説明

ヒートポンプ給湯装置

【課題】 施工性等を考慮して給湯装置を小形化し、また、大容量のタンクを持たなくとも常に使用者に適温の湯を供給する。
【解決手段】 冷媒を圧縮する圧縮機105a、bと、この圧縮機で圧縮された冷媒が流れる冷媒流路と給水回路から給水された水が流れる水流路との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器103と、この水冷媒熱交換器で温度が低下した冷媒を減圧する減圧装置104と、この減圧装置により減圧された冷媒を蒸発させて圧縮機に戻す蒸発器105a、bと、水冷媒熱交換器で加熱された温水を給湯口に供給する給湯管に連通された貯湯タンク130とを備え、貯湯タンクは、円筒状の外殻を有し、この外殻の円筒軸を縦にして蒸発器の横の空間に配置され、圧縮機は、円筒状の外殻を有し、この外殻の円筒軸を横向きにして配置してヒートポンプ給湯装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ給湯装置に係り、具体的には、小容量の貯湯タンクないし貯湯槽を備えたいわゆる瞬間式のヒートポンプ給湯装置の据付性および運搬の容易化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯装置には、貯湯タンクを持たずにガス等を燃焼させて、その強力な燃焼熱で瞬間的に水を沸き上げて湯を供給する燃焼式給湯器や、大容量の貯湯タンクを持ち夜間の安い深夜電力を利用して、夜の間に電気ヒータで加熱した大量の湯を貯湯タンクに貯蔵し、日中に貯湯タンクに貯蔵した湯を使う電気温水器等があった。
【0003】
一方、最近では、電気温水器に比較してエネルギー効率が300〜500%も良いと云われるヒートポンプ給湯装置が普及し始めてきた。ヒートポンプ給湯装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機で圧縮された冷媒が流れる冷媒流路と給水回路から給水された水が流れる水流路との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器と、この水冷媒熱交換器で温度が低下した冷媒を減圧する膨張弁などの減圧装置と、この減圧装置により減圧された冷媒を蒸発させて圧縮機に戻す蒸発器とからなるヒートポンプサイクルを備え、水冷媒熱交換器で加熱された温水を給湯に用いるように構成されている。このようなヒートポンプ給湯装置は、熱源として周囲空気の持つ熱量を利用しているので、電気ヒータ加熱よりも数倍エネルギー効率が良く、またガス等を燃焼しないのでCO2を排出せず環境にやさしい給湯装置と云われている。
【0004】
ところが、ヒートポンプ給湯装置は、ガス等を燃焼したときのように強力な熱量がないため、電気温水器と同様に大容量の貯湯タンクを設け、夜間の安価な電力を使って夜中にヒートポンプサイクルで湯を沸き上げて貯湯タンクに貯蔵しておき、日中は貯蔵した湯を使うのが一般的であった。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されたヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクル部と大型の貯湯タンクとをそれぞれ別個の装置として設け、配管等で接続して構成し、日中、湯を使用する際は、貯湯タンクの上部から取り出した湯と、水道水とを混合弁で混合することにより、適当な温度にして供給するようにしている。しかしながら、ヒートポンプサイクル部と貯湯タンクとを別個の装置としているから、設置場所においてヒートポンプサイクル部と貯湯タンクとを接続する水配管の工事が必要となる。
【0006】
この点、特許文献2に記載されたヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクルと、このヒートポンプサイクルで沸かした湯を大量に貯蔵しておく貯湯タンクを、1つのキャビネット(筐体)内に収納して一体化して構成されている。これによれば、キャビネット内を仕切板にて上下に仕切り、仕切板の下方の空間に高温となる貯湯タンクを配置するとともに、貯湯タンクの下方の空間に高温となる水冷媒熱交換器および圧縮機を配置し、仕切板の上方の空間に低温となる蒸発器および蒸発器用ファンを配置している。また、蒸発器は、キャビネットの正面、側面又は背面に沿って外殻を形成するよう配置している。
【0007】
これに対し、近年、貯湯せずに瞬間給湯が可能なヒートポンプ給湯装置、すなわち瞬間式のヒートポンプ給湯装置が開発されている。この瞬間式は、大容量の貯湯タンクを必要とせず、湯を使いたいときに必要な分だけ沸かすことが可能な瞬間加熱能力と直接給湯回路を備えているため、貯湯式が持つ諸問題を解決することができる。例えば、特許文献3に紹介されているヒートポンプ給湯装置においては、ヒートポンプサイクルの冷媒により給水を加熱する水冷媒熱交換器で加熱された湯に、給水管から分岐した水を混合して直接給湯するようにしている。また、特許文献4に紹介されているヒートポンプ給湯装置においては、特許文献3の構成のほかに小型の補助的な貯湯タンクを設け、ヒートポンプサイクルが立ち上がるまでの短時間、水冷媒熱交換器で加熱された湯水と貯湯タンクに蓄えた湯と給水管から分岐した水とを混合することにより、更に使い勝手を向上した給湯ができるようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開平9−126547号公報
【特許文献2】特開2002−310499号公報
【特許文献3】特開2004−69195号公報
