説明

ヒートポンプ給湯機

【課題】追焚き運転の直後に貯湯運転を実施する場合に、タンクに貯留される湯の温度が要求から外れて上下するのを防止する。
【解決手段】ヒートポンプ式給湯機は、冷媒回路101、貯湯回路201及び追焚き回路202を備える。貯湯運転では、冷媒回路101により貯湯回路201を流れる水を加熱し、タンク8に加熱水を貯湯する。追焚き運転では、冷媒回路101により加熱した水を追焚き回路202に循環させ、浴槽水を加熱する。追焚き運転から貯湯運転に移行する場合には、貯湯移行運転を実行し、その後に貯湯運転に移行する。貯湯移行運転では、水冷媒熱交換器2の目標出湯温度を、追焚き運転時の目標値から貯湯運転時の目標値に切換え、この状態で追焚き運転を継続する。これにより、追焚き運転から貯湯運転への移行時にタンク8内の湯温を安定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ給湯機に関し、特に、タンク内に湯を貯湯する機能と、浴槽水等の加熱対象水を追焚きする機能とを備えたヒートポンプ給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特許文献1に記載されているように、浴槽の湯を追焚きすることが可能なヒートポンプ給湯機などの貯湯式給湯機が知られている。従来の貯湯式給湯機では、浴槽の湯温が低下した場合などに、浴槽水を加熱する追焚き運転を実施する。追焚き運転では、加熱器により加熱された温水と浴槽水とを熱交換器(以下、追焚き熱交換器と称す)に循環させて、加熱器側の温水により浴槽水を加熱する。
【0003】
また、従来技術の貯湯式給湯機では、必要に応じて貯湯タンク内に湯を貯留する貯湯運転を実施する。貯湯運転では、貯湯タンク内の湯を外部に循環させながら、この湯を加熱器により加熱する。そして、従来技術では、追焚き運転時に加熱器から流出する温水の温度(以下、加熱器出口温度と称す)を、貯湯運転時の加熱器出口温度よりも低い温度に設定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3633054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来の貯湯式給湯機は、貯湯運転時に比べて、追焚き運転時の加熱器出口温度が低くなるように制御している。しかし、この制御において、追焚き運転の直後に貯湯運転を実施した場合には、貯湯運転が開始されたときに、追焚き運転時の加熱器出口温度に対応する温度の湯(貯湯タンク内よりも低温の湯)がタンク内に貯湯されることになり、貯湯タンク内の水温分布が壊される。つまり、貯湯タンクの上部に存在する高い温度の湯に対して、加熱器から流出した低い温度の湯が混合されるので、タンク上部の湯温が低下する。
【0006】
このため、従来技術では、給湯機の利用者が追焚き運転の直後に湯を利用すると、貯湯タンクの上部から比較的低い温度の湯が取り出されることになり、必要な温度の湯が利用者に供給されない可能性がある。一方、貯湯運転時に比べて、追焚き運転時の加熱器出口温度が高くなるように制御している場合には、追焚き運転の直後に貯湯運転を実施すると、必要以上に高い温度の湯が貯湯タンクに貯留されることがあり、給湯機の消費電力が増加する可能性がある。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、追焚き運転の直後に貯湯運転を実施する場合でも、タンクに貯留される湯の温度が要求から外れて上下するのを防止し、タンク内の湯温を安定的に保持することが可能なヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るヒートポンプ給湯機は、圧縮機により冷媒を循環させる水冷媒熱交換器を有し、水冷媒熱交換器に流入した水を加熱して当該水冷媒熱交換器から加熱水を流出させる冷媒回路と、水冷媒熱交換器から流出する加熱水をタンク内に貯湯する貯湯回路と、1次側が水冷媒熱交換器に接続されて2次側が負荷に接続された追焚き熱交換器を有し、水冷媒熱交換器から流出する加熱水の熱を利用して追焚き熱交換器により負荷側の加熱対象水を加熱する追焚き回路と、貯湯回路及び追焚き回路の一部を構成し、貯湯回路及び追焚き回路に水を循環させる循環ポンプと、加熱水の流路を貯湯回路と追焚き回路の何れかに切換える切換機構と、水冷媒熱交換器から流出する加熱水の温度を検出する出湯温度検出手段と、加熱水の温度が目標出湯温度と一致するように制御する温度制御手段と、目標出湯温度を第1の目標値に設定した状態で加熱水を貯湯回路に流通させ、タンク内に貯湯する貯湯運転を実行する第1の運転制御手段と、目標出湯温度を第1の目標値と異なる第2の目標値に設定した状態で加熱水を追焚き回路に流通させ、加熱対象水を加熱する追焚き運転を実行する第2の運転制御手段と、追焚き運転から貯湯運転に移行する要求が生じた場合に、目標出湯温度を第2の目標値から第1の目標値に切換えた状態で加熱水を追焚き回路に流通させる貯湯移行運転を実行し、当該貯湯移行運転の実行後に貯湯運転に移行する第3の運転制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、追焚き運転の直後に貯湯運転を開始する場合でも、実際の出湯温度が貯湯運転時の目標出湯温度となった状態で貯湯運転に移行することができる。これにより、貯湯運転の開始時には、タンクに貯留される湯の温度が要求から外れて上下するのを防止し、タンク内の湯温を安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1において、ヒートポンプ給湯機を示す全体構成図である。
