説明

ヒートポンプ式給湯機

【課題】施工時に行われる試運転が極めて容易に行えるヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【解決手段】圧縮機22、水冷媒交換器23、膨張弁24、及び室外ファン25を有する空気熱交換器26を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプユニット21と、前記水冷媒熱交換器23とは加熱循環回路30で連通し、湯水を循環させて高温に加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2下部には給水管4を接続すると共に上部には風呂への湯張り回路11が接続され、この湯張り回路11には温水と給水とをミキシングする風呂ミキシング弁13及び該湯張り回路11を開閉する湯張り電磁弁14を備えたもので、前記貯湯タンク2のエア抜き、このエア抜き後の貯湯タンク2への水張り、水張り後の加熱循環回路30のエア抜き、試運転を順次自動的に行うことにより、時間の浪費や人件費の大きな削減が可能で使用勝手が極めて良いものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ回路を利用して、給湯を行うヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ式給湯機では、深夜電力を利用して、高温高圧の冷媒と低温水とを効率よく熱交換し、貯湯タンク内に翌日使用する湯水を高温水として貯湯して、順次給水とミキシングしながら、設定温度の給湯を行い経済的な給湯を実現するものであった。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特許第3055406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この従来のものでは、ヒーポン側のエア抜き栓を開けて、加熱循環回路内のエア抜きを行っており、そして、このエアが完全に抜けたかを確認する為に、沸き上げ運転を行い正常に動作するかを、実際に通常運転することで確認していた。その為に、常に人が張り付いていなくてはならず、アパートやマンション等の一度に数多くの器具を設置する集合物件では、この確認だけで多くの作業員が必要であったり、多くの時間を費やすもので、極めて作業性が悪いと言う問題点を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し、上記問題点を解決する為、請求項1では、圧縮機、水冷媒交換器、膨張弁、及び室外ファンを有する空気熱交換器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプユニットと、前記水冷媒熱交換器とは加熱循環回路で連通し、湯水を循環させて高温に加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク下部には給水管を接続すると共に上部には風呂への湯張り回路が接続され、この湯張り回路には温水と給水とをミキシングする風呂ミキシング弁及び該湯張り回路を開閉する湯張り電磁弁を備えたものに於いて、前記貯湯タンクのエア抜き、このエア抜き後の貯湯タンクへの水張り、水張り後の加熱循環回路のエア抜き、このエア抜き後の沸き上げ運転等の試運転を順次自動的に行うものである。
【0005】
又請求項2では、前記試運転は、器具本体やリモコンに備えられた試運転スイッチの操作で開始するものである。
【0006】
又請求項3では、前記試運転途中で異常が発生した時には、以後の試運転を中止するものである。
【0007】
又請求項4では、前記試運転で各試運転の終了後には、正常、異常を表示或いはブザーで報知するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、施工後の貯湯タンク内のエア抜き、貯湯タンクへの水張り、加熱循環回路のエア抜き、この加熱循環回路を利用した沸き上げ運転等の試運転が自動で行われるので、各試運転毎に人が張り付く必要が無く、全て連続して自動的に行われ、時間の浪費や人件費の大きな削減が可能で使用勝手が極めて良いものであり、特にアパートやマンション等の一度に数多くの器具を設置する集合物件では、効果が最大限に発揮されるものである。
【0009】
又請求項2によれば、試運転は試運転スイッチの操作のみで容易に行われ、複雑な操作の必要もなく、誰にでも簡単に操作出来るものである。
【0010】
又請求項3よれば、試運転の途中で異常が発生すると、その試運転途中で中止されるので、異常原因が明確となり、この原因を排除して試運転を再度継続することが可能で使用勝手が良いものである。