【特許文献4】特開2003−279133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に記載のヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクル部と貯湯タンクが別個の装置に分けられているから、運搬性は良いが、現地でヒートポンプサイクル部と貯湯タンクとを接続する水配管等をしなければならないので施工性が悪いという問題がある。この点、特許文献2に記載のヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクル部と貯湯タンクとを同じキャビネット内に組み込んで一体化したことから、現地での水配管等の必要がないので施工性は改善されている。
【0010】
しかし、特許文献1、2に記載のヒートポンプ給湯装置は、安価な夜間電力を使い、深夜に湯を貯湯タンクに蓄え、日中に使う分を賄う貯湯式であるから、貯湯タンクが大容量になって装置高が高く、かつ広い設置面積や十分な床面強度を必要とする問題がある。例えば、特許文献2のヒートポンプ式給湯装置は、ヒートポンプサイクル部と貯湯タンクとを上下に積みあげているので、仮に、貯湯タンクの容量を300〜500リットルとした場合、キャビネットの高さが2000mmを大幅に超えることになってしまい、据付性や運搬性に問題がある。つまり、特許文献1、2の方式のヒートポンプ給湯装置は、キャビネットの高さ寸法が2000mm前後、奥行は500mm以上となってしまう。また、特許文献1、2に記載のヒートポンプ給湯装置は、湯を使い切ってしまうと、次に使う湯を沸き上げるまでに時間がかかる等の問題があった。
【0011】
この点、特許文献3、4のヒートポンプ式給湯装置は、いわゆる瞬間式であるから、比較的速やかに湯を沸き上げて給湯することができ、かつ貯湯タンクを小形化できる。しかしながら、特許文献3、4に記載の従来技術は、ヒートポンプ式給湯装置の小形化について改良すべき余地が有る。すなわち、一般的なマンションあるいは都市部の一戸建住宅にヒートポンプ式給湯装置を据付けるために装置を搬送する場合、重量が重いこともあって搬送および据付作業は困難を極める。特に、背丈が高いために、装置をそのまま立てた状態でも、横に倒した状態でも一般のエレベータに乗せることができないから、階段の利用を余儀なくされることになる。また、横に倒した状態で搬送する場合には、横方向の寸法が大きくなるために、通路の狭いマンション等の階段コーナー部が曲がれない等といった問題がある。
【0012】
この点、特許文献3に記載のヒートポンプ式給湯装置は、省スペースを狙いとして高さ方向に主要機器を積み上げていることから、装置高さが非常に高くなってしまい、据付けの際の搬送に問題がある。また、特許文献4に記載のヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクル部と貯湯タンクとを横に並べてキャビネットに収納して一体化して小形化が図られている。しかし、圧縮機を蒸発器の下方空間の収納室に設置しているが、円筒状の圧縮機を立てて設置していることから、装置高さ(背丈)を低減しようとすると、蒸発器の放熱面積が不足するおそれがある。仮に、放熱面積を十分確保しようとすると、蒸発器放熱面の投影領域に圧縮機収納室を重ねて配置することが考えられるが、重なり合う領域の放熱気流の流れが悪くなって熱交換効率が低下する問題がある。熱交換率が損なわれると着霜が進んで氷結に至りやすく、特に、除霜水の受皿の凍結に進展するとヒートポンプ給湯装置の機能が失われるおそれがある。
【0013】
本発明は、施工性等を考慮して給湯装置を小形化し、また、大容量のタンクを持たなくとも常に使用者に適温の湯を供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明は、貯湯タンクの容量を小さくでき、かつ、瞬間給湯が可能なヒートポンプ給湯装置を採用し、しかも施工性等を考慮して装置を小形化するとともに、常に使用者に適温の湯を供給できるようにしたことを特徴とする。
【0015】
すなわち、本発明のヒートポンプ給湯装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機で圧縮された冷媒が流れる冷媒流路と給水回路から給水された水が流れる水流路との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器と、この水冷媒熱交換器で温度が低下した冷媒を減圧する減圧装置と、この減圧装置により減圧された冷媒を蒸発させて前記圧縮機に戻す蒸発器と、前記水冷媒熱交換器で加熱された温水を給湯口に供給する給湯管に連通された貯湯タンクとを備えてなり、前記貯湯タンクは、円筒状の外殻を有し、この外殻の円筒軸を縦にして前記蒸発器の横の空間に配置され、前記圧縮機は、円筒状の外殻を有し、この外殻の円筒軸を横向きにして配置されてなることを特徴とする。
【0016】
一般に、ヒートポンプ給湯装置の高さ寸法は、蒸発器の高さ、あるいは貯湯タンクの高さが支配的であり、横幅または奥行寸法は、蒸発器の放熱面積、あるいは貯湯タンクの容量が支配的である。また、圧縮機も比較的大きな構成部品であるから、装置の高さ、横幅、奥行寸法に影響する。そこで、本発明では、円筒状の貯湯タンクを縦にして蒸発器の横の空間に配置することを基本とする。さらに、円筒状に形成された圧縮機を円筒軸を横向きに配置することにより、装置に対する圧縮機の高さ寸法を小さくして、蒸発器と貯湯タンクのいずれかの下方空間に収納可能にすることを特徴とする。したがって、本発明によれば、装置の高さ、横幅、奥行寸法を所望値に抑えるように、また、圧縮機を蒸発器と貯湯タンクのいずれかの下方空間に収納可能に、蒸発器の必要な放熱面積および貯湯タンクの必要容量に合わせて、それらの寸法を有機的に設定することにより装置を小形化することができる。
【0017】
