説明

ビデオカメラ

【目的】 基板に設ける基板支持のためのスペースを極力小さくすると共に外部からの振動・衝撃に強くビデオカメラの小型化に適する。
【構成】 ケース本体A内にインナーケース20を配置し、このインナーケース20の基板支持スリット24に基板21の各角21aを挿入してインナーケース20に基板21を支持し、インナーケース20の上下左右の4方向にケース圧接片28を設け、この各ケース圧接片28をケース本体Aの内面にそれぞれ圧接させてインナーケース20をケース本体Aに支持する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は小型のビデオカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオカメラは放送局用、民生用及び産業用に分類できる。民生用及び産業用の分野ではビデオカメラを小型化することにより応用範囲の拡大、使用する装置の小型化等に供するため、可及的に小型化することが望まれている。
【0003】かかる小型のビデオカメラはケース本体内に固体撮像素子を支持したフロント筒体を挿入すると共に固体撮像素子のドライブ回路を構成する複数の基板を実装密度高く収納している。
【0004】従来、各基板はネジにてケース本体にそれぞれ固定したり、又、複数基板の1枚のみをネジにてケース本体に固定し、それ以外の他の基板はコネクタ等でネジ締結した基板に固定していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成によれば図7に示す如く基板21の各角部にはネジ挿通孔40を形成しなければならず、このネジ挿通孔40はネジ41の頭部径や強度上の問題より基板端より一定以上の間隔dを置いて形成しなければならない。従って、少なくとも1枚の基板21の各角部にはネジ締結のため大きなスペースを確保しなければならず実装面積を狭める原因となっていた。電子部品の小型化等による基板自体の小型化が進んでいる現在、基板面積に対するネジ締結用スペースの割合が徐々に大きくなっている。
【0006】また、上記構成によれば少なくとも1枚の基板21はネジ41にてケース本体に締結されているため、ケース本体からの振動・衝撃が直接基板21に伝わり振動・衝撃に弱いという欠点があった。特に、電子部品の小型化により半田付け容積が小さくなると、その分振動・衝撃に弱くなるためビデオカメラの小型化に際して大きな問題となる。
【0007】そこで、本発明は基板支持のスペースを極力小さくすると共に外部からの振動・衝撃にも強く装置の小型化に適したビデオカメラを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するための本発明に係るビデオカメラは、ケース本体内にインナーケースを配置し、このインナーケースに基板支持スリットを設け、この基板支持スリットに基板の角を挿入して前記インナーケースで前記基板を支持すると共に前記インナーケースの上下左右の4方向に弾性変形可能なケース圧接片をそれぞれ設け、この各ケース圧接片を前記ケース本体の内面にそれぞれ圧接して前記インナーケースを前記ケース本体に支持したものである。
【0009】
【作用】インナーケースの基板支持スリットに基板の角を挿入して基板を支持するため基板支持のためのスペースが非常に小さくて良く、又、基板の支持するインナーケースがケース本体内にケース圧接片を介して支持されるため、ケース本体からの振動・衝撃がケース圧接片で緩衝されてインナーケースに伝わる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1乃至図6には本発明の一実施例が示されている。図3にはビデオカメラの分解斜視図、図4にはビデオカメラの斜視図、図5にはビデオカメラの縦断面図、図6にはビデオカメラの横断面図がそれぞれ示されている。
【0011】図3乃至図6において、ビデオカメラはケース本体Aにフロントブロック体Bと基板ブロック体Cとリアブロック体Dとが組付けられて構成されている。
【0012】ケース本体Aは熱伝導性の良い部材から成り、横断面外形形状が八角形の細長い筒状を有している。この八角形状は正八角形ではないが、光軸中心に対して点対称に構成されている。具体的には正四角形を基本とし、その4つの面1の4角に45度の傾斜で切欠いた傾斜面2を形成して構成されている。前記4つの面1には長手方向に数条の溝3が形成されて総表面積が大きく構成されていると共に4つの面1には位置決め用の溝部4がそれぞれ形成されている。そして、4つの面1の一つ(上面)には調整用孔5が形成されている。又、4つの傾斜面2にはその前端にネジ挿通孔6がそれぞれ形成されていると共にその後端の対向する2面にもネジ挿通孔6が形成されている。
【0013】フロントブロック体Bはケース本体Aの前面側に挿入され、フロント筒体7にて外側がほぼ被われている。このフロント筒体7はフロント部8と取付部9と筒部10とが一体的に設けられていると共にこれら全体に入光用の光路空間11が形成されている。
