説明

ヒンジ機構

【課題】回動体を所望の位置に利便性を向上できるヒンジ機構を提供する。
【解決手段】基体32に回動体51を回動軸51aで回動自在に支持するヒンジ機構であって、回動体51は基体32に対して第1、第2回動位置の間を回動し、回動体51を第1回動位置の方向に付勢する弾性部材52を回動体51と樹脂成形等によって同一部材により一体に設け、回動体51は回動軸51aに平行な一面を開口して回動により基体32が通過する開口部51eを有するとともに、弾性部材52は開口部51eの前端からS字状に蛇行して基体32の前端の回動範囲の内側に延びるS字状部52aを有し、S字状部52aの後端が傾斜面から成る基体32の端面32aに摺動して回動体51が回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体に回動体を回動自在に支持するヒンジ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒンジ機構を有する電気掃除機が特許文献1に開示されている。この電気掃除機は電動送風機を内装する本体部の下方に吸込口体が配される。吸込口体は床面に対峙する吸気口を有し、電動送風機に連通する。本体部には着脱自在の延長パイプが上方に延びて装着され、延長パイプの上部に把持部が設けられる。これにより、把持部を把持して吸込口体を本体部とともに移動して掃除することができる。
【0003】
また、延長パイプの一端は接続ホースを介して本体部に接続される。これにより、把持部を把持して本体部から脱着した延長パイプを吸込口体と独立して移動することができる。そして、延長パイプの先端から吸気して天井や家具の隙間等の掃除を行うことができる。
【0004】
延長パイプの先端にはブラシを保持してヒンジ機構によって回動するブラシ保持部が設けられる。ヒンジ機構は基体となる延長パイプに突設した回動軸となるボスに回動体であるブラシ保持部に設けた軸孔が嵌合して形成される。これにより、ブラシ保持部を把持して約180゜回動させることができる。
【0005】
延長パイプを本体部から脱着した際にブラシ保持部は延長パイプの先端開口の前方に配され、被掃除面に応じて延長パイプに対して所望の角度に傾斜して使用される。また、ブラシが上方に配されるようにブラシ保持部を回動して延長パイプを本体部に収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−87508号公報(第4頁−第9頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電気掃除機によると、延長パイプに設けたブラシの使用時にブラシ保持部を使用者が把持して収納位置から使用位置に回動される。また、収納時にブラシ保持部を把持して使用位置から収納位置に回動される。このため、回動体であるブラシ保持部を基体に対して所望の位置に配置する際に使用者による作業を必要とする。従って、電気掃除機の利便性が悪い問題があった。
【0008】
本発明は、使用者による作業を必要とせずに回動体を基体に対して所望の位置に配置できるヒンジ機構を容易に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、基体に回動体を回動軸で回動自在に支持するヒンジ機構であって、前記回動体は前記基体に対して第1、第2回動位置の間を回動し、前記回動体を第1回動位置の方向に付勢する弾性部材を前記回動体と同一部材により一体に設け、
前記回動体は回動軸に平行な一面を開口して回動により前記基体が通過する開口部を有するとともに、前記弾性部材は前記開口部の前端からS字状に蛇行して前記基体の前端の回動範囲の内側に延びるS字状部を有し、前記S字状部の後端が傾斜面から成る前記基体の端面に摺動して前記回動体が回動することを特徴としている。
【0010】
この構成によると、弾性部材が樹脂成形等によって回動体と一体に形成され、ヒンジ機構により回動体が基体に枢支される。回動体は第1回動位置と第2回動位置のとの間を回動し、弾性部材によって第1回動位置の方向に付勢される。回動体に回動力を加えると弾性部材の付勢力に抗して回動体が第1回動位置から第2回動位置の方向に回動する。回動力を取り除くと弾性部材の付勢力によって回動体は第1回動位置に配置される。
【0011】
弾性体には回動体の回動軸に平行な開口部に連続してS字状部が形成される。回動力を加えて回動体が基体に対して回動軸を中心に回動すると、S字状部の後端が基体の傾斜面から成る端面に摺動する。これにより、基体は回動体に対して相対的に回動し、開口部内を通過する。S字状部の後端は基体の前端の回動範囲の内側に配されるため、基体の相対的な回動によって傾斜面の端面と摺動して押し広げられる。これにより、S字状部が回動体を第1回動位置に付勢し、付勢力に抗して回動体が第2回動位置に配される。回動力が取り除かれるとS字状部の弾性によって回動体が第1回動位置に復帰する。