この場合において、圧縮機は、区画された収納室に配置することが好ましい。これによれば、圧縮機の発熱により収納室内の温度が上昇し、圧縮機の温度が上昇して吐出冷媒の温度が上昇する。その結果、水冷媒熱交換器で回収できる熱量が増加し、ヒートポンプサイクルの加熱能力を向上させることができ、貯湯タンク容量を小さくできるとともに、装置の小形化に寄与する。
【0018】
また、圧縮機の収納室は、蒸発器よりも下方の空間に形成することが好ましい。これによれば、貯湯タンクの高さ寸法を装置高さと同等にすることができ、容量を一定とすれば、貯湯タンクの径を小さくして装置の横幅と奥行寸法を小さくできる。
【0019】
さらに、水冷媒熱交換器は、冷媒流路を構成する伝熱管と水流路を構成する伝熱管とをコイル状に形成して接合し、このコイルの内側に貯湯タンクを配置することが好ましい。これによれば、水冷媒熱交換器が占める空間を有効に利用して貯湯タンクを配置できるから、装置全体としての占有空間を小さくできる。
【0020】
また、本発明によれば、貯湯タンクの容量を最大100リットルで、当該ヒートポンプ給湯装置の高さ寸法を最大1600mmにすることができる。また、貯湯タンクの高さを最大1200mmで、その容量を最大100リットルにすることができる。
【0021】
また、上記いずれかのヒートポンプ給湯装置において、水冷媒熱交換器から供給される温水の温度を検知する温度センサと、その温度センサにより検知された温水の温度が設定温度以下のとき、貯湯タンクに貯えられた温水を給湯管に供給して水冷媒熱交換器から供給される温水に混合する制御部とを備えて構成することができる。また、給湯口から給湯される温水の温度を検知する温度センサと、その温度センサにより検知された温水の温度が設定温度以上のとき、給水回路からの水を給湯口から給湯される温水に混合する制御部とを備えて構成することができる。
【0022】
また、圧縮機と水冷媒熱交換器と減圧装置と蒸発器とからなるヒートポンプサイクルを二組備え、各組のヒートポンプサイクルの圧縮機を収納室内に設けることができる。これにより、給湯の加熱能力を強化でき、かつ双方の吐出ガス温度を高めるとともに、圧縮機を小形化できるから、装置の高さを低減することができる。
【0023】
また、圧縮機および貯湯タンクを、当該ヒートポンプ給湯装置の中心よりも背面側にずらして配置することが好ましい。これにより、装置の重心を背面側に位置できるから、地震等の際に装置が前面の例えば通路側に倒れることを防ぐことができる。その結果、使用者は安心して使用することができる。また、装置の前面側に空間ができるので、その空間に外部配管と内部配管を接続する金具や電気部品を配置するスペースを確保できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、給湯装置を小形化できるから施工性等を向上させることができ、また、大容量の貯湯タンクを持たなくとも常に使用者に適温の湯を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図1〜図5を参照して説明する。図1は、本実施形態のヒートポンプ給湯装置の正面図であり、前面板を取り除いた図である。図2は、本実施形態のヒートポンプ給湯装置の系統構成図である。図3は、図1のヒートポンプ給湯装置の上面図であり、図1の電気品ボックス4を取り除いて示した図である。図4は、図1の線IV−IVから下方を見た内部の構成図である。図5は、図1の線V−V断面図である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態のヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクルを構成する二組のヒートポンプ給湯回路101a、bを備えて瞬間給湯能力を確保するように構成されている。各ヒートポンプ給湯回路101a、bには、それぞれ冷媒として例えば炭酸ガス冷媒が封入されている。なお、ヒートポンプ給湯装置の冷媒としては、超臨界領域で使用でき、且つ自然系の冷媒である炭酸ガス冷媒が好ましいが、本発明はこれに限られるものではない。
【0027】
各ヒートポンプ給湯回路101a、bを構成する圧縮機102a、bにより圧縮された高温の冷媒は、水冷媒熱交換器103に設けられた冷媒側伝熱管103a、bを通ってそれぞれ減圧装置である膨張弁104a、bを介して蒸発器105a、bに導かれて蒸発し、再び圧縮機102a、bに戻されるようになっている。蒸発器105a、bには、それぞれファン106a、bが設けられている。
【0028】
圧縮機102a、bは、容量制御可能に形成され、多量の給湯を行なう場合には大きな容量で運転される。つまり、圧縮機102a、bは、PWM制御、電圧制御(例えばPAM制御)またはこれらの組合せ制御により、低速(例えば1000回転/分)から高速(例えば8000回転/分)まで回転数を制御可能に構成されている。膨張弁104a、104bは、水冷媒熱交換器103で放熱して温度が低下した高圧冷媒を減圧し、二相状態の冷媒を蒸発器105a、bに導入させるようになっている。蒸発器105a、bは、ファン106により通流される室外の空気によって空気と冷媒との熱交換を行い、低温低圧の冷媒を蒸発させるようになっている。
【0029】
水冷媒熱交換器103には、冷媒側伝熱管103a、bにそれぞれ対応させて、給水側伝熱管103c、dが熱的に結合させて設けられ、これらの給水側伝熱管103c、dには給水回路110を介して加熱対象の水が供給されるようになっている。給水回路110は、水道などの給水源に接続される給水金具111、減圧弁112、給水水量センサ113、電磁弁116(省略可)、逆止弁114および流量センサ115を配管で順次接続して構成されている。なお、水冷媒熱交換器103の入口側で給水側伝熱管103c、103dに配管を分岐させているのは、給水回路110における圧力損失を低減するためである。また、水冷媒熱交換器103の冷媒側伝熱管103a、bと給水側伝熱管103c、dは、冷媒の流れと給水の流れが対向流になるよう形成され、これによって高温高圧の冷媒と低温の水との間で熱交換が行われるようになっている。すなわち、給水側伝熱管103c、dの入口で低温であった水は、給水側伝熱管103c、103dを通過するに従って徐々に加熱され、給水側伝熱管103c、103dの出口において、運転制御手段より設定された設定温度に近い温度に昇温されるようになっている。