【0011】
又請求項4によれば、沸き上げ試運転の正常、異常はリモコンの表示や報知で知ることが出来、、又試運転終了まで別の仕事が出来、極めて効率的であり使用便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次にこの発明の一実形態のヒートポンプ式給湯機を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニットで内方には、湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2の上部に接続された出湯管3と、貯湯タンク2の下部に接続された給水管4と、出湯管3からの高温水と給水管4から分岐された給湯バイパス管5からの低温水とをミキシングする給湯ミキシング弁6と、該給湯ミキシング弁6の下流に接続された給湯管7に設けられた給湯温度センサ8及び給湯フロースイッチ9とが備えられている。
【0013】
更に貯湯タンクユニット1内には、貯湯タンク2上部と風呂循環回路10とを結ぶ湯張り回路11が設けられ、この湯張り回路11には貯湯タンク2からの高温水と給湯バイパス管5から分岐した風呂バイパス管12からの低温水とをミキシングする風呂ミキシング弁13と、湯張り回路11を開閉する湯張り電磁弁14、湯張り量をカウントする湯張り流量カウンタ15とが備えられており、又前記風呂循環回路10には、風呂の水位を検知する水位センサ16、風呂循環ポンプ17、風呂フロースイッチ18、貯湯タンク2内上部に備えられた風呂熱交換器19及び、該風呂熱交換器19をバイパスする風呂三方弁20が備えられている。
【0014】
21はヒートポンプユニットで、圧縮機22と凝縮器としての水冷媒熱交換器23と電子式の膨張弁24と室外ファン25を有し空気と熱交換する蒸発器としての空気熱交換器26で構成されたヒートポンプ回路27と、前記貯湯タンク2内の湯水をヒーポン往き管28及びヒーポン戻り管29から成る加熱循環回路30を介して水冷媒熱交換器23に循環させる循環ポンプ31と、それらの駆動を制御するヒーポン制御部32とを備えており、ヒートポンプ回路27内には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。なお、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能なものである。
【0015】
ここで、前記水冷媒熱交換器23は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の水冷媒熱交換器23入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記膨張弁24または圧縮機22を制御することで、被加熱水の水冷媒熱交換器23の入口温度が5〜20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)がとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0016】
又ヒーポン往き管28には、止水栓33が備えられ、ヒーポン戻り管29途中には戻しバイパス弁34が備えられ、凍結防止時には戻しバイパス弁34を貯湯タンク2下部の給水管4に接続した凍結防止バイパス管35側の連通に切替ることで、貯湯タンク2内下部を利用した短絡回路の循環として凍結を防止するもので、循環ポンプ31と戻しバイパス弁34は貯湯タンクユニット1内に位置するものである。
【0017】
36はマイコン等から成る給湯制御部で、ヒーポン制御部32を制御して加熱循環回路30による貯湯タンク2の沸き上げや沸き増し等、給湯の温度制御、風呂の湯張りや追い焚き、保温等の制御を行うものであり、又リモコン37に設けられた試運転スイッチ38の押圧によって、湯張り回路11の風呂ミキシング弁13を水側100%開口状態からお湯側100%状態に切替と共に、湯張り電磁弁14を開成し、湯張り回路11を利用して施工後の貯湯タンク2内のエアを抜きながらの水張りを行うものであり、その後引き続いて循環ポンプ31を駆動して加熱循環回路30のエア抜きを所定時間行った後に、沸き上げ試運転を行い所定温度の沸き上げ目標温度を所定時間継続することで、沸き上げ試運転を終了するものである。
【0018】
39は前記給湯制御部36内に構成されたタイマーで、試運転スイッチ38の押圧でカウントを開始し、ここでは30分の所定時間のカウントアップで、給湯制御部36を介して風呂ミキシング弁13を元の水側100%に戻すと共に、湯張り電磁弁14を閉成し湯張り回路11を利用した水張りを終了させるものである。
