「抗体」という用語は、特に明記しない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の公知技術、たとえば酵素的切断、ペプチド合成および組換え技術により得られる、抗原と特異的に結合する能力を保持するフラグメントを包含する。抗体の抗原結合機能は、完全長(無傷)抗体のフラグメントにより機能し得ることが証明されている。「抗体」という用語の範囲内に含まれる抗原結合フラグメントの例としては、これらに限定されないが(i)Fabフラグメント、つまりVL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab)2およびF(ab’)2フラグメント、つまりヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合した2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)本質的にVHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)本質的に抗体のシングルアームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)本質的にVHドメインからなり、ドメイン抗体(Holt et al.(November 2003) Trends Biotechnol. 21(11):484−90)とも称するdAbフラグメント(Ward et al.、Nature 341、544−546(1989));(vi)ラクダ科動物抗体またはナノボディ(Revets et al.(January 2005) Expert Opin Biol Ther. 5(1):111−24)、(vii)単離された相補性決定領域(CDR)、たとえばVH CDR3、(viii)UniBody(商標)、WO2007/059782に開示されている一価抗体、(ix)単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、例えばBird et al.、Science 242、423−426(1988)およびHuston et al.、PNAS USA 85、5879−5883(1988))参照のこと、(x)二重特異性抗体(scFv二量体)(これは単一特異的または二重特異的であり得る(例えば、二重特異性抗体の記載についてPNAS USA 90(14)、6444−6448(1993)、EP404097またはWO93/11161を参照のこと))、三重特異性抗体または四重特異性抗体が挙げられる。このようなフラグメントは一般的に抗体の定義内に含まれるが、これらは集団でもそれぞれ独立でも様々な生物学的特性および有用性を示す本発明の特有の特性である。本発明に関連するこれらおよび他の有用な抗体フラグメントを本明細書においてさらに議論する。
【0026】
抗体という用語は一般的にモノクローナル抗体ならびにポリクローナル抗体を包含すると理解すべきである。抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、ネズミ等であり得る。生成した抗体は任意のイソタイプを有し得る。
本明細書において用いられる「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する抗体を含むことを意図する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列によりコード化されないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発またはインビボでの体細胞突然変異により導入された突然変異)。しかし、本明細書において用いられる「ヒト抗体」という用語は、別の哺乳動物種、たとえばマウスの生殖細胞由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列中にグラフトされた抗体は包含しない。
【0027】
本明細書において用いられる場合、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを免疫化することにより、またはヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることにより、ヒト免疫グロブリン配列を用いて抗体が系から得られるならば、ヒト抗体は特定の生殖細胞配列「由来」であり、ここで選択されたヒト抗体は、生殖細胞免疫グロブリン遺伝子によりコード化されるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、たとえば少なくとも96%、たとえば少なくとも97%、たとえば少なくとも98%、またはたとえば少なくとも99%同一である。典型的には、特定のヒト生殖細胞配列由来のヒト抗体は、生殖細胞免疫グロブリン遺伝子によりコード化されるアミノ酸配列と10以下のアミノ酸の違い、たとえば5以下、たとえば4、3、2、または1以下のアミノ酸の違いを示す。VH抗体配列に関して、VH CDR3ドメインはこのような比較には含まれない。
【0028】
「キメラ抗体」という用語は、1つの抗体由来の1以上の領域および1以上の他の抗体由来の1以上の領域を含む抗体をさす。「キメラ抗体」という用語は、一価、二価、または多価抗体を包含する。一価キメラ抗体は、キメラL鎖とのジスルフィド架橋により結合したキメラH鎖により形成される二量体(HL)である。二価キメラ抗体は、少なくとも1つのジスルフィド架橋により結合した2つのHL二量体により形成される四量体(H2L2)である。多価キメラ抗体は、2+結合部位(たとえばIgM H鎖、またはμ鎖由来)を有する分子に組み立てられるCH領域を用いることによっても産生できる。典型的には、キメラ抗体とは、重鎖および/または軽鎖の一部が特定種由来または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同じであるか、もしくは相同性であり、一方、鎖の残りは別の種由来または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同じであるか、もしくは相同性である抗体、ならびにかかる抗体のフラグメントをさす。ただし、これらは所望の生物学的活性を示すものとする(たとえばUS4,816,567およびMorrison et al.、PNAS USA 81、6851−6855(1984)を参照のこと)。キメラ抗体は当該分野において周知の組換えプロセスにより産生される(たとえば、Cabilly et al.、PNAS USA 81、3273−3277(1984)、Morrison et al.、PNAS USA 81、6851−6855(1984)、Boulianne et al.、Nature 312、643−646(1984)、EP125023、Neuberger et al.、Nature 314、268−270(1985)、EP171496、EP173494、WO86/01533、EP184187、Sahagan et al.、J. Immunol. 137、1066−1074(1986)、WO87/02671、Liu et al.、PNAS USA 84、3439−3443(1987)、Sun et al.、PNAS USA 84、214−218(1987)、Better et al.、Science 240、1041−1043(1988)およびHarlow et al.、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1988)を参照のこと)。
【0029】
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト抗体由来の最小配列を含むヒト抗体を意味する。典型的には、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
さらに、ヒト化抗体はレシピエント抗体またはドナー抗体において見られない残留物を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに改善するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインを実質的にすべて含み、ここで非ヒト免疫グロブリンに対応する超可変ループのすべてまたは実質的にすべて、ならびにFR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は任意に、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部も含む。さらに詳細には、Jones et al.、Nature 321、522−525(1986)、Riechmann et al.、Nature 332、323−329(1988)およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2、593−596(1992)を参照のこと。
【0030】
本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を意味する。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する単一の結合特異性を示す抗体を意味する。ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合させたヒト重鎖トランス遺伝子および軽鎖トランス遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニックまたはトランスクロモソーマル非ヒト動物、たとえばトランスジェニックマウスから得られるB細胞を含むハイブリドーマにより生成させることができる。
【0031】