【図2】貯湯運転時の回路構成を示す動作説明図である。
【図3】追焚き運転時の回路構成を示す動作説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1において、追焚き運転、貯湯移行運転及び貯湯運転中の出湯温度と加熱能力とを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1の変形例において、追焚き運転、貯湯移行運転及び貯湯運転中の出湯温度と加熱能力とを示すタイミングチャートである。
【図6】追焚き運転から貯湯運転に移行するときの動作パターンを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。なお、各図においては、共通する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。図1は、本発明の実施の形態1において、ヒートポンプ給湯機を示す全体構成図である。この図に示すように、ヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプユニット100、タンクユニット200、浴槽ユニット300等を備えている。ヒートポンプユニット100は、圧縮機1、水冷媒熱交換器2、膨張弁3及び空気熱交換器4等の機器を有している。これらの機器は配管等により環状に接続され、圧縮機1により冷媒を循環させる冷媒回路(冷凍サイクル)101を構成している。水冷媒熱交換器2は、水と冷媒との熱交換を行うもので、水の流入口及び流出口を有している。そして、水冷媒熱交換器2は、流入口から流入した水を冷媒により加熱し、流出口から加熱水を流出させる。また、空気熱交換器4は、空気と冷媒との熱交換を行うもので、外気を送風するファン5が付設されている。
【0012】
タンクユニット200には、循環ポンプ6a、追焚き用ポンプ6b、切換弁7及びタンク8を備えている。循環ポンプ6aは、後述の貯湯回路201及び追焚き回路202に水(加熱水を含む)を循環させ、水冷媒熱交換器2の流入口に向けて水を送るもので、これらの回路201,202の一部を構成している。追焚き用ポンプ6bは、後述する追焚き熱交換器12の1次側の流出口からタンク8の戻し口8cに向けて水を送るものである。切換弁7は、例えば3つのポートA,B,Cを有する電磁駆動式の三方弁等により構成され、水冷媒熱交換器2の流出口から流出する加熱水の流路を貯湯回路201と追焚き回路202の何れかに切換える切換機構を構成している。また、タンク8は、加熱水を貯留するもので、その上部側に位置する貯湯口8aと、タンク8の底部に位置する取水口8bと、タンク8の下部側に位置する戻し口8cとを備えている。また、タンクユニット200に搭載された各機器と、水冷媒熱交換器2と、浴槽ユニット300の追焚き交換器12とは、配管9a〜9hを介して相互に接続されている。
【0013】
詳しく述べると、水冷媒熱交換器2の流出口は、配管9a,9bを介して切換弁7のポートAに接続されている。切換弁7のポートBは、配管9cを介して追焚き熱交換器12の1次側の流入口に接続されており、追焚き熱交換器12の1次側の流出口は、配管9d,9eを介して循環ポンプ6aの吸込口に接続されている。なお、配管9eは、配管9dだけでなく、タンク8の取水口8bにも接続されている。循環ポンプ6aの吐出口は、配管9fを介して水冷媒熱交換器2の流入口に接続されている。また、切換弁7のポートCは、配管9gを介してタンク8の貯湯口8aに接続されている。さらに、追焚き熱交換器12の1次側の流出口は、配管9hを介してタンク8の戻し口8cに接続されており、配管9hの途中には追焚き用ポンプ6bが配置されている。
【0014】
上記タンクユニット200の構成において、循環ポンプ6a、タンク8及び配管9a,9b,9e,9f,9gは、水冷媒熱交換器2から流出する加熱水をタンク内に貯湯する貯湯回路201を構成している。また、循環ポンプ6a、追焚き熱交換器12及び配管9a〜9fは、水冷媒熱交換器2から流出する加熱水の熱を利用して追焚き熱交換器12により負荷側の加熱対象水を加熱する追焚き回路202を構成している。なお、本実施の形態では、負荷が後述の追焚き負荷側回路301であり、加熱対象水が浴槽水である場合を例示している。また、追焚き用ポンプ6b及び配管9c,9g,9hは、タンク8内の湯を利用して浴槽水を加熱するタンク側加熱回路203を構成している。なお、循環ポンプ6aは、必ずしもタンクユニット200に設置する必要はなく、ヒートポンプユニット100側に搭載してもよい。
【0015】
一方、浴槽ユニット300には、浴槽水が溜められた浴槽10と、浴槽水を循環させる負荷側ポンプとしての浴槽循環ポンプ11と、水冷媒熱交換器2の流出口から流出する加熱水と浴槽水との熱交換を行う追焚き熱交換器12とが搭載され、これらの機器は配管9i〜9kにより環状に接続されている。また、浴槽10、浴槽循環ポンプ11及び配管9i〜9kは、浴槽水が循環する追焚き負荷側回路301を構成している。追焚き熱交換器12は、1次側が水冷媒熱交換器2に接続され、2次側が追焚き負荷側回路301に接続されている。
【0016】