【0030】
給水側伝熱管103c、103dの出口から排出される高温の温水は、給湯回路120を介して給湯金具121から給湯口に供給されるようになっている。すなわち、給湯回路120は、給水側伝熱管103c、103dの出口と、第1の混合弁122と、第2の混合弁123と、流量調整弁124とを配管により順次連結して給湯金具121に接続して構成されている。第1の混合弁122は、貯湯タンク130の頂部に管路で接続されている。これによって、第1の混合弁122は、水冷媒熱交換器103で加熱された高温の温水を貯湯タンク130に貯留させる機能と、水冷媒熱交換器103で加熱された温水に貯湯タンク130の温水を混合して、運転制御手段により設定される設定温度に調整して給湯する機能とを備えて構成されている。また、第2の混合弁123には、給水回路110の給水流量センサ113の下流側から分岐した水管路が接続され、これによって給湯回路120の高温の温水に、給水回路110から供給される水を混合して、運転制御手段により設定される設定温度(約35〜60℃)に調整できるようになっている。このようにして設定温度に調整された温水は、流量調整弁124を介して給湯金具121から使用場所へ供給されるようになっている。なお、流量調整弁124は、ヒートポンプサイクル101の加熱能力に応じて、所定温度以上の給湯を可能にするために、給湯量を制限する比例弁であり、例えば外気温度などに応じて給湯量を制限するようになっている。
【0031】
一方、貯湯タンク130内の底部は、配管131を介して給水回路110の逆止弁110の上流側に連結されるとともに、配管132を介して循環ポンプ133の吸込み口に接続されている。循環ポンプ133の吐出口は、配管134を介して給湯回路110の逆止弁114の下流側に連結されている。これにより、貯湯タンク130の底部の温水を抜き出して水冷媒熱交換器103の給水側伝熱管103c、dを通して加熱し、第1の混合弁122を介して貯湯タンク130の頂部に戻す沸き上げ循環系が構成されている。また、貯湯タンク130内の温水は、給水金具111を介して供給される給水圧により押し出されて、第1の混合弁122を介して給湯金具121に供給されるようになっている。なお、貯湯タンク130の底部に排水弁135が設けられ、第1の混合弁122の貯湯タンク130との接続配管に逃し弁136が設けられている。
【0032】
次に、浴槽140への給湯回路と追い焚き回路とについて説明する。浴槽140には、給湯金具121に接続された図示していない給湯栓から直接注湯することができる。しかし、図示のように、注湯回路を構成することができる。すなわち、注湯回路は、流量調整弁124の下流側から分岐して注湯電磁弁141を設け、この注湯電磁弁141の出側をフロースイッチ142と追い焚きポンプ143と水位センサ144と注湯金具145を配管により順次接続して構成されている。そして、注湯金具145を配管を介して浴槽140の底部に接続するようになっている。なお、注湯電磁弁141には逆止弁、水量センサおよび大気開放弁が併設されている。
【0033】
一方、追い焚き回路は、追い焚きポンプ143により水位センサ144と注湯金具145を介して浴槽140に底部に接続された配管から浴槽内の温水を汲み上げ、フロースイッチ142の注湯電磁弁141側から分岐した管路146を介して、追い焚き熱交換器147に導いて加熱するようになっている。追い焚き熱交換器147で追い焚きされた温水は、配管148を介して追い焚き注湯金具149から浴槽140の底部に戻すように構成されている。
【0034】
追い焚き熱交換器147は、温水側伝熱管147aと追い焚き側伝熱管147bとを熱的に結合して形成されている。温水側伝熱管147aの一端は、電磁開閉弁150と逆止弁151を介して第1の混合弁122の上流側に接続され、他端は循環ポンプ133の吸入側に接続されている。したがって、循環ポンプ133を駆動することにより、水冷媒熱交換器103によって加熱された高温の温水が、追い焚き熱交換器147の温水側伝熱管147aに循環供給され、追い焚き側伝熱管147bを流れる浴槽140内の戻り湯が追い焚きされるようになっている。
【0035】
また、運転制御手段は、制御回路、風呂リモコン、台所リモコン等の操作設定と各センサの検出値により、ヒートポンプ給湯回路101a、bの運転、停止並びに圧縮機102a、bの回転数制御を行うと共に、第2の混合弁123、流量調整弁124等を制御するようになっている。なお、各センサには、各部の温度状態を検出する温度センサ、圧力を検知する圧力センサ、水量を検知する水量センサ等がある。また、貯湯タンク130には、所定温度以上の湯温のレベルを検出して貯湯量を制御するための温度センサ137a〜cが設けられている。
【0036】
このように構成されることから、本実施形態によれば、給湯金具121に接続された給湯端末の蛇口が開けられると、水道圧により給水金具111から流入した水が給水回路110に流れ、給水水量センサ113が給水を検知すると、運転制御手段によりヒートポンプ給湯回路101a、bの運転が開始される。これにより、給水回路110に流れる水が水冷媒熱交換器103に導かれ、熱交換によって約35℃から60℃程度に加熱され、加熱された温水は第2の混合弁123を介して直接給湯される。また、給湯量は、流量調整弁124の開度を調整することによって調整可能になっている。
