説明

ヒドロキシアルキル基を有するチアゾリウム塩及びそれを含有する帯電防止剤

【課題】 帯電防止性能を有し且つカチオンが新規であるチアゾリウム塩、及び該チアゾリウム塩を用いた帯電防止剤を提供すること。
【解決手段】 式(1):
【化1】


(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、アリル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Aはアニオンを表す。nは1〜3の整数である。)で示されるチアゾリウム塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカチオンを有するチアゾリウム塩及びそれを含有する帯電防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
チアゾリウム塩としては、3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び3−ベンジルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが公知である(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、チアゾリウム環の炭素原子に結合するヒドロキシアルキル基を有するチアゾリウム塩は文献等に記載されていない。また、かかるヒドロキシアルキル基を有するチアゾリウム塩が帯電防止性能を有することは文献等に教示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−84193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、帯電防止性能を有し且つカチオンが新規であるチアゾリウム塩、及び該チアゾリウム塩を用いた帯電防止剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが、前記課題に鑑みて鋭意検討した結果、チアゾリウム環の5位にヒドロキシアルキル基を有するチアゾリウム塩が当該ヒドロキシアルキル基を有さないチアゾリウム塩に比べて高い帯電防止性能を有すること、言い換えれば、チアゾリウム環の5位にヒドロキシアルキル基を導入することによって優れた帯電防止性能が得られること、そしてチアゾリウム環の5位にヒドロキシアルキル基を有するチアゾリウムカチオンが新規であって、当該カチオンからなるチアゾリウム塩が新規であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、式(1)で示されるチアゾリウム塩及び該チアゾリウム塩を含有する帯電防止剤に関する。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、アリル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Aはアニオンを表す。nは1〜3の整数である。)で示されるチアゾリウム塩(以下、チアゾリウム塩(1)という)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、樹脂に対して高い帯電防止性を付与できるチアゾリウム塩を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においてフルオロアルキル基とは、炭素原子に1個又は2個以上のフッ素原子が結合しているアルキル基を表す。
【0012】
式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Aはアニオンを表す。nは1〜3の整数である。
【0013】
は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくは水素原子である。Rとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0014】
は炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基又はベンジル基である。Rとしては、具体例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ヘキサデシル基、エイコシル基、アリル基、1,1,1−トリフルオロブチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0015】
は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。Rとしては、具体例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0016】
はアニオンを表し、具体的には、(FSO、(CFSO、(CSO、CFSO、CFCO、BF、PF、C、CCO、CSO、CHSO、CHSO、C1225SO,B(CN)、N(CN)又はSCNである。好ましいアニオンとしては、(FSO、(CFSO、(CSO、BF、PF、CHSO、CHSO、又はSCNであり、より好ましいアニオンとしては、(CFSO、CHSO又はSCNである。
【0017】
チアゾリウム塩(1)の具体例としては、例えば、5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−ペンチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘプチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−エイコシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−3−メトキシエチル−4−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、
【0018】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘプチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エイコシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−3−メトキシエチル−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
【0019】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−ペンチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−ヘプチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−エイコシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−3−メトキシエチル−4−メチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホナート、
