説明

ビデオカメラ

【目的】 地面撮りによる誤記録を自動的に防ぐ機能を具備したビデオカメラにおいて、意図した地面撮り撮影時の、記録一時停止による撮影記録もれを可及的に抑止できる、使い勝手の良いビデオカメラを提供すること。
【構成】 地面撮り検出回路106で地面撮りを検出したときに、制御回路107は電子ビューファインダ(EVF)105にこの旨を警告表示をし、RECボタン108を撮影者が押さないときに撮影を一時停止にする。一方、RECボタンを撮影者が押したときには、EVF105に出力した警告を解除し、撮影を継続させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラ一体形VTR等のビデオカメラに係り、特に、意図しない地面撮りによる誤記録を防止できるようにしたビデオカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】カメラ一体形VTRには、撮影開始/撮影一時停止の操作のため、RECボタンと呼ばれるスイッチがあり、このRECボタンを押すたびに、撮影開始と撮影一時停止とを繰り返すようになっている。しかしながら、一時停止させるためにRECボタンを押したつもりが押されてなく、あとで記録を再生してみると、地面や空ばかりが撮影されていたという問題を有していた(本発明では、この問題を総称して地面撮りと呼ぶ)。この地面撮りの問題を解決する従来技術として、例えば特開昭63−219281号公報に記載のビデオカメラがある。
【0003】上記先願公報に開示された従来技術では、ビデオカメラを持って歩いているときや、運搬時にのみ、かなり大きな加速度が加わることに注目して、ビデオカメラに加速度センサを設け、あらかじめ設定した以上の加速度が加わったことを検出した場合には、記録中のVTRを停止モードまたは一時停止モードに切り換えることで、地面撮りによる誤記録を防ぐようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、動く被写体を追い掛けて撮影するときには、物体の急激な動きに対応して撮影するわけであり、当然大きな加速度が生じることになる。しかるに前記先願による従来技術では、このような場合についての配慮がなされておらず、記録したいのに記録が中断されてしまう可能性があった。
【0005】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、地面撮りによる誤記録を自動的に防ぐ機能を具備したビデオカメラにおいて、意図した地面撮り撮影時の、記録一時停止による撮影記録もれを可及的に抑止できる、使い勝手の良いビデオカメラを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するため、本発明のビデオカメラは、電子ビューファインダと、地面撮り検出手段と、地面撮り防止解除手段とをもち、地面撮り検出手段で地面撮りを検出した際には、電子ビューファインダに警告表示を出力し、かつ、この後地面撮り防止解除手段を撮影者が操作しないときに、撮影を一時停止に切り換える制御手段を設けたものである。
【0007】
【作用】地面撮り検出手段が地面撮りを検出した場合には、制御手段によって電子ビューファインダの画面にこの旨の警告表示を行わせる。意図的な撮影であれば、撮影者は電子ビューファインダをモニタしているので上記の警告に気がつき、地面撮り防止解除手段を操作することで、撮影の継続がなされる。一方、意図しない地面撮りであれば、電子ビューファインダへの警告出力中に地面撮り防止解除手段は操作されないので、制御手段により撮影は一時停止に切り換えられる。
【0008】従って、地面撮りによる誤記録を自動的に防ぐ機能を具備したビデオカメラにおいて、意図した地面撮り撮影時の、記録一時停止による撮影記録もれを可及的に抑止できる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の詳細を図示した実施例によって説明する。図1は、本発明の1実施例に係るビデオカメラの要部構成を示すブロック図である。同図において、101はレンズ、102は撮像素子、103は信号処理回路、104は記録回路、105は電子ビューファインダ(以下、EVFと称す)、106は地面撮り検出回路、107は制御回路、108はRECボタン、109は電源回路である。
【0010】上記した構成において、レンズ101から入射された光信号は、撮像素子102で電気信号に変換されたあと、信号処理回路103で映像信号に変換され、記録回路104とEVF105に出力される。通常撮影時においては、制御回路107はRECボタン108の入力を受けるたびに、記録回路104に対し、録画/一時停止の制御信号を繰り返し出力する。
【0011】従って、撮影者は、EVF105で映像を確認しながら、録画開始のときと、録画一時停止のときに、RECボタン108をプッシュ操作することで、記録回路104により記録媒体に所望の映像を記録することができる。
【0012】以上説明してきた回路動作が、通常撮影時の動作である。ここで、本実施例においては、■通常撮影のとき■地面撮りのとき(意図しない地面撮りのとき)
■地面撮りと極めて似た条件下ではあるが、撮影したいと言う意図的な地面撮りのときという以上の3種の条件下で制御形態が異なる。録画開始から、一時停止までの動作について、以下これらを個別に説明する。
【0013】「■通常撮影」回路動作については既に説明したとおりなので、録画開始から一時停止の動作フローを、図2を用いて説明する。
