ヒーターユニット
【課題】配電盤内の空気を、より短い時間でむらなく均一に加熱して結露を確実に防止でき、しかも電力消費が少なくて済む結露防止用のヒーターユニットを提供する。
【解決手段】ヒーター9と、ケース10と、ケース10内に空気を送給する送風ファン11とを備えている。ケース10は前後壁13・14と、左右壁15・16と、上壁17および底壁18とで中空角箱状に形成する。ケース10の左壁15に給気口22を開口し、底壁18および左壁15以外の各壁13・14・16・17に吹出口23を形成する。ケース10の内面に、吹出口23を開閉するシャッター40を設ける。送風ファン11から送給される空気でケース10内の空気を撹拌し混合しながらヒーター9で加熱して、生成された加熱空気を一群の吹出口23から複数方向へ同時に吹き出し供給する。盤内の状況に応じてシャッター40を開閉して、過熱空気の吹き出し方向と吹き出し量を調整する。
【解決手段】ヒーター9と、ケース10と、ケース10内に空気を送給する送風ファン11とを備えている。ケース10は前後壁13・14と、左右壁15・16と、上壁17および底壁18とで中空角箱状に形成する。ケース10の左壁15に給気口22を開口し、底壁18および左壁15以外の各壁13・14・16・17に吹出口23を形成する。ケース10の内面に、吹出口23を開閉するシャッター40を設ける。送風ファン11から送給される空気でケース10内の空気を撹拌し混合しながらヒーター9で加熱して、生成された加熱空気を一群の吹出口23から複数方向へ同時に吹き出し供給する。盤内の状況に応じてシャッター40を開閉して、過熱空気の吹き出し方向と吹き出し量を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤や分電盤などの内部に設置される結露防止用のヒーターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のヒーターユニットは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、ヒーターで加熱した盤内の空気を自然対流によって循環させ、配電盤の内部温度を高めて相対湿度を下げることにより、剥き出しになっている機器類の接続端子部等に置ける結露を防止している。具体的には、ヒーターユニットは、横臥U字状のシーズヒーターと、その外周を囲むケースとで構成している。シーズヒーターの真上に位置するケース壁面には一群の放熱穴が開口してあり、残りの壁面には多数の通気穴が開口してある。シーズヒーターを発熱させると、ケース内の空気が加熱されて自然対流によって上昇し、放熱穴を介してケース外へ送出される。同時に、ケースの周辺空気が通気穴を通ってケース内へ流入する。ケース外へ送出された加熱空気は、自然対流して盤内の空気温度を高める。
【0003】
本発明のヒーターユニットは、ヒーターで加熱した空気を送風ファンで強制的に送出するが、この種のヒーターユニットは特許文献2にみることができる。そこでは、角箱状のケースの周壁のひとつに開口部を設け、この開口部と正対する状態でヒーターと軸流型のファンをケース内に配置してヒーターユニットとしている。ファンから送出される空気はヒーターで加熱されて、開口部からケース外部へ送出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−79014号公報(段落番号0013、図2)
【特許文献2】実願昭64−80号(実開平2−91402号)のマイクロフィルム(第8頁第6〜8行、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のヒーターユニットは、加熱空気の自然対流作用で配電盤の内部を加熱するので、空気の循環速度が小さく、配電盤内の空気温度を高めるのに多くの時間が掛かり、電力消費が大きくなるのを避けられない。また、配電盤の内部の上下で温度にばらつきがあり、盤内部の相対湿度を均一化しにくい不具合もある。
【0006】
その点特許文献2のヒーターユニットでは、加熱した空気を送風ファンで強制的に送出するので、自然対流作用で配電盤の内部空気を加熱する場合に比べて、配電盤内の空気の循環を促進して、より短い時間で相対湿度を上昇できるであろう。しかし、角箱状のケースの内部にヒーターおよびファンを収容し、ケースの周壁1箇所に設けた開口部から加熱空気を送出するので、加熱前の新規な空気は開口部から取り込む以外にない。そのため、新規な空気と加熱空気とが開口部で緩衝し合うのを避けられず、加熱空気を効率よく送出できない。また、加熱空気の吹き出し方向が一方向に限られるので、加熱空気がケースの吹き出し領域側に偏在しやすく、配電盤の内部温度にばらつきを生じやすい。
【0007】
本発明の目的は、配電盤内の空気をより短い時間でむらなく均一に加熱して結露を確実に防止でき、しかも電力消費が少なくて済むヒーターユニットを提供することにある。
本発明の目的は、ヒーターユニットの周辺に配置される機器類の状況に応じて、加熱空気の送出方向や送出量を変更して、機器類が不必要に加熱されるのを防止でき、あるいは必要個所を重点的に加熱できるヒーターユニットを提供することにある。
本発明の目的は、加熱空気を効率よく送出でき、しかも加熱空気をユニットの周囲全体に噴出し供給して、周辺の広い範囲の空気を効果的に加熱できるヒーターユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る結露防止用のヒーターユニットは、ヒーター9と、ヒーター9を収容するケース10と、ケース10内に空気を送給する送風ファン11とを備えている。ケース10の周壁には、送風ファン11が配置される1個の給気口22と、加熱された空気を吹き出す吹出口23の一群とがそれぞれ開口してある。以て、ケース10内の空気をヒーター9で加熱しながら、送風ファン11から送給される空気でケース10内の空気を撹拌し混合し、生成された加熱空気を一群の吹出口23から複数方向へ吹き出し供給することを特徴とする。
【0009】
ケース10に吹出口23を開閉するシャッター12を設ける。
【0010】
ケース10は四角箱状に形成する。吹出口23を備えたケース10の周壁のそれぞれに、独立して開閉できるシャッター12を配置する。
【0011】