なお、図1では、例えばタンク8に貯湯した湯を浴室等に供給する給湯装置や、貯湯回路201に水を供給する給水回路等の図示を省略している。また、圧縮機1は、例えばインバータ制御式のDCブラシレスモータ等を備えた駆動装置(図示せず)により駆動され、この駆動装置は、圧縮機1から吐出する冷媒の圧力や温度を可変とする機能を有している。しかし、本発明では、このような駆動装置を用いなくても、例えばヒートポンプユニット100に複数台の圧縮機1を搭載し、該各圧縮機のうち稼動する圧縮機の台数を切換えることで冷媒の圧力や温度を可変とする構成としてもよい。また、圧縮機1には、その吸込側に配置されて冷媒音を低減させるサクションマフラーのような容器や、圧縮機1の吐出側に流出した潤滑油を回収する装置など、他の目的の構造を付加してもよい。さらに、ヒートポンプユニット100の冷媒としては、例えば二酸化炭素、R410A、プロパン、プロピレンなどのように、高温出湯が可能な冷媒を用いるのが好ましいが、本発明は、これらの冷媒に限定されるものではない。
【0017】
次に、ヒートポンプ給湯機の制御系統について説明する。まず、ヒートポンプユニット100は、水冷媒熱交換器2に流入する水の温度を検出する入水温度センサ13aと、水冷媒熱交換器2から流出する加熱水の温度を検出する出湯温度センサ13bと、ヒートポンプユニット100の周囲の外気温度を検出する外気温度センサ13cとを備えている。出湯温度センサ13bは、水冷媒熱交換器2の流入口近傍における加熱水の温度(以下、出湯温度と称す)を検出する出湯温度検出手段を構成している。また、冷媒回路101は、圧縮機1から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ13dと、圧縮機1に吸込まれる冷媒の温度を検出する吸込温度センサ13eと、空気熱交換器4の入口から中間部となる位置で冷媒の温度を検出する蒸発温度センサ13fとを備えている。
【0018】
一方、タンクユニット200には、タンク8の各部に設置され、それぞれの設置場所でタンク8内の水温を検出する複数の貯湯温度センサ13g〜13jが搭載されている。また、浴槽ユニット300には、浴槽10内の水温を検出する浴槽水温センサ13kと、追焚き熱交換器12の2次側に流入する水の温度を検出する水熱交換器入水温度センサ13lと、追焚き熱交換器12の2次側から流出する水の温度を検出する水熱交換器出湯温度センサ13mとが設けられている。
【0019】
また、ヒートポンプ式給湯機は、マイクロコンピュータ等が搭載された制御装置14を備えている。制御装置14には、各温度センサ13a〜13mの出力や、給湯機の使用者により操作されるリモコン装置(リモートコントローラ)の操作内容等が入力される。制御装置14は、これらの入力情報に基いて各ユニット100,200,300をそれぞれ制御する。具体的には、圧縮機1、循環ポンプ6a、追焚き用ポンプ6b及び浴槽循環ポンプ11の運転状態や、膨張弁3の開度、切換弁7の流路方向(切換位置)等を制御する。また、制御装置14は、後述のように、貯湯運転、追焚き運転、貯湯移行運転等を実行しつつ、これらの運転中に出湯温度の温度制御と冷媒回路101の加熱能力制御とを実行する。
【0020】
(貯湯運転)
次に、図2及び図3を参照しつつ、ヒートポンプ式給湯機の運転動作について説明する。まず、図2は、貯湯運転時の回路構成を示す動作説明図である。この図に示すように、貯湯運転(沸き上げ運転)とは、冷媒回路101と貯湯回路201とを作動させることにより、タンク8の底部の取水口8bから流出させた低温水を冷媒回路101により加熱し、水冷媒熱交換器2の流出口から流出する高温の加熱水をタンク8の上部の貯湯口8aからタンク8内に戻すものである。
【0021】
詳しく述べると、冷媒回路101では、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が水冷媒熱交換器2を流通する水に放熱しながら温度低下する。このとき、高圧側冷媒圧力が臨界圧以下であれば、冷媒は液化しながら放熱する。また、水冷媒熱交換器2から流出した高圧低温の冷媒は、膨張弁3を通過することにより低圧気液二相の状態に減圧される。そして、この冷媒は、空気熱交換器4内を流通しつつ外気から吸熱することにより、蒸発してガス化される。空気熱交換器4から流出した低圧冷媒は、圧縮機1に吸込まれて循環するので、この循環により冷凍サイクルが形成される。
【0022】
また、貯湯回路201側では、まず、切換弁7により配管9b,9gが相互に接続され、加熱水の流路が貯湯回路201に切換えられる。そして、循環ポンプ6aが作動すると、タンク8内の水は、タンク底部の取水口8bから接続配管9e,9fを介して水冷媒熱交換器2に導入される。そして、この水は、水冷媒熱交換器2内でガス冷媒により加熱(沸き上げ)され、加熱水となって水冷媒熱交換器2から流出する。この加熱水は、配管9a,9b、切換弁7及び配管9gを通過して、タンク上部の貯湯口8aからタンク8内に流入する。このように、貯湯運転が実行されると、タンク8の上部が高温水となり下部が低温水となる温度分布状態を維持しつつ、貯湯が実行される。
【0023】
次に、貯湯運転時に実行される加熱水の温度制御及び冷媒回路101の加熱能力制御について説明する。まず、温度制御とは、出湯温度センサ13bにより検出される水冷媒熱交換器2の出湯温度が所定の目標出湯温度と一致するように、循環ポンプ6aの回転数をフィードバック制御するものである。このフィードバック制御は、一定の時間間隔t2で周期的に実行される。貯湯運転では、目標出湯温度を所定の貯湯目標出湯温度(第1の目標値)に設定した状態で貯湯を実行する。貯湯目標出湯温度は、前記リモコン装置の操作内容等に基いて設定されるか、または過去の給湯使用量から算出される蓄熱エネルギ(貯湯量)を確保できるように設定されるもので、予め定められた範囲内(例えば、65〜90℃)に収まるように設定される。なお、目標出湯温度の設定は、制御装置14とリモコン装置の何れで行ってもよい。