【0020】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−ペンチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−ヘプチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−エイコシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、5−(2−ヒドロキシエチル)−3−メトキシエチル−4−メチルチアゾリウム=テトラフルオロボレート、
【0021】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−ペンチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−ヘプチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−エイコシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、5−(2−ヒドロキシエチル)−3−メトキシエチル−4−メチルチアゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、
【0022】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−ペンチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ヘプチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−エイコシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−3−メトキシエチル−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、
【0023】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=チオシアナート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=チオシアナート、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−ペンチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ヘプチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−エイコシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−3−メトキシエチル−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート等を挙げることができる。
【0024】
チアゾリウム塩(1)として、特に好ましいものとしては、5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
【0025】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート、
【0026】
5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=チオシアナート、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−プロピルチアゾリウム=チオシアナート、3−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ヘキシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−3−オクチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート、3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート等が挙げられる。
【0027】
本発明のチアゾリウム塩(1)は、例えば、式(2):
【0028】
【化2】

(式中、R〜Rは前記と同じ。Xは、ハロゲンイオンを表す。)で示されるチアゾリウム=ハライド(以下、チアゾリウム=ハライド(2)という。)と式(3):
【0029】
・A (3)
(式中、Mはアルカリ金属イオンを表す。Aは前記と同じ。)で示されるアルカリ金属塩(以下、アルカリ金属塩(3)という。)、式(4):
【0030】
・A (4)
(式中、Aは前記と同じ。)で示される酸類(以下、酸類(4)という。)又は式(5):
【0031】
Ag・A (5)
(式中、Aは前記と同じ。)で示される銀塩(以下、銀塩(5)という。)をイオン交換反応させることにより得ることができる。
【0032】
チアゾリウム=ハライド(2)において、Xで示されるハロゲンイオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオンおよびヨウ素イオンを挙げることができる。
【0033】
アルカリ金属塩(3)において、Mとしては、例えば、リチウム、ナトリウムおよびカリウム等を挙げることができる。アルカリ金属塩(3)としては、具体的には、Li・(FSO、Li・(CFSO、Li・(CSO、Li・CFSO、Li・CFCO、Na・BF、K・PF、Na・CHSO、Na・CHSO、Na・C1225SO、Li・B(CN)、Li・N(CN)、Na・C、Na・CCO、Na・CSO等が挙げられる。
【0034】
酸類(4)として具体的には、H・CHSO、H・C1225SO、H・C、H・CCO、H・CSO等が挙げられる。
【0035】
銀塩(5)として具体的には、AgBF、Ag・SCN、Ag・N(CN) 等が挙げられる。
【0036】
イオン交換反応は、通常溶媒中で行われる。溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、チアゾリウム=ハライド(2)1重量部に対して通常20.0重量部以下、好ましくは0.5〜10重量部であり、特に好ましくは1.0重量部〜5.0重量部である。また、2種以上の溶媒を混合して使用することも可能である。
【0037】
チアゾリウム=ハライド(2)、アルカリ金属塩類(3)もしくは酸類(4)もしくは銀塩(5)及び溶媒の混合順序は特に限定されず、チアゾリウム=ハライド(2)と溶媒を混合した後にアルカリ金属塩類(3)もしくは酸類(4)もしくは銀塩(5)を添加してもよいし、アルカリ金属塩類(3)もしくは酸類(4)もしくは銀塩(5)と溶媒を混合した後にチアゾリウム=ハライド(2)を添加してもよい。
【0038】
イオン交換反応の反応温度は、生成するチアゾリウム塩(1)の融点より高い温度であることが好ましく、通常10℃〜80℃、好ましくは15℃〜60℃、特に好ましくは20℃〜40℃である。反応時間としては、通常15分以上、好ましくは30分〜3時間、特に好ましくは45分〜3時間である。
【0039】