ヒーターユニットは、送風ファン11の送風量と全ての吹出口23の合計面積とを適合させて、送風ファン11が駆動されるときのケース10内の圧力が、ケース外辺部の気圧より大きくなるように設定する。ケース10を構成するケース周壁のひとつに給気口22を開口し、その外面に送風ファン11を固定する。送風ファン11と正対するケース周壁16に設けた吹出口23の合計面積を、他のケース周壁13・14・17の個々の壁面に形成される吹出口23の合計面積に比べて小さく設定する。
【0012】
ケース10は、それぞれ対向する前後壁13・14と、左右壁15・16と、上壁17、および底壁18とで中空角箱状に形成する。ヒーター9は、底壁18で絶縁台28を介して支持されるヒーター本体25と、放熱フィン26とで構成する。ケース10の左右壁15・16のいずれか一方の壁面に給気口22を開口し、他方の壁面に吹出口23を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、ヒーター9と、ヒーター9を収容するケース10と、送風ファン11などでヒーターユニットを構成し、ケース10の周壁に、送風ファン11が配置される1個の給気口22と、吹出口23の一群とを設けるようにした。ヒーターユニットを起動した状態では、ケース10内の空気がヒーター9で加熱され、さらに送風ファン11から送給される空気によって撹拌し混合されるので、一群の吹出口23から吹き出される加熱空気の温度を概ね均等なものとすることができる。また、生成された加熱空気を一群の吹出口23から複数方向へ吹き出し供給して盤内の空気を加熱するので、ヒーターユニットの外辺部の広い範囲の空気をより短い時間で効果的に高めて結露を防ぐことができる。また、加熱空気の自然対流作用で配電盤の内部を加熱する従来のヒーターユニットに比べて、より短い時間で加熱空気を盤内に行き渡らせることができるので、その分だけヒーターユニットの稼働時間を短縮して電力消費を削減できる。
【0014】
ケース10に吹出口23を開閉するシャッター12を設けると、一部の吹出口23をシャッター12で塞ぐことにより、ヒーターユニットから吹き出される加熱空気の吹き出し方向を変更できる。したがって、盤内において結露を防止したい個所へ向かって加熱空気を送給できる。また、盤内における電気機器4の配置によっては、ヒーターユニットから吹き出される加熱空気が電気機器4や壁面に直接吹き付けられるおそれがある。こうした場合には、該当する吹出口23をシャッター40で塞いで加熱空気の吹き出しを規制することにより、電気機器4が過熱状態に陥り、あるいは壁面が不必要に加熱される防止して、盤内の空気を効果的に加熱することができる。
【0015】
四角箱状に形成したケース10の周壁のそれぞれに、独立して開閉できるシャッター12を配置すると、各周壁に設けた吹出口23をシャッター12で開閉して、加熱空気の送出方向や送出量をさらに多様に変更できる。したがって、盤内の必要個所を重点的に加熱してさらに効果的に結露を防止し、あるいは、盤内の機器類が不必要に加熱されるのを防止できる。
【0016】
送風ファン11が駆動されるときのケース10内の圧力を、ケース外辺部の気圧より大きくなるように設定すると、ケース10内で生成された加熱空気を、各吹出口23から勢いよく吹き出して、周辺の広い範囲の空気を効果的に加熱できる。また、送風ファン11と正対するケース周壁16に設けた吹出口23の合計面積を、他のケース周壁13・14・17の個々の壁面に形成される吹出口23の合計面積に比べて小さく設定することにより、送風ファン11から送給された低温の空気が、先のケース周壁16の吹出口23から抜け出るのを抑止できる。さらにケース周壁16と、それ以外のケース周壁13・14・17に設けた吹出口23から吹き出される加熱空気の量を概ね均等にして、盤内をむらなく均等に加熱できる。
【0017】
ケース10を中空角箱状に形成し、底壁18で絶縁台28を介して支持されるヒーター本体25と、放熱フィン26とでヒーター9を構成すると、放熱フィン26が付加された分だけ、ケース10内における空気とヒーター9との接触機会を増やして、加熱空気をさらに効率よく生成できる。また、ケース10の左右壁15・16のいずれか一方の壁面に給気口22を開口し、他方の壁面に吹出口23を形成するので、送風ファン11から送給される低温の空気が他方の壁面の吹出口23へ到達するまでの間にヒーター9で加熱することができる。したがって、低温の空気が、他方の壁面に設けた吹出口23から抜け出るのをさらに確実に抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るヒーターユニットを示す図3におけるB−B線断面図である。
【図2】ヒーターユニットの適用例を示す配電盤の正面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】ケースの分解斜視図である。
【図5】図1におけるC−C線断面図である。
【図6】図1におけるD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る結露防止用のヒーターユニットの実施例を図1ないし図6に基づき説明する。ヒーターユニットは、図2に示すような配電盤1の内部に設置されて、盤内に配置した電気機器類の接続端子部や接点等における結露を防ぐ。配電盤1は、前面が開口する筐体2と、筐体2の前面開口を揺動開閉する扉3とで縦長角箱状に形成してあり、その内部に設けたパネル5に一群の電気機器4が組み付けてある。配電盤1の内部でパネル5の下方の床面に本発明のヒーターユニットを設置する。
【0020】
図3に示すようにヒーターユニットは、ヒーター9と、ヒーター9を収容するケース10と、ケース10内に空気を送給する送風ファン11と、ケース10の吹出口23を開閉するシャッター40などで構成する。ケース10は薄鋼板を素材にして形成されるベース10aと、べース10aに対して着脱できるカバー10bとで中空角箱状に構成する。図4に示すようにべース10aは、左右壁15・16と底壁18とで構成してあり、左右壁15・16の前後縁にはカバー10bを締結するための締結壁19が折り曲げ形成され、底壁18の前後には締結座20が張り出してある。カバー10bは、前後壁13・14と上壁17とで構成してある。ケース10の左右壁15・16のうち、左壁15(図4に向かって左側)の中央に、送風ファン11を配置するための給気口22が円形に開口してある。前後壁13・14および上壁17の個々の壁面の面積は、左右壁15・16の個々の壁面の面積より大きく設定してある。