【0019】
更に前記リモコン37には、試運転スイッチ38の他に、給湯スイッチ40、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ41、風呂への湯張りを指示する湯張りスイッチ42、湯張り量を設定する湯張り量設定スイッチ43を有し、更にドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部44と、この表示部44を制御すると共に前記給湯制御部36との通信を行うマイコンで構成されたリモコン制御部45が備えられている。
【0020】
又前記加熱循環回路30の水冷媒熱交換器23の入水側には入水温度センサ46が備えられ入水温度を検知するものであり、出口側には出口温度センサ47が備えられて、加熱後の湯水温度を検知するものであり、貯湯タンク2に備えられた該貯湯タンク2内の湯水温度を検知する複数の貯湯温度センサ48のうち、出口温度センサ47と最上部の貯湯温度センサ48のどちらかが沸き上げ目標温度ここでは30℃を継続して検知することで沸き上げ試運転を終了させるものである。
【0021】
49は加熱循環回路30のエア抜き開始から終了までの時間をカウントすると共に、沸き上げ試運転開始から終了までの時間をカウントする試運転タンマーで、エア抜き運転を30分で終了させ、更に当然沸き上げ試運転で沸き上げ目標温度になるはずの所定時間1〜2時間経過しても、目標温度に達しない時には、リモコン37の表示部44に「沸き上げ異常」の表示を行わせたり、ブザーで報知させるもので、一方所定時間前に沸き上げ試運転が終了することで、正常状態を示す「沸き上げ終了」の表示や、ブザーで報知するようにするものである。
【0022】
50は給湯管7に接続する逆止弁付止水栓、51は貯湯タンク2頂部に連通した逃がし弁、52は給水管4に備えられた減圧弁であり、それより上流側には止水栓53が設けられており、54は貯湯タンク2底部に連通した排水栓、55は加熱循環回路30に連通したドレン栓である。
【0023】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今器具を設置し、給湯回路や風呂循環回路10、給水管4、給湯管7の回路をそれぞれ配管接続した後、電源に接続して施工は終了するものであり、次にリモコン37の試運転スイッチ38を押圧すれば(ステップ56)、YESで試運転開始の信号が給湯制御部36に出力され、この給湯制御部36がステップ57で湯張り回路11の風呂ミキシング弁13を水側100%開口状態からお湯側100%状態に切替と共に、湯張り電磁弁14を開成し、予め設定された所定時間ここでは30分のカウントをタイマー39に開始させる。
【0024】
これにより、湯張り回路11から風呂循環回路10を介して風呂より、貯湯タンク2内のエアが抜かれ、そしてこの貯湯タンク2内に給水管4よりの給水で水張りが行われるものであり、特別な部品を設けることなく、湯張り回路11を利用して貯湯タンク2内のエア抜きと水張りが自動的に行われ、極めて便利で且つ使用勝手が良いものである。
【0025】
そして、ステップ58に進みタイマー39が30分のカウントアップすると、YESでステップ59に進んで給湯制御部36を介して風呂ミキシング弁13を元の水側100%に戻すと共に、湯張り電磁弁14を閉成し湯張り回路11を利用した水張りを終了させるものであり、この時リモコン37には「水張り終了」を文字表示すると共に、ブザー音で報知する。
又このタイマー39による30分のカウントは、試験で予め貯湯タンク2が満水になる時間を設定しているもので、当然貯湯タンク7の容量が変わればこの所定時間も変更されるものである。
【0026】
次にリモコン37の表示はリモコン制御部45に記憶され、そのままの状態で表示され、止水栓33が開成状態では、ステップ60に進み循環ポンプ31を駆動させて、加熱循環回路30内のエアを貯湯タンク2内の水を循環させることで抜き、抜いたエアは逃がし弁51や給湯や湯張りをすることで順次器具外へ排出される。
【0027】
そして、ステップ61で試運転タイマー49が所定時間ここでは30分経過すると、YESでステップ62に進み循環ポンプ31を一旦停止させ、更にステップ63に進んでヒートポンプユニット21を駆動させると共に、循環ポンプ31を再び駆動させ沸き上げの試運転が自動的に開始されるものである。
【0028】