【0012】
また本発明は、上記構成のヒンジ機構において、前記基体が端面を開口し、前記弾性部材がS字状部の後端から屈曲するとともにS字状部よりも狭い幅で第1回動位置で前記基体の端面よりも内側に配される屈曲部を有することを特徴としている。この構成によると、回動体が第1回動位置から第2回動位置に回動すると、S字状部の後端が基体の傾斜面から成る端面に摺動した後に屈曲部が基体の周縁に摺動する。
【0013】
また本発明は、上記構成のヒンジ機構において、前記基体は前記S字状部と摺動する前端と前記回動軸とを結ぶ回動半径に対して鈍角に形成して前記屈曲部と摺動する平面部を有することを特徴としている。この構成によると、第2回動位置で回動体の回動力を取り除いた際に屈曲部が平面部を押圧する弾性力の周方向の分力によって回動体が第1回動位置に戻される。
【0014】
また本発明は、上記構成のヒンジ機構において、前記弾性部材が前記回動体と一体成形される樹脂成形品から成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、回動体を第1回動位置の方向に付勢する弾性部材を回動体と同一部材により一体に形成するので、使用者による作業を必要とせずに回動体を基体に対して第1回動位置に配置できるヒンジ機構を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の電気掃除機を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態の電気掃除機を示す正面図
【図3】本発明の実施形態の電気掃除機の吸込口体を省いた側面断面図
【図4】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部を延長パイプと一体に取り外した状態を示す斜視図
【図5】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部を延長パイプと一体に取り外した状態を示す側面断面図
【図6】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部を取り外した状態を示す斜視図
【図7】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部を取り外した状態を示す側面断面図
【図8】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部を示す側面図
【図9】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部の要部を示す側面断面図
【図10】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部を示す側面図
【図11】本発明の実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の収納位置に配された状態を示す側面図
【図12】本発明の実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の収納位置に配された状態を示す上面図
【図13】図11のC−C断面図
【図14】図12のA−A断面図
【図15】図12のB−B断面図
【図16】本発明の実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の掃除位置に配された状態を示す側面断面図
【図17】本発明の実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の掃除位置に配された状態を示す側面図
【図18】本発明の実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の掃除位置に配された状態を示す側面断面図
【図19】本発明の実施形態の電気掃除機の延長パイプと一体の可搬部を可搬した使用状態を示す斜視図
【図20】本発明の実施形態の電気掃除機の可搬部を可搬した使用状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の電気掃除機を示す斜視図である。電気掃除機1はアップライト型に構成され、電動送風機2及び集塵部3(いずれも図3参照)を内装する本体部4を備えている。本体部4の下方には床面に面した吸気口(不図示)を有する吸込口体5が設けられ、本体部4は吸込口体5に対して傾倒可能になっている。