【0021】
ケース10は、ヒーター9の保護を行ないながら、送風ファン11から送給される空気で、ケース10内のヒーター9で加熱された空気を撹拌混合する混合容器として機能する。さらに、ヒーター9で加熱されて新規空気と混合された加熱空気をケース10の前後面、上面、右側面へ向かって同時に吹き出し供給する分配容器として機能する。そのために、ケース10の前後壁13・14と右壁16と上壁17の、各ケース周壁に多数個の吹出口23を開口している。なお、加熱空気が床面側(設置面側)へ吹き出されるのを避けるために、底壁18に吹出口23は形成しない。先に説明したように、ケース10の締結座20は筐体2の床面等に締結固定される。
【0022】
ケース10内の加熱空気を、ケース外方の周囲四方へ向かって強制的に吹き出すために、送風ファン11の送風量と全ての吹出口23の合計面積とを調整して、送風ファン11を駆動するときのケース10内の圧力が、ケース外辺部の気圧より大きくなるようにしている。これにより、吹出口23から吹き出される加熱空気はケース外方へ向かって勢いよく吹き出されて、ケース周辺の空気を効果的に温めることができる。
【0023】
送風ファン11でケース10内へ送給された空気あるいは加熱空気が、送風ファン11と対向する右壁16に開口した吹出口23から吹き出されてしまうと、加熱空気の温度を高めるのが困難となり、さらに前後壁13・14および上壁17に開口した吹出口23から吹き出される加熱空気量が極端に減ってしまう。こうした不具合を防いで、各ケース周壁13・14・16・17における加熱空気の吹き出し量を均一化するために、送風ファン11と正対する右壁(ケース周壁)16に設けた吹出口23の合計面積を、他のケース周壁13・14・17の個々の壁面に形成される吹出口23の合計面積に比べて小さく設定している。
【0024】
詳しくは、ケース10の右壁16に形成される吹出口23の形成個数を6個に設定し、前後壁13・14に形成される吹出口23の形成個数を8個に設定し、上壁17に形成される吹出口23の形成個数を9個に設定している。また、前後壁13・14においては、送風ファン11にもっとも近接する吹出口23上下方向の列において、上下方向中央に位置する吹出口23を省略して、送風ファン11の吸風面側へ加熱空気が吹き出されるのを防止している。因みに個々の吹出口23の直径寸法は5mmである。
【0025】
ヒーター9は、ヒーター本体25と、その外面に張り出し形成される一群の放熱フィン26とを一体に備えており、ヒーター本体25の両端がブラケット27で支持してある。ブラケット27は、底壁18に固定した絶縁台28で支持する。このように、ヒーター9を底壁18の近傍で支持することにより、図5に示すようにヒーター9の全体を送風ファン11で送給される空気の流れに接触させることができ、さらに、前後壁13・14や右壁16で反転した空気の流れにヒーター9を接触させて、ケース10内の空気を効果的に加熱できる。
【0026】
図1に示すように送風ファン11は、軸流ファン30と、軸流ファン30を回転駆動するモーター31と、軸流ファン30およびモーター31を支持するファンケース32とでユニットファン状に構成する。ファンケース32は四角枠状に形成してあり、その内面に軸流ファン30の回転周面を囲む導風面33が丸筒状に形成してある。ファンケース32の送風面(モーター側の開口)をケース10に設けた給気口22の周縁壁の外面にあてがい、その四隅に挿通したビスとナットとで、送風ファン11をケース10に締結固定することにより、送風ファン11がケース10と一体化してある。この状態の導風面33は給気口22と面一状に連続している。
【0027】
吹出口23を開閉して加熱空気の送出方向や送出量を変更するために、前後壁13・14と上壁17および右壁16のそれぞれの内面に、4個のシャッター40を配置する。図4および図5に示すように、各シャッター40は、四角形状の薄鋼板からなるシャッター本体41と、シャッター本体41をスライド操作する操作摘み42とからなる。シャッター本体41の板面の3個所には、吹出口23を通気可能とするための開口43が直線溝状に形成してある。シャッター本体41は、前記の各壁13・14・16・17の内面に固定した一対のガイド片44でスライド自在に案内支持してある。
【0028】
図6に示すように、操作摘み42にはねじ軸45が一体に設けてあり、ねじ軸45をスライド溝46を介してシャッター本体41のねじ穴47にねじ込むことにより、シャッター本体41と一体化してある。スライド溝46は前記の各壁13・14・16・17に開口してある。ねじ軸45を緩めた状態で、操作摘み42をスライド溝46の一端から他端へと変位操作することにより、吹出口23をシャッター本体41の板面で塞いだ状態(閉じ状態)と、開口43が吹出口23と重なる状態(通気状態)とに切り換えることができる。また、切り換え位置において操作摘み42を締め込み操作することにより、シャッター本体41を各壁13・14・16・17に密着固定できる。
【0029】
以上のように構成したヒーターユニットは、湿度センサーと制御回路(いずれも図示していない)を併用して運転状態の制御を行なう。その場合には、湿度センサーから出力される検知信号を受けた制御回路は、盤内の加熱が必要であるか否かを判定して、結露が発生するのに先行してヒーターユニットを起動し、盤内を加熱する。さらに、盤内の湿度が目標値に達したらヒーターユニットの稼動を停止する。結露が発生しやすい時間帯を指定して、タイマーによってヒーターユニットを起動することもある。
【0030】
ヒーターユニットを起動すると、吸い込み面側に臨む盤内空気が送風ファン11でケース10内へ強制的に送給され、ヒーター9によって加熱される。ケース10の内部には送風ファン11から送給された低温の空気と、ヒーター9で加熱された加熱空気とが存在するが、これらは送風ファン11から送給された空気流によって撹拌し混合され、あるいはケース内面で反転した空気流によって撹拌される。したがって、吹出口23から吹き出される加熱空気の温度に大きなばらつきはない。
【0031】