「組換えヒト抗体」という用語は、本明細書において用いられる場合、組換え手段により調製、発現、作製または単離されるすべてのヒト抗体、たとえば(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子またはこれから調製されるハイブリドーマ(本明細書の別の場所でさらに記載する)のトランスジェニックもしくはトランスクロモソーマル動物(たとえばマウス)から単離される抗体、(b)抗体を発現するために形質転換された宿主細胞、たとえばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列とのスプライシングを含む任意の他の手段により調製、発現、作製または単離される抗体を意味する。このような組換え体ヒト抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する。しかし、ある実施形態において、このような組換えヒト抗体をインビトロ突然変異生成(または、ヒトIg配列についてのトランスジェニック動物を使用する場合は、インビボ体細胞変異)に付すことができ、したがって組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞VHおよびVL配列に由来するか、または関連するが、インビボでヒト抗体生殖細胞レパートリー内で天然に存在しない配列である。
【0032】
「トランスジェニック非ヒト動物」とは、1以上のヒト重鎖および/または軽鎖トランス遺伝子またはトランス染色体(動物の天然のゲノムDNA中に組み入れられているか、または組み入れられていないかのいずれか)を含むゲノムを有し、ヒト抗体を完全に発現できる非ヒト動物を意味する。例えば、トランスジェニックマウスは、ヒト軽鎖トランス遺伝子およびヒト重鎖トランス遺伝子またはヒト重鎖トランス染色体のいずれかを有することができるので、マウスは、CD20抗原および/またはCD20を発現する細胞で免疫化された場合にヒト抗CD20抗体を産生する。トランスジェニックマウス、たとえばHuMAb−Mouse(登録商標)、たとえばHCo7またはHCo12マウスの場合と同様に、ヒト重鎖トランス遺伝子をマウスの染色体DNA中に組み入れることができるか、またはWO02/43478に記載されているトランスクロモソーマルKM−Mouse(登録商標)の場合と同様に、ヒト重鎖トランス遺伝子を染色体外に維持できる。このようなトランスジェニックおよびトランスクロモソーマルマウス(本明細書においては包括的に「トランスジェニックマウス」と称する)は、D−V−J組換えおよびイソタイプスイッチングを行うことにより、所定の抗原に対するヒトモノクローナル抗体の複数のイソタイプ(たとえばIgG、IgA、IgM、IgDおよび/またはIgE)を産生することができる。トランスジェニック非ヒト動物は、このような特異抗体をコード化する遺伝子を導入することにより、たとえば遺伝子を動物の乳中で発現される遺伝子と操作可能に連結させることにより、特異的抗原に対する抗体を産生するために使用することもできる。
【0033】
予防および/または治療できる発癌性疾患(癌)としては、B細胞リンパ腫、たとえばNHL(非ホジキンリンパ腫)、たとえば前駆体B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫および成熟B細胞腫瘍、たとえばB細胞慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、たとえば低悪性度、中悪性度および高悪性度FL、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(麦芽型、節性および脾性)、有毛細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性疾患、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、T細胞非ホジキンリンパ腫;ホジキンリンパ腫;ならびに黒色腫が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】天然のヒトIL−18(配列番号16)のアミノ酸配列を示す。
【図2】ネズミIL−18(配列番号17)のアミノ酸配列を示す。
【図3】ヒトB細胞リンパ腫ネズミモデルにおけるRituxan(登録商標)と組み合わせたmIL−18(配列番号17)の抗腫瘍活性を示す。CRは完全退縮を表す。
【図4】図3から得たデータをグラフ化し、GraphPad Prism(登録商標)を用いて分析した場合の統計的有意性を示す。特に、この図は、移植後19日の腫瘍体積を比較する。
【図5】ヒトB細胞リンパ腫モデルにおいてネズミIL−18(配列番号17)/Rituxan(登録商標)組み合わせの移植後25日の腫瘍体積を示す。
【図6】図6Aおよび6Bは、ヒトB細胞リンパ腫モデルにおけるネズミIL−18(配列番号17)/Rituxan(登録商標)組み合わせのメジアンおよび平均腫瘍増殖体積を示す。
【図7】ヒトB細胞リンパ腫モデルにおけるネズミIL−18(配列番号17)/Rituxan(登録商標)組み合わせの、いずれかの薬剤単独に対する移植後27日の腫瘍体積を示す。
【図8】ヒトB細胞リンパ腫モデルにおけるネズミIL−18(配列番号17)/Rituxan(登録商標)組み合わせの、いずれかの薬剤単独に対する移植後27日の腫瘍体積を示す。
【図9】SCIDマウスにおける皮下Ramosヒトリンパ腫の増殖に対するオファツムマブ(HuMax−CD20(登録商標))の単剤療法として、またはネズミIL−18(配列番号17)との併用の効果を示す(n=6匹/群;平均&SD)。(HuMaxとはオファツムマブを意味する。)
【図10】s.c.において、単剤療法として、またはネズミIL−18(配列番号17)との組み合わせにおけるオファツムマブの効果を示す。接種後28日のSCIDマウスにおけるRamosヒトリンパ腫モデル。(n=6匹/群;平均+/−SD)。(HuMaxとはオファツムマブを意味する。)
【発明を実施するための形態】
【0035】
腫瘍は通常、免疫原性でないので、前臨床試験はIL−18のモノクローナル抗体との併用療法に集中している。2つの異なる薬剤で、それぞれが異なる殺腫瘍機構を有するものを組み合わせると、結果として相乗的抗腫瘍活性が得られる。IL−18併用療法の例を以下に記載する。
実施例1はヒトB細胞リンパ腫におけるRituxan(登録商標)と組み合わせたIL−18の使用に焦点を合わせる。この研究の目的は、ヒトB細胞リンパ腫モデルにおいてIL−18とRituxan(登録商標)との組み合わせがIL−18、またはRituxan(登録商標)単独を用いた単剤療法よりも効果があるかどうかを調べることである。IL−18のモノクローナル抗体との組み合わせ、たとえばIL−18のリツキシマブ(Rituxan(登録商標))との組み合わせは、進行した段階の腫瘍モデル(SCIDマウス異種移植片)において相乗的な抗腫瘍活性を示した。リツキシマブはCD20を発現するヒト腫瘍細胞と結合するだけなので、抗腫瘍活性の評価はSCIDマウスでのヒトリンパ腫異種移植モデルにおいて実施した。
【0036】
別の実施例は、IL−18の他の臨床的に関連する癌治療との組み合わせが単剤療法のみよりも優れた抗腫瘍活性増強をもたらすかどうかを調べた。本発明者等は、オファツムマブがRamosヒト異種移植モデルにおける併用療法で用いられる場合にIL−18との相乗効果を有することを証明した。したがって、抗CD20抗体のIL−18との組み合わせは、IL−18または抗CD20抗体を単独で用いた単剤療法よりも効果がある。
【0037】
モノクローナル抗体との組み合わせは、ADCC殺腫瘍細胞機構増強の可能性を提供する。CD20に対する抗体は、mIL−18(配列番号17)との組み合わせにおいて抗腫瘍活性の増強を示す。いくつかの機構が、例えば、Rituxan(登録商標)の有効性に寄与し得る;しかし、累積証拠は、ADCCがRituxan(登録商標)投与後の腫瘍細胞の排除において重要な役割を果たすことを示唆している。ADCCは、抗体の定常(Fc)領域がエフェクター細胞、たとえばナチュラルキラー(NK)細胞または単球/マクロファージ系の細胞の表面上のFcレセプターと結合する場合に誘発される。Fcレセプターが欠損したマウスにおける研究は、ヒトB細胞リンパ腫に対するRituxanの効果が無効になったことを証明した(Uchida et al.2004;199(12):1659)。このように、Fcレセプターを有するエフェクター細胞はRituxan(登録商標)の有効性について重要であった。CD16a(FcγRIIIa)はヒトにおいて重要なFcレセプターであり、これはNK細胞およびマクロファージにより発現される。実施例1のデータは、NK細胞媒介性ADCCがリンパ腫患者におけるRituxan(登録商標)療法の有効性について重要であるという仮定を裏付ける。
【0038】
Rituxan(登録商標)の有効性を改善するための1つの有望な方法は、NK細胞および単球/マクロファージ系の細胞をはじめとする、Fcレセプターを有するエフェクター細胞の膨張および/または活性化を引き起こすことができるサイトカイン、たとえばIL−18を投与することである。実施例1においてRituxan(登録商標)と組み合わせたIL−18を用いた前臨床マウス腫瘍モデルは、単剤療法よりも効果を示した。このモデルにおいて、IL−18の十分な効果を試験することはできなかった。その理由は、このモデルが、NK機能細胞のみを有するSCID免疫不全マウスにおいてヒト異種移植片を必要としたからであった。実施例1のデータは、これらのADCC NKエフェクター細胞の膨張がIL−18およびRituxan(登録商標)の組み合わせにおいて効果を示したことを裏付ける。Rituxan(登録商標)は試験された最高の用量で単剤療法として活性であった。しかし、同様のレベルの活性は、さらに低用量のRituxan(登録商標)をmIL−18(配列番号17)と組み合わせて使用した場合においても見られ、このことは、このモデルがRituxan(登録商標)の機構に対して感受性であり、かつ反応をIL−18により増強できることを示す。さらに、本発明者等は本明細書において(図9、10)別の抗CD20抗体(オファツムマブ、HuMax−CD20)がIL−18との類似した相乗効果を有することを示す。したがって、IL−18の他の抗CD20抗体との組み合わせは同じ相乗効果を示すと考えられる。
【0039】
実施例3は、CD20+B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の患者においてリツキシマブと組み合わせたIL−18の安全性および生物活性を評価するための第1相臨床プロトコルである。この研究は、リツキシマブを、用量を増加させたIL−18と組み合わせた標準的治療計画を使用して、選択されたバイオマーカー(たとえば活性化NK細胞)により示されるような、安全かつ許容性であり、最大の生物学的効果をもたらす用量を特定する。転移性黒色腫の患者に投与した場合にIL−18の良好な安全性および許容特性が得られるならば、この研究においてこの組み合わせの最大耐量(MTD)に到達しなかったと予想される;しかし、非ホジキンリンパ腫の患者において用量制限毒性が特定されるならば、MTDを規定するためにこの研究を設計する。