反応終了後の反応液からチアゾリウム塩(1)を取り出す方法としては、反応液が有機層と水層とに分液している場合には、有機層を分離し、所望により有機層を水洗した後、有機層を濃縮することによってチアゾリウム塩(1)を得る方法、反応液が均一な場合には、前記の水に不溶で、且つチアゾリウム塩(1)が可溶な有機溶媒を添加してチアゾリウム塩(1)を有機溶媒に抽出、得られた有機層を所望により水洗し、次いで有機溶媒を留去することにより、チアゾリウム塩(1)を得る方法等が挙げられる。
【0040】
アルカリ金属塩(3)もしくは酸類(4)もしくは銀塩(5)の使用割合は、収率を向上させる観点および経済性の観点から、チアゾリウム=ハライド(2)1モルに対して、0.8〜2モルの割合であることが好ましく、0.9〜1.5モルの割合であることがより好ましい。
【0041】
イオン交換に用いる溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、THF、テトラヒドロピランおよび1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、アクリロニトリルおよびプロピオニトリル等のニトリル類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ブロモプロパン、ブロモブタン、ブロモペンタン、ブロモヘキサン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチルおよびヨウ化プロピル等のハロゲン化アルキル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、ブチロラクトン、カプロラクトン、ヘキサノラクトンおよび酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンジン、ケロシン、トルエン、キシレン、メシチレンおよびベンゼン等の炭化水素類、並びに水等を挙げることができる。これらのなかでも、アルコール類、ニトリル類、ハロゲン化アルキル類および水が好適に用いられる。なお、これら溶媒は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
チアゾリウム=ハライド(2)は、例えば、式(6):
【0043】
【化3】

(式中、R、R及びnは、前記に同じ。)で示されるチアゾール化合物(以下、チアゾール化合物(6)という。)と式(7):
【0044】
−X (7)
(式中、R及びXは、前記と同じ。)で示されるハライド化合物(以下、ハライド化合物(7)という。)を反応させることにより、製造することができる。
【0045】
チアゾール化合物(6)は、市販のものを用いてもよいし、適宜合成したものを用いてもよい。
【0046】
チアゾール化合物(6)とハライド化合物(7)との反応において、ハライド化合物(7)の使用量は、チアゾール化合物(6)1モルに対して、0.8〜10モルが好ましく、1〜5モルであることがより好ましい。
【0047】
チアゾール化合物(6)とハライド化合物(7)との反応における反応温度は、0〜200℃が好ましく、10〜150℃がより好ましい。反応時間は、通常、1〜30時間である。
【0048】
本発明の帯電防止剤は、チアゾリウム塩(1)を導電性成分として含有してなるものであり、単独であっても帯電防止剤として用いることができるが、必要に応じて安定化剤等の添加剤又は溶媒等を混合して用いることもできる。本発明の帯電防止剤を使用できる絶縁物としては樹脂組成物、ゴム等が挙げられる。帯電防止性を付与するには、本発明の帯電防止剤を樹脂組成物、ゴム等の製造時にそれらの材料に添加、混合する等の方法または樹脂組成物、ゴム等に塗布する方法等が挙げられる。
【0049】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。実施例中、H−NMRは日本ブルカー株式会社製AVANCE400を使用し、400MHzでテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフトを算出した。実施例10において、H−NMR及び19F−NMRは日本電子データム社製AL−400を使用して測定し、H−NMRは400MHzでテトラメトキシシランを基準として、19F−NMRは376MHzでトリフルオロトルエンを基準としてケミカルシフトを算出した。
【0050】
実施例1 5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、4−メチル−5−チアゾールエタノール3.07g(0.02モル)、アセトニトリル7.20g及びヨードメタン6.62g(0.04モル)を仕込み、40℃で32時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターにて濃縮して、黄色固体を得た。この黄色固体をヘキサン10gで3回洗浄し、撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器にいれ、イオン交換水3.21g及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)9.08g(0.02モル)を加えて3時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで3回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターにいれ、減圧乾燥させて、液体の5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド5.64gを得た(収率:60%)。
【0051】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)2.42(s,3H),3.01(t,J=5.2Hz,2H),3.63(q,J=5.2Hz,2H)4.07(s,3H),5.19(t,1H,J=5.2),9.94(s,1H)
【0052】
実施例2 3−ペンチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、4−メチル−5−チアゾールエタノール9.06g(0.06モル)及び1−ヨードペンタン13.89g(0.07モル)を仕込み、60℃で24時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン10gで3回洗浄した後に、撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器にいれ、イオン交換水9.02g及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)23.89g(0.06モル)を加えて3時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液し反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで3回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターにいれ、減圧乾燥させて、液体の3−ペンチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド30.56gを得た(収率:98%)。