全てのシャッター40が通気状態に切換えてある場合には、加熱空気は前後壁13・14、上壁17、および右壁16に設けた各吹出口23から均等に吹き出されて、ヒーターユニットの外辺部の広い範囲の空気温度を効果的に高めることができる。このとき、ケース10の前後中央がパネル5の真下より後側に位置しているので、各吹出口23から吹き出された加熱空気の大半はパネル5より後側の空間へ吹き出されて、パネル5の後面に露出する接続端子部や接点等における結露を防ぐ。加熱空気の一部はパネル5の前側の空間へ吹き出されて、電気機器4の前部表面における結露を防ぐ。各吹出口23から吹き出された加熱空気は、周囲の低温空気を温めながら盤内の上方へと対流する。上記のように、加熱空気を強制的に吹き出し供給するヒーターユニットによれば、盤内の空気をより短い時間でむらなく均一に加熱して結露を確実に防止でき、小形で高容量のヒーターユニットとすることができる。また、従来の自然対流型のヒーターユニットに比べて、盤内を短時間で効果的に加熱できるので電力消費を削減できる。
【0032】
盤内における電気機器4の配置によっては、ヒーターユニットから吹き出される加熱空気が電気機器4に吹き付けられて過熱状態に陥るおそれがある。こうした場合には、該当する吹出口23に臨むシャッター40を閉じ状態に切換えることにより、加熱空気の吹き出しを規制して、電気機器4の過熱を防ぐことができる。その場合には、ケース10内の圧力が僅かに高まり、封口体で塞がれていない吹出口23から吹き出される加熱空気量が僅かに増加する。また、結露を防ぎたい個所が集約される場合には、対応する位置の吹出口23のみを通気状態にして、過熱空気を集中して供給することができる。必要があれば、シャッター40を通気状態にしたうえで、1個ないし複数個の吹出口23のみを、粘着テープや粘着シールなどの封口体で塞いで、加熱空気の吹き出しを局部的に規制することもできる。
【0033】
上記の実施例では、配電盤1内の床面にヒーターユニットを設置したがその必要はなく、床面より高い位置にヒーターユニットを設置することができる。例えば、盤内に設けたラックや機器実装用のパネル5にヒーターユニットを装着して使用することができる。その場合には送風ファン11の吸い込み面が床面を向き、あるいは上記の実施例と同様に横向きになるようにヒーターユニットを設置することができる。
【0034】
ケース10は直方体状に形成する必要はなく、ドーム状や円筒状など必要に応じて任意の立体形状に構成することができる。例えば、ケース10の全体をかまぼこ型に形成して、トンネル断面状のケース周壁と、左右いずれか一側の側壁とに吹出口23を開口し、残る側壁に送風ファン11を装着することができる。実施例で説明したケース10において、上壁17の左右中央に給気口22を開口して、その外面に送風ファン11を装着することができる。その場合には、前後壁13・14および左右壁15・16に吹出口23を開口して、ケース10の前後、および左右へ加熱空気を吹き出し供給することができる。必要があれば、ケース10に複数個の送風ファン11を装着することができる。
【0035】
シャッター40は、前後壁13・14と上壁17および右壁16のそれぞれに設けた吹出口23を同時に開閉する必要はなく、各壁13・14・16・17の吹出口23の一部を開閉する形態で実施できる。例えば、上壁17において送風ファン11から最も遠い位置の3個の吹出口23をシャッター40で開閉する形態で実施できる。また、シャッター40はスライド開閉する必要はなく、揺動開閉可能に構成することができる。個々の吹出口23ごとにシャッター40を設けて、必要な吹出口23のみを通気状態にして、加熱空気を所定方向へ吹き出し送給することができる。シャッター40はケース10の外面に配置することができる。
【0036】
ケース周壁に形成される吹出口23の直径寸法は一様である必要はなく、送風ファン11から遠ざかるに従い、吹出口23の直径寸法を大きくすることができる。また、吹出口23の配置パターンは直線列状である必要はなく、ランダムなパターンであってもよい。さらに、送風ファン11から遠ざかるに従い、単位面積あたりの吹出口23の配置個数を減らすことができる。
【0037】
送風ファン11はユニットファンである必要はなく、要は周辺空気をケース10内へ送給できるファン構造であればよい。送風ファン11の取り付け位置は、給気口22の外面である必要はなく、その一部あるいは前部がケース10の内部に収容してあってもよい。送風ファン11は、軸流ファン以外に、遠心ファンを適用できる。
【符号の説明】
【0038】
9 ヒーター
10 ケース
11 送風ファン
13 前壁
14 後壁
15 左壁
16 右壁
17 上壁
22 給気口
23 吹出口
40 シャッター
41 シャッター本体
42 操作摘み
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤や分電盤などの内部に設置される結露防止用のヒーターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のヒーターユニットは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、ヒーターで加熱した盤内の空気を自然対流によって循環させ、配電盤の内部温度を高めて相対湿度を下げることにより、剥き出しになっている機器類の接続端子部等に置ける結露を防止している。具体的には、ヒーターユニットは、横臥U字状のシーズヒーターと、その外周を囲むケースとで構成している。シーズヒーターの真上に位置するケース壁面には一群の放熱穴が開口してあり、残りの壁面には多数の通気穴が開口してある。シーズヒーターを発熱させると、ケース内の空気が加熱されて自然対流によって上昇し、放熱穴を介してケース外へ送出される。同時に、ケースの周辺空気が通気穴を通ってケース内へ流入する。ケース外へ送出された加熱空気は、自然対流して盤内の空気温度を高める。
【0003】
本発明のヒーターユニットは、ヒーターで加熱した空気を送風ファンで強制的に送出するが、この種のヒーターユニットは特許文献2にみることができる。そこでは、角箱状のケースの周壁のひとつに開口部を設け、この開口部と正対する状態でヒーターと軸流型のファンをケース内に配置してヒーターユニットとしている。ファンから送出される空気はヒーターで加熱されて、開口部からケース外部へ送出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−79014号公報(段落番号0013、図2)