【0018】
本体部4の上方には着脱自在の延長パイプ6が鉛直方向に延びて配される。延長パイプ6の上方には着脱自在の可搬部31が設けられる。可搬部31には使用者が把持する把持部8が設けられる。可搬部31と本体部4との間は伸縮自在の接続ホース7で連結される。
【0019】
これにより、可搬部31は延長パイプ6を介して本体部4に取り付けられた状態で把持部8を把持して吸込口体5と一体に移動する。また、可搬部31は延長パイプ6から取り外した状態及び延長パイプ6と一体に本体部4から取り外した状態で可搬となり、把持部8を把持して吸込口体5から独立して移動させることができる。
【0020】
図2は電気掃除機1の正面図を示し、図3は電気掃除機1の吸込口体5を省いた側面断面図を示している。本体部4内には電動送風機2の下方に集塵部3が連通して配される。吸込口体5と集塵部3とは本体部4に設けた気流路4aにより連通する。集塵部3は集塵容器3aを有し、旋回気流により塵埃を分離するサイクロン式になっている。本体部4の前面パネル4dは把手4eを把持して開閉可能になっており、前面パネル4dとともに塵埃を捕集した集塵容器3aを着脱可能になっている。
【0021】
本体部4の後部には上面を開口して集塵部3に連通する気流路4bが設けられる。気流路4bは気流路4aと並列に配されて電動送風機2に連通する。気流路4bの上端には接続ホース7の下端が嵌合する下支持部4cが形成される。下支持部4cによって接続ホース7の下部が略鉛直に支持される。接続ホース7の上端は可搬部31に設けられた上支持部31aに嵌合される。
【0022】
延長パイプ6の後部にはフック6fが設けられる。接続ホース7に挿通される環状の保持部20(図1参照)をフック6fに係止して接続ホース7を保持できるようになっている。
【0023】
電動送風機2と気流路4bとの間には本体部4の上面を開口する延長パイプ収納部4fが設けられる。延長パイプ収納部4fには延長パイプ6の先端部分が収納され、フック11の操作によって図4、図5に示すように本体部4から延長パイプ6が脱着可能になっている。
【0024】
図5において、延長パイプ6は二重管に構成され、外筒30に伸長パイプ32が内嵌される。延長パイプ6を本体部4から脱着した際に外筒30の先端から伸長パイプ32を引き出して延長パイプ6を伸長することができる。伸長パイプ32の先端には詳細を後述するブラシ50を有したブラシ保持部51が回動自在に配されている。
【0025】
また、可搬部31はフック12の操作によって図6、図7に示すように延長パイプ6から脱着可能になっている。これにより、延長パイプ6を本体部4に取り付けた状態で可搬部31を取り外すことができる。
【0026】
図7において、可搬部31は上支持部31aに連通する気流路31bを内部に有している。接続ホース7と延長パイプ6の外筒30とは気流路31bを介して連通する。これにより、延長パイプ6は接続ホース7に連通する気流路31bを延長する。
【0027】
可搬部31の先端にはブラシ保持部41が回動自在に配されている。ブラシ保持部41は先端に開口部41bを有して開口部41bの周囲にブラシ40が配される。延長パイプ6内にはブラシ保持部41が収納される収納部6aが外筒30に沿って設けられる。ブラシ保持部41は気流路31bに垂直な回動軸41aで枢支され、図中、時計回りにブラシ保持部41を付勢する捻りバネから成る弾性部材42が設けられる。
【0028】
従って、可搬部31を延長パイプ6から取り外して収納部6aから取り出すと、図8に示すようにブラシ保持部41が回動して掃除位置に配される。この時、ブラシ保持部41は可搬部31に設けたストッパ31c(図9参照)に当接して所定の角度に設置される。
【0029】
また、可搬部31を延長パイプ6に装着すると、弾性部材42の付勢力に抗してブラシ保持部41の先端が収納部6aの内壁6b(図7参照)と摺動する。これにより、ブラシ保持部41は図7に示す収納位置に配されて収納部6a内に収納される。
【0030】
図9は可搬部31の要部の側面断面図を示している。気流路31bは断面矩形に形成され、掃除位置のブラシ保持部41は開口部41bが気流路31bの径方向外側まで延びて形成される。これにより、ブラシ保持部41が掃除位置に配された可搬部31の把持部8を把持して気流路31bの外側まで広い範囲で机上等を掃除することができる。
【0031】
この時、弾性部材42の付勢力に抗して把持部8に対するブラシ保持部41の角度を可変することができる。このため、被掃除面に応じてブラシ保持部41の開口部41bを所望の角度に傾斜して良好に掃除を行うことができる。
【0032】