【0040】
実施例1のこれらのデータは、抗がん剤のIL−18との組み合わせが臨床的利点をもたらすことを示す。その理由は、これらの組み合わせが2つの異なる作用機構をもたらすからで、その1つは腫瘍細胞に対する直接的効果であり、一方、IL−18は患者の免疫細胞を増加させることができる。これらの2つの機構は互いに相補的であり、IL−18が免疫記憶を生じさせることができるので、潜在的に結果として、長期間持続する優れた抗腫瘍活性をもたらす。全体として、実施例1は、IL−18のCD20に対する抗体との組み合わせの結果、相乗的で優れた活性が得られることを示す。
【0041】
ヒトIL−18ポリペプチドは、EP0692536A2、EP0712931A2、EP0767178A1、およびWO97/2441に開示されている。天然のヒトIL−18(hIL−18)のアミノ酸配列は配列番号16に記載されている。ヒトIL−18ポリペプチドはインターフェロン−γ−誘導性ポリペプチドである。これらはT細胞および脾細胞によるインターフェロン−γ産生の誘導、NK細胞の殺活性の増強、および未感作CD4+T細胞のTh1細胞への分化の促進をはじめとする細胞性免疫の誘導において主要な役割を果たす。
【0042】
IL−18ポリペプチド
本発明のIL−18ポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、および高性能液体クロマトグラフィーをはじめとする周知の方法により組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。タンパク質のリフォールディングのための周知技術を用いて、ポリペプチドが細胞内合成、単離および/または精製中に変性する場合に活性構造を再生することができる。活性ヒトIL−18を精製および産生するための方法はWO01/098455に記載されている。
【0043】
本発明はまた、ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)を含む医薬組成物も提供する。このような組成物は治療上有効な量の化合物を含み、医薬的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤をさらに含んでもよい。このような医薬担体は、滅菌液、たとえば水ならびに石油、動物、植物または合成起源のもの、たとえばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等をはじめとする油であり得る。医薬組成物を静脈内投与する場合、水を担体として使用できる。食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体担体として、例えば注射剤に用いることができる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。望ましいならば、組成物は少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、持続放出性処方等の形態をとることができる。組成物を伝統的な結合剤および担体、たとえばトリグリセリドを用いて坐剤として処方できる。経口処方は、標準的担体、たとえば医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等を含み得る。好適な医薬担体の例は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES by E.W.Martinに記載されている。患者に適切な投与形態を提供するために、このような組成物は治療上有効な量の化合物をしばしば精製された形態で好適な量の担体とともに含む。処方は投与様式に適合したものであるべきである。
【0044】
この用途に関して、ヒトまたはネズミIL−18(それぞれ配列番号16または17)を具体的に例示する。しかし、本発明の精神は特定のヒトおよびネズミIL−18に限定されない。したがって、配列番号16または配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%の同一性を有する任意のポリペプチドを配列番号16または配列番号17のいずれかと置換できる。従って、さらに別の実施形態において、配列番号16または配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%の同一性を有する任意のポリペプチドをIL−18(またはIL−18ポリペプチド)と定義する。
アミノ酸(ポリペプチド)配列に関して、「同一性」という用語は、最適に整列させ、適切な挿入または欠失に関して比較した場合の2つのアミノ酸配列間の同一性の程度を示す。
【0045】
2つの配列間の同一性の割合(%)は、2つの配列の最適アラインメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮して、配列により共有される同じ位置の数の関数である(すなわち、同一性(%)=同じ位置の数/位置の合計数×100)。配列の比較および2つの配列間の同一性(%)の決定は、以下の非制限的例で記載するように、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。
【0046】
2つのアミノ酸配列間の同一性の割合(%)は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.MeyersおよびW.Millerのアルゴリズム(Comput.Appl.Biosci.、4:11−17(1988))を用い、PAM120重量残余表、ギャップ長ペナルティー12およびギャップペナルティー4を用いて決定できる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性の割合(%)は、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手可能)に組み込まれたNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.48:444−453(1970))アルゴリズムを用い、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、およびギャップ重み16、14、12、10、8、6、または4および長さ重み1、2、3、4、5、または6を用いて決定できる。
【0047】
本発明の一実施形態において、ヒトに静脈内投与するために適合させる医薬組成物として常法にしたがって組成物を処方する。典型的には、静脈内投与用組成物は、無菌等張水性緩衝液中の溶液である。適当ならば、組成物は、可溶化剤および注射部位の痛みを軽減するために局所麻酔薬、たとえばリグノカインも含み得る。一般的に、成分は別々または併せて混合するかのいずれかで、単位投与形態、例えば、凍結乾燥粉末、または無水濃縮物として、活性剤の量を表示する密封された容器、たとえばアンプルまたは小袋中で供給することができる。組成物を注入により投与する場合、無菌医薬品等級の水または生理食塩水を含む注入ビンをなくすことができる。組成物を注射により投与する場合、成分を投与前に混合できるように注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供できる。
【0048】
従って、ポリペプチドを医薬の製造において使用できる。本発明の医薬組成物を非経口投与用の溶液または凍結乾燥粉末として処方できる。使用前に好適な希釈剤または他の医薬的に許容される担体を添加することにより、粉末を復元できる。液体処方は緩衝液、等張液、水溶液であってよい。好適な希釈剤の例は、等張食塩溶液、標準的な5%水中デキストロースまたは酢酸ナトリウムもしくは酢酸アンモニウム緩衝液である。このような処方は非経口投与に特に適しているが、経口投与に使用できるか、または吸入するための計量式吸入器もしくはネブライザー中に入れることもできる。賦形剤、たとえばポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリウム、またはクエン酸ナトリウムをこのような医薬組成物に添加することが望ましい。
【0049】
別法として、ポリペプチドを経口投与するためにカプセル化、錠剤化またはエマルジョンもしくはシロップ中で調製することができる。医薬的に許容される固体または液体担体を添加して、組成物を強化または安定化するか、または組成物の調製を容易にすることができる。固体担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシア、寒天、またはゼラチンが挙げられる。液体担体としては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、生理食塩水、および水が挙げられる。担体は持続放出性物質、たとえばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを単独またはワックスとともに含むこともできる。固体担体の量は様々であるが、投与単位あたり約20mgから約1gの間であろう。錠剤については適当ならば粉砕、混合、造粒、および圧縮;またはハードゼラチンカプセル形態については粉砕、混合および充填を含む通常の調剤技術に従って医薬品を製造する。液体担体を使用する場合、製剤はシロップ、エリキシル、エマルジョン、または水性、もしくは非水性懸濁液の形態である。このような液体処方を口から直接投与(p.o.)できるか、またはソフトゼラチンカプセル中に充填できる。
【0050】