【0014】まず、ステップS201で、RECボタン108が押されているかどうかが判断される。押されていればステップS202に進み、押されてなければステップS201に戻る。このステップS201に戻った状態は、録画一時停止状態である。一方、ステップS202に進むと記録回路104は記録を開始し、ステップS203へ進む。ステップS203では、地面撮り検出回路106による地面撮り判定が行われ、通常撮影と判断されたとき(地面撮り判定がNOとされたとき)は、ステップS204に進む。ステップS204では、RECボタン108が押されているかどうかが判断される。押されていればステップS205に進み、押されてなければステップS203に戻る。このステップS203に戻った状態は、撮影の続行を意味し、先に説明したステップS203以降の処理を行う。一方、ステップS205に進むと、記録回路104は録画一時停止状態に戻り、フローは終了する。
【0015】「■地面撮り(意図しない地面撮り)」地面撮り判定は、地面撮り検出回路106の出力によってなされるので、まずこの回路について説明する。
【0016】撮影者はカメラ撮影のときはカメラを水平に構えるが、一時停止し次の撮影位置に移動するときにはカメラを下向きあるいは逆さにする。カメラが下向きになることで、地面撮り検出回路106の出力はHiから、地面撮り判定(地面撮り判定のYES)を示すLowとなる。その具体的な地面撮り検出回路の1例を図3に示す。
【0017】図3の(a)はカメラが水平状態にある際の地面撮り検出回路を示し、図3の(b)はカメラが下向きにされた際の地面撮り検出回路を示している。図3において、301はケース、302は接点A、303は接点B、304は錘、305はバネ、306は抵抗、307は電圧V0 の電源である。
【0018】図3の(a)では、地面撮り検出回路が水平状態にあり、バネ305で錘304が図示右方向にひっぱられているため、接点A302と接点B303は非接触である。従って、地面撮り検出回路の出力は、抵抗306を介して接続されている電源307の電圧V0 (Hi)となる。
【0019】一方、図3の(b)では、地面撮り検出回路が下向きの状態にあり、バネ305の力に抗して錘304はたれ下がり、その結果、接点B303は曲げられて接点A302と接触する。接点B303はグランド電位(ゼロ)であるから、地面撮り検出回路の出力もゼロ(Low)となる。
【0020】図4は、上記したカメラの姿勢による地面撮り検出回路の出力を、表にまとめた説明図である。
【0021】なお、図3に示した例では、下向きを検出することで地面撮りと判定をする回路を説明したが、逆さ向きになること、あるいは加速度の変化から、地面撮りを判定する回路であっても良い。
【0022】以上説明した地面撮り検出回路106の出力を受ける、制御回路107の動作フローを、■地面撮り(意図しない地面撮り)に関して図2を用いて説明する。
【0023】ステップS201からステップS202までは、前記した■通常撮影と同じであり、その説明は省略する。
【0024】ステップS203では、地面撮り判定が行われるが、カメラ並びに内部の地面撮り検出回路106が下向きである場合には、図4の表に示したように地面撮りと判定され、ステップS206へ進む。ステップS206では、EVF105に対し、制御回路107から警告出力制御信号が出力され、EVF105の画面に警告が表示される。
【0025】その警告表示の具体例を図5に示す。図5は、足元を写したときのEVF画面501であり、下向きに写したことから、画面の左上に『地面撮り』の警告が出力されている。この表示は、警告感を出すために、点滅表示にしても構わない。
【0026】ステップS206の次のステップS207では、RECボタン108が押されたか、あるいは一定時間経過したら処理を終了し、次のステップS208に進む。ステップS208では、RECボタン108がステップST207で押されているかどうかが判断される。押されていればステップS211に進み、押されてなければステップS209に進む。
【0027】撮影者が地面撮り撮影を所望していない場合には、撮影者はEVF105を見ていないわけで(録画一時停止の操作をし忘れたことに気付かず、搬送等のためにカメラを下向けて、EVF105は見ていないから)、EVF105に出力されている警告に気が付くはずはなく、従って、RECボタン108は押されることはない。よって、ステップS209に進む。ステップS209では、記録回路104は制御回路107からの制御信号で録画一時停止状態に戻り、続くステップS210で制御回路107からの制御信号を受け、電源回路109はカメラの電源を遮断し、フローは終了する。
【0028】「■意図的地面撮り」上記説明の■地面撮り(意図しない地面撮り)との違いは、図2のフローにおいてステップS207からの処理である。そこで、このステップから説明する。
【0029】この場合には撮影者は、記録を意図しているわけであるから、EVF105で映像を確認しているわけで、先のステップS206でEVF105に出力された警告表示に気が付く。そこで、撮影記録続行のため、ステップS207で撮影者がRECボタン108を押すことで、ステップS208へ進み、更にステップS211へ進む。ステップS211では、制御回路107からEVF105へ警告出力解除信号が出力され、EVF105の画面から警告表示が消える。次のステップS212は、特定期間のタイマである。その目的は、意図的地面撮りのため、地面撮りの誤記録防止を解除したが、すぐにステップS203に進むとすぐにまた地面撮りの判定がなされ、EVF105に警告出力がなされてしまうのを防ぐためである。