また、ブラシ保持部41を掃除位置に配して把持部8を把持した際にブラシ保持部41の前方となる前部41cは開口部41bの上方が塞がれており、後方となる後部41dは開放されている。開放された後部41dの内面が気流路31bの側壁に摺動してブラシ保持部41が回動する。このため、開口部41bの周囲に設けられるブラシ40は平面視コ字状に配される。
【0033】
ブラシ保持部41は弾性部材42によって掃除位置の方向に付勢されるため、延長パイプ6から可搬部31を取り外した際に使用者による回動操作を必要とせず掃除位置に配される。これにより、ブラシ40やブラシ保持部41に付着する塵埃に触れずに直ちに掃除を行うことができる。
【0034】
また、ブラシ保持部41は収納部6aに収納される際に内壁6b(図7参照)と摺動して弾性部材42の付勢力に抗して回動するため、使用者による回動操作を必要とせず収納位置に配される。これにより、ブラシ40やブラシ保持部41に付着する塵埃に触れずに迅速に可搬部31を延長パイプ6に取り付けてブラシ保持部41を収納することができる。
【0035】
この時、回動軸41aは気流路31bの径方向の外側であって掃除位置で使用する際に気流路31bに対して前方となる側に配される。このため、ブラシ保持部41が掃除位置と収納位置との間を気流路31bの前方を遮らずに90゜以下の小さい回動角度で回動する。これにより、収納位置で気流路31bの前方が塞がれずに延長パイプ6の外筒30と気流路31bとを連通させることができる。
【0036】
図10は収納部6aにブラシ保持部41を収納した状態の可搬部31の側面図を示している。延長パイプ6の側面にはブラシ保持部41の後部41dに配されたブラシ40の一部が露出する窓部6dが形成される。これにより、ブラシ40が視認可能になり、延長パイプ6から可搬部31を取り外してブラシ40による掃除が可能であることを使用者に容易に知らせることができる。
【0037】
この時、ブラシ保持部41の開口部40bが形成される端面にブラシ40が設けられる。このため、把持部8を把持した際にブラシ40に向かう使用者の視線がブラシ保持部41によって遮られる。これにより、塵埃の付着するブラシ40を容易に視認できないため使用時の清潔感の低下を防止することができる。
【0038】
図11、図12は伸長パイプ32の先端のブラシ保持部51を示す側面図及び上面図を示している。また、図13は図11のC−C断面図を示し、図14、図15はそれぞれ図12のA−A断面図及びB−B断面図を示している。
【0039】
ブラシ保持部51は被掃除面に対向する開口部51bを先端に有し、開口部51bの周囲にブラシ50が配される。ブラシ保持部51は伸長パイプ32の側壁に設けた回動軸51aで枢支され、回動自在に保持される。伸長パイプ32に設けられるストッパ32b、32cにブラシ保持部51が当接してブラシ保持部51の回動範囲が規制される。延長パイプ6を延長パイプ収納部4fに収納する際にブラシ保持部51は図11に示すようにストッパ32bに当接する収納位置に配される。収納位置でブラシ保持部51は伸長パイプ32の延長上に配される。
【0040】
また、ブラシ保持部51は収納位置に配された際に伸長パイプ32の開口する端面32aに対して前方となる前部51cは開口部51bの上方が塞がれ、後方となる後部51dは開放されている。開放された後部51dの内面が伸長パイプ32の側壁に摺動してブラシ保持部51が回動する。このため、開口部51bの周囲に設けられるブラシ50は平面視コ字状に配される。
【0041】
ブラシ保持部51は開口部51bに対向する上面に回動軸51aに平行な上面開口部51eが形成される。ブラシ保持部51の回動によって上面開口部51e内を伸長パイプ32の上壁32fが通過する。上面開口部51eには樹脂成形品から成るブラシ保持部41と一体成形される弾性部材52が配される。弾性部材52によって上面開口部51eが塞がれて気流漏れを防止することができる。
【0042】
尚、回動軸51a、弾性部材52及びストッパ32b、32cは基体となる伸長パイプ32に対して回動体となるブラシ保持部51を掃除位置と収納位置との間を回動自在に支持するヒンジ機構を構成する。
【0043】
弾性部材52は上面開口部51eの前端から後方(伸長パイプ32側)に延びてS字状に蛇行するS字状部52aを有している。伸長パイプ32の端面32aは傾斜面に形成され、S字状部52aの後端は伸長パイプ32の上壁前端の相対的な回動範囲の内側に配されて端面32aに当接する。また、弾性部材52はS字状部52aの後端から上方に屈曲する屈曲部52bを有している。屈曲部52bはS字状部52aよりも幅が狭く、収納位置で端面32aよりも伸長パイプ32の内側に配される。
【0044】