【0014】フロント部8はケース本体Aの前面に配置され、このフロント部8の前面にレンズ取付基準面8aが構成されている。取付部9はケース本体Aの内面寸法に対応する8角形状を有してケース本体A内に挿入されている。そして、4つの傾斜面にはネジ孔9aがそれぞれ形成され、このネジ孔9aに前記ケース本体Aのネジ挿通孔6に挿入されたネジ12が螺入されてケース本体Aにフロント筒体7が締結されている。
【0015】筒部10には後端より前方に向かって光軸方向に切欠溝10aが4箇所に形成されている。この筒部10内には前方より順に画枠プレート13、光学フィルタ14、緩衝部材15、固体撮像素子16が挿入されている。又、この筒部10の外周にはネジ部10bが形成され、このネジ部10bに下記する調整リング部材18が螺入されている。又、筒部10の後端には位置決め突起10cが設けられている。
【0016】画枠プレート13は前記筒部10の内径と同寸法の略円板状を有し、長方形の開口部13aが形成されている。この開口部13aの縦横比は下記する固体撮像素子16の撮像面16aと同比に設定されている。画枠プレート13の外周で、且つ、開口部13aの4角の位置には突部13bが一体的に設けられている。画枠プレート13はこの4つの突部13bが前記筒部10の各切欠溝10aに突出して位置決めされている。
【0017】光学フィルタ14は長方形状を有し、ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ等を積層して構成されている。この光学フィルタ14はその4角が前記筒部10の各切欠溝10aに突出して位置決めされている。
【0018】緩衝部材15は弾性材にて構成され、略リング状を有している。この緩衝部材15の前面が前記光学フィルタ14の外周縁に当接されて前方への変位が規制され、又、この後面は固体撮像素子16の外周縁に当接されて緩衝部材15は固体撮像素子16に加わる振動を緩衝している。
【0019】固体撮像素子16は中央に撮像面16aを有し、その後面がバックプレート17に位置決めされて固定されている。
【0020】バックプレート17は前記筒部10の内径より若干大きい寸法の略円板状を有すると共にこの前面には前記筒部10の内径と同一径のガイドリング部17aが設けられている。そして、このガイドリング部17aの一部が前記筒部10内に挿入されている。又、バックプレート17の上部には位置決め溝17bが形成され、この位置決め溝17bに前記フロント筒体7の位置決め突起10cが配置されてバックプレート17は回転位置が規制されている。
【0021】調整リング部材18はその内周にネジ部18aが形成されており、このネジ部材18aが前記筒部10のネジ部10bに螺入されている。調整リング部材18の後端には中心方向に延びる押圧部18bが設けられており、この押圧部18bが前記バックプレート17の後面に押圧している。即ち、調整リング部材18はバックプレート17を介して固体撮像素子16を緩衝部材15に押圧している。
【0022】図1及び図2に詳しく示すように、基板ブロック体Cはインナーケース20とこのインナーケース20内に収納された3枚の基板21等とから成る。一直線状に配置された3枚の基板21間が2枚のフレキシブル基板22でそれぞれ接続され、このように一体的になった3枚の基板21がジグザグに折曲されて配置されている。3枚の基板21にはその両面に電子部品23がマウントされており、この3枚の基板21にてビデオ信号のドライブ回路が構成されている。そして、隣接された基板21間にはプレート状のシリコンゴム34が介在され、このシリコンゴム34に電子部品23の上面が接触している。
【0023】インナーケース20は導電性、バネ性があり、且つ、熱伝達率の良好な部材にて構成され、上部ケース部材20aと下部ケース部材20bとから成る。上部ケース部材20aは略コ字状をなし、又、下部ケース20bは平板状をなし、上部ケース部材20aと下部ケース部材20bで3枚の基板21を略全面的に被っている。上部ケース部材20aの上面と下部ケース部材20bの下面には基板支持スリット24がそれぞれ形成され、この各基板支持スリット24に各基板21の角21aが挿入されている。上部ケース部材20aの上面と下部ケース部材20bの下面にはネジ挿通孔25が形成され、この各ネジ挿通孔24に挿入されたネジ26が下記するリアパネル29のネジ孔33に螺入されている。この各ネジ26の先端側は折曲された内側のフレキシブル基板22が構成する空間に挿入されており、この各ネジ26によっても基板21の位置決めを行っている。即ち、インナーケース20は基板支持スリット24とネジ26によって3枚の基板21を一定間隔に保持した状態で収納している。
【0024】また、上部ケース部材20aと下部ケース部材20bには内側に突出した舌片状の部品圧接片27が数ケ所に設けられ、この各部品圧接片27が発熱の大きい電子部品23にその板バネ力により圧接している。反対に、上部ケース部材20aと下部ケース部材20bの構成する4面全てには外側に突出した舌片状のケース圧接片28が数ケ所に設けられ、この各ケース圧接片28が前記ケース本体Aの4つの内面にその板バネ力により圧接している。従って、基板ブロック体Cはケース本体A内に微少の間隙を有し、且つ、ケース圧接片28の板バネ力を受けた状態で収納されている。