ヒトIL−18ポリペプチドを、有効量のポリペプチドを活性成分として医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物として調製できる。本発明の組成物において、ポリペプチドを含み、生理的pHで緩衝され、注射にすぐ使用できる形態の水性懸濁液または溶液を使用できる。非経口投与用組成物は通常、本発明のポリペプチドの溶液または医薬的に許容される担体、たとえば水性担体中に溶解させたそのカクテルを含む。様々な水性担体、たとえば0.4%生理食塩水、0.3%グリシン等を使用できる。これらの溶液は滅菌状態であり、一般的に粒子状物質を含まない。これらの溶液を通常の周知滅菌技術(たとえば濾過)により滅菌できる。組成物は、生理的条件に近づけるために必要な医薬的に許容される補助物質、たとえばpH調節剤および緩衝剤等を含むことができる。本発明のポリペプチドのかかる医薬処方中の濃度は広範囲にわたって、すなわち約0.5重量%未満から、通常は少なくとも約1重量%から15または20重量%まで変化し、選択される特定の投与様式に従って、流体体積、粘度等に主に基づいて選択される。
【0051】
したがって、本発明の筋肉内注射用医薬組成物を、1mL滅菌緩衝水および約1ngから約100mg、たとえば約50ngから約30mg、または約5mgから約25mgの本発明のポリペプチドを含むように調製できる。同様に、本発明の静脈内注入用医薬組成物は、最高約250mLまでの滅菌リンゲル液、および約1mgから約30mg、または約5mgから約25mgの本発明のポリペプチドを含むように調製できる。非経口投与可能な組成物を調製するための実際の方法は周知であるか、または当業者には明らかであり、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE、15th ed.、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaにさらに詳細に記載されている。
【0052】
本発明のポリペプチドは、医薬品の状態で調製される場合、単位投与形態で存在し得る。適切な治療上有効な用量は、当業者が容易に決定できる。このような用量を、適切ならば、反応期間中、医師により適切に選択された適切な時間間隔で繰り返すことができる。加えて、インビトロ分析を任意に用いて、最適投与量範囲を特定するのに役立てることができる。処方において用いられる正確な投与量は、投与経路、および疾患または障害の重篤度にも依存し、医師の判断および各患者の環境に従って決定すべきである。有効な用量は、インビトロまたは動物モデル試験システムから誘導される用量依存曲線から外挿することができる。
【0053】
ポリペプチドに関して、患者に投与される用量は、典型的には患者の体重1kgあたり0.1mg〜100mgである。患者に投与される用量は、患者の体重1kgあたり0.1mgから20mgの間であるか、または患者の体重1kgあたり1mg〜10mgである。一般的に、ヒトポリペプチドは、外来ポリペプチドに対する免疫反応のために、ヒトの体内では他の種から得られるポリペプチドよりも長い半減期を有する。したがって、より低用量のヒトポリペプチドおよび頻繁でない投与が可能であることが多い。さらに、修飾、たとえば脂質化によりポリペプチドの吸収および組織透過性(たとえば脳中への)を向上させることによって、本発明のポリペプチドの用量および投与頻度を減少させることができる。
【0054】
本発明は、本発明の医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器を含む、医薬パックまたはキットも提供する。任意に、このような容器に、調合薬または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する行政機関により指示された形態の注意書を添付することができ、この注意書は、ヒトに投与するための製造、使用または販売の機関による承認を反映する。本発明のもう一つ別の実施形態において、特定の適応症の治療の必要用量を満たすために必要な、適切な数の容器をキットに設けることができる。
【0055】
もう一つ別の実施形態において、化合物または組成物をベシクル中、特にリポソーム中に送達できる(Langer、Science 249:1527−1533(1990);Treat、et al.、in LIPOSOMES IN THE THERAPY OF INFECTIOUS DISEASE AND CANCER、Lopez−Berestein and Fidler(eds.)、Liss、New York、pp. 353−365(1989);Lopez−Berestein、同書、pp.317−327参照;一般的に同書参照)。
【0056】
さらにもう一つ別の実施形態において、化合物または組成物を制御放出システムにおいて送達できる。一実施形態において、ポンプを使用できる(Langer、上記;Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald、et al.、Surgery 88:507(1980);Saudek、et al.、N.Engl.J.Med.321:574(1989)参照)。もう一つ別の実施形態において、ポリマー物質を使用できる(MEDICAL APPLICATIONS OF CONTROLLED RELEASE、Langer and Wise(eds.)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.(1974);CONTROLLED DRUG BIOAVAILABILITY、DRUG PRODUCT DESIGN AND PERFORMANCE、Smolen and Ball(eds.)、Wiley、New York(1984);Ranger、et al.、J.、Macromol. Sci. Rev.Macromol.Chem.23:61(1983)参照;さらに、Levy、et al.、Science 228:190(1985);During、et al.、Ann. Neurol. 25:351(1989);Howard、et al.、J. Neurosurg. 71:105(1989)も参照のこと)。さらにもう一つ別の実施形態において、制御放出システムを治療標的、すなわち脳に近接して設置でき、このように全身用量の一部分だけが必要とされる(たとえば、GOODSON、IN MEDICAL APPLICATIONS OF CONTROLLED RELEASE、上記、vol.2、pp. 115−138(1984)参照)。他の制御放出システムはLangerによる総説(Science 249:1527−1533(1990))で検討されている。
【0057】
ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)を任意の適切な内部経路により投与でき、必要に応じて、たとえば1日から約3週間の間毎日1から3回から週に1度または隔週に1度の頻度で繰り返すことができる。別法として、ペプチドを変更して、電荷密度を減少させ、したがって経口バイオアベイラビリティーを可能にすることができる。用量および治療期間は、ヒト循環における本発明の分子の相対的持続期間に関連し、治療される状態、および患者の一般的健康に応じて当業者が調節することができる。
【0058】
本発明は、ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)を含む有効量の本発明の化合物または医薬組成物をヒト患者に投与することによる治療法、阻害法および予防法を提供する。本発明の一実施形態において、化合物は実質的に精製されている(たとえば、その効果を制限するか、または望ましくない副作用をもたらす物質が実質的にない)。化合物が前述のポリペプチドを含む場合、処方および投与方法を用いることができ;さらなる適切な処方および投与経路を本明細書において後述のものから選択することができる。
【0059】
様々な送達システムが公知であり、本発明の化合物を投与するために使用できる。たとえば、リポソーム中への封入、ミクロ粒子、ミクロカプセル、化合物を発現できる組換え細胞、レセプター依存性エンドサイトーシス(たとえば、Wu、et al.、J.Biol.Chem. 262:4429−4432(1987)を参照)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築等。導入法としては、これらに限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、および経口経路が挙げられる。化合物または組成物を任意の都合のよい経路により、たとえば注入またはボーラス注射、上皮または皮膚粘膜ライニング(たとえば口腔粘膜、直腸および腸粘膜等)からの吸収により投与することができ、他の生物活性物質とともに投与することができる。投与は全身的であっても、局所的であってもよい。加えて、本発明の医薬化合物または組成物を中枢神経系中に、脳室内および髄腔内注射をはじめとする任意の好適な経路により導入することが望ましい;脳室内注射は、例えば、オマヤ槽などの容器に取り付けた脳室内カテーテルにより促進できる。たとえば吸入器または ネブライザー、およびエアゾル化剤を有する処方の使用により、肺内投与も用いることができる。
【0060】
抗CD20抗体
当該分野において通常の技量を有する医師または獣医は、抗CD20抗体を含む医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方できる。例えば、医師または獣医は所望の治療効果を達成するために必要であるよりも低いレベルで医薬組成物において用いられる本発明の化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることができる。一般に、本発明の組成物の好適な1日量は、治療効果をもたらすために有効な最低用量である化合物の量である。投与は、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下的であるのが好ましい。所望により、有効な1日量の治療組成物を、別々に1日を通して適切な間隔で、任意に単位投与形態で投与される2、3、4、5、6またはそれ以上の分割用量として投与できる。抗CD20抗体を単独で投与することもできるが、この化合物を医薬処方(組成物)として投与することが好ましい。
【0061】
一実施形態において、本発明のヒトモノクローナル抗体を、10〜2000mg/m、通常10〜500mg/m、たとえば200〜00mg/m、たとえば375mg/mの1週量で投与できる。このような投与を、たとえば1〜8回、たとえば3〜5回繰り返すことができる。投与を2〜24時間、たとえば2〜12時間にわたって連続注入により実施することができる。