ブラシ保持部51を前部51cが上方となる方向(図11において時計回り)に回動させると、S字状部52aが端面32aと摺動する。この時、蛇行するS字状部52aが傾斜面の端面32aに押し下げられて上下方向に広がるため、ブラシ保持部51は弾性部材52によって収納位置の方向に付勢される。
【0045】
そして、弾性部材の付勢力に抗してブラシ保持部51を回動すると、ブラシ保持部51は図16に示すように収納位置に対して傾斜した掃除位置に配される。ブラシ保持部51に配されるブラシ50の前端を被掃除面に当接して延長パイプ6を回動させることにより、容易にブラシ保持部51を掃除位置に配することができる。これにより、延長パイプ6と一体の可搬部31の把持部8を把持して天井面等を掃除することができる。
【0046】
この時、弾性部材52の付勢力に抗して把持部8に対するブラシ保持部51の角度を可変することができる。このため、被掃除面に応じてブラシ保持部51の開口部51bを所望の角度に傾斜して良好に掃除を行うことができる。また、被掃除面からブラシ50を離すと、弾性部材52の付勢力によってブラシ保持部51が収納位置に戻る。
【0047】
掃除位置で角度を可変のブラシ保持部51は図17、図18に示すようにストッパ32cに当接して伸長パイプ32に対して開口部51bが略垂直に配されるまで回動できる。この時、弾性部材52の屈曲部52bが伸長パイプ32の上壁32fの端部の平面部32dに摺動する。屈曲部52bによって弾性部材52と伸長パイプ32の上壁32fとの摺動範囲を大きくし、ブラシ保持部51の回動範囲を大きくすることができる。
【0048】
平面部32dは回動軸51aと伸長パイプ32の上壁前端とを結ぶ回動半径に対して鈍角に形成される。このため、ブラシ保持部51は被掃除面から離れると屈曲部52bが平面部32dを押圧する弾性力の周方向の分力によって収納位置に戻される。尚、平面部32dと屈曲部52bとの摩擦力が大きい場合は図18、図19の位置でブラシ保持部51を維持されるが、延長パイプ6の角度を僅かに可変するとブラシ保持部51が収納位置に戻る。
【0049】
ブラシ保持部51は弾性部材52によって収納位置の方向に付勢されるため、可搬部31と一体の延長パイプ6を収納する際に使用者による回動操作を必要とせず収納位置に配される。これにより、ブラシ50やブラシ保持部51に付着する塵埃に触れずに迅速に延長パイプ6と一体の可搬部31を本体部4に取り付けることができる。
【0050】
また、ブラシ50を被掃除面に当接することでブラシ保持部51が使用者による回動操作を必要とせず掃除位置に配される。これにより、ブラシ50やブラシ保持部51に付着する塵埃に触れずに直ちに掃除を行うことができる。
【0051】
上記構成の電気掃除機1において、延長パイプ6を本体部4に装着した状態で電動送風機2が駆動されると、吸込口体5の吸気口(不図示)から塵埃とともに空気が吸い込まれる。吸気口から吸い込まれた空気は気流路4aを介して集塵部3に流入し、旋回による遠心力によって塵埃が分離される。分離された塵埃は集塵容器3aに堆積し、前面パネル4dを開いて廃棄される。集塵部3によって塵埃が除去された空気は電動送風機2が配される室内を通って排気口(不図示)から排気される。これにより、床面の掃除が行われる。
【0052】
この時、延長パイプ6と延長パイプ収納部4f内面との間はパッキン(不図示)によりシールされており、延長パイプ収納部4fと気流路4bとの間に気流が流通しない。これにより、電気掃除機1の仕事率低下が防止される。
【0053】
フック11の操作によって延長パイプ6と一体に可搬部31を本体部4から脱着すると、延長パイプ6の先端から伸長パイプ32が引き出される。この時、ブラシ保持部51は収納位置に配される。電動送風機2を駆動すると伸長パイプ32の先端のブラシ保持部51の開口部51bから塵埃とともに空気が吸い込まれる。開口部51bから吸い込まれた空気は伸長パイプ32、外筒30、気流路31b、接続ホース7を流通し、気流路4bを介して集塵部3に流入する。
【0054】
これにより、図19に示すように室内の上方に配される空気調和機、天井面、家具の隙間等の掃除を楽に行うことができる。この時、ブラシ50が被掃除面に当接してブラシ保持部51が掃除位置に配される。
【0055】
また、フック12の操作によって可搬部31を本体部4から脱着すると、ブラシ保持部41が弾性部材42により掃除位置に配される。電動送風機2を駆動するとブラシ保持部41の開口部41bから塵埃とともに空気が吸い込まれる。開口部41bから吸い込まれた空気は気流路31b、接続ホース7を流通し、気流路4bを介して集塵部3に流入する。これにより、図20に示すように机上等の掃除を楽に行うことができる。
【0056】