【0037】
ヒートポンプ給湯回路101a、bの運転は、圧縮機102a、bおよびファン106a、bを運転し、高温高圧の炭酸ガス冷媒を水冷媒熱交換器103の冷媒側伝熱管103a、bに流し、水冷媒熱交換器103の給水側伝熱管103c、dに流れる水と熱交換して給水を加熱する。水によって冷却された炭酸ガス冷媒は膨張弁104a、bにより減圧され、低温のガスと液体の二相流となって蒸発器105a、bに導入される。蒸発器105a、bで蒸発された冷媒は、低圧のガス冷媒になって圧縮機102a、bに戻され、ヒートポンプサイクルが形成される。また、貯湯タンク130の下部の水は、循環ポンプ133により水冷媒熱交換器103の水側伝熱管103c、dに供給されて加熱され、第1の混合弁122を介して貯湯タンク130の上部に戻される。これにより、貯湯タンク130に高温の湯が上部より順次貯まる貯湯運転が行なわれる。これを繰り返すことにより、貯湯タンク130内の水全体が設定温度の温水になると、圧縮機102a、bおよびファン106a、bの運転を停止して、ヒートポンプ給湯回路101a、bを停止する。
【0038】
また、本実施形態のヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプ給湯回路101a、bの運転が立ち上がるまでの短時間、水冷媒熱交換器103で加熱された温水の温度が運転制御手段で設定する所定の給湯温度より低いため、水冷媒熱交換器103で加熱された温水と、約30〜100リットル程度の小型の貯湯タンク130に蓄えた約60〜90℃の高温の温水を第1の混合弁122で混合して所定の温度に近い温水に調整して給湯することができる。さらに、給水管から分岐した低温の水を第2の混合弁123で混合することにより、運転制御手段で設定する所定の給湯温度(約35〜60℃程度)の温水を給湯することができる。このように、本実施形態は、小型で使い勝手に優れた給湯装置である。なお、第1の混合弁122の貯湯タンク130側の流入口が開けば、貯湯タンク130に蓄えられた高温の温水が、水道圧により押し出される。また、ヒートポンプ給湯回路101a、bの運転が立ち上がれば、水冷媒熱交換器103で加熱された温水を第1の混合弁122および第2の水混合弁123を介して直接給湯されることになり、いわゆる瞬間式のヒートポンプ給湯装置として機能する。このように、本実施形態によれば、ヒートポンプサイクル101と水冷媒熱交換器103により加熱される温水が、立ち上がり時などのように所定温度に達していないときにのみ、貯湯タンク130内の湯を利用して所定の温度の湯として給湯するようにしたから貯湯タンク130の容量は小さくてすむ。
【0039】
以下、上記のように構成された系統を有するヒートポンプ給湯装置を1つのキャビネット内に収納してなる実施形態の構成を、図1、図3〜図5を参照して説明する。なお、図2において、破線152で囲まれる浴槽140の部分および注湯金具145、149と浴槽140を接続する配管は、本実施形態のヒートポンプ給湯装置の構成部材には含まれない。
【0040】
図1、図3〜図5に示すように、ヒートポンプ給湯装置1は、箱型のキャビネット2の内部を区割板3で左右の空間に分け、左側の空間にヒートポンプサイクル101を構成する圧縮機102a、bと、蒸発器105a、bと、ファン106a、b、および電気品ボックス4等の構成部品が収納されている。他方、区割板3の右側の空間には、コイル状に形成された水冷媒熱交換器103と、この水冷媒熱交換器103のコイル内に挿入された円筒状の貯湯タンク130と、右側空間の背面側の角部(図3、4参照)に位置された追い焚き熱交換器147と、水冷媒熱交換器103の前面側に位置された電気品ボックス5等の構成部品が収納されている。つまり、区割板3は、蒸発器105a、b側と、貯湯タンク103側とを空気遮断および熱遮断するものである。キャビネット2の底部のベース6は、脚7により据付け面から浮かして設けられている。また、区割板3は、図4に示すように、キャビネット2の背面側において、貯湯タンク130の裏側に回るように折り曲げて設けられている。これにより、キャビネット2の横幅を狭くしても、蒸発器105a、bの必要な放熱面積を確保するようにしている。
【0041】
圧縮機102a、bと貯湯タンク130は、それぞれベース6に固定して支持されている。また、蒸発器105a、bとファン106a、bが設けられた上部空間と、圧縮機102a、bが設けられた下部空間は仕切板8によって区画されている。仕切板8は、図5に示すように、圧縮機102a、bの上面側と、前面側を覆うように形成されている。つまり、ベース6と、仕切板8と、区割板3と、キャビネット2の前後壁および側壁によって、圧縮機102a、bの収納室10が区画されている。特に、圧縮機102a、bは、円筒状の外殻を有して形成され、その外殻の円筒軸を横向きにして、図4に示すように、キャビネット2内の前後に並べて配置されている。
【0042】
蒸発器105a、bは、上下二段に分けられ、あるいは入り混じって配設された二つの冷媒回路を有して構成されている。例えば、蒸発器105a、bは、冷媒回路を構成する伝熱管を蛇行状に配設し、伝熱管に複数枚のフィンを取り付けたいわゆるクロスフィンチューブ型熱交換器で形成されている。また、蒸発器105a、bは、図1、図3に示すように、キャビネット2の一側面と背面の大半を形成するようにL字型に折り曲げ、ヒートポンプ給湯装置1の外郭として形成されている。また、ファン106a、bは、蒸発器105a、bに沿って設けられた取付脚11に、図示の如く、上下に取付けられている。このファン106a、bはキャビネット1の室外より空気を取り入れ、蒸発器105a、b内の低温低圧の冷媒を強制的に蒸発させるものである。
【0043】