【0024】
上記温度制御では、水冷媒熱交換器2に出入りする加熱水の流量を制御するだけなので、温度制御により実現される出湯温度の最高値は、冷媒回路101の加熱能力に依存している。従って、冷媒回路101には、目標出湯温度が前記設定範囲内の最大値(上記例では、90℃)に設定された場合でも、これを実現できるだけの加熱能力が要求される。このため、加熱能力制御では、例えば外気温度、給水温度等に基いて上記要求を満たす加熱能力の目標値(目標加熱能力)を設定し、冷媒回路101の実際の加熱能力が目標加熱能力と一致するように、圧縮機1の回転数等を制御する。このように加熱能力を制御すれば、目標出湯温度の設定や外部条件がどのように変化した場合でも、給湯機として要求される湯の温度を安定的に確保することができる。なお、加熱能力制御は、一定の時間間隔t1で周期的に実行される。また、圧縮機1の回転数には、耐久性の観点から上限回転数及び下限回転数が設けられている。
【0025】
また、加熱能力制御では、圧縮機1の回転数に加えて、膨張弁3の開度を制御してもよい。この場合、膨張弁3の開度は、冷媒の吐出温度が所定の目標吐出温度と一致するように制御される。目標吐出温度は、目標出湯温度を実現することができるように、目標出湯温度に対して所定の余裕代分だけ高い温度として設定される。このように、目標出湯温度に応じて目標吐出温度を設定し、更に温度制御により出湯温度が目標出湯温度となるように循環ポンプ6aの回転数を制御することで、要求された出湯温度を実現することができる。なお、冷媒の吐出温度には、圧縮機1や冷凍機油の耐久性等の観点から上限温度が設けられている。
【0026】
(追焚き運転)
次に、図3を参照して、追焚き運転(ヒートポンプ追焚き運転)について説明する。図3は、追焚き運転時の回路構成を示す動作説明図である。追焚き運転とは、冷媒回路101、追焚き回路202及び負荷側回路301を作動させることにより、水冷媒熱交換器2から流出する加熱水の熱を利用して浴槽水を加熱するものである。詳しく述べると、追焚き運転では、まず、切換弁7により配管9b,9cが相互に接続され、加熱水の流路が追焚き回路202に切換えられる。また、冷媒回路101は、貯湯運転の場合と同様に作動する。そして、循環ポンプ6aが作動すると、当該ポンプから吐出された水が水冷媒熱交換器2、追焚き熱交換器12及び配管9a〜9fを循環しつつ、水冷媒熱交換器2で冷媒により加熱されて加熱水となる。一方、追焚き負荷側回路301では、浴槽循環ポンプ11が駆動され、浴槽10内の水が追焚き負荷側回路301を循環する。これにより、浴槽水は、追焚き熱交換器12を流通する加熱水と熱交換して加熱され、浴槽10に還流される。また、追焚き運転は、例えば追焚き運転の運転時間や浴槽水の温度等に基いて設定される所定の運転終了条件が成立した場合に終了される。
【0027】
次に、追焚き運転時に実行される温度制御及び加熱能力制御について説明する。これらの制御は、基本的に貯湯運転時と同様に実行されるが、追焚き運転時には、目標出湯温度を前記貯湯目標出湯温度よりも低い所定の追焚き目標出湯温度(第2の目標値)に設定した状態で、浴槽水を加熱する。追焚き目標出湯温度は、前記リモコン装置の操作内容等に基いて設定されるか、または外気温度センサ13cにより検出した外気温度等に基いて、制御装置14やリモコン装置に予め記憶させたデータマップを参照することにより設定される。なお、追焚き目標出湯温度は、予め定められた範囲内(例えば、40〜90℃)に収まるように設定される。一方、加熱能力制御では、冷媒回路101の加熱能力が予め設定された追焚き運転時の目標加熱能力と一致するように、圧縮機1の運転容量(回転数等)を制御する。
【0028】
(貯湯追焚き運転)
ヒートポンプ式給湯機は、上記追焚き運転と同様の機能を有する運転として、貯湯追焚き運転を実行する。貯湯追焚き運転とは、タンク側加熱回路203及び負荷側回路301を作動させ、タンク8に貯湯された湯により浴槽水を加熱するものである。貯湯追焚き運転では、切換弁7により配管9c,9gが相互に接続され、水の流路がタンク側加熱回路203に切換えられる。また、追焚き用ポンプ6b及び浴槽循環ポンプ11が駆動され、冷媒回路101及び循環ポンプ6aが停止される。これにより、タンク8に貯湯された湯は貯湯口8aから流出し、切換弁7、追焚き熱交換器12、追焚き用ポンプ6b及び配管9c,9g,9hを流通した後に、戻し口8cからタンク8に還流される。このとき、負荷側回路301を循環する浴槽水は、追焚き熱交換器12を流通する湯と熱交換して加熱され、浴槽10に戻される。
【0029】
なお、貯湯追焚き運転時には、追焚き用ポンプ6bの回転数が一定となるように制御される。この回転数の目標値は、前記リモコン装置の操作内容等に基いて、予め記憶されたデータマップを参照することにより設定される。また、浴槽循環ポンプ11の回転数は、一定となるように制御されるか、または水熱交換器入水温度センサ13lにより検出した追焚き熱交換器12の流入口における浴槽水の温度と、水熱交換器出湯温度センサ13mにより検出した追焚き熱交換器12の流出口における浴槽の水温との温度差が所定の目標温度差内に収まるように制御される。この目標温度差は、例えば3〜10℃の温度範囲として予め設定されている。目標温度差を設定することにより、浴槽水が過熱状態となるのを防止することができる。
【0030】
(貯湯移行運転)