【特許文献2】実願昭64−80号(実開平2−91402号)のマイクロフィルム(第8頁第6〜8行、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のヒーターユニットは、加熱空気の自然対流作用で配電盤の内部を加熱するので、空気の循環速度が小さく、配電盤内の空気温度を高めるのに多くの時間が掛かり、電力消費が大きくなるのを避けられない。また、配電盤の内部の上下で温度にばらつきがあり、盤内部の相対湿度を均一化しにくい不具合もある。
【0006】
その点特許文献2のヒーターユニットでは、加熱した空気を送風ファンで強制的に送出するので、自然対流作用で配電盤の内部空気を加熱する場合に比べて、配電盤内の空気の循環を促進して、より短い時間で相対湿度を上昇できるであろう。しかし、角箱状のケースの内部にヒーターおよびファンを収容し、ケースの周壁1箇所に設けた開口部から加熱空気を送出するので、加熱前の新規な空気は開口部から取り込む以外にない。そのため、新規な空気と加熱空気とが開口部で緩衝し合うのを避けられず、加熱空気を効率よく送出できない。また、加熱空気の吹き出し方向が一方向に限られるので、加熱空気がケースの吹き出し領域側に偏在しやすく、配電盤の内部温度にばらつきを生じやすい。
【0007】
本発明の目的は、配電盤内の空気をより短い時間でむらなく均一に加熱して結露を確実に防止でき、しかも電力消費が少なくて済むヒーターユニットを提供することにある。
本発明の目的は、ヒーターユニットの周辺に配置される機器類の状況に応じて、加熱空気の送出方向や送出量を変更して、機器類が不必要に加熱されるのを防止でき、あるいは必要個所を重点的に加熱できるヒーターユニットを提供することにある。
本発明の目的は、加熱空気を効率よく送出でき、しかも加熱空気をユニットの周囲全体に噴出し供給して、周辺の広い範囲の空気を効果的に加熱できるヒーターユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る結露防止用のヒーターユニットは、ヒーター9と、ヒーター9を収容するケース10と、ケース10内に空気を送給する送風ファン11とを備えている。ケース10の周壁には、送風ファン11が配置される1個の給気口22と、加熱された空気を吹き出す吹出口23の一群とがそれぞれ開口してある。以て、ケース10内の空気をヒーター9で加熱しながら、送風ファン11から送給される空気でケース10内の空気を撹拌し混合し、生成された加熱空気を一群の吹出口23から複数方向へ吹き出し供給することを特徴とする。
【0009】
ケース10に吹出口23を開閉するシャッター12を設ける。
【0010】
ケース10は四角箱状に形成する。吹出口23を備えたケース10の周壁のそれぞれに、独立して開閉できるシャッター12を配置する。
【0011】
ヒーターユニットは、送風ファン11の送風量と全ての吹出口23の合計面積とを適合させて、送風ファン11が駆動されるときのケース10内の圧力が、ケース外辺部の気圧より大きくなるように設定する。ケース10を構成するケース周壁のひとつに給気口22を開口し、その外面に送風ファン11を固定する。送風ファン11と正対するケース周壁16に設けた吹出口23の合計面積を、他のケース周壁13・14・17の個々の壁面に形成される吹出口23の合計面積に比べて小さく設定する。
【0012】
ケース10は、それぞれ対向する前後壁13・14と、左右壁15・16と、上壁17、および底壁18とで中空角箱状に形成する。ヒーター9は、底壁18で絶縁台28を介して支持されるヒーター本体25と、放熱フィン26とで構成する。ケース10の左右壁15・16のいずれか一方の壁面に給気口22を開口し、他方の壁面に吹出口23を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、ヒーター9と、ヒーター9を収容するケース10と、送風ファン11などでヒーターユニットを構成し、ケース10の周壁に、送風ファン11が配置される1個の給気口22と、吹出口23の一群とを設けるようにした。ヒーターユニットを起動した状態では、ケース10内の空気がヒーター9で加熱され、さらに送風ファン11から送給される空気によって撹拌し混合されるので、一群の吹出口23から吹き出される加熱空気の温度を概ね均等なものとすることができる。また、生成された加熱空気を一群の吹出口23から複数方向へ吹き出し供給して盤内の空気を加熱するので、ヒーターユニットの外辺部の広い範囲の空気をより短い時間で効果的に高めて結露を防ぐことができる。また、加熱空気の自然対流作用で配電盤の内部を加熱する従来のヒーターユニットに比べて、より短い時間で加熱空気を盤内に行き渡らせることができるので、その分だけヒーターユニットの稼働時間を短縮して電力消費を削減できる。
【0014】
ケース10に吹出口23を開閉するシャッター12を設けると、一部の吹出口23をシャッター12で塞ぐことにより、ヒーターユニットから吹き出される加熱空気の吹き出し方向を変更できる。したがって、盤内において結露を防止したい個所へ向かって加熱空気を送給できる。また、盤内における電気機器4の配置によっては、ヒーターユニットから吹き出される加熱空気が電気機器4や壁面に直接吹き付けられるおそれがある。こうした場合には、該当する吹出口23をシャッター40で塞いで加熱空気の吹き出しを規制することにより、電気機器4が過熱状態に陥り、あるいは壁面が不必要に加熱される防止して、盤内の空気を効果的に加熱することができる。
【0015】
四角箱状に形成したケース10の周壁のそれぞれに、独立して開閉できるシャッター12を配置すると、各周壁に設けた吹出口23をシャッター12で開閉して、加熱空気の送出方向や送出量をさらに多様に変更できる。したがって、盤内の必要個所を重点的に加熱してさらに効果的に結露を防止し、あるいは、盤内の機器類が不必要に加熱されるのを防止できる。
【0016】
送風ファン11が駆動されるときのケース10内の圧力を、ケース外辺部の気圧より大きくなるように設定すると、ケース10内で生成された加熱空気を、各吹出口23から勢いよく吹き出して、周辺の広い範囲の空気を効果的に加熱できる。また、送風ファン11と正対するケース周壁16に設けた吹出口23の合計面積を、他のケース周壁13・14・17の個々の壁面に形成される吹出口23の合計面積に比べて小さく設定することにより、送風ファン11から送給された低温の空気が、先のケース周壁16の吹出口23から抜け出るのを抑止できる。さらにケース周壁16と、それ以外のケース周壁13・14・17に設けた吹出口23から吹き出される加熱空気の量を概ね均等にして、盤内をむらなく均等に加熱できる。