電気品ボックス4は、キャビネット2の上面を形成し、電気品ボックス4内には圧縮機102a、b、ファン106a、bの運転制御を行なう制御回路等が収納されている。また、電気品ボックス5は、キャビネット2の前面に配置され、電気品ボックス5内にはヒートポンプ給湯装置1のリモコン等の操作設定と、各センサの検出値によりヒートポンプ給湯回路101a、bの運転停止を行なう制御回路等が収納されている。
【0044】
また、水冷媒熱交換器103は、冷媒側伝熱管103a、bと給水側伝熱管103c、dとを図示の如く貯湯タンク130の外周に巻き付けて形成されている。例えば、冷媒側伝熱管103a、bを交互に重ねてコイル状に形成し、それらの重なり部に給水側伝熱管103c、dを巻き付けて、ろう付け等により熱的に強固に結合して形成されている。また、冷媒側伝熱管103a、bの上部端は配管107a、108aを介して圧縮機102a、bの吐出側に接続され、下部端は配管107b、108bと、膨張弁104a、bと、配管107c、108cとを介して蒸発器105a、bの一端に接続されている。また、蒸発器105a、bの他端は、配管107d、108dを介して圧縮機102a、bの吸入側に接続されている。この配管107d、108dは、図4に示すように、圧縮機102a、bの吸入口の接続する部位を曲折して形成されている。これによって、圧縮機102a、bの振動を配管107d、108dの曲折部で吸収し、圧縮機102a、bの振動が蒸発器105a、bに伝わって起こる騒音を低減するようにしている。また、配管107d、108dの曲折部を含む一部は、蒸発器105a、bの下方の投影面内に位置して配設されている。
【0045】
貯湯タンク130の下部の前面側に、継手取付板12が区割板3とキャビネット2の側壁間に渡して設けられている。継手取付板12には、図2に示した給水金具111、給湯金具121、注湯金具145、追い焚き注湯金具149が取り付けられ、外部配管との接続を1箇所にまとめている。給水金具111は給水側伝熱管103c、dの下端に接続され、給湯金具121は給水側伝熱管103c、dの上端に接続されている。これにより、冷媒側伝熱管103a、bと給水側伝熱管103c、d内の流れが対向流を形成している。
【0046】
また、図5に示すように、蒸発器105a、bの下端の全長に渡って、除霜水の受皿13が配設されている。受皿13は金属などの熱伝導性を有する材料で形成され、圧縮機102a、bが収納される収納室10の隔壁の一部を形成するように設けられている。つまり、受皿13の底面は、仕切板8と同等のレベルに配置されている。これによって、収納室10内の熱によって受皿13内の除霜水が凍るのを防止できるようになっている。
【0047】
なお、煩雑さを避けるために、図1、図3〜図5においては、図2に示したポンプ類、配管、弁類、センサ類等のその他の部品の記載を省略している。
【0048】
このように構成される本実施形態のヒートポンプ給湯装置によれば、次に述べる効果が得られる。
【0049】
まず、ヒートポンプ給湯装置1の高さ寸法は、蒸発器105a、bの高さ、貯湯タンク130の高さに支配される。また、横幅または奥行寸法は、蒸発器105a、bの放熱面積、貯湯タンク130の容量に支配される。さらに、圧縮機102a、bも比較的大きな構成部品であるから、装置の高さ、横幅、奥行寸法に影響する。これらを考慮して、本実施形態では、円筒状の貯湯タンク130を縦型にして、蒸発器105a、bの横の空間に配置し、さらに、円筒状に形成された圧縮機102a、bを円筒軸を横向きにして蒸発器105a、bの下方空間に配置しているのである。
【0050】
例えば、ヒートポンプ給湯装置1の背丈(高さ)を低くするには、収納室10の高さ寸法を小さくすることが望ましい。一方、この種のヒートポンプ給湯装置1では、必要とする能力(押除量)を持つ大容量の圧縮機1台を搭載するのが経済的である。また、潤滑油の関係から、円筒状に形成された圧縮機の円筒軸を立てて用いるのが一般的である。したがって、圧縮機を1台にすると、圧縮機が占める高さ寸法が大きくなるとともに、径方向にも非常に大きなものとなり、収納室10の高さ寸法が高くなるから、装置自体の背丈を高くせざるを得ない。
【0051】
そこで、本実施形態は、圧縮機102a、bを横向きにして配置することにより、圧縮機102a、bが占める高さ寸法を大幅に小さくしている。特に、本実施形態によれば、ヒートポンプサイクルを2系統に分けて、2台の圧縮機102a、bを横に併設して設置したことから、収納室10の高さ寸法を極めて低くすることができる。その結果、ヒートポンプ給湯装置1自体の高さHの寸法を、最大でも1600mmにすることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、蒸発器105a、bは、キャビネット2の側壁や背面壁を利用することにより、必要な横幅を確保できることに鑑み、蒸発器105a、bの高さを抑えて圧縮機102a、bを蒸発器105a、bの下方に配置したことから、装置全体の高さ寸法を小さくすることができる。その結果、貯湯タンク130の高さを十分にとることができるから、径を小さくしても必要な容量を確保できるから、装置の横幅や奥行寸法を所望値に抑えることが容易になる。
【0053】