次に、本実施の形態1における貯湯移行運転について説明する。貯湯移行運転とは、追焚き運転の実行中(運転開始時を含む)に貯湯運転に移行する要求が生じた場合に、水冷媒熱交換器2の出湯温度をタンク8内の上部の湯温まで上昇させる運転として定義される。詳しく述べると、貯湯移行運転は、上記要求が生じた場合に、水冷媒熱交換器2の目標出湯温度を前記追焚き目標出湯温度から前記貯湯目標出湯温度に切換えると共に、この状態で水冷媒熱交換器2の流出口から流出する加熱水を追焚き回路202に流通させるものである。なお、貯湯移行運転の終了時期は、後述の図6に示すように、追焚き運転の終了と同時期か、または追焚き運転の終了よりも遅くなるように設定される。そして、貯湯移行運転の終了後には、貯湯運転が開始される。貯湯移行運転中には、少なくとも冷媒回路101及び追焚き回路202が作動した状態に保持され、目標出湯温度は追焚き運転中と異なる値に設定される。このとき、追焚き負荷側回路301は、追焚き運転の継続状態に応じて作動または停止した状態に保持され、同回路の作動時には、加熱水を利用した浴槽水の加熱動作が追焚き運転中と同様に実行される。
【0031】
図4は、追焚き運転、貯湯移行運転及び貯湯運転中の出湯温度と加熱能力とを示すタイミングチャートである。なお、この図では、追焚き運転中に貯湯移行運転を実行し、該各運転を同時に終了してから貯湯運転に移行する場合を例示している。また、図4では、追焚き目標出湯温度が60℃に設定され、貯湯目標出湯温度が追焚き目標出湯温度よりも高い90℃に設定された場合を例示している。このため、追焚き運転中及び貯湯運転中の出湯温度は、温度制御によりそれぞれの目標出湯温度と一致した状態に制御されている。また、図4では、追焚き運転時における冷媒回路101の目標加熱能力が2.5kWに設定され、貯湯運転時の目標加熱能力が追焚き運転時よりも大きい6.0kWに設定された場合を例示している。このため、追焚き運転中及び貯湯運転中の加熱能力は、加熱能力制御によりそれぞれの目標加熱能力と一致した状態に制御されている。なお、上記目標出湯温度及び目標加熱能力の具体値は、本実施の形態に示す一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0032】
追焚き運転中にタンク8内の貯湯量が不足すると予測された場合には、貯湯運転要求が発生する。そして、貯湯運転要求の発生時には、追焚き運転の運転時間が所定の基準時間に達した場合、または追焚き運転により加熱された浴槽水の温度が目標温度に対して所定の温度だけ低い許容温度まで上昇した場合に、貯湯移行運転が開始される。ここで、基準時間とは、例えば浴槽水の温度を維持するために最低限必要な追焚き運転の運転時間に対応して設定される。また、許容温度とは、例えば追焚き運転の停止時に生じる浴槽水の温度のオーバーシュート量に対応して設定されるもので、浴槽水の温度が許容温度に達していれば、追焚き運転を終了しても、浴槽水の温度が目標温度に到達する。
【0033】
図4に例示した貯湯移行運転では、追焚き運転を継続しつつ、目標出湯温度が追焚き目標出湯温度から貯湯目標出湯温度に切換えられる(上記例では、60℃から90℃に切換)。この結果、実際の出湯温度は、図4に示すように、前記温度制御の作用により目標出湯温度の変化に追従して徐々に上昇し、最終的に貯湯目標出湯温度と一致する。この例に示すように、実際の出湯温度は、貯湯移行運転の運転期間中(貯湯運転が開始されるまでの期間中)に貯湯目標出湯温度に到達すればよく、目標出湯温度の切換時に急激に変化させる必要はない。そして、貯湯移行運転の実行後に、追焚き運転の運転終了条件が成立した場合には、貯湯移行運転が終了され、貯湯運転が開始される。この時点では、水冷媒熱交換器2の出湯温度が貯湯目標出湯温度に到達した状態となっている。
【0034】
従って、本実施の形態によれば、追焚き運転の直後に貯湯運転を開始する場合でも、追焚き運転中に水冷媒熱交換器2の目標出湯温度を追焚き目標出湯温度から貯湯目標出湯温度に予め切換えておくことができ、実際の出湯温度が貯湯目標出湯温度となった状態で貯湯運転に移行することができる。これにより、貯湯運転の開始時には、当初から高温の加熱水をタンク8の上部に流入させることができ、タンク上部の水温が低下するのを防止することができる。従って、タンク8内の水温分布を安定的に保持することができ、タンク8の上部から外部に給湯する場合でも、必要な温度の湯を円滑に給湯することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、貯湯移行運転の実行中に、冷媒回路101の目標加熱能力を追焚き運転時の目標値から貯湯運転時の目標値に変更する(図4に示す例では、2.5kWから6.0kWに切換)。この切換は、目標出湯温度を高く変更したことに対応して冷媒回路101の蓄熱量を確保するために実行される。この結果、実際の加熱能力は、前記加熱能力制御の作用により目標加熱能力の変化に追従して徐々に増加し、最終的に貯湯運転時の目標加熱能力と一致する。この制御によれば、貯湯移行運転中に目標加熱能力を速やかに変更することができるので、貯湯運転の開始直後から十分な蓄熱量を安定的に確保することができ、利用者に必要な湯量を短時間で貯留することができる。
【0036】