【0017】
ケース10を中空角箱状に形成し、底壁18で絶縁台28を介して支持されるヒーター本体25と、放熱フィン26とでヒーター9を構成すると、放熱フィン26が付加された分だけ、ケース10内における空気とヒーター9との接触機会を増やして、加熱空気をさらに効率よく生成できる。また、ケース10の左右壁15・16のいずれか一方の壁面に給気口22を開口し、他方の壁面に吹出口23を形成するので、送風ファン11から送給される低温の空気が他方の壁面の吹出口23へ到達するまでの間にヒーター9で加熱することができる。したがって、低温の空気が、他方の壁面に設けた吹出口23から抜け出るのをさらに確実に抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るヒーターユニットを示す図3におけるB−B線断面図である。
【図2】ヒーターユニットの適用例を示す配電盤の正面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】ケースの分解斜視図である。
【図5】図1におけるC−C線断面図である。
【図6】図1におけるD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る結露防止用のヒーターユニットの実施例を図1ないし図6に基づき説明する。ヒーターユニットは、図2に示すような配電盤1の内部に設置されて、盤内に配置した電気機器類の接続端子部や接点等における結露を防ぐ。配電盤1は、前面が開口する筐体2と、筐体2の前面開口を揺動開閉する扉3とで縦長角箱状に形成してあり、その内部に設けたパネル5に一群の電気機器4が組み付けてある。配電盤1の内部でパネル5の下方の床面に本発明のヒーターユニットを設置する。
【0020】
図3に示すようにヒーターユニットは、ヒーター9と、ヒーター9を収容するケース10と、ケース10内に空気を送給する送風ファン11と、ケース10の吹出口23を開閉するシャッター40などで構成する。ケース10は薄鋼板を素材にして形成されるベース10aと、べース10aに対して着脱できるカバー10bとで中空角箱状に構成する。図4に示すようにべース10aは、左右壁15・16と底壁18とで構成してあり、左右壁15・16の前後縁にはカバー10bを締結するための締結壁19が折り曲げ形成され、底壁18の前後には締結座20が張り出してある。カバー10bは、前後壁13・14と上壁17とで構成してある。ケース10の左右壁15・16のうち、左壁15(図4に向かって左側)の中央に、送風ファン11を配置するための給気口22が円形に開口してある。前後壁13・14および上壁17の個々の壁面の面積は、左右壁15・16の個々の壁面の面積より大きく設定してある。
【0021】
ケース10は、ヒーター9の保護を行ないながら、送風ファン11から送給される空気で、ケース10内のヒーター9で加熱された空気を撹拌混合する混合容器として機能する。さらに、ヒーター9で加熱されて新規空気と混合された加熱空気をケース10の前後面、上面、右側面へ向かって同時に吹き出し供給する分配容器として機能する。そのために、ケース10の前後壁13・14と右壁16と上壁17の、各ケース周壁に多数個の吹出口23を開口している。なお、加熱空気が床面側(設置面側)へ吹き出されるのを避けるために、底壁18に吹出口23は形成しない。先に説明したように、ケース10の締結座20は筐体2の床面等に締結固定される。
【0022】
ケース10内の加熱空気を、ケース外方の周囲四方へ向かって強制的に吹き出すために、送風ファン11の送風量と全ての吹出口23の合計面積とを調整して、送風ファン11を駆動するときのケース10内の圧力が、ケース外辺部の気圧より大きくなるようにしている。これにより、吹出口23から吹き出される加熱空気はケース外方へ向かって勢いよく吹き出されて、ケース周辺の空気を効果的に温めることができる。
【0023】
送風ファン11でケース10内へ送給された空気あるいは加熱空気が、送風ファン11と対向する右壁16に開口した吹出口23から吹き出されてしまうと、加熱空気の温度を高めるのが困難となり、さらに前後壁13・14および上壁17に開口した吹出口23から吹き出される加熱空気量が極端に減ってしまう。こうした不具合を防いで、各ケース周壁13・14・16・17における加熱空気の吹き出し量を均一化するために、送風ファン11と正対する右壁(ケース周壁)16に設けた吹出口23の合計面積を、他のケース周壁13・14・17の個々の壁面に形成される吹出口23の合計面積に比べて小さく設定している。
【0024】
詳しくは、ケース10の右壁16に形成される吹出口23の形成個数を6個に設定し、前後壁13・14に形成される吹出口23の形成個数を8個に設定し、上壁17に形成される吹出口23の形成個数を9個に設定している。また、前後壁13・14においては、送風ファン11にもっとも近接する吹出口23上下方向の列において、上下方向中央に位置する吹出口23を省略して、送風ファン11の吸風面側へ加熱空気が吹き出されるのを防止している。因みに個々の吹出口23の直径寸法は5mmである。
【0025】
ヒーター9は、ヒーター本体25と、その外面に張り出し形成される一群の放熱フィン26とを一体に備えており、ヒーター本体25の両端がブラケット27で支持してある。ブラケット27は、底壁18に固定した絶縁台28で支持する。このように、ヒーター9を底壁18の近傍で支持することにより、図5に示すようにヒーター9の全体を送風ファン11で送給される空気の流れに接触させることができ、さらに、前後壁13・14や右壁16で反転した空気の流れにヒーター9を接触させて、ケース10内の空気を効果的に加熱できる。
【0026】
図1に示すように送風ファン11は、軸流ファン30と、軸流ファン30を回転駆動するモーター31と、軸流ファン30およびモーター31を支持するファンケース32とでユニットファン状に構成する。ファンケース32は四角枠状に形成してあり、その内面に軸流ファン30の回転周面を囲む導風面33が丸筒状に形成してある。ファンケース32の送風面(モーター側の開口)をケース10に設けた給気口22の周縁壁の外面にあてがい、その四隅に挿通したビスとナットとで、送風ファン11をケース10に締結固定することにより、送風ファン11がケース10と一体化してある。この状態の導風面33は給気口22と面一状に連続している。