【0053】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)0.88(t,J=6.8Hz,3H)1.12−1.35(m,4H), 1.77−1.83(m,3H),2.49(s,3H),3.01(t,J=5.6Hz,2H),3.64(t,J=5.6Hz,2H)4.43(t,J=7.6Hz,2H),9.99(s,1H)
【0054】
実施例3 3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、4−メチル−5−チアゾールエタノール9.99g(0.07モル)、アセトニトリル8.98g及び1−ヨードドデカン37.97g(0.13モル)を仕込み、70℃で49時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン10gで3回洗浄した後に、撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器にいれ、イオン交換水30.59g及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)27.71g(0.07モル)を加えて3時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで5回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターにいれ、減圧乾燥させて、液体の3−ドデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド37.33gを得た(収率:90%)。
【0055】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=0.85(t,J=7.0Hz,3H)1.10−1.45(m,18H), 1.78(m,2H),2.45(s,3H),3.01(t,J=5.6Hz,2H),3.64(t,J=5.6Hz,2H)4.12(t,J=7.0Hz,2H),5.10−5.30(brs,1H),9.98(s,1H)
【0056】
実施例4 3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、4−メチル−5−チアゾールエタノール2.88g(0.02モル)、アセトニトリル7.50g及び1−ヨードヘキサデカン12.27g(0.04モル)を仕込み、70℃で48時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターにて濃縮して、黄色固体を得た。この黄色固体をヘキサン10gで3回洗浄した後に、撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器にいれ、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)9.08g(0.02モル)を加えて3時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで3回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターで濃縮して、濃縮物を得た。この濃縮物を減圧乾燥させて、固体の3−ヘキサデシル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド11.98gを得た(収率:92%)。
【0057】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=0.84(m,3H)1.10−1.40(m,28H), 1.60−1.80(brs,2H),2.45(s,3H),3.01(t,J=5.4Hz,2H),3.64(t,J=5.4Hz,2H)4.12(t,J=5.4Hz,2H),5.23(t,J=5.4,1H),9.98(s,1H)
【0058】
実施例5 3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、4−メチル−5−チアゾールエタノール3.27g(0.02モル)、アセトニトリル7.59g、ヨウ化アリル4.38g(0.03モル)を仕込み、70℃で14時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン10gで3回洗浄した後に、洗浄した濃縮物とイオン交換水3.10gを、撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に仕込み、そこにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)8.96g(0.02モル)を加えて2時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで3回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターにいれ、減圧乾燥させて、液体の3−アリル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド9.44gを得た(収率:89%)。
【0059】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=2.45(s,3H),3.03(t,J=5.2Hz,2H),3.63(q,J=5.2Hz,2H)4.07(s,3H),5.19(t,1H,J=5.2),9.94(s,1H)
【0060】
実施例6 3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、4−メチル−5−チアゾールエタノール3.00g(0.02モル)、アセトニトリル7.50g及び1,1,1−トリフルオロ−4−ヨードブタン7.43g(0.03モル)を仕込み、70℃で15時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン10gで3回洗浄した後に、撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に仕込み、イオン交換水3.02g及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)9.93g(0.03モル)を加えて2時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで3回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターにいれ、減圧乾燥させて、液体の3−(1,1,1−トリフルオロブチル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド8.19gを得た(収率:39%)。
【0061】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=1.90−2.20(m,2H),2.60−2.20(m,5H),3.01(t,J=5.6Hz,2H)3.64(q,2H),4.95(t,2H,J=7.7),5.23(t,J=5.0Hz,1H)10.00(s,1H)