もう一つ別の実施形態において、毒性副作用を軽減するために、抗体をたとえば24時間を超える長時間にわたってゆっくりと連続注入することにより投与する。
【0062】
さらにもう一つ別の実施形態において、抗体を250mg〜2000mg、たとえば300mg、500mg、700mg、1000mg、1500mgまたは2000mgの1週量で最高8回、たとえば4〜6回投与する。2〜24時間、たとえば2〜12時間に渡って連続注入することにより投与を実施できる。このようなレジメンを必要に応じて1回以上、例えば、6ヶ月後または12ヶ月後に繰り返すことができる。抗CD20抗体を標的とする抗イディオタイプ抗体を用いることにより、生体サンプル中への投与に際して循環する抗CD20抗体の量を測定することによって、用量を決定または調節できる。
【0063】
さらにもう一つ別の実施形態において、抗体を維持療法により、たとえば1週に1回、6ヶ月以上の期間にわたって投与する。
一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の抗CD20抗体を含む医薬組成物を提供する。医薬的に許容される担体または希釈剤ならびに任意の他の公知アジュバントおよび賦形剤を用いて従来型技術、たとえばRemington:The Science and Practice of Pharmacy、19th Edition、Gennaro、Ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1995に開示されているものにしたがって医薬組成物を処方できる。
【0064】
本発明の医薬組成物は、希釈剤、フィラー、塩、緩衝液、洗剤(たとえば非イオン性洗剤、たとえばTween−80)、安定剤、安定剤(たとえば、糖 または無タンパク質アミノ酸)、保存料、組織固定剤、可溶化剤、および/または医薬組成物中に含めるのに適した他の物質を含むことができる。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与レベルを変えて、患者に対して有毒でなく、特定の患者、組成物、および投与方法に対する望ましい治療反応を得るために有効な活性成分の量を得ることができる。選択される投与レベルは、使用する本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排泄率、治療期間、用いられる特定の組成物と併用される他の薬物、化合物および/または物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康および既往歴ならびに当業者に周知の同様の因子をはじめとする様々な薬物動態因子に依存する。
【0065】
本発明の抗CD20抗体を任意の好適な経路、たとえば経口、経鼻、吸入、気管支内、肺胞内、局所(口腔、経皮および舌下を包含する)、直腸、膣内および/または非経口経路により投与できる。
一実施形態において、本発明の医薬組成物を非経口投与する。
本明細書において使用される「非経口投与」および「非経口投与する」という表現は、腸内および局所投与以外の投与様式(通常は注射による)を意味し、表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外および胸骨内注射および注入が挙げられる。
一実施形態においては、医薬組成物を静脈内または皮下注射または注入により投与する。たとえば、副作用を軽減するために医薬組成物を2〜8時間、たとえば4時間にわたって投与できる。
【0066】
一実施形態において、医薬組成物を吸入により投与する。抗CD20抗体のFabフラグメントはこのような投与経路に好適である。Crowe et al.(February 15、1994) Proc Natl Acad Sci USA、91(4):1386−1390を参照のこと。
一実施形態において、医薬組成物を結晶形態で皮下注射により投与する。Yang et al.、PNAS USA 100(12)、6934−6939(2003)を参照のこと。
【0067】
選択された投与経路に関係なく、医薬的に許容される塩の形態または好適な水和形態で使用できる抗CD20抗体を、当業者に公知の従来法により医薬的に許容される投与形態に処方する。「医薬的に許容される塩」とは、親化合物の所望の生物活性を保持し、望ましくない毒性効果を与えない塩を意味する(たとえば、Berge、S.M.et al.、J.Pharm.Sci.66、1−19(1977)を参照のこと)。このような塩の例としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、非毒性無機酸、たとえば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等由来のもの、ならびに非毒性有機酸、たとえば脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等由来のものが挙げられる。塩基付加塩としては、アルカリ土類金属、たとえばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等由来のもの、ならびに非毒性有機アミン、たとえばN,N’−ジ−ベンジル−エチレン−ジアミン、N−メチル−グルカミン、クロロ−プロカイン、コリン、ジ−エタノール−アミン、エチレン−ジアミン、プロカイン等由来のものが挙げられる。
【0068】
医薬的に許容される担体としては、本発明の化合物と生理学的に適合性である、ありとあらゆる好適な溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、酸化防止剤ならびに吸収遅延剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物において使用できる好適な水性および非水性担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、エタノール、デキストロース、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびこれらの好適な混合物、植物油、たとえばオリーブ油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、およびゴマ油、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、トラガカントゴムおよび注射可能な有機エステル、たとえばオレイン酸エチル、および/または様々な緩衝液が挙げられる。他の担体は調剤分野において周知である。
【0069】
医薬的に許容される担体としては、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射剤または分散剤の即時調製用滅菌粉末が挙げられる。医薬的に活性な物質のこのような媒体および薬剤の使用は当該分野において公知である。任意の通常の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるこれらの使用が想定される。
例えば、コーティング物質、たとえばレシチンの使用、分散液の場合は必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持できる。
【0070】
抗CD20抗体を含む医薬組成物は、医薬的に許容される酸化防止剤、たとえば(1)水溶性酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性酸化防止剤、たとえばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロール等;および(3)金属キレート剤、たとえばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等も含むことができる。
【0071】
本発明の医薬組成物は、等張剤、たとえば糖、ポリアルコール、たとえばマンニトール、ソルビトール、グリセロールまたは塩化ナトリウムも組成物中に含むことができる。
医薬的に許容される希釈剤は生理食塩水および水性緩衝液を含む。
【0072】
抗CD20抗体を含む医薬組成物は、選択された投与経路に適切な1以上のアジュバント、たとえば保存料、湿潤剤、乳化剤、分散剤、保存料または緩衝液も含むことができ、これらは医薬組成物の貯蔵寿命または有効性を向上させることができる。本発明の抗CD20抗体を、たとえばラクトース、スクロース、粉末(たとえばデンプン粉末)、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジン、および/またはポリビニルアルコールと混合できる。アジュバントの他の例は、QS21、GM−CSF、SRL−172、ヒスタミン二塩酸塩、チモカルチン、Tio−TEPA、モノホスホリル−リピドA/ミクロバクテリア組成物、alum、フロイント不完全アジュバント、モンタニドISA、ribiアジュバントシステム、TiterMaxアジュバント、syntexアジュバント処方、免疫刺激複合体(ISCOM)、gerbuアジュバント、CpG オリゴデオキシヌクレオチド、リポ多糖類、およびポリイノシン酸:ポリシチジル酸である。
【0073】
微生物の存在の防止は、滅菌法ならびに様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を含めることの両方により保証できる。加えて、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、たとえばアルミニウムモノステアレートおよびゼラチンを含めることにより得ることができる。
抗CD20抗体を含む医薬組成物は様々な好適な形態であってよい。このような形態としては、例えば、液体、半固体および固体投与形態、たとえば液体溶液(たとえば、注射可能および注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、エマルジョン、ミクロエマルジョン、ゲル、クリーム、顆粒、粉末、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム、デンドリマーおよび他のナノ粒子が挙げられる(たとえば、Baek et al.、Methods Enzymol.362、240−9(2003)、Nigavekar et al.、Pharm Res.21(3)、476−83(2004)、Micrlparticles、and suppositories.を参照のこと)。