【0027】
吹出口23を開閉して加熱空気の送出方向や送出量を変更するために、前後壁13・14と上壁17および右壁16のそれぞれの内面に、4個のシャッター40を配置する。図4および図5に示すように、各シャッター40は、四角形状の薄鋼板からなるシャッター本体41と、シャッター本体41をスライド操作する操作摘み42とからなる。シャッター本体41の板面の3個所には、吹出口23を通気可能とするための開口43が直線溝状に形成してある。シャッター本体41は、前記の各壁13・14・16・17の内面に固定した一対のガイド片44でスライド自在に案内支持してある。
【0028】
図6に示すように、操作摘み42にはねじ軸45が一体に設けてあり、ねじ軸45をスライド溝46を介してシャッター本体41のねじ穴47にねじ込むことにより、シャッター本体41と一体化してある。スライド溝46は前記の各壁13・14・16・17に開口してある。ねじ軸45を緩めた状態で、操作摘み42をスライド溝46の一端から他端へと変位操作することにより、吹出口23をシャッター本体41の板面で塞いだ状態(閉じ状態)と、開口43が吹出口23と重なる状態(通気状態)とに切り換えることができる。また、切り換え位置において操作摘み42を締め込み操作することにより、シャッター本体41を各壁13・14・16・17に密着固定できる。
【0029】
以上のように構成したヒーターユニットは、湿度センサーと制御回路(いずれも図示していない)を併用して運転状態の制御を行なう。その場合には、湿度センサーから出力される検知信号を受けた制御回路は、盤内の加熱が必要であるか否かを判定して、結露が発生するのに先行してヒーターユニットを起動し、盤内を加熱する。さらに、盤内の湿度が目標値に達したらヒーターユニットの稼動を停止する。結露が発生しやすい時間帯を指定して、タイマーによってヒーターユニットを起動することもある。
【0030】
ヒーターユニットを起動すると、吸い込み面側に臨む盤内空気が送風ファン11でケース10内へ強制的に送給され、ヒーター9によって加熱される。ケース10の内部には送風ファン11から送給された低温の空気と、ヒーター9で加熱された加熱空気とが存在するが、これらは送風ファン11から送給された空気流によって撹拌し混合され、あるいはケース内面で反転した空気流によって撹拌される。したがって、吹出口23から吹き出される加熱空気の温度に大きなばらつきはない。
【0031】
全てのシャッター40が通気状態に切換えてある場合には、加熱空気は前後壁13・14、上壁17、および右壁16に設けた各吹出口23から均等に吹き出されて、ヒーターユニットの外辺部の広い範囲の空気温度を効果的に高めることができる。このとき、ケース10の前後中央がパネル5の真下より後側に位置しているので、各吹出口23から吹き出された加熱空気の大半はパネル5より後側の空間へ吹き出されて、パネル5の後面に露出する接続端子部や接点等における結露を防ぐ。加熱空気の一部はパネル5の前側の空間へ吹き出されて、電気機器4の前部表面における結露を防ぐ。各吹出口23から吹き出された加熱空気は、周囲の低温空気を温めながら盤内の上方へと対流する。上記のように、加熱空気を強制的に吹き出し供給するヒーターユニットによれば、盤内の空気をより短い時間でむらなく均一に加熱して結露を確実に防止でき、小形で高容量のヒーターユニットとすることができる。また、従来の自然対流型のヒーターユニットに比べて、盤内を短時間で効果的に加熱できるので電力消費を削減できる。
【0032】
盤内における電気機器4の配置によっては、ヒーターユニットから吹き出される加熱空気が電気機器4に吹き付けられて過熱状態に陥るおそれがある。こうした場合には、該当する吹出口23に臨むシャッター40を閉じ状態に切換えることにより、加熱空気の吹き出しを規制して、電気機器4の過熱を防ぐことができる。その場合には、ケース10内の圧力が僅かに高まり、封口体で塞がれていない吹出口23から吹き出される加熱空気量が僅かに増加する。また、結露を防ぎたい個所が集約される場合には、対応する位置の吹出口23のみを通気状態にして、過熱空気を集中して供給することができる。必要があれば、シャッター40を通気状態にしたうえで、1個ないし複数個の吹出口23のみを、粘着テープや粘着シールなどの封口体で塞いで、加熱空気の吹き出しを局部的に規制することもできる。
【0033】
上記の実施例では、配電盤1内の床面にヒーターユニットを設置したがその必要はなく、床面より高い位置にヒーターユニットを設置することができる。例えば、盤内に設けたラックや機器実装用のパネル5にヒーターユニットを装着して使用することができる。その場合には送風ファン11の吸い込み面が床面を向き、あるいは上記の実施例と同様に横向きになるようにヒーターユニットを設置することができる。
【0034】
ケース10は直方体状に形成する必要はなく、ドーム状や円筒状など必要に応じて任意の立体形状に構成することができる。例えば、ケース10の全体をかまぼこ型に形成して、トンネル断面状のケース周壁と、左右いずれか一側の側壁とに吹出口23を開口し、残る側壁に送風ファン11を装着することができる。実施例で説明したケース10において、上壁17の左右中央に給気口22を開口して、その外面に送風ファン11を装着することができる。その場合には、前後壁13・14および左右壁15・16に吹出口23を開口して、ケース10の前後、および左右へ加熱空気を吹き出し供給することができる。必要があれば、ケース10に複数個の送風ファン11を装着することができる。
【0035】
シャッター40は、前後壁13・14と上壁17および右壁16のそれぞれに設けた吹出口23を同時に開閉する必要はなく、各壁13・14・16・17の吹出口23の一部を開閉する形態で実施できる。例えば、上壁17において送風ファン11から最も遠い位置の3個の吹出口23をシャッター40で開閉する形態で実施できる。また、シャッター40はスライド開閉する必要はなく、揺動開閉可能に構成することができる。個々の吹出口23ごとにシャッター40を設けて、必要な吹出口23のみを通気状態にして、加熱空気を所定方向へ吹き出し送給することができる。シャッター40はケース10の外面に配置することができる。
