説明

ビデオカメラ装置

【課題】 静止画モードが設定できるカメラ装置で、静止画記録モードでは、シャッター速度を速くして、手振れや画面の動きによるボケが生じ難くなくすると共に、蛍光灯下でのフリッカーの影響を受け難いようにする。
【解決手段】 動画モードのシャッター速度は、例えば、1/60秒に設定される。静止画モードでは、シャッター速度がこれより高速に設定される。静止画モードでは、シャッター速度が速いので、ボケが生じにくくなる。静止画記録時に、室内の明るさに相当するときには、シャッター速度が1/100秒に設定される。これにより、周波数50Hzの電源を用いて点燈された蛍光灯の下でも、フリッカーが生じない。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、特に、静止画記録モードを有するカメラ一体型VTRに用いて好適なビデオカメラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】撮像信号に基づくディジタルビデオ信号をDCT(Discrete Cosine Transform)変換と可変長符号により圧縮し、回転ヘッドにより磁気テープに記録するようなディジタル記録のカメラ一体型VTRの開発が進められている。このようなディジタル記録のカメラ一体型VTRには、動画記録モードばかりでなく、静止画記録モードが用意されている。静止画記録モードに設定すると、1つのフレームの画像信号が約5秒間繰り返して記録される。静止画記録モードは、静止画をディジタルデータで記録できるので、パーソナルコンピュータに取り込んで処理したり、直接プリントアウトしたりする場合に利用できる。
【0003】このようなディジタル記録方式のディジタルVTRでは、撮像素子としてCCD撮像素子が用いられる。このCCD撮像素子のシャッター速度は、通常のNTSC方式では、1/60秒になっている。すなわち、CCD撮像素子では、入射光により発生した光電荷を1フィールドの間だけ蓄積し、垂直ブランキンク期間に転送している。NTSC方式では、1秒間に60フィールドの画像が送られてくるので、露光時間は1/60秒になる。このため、通常、NTSC方式では、CCD撮像素子のシャッター時間は、1/60秒となる。
【0004】上述のように、ディジタル記録方式のVTRでは、静止画記録モードが用意されている。静止画を記録する場合、シャッター速度が1/60では、手振れや画面の動きによるボケが生じ易い。そこで、静止画記録を行なえるディジタル記録のカメラ一体型VTRの場合には、静止画モードで記録する際に、シャッター速度を高速にすることが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】静止画モードで記録する際にシャッター速度を高速にすると、屋外で撮影をしている場合には、手振れや画面の動きによるボケが生じ難くなり、良好な結果が得られる。
【0006】ところが、このように静止画モードで記録する際にシャッター速度を高速にすると、蛍光灯下の室内で記録を行うと、蛍光灯のフリッカーの影響による明るさの変化や色変化が生じ易い。
【0007】なお、例えば、50Hzの交流電源で点燈する蛍光灯の下では、シャッター速度を1/100秒にすると、フリッカーが生じないことは知られているが、ユーザが蛍光灯の下で撮影しているかどうかを判断し、マニュアルでシャッター速度を変更するのでは、使い勝手が良くない。
【0008】したがって、この発明の目的は、静止画記録モードでは、シャッター速度を速くして、手振れや画面の動きによるボケが生じ難くなくすると共に、蛍光灯下でのフリッカーの影響を受け難いビデオカメラ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、シャッター速度が可変とされた撮像手段と、撮像手段からの撮像出力レベルを検出し、撮像出力レベルに応じて露光制御を行う露光制御手段と、動画モードと静止画モードとが設定可能な記録手段と、動画モードと静止画モードとに応じて、露光制御手段の動作状態を制御する制御手段とを備えることを特徴とするビデオカメラ装置である。
【0010】動画モードのシャッター速度は、例えば、1/60秒に設定される。静止画モードでは、シャッター速度がこれより高速に設定される。静止画モードでは、シャッター速度が速いので、ボケが生じにくくなる。
【0011】更に、静止画記録時に、室内の明るさに相当するときには、シャッター速度が1/100秒に設定される。これにより、周波数50Hzの電源を用いて点燈された蛍光灯の下でも、フリッカーが生じない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1において、レンズ1を介して、被写体像光が入射される。この被写体像光は、絞り2を介して、CCD撮像素子3の受光面に結像される。絞り2の開閉は、マイクロコンピュータ5により制御される。この絞り2の開閉を制御することで、CCD撮像素子3の入射光量を調整できる。
【0013】CCD撮像素子3としては、掃き出しドレインを用いて、不要の電荷を掃く捨てることで、シャター速度が可変できるものが用いられる。シャッター速度は、マイクロコンピュータ5の制御の基に、タイミングジェネレータ4の出力により可変される。