なお、目標加熱能力を切換えるタイミングは、図5に示す変形例のように設定してもよい。図5は、実施の形態1の変形例において、追焚き運転、貯湯移行運転及び貯湯運転中の出湯温度と加熱能力とを示すタイミングチャートである。この変形例では、貯湯移行運転が終了した後の貯湯運転時中に、冷媒回路101の目標加熱能力を追焚き運転時の目標値から貯湯運転時の目標値に変更する。この制御によれば、貯湯移行運転中に継続されている浴槽の追焚き動作により、浴槽水の温度が急激に変化するのを防止することができ、給湯機の利便性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、前記加熱能力制御により冷媒回路101の加熱能力が目標加熱能力を満たすように圧縮機1を制御する時間間隔t1と比較して、前記温度制御により水冷媒熱交換器2の出湯温度が目標出湯温度を満たすように循環ポンプ6aを制御する時間間隔t2を短く設定する(t1>t2)。これにより、貯湯移行運転時には、冷媒回路101の作動が不安定な状態で出湯温度を変化させることがないので、温度制御を安定的に実行することができ、追焚き目標出湯温度から貯湯目標出湯温度への切換を短時間で行うことができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、追焚き運転と貯湯移行運転とを同時に終了して貯湯運転に移行する動作パターンを例示したが、追焚き運転から貯湯運転への移行時には、上記動作パターンを含めて、例えば図6に示す3つの動作パターン1,2,3を採用することができる。図6は、追焚き運転から貯湯運転に移行するときの動作パターンを示すタイミングチャートである。この図において、「ON」は機器が作動している状態を示し、「OFF」は機器が停止した状態を示す。また、ヒートポンプユニット100(冷媒回路101)において、「ON」は圧縮機1及びファン5が作動している状態を示し、「OFF」はこれらの機器が停止した状態を示している。また、動作パターン1,2,3の何れにおいても、ヒートポンプユニット100及び循環ポンプ6aは、追焚き運転から貯湯運転に至るまで常にONとなっているので、動作パターン2,3では、ヒートポンプユニット100及び循環ポンプ6aの記載を省略している。また、各動作パターンを構成する貯湯運転、追焚き運転及び貯湯移行運転は、以下のように定義される。
【0039】
まず、貯湯運転は、水冷媒熱交換器2から流出する高温水をタンク8の上部に流入させる運転として定義され、貯湯運転時には、各機器の作動状態が以下のように制御される。
ヒートポンプユニット100 :ON
循環ポンプ6a :ON
浴槽循環ポンプ11 :OFF
切換弁7 :貯湯回路201側に切換(配管9b,9gを接続)
【0040】
追焚き運転は、浴槽循環ポンプ11が作動している運転状態として定義され、追焚き運転時には、各機器の作動状態が以下のように制御される。
ヒートポンプユニット100 :ON
循環ポンプ6a :ON
浴槽循環ポンプ11 :ON
切換弁7 :追焚き回路202側に切換(配管9b,9cを接続)
【0041】
貯湯移行運転は、追焚き運転から貯湯運転に移行する要求(以下、運転移行要求と表記)が生じた場合に、水冷媒熱交換器2の出湯温度をタンク8内の上部の湯温まで上昇させる運転として定義される。貯湯移行運転時には、各機器の作動状態が以下のように制御される。
ヒートポンプユニット100 :ON
循環ポンプ6a :ON
浴槽循環ポンプ11 :ONまたはOFF(動作パターンによる)
切換弁7 :追焚き回路202側に切換(配管9b,9cを接続)
【0042】
次に、図6を参照しつつ、個々の動作パターンについて説明する。まず、図6(A)に示す動作パターン1では、運転移行要求が生じた場合に、追焚き運転を終了してから貯湯移行運転を開始し、次に、貯湯移行運転を終了してから貯湯運転を開始する。動作パターン1にれば、追焚き運転の終了と共に浴槽循環ポンプ11を停止してから、貯湯移行運転を実行することができる。これにより、貯湯移行運転中に加熱水から浴槽水に移動する熱量を抑制し、貯湯移行運転を効率よく行うことができる。
【0043】
図6(B)に示す動作パターン2では、運転移行要求が生じた場合に、まず、追焚き運転の実行中に貯湯移行運転を実行し、追焚き運転及び貯湯移行運転を同時に終了してから貯湯運転を開始する。動作パターン2によれば、追焚き運転中に移行運転を実行するので、動作パターン1と比較して、追焚き運転を開始してから貯湯運転に移行するまでに必要な時間を短縮することができる。即ち、追焚き運転を開始してから貯湯に十分な熱量を確保するまでに必要な時間を短縮することができるので、貯湯運転に速やかに移行することができる。
【0044】
図6(C)に示す動作パターン3では、運転移行要求が生じた場合に、まず、追焚き運転の実行中に貯湯移行運転を開始し、追焚き運転を終了した後にも貯湯移行運転を継続する。そして、貯湯移行運転を終了してから貯湯運転を開始する。動作パターン3の場合にも、動作パターン2と同様に、追焚き運転中に移行運転を実行するので、動作パターン1と比較して、追焚き運転を開始してから貯湯に十分な熱量を確保するまでに必要な時間を短縮することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、図4及び図5に示すように、貯湯運転時の加熱能力を追焚き運転時の加熱能力よりも高く設定するものとした。これにより、高温水の貯湯を速やかに進行させることができる。一方、本発明では、貯湯運転時の加熱能力を追焚き運転時の加熱能力よりも低く設定する構成としてもよい。この構成によれば、後述のように、加熱能力の設定が異なる仕様のヒートポンプ給湯機にも適応することができる。また、前記運転移行要求が生じた場合に、追焚き運転から貯湯運転への移行を短時間で実現することができる。
【0046】
また、上記動作パターン1乃至3において、追焚き運転と貯湯運転とで加熱能力を変更する場合には、以下に示す2通りの変更方法が存在する。