【0062】
実施例7 3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌機を備えた20L容の反応装置に、メチルヒドロキシエチルチアゾール2.86kg、アセトニトリル8.58kg及び塩化ベンジル2.54kgを仕込み、6.5時間還流させた。反応液を室温まで冷却して固体を生じさせた後、反応液にアセトニトリル3kgを加えて濾過を行った。得られた固体をアセトニトリル2.0kgで洗浄し、減圧乾燥させて、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロライド2.36kgを得た(収率:44%)。
撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた2L容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロライド300.9g(1.12モル)、イオン交換水300.3g及びリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド557.4g(73.5% 水溶液)(1.43モル)を仕込み、室温で24時間撹拌した。撹拌終了後、水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水300gで洗浄した後に、撹拌機を備えた2Lナスフラスコで仕込み、アセトニトリル307.6gと活性炭(SW−30)36.2gを加えて、室温で8時間撹拌した。この溶液を濾別し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した後に、濃縮物を減圧乾燥させて、液体の3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド553.0gを得た(収率:96%)。
【0063】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=2.35(s,3H),3.01(t,2H,J=5.2),3.64(q,2H,J=5.2),5.24(t,1H,J=5.2),5.76(s,2H),7.32(d,2H,J=7.2),7.37−7.50(m,3H)10.07(s,1H)
【0064】
実施例8 3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナートの合成
撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた2L容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロライド301.7g(1.12モル)、イオン交換水300.3g及びパラトルエンスルホン酸ナトリウム222.05g(1.43モル)を仕込み、室温で4時間撹拌した。撹拌終了後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリル264.96gにより溶解させ、生じた白色沈殿をろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターにいれ、濃縮し、次いで濃縮物を減圧乾燥させて、粘調な液体の3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート362.3gを得た(収率:98%)。
【0065】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−D6)δ(ppm)=2.25(s,3H),2.35(s,3H),3.01(t,2H,J=5.2),3.64(q,2H,J=5.2),5.24(t,1H,J=5.2),5.77(s,2H),7.08(d,2H,J=7.2),7.32(d,2H,J=7.2),7.37−7.60(m,5H)10.09(s,1H)
【0066】
実施例9 3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナートの合成
撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた2L容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロライド301.7g(1.12モル)、イオン交換水300.3g及びチオシアン酸ナトリウム91.6g(1.43モル)を仕込み、室温で3時間撹拌した。撹拌終了後、水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水300gで3回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターにいれ濃縮した。得られた濃縮物を減圧乾燥させ、メタノール157.48gで溶解させ、65℃に加熱し、冷却することで再結晶を行った。得られた結晶をろ別し、減圧乾燥させて、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=チオシアナート248.97gを得た(収率:76%)。
【0067】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−D6)δ(ppm)=2.35(s,3H),3.01(t,2H,J=5.2),3.64(q,2H,J=5.2),5.24(t,1H,J=5.2),5.77(s,2H),7.33(d,2H,J=7.2),7.37−7.50(m,3H)10.10(s,1H)
【0068】
実施例10 3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ペンタフルオロフェノレートの合成
撹拌子を備えた100mL容のガラスの反応器に、ペンタフルオロフェノールナトリウム塩6.63g(0.03モル)、イオン交換水17.39g、酢酸エチル16.02g及び3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロライド8.00g(0.03モル)を仕込み、室温にて2時間撹拌した。撹拌終了後、水層と酢酸エチル層に分液した反応液からエチル酢酸層を分離した。この酢酸エチル層をイオン交換水16gで3回洗浄した後に、ロータリーエバポレーターにいれ濃縮し、濃縮物を減圧乾燥させて、粘調な液体の3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム=ペンタフルオロフェノレート10.10gを得た(収率82%)。
【0069】
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl)δ(ppm)=2.37(s,3H),3.00(t,2H,J=5.6),3.86(q,2H,J=5.6),4.92−4.94(brs,1H),5.61(s,2H),7.16−7.18(m,2H),7.37−7.40(m,3H)10.55(s,1H)
19F−NMR(376MHz、溶媒:CDCl)δ(ppm)=−117.63−−117.53(m,1F),−105.70−−105.55(m,2F),−103.50−−103.30(m,2F)