この沸き上げ試運転開始後、ステップ64でヒートポンプユニット21で加熱後の湯水温度が沸き上げ目標温度に達したことを出口温度センサ47或いは最上部の貯湯温度センサ48が検知すると、YESでステップ65に進みヒートポンプユニット21及び循環ポンプ31を停止して、沸き上げ試運転を終了させると共に、正常に沸き上げ運転が行われたことを「沸き上げ終了」の表示とブザーで報知するものであり、又この後、湯張りの試運転を行ってもよいものである。
【0029】
ステップ64でNOの場合には、ステップ66に進み試運転タイマー49がカウントアップしたかを判断し、YESの場合は、ステップ67でヒートポンプユニット21及び循環ポンプ31を強制的に停止すると共に、「沸き上げ異常」を表示しブザーでこれを報知し、試運転はここで一旦中止されるので、この原因であるエア抜きを再度確実に行ってから、再開すれば良い。
【0030】
次にこのヒートポンプ式給湯機は、夜間時間帯になると、前記給湯制御部36が翌日に必要な貯湯熱量を演算し、この目標となる貯湯熱量を夜間時間帯の終了までに沸き上げるように指示してヒートポンプユニット21を作動させ、加熱循環回路30の循環ポンプ31を駆動開始する。そして、循環ポンプ31の駆動により貯湯タンク2下部から取り出された湯水が加熱され、貯湯タンク2の上部に戻されることにより、高温の湯が貯湯される。
【0031】
そして、貯湯タンク7の側面に設けられた貯湯温度センサ48が所定の量の高温水が貯湯されたことを検出すると、給湯制御部36がヒートポンプユニット21へ加熱動作の停止を指示し、循環ポンプ31の作動が停止され、夜間時間帯の終了時までに貯湯作業を終了するものである。
【0032】
この状態で給湯栓(図示せず)を開口すると貯湯タンク2上部の高温水が出湯管3がら給湯ミキシング弁6で給水とミキシングされて設定温度の給湯となって給湯管7を介して供給され、貯湯タンク2にはこの給湯で減少した分の給水が給水管4から供給されて、温水を押し上げ順次これを繰り返して良好な給湯が行われるものである。
【0033】
次に図4と図5に示す第一の他の実施形態を説明するが、この一実施形態と同一部分は同一符号を付し説明を省略して相違点のみ説明する。
図4はタイマー39の替わりに風呂循環回路10に備えられている風呂フロースイッチ18を利用して貯湯タンク2内の水張り終了を検知するもので、該風呂フロースイッチ18を給湯制御部36の入力側に接続したものである。
【0034】
そして作動では、リモコン37の試運転スイッチ38を押圧すれば(ステップ56)、YESでステップ68に進み先ず風呂ミキシング弁13を水側100%開口状態のままで、湯張り電磁弁14を開成して少量の水を呼び水として風呂フロースイッチ18に供給し、ステップ69で湯張り流量カウンタ15が所定流量をカウントすることで呼び水を終了とし、YESでステップ70に進み一旦湯張り電磁弁14を閉成した後、ステップ71で湯張り回路11の風呂ミキシング弁13を水側100%開口状態からお湯側100%状態に切替と共に、湯張り電磁弁14を開成することにより、湯張り回路11を利用しての貯湯タンク2内のエア抜きと水張りが行われるものである。
【0035】
更にステップ72に進み貯湯タンク2が満水になると、湯張り回路11を介して風呂循環回路10に水が流れ込むので、これを風呂フロースイッチ18が検知して、YESでステップ59に進んで給湯制御部29を介して風呂ミキシング弁13を元の水側100%に戻すと共に、湯張り電磁弁14を閉成し湯張り回路11を利用した水張りを終了させるものであり、リモコン37には「水張り終了」を文字表示すると共に、ブザー音で報知し、風呂フロースイッチ18により水流を検知しての水張り終了検知であるので、確実に水張りが終了したことを検知出来、極めて安心して使用出来るものである。
【0036】
又ステップ72でNOの場合は、ステップ73に進んで試運転スイッチ38の押圧による試運転開始からの時間をカウントする安全タイマー74が、所定の安全時間をオーバーしても風呂フロースイッチ18が水流を検知しない時には、異常と判断しYESでステップ75に進み湯張り電磁弁14を強制的に閉成し、リモコン37の表示部44に「水張りエラー」を文字表示すると共に、警報音で報知するもので、安全を確実に確保出来、試運転時に人がそこに居なくとも、安心して自動の試運転が出来るものであり、そして、この「水張りエラー」の原因を探して対処し、再びこの水張りから試運転を開始させれば良いものである。
【0037】
次にステップ59で無事に水張りが終了した場合は、リモコン37の表示はそのままの状態で止水栓33が開成状態では、ステップ60に進み循環ポンプ31を駆動させて、加熱循環回路30内のエアを貯湯タンク2内の水を循環させることで抜き、抜いたエアは逃がし弁51や給湯や湯張りをすることで順次器具外へ排出される。
【0038】