【0025】再び図3乃至図6において、リアブロック体Dはリアパネル29を有し、このリアパネル29にネジ孔30が形成されている。このネジ孔30にケース本体Aのネジ挿通孔6に挿入されたネジ31が螺入されてリアブロック体Dはケース本体Aの後端側に取付けられている。リアパネル29はケース本体A内側に延設され、この延設端にネジ孔32が設けられている。このネジ孔32に上記の如く前記インナーケース20のネジ挿通孔25に挿入されたネジ26が螺入され、これによってリアブロック体Dと基板ブロック体Cが連結されている。
【0026】又、リアパネル29にはコネクタ33が固定され、このコネクタ33よりドライブ回路のビデオ信号が出力される。
【0027】上記フロントブロック体Bの組付けは、フロント筒体7の後方より筒部10内の光路空間11に画枠プレート13、光学フィルタ14、緩衝部材15、バックプレート17に固定された固体撮像素子16の順で挿入し、その後に調整リング部材18を筒部10に螺入すれば良い。
【0028】上記基板ブロック体Cの組付けは、3枚の基板21をジグザグに折曲し、このように折曲した各基板21に上部ケース部材20aと下部ケース部材20bを被せ、上部及び下部ケース部材20a,20bの各基板支持スリット24に各基板21の角21aを挿入する。次に、リアブロック体Dとして組付けられたリアパネル29の一対のネジ孔32を各ネジ挿通孔25にそれぞれ合わせ、それぞれにネジ26を螺入すれば良い。即ち、基板ブロック体Cとリアブロック体Dとが一体的に組付けられる。
【0029】ビデオカメラの組付けは、ケース本体Aの後方より基板ブロック体Cとリアブロック体Dをケース本体A内に挿入し、ネジ31をネジ挿通孔6を介してネジ孔30に螺入する。この基板ブロック体Cの挿入に際して各ケース圧接片28は内側に弾性変形して収納されるため、基板ブロック体Cはケース圧接片28の板バネ力を受けた状態でケース本体A内に配置されることになる。次に、ケース本体Aの前方よりフロントブロック体Bをケース本体A内に挿入し、ネジ12をネジ挿入孔6を介してネジ孔9aに螺入すれば完了する。尚、上記組付けの説明ではコネクタの接続を説明の簡略化のため省略した。
【0030】このように組付けられたビデオカメラに振動・衝撃が加わると、この振動・衝撃が各ケース圧接片28で緩衝されて基板ブロック体Cに伝わる。又、インナーケース20の基板支持スリット24に挿入されて基板21が支持されているため、基板ブロック体Cに伝わった振動・衝撃が直接基板21に伝達されることなく多少緩衝されて基板21に伝わる。以上より基板21には外部からの振動・衝撃が十分に弱められて伝わるため、小型の電子部品のマウントに適する。
【0031】また、基板21はその各角21aが上部ケース部材20aと下部ケース部材20bの基板支持スリット24に挿入されて支持されているので、基板21を支持するために必要なスペースが少なくて済む。従って、基板総面積に対する部品実装面積の割合が大きくなるため基板21自体を小さくできビデオカメラの小型化に供する。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、インナーケースの基板支持スリットに基板の各角を挿入して基板をインナーケースで支持し、このインナーケースにケース圧接片を設け、このケース圧接片をケース本体の内面に圧接してインナーケースをケース本体内に支持したので、基板を支持するためのスペースが小さくなり、又、基板が外部からの振動・衝撃にも強く、以上よりビデオカメラの小型化に適するという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板ブロック体の斜視図(実施例)。
【図2】基板ブロック体の分解斜視図(実施例)。
【図3】ビデオカメラの分解斜視図(実施例)。
【図4】ビデオカメラの斜視図(実施例)。
【図5】ビデオカメラの縦断面図(実施例)。
【図6】ビデオカメラの横断面図(実施例)。
【図7】基板の一部斜視図(従来例)。
【符号の説明】
A…ケース本体、20…インナーケース、21…基板、21a…基板の角、24…基板支持スリット、28…ケース圧接片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケース本体内にインナーケースを配置し、このインナーケースに基板支持スリットを設け、この基板支持スリットに基板の角を挿入して前記インナーケースで前記基板を支持すると共に前記インナーケースの上下左右の4方向に弾性変形可能なケース圧接片をそれぞれ設け、この各ケース圧接片を前記ケース本体の内面にそれぞれ圧接して前記インナーケースを前記ケース本体に支持したことを特徴とするビデオカメラ。

【図4】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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