【0074】
最適形態は選択された投与様式および組成物の性質に依存する。処方は、たとえば、粉末、ペースト、軟膏、ジェリー、ワックス、油、脂質、ベシクルを含む脂質(カチオン性またはアニオン性)、DNA複合体、無水吸収ペースト、水中油および油中水エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカルボワックスを含む半固体混合物を包含する。前述のもののうちのいずれかが本発明にしたがった治療および療法において適切であり得る。ただし、医薬組成物中の抗CD20抗体が処方により不活化されず、処方が投与経路と生理学的に適合性かつ耐容性であるとする。たとえば、Powell et al.、“Compendium of excipients for parental formulations” PDA J Pharm Sci Technol. 52、238−311(1998)および薬剤師に周知の賦形剤および担体についてのさらなる情報に関するこの文献での言及も参照のこと。
【0075】
化合物を急速な放出から保護する担体、たとえばインプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムをはじめとする制御放出処方を用いて抗CD20抗体を調製できる。このような担体は、ゼラチン、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、生分解性、生体適合性ポリマー、たとえばエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を、単独またはワックス、もしくは当該分野において周知の他の物質とともに包含する。このような処方の調製法は当業者に一般的に公知である。たとえば、Sustained and Controlled Release Drug Delivary Systems、J.R.Robinson、ed.、Marcel Dekker、Inc.、New York、1978を参照のこと。
【0076】
本発明のある投与経路により抗CD20抗体を含む医薬組成物を投与するために、抗CD20抗体を、その不活化を防止する物質でコーティングするか、または抗体をその不活化を防止する物質と同時投与する必要がある。例えば、抗CD20抗体を対象に、適切な担体、例えば、リポソーム、または希釈剤中で投与できる。リポソームは水中油中水CGFエマルジョンならびに従来型のリポソームを包含する(Strejan et al.、J.Neuroimmunol.、27(1984))。
【0077】
投与経路に応じて、抗CD20抗体を酸の作用および化合物を不活化し得る他の自然条件から保護する物質中でこの抗体をコーティングすることができる。例えば、抗CD20抗体を対象に適切な担体、例えば、リポソーム中で投与できる。リポソームは水中油中水CGFエマルジョンならびに従来型リポソームを包含する(Strejan et al.、J.Neuroimmunol.、27(1984))。
【0078】
非経口投与用の医薬的に許容される担体としては、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射剤または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。医薬的に活性な物質のこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野において公知である。従来型媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が想定される。追加の活性化合物を組成物中に組み入れることもできる。
【0079】
注射用医薬組成物は、典型的には製造および貯蔵条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物を溶液、ミクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適した他の秩序構造として処方できる。担体は、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびこれらの好適な混合物を含む水性もしくは非水性溶媒または分散媒、植物油、たとえばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、たとえばオレイン酸エチルであってよい。例えば、コーティング、たとえばレシチンの使用、分散液の場合は必要とされる粒子サイズの維持および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持できる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、たとえばグリセロール、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むのが好ましい。組成物中に吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることにより、注射可能な組成物の持続的吸収を得ることができる。活性化合物を必要とされる量で適切な溶媒中に、所望により前述の成分の1以上の組み合わせとともに含め、続いて滅菌精密濾過を行うことにより、滅菌注射剤を調製できる。
【0080】
一般的に、塩基性分散媒および必要とされる他の成分、たとえば前述のものを含む滅菌ビヒクル中に活性化合物を、活性化合物を組み入れることにより、分散液を調製する。滅菌注射剤を調製するための滅菌粉末の場合、調製法の例は、真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)であり、これにより、活性成分と、あらかじめ滅菌濾過されたその溶液から得られる追加の所望の成分との粉末が得られる。
【0081】
活性化合物を必要な量で適切な溶媒中に、必要に応じて前述の成分の1以上の組み合わせとともに組み入れ、続いて滅菌精密濾過を行うことにより滅菌注射剤を調製できる。一般的に、活性化合物を、塩基性分散媒および前述のものから得られる必要な他の成分を含む滅菌ビヒクル中に組み入れることにより、分散液を調製する。滅菌注射剤を調製するための滅菌粉末の場合、調製法の例は、真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)であり、これにより、活性成分と、あらかじめ滅菌濾過されたその溶液から得られる追加の所望の成分との粉末が得られる。
【0082】
本発明をその精神または本質的な特性から逸脱することなく他の形態で具体化することができ、従って、本発明の範囲を表示するものとして、前記明細書または以下の実施例ではなく、添付の請求の範囲を参照すべきである。
【0083】
用語解説
前述でしばしば用いられる用語の理解を容易にするために以下に定義を記載する。
「抗体依存性細胞傷害(ADCC)」および「抗体依存性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能」とは、本明細書において用いられる場合、どちらも免疫システムのエフェクター細胞が、特異的抗体により結合している標的細胞を活発に溶解させる細胞性免疫機構に関連する。ADCCは、これにより抗体が、体液性免疫反応の一部として、感染を制限し、含むために作用できる機構の1つである。古典的なADCCはナチュラルキラー(NK)細胞により媒介されるが、別のADCCは、蠕虫として知られるある寄生虫を殺すために好酸球により使用される。ADCCはそれまでの抗体反応に対して依存するため、適応免疫反応の一部である。
【0084】
典型的なADCCはNK細胞の活性化を含み、NK細胞の表面上のFcレセプターによる、抗体でコーティングされた感染細胞の認識に依存する。Fcレセプターは、病原体に感染した標的細胞の表面と結合する抗体のFc(定常)部分、たとえばIgGを認識する。NK細胞の表面上に存在するFcレセプターは、CD16aまたはFcγRIIIaと呼ばれる。IgGのFcレセプターと結合すると、ナチュラルキラー細胞はサイトカイン、たとえばIFN−γ、および細胞毒性顆粒、たとえばパーフォリンおよびグランザイムを放出し、これらは標的細胞中に入り、アポトーシスを誘発することにより細胞死を促進する。このADCCエフェクター機能は細胞毒性T細胞(CTL)による反応と類似しているが、無関係である。
【0085】
本明細書において用いられる場合、「担体」という用語は、治療薬と合わせて投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを意味する。
「単離された」とは、「人間の手により」自然の状態から変更されていること、すなわち天然に存在するならば、その本来の環境から変わっているかもしくは除去されているか、またはその両方であることを意味する。例えば、生体中に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単離」されていないが、その自然の状態のその共存する細胞物質の少なくとも1つから分離された同ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、この用語が用いられるように、「単離」されている。さらに、形質転換、遺伝子操作または他の組換え法により生命体中に導入されているポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、前記生命体中に依然として存在している場合でも「単離」されており、これらの生命体は生きていても、生きていなくてもよい。
【0086】
本明細書において用いられる場合、「医薬的」という用語は、本発明の獣医学的用途も包含する。「治療上有効な量」という用語は、選択された状態を軽減するために有用な治療薬の量を意味する。
本明細書において用いられる場合、「医薬的に許容される」という用語は、動物、特にヒトにおける使用に関して、連邦もしくは州政府の規制機関により承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般的に承認されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0087】