また、圧縮機102a、b自体の温度を信頼性を考慮し許される範囲で高くすることにより、ヒートポンプサイクルの加熱能力を向上させることができる。この点、従来は圧縮機の温度を収納室内で上げる工夫がなされていなかった。つまり、本実施形態によれば、2個の圧縮機102a、bを収納室10内に設置し、かつ圧縮機102a、bの容積占有率を30%位に高めることができるから、収納室10内温度を高くして、水冷媒熱交換器103内での熱交換を促進して、加熱能力を向上させることができる。また、加熱される温水の温度を従来よりも高めることができる。その結果、貯湯タンク130の容量を小さくできることになり、装置の小形化に寄与することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、水冷媒熱交換器103をコイル状に形成し、このコイルが占める空間内に貯湯タンク130を配置しているから、装置全体としての占有空間を小さくして、装置を小形化できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、図4に示したように、圧縮機102a、bの吸入口と蒸発器105a、bとを接続する配管を曲折して形成し、その曲折部を含む配管を蒸発器105a、bの下方の投影面内に位置して配設していることから、次に述べるように装置の横幅を小さくできる。すなわち、圧縮機102a、bの吸入口と吐出口にそれぞれ接続される配管は、本実施形態の場合、横向きに配置した圧縮機102a、bの両端より引出されるので、圧縮機102a、b周りの装置幅は、例えば圧縮機102a、bの長さ350mmに両側の配管に必要な長さを加えた分になる。両側の配管は、銅パイプの成形性或いはロー付性を考えると100〜150mm必要となる。したがって、収納室10の間口が450〜500mmとなるが、ヒートポンプ給湯装置1全体の横幅は、据付性等を考慮して900mmが限度とすると、収納室10の間口を450〜500mm確保するのはかなり難しい。しかも、2台の圧縮機102a、bを収納して配管等の施工をすることは難しい。また、蒸発器105a、bの放熱面の投影領域に収納室10を重ねて配置することは、放熱気流の流れを妨げて熱交換効率が低下するため避けなければならないが、放熱気流の流れを確保しようとすると収納室10の間口を狭くすることにつながる。そこで本実施形態では、図4に示す如く、配管107d、108dの曲折部を含む一部を蒸発器105a、bの下方の投影面内に位置させることにより、収納室10の間口を十分に確保するようにしているのである。このことにより、横幅900mmのヒートポンプ給湯装置1の全体幅を拡大することなく、圧縮機102a、bの収納を可能とするとともに、蒸発器105a、bの下端に配設される除霜水の受皿13を配管107d、108dおよび圧縮機102a、bの放熱で加熱するようにしたのである。
【0056】
また、本実施形態によれば、蒸発器105a、bの放熱面に圧縮機の収納室10が重ならないように配置しているから、蒸発器105a、bの放熱面の全体にわたって均一な熱交換が行われる。したがって、風量分布が悪いために部分的に霜が成長するという問題を回避できる。しかも、除霜水の受皿13を配管107d、108dおよび圧縮機102a、bの放熱で加熱するようにしているから、受皿13内の除霜水が凍るのを防止でき、ヒートポンプ給湯装置1の機能が失なわれるおそれがない。
【0057】
これらのことから、本実施形態によれば、貯湯タンク130のタンク容量を最大100リットルに抑えるとともに、背丈を低くすることができる。例えば、タンク容量を100リットルとし、高さを1200mmとした場合、ヒートポンプ給湯装置1の奥行寸法450mmに対して、直径を最大300mmでまとめることができる。
【0058】
また、タンク容量を100リットルとするには、水冷媒熱交換器103により使用者が希望する湯温を速やかに得られるようにする必要がある。この点、本実施形態によれば、収納室10内に2台の圧縮機102a、bを併設し、収納室10内の温度を高めて圧縮機の吐出ガス温度を高め、水冷媒熱交換器103で加熱できる湯温を例えば35℃〜60℃に高めることができるから、使用者の要求に答えることができる。つまり、貯湯タンク130内の湯は、ヒートポンプ回路102a、bの運転開始時等に補助的に使われるものとすることにより、貯湯タンク130の高さを最大1200mmに低減できるのである。
【0059】
また、この種のヒートポンプ給湯装置1を都市型マンションのテラス等に設置しようとした場合、奥行寸法は最大450mmが要求されるが、貯湯タンク130の直径を300mm前後で設計すればこの要求に応じられる。
【0060】
以上のことから、本実施形態によれば、貯湯タンク130の容量を最大100リットル(1200mm×300mm円筒)とすることにより、100mm前後の脚7を有する場合でも、最大高さ1600mmのヒートポンプ給湯装置1を得ることができる。また、ヒートポンプ給湯装置1の幅寸法を900mm以上に広げることなく既存のモジュールに合せ、製品を作ることができる。また、狭い階段等の運搬も可能となり且つ建築モジュールに合わせた据付も可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態によれば、図1に示すように、ベース6を通常据付面(床)から脚7で例えば100mm浮かし、さらにベース6から例えば150〜200mm離して継手取付板12を設ければ、通常据付面(床)側より引き回されてくる配管を、その高さ空間(250〜300mm)を利用して容易に曲げ加工や接続を行うことができる。
【0062】
また、図4に示すように、本実施形態は、貯湯タンク130、圧縮機102a、bおよび蒸発器105a、bをキャビネット2の背面側にまとめて配置し、ヒートポンプ給湯装置1の重心が装置中心線より後方に位置させたことを特徴とする。その結果、地震等によっても装置が前面の通路側に倒れるのを抑制できる。すなわち、本実施形態によってヒートポンプ給湯装置1の高さを低くできるとはいえ、最大1600mmの高さを有する場合がある。また、ヒートポンプ給湯装置1は、2組のヒートポンプサイクル並びに貯湯タンク130を有しているから、例えば、装置重量が150kg〜250kgになる。このように、背が高くて重いヒートポンプ給湯装置1を、都市型マンション等のベランダ等に設置した場合に、地震等があるとこのヒートポンプ給湯装置1が前面の通路側に倒れないかが問題となるが、本実施形態によればそのような問題を解消できる。