【0070】
比較例1 3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、チアゾール5.05g(0.07モル)及び1−ヨードペンタン15.16g(0.08モル)を仕込み、60℃で24時間、さらに80℃9時間撹拌した。室温まで冷却し、ヘキサン5gで3回洗浄して下層を取り出した。得られた下層に、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)20.47gを加えて3時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで3回洗浄し、ロータリーエバポレーターにいれ、減圧乾燥させて、液体の3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド20.46gを得た(収率:69%)。
【0071】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=0.87(t,J=4.9Hz,3H)1.20−1.32(m,4H), 1.85−1.90(m,2H),4.54(t,J=7.3Hz,2H),8.36(s,1H),8.60(s,1H),10.02(s,1H)
【0072】
比較例2 3−ベンジルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、3−ベンジルチアゾニウムブロミド5.60g(0.02モル)、イオン交換水6.59g及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(73.5% 水溶液)9.30gを加えて3時間室温にて撹拌した。撹拌終了後に水層と有機層に分液した反応液から有機層を分離した。この有機層をイオン交換水10gで3回洗浄し、ロータリーエバポレーターにいれ減圧乾燥させて、液体の3−ベンジルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド9.84gを得た(収率:98%)。
【0073】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=5.78(s,2H),7.30−7.60(m,5H),8.34(s,1H),8.57(s,1H),10.32(s,1H)
【0074】
比較例3 3−ベンジルチアゾリウム=パラトルエンスルホナートの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、3−ベンジルチアゾニウムブロミド3.00g(0.02モル)、イオン交換水3.13g及びパラトルエンスルホン酸・一水和物2.02gを加えて4時間室温にて撹拌した。反応液をロータリーエバポレーターで濃縮した後に、濃縮物を減圧乾燥させて、固体の3−ベンジルチアゾリウム=パラトルエンスルホナート4.00gを得た(収率:99%)。
【0075】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=2.25(s,3H),5.85(s,2H),7.12(d,J=8.0Hz,2H),7.30−7.60(m,9H),8.38(s,1H),8.65(s,1H),10.48(s,1H)
【0076】
比較例4 3−ベンジルチアゾリウム=チオシアナートの合成
撹拌子及びすりつき三方コックを備えた100mL容のガラスの反応器に窒素雰囲気下、3−ベンジルチアゾニウムブロミド3.00g(0.02モル)、メタノール6.13g及びチオシアン銀1.95gを加えて2時間室温にて撹拌した。撹拌終了後、2層に分液した反応液から下層を分離した。この下層をメンブレンフィルター(0.45μm)で濾過し、ろ液を減圧乾燥させて、粘調液体の3−ベンジルチアゾリウム=チオシアナート1.60gを得た(収率:58%)。
【0077】
H−NMR(400MHz、溶媒:DMSO−d6)δ(ppm)=3.36(brs,2H)5.78(s,2H),7.35−7.60(m,5H),8.34(s,1H),8.56(s,1H),10.32(s,1H)
【0078】
熱分解温度の測定
得られたチアゾリウム塩の熱安定性を検討するため、実施例及び比較例により得られたチアゾリウム塩の分解温度を測定した。その結果を表1に示す。ここで分解温度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差熱熱重量測定装置(TG/DTA220)を用い、試料10mgを白金製容器に載せ、窒素雰囲気下(窒素流量50ml/分)で昇温速度10℃/分で20℃〜600℃まで測定し、重量減が5%となる温度とした。
【0079】
【表1】

【0080】
帯電防止性能の評価
蓋付きの50ml試料瓶に、ポリカーボネート樹脂(住友ダウ製、カリバー200T NAT)3.2g、ジクロロメタン20mL、実施例及び比較例で得られたチアゾリウム塩0.16gをはかりとり、蓋を閉めて混合物を完溶させた。ステンレス製バット(12cm×20cm×2cm)に試料瓶内容物を取りだし、常温で1時間、40℃で2時間乾燥させた。得られたポリカーボネートシートを10cm×12cmの大きさに切りとり、帯電防止能評価用試料とした。
得られたポリカーボネートシートを温度25度、湿度70RH%の環境で、抵抗計(三菱化学株式会社製ハイレスターUP(MCP−HT450))により各シートの表面抵抗値を求めた値を表2に示す。
【0081】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、アリル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Aはアニオンを表す。nは1〜3の整数である。)で示されるチアゾリウム塩。
【請求項2】
が(FSO、(CFSO、(CSO、CFSO、CFCO、BF、PF、C、CCO、CSO、CHSO、CHSO、C1225SO、B(CN)、N(CN)又はSCNである請求項1に記載のチアゾリウム塩。
【請求項3】
が水素原子である請求項1又は2に記載のチアゾリウム塩。
【請求項4】
が炭素数1〜16のアルキル基、アリル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基又はベンジル基である請求項1〜3のいずれかに記載のチアゾリウム塩。
【請求項5】
が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である請求項1〜4のいずれかに記載のチアゾリウム塩
【請求項6】
請求項1〜5に記載のチアゾリウム塩を含有することを特徴とする帯電防止剤。
【請求項7】
請求項6に記載の帯電防止剤を含有することを特徴とする帯電防止性樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−95707(P2013−95707A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240405(P2011−240405)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】