本実施形態によると、収納位置(第1回動位置)と掃除位置(第2回動位置)の間を回動する回動体となるブラシ保持部51を収納位置の方向に付勢する弾性部材52がブラシ保持部51と同一部材により一体に形成される。従って、使用者により把持してブラシ保持部51を回動させる作業を必要とせず、ブラシ保持部51を基体となる伸長パイプ32に対して第1回動位置に配置できるヒンジ機構を容易に実現することができる。これにより、塵埃が付着するブラシ保持部51が手指に触れる機会が減少し、電気掃除機1の利便性を向上することができる。
【0057】
また、弾性部材52が回動軸51aに平行な上面開口部51eの前端からS字状に蛇行するS字状部52aを有する。S字状部52aは伸長パイプ32の上壁32dの前端の回動範囲の内側に延び、S字状部52aの後端が傾斜面から成る伸長パイプ32の端面32aに摺動する。このため、S字状部52aが端面32aを押圧してブラシ保持部51を容易に収納位置(第1回動位置)に付勢することができる。
【0058】
また、基体となる伸長パイプ32が端面32aを開口し、屈曲部52bがS字状部52aの後端から屈曲してS字状部52aよりも狭い幅で収納位置(第1回動位置)で伸長パイプ32の端面32aよりも内側に配される。これにより、弾性部材52と伸長パイプ32の上壁32fとの摺動範囲を大きくし、ブラシ保持部51の回動範囲を大きくすることができる。
【0059】
また、基体となる伸長パイプ32はS字状部52aと摺動する前端と回動軸51aとを結ぶ回動半径に対して鈍角に形成して屈曲部52bと摺動する平面部32dを有する。これにより、ブラシ保持部51が被掃除面から離れて回動力が取り除かれると、屈曲部52bが平面部32dを押圧する弾性力の周方向の分力によってブラシ保持部51を収納位置(第1回動位置)に容易に戻すことができる。
【0060】
本実施形態において、ブラシ保持部51から成る回動体が伸長パイプ32から成る基体に対して回動自在で弾性部材52により付勢されるヒンジ機構を述べているが、他の回動体及び基体に対してヒンジ機構を同様に設けてもよい。例えば、開閉される扉(回動体)を支持体(基体)に枢支するヒンジ機構において、同様の構成によって同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によると、回動するブラシを有する電気掃除機や開閉される扉等に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 電気掃除機
2 電動送風機
3 集塵部
4 本体部
4f 延長パイプ収納部
5 吸込口体
6 延長パイプ
6a 収納部
6b 内壁
6d 窓部
7 接続ホース
8 把持部
9 可動部
11、12 フック
30 外筒
31 可搬部
31b 気流路
32 伸長パイプ
32a 端面
32b、32c ストッパ
32d 平面部
40、50 ブラシ
41、51 ブラシ保持部
41a、51a 回動軸
41b、51b 開口部
51e 上面開口部
42、52 弾性部材
52a S字状部
52b 屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に回動体を回動軸で回動自在に支持するヒンジ機構であって、前記回動体は前記基体に対して第1、第2回動位置の間を回動し、前記回動体を第1回動位置の方向に付勢する弾性部材を前記回動体と同一部材により一体に設け、
前記回動体は回動軸に平行な一面を開口して回動により前記基体が通過する開口部を有するとともに、前記弾性部材は前記開口部の前端からS字状に蛇行して前記基体の前端の回動範囲の内側に延びるS字状部を有し、前記S字状部の後端が傾斜面から成る前記基体の端面に摺動して前記回動体が回動することを特徴とするヒンジ機構。
【請求項2】
前記基体が端面を開口し、前記弾性部材がS字状部の後端から屈曲するとともにS字状部よりも狭い幅で第1回動位置で前記基体の端面よりも内側に配される屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項3】
前記基体は前記S字状部と摺動する前端と前記回動軸とを結ぶ回動半径に対して鈍角に形成して前記屈曲部と摺動する平面部を有することを特徴とする請求項2に記載のヒンジ機構。
【請求項4】
前記弾性部材が前記回動体と一体成形される樹脂成形品から成ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のヒンジ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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