【0014】CCD撮像素子3で、被写体像光が光電変換される。CCD撮像素子2の出力がAGCアンプ6に供給される。AGCアンプ6のゲインは、マイクロコンピュータ5の出力により制御される。AGCアンプ6の出力がカメラ信号処理回路7に供給されると共に、ディテクタ8に供給される。ディテクタ8により、入射光量が検出される。ディテクタ8の出力がマイクロコンピュータ5に供給される。
【0015】カメラ信号処理回路8により、ガンマ補正、アパーチャ補正等が行われる。また、カメラ信号処理回路8により、撮像信号から、コンポーネントカラービデオ信号が形成される。カメラ信号処理回路8の出力が圧縮回路9に供給される。圧縮回路9は、DCTと可変長符号により、ビデオ信号を圧縮するものである。圧縮回路9の出力がエラー訂正符号化回路10に供給される。エラー訂正符号化回路10により、エラー訂正符号化処理が行われる。エラー訂正符号化回路10の出力がチャンネルコーダ11に供給される。チャンネルコーダ11で記録データが変調される。チャンネルコーダ11の出力が記録アンプ12を介してヘッド13に供給される。ヘッド13により、磁気テープ14にディジタルビデオ信号が記録される。
【0016】この実施例では、ノーマル記録モードと静止画モードのモード設定信号が設定できる。動画モードでは、CCD撮像素子3で撮像した動画像が記録される。1フレームの画像は、例えは、10トラックで記録される。静止画モードでは、1つのフレームの画像が例えば5秒間連続して記録される。
【0017】マイクロコンピュータ5は、ディテクタ8で検出された入射光量に応じて、絞り2の開閉、CCD撮像素子3のシャッター速度、AGCアンプ6のゲインを可変し、露光制御を行っている。すなわち、入射光量が大きいときには、絞り2を閉め、シャッター速度を速くし、AGCアンプ6のゲインを下げることで、入射光量が下げられる。入射光量が小さいときには、絞り2を開け、シャッター速度を遅くし、AGCアンプ6のゲインを上げることで、入射光量を上げられる。これにより、露光制御が自動的に行なえる。なお、入力端子15からは、ノーマル記録モードと静止画モードのモード設定信号が供給される。後に説明するように、このモードに応じて、露光制御の動作状態が切り替えられる。
【0018】上述のように、入射光量に応じて、絞り2の開閉、AGCアンプ6のゲインを可変することで、自動露光制御が行なえる。更に、CCD撮像素子3としてシャッター速度を変えられるものを用いた場合には、入射光量に応じてシャッター速度により可変することにより、自動露光制御が行なえる。このように自動露光制御を行う際に、以下の(1) 〜(3) に述べることに注意して、制御する必要がある。
【0019】(1) AGCアンプ6のゲインを上げるとノイズが目立ち易くなることから、AGCアンプ6のゲインは可能な限り0dBに設定する。
【0020】(2) 動画記録では、シャッター速度が1/60秒でも、手振れや画面の動きによるボケは目立ち難いが、静止画記録では、手振れや画面の動きによるボケが生じ易い。このため、静止画モードでは、シャター速度を速くすることが望まれる。
【0021】(3) 室内の蛍光灯下では、シャター速度を速くすると、フリッカーによる明るさの変化が目立ち易い。例えば、周波数50Hzの交流電源を用いて点燈された蛍光灯下では、シャッター速度を1/100秒にすると、フリッカーの影響を受け難くなる。
【0022】この発明の一実施例では、上述の(1) 〜(3) に述べた点を考慮して、ノーマルモードと静止画モードとに応じて、露光制御の動作状態を切り替えるようにしている。
【0023】ノーマルモード(動画撮影)では、図2に示すような制御が行われる。図2において、横軸が明るさを示している。ノーマルモードでは、入射光が明るさL1に満たない場合と、L1 以上の場合とで、処理が切り替えられている。
【0024】動画撮影を行う場合には、シャター速度は、NTSC方式なら、1/60秒に設定される。そして、AGC回路6のゲインは可能な限り0dBに設定したいので、入射光の明るさがL1 以上なら、AGC回路6のゲインは0dBに設定され、絞り2を開閉させて、露光制御が行われる。
【0025】明るさがL1 以下の場合には、AGC回路6のゲインが0dBでは、絞り2を完全に開いても必要な光量が得られない。このため、明るさがL1 以下の場合には、絞り2が開かれ、AGC回路6のゲインが0dBから+18dbまで変化され、露光制御が行われる。
【0026】このように、ノーマルモードでは、シャター速度を1/60秒とし、AGC回路6のゲインは可能な限り0dBとなるように、露光制御が行われている。
【0027】静止画モードでは、図3に示すような制御が行われる。図3に示すように、静止画モードでは、入射光の明るさL11に満たない場合と、L11〜L12の間にある場合と、L12〜L13の間にある場合と、L13〜L14の間にある場合と、L14以上の場合とで、処理が切り替えられている。明るさL13に対応する入射光量は、室内撮影の場合の明るさと屋外撮影の場合の明るさとの境界に対応する。