【0030】ステップS212で特定期間経過後、ステップS203に戻った後は、以上説明したとおりの、■通常撮影,■地面撮り,■意図的地面撮りのいづれかの処理を行うので、説明を省略する。
【0031】なお、本実施例では、RECボタン108を押すことを、地面撮りの誤記録防止の解除手段としたが、新たなボタンを設定しても良い。また、カメラ姿勢を水平に戻すことで地面撮りの誤記録防止の解除をすることと、RECボタン108等の操作で解除することとを組み合わせても良い。斯様にした場合には、地面撮り検出回路106の地面撮り判定情報に基づきEVF105で警告を出力した後に、地面撮り判定が消滅したときには、記録継続のための制御手段を撮影者が選択しなくても撮影記録が継続できるなおまた、図2の処理フローでは、ステップS212に引き続きステップS203の処理を行う例を示したが、ステップS212の接続先は、ステップS204の手前でも良い。
【0032】以上説明してきたように、本実施例によれば、意図しない地面撮りによる誤記録を自動的に防ぐ機能を具備したビデオカメラにおいて、意図的な地面撮り撮影の際に記録が妨げられることがなく、意図通りの撮影記録が実現できる。
【0033】図6は、図2で示した処理フローに代替される本実施例による他の処理フローを示したものである。図6の処理フロートと図2の処理フローとの違いは、ステップS211の接続先と、ステップS212の処理位置である。各ステップの処理は図2とまったく同じであり、ここでは説明を省略する。
【0034】上述してきた説明から明らかなように、本発明の主旨は、地面撮り判定後に撮影者に警告を発し、撮影記録を継続するかどうかを撮影者に選択してもらうことにある。従って、地面撮り判定において精度をあげるべく、一定時間にわたって地面撮りを検出したときに地面撮りと判定し、この後に警告を発するようにしても良い。また、警告表示もEVFの画面内でなく、その周辺、あるいは、撮影を確認するためにカメラに設けられた液晶ディスプレイの内外に警告表示をすることでも良いことは自明である。更に、記録媒体も磁気テープのみならず記録できる媒体であればいづれでも良い。
【0035】さらに付け加えると、警告表示後、特定のボタンを押している間中を、撮影継続期間とし、上記特定のボタンを離したときに記録一時停止状態とすることでも良い。また、地面撮り判定後、記録一時停止するが、その後地面撮り検出開始時の記録の位置までさかのぼって頭出しを行い、記録一時停止状態を保つ、あるいは電源を遮断しても良い。
【0036】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれば、地面撮りによる誤記録を自動的に防ぐ機能を具備したビデオカメラにおいて、意図した地面撮り撮影時の、記録一時停止による撮影記録もれを可及的に抑止できる、使い勝手の良いビデオカメラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係るビデオカメラの要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の1実施例による、録画開始から一時停止までの処理の流れの1例を示すフローチャート図である。
【図3】図1中の地面撮り検出回路の1具体例を示すブロック図である。
【図4】図3で示した地面撮り検出回路の、カメラの姿勢による出力の変化を示す表図である。
【図5】本発明の1実施例による、EVFの画面に出力した地面撮りの警告表示の1例を示す説明図である。
【図6】本発明の1実施例による、録画開始から一時停止までの処理の流れの他の1例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
101 レンズ
102 撮像素子
103 信号処理回路
104 記録回路
105 電子ビューファインダ(EVF)
106 地面撮り検出回路
107 制御回路
108 RECボタン
109 電源回路
301 ケース
302 接点A
303 接点B
304 錘
305 バネ
306 抵抗
307 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影を確認するための手段と、撮影を記録するための手段と、記録の開始と一時停止を制御するための入力手段と、地面撮りの検出手段と、記録一時停止制御手段とをもち、撮影記録中であっても上記地面撮りの検出手段で得た地面撮り判定情報に基づき、上記記録一時停止制御手段により記録を一時中止にする機能を具備するビデオカメラであって、上記撮影を確認するための手段に警告を出力するための手段と、記録継続のための制御手段とを設け、上記地面撮りの検出手段で得た地面撮り判定情報に基づき、上記警告を出力するための手段によって上記撮影を確認するための手段に警告を出力させた上で、上記記録継続のための制御手段を撮影者が選択したときは、撮影記録が継続できることを特徴とするビデオカメラ。
【請求項2】 請求項1記載において、前記地面撮りの検出手段で得た地面撮り判定情報に基づき、前記警告を出力するための手段によって前記撮影を確認するための手段に警告を出力させた後に、前記地面撮りの検出手段からの地面撮り判定が消滅したときには、前記記録継続のための制御手段を撮影者が選択しなくても撮影記録が継続できることを特徴とするビデオカメラ。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図2】
image rotate


【図6】
image rotate