「ポリペプチド」とは、ペプチド結合または修飾ペプチド結合により互いに結合した2以上のアミノ酸を含む任意のポリペプチド、すなわちペプチドイソスターを意味する。「ポリペプチド」とは、短鎖(通常、ペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと称する)、および長鎖(一般にタンパク質と称する)の両方を意味する。ポリペプチドは、20の遺伝子でコード化されたアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。「ポリペプチド」は、天然プロセス、たとえば翻訳後プロセッシング、または当該分野において周知の化学的修飾技術のいずれかにより修飾されたアミノ酸配列を含む。このような修飾は、基本的な教科書およびより詳細なモノグラフ、ならびに膨大な研究文献によく記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含む、ポリペプチドのどこでも起こり得る。同じ種類の修飾が所定のポリペプチド中のいくつかの部位で同じ程度または様々な程度で存在し得ると理解される。さらに、所定のポリペプチドは多くの種類の修飾を含み得る。ポリペプチドはユビキチン化の結果として分岐する場合があり、分岐を有するか、または有さない環状であってよい。環状、分岐および分岐環状ポリペプチドは翻訳後天然プロセスの結果得られるか、まは合成法により調製できる。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、ビオチニル化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、トランスファー−RNAによるアミノ酸のタンパク質への付加、たとえばアルギニル化、およびユビキチン化が挙げられる(たとえば、PROTEINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES、2nd Ed.、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、New York、1993;Wold、F.、Post−translational Protein Modifications:Perspectives and Prospects、1−12、in POST−TRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS、B. C. Johnson、Ed.、Academic Press、New York、1983;Seifter et al.、Meth Enzymol、182、626−646、1990;Rattan、et al.、Ann. NY Acad. Sci.、663:48−62(1992)を参照のこと)。
【0088】
生物学的方法/実施例
実施例1
ネズミヒトB細胞リンパ腫モデルにおけるIL−18のRituxan(登録商標)との併用療法の実験プロトコル
ヒトIL−18(配列番号16)は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)の非病原性株において発現されたヒトインターロイキン−18の組換え成熟形態である。IL−18は、IL−1三弁サブファミリーのIL−1ベータと最も密接に関連した主要構造を有する18Kdの非グリコシル化モノマーである。ネズミおよびヒトIL−18 cDNAは、192および193アミノ酸(それぞれ配列番号17および16)からなる前駆体タンパク質をコード化する。Pro−IL−18は、その生物活性を媒介するために、カスパーゼにより処理して生活性な成熟タンパク質(157アミノ酸)にする必要がある。ヒトとネズミIL−18との間の相同性は65%である。以下に概要を記載する前臨床試験において、インビボ相乗システムを得るためにネズミIL−18(配列番号17)を使用し、このシステムでIL−18のすべての免疫学的可能性を分析できる。
TおよびB細胞の両方が欠失した非近交系メスホモ接合SCIDマウス(ICR−Prkdcscid)において実験を実施した。非近交系ストックを使用することの近交系より優れた利点は、非近交系ICR SCID株は漏出を示さないことである(10〜12月齢マウスにおいても)。
バーキットリンパ腫の3才の患者から本来誘導されたヒトRamos B細胞リンパ腫系(ATCCカタログ、CRL1596)をマウスに注射した。腫瘍の1:10ホモジネートを6〜8週齢マウスに1匹あたり0.5mlの用量で接種した。腫瘍体積を週に2〜3回測定し、マウスを治療群中にランダムに分散させて、群が等しい腫瘍体積分布を有するようにした。群あたりのメジアン腫瘍体積が80〜150mmに達したら(腫瘍接種後12日)治療を開始した。加えて、腫瘍が成長して体積が指定の限度を超えたマウスを実験から除外した。
【0089】
第1の実験において、治療群s(n=6)は、対照群(治療なし)、3つのRituxan(登録商標)I.V.単剤療法群(それぞれ12.5、25、および50μg/マウスBIW)、ネズミIL−18S.C.単剤療法群(100μg/マウスq.d.)、ならびに3つの併用療法群で、それぞれ100μg/マウスIL−18 S.C.q.d.+それぞれ12.5、25、または50μg/マウスRituxan(登録商標)I.V.を受けたものを含んでいた。
第2の実験において、投薬は、SIDスケジュールどおりに100μg/マウスでmIL−18(配列番号17)、ならびにqd4/3スケジュールどおりに25および12.5μgでRituxan(登録商標)からなっていた。統計的有意性を測定するためのより良好な手段を得るために、動物の数をn=12まで増やした。vienerキャリパーを用いて1週間に2〜3回腫瘍体積を測定した。
ヒトB細胞リンパ腫モデルにおけるIL−18およびRituxan(登録商標)の併用療法により、IL−18、またはRituxan(登録商標)いずれかを単独で用いた単剤療法よりも優れた利点が得られる。以下で詳細に記載する2つの実験は、このモデルにおける併用療法の統計的に有意な利点を示す。
図3に記録した第1の実験において、高用量のRituxan(登録商標)(100μg/用量)は単剤療法として強力な抗腫瘍活性を示し、一方、低用量(12.5g/用量)では、Rituxan(登録商標)は活性を有さなかった。ネズミIL−18(配列番号17)は単剤として活性を有さなかった(100μg/用量)。しかし、低用量のRituxan(登録商標)と組み合わせた場合、mIL−18(配列番号17)付加/相乗活性が示された(100μgのmIL−18(配列番号17)と組み合わせた12.5μg/用量のRituxan(登録商標))。
データをグラフ化し、GraphPad Prism(登録商標)を用いて分析した場合の統計的有意性を以下で図4および5に示す。これらのグラフのうちの第1のグラフである図4において、腫瘍体積を移植後19日で比較する。統計分析は、未治療の対照群と比較して、すべての治療群で腫瘍増殖の有意な減少を示した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。第2のグラフである図5は、併用療法が単剤療法単独よりもさらに有効(統計的に有意、*p<0.05、**p<0.01)であったことを示す。
【0090】
第2の実験において、動物の数をn=6からn=12に増加させると、併用療法に反応して付加的/相乗的抗腫瘍活性の統計的有意性を決定するための能力が増加した。図6Aおよび6Bのグラフは、メジアンおよび平均腫瘍増殖体積を表す。図7および8は、腫瘍移植後27日の腫瘍体積の統計的分析を図示する。データは、Rituxan単独(25μg/マウス)またはmIL−18(配列番号17)単剤療法単独(100μg/マウス)と比較して、併用療法で治療されたマウス(25/100μg/マウス)における腫瘍体積の統計的に有意な減少を示す。
【0091】
この前臨床データは、IL−18およびリツキシマブの組み合わせの結果、相乗的な抗腫瘍活性が得られることを示す。リツキシマブは試験した最高の用量で単剤療法として活性であった。しかし、さらに低用量のリツキシマブをネズミIL−18と併用した場合に類似したレベルの活性が見られ、このことは、このモデルがリツキシマブに対して感受性であり、反応がIL−18により増強されたことを示す。ネズミIL−18はリツキシマブの活性を増強し、このことはおそらくNK細胞におけるADCC活性を増加させることによるであろう。SCIDマウスはBおよびT細胞反応の両方が欠失しているので、IL−18はNK細胞活性化により抗腫瘍反応を増加させる。
【0092】
実施例2
ヒトリンパ腫異種移植モデルにおけるIL−18のオファツムマブとの併用療法
本発明者等の目標は、皮下ヒトRamosリンパ腫(SCIDマウスにおける異種移植片)のIL−18(ネズミ)およびオファツムマブの併用治療の結果、相乗的な抗腫瘍活性が得られるかどうかを決定することであった。
【0093】
背景および方法
・オファツムマブmAbに対する用量反応を確立されたRamosヒトリンパ腫異種移植モデル(「充実性腫瘍」モデル、または「皮下腫瘍」モデルとしても知られる)において試験した。
・SCID(ICRバックグラウンド、Taconic)メスマウスに、Ramosリンパ腫ホモジネート(0.5mlの、ドナーSCIDメスマウスから得た1:8ホモジネート)を0日に皮下投与した。マウスを観察し、キャリパーを用いて週に2回腫瘍体積を測定した。次式:(0.5xL)xW(腫瘍の長さ=L、腫瘍の幅=W)を用いて腫瘍体積を決定した
・ほとんどの腫瘍が移植後17日で約100〜150mmの体積に達したら、マウスを治療群中にランダム化した(大/小体積の腫瘍を実験から除外した)。オファツムマブ治療薬を週に2回静脈内投与し、IL−18サイトカイン治療薬を1日に1回皮下投与した。治療群を表1(下記)に記載する。本発明者等はこの実験において1群あたり6匹のマウスを使用した。
・モデルから得られる読み出しは、腫瘍体積測定値および治癒/退縮/未治癒腫瘍の割合(%)である。
・治癒したマウスを、腫瘍体積3回の連続した測定で<10mmの腫瘍体積を有していたマウスとして定義する。部分退縮を有するマウスを、3回の連続した測定で初期体積の<50%の腫瘍体積を示すものと定義する。未治癒マウスを、腫瘍体積の改善を示さないマウスと定義する(前述の通り)。
【0094】
【表1】

【0095】