そして、ステップ61で試運転タイマー49が所定時間ここでは30分経過すると、YESでステップ62に進み循環ポンプ31を一旦停止させ、更にステップ63に進んでヒートポンプユニット21を駆動させると共に、循環ポンプ31を再び駆動させ沸き上げの試運転が自動的に開始されるものである。
【0039】
この沸き上げ試運転開始後、ステップ64でヒートポンプユニット21で加熱後の湯水温度が沸き上げ目標温度に達したことを出口温度センサ47或いは最上部の貯湯温度センサ48が検知すると、YESでステップ65に進みヒートポンプユニット21及び循環ポンプ31を停止して、沸き上げ試運転を終了させると共に、正常に沸き上げ運転が行われたことを「沸き上げ終了」の表示とブザーで報知するものであり、この後湯張りの試運転を継続して行っても良いものである。
【0040】
ステップ64でNOの場合には、ステップ66に進み試運転タイマー49がカウントアップしたかを判断し、YESの場合は、ステップ67でヒートポンプユニット21及び循環ポンプ31を強制的に停止すると共に、「沸き上げ異常」を表示しブザーでこれを報知する。
【0041】
次に図6〜図8に示す第二の他の実施形態を同様にして説明すれば、湯張り流量カウンタ15をなくし、給水管4の給湯バイパス管5の分岐部分より上流側に給水流量カウンタ76を備えたものであり、この給水流量カウンタ76で直接貯湯タンク2に流入する水量をカウントして満水で停止させるものである。
【0042】
その作動は、リモコン37の試運転スイッチ38を押圧すれば(ステップ56)、YESでステップ68に進み先ず風呂ミキシング弁13を水側100%開口状態のままで、湯張り電磁弁14を開成して少量の水を呼び水として給水流量カウンタ76に供給して、焼き付きを防止してスムースな作動を行わすものであり、ステップ77で給水流量カウンタ76が所定流量をカウントすることで呼び水を終了とし、YESでステップ70に進み一旦湯張り電磁弁14を閉成した後、ステップ71で湯張り回路11の風呂ミキシング弁13を水側100%開口状態からお湯側100%状態に切替と共に、湯張り電磁弁14を開成することにより、湯張り回路11を利用しての貯湯タンク2内のエア抜きと水張りが行われるものである。
【0043】
更にステップ78に進み給水流量カウンタ76が貯湯タンク2が満水になる予め設定された流量をカウントすることで、YESでステップ59に進んで給湯制御部36を介して風呂ミキシング弁13を元の水側100%に戻すと共に、湯張り電磁弁14を閉成し湯張り回路11を利用した水張りを終了させるものであり、リモコン37には「水張り終了」を文字表示すると共に、ブザー音で報知し、給水流量カウンタ76により貯湯タンク2へ流れる流量を検知しての水張り終了検知であるので、確実に水張りが終了したことを検知出来、極めて安心して使用出来るものである。
【0044】
又ステップ78でNOの場合は、ステップ73に進んで試運転スイッチ38の押圧による試運転開始からの時間をカウントする安全タイマー74が、所定の安全時間をオーバーしても給水流量カウンタ76が所定流量を検知しない時には、異常と判断しYESでステップ75に進み湯張り電磁弁14を強制的に閉成し、リモコン37の表示部44に「水張りエラー」を文字表示すると共に、警報音で報知するもので、安全を確実に確保出来、試運転時に人がそこに居なくとも、安心して自動の試運転が出来るものであり、そして、この「水張りエラー」の原因を探して対処し、再びこの水張りから試運転を開始させれば良いものである。
【0045】
尚、給水流量カウンタ76が給湯バイパス管5より上流側に位置しており、貯湯タンク2への給水量のカウントが行えることにより、給湯管7に流量カウンタを設けることで、この流量カウンタとの差を演算して湯張り量を検知することも出来るものである。
【0046】
次にステップ59で無事に水張りが終了した場合は、リモコン37の表示はそのままの状態で止水栓33が開成状態では、ステップ60に進み循環ポンプ31を駆動させて、加熱循環回路30内のエアを貯湯タンク2内の水を循環させることで抜き、抜いたエアは逃がし弁51や給湯や湯張りをすることで順次器具外へ排出される。
【0047】
そして、ステップ61で試運転タイマー49が所定時間ここでは30分経過すると、YESでステップ62に進み循環ポンプ31を一旦停止させ、更にステップ63に進んでヒートポンプユニット21を駆動させると共に、循環ポンプ31を再び駆動させ沸き上げの試運転が自動的に開始されるものである。
【0048】