(1)貯湯移行運転時(追焚き運転の実行中及び終了後を含む)に加熱能力を変更する
(2)貯湯運転時に加熱能力を変更する。
【0047】
上記(1)の変更方法によれば、前述したように、貯湯運転の開始直後から十分な蓄熱量を安定的に確保することができる。また、(2)の変更方法によれば、追焚き熱交換器12に加熱水が流通している状態で加熱能力が変更されることにより浴槽水の温度が急激に変化するのを防止することができる。なお、貯湯移行運転中に加熱能力の目標値を追焚き運転時の目標値から貯湯運転時の目標値に変更する場合には、追焚き熱交換器12の2次側の出口水温が一定となるように、浴槽循環ポンプ11の回転数を制御するのが好ましい。これにより、貯湯移行運転中に浴槽水の温度が変化するのを防止し、給湯機の利便性を向上させることができる。
【0048】
また、加熱能力の目標値を変更する場合には、これを短時間(または1回)の変更動作で行うことにより、貯湯移行運転の実行時間を短縮し、貯湯熱量を短時間で増加させる構成としてもよい。一方、目標値を徐々に変更することにより、追焚き熱交換器12の2次側の出口水温が急変するのを防止し、給湯機の利便性を確保する構成としてもよい。
【0049】
さらに、前記実施の形態1では、図6(A)及び(C)に示す如く、貯湯移行運転から貯湯運転に移行する場合に、浴槽循環ポンプ11を停止してから、切換弁7を貯湯回路201側に切換えるものとした。この結果、貯湯移行運転により加熱水の温度が上昇しても、その影響で浴槽水の温度が想定外に上昇するのを抑制し、浴槽水の温度を安定させることができる。一方、本発明では、貯湯移行運転から貯湯運転に移行する場合に、切換弁7を貯湯回路201側に切換えてから、浴槽循環ポンプ11を停止する構成としてもよい。この構成によれば、例えば浴槽水の温度が想定よりも低い場合には、貯湯運転を開始してからも、追焚き回路202(追焚き熱交換器12)側の余熱を利用して浴槽水の加熱(保温)を行うことができる。
【0050】
なお、前記実施の形態では、図4及び図5の左側部分が「貯湯運転」を実行する第1の運転制御手段の具体例を示し、前記各図の右側部分が「追焚き運転」を実行する第2の運転制御手段の具体例を示し、前記各図の中央部が「貯湯移行運転」を実行する第3の運転制御手段の具体例を示している。
【0051】
また、前記実施の形態では、貯湯目標出湯温度(第1の目標値)を追焚き目標出湯温度(第2の目標値)よりも高い温度に設定し、貯湯運転時の目標加熱能力を追焚き運転時の目標加熱能力よりも高い値に設定する場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、貯湯目標出湯温度を追焚き目標出湯温度よりも低い温度に設定する構成としてもよく、また、貯湯運転時の目標加熱能力を追焚き運転時の目標加熱能力よりも低い値に設定する構成としてもよい。即ち、ヒートポンプ給湯機の仕様等によっては、追焚き運転時に要求される出湯温度よりも貯湯運転時に要求される出湯温度を低く設定したい場合がある。このような場合には、貯湯目標出湯温度を追焚き目標出湯温度よりも低い温度に設定し、貯湯移行運転時には、水冷媒熱交換器2の目標出湯温度を追焚き目標出湯温度から低下させて貯湯目標出湯温度に切換える構成としてもよい。この構成によれば、例えば追焚き運転の直後に貯湯運転を実施した場合でも、必要以上に高い温度の湯が貯湯タンクに貯留されるのを防止し、給湯機の消費電力抑制することができる。
【0052】
また、前記実施の形態では、加熱対象水として浴槽水を採用し、追焚き運転等により浴槽水を加熱するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば給湯用の水栓に供給される湯や、外部の暖房機器等に供給する暖房用循環水を加熱対象水として採用し、追焚き運転等により水洗への給湯や暖房運転を行う構成としてもよい。
【0053】
また、本発明では、ヒートポンプユニット100として、例えば冷媒の圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプユニットだけでなく、臨界圧力以下で作動するヒートポンプユニットを用いてもよい。この場合、冷媒としてはフロンガス、アンモニア等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 圧縮機
2 水冷媒熱交換器
6a 循環ポンプ
7 切換弁(切換機構)
8 タンク
11 浴槽循環ポンプ(負荷側ポンプ)
12 追焚き熱交換器
13b 出湯温度センサ(出湯温度検出手段)
14 制御装置
101 冷媒回路
201 貯湯回路
202 追焚き回路
301 追焚き負荷側回路(負荷)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機により冷媒を循環させる水冷媒熱交換器を有し、前記水冷媒熱交換器に流入した水を加熱して当該水冷媒熱交換器から加熱水を流出させる冷媒回路と、
前記水冷媒熱交換器から流出する加熱水をタンク内に貯湯する貯湯回路と、
1次側が前記水冷媒熱交換器に接続されて2次側が負荷に接続された追焚き熱交換器を有し、前記水冷媒熱交換器から流出する加熱水の熱を利用して前記追焚き熱交換器により前記負荷側の加熱対象水を加熱する追焚き回路と、
前記貯湯回路及び前記追焚き回路の一部を構成し、前記貯湯回路及び前記追焚き回路に水を循環させる循環ポンプと、
前記加熱水の流路を前記貯湯回路と前記追焚き回路の何れかに切換える切換機構と、