【0063】
また、本実施形態によれば、ヒートポンプ給湯装置1を1つのキャビネット2に収納して構成したから、据付けの際に現地で機器同士の配管等をなくすことができるとともに、小形化したことから搬送および据付が簡単になる。
【0064】
本実施形態において、ヒートポンプ給湯装置1の外方寸法は、脚7を含めた高さH寸法が最大1600mmで、横幅W寸法は最大900mmで、奥行D寸法は最大500mmで実現できる。なお、脚4の高さH寸法は略100mmである。また、圧縮機102a、bの直径は150mm前後、長さは350mm前後である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願発明の一実施の形態のヒートポンプ給湯装置の正面図であり、前面板を取り除いた図である。
【図2】図1のヒートポンプ給湯装置の系統構成図である。
【図3】図1のヒートポンプ給湯装置の上面図であり、図1の電気品ボックス4を取り除いて示した図である。
【図4】図1の線IV−IVから下方を見た内部の構成図である。
【図5】図1の線V−V断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ヒートポンプ給湯装置
2 キャビネット
3 区割板
4、5 電気品ボックス
6 ベース
7 脚
8 仕切板
10 収納室
12 継手取付板
13 受皿
102a、b 圧縮機
103 水冷媒熱交換器
104a、b 膨張弁
105a、b 蒸発器
106a、b ファン
130 貯湯タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機で圧縮された冷媒が流れる冷媒流路と給水回路から給水された水が流れる水流路との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器と、この水冷媒熱交換器で温度が低下した冷媒を減圧する減圧装置と、この減圧装置により減圧された冷媒を蒸発させて前記圧縮機に戻す蒸発器と、前記水冷媒熱交換器で加熱された温水を給湯口に供給する給湯管に連通された貯湯タンクとを備えてなり、
前記貯湯タンクは、円筒状の外殻を有し、この外殻の円筒軸を縦にして前記蒸発器の横の空間に配置され、
前記圧縮機は、円筒状の外殻を有し、この外殻の円筒軸を横向きにして配置されてなるヒートポンプ給湯装置。
【請求項2】
前記圧縮機は、区画された収納室に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項3】
前記圧縮機の収納室は、前記蒸発器よりも下方の空間に形成されてなることを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項4】
前記水冷媒熱交換器は、前記冷媒流路を構成する伝熱管と前記水流路を構成する伝熱管とをコイル状に形成して接合してなり、このコイルの内側に前記貯湯タンクが配置されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項5】
前記給湯管は、前記水冷媒熱交換器で加熱された温水と前記貯湯タンク内の温水とを混合して前記給湯口に供給する混合弁を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項6】
前記貯湯タンクの容量が最大100リットルで、当該ヒートポンプ給湯装置の高さ寸法が最大1600mmである請求項1乃至5のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項7】
前記貯湯タンクの高さが最大1200mmで、その容量が最大100リットルである請求項1乃至6のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項8】
前記水冷媒熱交換器から供給される温水の温度を検知する温度センサと、その温度センサにより検知された温水の温度が設定温度以下のとき、前記貯湯タンクに貯えられた温水を前記給湯管に供給して前記水冷媒熱交換器から供給される温水に混合する制御部とを備えてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項9】
前記給湯口から給湯される温水の温度を検知する温度センサと、その温度センサにより検知された温水の温度が設定温度以上のとき、前記給水回路からの水を前記給湯口から給湯される温水に混合する制御部とを備えてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項10】
前記圧縮機と前記水冷媒熱交換器と前記減圧装置と前記蒸発器とからなるヒートポンプサイクルを二組備え、各組のヒートポンプサイクルの圧縮機を前記収納室内に設けてなることを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項11】
前記圧縮機および前記貯湯タンクが、当該ヒートポンプ給湯装置の中心よりも背面側にずらして配置されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のヒートポンプ給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−90601(P2006−90601A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275694(P2004−275694)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(502131431)日立ホーム・アンド・ライフ・ソリューション株式会社 (302)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)