【0036】
ケース周壁に形成される吹出口23の直径寸法は一様である必要はなく、送風ファン11から遠ざかるに従い、吹出口23の直径寸法を大きくすることができる。また、吹出口23の配置パターンは直線列状である必要はなく、ランダムなパターンであってもよい。さらに、送風ファン11から遠ざかるに従い、単位面積あたりの吹出口23の配置個数を減らすことができる。
【0037】
送風ファン11はユニットファンである必要はなく、要は周辺空気をケース10内へ送給できるファン構造であればよい。送風ファン11の取り付け位置は、給気口22の外面である必要はなく、その一部あるいは前部がケース10の内部に収容してあってもよい。送風ファン11は、軸流ファン以外に、遠心ファンを適用できる。
【符号の説明】
【0038】
9 ヒーター
10 ケース
11 送風ファン
13 前壁
14 後壁
15 左壁
16 右壁
17 上壁
22 給気口
23 吹出口
40 シャッター
41 シャッター本体
42 操作摘み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーター(9)と、ヒーター(9)を収容するケース(10)と、ケース(10)内に空気を送給する送風ファン(11)とを備えている結露防止用のヒーターユニットであって、
ケース(10)の周壁には、送風ファン(11)が配置される給気口(22)と、加熱された空気を吹き出す吹出口(23)の一群とがそれぞれ開口されており、
ケース(10)内の空気をヒーター(9)で加熱しながら、送風ファン(11)から送給される空気で、ケース(10)内の空気を撹拌し混合し、生成された加熱空気を一群の吹出口(23)から吹き出し供給することを特徴とするヒーターユニット。
【請求項2】
ケース(10)に吹出口(23)を開閉するシャッター(12)が設けてある請求項1に記載のヒーターユニット。
【請求項3】
ケース(10)が四角箱状に形成されており、
吹出口(23)を備えたケース(10)の周壁のそれぞれに、独立して開閉できるシャッター(12)が配置してある請求項2に記載のヒーターユニット。
【請求項4】
送風ファン(11)の送風量と全ての吹出口(23)の合計面積とを調整して、送風ファン(11)が駆動されるときのケース(10)内の圧力が、ケース外辺部の気圧より大きくなるように設定されており、
ケース(10)を構成するケース周壁のひとつに給気口(22)が開口されて、その外面に送風ファン(11)が固定されており、
送風ファン(11)と正対するケース周壁(16)に設けた吹出口(23)の合計面積が、他のケース周壁(13・14・17)の個々の壁面に形成される吹出口(23)の合計面積に比べて小さく設定してある請求項2または3に記載の結露防止用のヒーターユニット。
【請求項5】
ケース(10)が、それぞれ対向する前後壁(13・14)と、左右壁(15・16)と、上壁(17)、および底壁(18)とで中空角箱状に形成されており、
ヒーター(9)が、底壁(18)で絶縁台(28)を介して支持されるヒーター本体(25)と、放熱フィン(26)とで構成されており、
ケース(10)の左右壁(15・16)のいずれか一方の壁面に給気口(22)が開口され、他方の壁面に吹出口(23)が形成してある請求項3または4に記載の結露防止用のヒーターユニット。
【請求項1】
ヒーター(9)と、ヒーター(9)を収容するケース(10)と、ケース(10)内に空気を送給する送風ファン(11)とを備えている結露防止用のヒーターユニットであって、
ケース(10)の周壁には、送風ファン(11)が配置される給気口(22)と、加熱された空気を吹き出す吹出口(23)の一群とがそれぞれ開口されており、
ケース(10)内の空気をヒーター(9)で加熱しながら、送風ファン(11)から送給される空気で、ケース(10)内の空気を撹拌し混合し、生成された加熱空気を一群の吹出口(23)から吹き出し供給することを特徴とするヒーターユニット。
【請求項2】
ケース(10)に吹出口(23)を開閉するシャッター(12)が設けてある請求項1に記載のヒーターユニット。
【請求項3】
ケース(10)が四角箱状に形成されており、
吹出口(23)を備えたケース(10)の周壁のそれぞれに、独立して開閉できるシャッター(12)が配置してある請求項2に記載のヒーターユニット。
【請求項4】
送風ファン(11)の送風量と全ての吹出口(23)の合計面積とを調整して、送風ファン(11)が駆動されるときのケース(10)内の圧力が、ケース外辺部の気圧より大きくなるように設定されており、
ケース(10)を構成するケース周壁のひとつに給気口(22)が開口されて、その外面に送風ファン(11)が固定されており、
送風ファン(11)と正対するケース周壁(16)に設けた吹出口(23)の合計面積が、他のケース周壁(13・14・17)の個々の壁面に形成される吹出口(23)の合計面積に比べて小さく設定してある請求項2または3に記載の結露防止用のヒーターユニット。
【請求項5】
ケース(10)が、それぞれ対向する前後壁(13・14)と、左右壁(15・16)と、上壁(17)、および底壁(18)とで中空角箱状に形成されており、
ヒーター(9)が、底壁(18)で絶縁台(28)を介して支持されるヒーター本体(25)と、放熱フィン(26)とで構成されており、
ケース(10)の左右壁(15・16)のいずれか一方の壁面に給気口(22)が開口され、他方の壁面に吹出口(23)が形成してある請求項3または4に記載の結露防止用のヒーターユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−273459(P2010−273459A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123710(P2009−123710)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000181572)篠原電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000181572)篠原電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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