前記水冷媒熱交換器から流出する加熱水の温度を検出する出湯温度検出手段と、
前記加熱水の温度が目標出湯温度と一致するように制御する温度制御手段と、
前記目標出湯温度を第1の目標値に設定した状態で前記加熱水を前記貯湯回路に流通させ、前記タンク内に貯湯する貯湯運転を実行する第1の運転制御手段と、
前記目標出湯温度を前記第1の目標値と異なる第2の目標値に設定した状態で前記加熱水を前記追焚き回路に流通させ、前記加熱対象水を加熱する追焚き運転を実行する第2の運転制御手段と、
前記追焚き運転から前記貯湯運転に移行する要求が生じた場合に、前記目標出湯温度を前記第2の目標値から前記第1の目標値に切換えた状態で前記加熱水を前記追焚き回路に流通させる貯湯移行運転を実行し、当該貯湯移行運転の実行後に前記貯湯運転に移行する第3の運転制御手段と、
を備えたヒートポンプ給湯機。
【請求項2】
前記第3の運転制御手段は、前記貯湯移行運転の実行中に、前記冷媒回路の加熱能力の目標値を前記追焚き運転時の目標値から前記貯湯運転時の目標値に変更する構成としてなる請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項3】
前記第3の運転制御手段は、前記貯湯移行運転が終了した後の前記貯湯運転時中に、前記冷媒回路の加熱能力の目標値を前記追焚き運転時の目標値から前記貯湯運転時の目標値に変更する構成としてなる請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項4】
前記温度制御手段により前記加熱水の温度を制御する時間間隔を、前記第3の運転制御手段により前記冷媒回路の加熱能力を制御する時間間隔よりも短く設定する構成としてなる請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項5】
前記貯湯運転時の加熱能力は、前記追焚き運転時の加熱能力よりも高く設定する構成としてなる請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項6】
前記貯湯運転時の加熱能力は、前記追焚き運転時の加熱能力よりも低く設定する構成としてなる請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項7】
前記貯湯移行運転から前記貯湯運転への移行時には、前記切換機構を前記貯湯回路側に切換えた後に、前記負荷側に加熱対象水を循環させる負荷側ポンプを停止させる構成としてなる請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項8】
前記貯湯移行運転から前記貯湯運転への移行時には、前記負荷側に加熱対象水を循環させる負荷側ポンプを停止させた後に、前記切換機構を前記貯湯回路側に切換える構成としてなる請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項9】
前記貯湯移行運転の実行中に前記冷媒回路の加熱能力の目標値を前記追焚き運転時の目標値から前記貯湯運転時の目標値に変更する場合には、前記追焚き熱交換器の2次側の出口水温が一定となるように、前記負荷側に加熱対象水を循環させる負荷側ポンプの回転数を制御する構成としてなる請求項2に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項10】
前記貯湯運転は、前記冷媒回路と前記循環ポンプとが作動すると共に、前記追焚き回路の負荷側に前記加熱対象水を循環させる負荷側ポンプが停止し、かつ、前記切換機構が前記貯湯回路側に切換えられた運転状態であり、
前記追焚き運転は、前記冷媒回路、前記循環ポンプ及び前記負荷側ポンプが作動し、かつ、前記切換機構が前記追焚き回路側に切換えられた運転状態であり、
前記貯湯移行運転は、前記冷媒回路と前記循環ポンプとが作動し、かつ、前記切換機構が前記追焚き回路側に切換えられた運転状態である請求項1乃至9のうち何れか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項11】
前記追焚き運転から前記貯湯運転に移行する要求が生じた場合に、前記追焚き運転を終了してから前記貯湯移行運転を開始し、前記貯湯移行運転を終了してから前記貯湯運転を開始する構成としてなる請求項10に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項12】
前記追焚き運転から前記貯湯運転に移行する要求が生じた場合に、前記追焚き運転の実行中に前記貯湯移行運転を実行し、前記追焚き運転及び前記貯湯移行運転を終了してから前記貯湯運転を開始する構成としてなる請求項10に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項13】
前記追焚き運転から前記貯湯運転に移行する要求が生じた場合に、前記追焚き運転の実行中に前記貯湯移行運転を開始し、前記追焚き運転を終了した後にも前記貯湯移行運転を継続し、前記貯湯移行運転を終了してから前記貯湯運転を開始する構成としてなる請求項10に記載のヒートポンプ給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−32903(P2013−32903A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133181(P2012−133181)
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)