この沸き上げ試運転開始後、ステップ64でヒートポンプユニット21で加熱後の湯水温度が沸き上げ目標温度に達したことを出口温度センサ47或いは最上部の貯湯温度センサ48が検知すると、YESでステップ65に進みヒートポンプユニット21及び循環ポンプ31を停止して、沸き上げ試運転を終了させると共に、正常に沸き上げ運転が行われたことを「沸き上げ終了」の表示とブザーで報知するものであり、この後湯張りの試運転を継続して行っても良いものである。
【0049】
ステップ64でNOの場合には、ステップ66に進み試運転タイマー49がカウントアップしたかを判断し、YESの場合は、ステップ67でヒートポンプユニット21及び循環ポンプ31を強制的に停止すると共に、「沸き上げ異常」を表示しブザーでこれを報知する。
【0050】
このように各試運転が連続的に自動で行われるので、器具のそばに人がいちいち張り付く必要が無く、全て連続して自動的に行われ、時間の浪費や人件費の大きな削減が可能で使用勝手が極めて良いものであり、特にアパートやマンション等の一度に数多くの器具を設置する集合物件では、効果が最大限に発揮されるものである。
又試運転は試運転スイッチの操作のみで容易に行われ、複雑な操作の必要もなく、誰にでも簡単に操作出来るものである。更に試運転の途中で異常が発生すると、その試運転途中で中止されるので、異常原因が明確となり、この原因を排除して試運転を再度継続することが可能で使用勝手が良いものである。又沸き上げ試運転の正常、異常はリモコンの表示や報知で知ることが出来、、又試運転終了まで別の仕事が出来、極めて効率的であり使用便利である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の一実施形態を示すヒートポンプ式給湯機の試運転状態概略構成図。
【図2】同要部電気回路のブロック図。
【図3】同要部のフローチャート。
【図4】第一の他の実施形態を示す要部電気回路のブロック図。
【図5】同要部のフローチャート。
【図6】第二の他の実施形態の水張り状態を示す概略構成図。
【図7】同要部電気回路のブロック図。
【図8】同要部のフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
2 貯湯タンク
4 給水管
11 湯張り回路
13 風呂ミキシング弁
14 湯張り電磁弁
18 風呂フロースイッチ
21 ヒートポンプユニット
22 圧縮機
23 水冷媒熱交換器
24 膨張弁
25 室外ファン
26 空気熱交換器
27 ヒートポンプ回路
28 ヒーポン往き管
29 ヒーポン戻り管
30 加熱循環回路
31 循環ポンプ
37 リモコン
38 試運転スイッチ
39 タイマー
44 表示部
47 出口温度センサ
48 貯湯温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、水冷媒交換器、膨張弁、及び室外ファンを有する空気熱交換器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプユニットと、前記水冷媒熱交換器とは加熱循環回路で連通し、湯水を循環させて高温に加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク下部には給水管を接続すると共に上部には風呂への湯張り回路が接続され、この湯張り回路には温水と給水とをミキシングする風呂ミキシング弁及び該湯張り回路を開閉する湯張り電磁弁を備えたものに於いて、前記貯湯タンクのエア抜き、このエア抜き後の貯湯タンクへの水張り、水張り後の加熱循環回路のエア抜き、このエア抜き後の沸き上げ運転等の試運転を順次自動的に行う事を特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
前記試運転は、器具本体やリモコンに備えられた試運転スイッチの操作で開始する事を特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項3】
前記試運転途中で異常が発生した時には、以後の試運転を中止する事を特徴とする請求項1及び2記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項4】
前記試運転で各試運転の終了後には、正常、異常を表示或いはブザーで報知する事を特徴とする請求項1から3記載のヒートポンプ式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−250507(P2006−250507A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71515(P2005−71515)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)