【0028】静止画モードでは、手振れや画面の動きによるボケを防止するために、シャター速度を速くすることが望まれる。入射光の明るさがL13以上の場合には、屋外撮影であると判断でき、屋外では、室内の蛍光灯下でのフリッカーによる問題が発生しない。
【0029】そこで、入射光がL13〜L14の場合には、AGC回路6のゲインが0dBに設定され、絞り2の開度が適当な開度(例えば、開度F4.8)に開かれ、シャッター速度が1/100〜1/1000に変化され、露光制御が行われる。
【0030】入射光量がL14以上の場合には、AGC回路6のゲインが0dBに設定され、シャッター速度が1000とされ、絞り2の開度がF4.8〜小絞りまで変化されて、露光制御が行われる。
【0031】入射光量の明るさがL13未満の場合には、室内の蛍光灯下での撮影であると判断できる。室内の蛍光灯下では、シャッター速度を1/100にすれば、螢光等のフリッカーの影響を受けない。然も、シャッター速度を1/100にすれば、通常のシャッター速度の1/60に比べてシャッター速度がは速くなり、動きによるボケや手振れの影響を受けに難くなる。
【0032】そこで、入射光がL12〜L13の場合には、シャッター速度が1/100に設定され、螢光等のフリッカーの影響が回避される。AGC回路6のゲインが0dBに設定されるので、AGC回路6によるノイズの発生が防止される。そして、絞り2の開度が最大から所定の開度(例えば開度F4.8)まで変化され、露光制御が行われる。なお、絞りの開度F4.8は、シャッター速度が1/100にし、AGC回路6のゲインが0dBにしたとき、室内と屋外との境界の明るさで、入射光量を最適値にするための実験値に対応する。
【0033】入射光量の明るさがL11〜L12の場合には、絞り2を最大に開いても、最適な入射光量が得られない。そこで、AGC6のゲイン変化させることにより、必要な入射光量を得られるようにしている。つまり、入射光量の明るさがL11〜L12の場合には、シャッター速度が1/100に設定され、螢光等のフリッカーの影響が回避される。絞り2の開度が最大値に設定される。そして、AGC回路6のゲインが+18dBから0dBまで変化され、露光制御がなされる。
【0034】入射光量の明るさがL11未満の場合には、絞り2を最大に開き、AGC回路6のゲインを+18dBまで上げても、必要な入射光量が得られない。そこで、絞り2が最大に開かれ、AGC回路6のゲインが+18dBに設定され、シャッター速度が1/100から1/60に変化されて、露光制御がなされる。
【0035】このように、静止画モードでは、屋外で撮影を行う場合には、シャター速度が速くなり、手振れや動きの激しい被写体によるボケを防ぐことができる。更に、屋内で撮影を行う場合には、シャッター速度が1/100になり、蛍光灯下でのフリッカーの影響を受け難くなると共に、通常のシャッター速度の1/60に比べてシャッター速度が速くなり、手ぶれや動きの激しい被写体によるボケをある程度が防ぐことができる。
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、静止画モードと動画モードとに応じて、露光制御の動作状態が切り替えられる。動画モードのシャッター速度は、例えば、1/60秒に設定される。静止画モードでは、シャッター速度がこれより高速に設定される。静止画モードでは、シャッター速度が速いので、ボケが生じにくくなる。更に、静止画記録時に、室内の明るさに相当するときには、シャッター速度か1/100に設定される。これにより、周波数50Hzの電源を用いて点燈された蛍光灯の下でも、フリッカーが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用されたビデオカメラの一例のブロック図である。
【図2】この発明が適用されたビデオカメラの一例の説明に用いる略線図である。
【図3】この発明が適用されたビデオカメラの一例の説明に用いる略線図である。
【符号の説明】
2 絞り
3 CCD撮像素子
5 マイクロコンピュータ
6 AGCアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シャッター速度が可変とされた撮像手段と、上記撮像手段からの撮像出力レベルを検出し、上記撮像出力レベルに応じて露光制御を行う露光制御手段と、動画モードと静止画モードとが設定可能な記録手段と、上記動画モードと上記静止画モードとに応じて上記露光制御手段の動作状態を制御する制御手段とを備えることを特徴とするビデオカメラ装置。
【請求項2】 上記露光制御手段は、上記撮像手段からの撮像出力レベルに応じて、アイリスと、シャッター速度と、AGC回路のゲインとを夫々制御するものである請求項1記載のビデオカメラ装置。
【請求項3】 上記静止画モードでは、上記撮像手段からの撮像出力レベルが室内光に相当する範囲で、蛍光灯によるフリッカーと関係するシャッター速度に設定するようにした請求項1記載のビデオカメラ装置。

【図2】
image rotate


【図1】
image rotate


【図3】
image rotate