図9は、SCIDマウス(n=6匹/群;平均&SD)における皮下Ramosヒトリンパ腫の増殖に対する、単剤療法としてまたはIL−18との併用療法でのオファツムマブ(Humax−CD20(登録商標))の効果を示す。加えて、データを治癒マウス(%)、退縮マウス(%)、および未治癒マウス(%)として表した。定義は方法において記載した通りである(前述)。
図9のデータを統計的に分析することはできない。その理由は、2方向ANOVAを用いたすべての時点にわたる全体的な分析は、すべての時点におけるすべての群のすべてのデータ点を必要とし、我々はこれらを集められないからである。これは腫瘍実験の性質、つまり安楽死(腫瘍体積が瀕死基準に到達した)または自然死のためにマウス(したがってデータ点)を失うためである。したがって、腫瘍体積データを選択された時点、すなわち実験の28日で統計的に分析した。腫瘍体積データをすべての治療群から入手可能な実験の最後の点として、この時点を選択した(この時点で倫理的理由(極端な腫瘍体積)によりビヒクル群を安楽死させた)。
【0096】
図10は、単剤療法として、またはIL−18との組み合わせにで、接種後28日でのSCIDマウスにおけるs.c.Ramosヒトリンパ腫モデルにおけるオファツムマブの効果を示す。(n=6匹/群;平均+/−SD)。対数変換したデータはパラメータ試験処理のすべての基準に合格した。
【0097】
結論(対数変換したデータのパラメータ解析)
我々のデータは、オファツムマブモノクローナル抗体(mAb)を低用量で投与した単剤療法の結果、Ramosリンパ腫増殖に対して顕著な阻害効果が得られるが、この生物学的効果は統計的に有意でないことを示す。しかし、オファツムマブmAbの効果は、サイトカインIL−18療法と組み合わせた場合、有意に強化される。オファツムマブmAbおよびIL−18の併用療法の結果、すべての投薬群において有意な腫瘍増殖遅延が得られ、最大有意性(p<0.001)は最高用量(50ug/mのオファツムマブ+100ug/mのIL−18)の群であった。最高の併用群(50/100)はまた、すべての(低用量)オファツムマブ単剤療法群、およびIL−18単剤療法群よりも有意に良好な結果を示す。
【0098】
まとめると、オファツムマブは、Ramosヒト異種移植モデルにおいてIL−18併用療法と相乗効果を示した。データは、用量依存性抗腫瘍活性、IL−18およびリツキシマブの組み合わせを用いた同じ腫瘍異種移植片の治療と類似した特性を示した。
【0099】
実施例3
リツキシマブと組み合わせたIL−18の第1相臨床試験のプロトコル
第1相は、標準的リツキシマブ療法と組み合わせたヒトIL−18非盲検、用量漸増試験であり、CD20+B細胞NHLの対象においてヒトIL−18の12週の漸増用量(1〜100μg/kg)の安全性および耐容性を調べる。
リツキシマブおよびヒトIL−18の投薬は時間差をつける。したがって、対象は毎週、週1〜4週の第1日にリツキシマブ(375mg/m)のIV注入を受ける。ヒトIL−18を、1〜4週の第2日および週5〜12の第2日(+/−1日)に毎週IV注入として投与する。ヒトIL−18の出発用量は1μg/kgであり、用量の漸増を100μg/kgの名目最大用量まで継続させるように計画する。
【0100】
各集団内の投薬は時間差をつけ、1対象に第1のリツキシマブを第1日およびヒトIL−18を第2日に投与し、院内で少なくとも24時間モニターする。安全性および耐容性の問題がなければ、集団内の次の対象に少なくとも24時間後に投薬し、これも第1のヒトIL−18投薬後、24時間院内でモニターする。翌週(2〜12週)、対象をヒトIL−18投薬後6時間モニターし、その後、臨床から解放できる。すべての対象は少なくとも2時間あけて投薬する。任意の集団において、1日につき2人以下の対象に投薬できる。
3人の患者を第1用量レベル(1μg/kg/週)で治療する。集団において投薬が完了した(すなわち、3人の患者すべてが1週から6週の実験を完了した)後、実験薬剤に対して「疑わしい」または「可能性の高い」関係性があるグレード2を超える毒性の証拠がなければ、次の集団のそれぞれにおいて対象を以下の用量レベルで治療する:3μg/kg/週、10μg/kg/週、20μg/kg/週、30μg/kg/週、および100μg/kg/週。
リツキシマブのすべての注入に関して、注入のはじめから注入の最後までの用量の完全な送達は4時間未満でなければならない。ヒトIL−18注入は2時間かかる。
【0101】
この研究の目的は、CD20+B細胞リンパ腫の患者において標準的リツキシマブ治療と組み合わせて用いられる場合に安全なヒトIL−18の生物学的に有効な最大用量を決定することである。ヒトIL−18について用量−反応関係(従来の第1相研究において鐘形であることが判明した)を評価するために、1〜100μg/kgの用量範囲を使用して、CD20+B細胞リンパ腫患者における生物学的活性範囲の下限(低用量)および上限(中または高用量)を調べる。
リツキシマブの用量は、CD20+B細胞NHLの患者について承認された標識において推奨される標準的レジメンである。ヒトIL−18の用量を、腎細胞癌および転移性黒色腫の患者が関与する研究から得た事前の第1相安全性、薬物動態、および薬力学データに基づいて選択する。Robertson、et al.、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol. 22:178(abstract 713)(2003);Robertson、et al.、J. Clin. Oncol.22:176s(abstract 2553)(2004);Robertson、et al.、J. Clin. Oncol.23:169s(abstract 2513)(2005);Koch、et al.、J.Clin.Oncol. 23:174s(abstract 2535)(2005);Koch、et al.、Eur.J.Cancer 4(12):86(270)(2006)。試験した最高用量、つまり2000μg/kgを毎週、最高24週まで投与したが、有意な毒性は得られず、したがって最大耐量は特定されなかった;したがって、薬力学データを用いてこの実験の用量範囲の上限を選択する。
【0102】
この実施例からわかるように、IL−18を抗CD20抗体とともに投与するもう一つ別の実施形態は時間差投与であり、IL−18および抗CD20抗体を交互ベースで投与する。誤解を避けるために、IL−18または抗CD20抗体のいずれかを時間差投与において最初に投与できる。
【0103】
【表2−1】


【表2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において癌を治療または予防する方法であって:(i)ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16);および(ii)抗CD20抗体を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
患者において癌を治療または予防する方法であって:前記患者に:(i)ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16);および(ii)オファツムマブを投与する工程を含む、方法。
【請求項3】
患者において癌を治療または予防する方法であって、前記患者に:(i)ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16);および(ii)リツキシマブを投与する工程を含む方法。
【請求項4】
前記ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および前記抗体の投与が同時である、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
前記ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および前記抗体の投与が続いて行われ、前記ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)を最初に投与する、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項6】
ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および抗体の投与が続いて行われ、抗体を最初に投与する、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項7】
ヒトIL−18ポリペプチド(配列番号16)および抗体の投与を、時間差をつけておこなう、請求項1、2、または3記載の方法。
【請求項8】
抗体がFc媒介性エフェクター機能を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
癌がB細胞リンパ腫である、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項10】
癌が、NHL(非ホジキンリンパ腫)、B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、成熟B細胞腫瘍、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、たとえば低悪性度、中悪性度および抗悪性度FL、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(麦芽型、節性および脾性)、有毛細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性疾患、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、T細胞非ホジキンリンパ腫;および黒色腫からなる群から選択される、請求項1、2または3記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−522200(P2010−522200A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554732(P2009−554732)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057620
【国際公開番号】WO2008/118736
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】